報道資料
発掘調査を実施した「黒橋貝塚」で縄文時代の埋葬人骨や遺物(土器・石器、獣骨・魚骨)を発見しましたので、下記のとおり調査の成果を説明します。
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1.発掘調査の概要
(1)調査種類 埋蔵文化財の確認調査
(2)遺 跡 名 黒橋貝塚(くろばしかいづか)
(3)所 在 地 熊本市南区城南町下宮地
(4)調査期間 令和6年(2024年)4月22日~同年5月2日(8日間)
(5)調査面積 約8平方メートル
(6)調査主体 文化市民局 文化創造部 文化財課
[黒橋貝塚とは]
昭和47年の浜戸川の洪水で発見された貝塚で、対岸の阿高貝塚と共に西日本最大級の貝塚として国の史跡に指定されています。平成元年の
河川改修に伴う発掘調査では、縄文時代中期から後期の土器・石器に加え、食料であった膨大な量の貝と共にイノシシ・シカを中心とした
獣骨や魚骨、ドングリなどの堅果類が出土し、全国的に注目されました。
[今回の調査成果]
民間開発に先立ち、国指定史跡地の隣接地にて埋蔵文化財の確認調査を実施しました。調査の結果、貝層は確認できませんでしたが、貝塚と
同時期の遺物(縄文土器・石器)や食物残滓(イノシシ・シカ・タイ・スズキ・エイの骨、ドングリなど)が大量に出土し、縄文時代人の
「ごみ捨て場」(再生を祈る信仰の場)の一角であることがわかりました。
また、縄文時代の人骨を発見しました。膝を強く曲げた屈葬の状態で埋葬されていました。壮年の女性と思われます。縄文時代の人骨の発見は、
とても貴重であり、当時の人々の形質、ひいては縄文人のルーツを探る上で、重要な資料となります。
〔今回調査の注目点〕
・縄文時代中期中頃(約5000年前)~後期中頃(約4000年前)の遺物が大量に出土
・通常の遺跡では残りにくい、有機質の食物残滓(獣骨・魚骨・堅果類)が出土
・縄文時代後期の埋葬人骨を発見:当時の墓地(信仰の場)としての土地利用が判明
∴今回の発見は、縄文時代の人々の生活や自然環境を復元するうえで、きわめて重要な成果であると考えます。
- 報道資料 (PDF:645.2キロバイト)