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くらしの中の人権(20の分野別人権問題)

最終更新日:2022年8月12日
文化市民局 人権推進部 人権政策課TEL:096-328-2333096-328-2333 FAX:096-324-2105 メール jinken@city.kumamoto.lg.jp 担当課の地図を見る
 

はじめに

 みんな幸せになりたいという思い、それは誰もが抱く願いです。

 好きな仕事がしたい、愛する人と結婚したい、自分らしく生きていきたい、そして明るく幸せな人生を送りたいという願いは、すべての人の望みです。

 しかしながら、私たちの身の回りでは、知識不足や偏見、思い込み、固定観念などによる差別やいじめ等が日々起きており、時には悲しい事件となって報道されています。これらの差別などは、人の心を深く傷つけ、苦しめ、さらにはその人の人生にも影響を及ぼす人権侵害であるということを強く認識する必要があります。

 私たち一人ひとりの人権が尊重される豊かで暮らしやすい社会の実現を目指し、本市では、令和2年(2020年)3月に第2次熊本市人権教育・啓発基本計画を策定し、20の分野別人権問題に取り組むこととしています。以下の1~20のそれぞれの人権問題を身近な問題として捉え、さまざまな立場の人々を理解し、寄り添うことができる人権感覚を養いましょう。

 

 

 

 

 

 

1.女性に関する人権問題

 女性に関する人権問題については、いまだ数多くの課題が残されています。これは主たる要因として人々の意識や行動、社会制度、慣行等の中に「男性は主たる役割・女性は補助的役割」といった性別によって固定的に役割を分担する考え方が根強く残っていることで、あらゆる分野で個性や能力を発揮しようとしている女性の活躍を阻害している現状があります。また、女性の人権を侵害するセクシュアル・ハラスメント、ストーカー行為、 性暴力等は、決して許されるものではありません。

 本市では、「男女共同参画センターはあもにい」を拠点として男女共同参画に関する各種啓発事業や講座の開催に取り組んでいるほか、関係機関と連携し、DV被害者への支援等に取り組んでいます。

 市民一人ひとりが人権尊重の意識を高めることにより、「誰もがともにいきいきと、個性と能力を発揮できるまち」を目指しましょう。

 

 

 

 

 

2.子どもに関する人権問題

   これからの社会を担う子どもたちが、いじめ、体罰、虐待などの犠牲になるなど、大きな社会問題になっています

 また、国際的にも武力紛争や政治混乱などによる貧困、飢餓など、社会的に弱い立場にある子どもたちの生活や生命を脅かしています

 子どもの人権も最大限に尊重され、守られなければなりません。

 国連では平成元年(1989年)に、子どもの人権や自由を尊重し、子どもに対する保護と援助を進めることを目的として「児童の権利に関する条約」を採択し、日本もこの条約を批准しています

 また、平成28年(2016年)の「児童福祉法等の一部を改正する法律」では、この条約に基づき、児童が権利の主体であること、児童の最善の利益が優先されることが明確化されました。

 「子どもの最善の利益」が実現される社会を目指すため、私たち大人が子どもの権利についてきちんと理解し、地域全体で子どもたちを見守り、育てていくことが大切です。

 

 

 

 

 

3.高齢者に関する人権問題

   高齢化が進む中で、介護を必要としている高齢者に対し、介護者が虐待を加えるなど高齢者の権利の侵害が社会問題となっています高齢者への虐待は、高齢者の人としての尊厳を傷つける行為です。

 高齢者虐待の背景には、認知症や自立度の低下、家族の介護疲れや生活上の問題など、さまざまな要因があります。高齢者に関する課題について正しく理解することが、高齢者虐待を防止する第一歩です。

 高齢者虐待は誰の身にも起こりうる問題です。虐待を身近な問題と捉えて、高齢者とその家族に気を配り、あいさつをしたり、声をかけたりするなど、地域全体で支えていくことが大切です。

 

 

 

 

 

4.障がいのある人に関する人権問題

   私たちが暮らす熊本市には、身体障がいのある人、知的障がいのある人、精神障がいのある人など約4万人以上の障がいのある方々が暮らしています。障がいがあってもなくても誰もが同じように学び、働き、暮らす権利を持っていますが、障がいのある人に対し、社会参加をさまたげる障壁や差別がまだまだ残っています。

 障がいを理由とする差別を解消することを目的に、平成28年(2016年)に「障害者差別解消法」が施行されました。この法律は、民間事業者や行政機関などが、障がいを理由とする差別をなくし、合理的配慮の提供などの取組を行うことで、障がいのある人もない人も共に生きる社会をつくることを目指しています。

 障がいがあってもなくても住み良い社会づくりをすすめるためには、すべての人の人権についての十分な理解と配慮が必要です。

 障がいのある人の人権がすべての人にとって重要であることを認識し、誰もが暮らしやすい社会をつくりましょう。

 

 

 

 

 

5.同和問題(部落差別)

   同和問題とは、日本社会の歴史的発展の過程で形づくられた身分階層構造に基づく差別により、国民の一部の人々が長い間、経済的・社会的・文化的に低位の状態を強いられ、日常生活の上でさまざまな差別を受けるなど、我が国固有の重大な人権問題です。

 残念ながら、今なお、こうした人々に対する差別発言、差別待遇などの事案のほか、差別的な内容の文書が送付されたり、インターネット上で差別を助長するような内容の書込み、結婚などに絡んだ出身地の調査がなされるといった事案が発生しています。

 差別や偏見に基づくこうした行為は、他人の人格や尊厳を傷つけるものであり、決して許されるものではありません。同和問題を正しく理解し、一人ひとりの人権が尊重される社会の実現を目指しましょう。

 

 

 

 

 

6.外国人に関する人権問題

  日本には約293万人の外国人が暮らしていて、日本を訪れる外国人も令和元年(2019年)は年間約3,188万人にのぼっています。

 今後、外国人と触れ合う機会が多くなる中、私たちは全ての人々に対して同じように接しているでしょうか。肌の色や体の特徴の違いから、じろじろと眺めたり、見て見ぬふりをしたり、無視したりしてはいないでしょうか。そのような態度で接すると、外国の人は、自分がからかわれているのではないかと感じたり、差別されているのではないかと誤解してしまうかもしれません。

 もし、私たちが外国へ出かけた時に、このような扱いを受けたなら、きっと不愉快な思いをし、その国に対して良い印象は持てないでしょう。

 外国人であること、文化的な背景が違うこと、異なる特徴を持つことなどで差別することなく、積極的に外国の人と交流を図り、お互いを理解しあう努力をしながら、全ての人が安心して快適に暮らせる「共生社会」を作っていきましょう。

 

 

 

7.性的マイノリティに関する人権問題

   性的マイノリティに関するニュースを、ここ数年よく耳にします。生物学的な性的特徴により出生時に割り当てられた性別と自分の性をどう認識するかという性自認が一致しないトランスジェンダーや人の性愛の向かい方である性的指向等に関して、市民の正しい理解が求められています。

 性的マイノリティの人々は、日常生活のさまざまな場面において、奇異な目で見られるなどの精神的な苦痛を受けており、就職をはじめ、自認する性での社会参加が難しいなど、社会の無理解や偏見のため、不利益や差別を受けている状況にあります。

 当事者が正しい知識を得る機会がなく、自らの性のあり方について違和感を持ち、誰にも相談できずに自分が非典型であると悩み続ける場合もあり、 さらに家族からも理解を得られなければ孤立してしまうことになります。

 このような人々を性的マイノリティであるという理由で差別したり、排除したりすることなく、すべての人々が尊重され、自分らしく生活できる社会にしていく必要があります。

 

 

 

 

 

8.水俣病に関する人権問題

 昭和31年(1956年)5月1日に「水俣病」が公式に確認されました。

 水俣病とは、チッソ水俣工場から水俣湾に排水と一緒に流された毒性の強いメチル水銀が魚介類に取り込まれ、それらを多く食べたことにより発生した公害病です。

 水俣病は、メチル水銀による中毒症であり、空気や食物を通じて人から人へうつることはありません。また、遺伝により発生することもありません。現在、水俣湾は県の調査によって安全が確認されています。

 しかし、いわれのない差別や偏見により、患者や家族、さらには、水俣の人々は長い間、大変苦しみ続けられています。

 私たち一人ひとりが、水俣病に対する正しい知識を待ち、被害を受けた方々の視点に立って考え、水俣病に対する差別や偏見をなくしていくことが大切です。

 

 

 

 

 

9.ハンセン病回復者とその家族に関する人権問題

   ハンセン病は「らい菌」という細菌による感染症ですが、感染力は極めて弱く、現在は治療方法が確立した治る病気です。

 治療薬が開発された後は、ハンセン病患者を隔離する必要はなかったにもかかわらず、国の長年にわたる強制隔離により、多くのハンセン病回復者が人権上の制限や差別などを受けたということがこの問題の核心です。ハンセン病回復者、さらにはその家族に対する偏見や差別といった人権侵害の多くは、誤った医学的知識や思い込みから生じています。

 市民一人ひとりが、ハンセン病に対する正しい理解と認識を深め、ハンセン病回復者に対する偏見や問題意識の解消に努めましょう。

 

 

 

 

 

10.エイズ患者やHIV(エイズウイルス)感染者に関する人権問題

   エイズ・HIV(エイズウイルス)感染症は、人から人にうつる感染症の一つです。当初は治療法がなく、この病気の恐ろしさのみが大きく報道されました。このときの誤解から生じた、エイズ患者・HIV感染者に対する差別や偏見が今でも根強く存在しており、患者や家族がいわれのない差別や偏見を受けることがあります。

 HIVは、感染力の弱いウイルスで、日常生活、例えばトイレの便座やお風呂、プール、握手、くしゃみ、咳、汗、涙などによって感染することはないため、感染した人を避ける必要は全くありません。

 患者や感染者は医学の進歩により、治療を受けることで病気の進行を抑え、これまでのとおりの生活を続けることができます。

 正しい知識を持ち、理解を深め、相手の立場になって考え、差別や偏見をなくしていくことが大切です。

 

 


 

11.刑を終えた出所者等に関する人権問題

   刑を終えて出所した人は、本人に真摯な更生の意欲があっても、周囲の根強い偏見や差別意識がある場合があります。就職や入居などの面で社会に受け入れられないなど、現実は極めて厳しい状況です。 また、その家族の人権が侵害されることもあります。

 たとえ罪を犯した人であっても、罪を償って、地域社会に戻ってくればみんな同じ市民です。社会復帰するにあたって、何よりも重要なのは本人の意志ですが、周囲の方々の理解と協力が不可欠です。

 犯罪や非行の防止と罪を犯した人たちの立ち直りについて理解と協力の輪を広げるため、「更生保護の日」である71日からの1か月を強調月間として「社会を明るくする運動」が推進されています。

 立ち直ろうと決意した人を社会で受け入れていくことや、犯罪や非行をする人を生み出さない家庭や地域づくりに努めましょう。

 

 


 

12.犯罪被害者等に関する人権問題

   誰もがある日突然、犯罪に巻き込まれ被害者となってしまう可能性があります。決して他人ごとで済まされるものではありません。

 犯罪被害に遭われた方やその家族の方々は、事件そのものに関する精神的負担や経済的・時間的な負担だけではなく、マスメディアによる取材や報道などで平穏な私生活が侵害されるなどの二次的な被害にも苦しんでいます。これらの問題は、被害者が独力で解決することは難しく、社会的な支援が必要となります。

 本市では、被害者からの相談や支援を行う「くまもと被害者支援センター」の活動を支援するほか、被害者支援に関する案内窓口を設置するなど、被害者の実情に応じた各種支援に取り組んでいます。

 犯罪被害者やその家族に対する理解を深め、被害者の心に寄り添い、被害者の視点で支えていくことが大切です。

 

 

 

 

 

 

13.インターネットに関する人権問題

  インターネットは急速に世界で広まりました。いまでは誰もが、インターネットを通じて様々な情報を入手し、世界中の人とコミュニケーションをとることができるなど、情報媒体として無限の可能性が広がっています。

 しかし、私たちの生活を豊かにする便利な道具である反面、使い方を間違えたり、悪意をもって使うと“凶器”にもなります。たとえば、誰もが見ることができる掲示板等に誹謗中傷を書き込むなど、他人の人権を侵害する事件も後を絶ちません。

 インターネットの世界においても、画面の向こうに、自分と同様に人権のある他者の存在を意識することが大切です。

 

 

 

 

 

 

14.災害に関する人権問題

   東日本大震災や熊本地震をはじめ、近年は各地で台風や豪雨などにより毎年のように激甚災害に指定される大規模な災害が起きています。災害直後には、多くの方々が避難生活を強いられています。

 被災した人々の中には、財産を所有する権利、働く権利、教育を受ける権利、自由に移転転居する権利を奪われた人もいます。

 また、東日本大震災での原子力発電所の事故では、放射性物質の拡散に伴い、発電所周辺から避難した人々が、避難先で風評に基づく差別的な扱いを受ける、あるいは被災地の農業・水産業・酪農業が風評被害を受けるといった、根拠のない思い込みや偏見から人権侵害につながる行為も発生しています。

 人権問題は、私たち一人ひとりの意識に根ざした問題です。正しい情報を得て、被災した人々のことを忘れず、被災した人々の気持ちに寄り添うことが大切です。

 

 

 

 

 

 

15.アイヌの人々に関する人権問題

   古くからその地域に住んでいながら、後に他の地域からやって来た人々に文化や風習を否定され、社会的に不利な立場に追いやられてきた人々が世界各地にいます。主に北海道などに昔から住んでいたアイヌの人々もそのひとつです。明治以降のいわゆる同化政策の中で、アイヌの人々の文化は禁止され、否定、抑圧され続けてきました。

 現在では、国や地方自治体をはじめとする様々な取り組みにより見直され、制度的にも少しずつ改善されつつありますが、アイヌの人々に対する偏見や差別は依然として残っています。

 民族や文化において差別が許されないのは言うまでもありません。自分たちと異なる人々の伝統や文化を正しく理解し尊重することが大切です。

 

 


 

16.難病患者に関する人権問題

   難病とは、発病の仕組みが明らかでないうえに、治療方法が確立していない希少な病気であり、その病気にかかったことにより長期にわたって療養を必要とする病気のことをいいます。

 難病はその種類も多く様々な病気の特性があり、個人差があるため、一見して病気とわかる場合もあれば、外見上はあまり変化がなく、健康な人と変わらない場合もあります。そのため、病気に対する無理解や偏見により、心ない言葉をかけられるなどの差別を受けることがあります。こうした差別や偏見を払拭するためには、病気のことを正しく理解し、患者・家族の立場になって考えることが大切です。

 

 

 

 

 

 

17.北朝鮮当局による拉致被害者等に関する人権問題

   平成14年(2002年)9月に行われた日朝首脳会談で、北朝鮮側が初めて当局による日本人拉致を認めました。拉致問題は人間の尊厳、人権および基本的自由に対する重大な侵害です。

 この問題に関する国民の認識を深めるとともに、国際社会と連携していくことを目的として、平成18年(2006年)6月「拉致問題その他北朝鮮当局による人権侵害問題への対処に関する法律」が施行され、毎年 1210日から16日までを「北朝鮮人権侵害問題啓発週間」としています。

 拉致問題は、我が国の喫緊の国民的課題であり、この解決を始めとする北朝鮮当局による人権侵害問題への対処が、国際社会を挙げて取り組むべき課題とされる中、この問題についての関心と認識を深めていくことが大切です。

 

 

 

 

 

18.ホームレスの人々に関する人権問題

   ホームレスは、社会経済情勢の影響を受けた倒産、失業などさまざまな理由により、住居を失い生活がなりたたなくなってしまい、やむなく路上生活などを余儀なくされている人々のことです。

 1990年代後半、ホームレスを暴行する事件などの社会問題が起きたことを発端として、国のホームレスの人々への自立支援を目的とした施策により、ホームレスの人たちの数も減少してきています。

 平成27年度(2015年度)には生活困窮者自立支援法が施行され、熊本市ではホームレスの方も含めた生活困窮者の方への相談窓口を設置しています。

 ホームレスの方が住居などの相談を希望された場合は、生活自立支援センター(電話328-2795)などの相談窓口へご連絡ください。

 ホームレスの人たちへの差別や偏見をなくし、生活困窮からの脱却を支援しましょう。

 

 


 

19.自死遺族に関する人権問題

   身近な人を亡くすことは、とても悲しく、苦しい体験です。特に自死で亡くなった場合、突然の死であることのショックや、自死を止められなかったという自責など、遺族の苦しみははかり知れません。さらに、自死に関する社会の偏見や周囲の誤解等によって、自死で家族を亡くしたことを周囲に話せず、一人で苦しみ、孤立してしまう方も少なくありません。

 政府が推進すべき自殺対策の指針として策定された「自殺総合対策大綱」では、自死遺族等に対する支援の取組の重要性が言及されています。また、多くの自死は、個人の自由な意思や選択の結果ではなく、様々な悩みにより心理的に「追い込まれた末の死」とのべられています。自死は個人の問題ではなく、その対策は社会全体で取り組む必要性があります。

 人がその死のあり方によって差別されることのない社会、あわせて、これ以上苦しむ方が増えないような誰も自死に追い込まれない社会づくりが求められます。

 

 

 

 


 

20.様々な人権問題

   現在の社会には、これまで述べてきた以外にも、様々な人権問題が存在しています。人権問題をひきおこすパワハラ、セクハラ、モラハラ、アカハラなどのハラスメントやストーカー問題、その他にも外見にあらわれる疾患や外傷がある人たちの人権に関する問題や災害から派生する問題等、多岐にわたっています。このように人権問題は、人々にはよく知られていないものや新たに人権問題として社会に認識されたもの、さらには人権問題が相互に絡み合って新たな人権課題として発生したもの等、常に変化し、複雑化しています。

   これらの人権課題の現状について正しく理解し、認識を深めるとともに、一人ひとりが個性や能力を十分に発揮できる多様性を認めあう社会をつくっていきましょう。

 

 

 

 

 

 

 


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