ヒートショックとは、「急激な温度の変化で体に影響を与えること」です。暖房の効いた温かい部屋から寒い脱衣所に行ったり、冷えた体で、熱い浴槽に入ったりすると起こります。温かい場所から寒い脱衣所に移動すると、体は体温を上昇させるために筋肉をぶるぶると動かし、熱を作ります。また、熱を逃がさないために、血管を収縮させて体を流れる血液量を減らします。血管が収縮すると血液が流れにくくなり、血圧が急激にあがります。浴槽の熱いお湯につかると血圧はまた上がります。体が温まってくると血管が拡張し、血圧が下がっていきます。浴槽を出て体を洗ったり、また浴槽に入ったり、浴槽を出て寒い脱衣所に行ったりすると、血圧の急激な上昇や下降が繰り返されることで心臓に負担を与え、心筋梗塞や脳卒中などを引き起こします。また、体が温まり、血管が拡張した状態で急に浴槽から立ち上がると、ふらつきやめまいなどの原因となり、転倒や意識消失を起こしてしまうことがあります。
「ヒートショック」が起こりやすい場所は
居室との気温差がある、寒いトイレや洗面、浴室などです。部屋と部屋の気温差が激しいところは要注意です。
ヒートショックになりやすい人は
次の条件に当てはまる方は、ヒートショックの危険性がありますので、注意をしてください。
・65歳以上の高齢者
・これまでに狭心症や心筋梗塞、脳出血、脳梗塞、糖尿病などの病気を患ったことがある方
・現在、不整脈や高血圧などの持病がある方
・飲酒や食事直後にお風呂に入る習慣がある方
・一番風呂に入られる方
・高い湯温(42℃以上)の浴槽につかる習慣がある方
ヒートショックを予防するためには
1 急激な温度変化を避けましょう
・脱衣所をあたためる
・夜にトイレに行くときは一枚はおる
・布団から出る前に室内を温める
2 お風呂の入り方に注意しましょう
・浴室もあたためて
浴槽にお湯を張るときに、シャワーを利用したり、お風呂の蓋を外しておくなどして、浴室全体を温めましょう
・お湯の温度に注意
熱いお湯は血圧を急激に上げますので、お湯の温度を40度程度に設定しましょう。
・飲酒後の入浴は避けましょう
アルコールは血圧を下げる働きがあります。
・入浴前後には水分補給をしましょう
お風呂に入ると、思っている以上に汗をかいています。汗をかいた後に水分補給をしないと、血液が濃縮され、血栓ができやすくなり、心筋
梗塞や脳卒中などを起こしやすくなります。入浴前と後にコップ1杯、水分をとることを習慣にすると良いでしょう。
3 寒い冬でも水分補給をしましょう
夏に比べると、水分をとる量が自然と少なくなっていませんか。コロナ禍の今、マスクを常につけていますので、のどの渇きも感じにくく
なっています。しかし、汗は冬でもかいています。脱水や心筋梗塞、脳卒中などを起こしやすくなります。水分摂取を意識してください。
4 便秘に要注意
排便時にいきみ過ぎると心臓に負担がかかります。また、排便後は、急激に血圧が下がります。日常している「排便」でも、血圧は急激
に上がったり下がったりしています。自然な排便ができるように意識しましょう。
厚生労働省によると、家の中で起こる不慮の事故での死亡者数は、年間約13,000人、そのうち浴室での溺死者数は約4,000人となっています。65歳以上の方が3,000人を超えていますが、64歳以下の若い方も約500人にも上っています。日常生活の中で気を付けることで、ヒートショックは予防することができます。また、日頃から生活習慣病予防に取り組むとヒートショック予防にもつながります。取り組めることから始めて、今年の冬の寒さ対策をお願いします。