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本当にまちとつながる公共建築とは(都市政策研究所第26回講演会講演録)

最終更新日:2019年12月27日
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都市政策研究所では、自治体職員や市民に向け、都市政策に関する様々な知見を提供するために、各分野の著名な方をお招きし、講演会を開催しています。令和元(2019)年5月24日に、第26回講演会を下記のとおり開催しました。

概要

第26回講演会の様子

第26回講演会の様子

開催概要

【日時】 令和元(2019)年5月24日(金)午後3時~ 2時間程度

【場所】 熊本市国際交流会館6・7階ホール
講演
【演題】「本当にまちとつながる公共建築とは」
【講師】 熊本大学大学院 先端科学研究部教授 田中 智之 氏
研究員報告
  • 【テーマ】「義援金募集の実施に係る被害規模と報道量の影響」
  • 【報告者】熊本市都市政策研究所 研究員 山田 聰亮
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              講演要旨

              はじめに

               今日は、どの様にしたら「本当に」まちとつながる公共建築が出来るのか考えたい。まず、建築がまちに対して開いていなければならない。それだけでなく、何らかの「特徴(良いところ)」、例えば、都市の回遊性を促進したり、市民の方々が色々な活動をする拠点になったりと、まちを活性化させる起爆剤となることが「本当に」つながる、ということであると考える。
               建築には「しこみかた」「つくりかた」「つかいかた」の3 つの「かた」が不可欠である。今日は、四つの事例を通じ、これらの「かた」が、どの様に、各公共建築の特徴につながったのか見て行く。

              1.姫路駅周辺
               まず、姫路駅周辺である。姫路城へのビスタ(vista:展望)を非常に意識したキャッスルビューが造られ、駅舎自体も移動させた。また、キャッスルガーデン、一般車を入れないトラジットモール、幅15mの歩道など人中心の空間が造られている。これに、近隣のアーケード街も一体となって複数の軸を作ることで高い回遊性を生んでいる。姫路駅の場合は、特に「つくりかた」が重要であった。当初行政が出した案に対しては反発が強く対
              案が乱立した。それが、シャレットワークショップなど、市民、行政、専門家、学生も交えた議論のプロセスを通じ、お城に対するビスタと人の空間を主軸とした案に収束された。この案に対し、トランジットモールの採用、立体都市計画制度の活用、駅舎の移動など、まちづくりの基盤造りが行政判断で進められるとともに、キャッスルビューやキャッスルガーデンがうまくかみ合って進んだことが奏功した。

              2.長岡駅周辺
               次に、長岡駅周辺である。駅前の「アオーレ長岡」という複合施設が有名である。中越地震で被害を受けた市役所庁舎を駅前に持ってきて、アリーナやコミュニティホールなど様々な機能を集積し、これらが「ナカドマ」というシンボリックなオープンスペースを通じて連結することで施設内の回遊動線が生まれるとともに、「マエニワ」や「大手スカイデッキ」を介し、駅からのペデストリアンとも連結することで、大きな賑わいを生み出している。長岡駅の場合は「しこみ」が重要であった。最初のコンペの際、与件(与条件)として「公会堂、まちなか型市役所、屋根付き広場が融合した市民協働型シティホール」と設定された。これが、ナカドマを中心にした施設構成とマエニワやテラスなどを重要視したアオーレ長岡の「つくりかた」につながり、市民協働のイベントや市民の日常利用という「つかいかた」にもつながっている。

              3.延岡駅周辺
               3 つ目は、延岡駅周辺である。「エンクロス」という2 階建てのRC(鉄筋コンクリート)の細長い建築が既存の駅舎に覆いかぶさるように造られている。小規模であるが、カフェ、キッズスペース、物販スペース、キッチン、2 階には書店と図書館が入った複合施設である。まるで門前町の様に駅舎の前に建築され、市民活動スペースなど多様な機能を集積したことにより、既存の施設が「拡張」されるとともに、機能が「多様化」として、いろいろな目的を持った人々が集まる様になった。延岡駅の場合は、設計者ではなくまちづくりのパートナーを選ぶという「しこみ」でプロポーザルを行い、選ばれた建築の専門家が市民と対話しながら何をどこに造るかということを計画的に練り上げるという「つくりかた」をしている。また、既存駅舎と時代性を連続させたRC 構造や、建築の額縁効果により、既存駅舎や周辺のまちも含めたつながりを持たせてある。

              4.桜町・花畑周辺
               4 つ目は、熊本市桜町・花畑周辺である。熊本城に対するビスタとL 字型の大きな広小路をベースにして、熊本城と庭続きの緑の環境を作りながら、周辺のNHK、NTT、花畑公園、辛島公園、桜町の再開発などを大広間に面する庭や施設というふうにとらえて立体的に造っている。このシンボルプロムナードの軸と電車通りの軸があり、それに交差する新市街からの軸、銀座通りからの軸などを含めて、全体として回遊性を作りだしたいと考えている。熊本の場合「しこみ」の段階で、シンボルプロムナードを歩行者空間化する市の判断が極めて重要であった。また、既存イベントなどとも協働しながら、担い手づくりも目指している。

              まとめ
               最後に、これらの事例を通じ、「本当に」まちとつながる公共建築とするために重要な点を3 点述べる。第一に、「しこみ」が時系列としては最初であり、建築の前提となるプログラムや条件が的確あるいは先見の明がないとうまくいかない。そのため、与件の設定が非常に重要である。第二に、公共建築が、周囲の風景、施設、公園、広場、オープンスペースなどと連坦した広がりが感じられ、建築としての輪郭の外側に第二の輪郭をまとった「二重
              の輪郭」を持ったものとなることが重要である。第三に、「余白」が主役であるということ。建築自体よりもまちの風景や活動が生き生きと見えたり感じられたりする公共建築とすることが重要である。

               

              ※講演会要旨の文責は都市政策研究所にあります。

              ※内容の詳細は講演録をご覧ください。

               

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