結核とは
結核とは、結核菌によって起こる感染症です。今でも国内で年間約10,235人(2022年の新規登録患者数)が発症しており、昔の病気ではなく日本の重大な感染症のひとつです。
結核菌は肺以外の臓器で冒されることもあり、腎臓、リンパ節、骨、腸など身体のあらゆる部位に影響が及ぶことがあります。
結核の症状
結核の初期症状は、軽い風邪症状と似ています。咳や痰、微熱などが2週間以上続くようなら受診をしましょう。
感染と発病
結核は、結核菌を吸い込むことによって感染します。
結核菌は、結核を発病して排菌している人が咳やくしゃみをしたときに、結核菌を含んだしぶき(飛沫)が飛び散り、そのしぶき(飛沫)の周りの水分が蒸発した飛沫核を吸い込むことによって感染します。これを空気感染といいます。
多くの場合は、結核菌を吸い込んでも、体の抵抗力によって追い出されますが、追い出されずに残っている状態を「感染」といいます。
「感染」だけの状態のときは、排菌して人にうつすことはありませんが、「感染」後、結核菌が体内で活動し病巣ができはじめた状態を「発病」といい、「発病」して排菌するようになると人にうつすことがあります。
「感染」しても「発病」するのは1~2割くらいと言われており、「感染」した人が全員「発病」するわけではありません。
ふだんからの健康管理が重要です。
結核は、免疫力が低下すると発病しやすくなります。ふだんから、良質な睡眠や食事、適度な運動をこころがけ、検疫力を高めるように心がけましょう。また、2週間以上続く長引く咳などがある場合には、すぐに医療機関を受診しましょう。
また、健康管理のために、年に1回は定期健康診断を受けましょう。職場の健康診断や巡回の検診車によるの結核定期検診(65歳以上)なども早期発見に役立ちますので、できるだけ受けるようにしましょう。
高齢者の結核対策
結核患者数は減少傾向にありますが、高齢者が占める割合は増加しています。高齢者は咳や痰などの症状が現れにくいため、とくに注意が必要です。
外国人の結核対策
国内での外国人の結核患者は増加傾向にあります。入国前の検査等の対策も始まっていますが、感染に気付かず入国し、後に発病するなど発見が難しいのが実情です。
外国人技能実習生を受け入れる企業向け結核パンフレット
身近な医療機関で胸部(肺がん・結核)検診を受診できます!
胸部(結核・肺がん)検診は、これまで検診車による集団検診で行っていましたが、令和5年2月からは身近なかかりつけ医などでも、ご自身の都合に合わせて受診できるようになっています。※胸部(結核・肺がん)検診を受診できるのは、年度内(4月~翌年3月)に1回です。
◆検査内容:胸部エックス線検査(必要に応じて喀痰細胞診)
◆対象者:40歳以上の方(令和8年3月31日時点の年齢)
◆料金:500円(喀痰細胞診が必要な方は別途500円)
※70歳以上の方、市県民税非課税世帯の方、生活保護受給世帯の方は一定の証明書の提示で無料。
◆申込み:下記の実施医療機関一覧から受診したい医療機関を選び、医療機関へ直接電話予約。
※ご予約の際は、「市の結核・肺がん検診を受診希望」とお伝え下さい。
検診車による胸部(結核・肺がん)検診
自覚症状がなくても、年に1回は胸部検診を受けましょう
熊本市の検診を受診できるのは、40歳以上の方(今年度末までに40歳の誕生日を迎える方を含む)です。
65歳以上の方は、感染症法により、年に一度は検診を受けることが義務づけられています。
対象となる65歳以上の方は、必ず受けていただくようお願いします。
熊本市胸部(結核・肺がん)検診
対象者:熊本市民で、年度内に40歳以上になる方 ※注1
本市の胸部エックス線検査は、結核・肺がん検診を1回の検査で行っています。
肺がん検診に関することは、下記をご覧ください。
熊本市がん検診のご案内 ~定期的にがん検診を受けましょう~
※注1:妊娠している方、学校や事業所、施設などで受診する方は受診できません。
検診車による胸部(結核・肺がん)検診日程
2025年度
- 肺がん、胃がん、大腸がん検診につきましては健康づくり推進課(328-2145)へお尋ねください。
医療機関のみなさまへ(届出様式など)
結核患者発生時の届出

感染症法第12条に基づき、結核と診断した場合は、直ちに保健所への届出が必要です。
届出の際は、熊本市保健所(096-364-3311)へご連絡のうえ、結核発生届をFAX(096-371-5172)送付してください。
なお、直ちに届出がなされなかった場合、遅延理由書の添付が必要となります。
届出基準(厚生労働省ホームページ)
(外部リンク)
結核医療費の公費負担制度

申請時は感染症患者医療費公費負担申請書(結核)、結核申請用診断書(結核)を提出してください。
保健所受理日から公費対象と見出しタイトルすることができます。
また、添付資料として申請前3か月以内に撮影された胸部X線写真が必要です。胸部CT画像がある際は合わせて郵送してください。
申請後は熊本市感染症診査協議会で診査し、適正と判断された場合に結核医療費の公費負担制度が適用されます。
結核患者の公費負担医療を担当する医療機関(病院、診療所、薬局)は、結核指定医療機関の指定が必要です。
患者またはそのご家族に説明のうえ、医療機関(病院、診療所)が代理で申請できます。
公費を継続する場合は、患者票の有効期限2週間前までに申請してください。
治療薬を変更する場合や承認された治療薬以外を追加する場合は、改めて申請が必要です。
転居などで自治体が変わる場合は、転入先の管轄保健所へ改めて申請が必要です。
治療医療機関が変更になる場合は、変更前の医療機関から患者票等記載事項変更届の提出が必要です。
感染症法における結核患者の入退院及び就業制限の取扱い
平成26年1月29日より結核患者の退院に関する基準が一部改正されました。
「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律における 結核患者の入退院及び就業制限の取扱いについて」の一部改正について (PDF:92キロバイト)
新旧対処票 (PDF:101キロバイト)
結核患者入退院時の届出について
感染症法第53条の11に基づき、結核患者が入院したとき、又は入院している患者が退院したときは、保健所に届け出ることが義務付けられています。届出の際は、事実発生から7日以内に、熊本市保健所へ送付してください。
患者票記載事項変更届
患者票に記載されている事項(医療機関・氏名・住所・被保険者等)に変更があった場合には届出が必要です。その際、患者票も返納してください。
結核患者転帰報告書
結核患者が転帰(治療終了、治療中断、死亡、転症)したときに届出してください。
結核患者発生にともなう届出等様式
治療のための参考資料
潜在性結核感染症治療指針(日本結核病学会予防委員会・治療委員会)
(外部リンク)
「結核医療の基準」の一部改正についてー令和3年(2021年)10月18日
結核指定医療機関の手続き等
結核指定医療機関とは、感染症法による結核患者の公費負担医療を担当する医療機関です。
結核患者の公費負担医療を担当するためには、結核指定医療機関となるための届出が必要です。
新たに結核指定医療機関の指定を受ける場合申請書類 | 結核指定医療機関申請書 |
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添付書類 | 開設許可証(届出書)の写し 九州厚生局熊本事務所の指定通知書(医療機関コード記載のもの)の写し |
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結核指定医療機関を辞退する場合申請書類 | 結核指定医療機関辞退届 |
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添付書類 | 結核指定医療機関指定書 ※紛失した場合は「結核指定医療機関指定書紛失届」を添付 |
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結核指定医療機関指定書の記載事項が変更となる場合 主な例 | 提出書類 |
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・医療機関の名称が変更となる場合(開設者は同じ) ・居住表示の変更などにより、医療機関の所在地及び地番に変更があった場合 ・婚姻、養子縁組、法人の名称変更により開設者名に変更があった場合 ・その他 | ・結核指定医療機関変更届 ・結核指定医療機関指定書 ※紛失した場合は「結核指定医療機関指定書紛失届」を添付 |
・医療機関を移転する場合 ・診療所から病院、または病院から診療所に変更する場合 ・開設者が変更となる場合(個人→個人、個人→法人、法人→個人) ※法人の代表者が変更となる場合は不要 その他 | ・結核指定医療機関申請書 ・結核指定医療機関辞退届 ・結核指定医療機関指定書 ※紛失した場合は「結核指定医療機関指定書紛失届」を添付 ・医療法、薬事法に基づく開設許可書(届出書)の写し ・九州厚生局熊本事務所の指定通知書(医療機関コード記載のもの)の写し |
院内(施設内)感染対策
結核患者の多くは医療機関で発見されています。日常から職員教育を行い、対策を整えておくことが重要です。
結核院内(施設内)感染対策の手引き(平成26年4月23日厚生労働省健康局結核感染症課事務連絡)
(外部リンク)
学校・事業所・施設のみなさまへ(毎年、結核健康診断の実施・報告が必要です)
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)第53条2の規定により、学校、病院・診療所、助産所、介護老人保健施設、社会福祉施設等は下記のとおり結核の定期健康診断を実施し、それぞれの所在地を管轄する保健所に報告しなければなりません。
結果把握後、速やかに(翌月中に)結核定期健康診断報告書を提出してください。
毎年1回、年度末(3月31日)までには報告が必要です。
労働安全衛生法、学校保健法に基づき実施した健診で胸部X線検査等を受けたことを実施者が確認した場合は、この健診を実施したとみなし、計上して報告することができます。
実施実務者 | 実施者 | 対象者 | 実施及び報告回数 |
事業所 | 学校(小学校、中学校、高等学校、高等専門学校、大学(短期大学含む)、専修学校、各種学校(修業年限が1年未満のものを除く)) 病院(歯科病院を含む) 診療所(歯科医院を含む) 助産所 介護老人保健施設 介護医療院 社会福祉施設(※1) | 業務に従事する職員 (労働安全衛生法令に基づく健康診断の対象ではない非正規雇用労働者(非常勤職員、派遣職員、パート、アルバイトなども対象)) | 毎年度に1回 |
学校の長 | 学校(高等学校、高等専門学校、大学(短期大学含む)、 専修学校、各種学校(修業年限が1年未満のものを除く)) | 本年度入学した学生 (中高一貫の高校1年生も対象) | 毎年度に1回 |
施設の長 | 社会福祉施設(※1) | 65歳以上の入所者 (本年度65歳に達する者を含む) | 毎年度に1回 |
施設の長 | 刑事施設 | 20歳以上の被収容者 (本年度20歳に達する者を含む) | 毎年度に1回 |
(※1)社会福祉施設
<社会福祉法第2条第2項第1号及び第6号までに規定する施設>
・生活保護法に規定されている施設:救護施設、更生施設
・老人福祉法に規定されている施設:養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、経費老人ホーム
・障がい者総合支援法に規定されている施設:障がい者支援施設
・売春防止法に規定されている施設:婦人保護施設