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令和5年第1回定例市議会 市長提案理由説明

最終更新日:2023年2月20日
財政局 財務部 財政課TEL:096-328-2085096-328-2085 FAX:096-324-1713 メール zaisei@city.kumamoto.lg.jp 担当課の地図を見る

 提案理由の説明に先立ちまして、一点お詫びを申し上げます。


 先日の議員全員会議でも御報告しましたが、飲酒運転で免許取消処分となった後も運転を行い、二月九日に無免許運転で逮捕された消防局職員を、二月十七日付で懲戒免職処分といたしました。


 不祥事の根絶に向け全庁を挙げて取り組んでいる中、そして、市民の生命を守る立場の消防局職員が、このような不祥事を起こしましたことを大変重く受け止めており、議員各位をはじめ市民の皆様に対しまして、深くお詫び申し上げます。


 改めまして、職員の法令遵守はもとより、常に全体の奉仕者として、強い自覚と緊張感を持って職務に専念するよう、綱紀粛正の徹底を指示したところであり、全職員の意識改革を図り、市民の皆様からの信頼回復に向け職員一丸となって取り組んでまいります。


 次に三点御報告申し上げます。


 まず、昨日十九日に開催いたしました「熊本城マラソン二〇二三」について御報告いたします。


 三年ぶりの開催となった今回の熊本城マラソンは、国内外から約一万二千人のランナーの皆様に御参加をいただきました。


 今回は十回目の記念大会ということで、十年分の感謝の思いを込めて、安全安心で魅力ある大会となるよう準備を進めてまいりました。


 雨の影響を心配しておりましたが、運営に従事されたボランティアなどの関係者の皆様をはじめ、沿道から応援いただいた市民の皆様方のおかげをもちまして、大きなトラブルもなく、無事に終えることができました。


 ここに改めまして、開催にあたり、御尽力いただきました関係者の皆様、並びに沿道で温かい応援をいただきました市民の皆様に対しまして、心から厚く御礼を申し上げます。


 次に、二点目の海外訪問について御報告いたします。


 去る一月十一日から十四日にかけて、TSMCの熊本進出に伴う台湾経済界とのビジネス交流の拡大や、友好交流都市である高雄市との親交を深めることを目的に、原議長をはじめ、熊本県や経済団体とともに台湾を訪問いたしました。


 TSMC本社では、YH(ワイエイチ)・リャオ副社長らと面談の機会をいただき、私からは、半導体の製造過程において多くの水が使用されることから、改めて地下水保全への御協力をお願いしたところです。


 また、熊本進出に関心をお持ちの半導体関連企業を訪問し、トップセールスを行うとともに、事業用地や生活環境等に関するニーズについて確認いたしました。


 今回の訪問を契機として、熊本県や近隣自治体とも緊密に連携し、都市圏全体でTSMCの熊本進出に向けた環境整備にスピード感をもって取り組んでまいります。


 その他、蒲島知事とともにチャイナエアライン本社を訪問し、熊本―台北線の新規就航や一日も早い熊本―高雄線の再開を要望いたしました。


 また、高雄市の訪問では、友好交流都市締結五周年を祝う記念行事及びレセプションに出席し、マラソン友好交流覚書の更新を行うなど、両市のさらなる親交を深めたところです。


 加えて、LRTにも乗車し、架線レスによる景観等への配慮や利用者の輸送力、乗降の利便性などについて視察してまいりました。


 今後も、技術的な交流を行いながら、公共交通の利用促進を図り、本市の懸案であります交通渋滞の解消に向け取り組んでまいります。


 次に、三点目の新型コロナウイルス感染症について御報告いたします。


 現在の感染状況については、全国的に第八波のピークを過ぎ、新規感染者数は減少傾向となっております。


 また、本市における直近の最大確保病床使用率についても、二十%を下回るなど、医療現場への影響は緩和されつつありますが、依然として完全な収束が見通せない状況が続いております。


 このような中、去る一月二十七日に、国において、五月八日から感染症法上の位置づけを季節性インフルエンザなどと同じ「五類感染症」に移行することが正式に決定されました。


 これを受け、二月十七日に、私が指定都市市長会を代表し、伊佐厚生労働副大臣に対しまして、感染症法上の位置づけ変更に係る制度見直しについて十分な調整・移行期間を設けることや、保健医療提供体制の再構築のために不可欠となる国の補助金を交付いただくなど、確実な財政支援の継続と拡充等に関して要請を行ったところでございます。


 本市としましては、引き続き、県や医療機関等と十分に連携し、市民の皆様の生命と健康、安心な暮らしを守るため全力で取り組んでまいりますので、議員各位におかれましては、引き続き御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。


 それでは、改めまして、令和五年度当初予算編成にあたっての考え方について、御説明いたします。


 先程申し上げましたとおり、新型コロナウイルス感染症の新規感染者数は減少傾向にありますが、収束を見通せる状況にはないことから、来るべき新年度も、引き続き新型コロナウイルス感染症対策を最優先の課題と位置づけ、感染拡大防止をはじめ、市民生活や地域経済への支援などに着実に取り組んでまいります。


 また、新年度は第七次総合計画の総仕上げの一年となります。


 本市が目指す「上質な生活都市」の実現に向け、熊本地震からの復旧復興やまちづくりの重点的取組に加え、国が推進することとしている「デジタル変革(DX)への対応」や「グリーン化(GX)の推進」などに呼応した取組も積極的に展開していく必要があると考えております。


 そこで、令和五年度当初予算の編成につきましては、個人市民税や固定資産税など増収が見込まれる市税や国・県の補助金等を活用するとともに、事務事業の徹底した見直しや事業の優先度に応じた選択と集中などにより、必要な人員と財源を確保し、国の経済対策を含む令和四年度二月補正予算と一体的に編成しました。


 それでは、「熊本の未来へつなぐ」をテーマに編成した令和五年度当初予算について、「コロナ・災害からの脱却」、「徹底的な市民本位の生活の追求・DXの推進」、「上質な生活都市くまもとを支える都市基盤整備」の三つの柱に沿って御説明いたします。


 まず一つ目の柱である「コロナ・災害からの脱却」については、「熊本地震の教訓を生かした次の災害に備える防災力の強化」、「感染拡大防止と社会経済活動の両立」の二つを大きな方針として取り組んでまいります。


 まず、「熊本地震の教訓を生かした次の災害に備える防災力の強化」については、3Dシステムを活用した適切な避難行動の促進や、浸水した際に想定される水の深さを示す標識の設置のほか、緊急告知ラジオや防災行政無線等の整備など、緊急情報を確実に届けるための取組を進めてまいります。


 また、“熊本地震の日”にあわせた体験型防災イベント等の実施により、本年四月で発生から七年を迎える熊本地震の記憶や教訓の伝承に取り組み、風化防止に努めてまいります。


 次に、「感染拡大防止と社会経済活動の両立」については、検査体制の確保や医療費の公費負担、医療支援チームの派遣など、感染症患者への支援に万全を期すとともに、オゾン滅菌庫等を導入することにより、救急活動における感染防止対策の強化を図ってまいります。


 また、空き店舗への新規出店等に対する支援や一部の制度融資において信用保証料ゼロを実施するなど、引き続き事業者支援についても取り組んでまいります。


 この「感染拡大防止と社会経済活動の両立」につきましては、感染状況や新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけを注視しながら、必要に応じた施策を迅速に講じてまいりたいと考えております。


 次に、二つ目の柱である「徹底的な市民本位の生活の追求・DXの推進」については、「こどもを核としたまちづくり」、「教育環境充実のための人員確保・環境整備」、「DXの推進による利便性の向上」などの八つを大きな方針として取り組んでまいります。


 まず、「こどもを核としたまちづくり」のうち“出生数の減少・少子化への対応”については、こども医療費助成制度における対象年齢の高校三年生相当までの拡充及びすべての対象年齢における調剤負担の廃止のほか、妊娠届出時の面談後及び出産されたあとの面談後に五万円ずつ、合計十万円を支給する“ようこそ赤ちゃんギフト”の実施など、子育て世帯の経済的負担の軽減に取り組んでまいります。


 また、フッ化物塗布によるむし歯の予防などの子育て環境の整備に取り組み、「こども局」の創設に合わせ、結婚、妊娠、出産、子育てといった、それぞれの場面において切れ目ない一体的な支援を行ってまいります。


 また、「こどもを核としたまちづくり」のうち“こどもの最善の利益の実現”については、(仮称)妊娠相談センターを新設し、妊娠・出産に関する相談体制を強化するとともに、こどもの権利擁護“アドボカシー“の普及啓発や母子生活支援施設におけるレスパイトケア体制の強化のほか、ヤングケアラーや要保護児童たちのためのこどもの居場所づくりの推進など、困難な状況にあるこどもの支援を強化し、すべてのこどもの健やかな成長を支える取組を進めてまいります。


 次に、「教育環境充実のための人員確保・環境整備」については、大学と連携した新たな教員の人材確保に取り組むほか、教員の負担軽減及び指導体制の充実を図るための部活動指導員や担任補助を担う学級支援員の増員、小中学校図書館における蔵書の充実など、教育環境の整備に取り組んでまいります。


 次に、「多様な価値観を満足させることができる社会の実現」については、バス停の待合環境整備によるバリアフリー化の推進や高齢者・障がい者の移動支援に取り組むとともに、犯罪被害者等支援のための条例制定に向けた取組や民間活力を活用した健康づくりプログラムの実施など、多様な価値観を満足させることができるまちづくりを推進してまいります。


 次に、「熊本発の事業創出への支援や移住促進による地域経済の活性化」については、世界展開を目指すスタートアップの成長の加速化や若手起業家の発掘・育成の支援、そしてスタートアップの成長段階に応じた伴走的な支援に取り組むとともに、東京二十三区等からの移住者に対する支援金の支給拡充など、移住者の増加に向けた取組を推進し、地域経済の活性化に繋げてまいります。


 次に、「安全で良質な農水産物の魅力発信や販路拡大への取組」については、TSMCの熊本進出を契機とした台湾向けの新規販路開拓や、くまもと輸出促進ネットワークの設置による農水産物の輸出促進に向けた体制整備のほか、鳥獣被害対策の強化やアサリ・ハマグリ等の水産資源の維持・回復に取り組み、生産者の所得向上を推進してまいります。


 次に、「歴史・文化の継承と発展」、「戦略的な観光誘客」については、文化芸術基本計画の策定や(仮称)文化顧問の設置のほか、ジェーンズ邸をはじめとする記念館の全施設再開を契機とした魅力発信により、文化をいかしたまちづくりを進めるとともに、知名度の向上や来館者の増加に繋げてまいります。


 また、マスターズ水泳などの国際スポーツ大会に加え、火の国まつりや熊本城マラソンを開催するほか、観光マーケティング戦略を策定し、ポストコロナを見据えた戦略的な観光誘客を強化し、訪れてみたいまちづくりを進めてまいります。


 次に、「脱炭素社会の実現」、「くまもとの地下水や生物多様性の保全」については、熊本連携中枢都市圏における脱炭素に向けた取組を推進するとともに、公共建築物のZEB化に向けた方針の策定や、(仮称)環境影響評価条例の制定に向けた調査・検討を進めるなど、環境に配慮したまちづくりを推進してまいります。


 次に、「DXの推進による利便性の向上」については、DX推進に取り組む市内の中小企業者等に対する伴走型支援に取り組むほか、各種申請手続きの電子化やキャッシュレス化の推進、RPAを活用した届出ナビシステムの運用など、様々な分野におけるDXを推進し、市民サービスの向上、効率化に取り組んでまいります。


 続きまして、三つ目の柱である「上質な生活都市くまもとを支える都市基盤整備」については、「だれもが移動しやすく暮らしやすい都市づくり」、「花と緑あふれるまちづくり“森の都くまもと”の復活・定着」、「TSMC進出を好機としたまちづくりの推進、交通対策・地下水対策等への対応」の三つを大きな方針として取り組んでまいります。


 まず、「だれもが移動しやすく暮らしやすい都市づくり」については、公共交通と自動車交通の最適な組み合わせ“ベストミックス”の構築、バス・電車無料の日の実施やパーク&ライドの推進のほか、快適な自転車の利用環境整備やグリーンスローモビリティの実装に向けた検証など、慢性的な交通渋滞の解消に向け、公共交通や自転車の利用促進に取り組んでまいります。


 次に、「花と緑あふれるまちづくり“森の都くまもと”の復活・定着」については、“緑の基本計画”アクションプログラムにおける策定エリアの拡充及び事業展開に取り組むほか、“くまもと花博二〇二三秋”の開催や計画的な樹木剪定・重点路線等における除草回数の拡充など、「森の都推進部」の創設に合わせ、安全で快適な花と緑のまちづくりを強力に推進してまいります。


 次に、「TSMC進出を好機としたまちづくりの推進、交通対策・地下水対策等への対応」については、半導体関連企業の誘致強化や半導体産業進出を見据えた就職促進策の強化に取り組むとともに、新たな道路ネットワークである“十分・二十分構想”の推進や交通量推計等に基づく要対策箇所への渋滞対策のほか、外国人児童生徒の教育環境整備や地下水かん養対策の強化など、都市課題に対し的確に対応してまいります。


 最後に、合併三町における新市基本計画につきましては、令和五年度におきましても、道路や農業基盤、上下水道などの都市基盤の整備に加え、義務教育施設の整備などに総額約八十三億円の事業費を計上しており、各事業を着実に進めてまいります。


 令和五年度当初予算に関する説明は以上でありますが、予算の規模としましては、一般会計では三千八百十五億円、特別会計では二千三百二十二億二千七百万円、企業会計では八百三十四億五千六百万円となり、全会計の総計は六千九百七十一億八千三百万円となりました。


 これを前年度当初予算と比較いたしますと、一般会計は〇・六%の増、特別会計は二・六%の増、企業会計は三・二%の減となり、総計では〇・八%の増となりました。


 続きまして、令和四年度の補正予算について御説明いたします。


 今回の補正予算は、昨年十二月二日に可決成立しました国の第二次補正予算に連動し対応する分として、総額約五十億円を計上しております。


 まず、「円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化」については、農業者が行う高性能な機械・施設の導入等に対する支援経費などでございます。


 次に、「防災・減災、国土強靭化の推進等」については、福祉施設等における感染防止対策に要する経費のほか、主要幹線道路等の整備や義務教育施設の長寿命化対策に要する経費などでございます。


 このほか、国庫補助内示額の減や入札残などに伴う減額等に加え、決算見込みに伴う過不足調整等でございます。


 続きまして、予算以外の議案でありますが、主なものといたしまして、「特定の事務を取り扱う郵便局の指定」について御説明いたします。


 これは、マイナンバーカードに搭載される電子証明書の発行申請等について、市民の皆様の利便性の向上を図るため、法律に基づき、当該申請に係る受付等の事務を取り扱わせる郵便局を指定するものであります。


 その他の議案につきましては、末尾に簡単な理由を付しておきましたので、説明を省かせていただきます。


 最後に、本庁舎整備と市電延伸について御報告いたします。


 先ほども申し上げましたが、五月八日から、感染症法上の位置付けを季節性インフルエンザなどと同じ「五類感染症」に移行することが正式に決定されたことに伴い、新型コロナウイルス感染症対策は、大きな節目を迎えるものと実感しております。


 そこで、これまで議会において議論の中断をお願いしておりました本庁舎整備と市電延伸につきましては、新年度の適切な時期に議論の再開をさせていただきたいと考えております。


 つきましては、この二つの事業について、執行部として再開に向けた具体的な検討に入らせていただきますので、議員各位におかれましては、御理解と御協力を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。


 なお、本庁舎整備を行う場合の財源として活用を検討している合併推進債については、活用可能な期限が迫りつつあることから、あらゆる可能性を考慮し、民間活力の活用等を含めた新たな財政負担の軽減策についても幅広く検討したいと考えております。


 以上で説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議の上、御賛同いただきますようお願い申し上げます。

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