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令和4年(2022年)9月30日 第3回定例会後市長記者会見

最終更新日:2022年9月30日
政策局 秘書部 広報課TEL:096-328-2043096-328-2043 FAX:096-324-1713 メール kouhou@city.kumamoto.lg.jp 担当課の地図を見る

 


 

1 第3回定例会を終えての所感

2 お知らせ

・「熊本市域街路樹再生計画」の改定について

・「内密出産」に関するガイドラインについて

・新型コロナウイルス感染症に係る全数届出の見直しに伴う本市の対応について

・台風15号に伴う被災地(静岡市)への支援について

3 質問

(1)幹事社代表質問(読売・KKT

(2)各社質問


会見録

 

市長発表

はじめに、第3回定例会を終えての所感を述べさせていただきます。
本定例会に提出いたしました予算案及び条例案等につきましては、追加提案いたしました「新型コロナウイルス感染症に係る緊急対策第33弾」を含め、議会において慎重にご審議いただきました結果、原案どおり全て可決いただきました。これにより、オミクロン株に対応したワクチン接種などの新型コロナウイルス感染症対策をはじめ、電力・ガス・食料品等の価格高騰による家計への影響が大きい世帯に対する給付金のほか、マイナンバーカードの普及促進、中小企業や農業者への支援等に速やかに取り組んでまいります。
一般質問では、防災、まちづくり、福祉、教育、都市・交通政策や新型コロナウイルス感染症に関する諸課題など、いずれも本市の将来に関わる重要な政策課題について、議員各位から大変熱心にご質問をいただきました。議論を通じていただきましたご意見・ご要望については真摯に受け止め、市政運営の糧として取り組んでまいります。

次に、「熊本市域街路樹再生計画」の改定についてお知らせします。
令和元年度に策定した「熊本市域街路樹再生計画」は、計画の考え方や目指す姿について、市民の皆様に対して十分に計画の内容が伝わっていなかったことから、一旦立ち止まり、計画の見直しについて検討を進めてきたところです。本市における街路樹が、「10年後も50年後も市民が誇れる街路樹」となるよう、あらためて計画策定委員会を再開するとともに、市民ワークショップの開催、くまもと花博での情報提供やPR、さらには令和4年7月1日から1ヵ月間パブリックコメントも実施いたしました。こちらでの議論やご意見を踏まえ、「グリーンインフラを取り入れた植生基盤強化」や「樹種に応じた管理基準の追加」などの内容を新たに盛込みまして、計画の改定を行ったところです。
今後は、計画のテーマである「都市緑化に資する潤いと安らぎのある街路樹空間の創出」に向けて市民の皆様と連携して取り組むこととしており、令和5年度に設置する「森の都推進部(仮称)」において、街路樹だけでなく、公園や森林、学校樹木など、都市全体の緑を一体的に育む上質で緑豊かなまちづくりを進めてまいります。

次に、内密出産に関するガイドラインについてお知らせします。
本日、葉梨法務大臣、加藤厚生労働大臣から内密出産に関するガイドラインを各都道府県・市町村宛に発出するとの発表がありました。国におかれましては、早期にガイドラインを策定していただきまして、心から感謝申し上げます。
ガイドラインの内容につきましてはこれから精査してまいりますが、内密出産の実施の枠組みをお示しいただいたことにより、慈恵病院とともに、新たな事案にも着実に対応していくことができるのではないかと考えております。ガイドラインの運用により、日本全国で内密出産も含めて予期せぬ妊娠で悩む方々への支援体制の充実が図られ、これまで以上に母子の生命と生まれてきた子どもの出自を知る権利が守られていくものと期待しております。

次に、新型コロナウイルス感染症に係る全数届出の見直しに伴う本市の対応ついてお知らせします。
9月26日から全国一律で全数届出の見直しが行われ、医療機関から提出される発生届の対象が、65歳以上の方や入院が必要な方など、より重症化リスクが高い方に限定されることとなりました。全数届出の見直しから本日で5日が経過しておりますが、医療機関での混乱もなく、保健所業務についてもこれまで円滑に進んでおります。発生届の対象となる方につきましては、保健所から連絡し入院調整等を行うなど、これまでどおりの対応を継続しており、今後、感染が拡大した場合においても、重症化リスクの高い方をしっかりサポートしてまいります。
一方で、発生届の対象外となられる方に対しましては、保健所からの連絡は行いませんが、自宅にて安心して療養していただくためフォローアップ体制を新たに構築したところです。発生届対象外の方が自宅療養中に体調が悪化された場合に備えまして、午前9時から午後6時までの時間帯につきましては、これまで健康観察等に対応していた「熊本県療養支援センター」に新たに医師を配置するとともに看護師を増員することで相談体制を強化いたします。
また、午後6時から翌朝午前9時までの夜間帯については、7月末から設置している「熊本市夜間電話相談窓口」において、引き続き対応いたします。必要に応じて、オンライン診療にご案内してまいります。これにより、体調の急変時など自宅療養となった皆様の健康を24時間体制でサポートしてまいります。また、本市のホームページにおいても、よくあるお尋ねなど各種情報を随時更新しておりますので、ご覧いただきますよう、よろしくお願いいたします。
現在、本市の感染者数は減少傾向にありますが、今後、季節性インフルエンザとの同時流行も懸念されております。改めて、市民の皆様におかれましては、手洗いや換気等の基本的な感染防止対策の徹底、特に、ご家庭における子どもや高齢者の方への対策を徹底していただくとともに、り患された場合の備えとして、市販の解熱剤や咳止め薬、体温計や氷まくら、食料品や日用品などの準備をお願いいたします。

また、本市では9月27日(火)にオミクロン株に対応した2価ワクチンの接種を開始しており、10月5日(水)からは新たに4回目接種の対象となる12歳から59歳の方の接種券を発送いたします。オミクロン株に対応したワクチンの接種により、従来のワクチンを上回る重症化予防効果と、短い期間の可能性はあるもののオミクロン株に対する感染・発症予防効果が期待されます。医療体制のひっ迫の防止に向けて、3回目・4回目のワクチン接種がお済みでない方は、是非、積極的な接種をお願いいたします。
本市では、次なる感染拡大に向けた準備を進めるとともに、プレミアム付商品券や旅行割といった経済対策にも同時に取り組んでいるところであり、本格的なウィズコロナ社会に向けて、感染防止と社会経済活動の両立を図ってまいります。

最後に、9月23日から24日にかけて東海地方に甚大な被害をもたらした台風15号に対する本市の対応についてです。
まずもって、お亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての皆様に心からお見舞い申し上げます。
本市としては、去る27日、静岡市からの要請を受け、応急給水支援として職員6名を派遣しました。翌28日から、現地にて給水車2台で給水活動を行っております。また、災害廃棄物処理について、静岡市から正式に要請があったことから、本日、職員3名を派遣することといたしました。まずは、現地の被害状況等の情報収集に努め、被災者に寄り添った支援を行ってまいります。被災された皆様が一日も早く元の生活に戻ることができるよう、引き続き積極的な支援を行ってまいります。

私からは以上です。


 

質疑応答

【記者】内密出産のガイドラインについてお聞きします。先ほどの市長のご発言の中で、ガイドラインの運用によって、全国で予期せぬ妊娠で悩む方々への支援の充実が図られるとありましたが、熊本市として、ガイドラインの内容で特に評価できる点を教えてください。また、ガイドラインが発出されたことを踏まえて、熊本市として、新しくとる対応や今までの対応で変更することがありましたら教えてください。

【市長】先程の大臣等の記者会見において、ガイドラインが発出されるということが決まりましたので、私もまだ発出されたガイドラインそのものは拝見しておりません。これから担当部局で精査しまして、内容等については改めてコメントをお出しする等の対応を行い、また、どのように運用するかといった具体的なことについては、改めて皆様にお伝えをさせていただきたいと思います。
昨年末に内密出産の事案が実際に発生し、今年2月に熊本市と慈恵病院とで母子の命を守る体制をきちんと整えるためにということで、国とも様々な情報を共有しながら対応を行ってまいりました。そして、国会での審議や各省庁間での様々な協議などを通して、国からガイドラインが発出されたということについては、政府の対応に大変感謝を申し上げたいと思います。
このことによって、現場の自治体や病院が適切に母子の命を守ることができ、また、法令の中で判然としなかった部分に関して様々な対応をとることができるようになったことによって、内密出産を希望する皆さんの安全や、内密出産を行いたいという希望に寄り添った支援が、より可能になると思っております。また、国の関係者の皆様には、こうした対応を行っていただき、ガイドラインを発出していただいたことに対して、感謝を申し上げたいと思います。
詳細な部分については、担当部署からお話をさせていただくことになりますが、ガイドラインが公表されることによって、内密出産の実施が一自治体や一民間病院の対応ということにとどまらず、全国で類似の対応をとることが可能になっていくのではないかと思います。もちろん、認識の違い等があるかもしれませんが、既に先行して実施している慈恵病院の事例、それから熊本市でも様々な検討を行ってきた情報などといったものについては、他の自治体の皆さんにもできるだけ共有し、そして、内密出産に至るその前の段階で適切な相談に繋げられるということが、私は非常に重要だと思っております。ただ、そうした中でも、名前を明かさずに出産したいという、妊婦の方の非常に深刻な状況を受け止めていかなければならない状況があると思いますので、そうしたことも踏まえて、本市を含めた各自治体や各病院が適切に対応していくことができると期待をしているところです。
一方で、改善できる点がまだまだあると思います。ガイドラインの策定過程において、本市への意見照会もあり、例えば、母親の身元情報となる資料としてどのようなものを想定しているのかを具体的に示していただきたいと国に申し上げたところ、身元情報の範囲や管理についての記載を追加していただいたと伺っております。それ以外にも、例えば、以前から、妊娠葛藤相談所の設置や、公的な情報管理ということについても求めていたのですが、法的な整理が必要になるものもあると思いますので、このガイドラインに位置づけることがなかなか難しかったものもあろうかと思います。ただ、今回のガイドラインが発出されたということが、ある意味でのスタートとして、これからいろいろと改善を加えながら、より良い制度として充実させていき、また、対応を検討していくといったことが非常に重要になってくると思いますので、引き続き、国や現場の医療機関、とりわけ熊本では慈恵病院ともしっかり連携をとって、我々も適切に対応してまいりたいと考えております。

【記者】熊本市が直面していた1番の問題である、身元のわからない母親の社会調査をどうすればいいのかということについて、ガイドラインは曖昧な表現になっている部分がありますが、市としてどのように受け止めておられますか。

【市長】母親のいろいろな状況に応じて、できるだけ寄り添った対応をしていかなければいけないと思います。今回示された内容の範囲の中で、できることもいろいろあるかと思います。今まではそういったものが明示されていませんでしたので、そういう意味では、まだわからない部分もあるかと思いますが、例えば、社会調査についても、母親の状況や希望等を総合的に判断しながら、適切に対応していきたいと考えております。

【記者】ガイドラインが示されたことによって、今後の熊本市の対応が変わることはあるのでしょうか。

【市長】これまでと対応が変わるといったことは特段ございません。ただ、今回ガイドラインが示されたことによって、児童相談所もどのように内密出産に対して、今の法のもとで対応すれば良いのかということが整理できますので、現場としては、いろいろなケースに対応しやすくなると考えております。

【記者】ガイドラインについて伺います。先ほどのお話しの中で、妊娠葛藤相談所の設置を求めていたが示されたガイドラインの中には位置づけられておらず、ある意味ではスタートということで、これから協議し改善していくというお話しがありましたが、現時点で、ガイドラインに妊娠葛藤相談所の設置が組み込まれてないということに関して、どのように受け止めていらっしゃいますか。

【市長】昨年の12月に、国内でも初となる「内密出産」と言われる事案が発生し、(その後に生じた事案も含め)出産された女性やそのお子さんにいろいろな対応をしてきましたが、法的に乗り越えられないものについては、課題を残した中でのガイドラインの発出という形になったのではないかという評価をしております。ただ、そういった課題についても、国には十分に認識していただいている中で、現実的に今の段階で取り得る対応をこのガイドラインに沿って実施してくださいという意味だと思いますので、先ほどスタートラインと申し上げましたが、内密出産というものが、いよいよ全国的にも1つの制度のような形で動いていくことになろうかと思います。これから、いろいろなケースが全国でも出てくると思われますので、そういったものを踏まえながら、国としても、法改正等が必要だということになれば、国での審議等が進んでいくと思います。私はこのガイドラインが出たことによって、より前に進んでいくと考えています。このように、一自治体や一民間病院が求めたことで、これだけのスピード感で国が動くということは、これまでなかなか無かったことではないかと思いますので、これからも国とのいろいろな情報の共有をしながら、現場の意見を踏まえて、本市としましても適切に対応していきたいと思います。その中で、制度がより良いものになって、望まない妊娠等で悩む方々をいち早く救済し、また、生まれてくるお子さんの出自等に不安がないような状況下で、きちんと社会の中で何も心配せずに子どもが育てられるように、そして、あらゆる子どもの人生にとってより良いものになるような選択ができるようにし、加えて、その選択肢の幅をできるだけ行政も病院と協力をしながら広げていくといったことが、非常に重要だと思います。
したがって、行政の福祉専門のスタッフと慈恵病院、あるいは熊本県内の民間病院との連携もこれから出てくるでしょうし、あるいは全国のいろんな自治体や医療機関との連携も出てくると思います。そういった意味では、このスタートにおいて、前を向いていろいろと進んでいくことができると私自身は評価しているところです。

【記者】母親の身元情報の管理に関してガイドラインでは、病院で管理するようにとなっていますが、この点についても、事例に沿った形でこれから検討が進んでいくとお考えでしょうか。

【市長】まずは当面、医療機関で管理するようにということで、国において、現在は事例の件数もそこまで多くないと評価されているのかと思うのですが、例えば、事例の件数が何千というような単位になってきますと、管理が難しくなってくると思います。この点は、いろいろな事例を重ねる中で、法的な整備も含めた整理がなされていくものだと考えております。今回のガイドラインを踏まえて、医療機関と連携をしながら、また、大切な情報ですので、公的に医療機関に対してどういったサポートができるかということについても、医療機関の現場のご意見も聞きながら進めていきたいと考えております。

【記者】ガイドラインでは、子どもの出自を知る権利の重要性や、出産前後に得られる支援等の説明といった説得の場に行政機関が同席することが望ましいとありますが、これは熊本市として可能なことなのでしょうか。また、これまでの対応と変化があるのかを教えてください。

【市長】子どもの出自を知る権利を保障するということは、非常に重要なことです。一方で、出産される女性の状況はそれぞれ違いますので、医療機関と緊密に連携をとりながら、慎重に進めていく必要があります。例えば、行政は、アドバイスも含めていろいろな形で出産される女性に対して情報提供を行う等、これまでもいろいろな形で接触するケースがありましたので、そういったことも踏まえ、これからもより緊密に医療機関や関係各所と連携をしながら対応していきたいと思います。したがって、対応すること自体は可能だと思います。
例えば、匿名であっても、名前をどの範囲に明かしたくないのかというのは、それぞれに違いがあると思います。自分の地元では絶対に明らかになって欲しくない、あるいは親や会社等には明かしたくないというように様々な場合があると思いますが、そういったことも気軽に相談していただければ、行政としても、医療機関だけでは解決できない各種福祉支援や匿名でも利用できる全国的な支援に繋げることができます。秘密は守りますので、できるだけ信頼していただければ、行政からの情報提供ができます。先ほど申し上げましたように、選択肢が多いに越したことはなく、選択する可能性を広げていけるように、行政として、最大限のお手伝いをしていきたいと思っております。

【記者】ケースによっては逼迫しているような状況もあるかと思うのですが、そういったときに臨機応変に対応するスピード感に関してはどうお考えですか。

【市長】例えば、慈恵病院に(内密出産の)連絡があった場合には、慈恵病院とのホットラインを通じて、本市にも情報提供があり、駆けつけることは可能かと思います。ただ、第一義的には、母子の命を守ることができる状況にするための医療機関の対応が、最も優先されると思いますが、受入れが行われるあるいは行われようとする段階で、行政が情報に基づいて駆けつけることは、今までの事例からも可能だと思います。(受け入れ後)出産するまでに数日はかかるかと思いますので、その数日の期間で、何とか行政としてのサポートを入れることができれば、それはまた、出産される情勢やお子さんの最善の為に可能性を広げることになるのではないかと思っております。

【記者】今後、国に対して、法整備も含め、法的な機関の設置等をはじめとした具体的な要望活動を続けていかれるのでしょうか。

【市長】まずは、今回ガイドラインが発出されたことについて、本市の中で、一度きちんと評価や分析を行い、そして現在の状況に照らし合わせてみて、さらに必要なことは何か、あるいはこういった点の体制の整備をして欲しい、または、法制度の部分に関してもこういった点を担保して欲しい等、きちんと整理してお伝えし、また次の段階という形で、例えば今までのように政令指定都市市長会や厚生労働省や関係機関、関係省庁に対して私から要望するということは、これからも続けていくことになろうかと思っております。
まずは、今回ガイドラインがまだ発出されたばかりで、まだ本市にも正式には届いておりませんので、こちらに届いてから今後の対応は考えていきたいと思います。

【記者】ガイドラインについて2点伺います。1点目は、発出されたガイドラインを慈恵病院以外の熊本市内の医療機関にどのような方法で周知されるのか。2点目は、ガイドラインの中では、母親や子どもの命に危険が生じたときに、受け入れ医療機関と高次医療機関を繋ぐといった旨の記述がありましたが、その点について、市としてどのようにサポートしていくのかを教えてください。

【市長】ガイドラインが示されたということは、例えば、熊本県医師会や熊本市医師会などを経由して、それぞれの医療機関に適切に情報共有しながら、これから検討していく必要があると思います。特に産婦人科のある病院や、そことネットワークのある所とは、行政としてしっかり連携をとっていく必要があると思います。今後は、いろいろな医療機関でも(内密出産の事案が発生する)可能性があるわけです。慈恵病院であれば、いくつかの事例があって、一定のパターンが確立されたと思うのですが、他の医療機関においては、「自分の病院で事案が発生したらどう対応しようか」等、いろいろなケースが考えられます。そういったことも、これから医師会や関係機関と協同で検討していきたいと考えています。
また、高次医療機関に関しては、例えば、本当に生まれる間近で新幹線で移動してくるというような事例、いわゆる「飛び込み出産」や「駆け込み出産」というような非常にリスクが高いケースが今後考えられます。また、これまでも、熊本市内・県内の産婦人科のある医療機関と周産期の母子医療を提供している熊本市民病院や熊本大学病院では、密に連携してきました。今回ガイドラインが示されたことにより、今まで(内密出産の事例では)リスクの高い出産はないわけですが、仮にそういった高リスクの事例が発生することを想定し、熊本市が自治体病院として持つ熊本市民病院等といった高次医療機関との連携をさらに強化していくことを具体的に検討していく必要があろうかと思います。

【記者】ガイドラインの発出によって国の方針は一定程度示されましたが、熊本市が今年の2月から進めている慈恵病院との情報共有は引き続き行っていく予定ですか。

【市長】情報共有は、しっかりとやっていく必要があると思います。特に、慈恵病院もこれまでの事例から、全国的にも名が知れていて、まだ体制が全国的に整っていない、受皿がないような状況の中、今も望まない妊娠で悩む女性の方たちが慈恵病院を尋ねてくる件数はかなり多いのではないかと思いますので、そこの連携については、より確かなものにしながら情報共有もしっかり行っていきたいと思っています。
一方で、他の医療機関でも、そういったケースが生じたり、あるいはそのようなケースのご相談があったりというようなことがあれば、本市としましても、適宜対応してまいりたいと思っています。熊本市では、行政と慈恵病院をはじめとする医療機関とのしっかりとしたネットワークの構築、あるいは、国のガイドラインが示されたことにより、現場で自治体や医療機関がどのように対応するかということをいろいろと想定しておくことは、非常に重要だと思っております。そういったことについては、今後、医師会や関係機関ともご相談しながら、ある程度確立したものにしていく必要があると現時点では考えております。

【記者】先ほどお話にありました、ガイドライン策定に伴う意見照会について伺います。意見照会の際に、熊本市の意見を伝えられたということでしたが、先ほどお話しされたこと以外に伝えられたことがあったかどうかと、ガイドライン策定の過程において、熊本市の意見を伝えられる機会は複数回あったのかどうかを教えてください。
また、市長が直接国に要望に行かれた際にも「現場の声を反映して欲しい」ということで、これまでもずっと言われてこられましたが、ガイドラインの策定において、現場の声を反映するための議論が尽くされ、また、その期間は十分であったかを教えてください。

【市長】熊本市としては、本市と慈恵病院のそれぞれの意見も含めて国にお伝えさせていただきました。そして、意見照会の際にも、きちんと文書も含めていろいろな形でやりとりをさせていただいたということで伺っています。これは現場の担当部署でやっておりますので、担当から直接お話をさせていただきたいと思います。

【事務局】意見照会につきましては、熊本市の関係機関等に対し、国から素案という形のものが送られてきました。その際、熊本市では、それまでの事例を通して課題を把握しておりましたので、その中で気づいた点をお伝えしております。
例えば、ガイドラインの中では「出産の実施の判断は、母親の意向を踏まえて、最終的には医療機関の判断に委ねられる」という記載がございました。実施判断の記録化を具体的にどうするのかという点をお尋ねしたところ、追記という形で「行政機関が確認・検証するような観点から診療録の中に記載する」ということをお示しいただきました。その後も、事例を通しての情報共有は、常時、国と行っている状況です。

【記者】市長としては、今事務局から説明のあったようなやり取りを通して、現場の声を聞く機会は十分だったと感じておられますか。

【市長】当然、国とのやりとりの中で、私も何度も厚生労働省へお邪魔しましたし、大臣や事務次官など様々な方と直接お話をさせていただき、かなり我々の声を聞いていただいていると思っております。ただ、その期間や機会が十分かと言えば、やはり(初の内密出産の)事例が昨年12月に発生してから、できるだけ急いで対応しようということでありましたので、逆に言えば、このガイドラインが発出されたことによって、これから進めることができると捉えており、ある意味スタートと申し上げたのはそういうことでございます。これまでのやりとりでも、今、担当からお伝えしたように、かなり細かい点まで気づいたことをお伝えして、そして、ガイドラインの一部に修正がなされる、あるいは素案の修正に関して、意見照会もあったということですので、そういう意味では、厚生労働省も現場の声に大変耳を傾けていただいているのではないかと思います。
もちろん、医療機関である慈恵病院の受け止めは、また違うのかもしれませんが、ただ、本市としましては、いろいろな声をしっかりと率直に国に聞いていただくことが非常に重要だと思いますので、その点に関しては、慈恵病院のご意見も熊本市からの意見も率直にお伝えをしているということで、そのコミュニケーションは十分にとれていると思います。

【記者】旧統一教会の関連団体への(名義)後援の取り消しについて、あらためて市長の認識を伺います。先日、熊本市も、関連が指摘される26団体について、今後も(名義)後援はせず、既に後援をしていたものに関しては(名義)後援の取り消しが行われていると思うのですが、その中でも、熊本に拠点のある「熊本ピュアフォーラム」という団体について、市長のご認識と、これまで後援していたことについてどのようにお考えかをお聞かせください。

【市長】熊本市の(名義)後援の中で、ピースロードに関しては、ホームページにおいて、この事業が旧統一教会、世界平和統一家庭連合と関連性があるということ、また、UPF(天宙平和連合)のプロジェクトの一環であるということが新たに判明しました。これは、報道によって様々なことが指摘され、それを受けてあらためて本市としても、そうした問題があるということであれば、市民感情も含めてですが、そういった団体に対して(名義)後援をしているということは、大変影響が大きいと考えました。したがって、公益性が高い事業や市の施策に寄与すると認められないものについては、熊本県とも情報共有しながら、取り消すという判断をするに至りました。
ピュアフォーラムについても、同様に、いろいろな教育の部分に関しても、旧統一教会との関連性が指摘されている団体であると本市も認識しておりますので、今後、旧統一協会の関連団体も含めて、課題や問題の多いところに対する(名義)後援のあり方については、審査についても幅広くやろうということで、催事等のタイトルや主催等の団体名では、関係性がなかなかわからないということ多々がありますので、その点については、今後、より慎重に対応するようにということで私から指示をさせていただいたところです。

【記者】今お答えいただいた中にあった、「問題が多い」というのは、熊本市として何かを認定されているということではなく、報道や一部の国会議員からの指摘によるものということでしょうか。

【市長】現時点で、本市として(当該団体は)問題が多いと思っていますが、例えば、報道やいろいろな指摘によって、我々も改めて気づかされたということです。ただ、そういう認識で本当に良いのかということは、当然今後あると思います。したがって、先日、議会の場でも答弁させていただきましたが、個別の団体を認定してということではなく、やはり全体を通して、社会的に問題のあるようなことが指摘されている、あるいは疑われているような団体については、極力(名義)後援をはじめとして、関わりを持たないといったことを明確にするということが、行政の態度として必要であろうと思っています。

【記者】ガイドラインに関連して、特別養子縁組の手続について伺います。最終的に、家庭裁判所の審判を受ける必要があると思うのですが、その際に、親権を取り消すことへの親の同意が取れているか否かの確認が、大きなハードルになっていると認識しています。今回発出されたガイドラインには、特別養子縁組の手続を進めるようにとの記載があるのですが、この点の解釈に関して、熊本市としては、親の同意がなくても親権取消しが可能であるとのお墨付きが出たものだと捉えていらっしゃいますか。

【市長】その点に関しては、ガイドラインが公表されたことによって、これまでの事例を含め、様々な事例がこれから評価されていくと思います。事実、特別養子縁組が成立したケースもあるということを考えると、最終的な判断はやはり司法の場での判断になろうかと思いますので、その手続の中で適切に判断されていくものであると考えています。

【事務局】今、市長が申し上げたとおり司法の判断になると思います。その点については、今回発出されたガイドラインからは読み解くことはできないと考えております。

【市長】市長選に関連してお尋ねします。今回の議会でも、本庁舎の建て替え問題についてかなり議論されていましたが、次期市長選のマニフェストを策定する中で、どういった立場を反映させようと思っていらっしゃいますか。また、今回の議会では、分科会の公開を求める声も多くありましたが、選挙前に、情報を一部でも公開し、市民の判断に帰するようなお考えはありますか。

【記者】この庁舎問題というのは、これまでも繰り返し申し上げてきたとおり、様々な賛否がある中で、慎重に慎重を重ねて検討してまいりました。実際、この4年間様々な検討を加え、調査も行ってきましたので、そうした結果を踏まえてもなお賛否が分かれたということ、特に耐震性能ということについて評価が分かれましたので、そこは第三者の目から、慎重に判断いただくことが必要だということです。今回、まだそれを(第三者に)託しているような状況の中ですので、私としては、そういった状況を踏まえて、市長選挙の中でも、これまでの経過や今後の方向性については、当然、有識者会議の一定程度の結論が示されなければ示すことができませんので、その点については、今こういう状況であり、本市としてはこういった考え方を持っているということを有権者の皆さんにお示しする形になるかと思っています。
それから、情報の開示という点に関しては、これは耐震性能分科会のご判断によって、非公開という形になっています。最終的には、これまでの議論の経過や様々な資料、また、判断の結果といったものは適切に示されると思いますので、それを私が「選挙のために早く出してくれ」ということはありません。したがって、きちんと熟度を上げていただいてご報告していただき、その上で、その時の執行部が適切に判断するということになろうかと思っています。


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