河内中学校の真北にイチョウの老大木が一本そそり立っている。この樹齢600年以上という木の根元付近にぽっかり開いた穴から尽きることなく湧き出ているのが鑪水(たたらみず)である。 「たたら」とは日本古来の製鉄法のこと。その昔、製鉄に使われた水であることがうかがい知れる。河内町には、水を流し砂から砂鉄を分離する砂鉄水路跡(市指定史跡)があり、鉄の物語に想像がふくらむ。 昔から地元の人たちの生活の水として使われ、有明海でとれた魚を売る人たちが、冷たい水を氷代わりに利用したという。
古名は轟水という。「肥後國誌」によると、熊本の三轟の一つという。ほかの二つは宇土、合志の両郡にあると記されている。
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