熊本市ホームページトップへ

令和6年(2024年)7月12日 定例市長記者会見

最終更新日:2024年7月12日
政策局 秘書部 広報課TEL:096-328-2043096-328-2043 FAX:096-324-1713 メール kouhou@city.kumamoto.lg.jp 担当課の地図を見る
                            1 市電におけるインシデントの発生について

                            2 報告
                             ・福井市との姉妹都市提携30周年記念について
                             ・都市計画道路花園上熊本線外2線の開通の効果について
                             
                            3 お知らせ
                             ・インターチェンジの名称決定について
                             ・自動運転バスの実証実験について
                             ・くまもとアプリ 1万DL記念キャンペーン 令和6年度抽選会の実施について 
                             ・熊本都市圏の渋滞解消に向けた県市トップ会談について

                            4 質問
                            (1)幹事社代表質問(時事・NHK)
                            (2)各社質問

                        • PDF 会見で使用したモニター画像 新しいウィンドウで(PDF:2.51メガバイト)

会見録


市長発表

まずはじめに、熊本市電のインシデントについてでございます。
去る6月21日、ビアガー電試走中の市電におきまして、ドアが開いた状態で走行する事案が発生し、また、7月1日には、信号冒進事案が発生いたしました。
これまでインシデントが続いている中で、全乗務員への個別面談や緊急研修など、再発防止の対策に局を挙げて取り組んでいた矢先に、再び重大事故につながりかねない事案が立て続けに2件発生したことは、非常に危機的な状況であると大変重く受け止めております。
市電をご利用いただいている皆様をはじめ、市民の皆様に対しまして、改めて深くお詫び申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。
この事態を受けまして、交通事業管理者が、交通局全職員に対して、直接、緊急職場指導を行い、その中で、組織内の安全に関する意識が危機的状況であることを伝えるとともに、安全に関して強く意識し、緊張感をもって業務に臨むよう指導いたしました。
外部検証委員会におきましては、7月下旬に開催予定の次回の会議において中間報告をいただく予定でございますが、この中間報告を待つことなく、監督職員による添乗指導の強化等、今できることには速やかに取り組み、市民の皆様が安心して市電をご利用いただけるよう努めてまいります。

次に、福井市との姉妹都市提携30周年記念についてご報告いたします。モニターをご覧ください。本市と福井市の姉妹都市提携30周年を記念して、7月21日に福井市において開催されます「熊本市・福井市姉妹都市提携30周年記念式典」へ参加をしてまいります。本市と福井市は、清らかな水や豊かな緑などの自然に恵まれている点や、古くより城下町として栄えてきたことなど、多くの共通点を有しております。
また、肥後熊本藩第10代藩主・細川斉護公の三女であられます勇姫が越前福井藩主・松平春嶽公に嫁がれたことや、その春嶽公のもと、熊本の思想家:横井小楠が、福井藩に招かれて藩政改革にあたるなど、歴史的にも深く結ばれております。このような縁を礎としまして、平成6年11月16日に姉妹都市としての盟約を結び、本年で30周年を迎えます。
姉妹都市締結後は、小学生同士の交流や、「ふくい桜まつり」「くまもと火の国まつり」における相互交流、教育や観光、文化など、さまざまな分野で交流活動を行っておりまして、行政のみならず、市議会や民間の皆さまにおいても交流が続いているところです。
また、福井市とは、災害における相互応援協定を締結しておりまして、熊本地震の際には、震災復興支援のために職員を派遣いただくなど、災害時における支援体制も整えております。7月21日の式典では、姉妹都市盟約書の再調印式や、「熊本市・福井市小学生交流事業」において8月に熊本へ来られる小学生との意見交換が予定されております。今回の記念式典をきっかけとして、両市の交流がさらに深まり、次世代に受け継がれていくことを期待しますとともに、引き続き、様々な交流を行い、福井市との絆をより一層深めてまいりたいと考えております。

次に、「都市計画道路 花園上熊本線ほか2線」の開通効果についてご報告いたします。モニターをご覧ください。「都市計画道路 花園上熊本線ほか2線」につきましては、令和6年4月19日に開通いたしました、西区の上熊本から島崎トンネルまでを南北に結ぶ約2.1kmの都市計画道路でございます。この道路の整備効果を把握するため、開通後の令和6年6月4日に交通量調査を実施したところ、新たな道路ネットワークの形成により、ドライバーの移動経路の選択肢が増え、上熊本駅周辺の交通の流れが大きく変わったことが分かりました。こちらのモニターをご覧ください。
これは、「県道 熊本田原坂線」の一部である上熊本駅前の県道の状況です。
開通前は、ご覧いただきますと分かるように、朝の通勤ラッシュ時に市中心部方面に向けて渋滞が発生していました。開通後、ご覧の通り、この渋滞は大きく緩和されているところでございます。次のモニターをご覧ください。
今回開通した区間では、12時間あたりで約8,000台の交通量が確認され、また、開通前に交通が集中していた「県道 熊本田原坂線」では、約5,000台の交通量の減少が確認されました。その結果として、上熊本駅前の県道においては、開通前に発生していた渋滞長約850mが、約50mとなりまして、800mも減少をしたということでございまして、大幅に渋滞が緩和したと言えると思います。また、私が現地を視察した際にも、「道路ができて便利になった」という声を直接いただくなど、本路線の整備効果を体感いたしました。
一方で、池田町花園線においては、地域住民の皆様から、「信号がない横断歩道を渡るのは、危険と感じる」というご意見もいただいていたことから、去る5月23日、押しボタン式信号設置について、交通管理者である熊本県警に対し、私から要望書を提出させていただきました。本市では、引き続き、道路の安全と利便性の確保に向け、関係機関と協議しながら取り組んでまいります。

次に、「熊本西環状道路 池上工区」のインターチェンジの名称決定についてお知らせします。
「熊本西環状道路 池上工区」は、熊本駅や西廻りバイパスにつながる自動車専用道路で、令和7年度の供用開始に向けて、現在、西区池上町に新しいインターチェンジを整備しているところです。このインターチェンジについては、多くの皆様に親しみをもってご利用いただけるよう、昨年8月1日から9月30日までアンケート調査を行い、幅広いご意見をいただきました。
そして、このたび、皆様からのご意見を踏まえ、インターチェンジの名称をこちらに決定いたしました。モニターをご覧ください。「池上熊本駅インターチェンジ」と決定させていただきました。
この名称ですが、所在地を示す「池上」と、周辺の代表的な施設であり、陸の玄関口である「熊本駅」を組み合わせたもので、市民の皆様はもとより、市外の利用者の皆さまにとっても分かりやすいという理由から決定させていただきました。「池上熊本駅インターチェンジ」を含む「熊本西環状道路 池上工区」の開通は、都市内の交通混雑の緩和、定時制・速達性の確保、さらには、災害発生時におけるダブルネットワークの形成につながるものと期待しております。
令和7年度の開通に向けて、引き続き、着実に整備を進めてまいりたいと考えております。

次に、自動運転バスの実証実験についてお知らせいたします。
自動運転は、人手不足など地域公共交通が直面する課題に対応する手段の一つとして期待されており、本市におきましても、これまで、自動運転の導入に向けた検討を進めてまいりました。そして、このたび、国土交通省の「自動運転社会実装推進事業」に本市の事業が採択されました。このことから、市内中心部における「自動運転バスの実証実験」の実施に向け、本事業に係る経費を次の定例会で補正予算として上程することといたしました。こちらのモニターをご覧ください。
今回の実証実験ですが、来年の1月中旬から3月末にかけて実施するもので、市民の皆様に自動運転バスに乗車体験いただきますとともに、観光客の方々にもご利用いただけるように、熊本城を周回するルートを走行いたします。現在、熊本城周辺では、しろめぐりん等の観光バスを運行しておりますが、今回の実証実験においても、しろめぐりんとほぼ同サイズの車両を使って、1日6便の運行を予定しています。
ここで、自動運転をより具体的にイメージしていただくため、石川県小松市で運行しています自動運転バスの動画をご覧いただきたいと思います。こちらをご覧ください。
(動画再生36秒)
このバスは、本市が導入する予定の車両と同じタイプのもので、ご覧いただきましたとおり、車内には、監視モニターが設置されており、乗車される方も、周辺の状況が分かるようになっています。小松市では、小松駅と小松空港を結ぶ区間を、最高時速35kmで運行しており、交差点での右折・左折も、ハンドルから手を放して、自動で運行しています。
私も先日、実際に乗車してまいりましたけれども、非常にスムーズに運行されており、普通のバスと何ら遜色はない状況でありました。また、安全面についても、常時、センサーやカメラ等で周辺状況を監視しており、緊急時には同乗しておりますオペレーターが対処いたしますので、安心してご乗車いただきたいと思います。
本市においては、この実証実験を通して、周辺への影響などの確認を行いますとともに、自動
運転の実装に向けた機運醸成も図ってまいりたいと考えております。
期間中は無料で運行いたしますので、この機会にぜひご利用いただきたいと思います。 

次に、「くまもとアプリ」1万ダウンロード記念キャンペーン及び令和6年度抽選会の実施についてお知らせします。ボランティア活動やイベントへの参加でポイントがたまる「くまもとアプリ」ですが、本年3月末のリリースから現在までに9,789人の方にご利用いただいております。そして、この度、アプリのダウンロード数が1万を超える見込みとなりましたことから、これを記念して7月20日から8月31日まで、「1万ダウンロード記念キャンペーン」を実施いたします。こちらのモニターをご覧ください。
このキャンペーンでは、新規でアプリをダウンロードしていただいた方に対し、初回ダウンロード分の200ポイントに加えて、特典として、さらに200ポイントをプレゼントいたします。
そして、本市が提供する「プレミアムな体験」が当たる抽選会を10月に開催いたします。この抽選会は、300ポイント以上ためた方が対象で、約100名の皆様に素敵な景品が当たります。次のモニターをご覧ください。
今回の景品には、例えば、中央消防署において地上40mまで到達するはしご車に搭乗できる「消防プレミアム体験」、高所恐怖症の人は乗りたくないと思われるかもしれませんが、この「消防プレミアム体験」や、来年2月に開催されます熊本城マラソン2025の「歴史めぐりフルマラソン」ペア出走権など、多数のメニューを用意しております。そのほかの詳細については、熊本市のホームページや市政だより8月号をご覧ください。今後、続々といろいろな景品を皆さまにはご提示させていただきたいと思いますので、ご期待いただきたいと思います。
抽選会の応募期間ですけれども、9月1日から15日までとなっておりますので、この夏はぜひ、くまもとアプリを利用して、ボランティア活動等にご参加いただきまして、ポイントを貯めて抽選会にご応募いただきたいと思います。
また、8月1日から、くまもとアプリ内で、来年のNHK連続テレビ小説「ばけばけ」のモデルとなる小泉セツと夫の小泉八雲が暮らした旧居など、市内の記念館を巡りながら謎解きゲームに挑戦できる「熊本謎旅」スタンプラリーをスタートいたします。今後、熊本市ホームページでお知らせいたしますので、こちらも楽しみにお待ちいただきたいと思います。
本市では「くまもとアプリ」をより多くの皆様にご利用いただけるよう、引き続き周知・広報に取り組んでまいります。

最後に、熊本都市圏の渋滞解消に向けた県市トップ会談についてお知らせいたします。
本日午前中に開催されました、熊本県知事の記者会見で発表されましたとおり、熊本都市圏の渋滞解消に向け、木村知事と私によるトップ会談を実施いたします。モニターをご覧ください。これは県の発表資料でございます。
熊本都市圏の渋滞解消に向けて、熊本市と県知事とのトップ会談を実施するというものであります。熊本都市圏の渋滞問題というのは、これまでも、県や近隣自治体と緊密に連携して取り組んでまいりましたが、去る6月5日に熊本県において設置されました「渋滞解消推進本部」において木村知事より、さらなる連携強化を目的とした「県市トップ会談」のご提案がありました。
本市といたしましても、交通渋滞への対応については、極めて重要な課題と捉えて、これまでも取組を進めてまいりましたが、より県市間の連携が不可欠と考えておりまして、この「トップ会談」を契機として、県市間の連携をさらに深め、熊本都市圏の渋滞解消に向けた取組を一層進めてまいりたいと考えております。
私からは以上です。

質疑応答

【記者】木村知事とのトップ会談についてお伺いします。県・市の連携を図ることが、渋滞解消につながるということで、具体的にどういったことを木村知事と話し合いたいのかお聞かせください。

【市長】熊本市とのトップ会談をやろう、と知事が前回の渋滞解消推進本部の会議でおっしゃられていたということですが、まず、県市トップの渋滞に対する課題認識をしっかり共通させるということと、できるだけスピーディーにいろいろな対策が打てるように、県市で強く連携をするため、県市のトップ同士の強い連携と方向性の確認が必要だと思っています。
例えば、渋滞対策であれば、先ほどいろいろとご紹介しましたように、道路整備などももちろん効果がありますが、それもなかなか時間がかかるという事があります。そこで、木村知事は、例えば信号機の制御を変えたり、交差点の改良をしたりという短期的な施策についても取り組みたいということですが、そういったハード面などに対して、どのような対応をしていくのか、また、それがスピーディーに対応できるのか。県全体としても大きな課題である渋滞対策について、昨日インタビューで答えられていましたが、大体今年中に、対策方針を出したいと、知事としても思われているようですので、スピード感を持っていろいろな対策を発表していくということを考えますと、やはりトップ同士が、膝を交えて、胸襟を開いて課題に取り組むということが極めて重要だと思います。
今までも、渋滞問題については、県市連携のいろいろな会議の中で課題として挙げられたことはありますが、ここまでじっくりこの問題に絞ってトップ会談をするということは、私も市長に就任してから初めてになります。このトップ会談は、特に多くの方が期待されていると思っていますので、より課題認識を深めるために、しっかりとした話し合いをさせていただければと思っています。

【記者】東京都知事選に関してお伺いします。先週7日に投開票が実施され、現職の小池さんが3選を果たされましたが、石丸さんが蓮舫さんを抑えて2位になられた要因、また、選挙戦中に、無関係の内容のポスターが掲示場に張られるといった事案もありましたが、そういったことを含めて、知事選に対する市長の受け止めと分析を教えてください。

【市長】東京都知事選についての受け止めの1点目は、この選挙の前から、多くの候補者の方々が立候補され、過去最多の立候補数ということでしたので、どういう選挙になるのかと、私自身も注目をしておりました。そして、SNSやYouTube等のツールがある程度自由に使えるようになって、それが有権者に届き、影響力を与えるような環境の中で、従来型の演説会や街頭演説などの活動と合わせて、どういう選挙戦が展開されるのかということについて、非常に興味を持っていました。
そうした中で、多くの皆さんがSNSや動画配信をご覧になって、投票行動に非常に大きな影響を与えたということが、私としては注目をした点です。特に、2位になられた石丸候補につきましては、もともと広島県の安芸高田市の市長でいらっしゃったわけですが、そこからの挑戦という形で、それまでも動画で話題になっておられる方ですので、どういう主張をされていくのかという事を注目しておりました。賛否両論あったとは思いますが、既成政党によらない、無所属の候補である石丸さんというこの新人の都知事候補が、これだけ得票を重ねられたということについては、やはりこの新しい時代のネット選挙、あるいは、そういった戦略が功を奏したのであろうと思います。
一方で、小池百合子都知事が3選を果たされたということで、まずは、小池知事にはお祝いを申し上げたいと思います。そして、今後、日本の中心都市である東京都を引っ張るリーダーとして、これまで以上にリーダーシップを発揮し、ご活躍いただきたいと思います。一方で、小池さんも、例えばAIゆりこや、SNSの発信など、いろいろなこともされたと思いますし、メディアへの露出も含めてかなり多かったなという印象です。やはりそのオーソドックスな選挙スタイルと、新しいものをミックスするということは、これから必須になってくるであろうということが、それぞれの候補者の動きの中からも分かりました。
また、3位の蓮舫さんについても、いろいろな活動をこれまで国政の中でもされてきたところですが、SNSなどのツールを使って、選挙戦は多くの支持者の方々が盛り上がっておられた様子を見たときに、選挙のアップデートと言いますか、今回の東京都知事選挙が従来の選挙から大きく変わる、節目の選挙だったと私自身は受け止めました。
それと同時に、これはメリットだけではなく弊害もあるなと思ったのが、立候補した枠に宣伝のようなポスターが張られてしまうということで、これは、本来の公職選挙法の趣旨から極めて逸脱したものであり、私自身は好ましくないと思って拝見しておりました。ただ、それが違法ではないということになりますと、本来の趣旨としては、候補者の名前や顔、主張などを知る重要なツールの一つとしての選挙ポスター、あるいは掲示場というものの役割が大きく変質してしまうことになりかねません。例えば、今後、熊本でも、選挙の際にたくさんのポスターを張られてしまうということになってしまった時に、法規制が全くされないということで果たして良いのか。多様な方が立候補されて、主張されるために掲示場は使われるべきであって、そういうこと以外と思わざるを得ないような状況を私も東京で目の当たりにしましたが、本当にびっくりしました。そういう状況を、法的に余地を残すのであれば、私は法規制の必要があると思いますので、公職選挙法は大きな見直しの時期にも来ているのではないかと思います。これまで選挙妨害やいろいろなことがあるということも、過去の選挙の中で、最近起こっているようなことでもあります。
公職選挙法自体は、戦後制定されて、改正も繰り返されてはいますが、時間も相当経ったものです。私も公職選挙法に関しては、大学院時代にいろいろな研究の中で勉強させていただきましたが、実際に結構疑問符を持つような運用と言わざるを得ないような状況もありますので、この辺についての見直しは、国会においてしっかりと、今回の選挙を踏まえて、ご議論頂くべきではないかと考えています。
いずれにしましても、この東京都知事選は、多くの有権者の皆さんが、現職の小池知事を選択されたという事ですので、これから都議会などにおいていろいろな皆さん方とともに、都民のためにしっかりと議論して、いい政治を進めていただければと思っています。

【記者】県・市のトップ会談に関してお伺いします。昔から熊本は渋滞がひどいと言われていますが、県のトップが16年ぶりに変わったこのタイミングで、渋滞解消に向けて改めてトップ会談を行うことに対する市長の意気込みをお聞かせください。

【市長】これまで、渋滞の問題も含めた道路交通問題、特に都市圏の交通問題に関しては、私自身が県議会議員時代からずっと中心的なテーマとして、例えば、信号の制御の話は、私が(県議会に)初登壇した約25年前には、既にそういった質問をさせていただいて考えていましたので、これは私の中でも解決すべきテーマとして、これまで取りあげてきました。
ただ、県全体で見た時に、都市圏の交通問題よりも、それ以外のいろいろな地域、例えば、熊本県内90分構想というものがあって、他のエリア、道路やネットワークがまだ十分でないところをもっとやっていこうと、どちらかというとシフトしていたような気がします。県としては、熊本都市圏の渋滞という問題に関して、割と熊本市を中心に考えるべきだというスタンスが強かったのではないかと、私は県議会議員時代に感じていました。それでも、いろいろな主張をしながら課題を取上げてきたわけですが、私が市長になる約10年前、交通問題は大きなテーマとして取上げさせていただきましたし、市長選に出る直前の県議会での一般質問でも、渋滞問題を取上げさせていただくくらい、ライフワークのようにやってきたものです。そして、ここに来て県知事が変わり、この問題が、ある意味では1丁目1番地として知事のマニフェストに掲げられ、まさに私の危機意識と知事の危機意識が一緒になって、もちろん市民県民の皆さんからの大きな不満も後押ししているということはありますが、それがようやく重なるということは、これから大きく、この渋滞問題は前進していき、将来に向けての見通しを示せるのではないかと強く期待をしています。
ですので、今回のトップ会談については、1回に限らず、出来れば頻繁に木村知事と一緒に開催し、そして県市一緒になって、これが最重要課題なんだという意識のもとに、県民一体、市民一体、あるいは都市圏全体が一緒になって取り組むということで、力強く進めていければと考えています。

【記者】全国交通系ICカードの廃止に関してお伺いします。この問題に関して、市民団体等から相次いで廃止撤回の要望が寄せられていますが、それに対する市長の受け止めと、前回の記者会見で利用者の意見を聴きたいとおっしゃられていましたが、具体的に決まっていることなどがあれば教えてください。

【市長】まずは、こうしたいろいろな市民団体の皆さんからのご意見を真摯に受け止めたいと思っています。また、議会においても附帯決議をつけて可決を頂いたということを踏まえますと、より丁寧に市民の皆さんのご意見を聞きながら進めていく必要があると思っています。ご不安であるとか、不便になる事は避けてほしい、そして、もっと利用しやすい公共交通の環境をつくってほしいというような要望と、私自身受け止めておりますので、それがより良き方向になるように、これから交通事業者の皆さんや関係者の皆さんとも、さらに協議を深めていきたいと考えています。
その上で、これから、例えばアンケート調査などで市民のご意見を聞くということで、今はまだ時期や内容について、明確ではありませんが、ユーザーの皆さんからは、既にそういった声もいろいろと頂いております。一方で、これから提供されるであろうクレジットカードのタッチ決裁の利便性がどうかということについても、多くの方々に体感していただく機会が必要ではないかと思います。世界的には、皆さんご承知だと思いますが、クレカタッチが主流になっており、そして非常にコストが安く、多くの方がそれを利用できるという環境もありますので、(皆さんに)体験いただくことも必要ではないかと思いますので、関係の事業者の皆さんにも協力を要請して、例えばキャンペーンをしていただくなどやりながら(取り組んでまいります)。もう一つは、決済の利便性が低下することがないようにするために、新たなアイデアも考えていかなければならないと考えています。
この全国交通系ICカードの大きな問題は、維持更新コストが本当に経営を圧迫するような負担があるということです。ただ、ここに関しては、これだけ私も国に要望をしたり、会見の場で発表をさせていただいたり、議会でも大きな問題になっているにもかかわらず、特段何ら提案やアクションはございませんので、我々としてもこれから、この大きなコストが何か改善できないか、附帯決議の中でも、きちんと確認するようにということですので、そういった確認もしながら、市民の皆さん、ユーザーの皆さんにとって、利便性の高い環境、よりよい環境をつくっていくために努力をしていきたいと考えています。

【記者】同性カップルの住民票の続柄標記に関してお伺いします。長崎県大村市では、今年5月に、続柄の欄に夫(未届)・妻(未届)と記載された住民票を交付しており、今月に入ってから、栃木県栃木市でも、夫(未届)・妻(未届)と標記する住民票に切り替えるという方針を、定例市長会見で表明されました。熊本市の担当課に確認したところ、現在熊本市における同性カップルの住民票の続柄は、同居人と記載されているとのことでしたが、熊本市は今後、続柄の記載を夫(未届)・妻(未届)と変更する可能性があるかを教えてください。

【市長】大村市がそういった取扱いをしているということについての報道は認識をしております。熊本市は、パートナーシップの宣誓制度を利用していますが、住民票上同一世帯となる場合は、続柄は同居人として取り扱っています。今後、他都市、それから国の動向も注視しながら対応していきたいと思います。現時点では、変更をするという予定はございません。これは、今、国の見解で実務上の支障があるという見解が示されているためです。これは総務省から(の見解)です。こういったところがまだ十分に確認ができてないというところもありますし、大村市では自治事務だから問題ではない、と報道発表されていたと思いますが、実務上の支障を来すおそれがあるというような見解が7月に総務省から示されてるということを考えますと、拙速に進めるということではなく、国の見解などを確認しながら、慎重に進めていく必要があると考えています。

【記者】つまり、当面は現状のままという事ですか。

【市長】はい、今後、推移を見守っていくということです。

【記者】市電のインシデントに関してお伺いします。危機的状況だとおっしゃられましたが、インシデントについては今年に入ってから相次いでおり、以前、記者会見の場でも、再発防止に向けての決意を述べられましたが、まだ続いているという状況です。危機的な状況の原因はどこにあるのか、対策は今のままで十分なのかということについて、市長のお考えをお聞かせください。

【市長】危機的な状況の背景には、様々なものがあるのですが、やはり安全に対する意識の欠如が組織としてあると思っています。これについては、様々な研修を行う、あるいは、確認を行うということを、今、やっているところですが、認識、知識の甘さなどについて徹底していくことが、まず、今、できることとしてあると思っています。
それから、組織体制の問題です。今まで、熊本市電は、長年の間、赤字で非常に厳しい運営をしていたということもあって、その組織体制をいろいろと見直しながら、経営側のほうに非常にエネルギーを注いでいたと感じています。私が市長に就任する前は赤字でしたので、これまでに運賃の値上げをさせていただいて黒字化したということはありましたが、コロナなどいろいろなことがあり、経営体制のしわ寄せとして、ある意味では、運転士に会計年度任用職員しかいないというような状況に陥ってるということも、大きな要因だと思います。
こういった人の命を預かるような公共交通に関しては、まず最優先事項が安全であり、それが安定した運行をするということにつながっていきますので、上下分離も含めた組織の在り方等についてどうあるべきか、それから運賃についても、先日の委員会でも今後の値上げ等々について発表させていただきましたが、そういうことを総合的に見ながら。しわ寄せが現場にいっている部分もあり、それによって現場のモチベーションも下がったり、安全確認がおろそかになったりという、非常にネガティブなフィードバックといいますか、ネガティブループが回っていると言ってもおかしくない状況だと思います。ここから大きく転換をしていくために、利用者の皆様には大変ご不便をおかけしますが、必要な台数や運転士をしっかり見直す中で、減便という大変苦渋の決断をさせていただいているところです。安定運行につながるように、しっかりと体制を整えていきたいと考えています。

【記者】熊本市電に関してお伺いします。8月1日に開業100年という節目を迎えますが、これまで、年間の乗客数が4000万人を超えたり、定線廃止の危機を迎えるなどありましたが、足元ではインシデントが相次ぎ、減便するいった状況です。この100年を歴史という視点から見て、現在どういう状態にあるのか、そして渋滞が深刻だという話に関して、これから高齢化社会がますます進んでいく中、公共交通事業としての市電の在り方や目指すべき姿について、市長のお考えをお聞かせください。

【市長】今度の8月1日が熊本市電の100周年という、本当に大きな節目を迎えます。1924年、大正13年に開業してからちょうど100年という年に、これだけのインシデントが起こっているということは、この歴史の中で、モータリゼーションの波で一時廃線をしたり、車社会にどんどん転換していくという、ある意味、第一次の危機的な状況がありました。それが昭和40年代前後だと思います。現在、令和6年、100年を目前にして、今度は違った意味での危機的な状況を迎えています。この100年の中で、本当に多くの方々に利用していただいて、まさに市民の足、観光客の皆さんの足となり、移動手段として非常に貴重なもので、そして、これから先、渋滞問題がより深刻な中で、市電は大変期待される公共交通ネットワークです。
ところが、そこでインシデントやトラブルが起きていることは、ガバナンスの問題でも以前申し上げましたが、この100年の歴史の中でもう1回きちんと過去を振り返って、今あるべき、これから先目指すべき市電や、公共交通事業の在り方というものを、真剣に100周年の節目でお示しする必要があると思っています。その中でも筆頭なのは安全、これをないがしろにしないことが最も重要なことであります。その次に、市民の皆さん方の足ということで、日常生活として、利便性の高いネットワークを再構築していく、その一環として市電の延伸であるとか、他の(交通機関との)接続環境をよくしていくなど、こういったことにつながっていくと思います。
輸送力の強化という点でも新型車両の導入を既に決定しております。そうした中で、これからも信頼されて、そして多くの皆さんに更にご利用いただけるような公共交通となるよう、上下分離などの組織体制の整備を含めて、全力で取り組んでいきたいと思っています。

【記者】市電に関してお伺いします。熊本市交通局は、組織としての非常事態としていますが、市長はどのように捉えているのか、また、大西市長と交通局間における連携の在り方について、市長のお考えをお聞かせください。

【市長】私自身も非常事態として捉えておりますし、極めて危機的状況だと捉えています。それだけ深刻な状況だと思っています。一方では、先ほどお伝えしましたように、公共交通に対する期待感というものが非常に高い中で、期待の声にどう応えていくかということもあります。ですので、まずは、安全という面でより危機感を強め、そして、この100年という節目を振り返って、過去に様々な事故もありましたし、多くの犠牲もあったわけです。それとしっかり向き合いながら、私たちは今一度、再生するためにはどうしたらいいのかということで、交通事業管理者を含めた交通局の幹部職員とは、ほぼ毎日のようにいろいろな形で連絡も受けますし、いろいろな情報交換や意見交換、そして私からの指示も行っておりますので、そういったところでは、風通しのよい環境を作っていくことは必要だと思っています。
それから現場の声についても、交通事業管理者が運転士や現場職員と直接向き合って話をしていますし、また、外部の皆さんにいろいろな形で検証していただく委員会も立ち上げていますので、第三者の皆さん方の目も入れながら、これから、新しい次の100年に向かっての大きな一歩を踏み出す大事な時期でありますので、体制をしっかりと整えていきたいと考えています。

【記者】トップ会談に関してお伺いします。午前中の知事会見において、信号の制御などの短期的な対策や、10分20分構想など長期的な対策など、こういったことを話したいという具体的なお話が出ましたが、市長として議論したいことがあれば教えてください。

【市長】短期的な施策で、県と市がどういう視点で一致しているかということは非常に重要だと思います。特に、信号の制御等について、木村知事は先日の報道番組の中で、菊陽や合志のTSMC周辺のエリアが、まだまだそういった制御や機器が、AIを含め、整備されていないので、そういったところを中心にやっていって、また、熊本市内については、交差点の改良や右折レーンを少し長くしたい、といったことを発言されています。
その辺りをもう少し細かく具体的に、例えば実際の箇所として、県と市でどこをまず重点的にやっていくのか、水道町交差点なのか、田井島交差点なのか、中には既に実施済みの所もありますが、そういったことをきちんと絞りながら、短期的に、短期的というのは、1年以内にどのくらいの効果を出すかということですが、その成果をどうやって出すかということについて、集中的に知事と議論させていただきたいと思っています。
もちろん、最初は課題や取組の方向性ということですので、私からある程度具体的に言えることは申し上げたいと思いますが、忌憚のない意見交換をする予定ということです。

【記者】自動運転バスの実証実験についてお伺いします。今、お話された市電のインシデントや渋滞対策にとって、新たな革新的なものになるのではないかと思っています。市長も実際に石川県小松市で試乗されたとのことですが、自動運転バスに対する期待感と、実際乗られた上で感じた、メリットと懸念点について教えてください。

【市長】自動運転については、全国各地で実証をスタートしていて、熊本市も今回採択をされたわけですが、自動ですので、運転士が、例えば2種免許を持っていなくても、急ブレーキを掛けたり止めたり、手動でできる方が乗っていれば大丈夫という状況になれば、運転士不足がこれから深刻化していく中で、これを解決していくものだと大変期待をしているところです。
公共交通への転換を図る上でも、こうした割と乗りやすいものが確立されて、自動運転技術がどんどん上がっていけば、これから移動手段がまた大きく変わっていくだろうなと思っています。今回は実証実験という形で、熊本城周辺、割と観光で皆さんが周られるようなエリアを中心に回っていくということです。熊本市内、県内にお住まいの方以外もたくさん乗っていただけるということで、これから走り始める来年1月以降、話題にもなるのかなと思っています。
実際に小松市で乗ってきたのですが、空港から駅まで本当にスムーズでした。びっくりするくらい。全国交通系ICカードを使って利用したのですが、非常に快適でした。運転士がおられたので、実際にお話を伺いましたが、いざという時のことを考えてなのか、ハンドルを触らないで持って(手を浮かせて添えて)おられたので、こうして(手を下げた楽な姿勢で)いられないのかなと思いつつも、やはり、まだ怖いのかなと感じましたが、カーブや駅の方に入っていく交差点に差し掛かる時も、本当にスムーズにハンドルが回っていて、びっくりするぐらい技術は上がったんだなということを、乗ってみて実感しました。
皆さんにもぜひ乗っていただきたい思うのですが、一方で、デメリットとして私が感じたのは、センサーがいっぱい付いていて、バイクや自転車など、が割り込んできた時などに、絶対安全がベースに立つので、ぐぐっとブレーキが効くんです。今回の実証実験でどうするのかは私もまだ聞いていませんが、小松市のバスは、つり革はあるのにみんな座らなければならない事になっていました。要は急制動する可能性があるからということで、実験的にそういう形を取っていたのだと思います。そのセンサーの効き目を緩くすれば、ある程度スムーズにいくらしいのですが、ただ、そうなると今度は安全面で問題があるということですので、そこの技術的な課題がある程度解消されていけばと、これから実験をやっていく中でいろいろ出てくるのかなと思いますので、そういったところが少し懸念点というのはありますが、ただ十分なスピードが出て結構早いので、これは十分実用に耐えうるようなフェーズに入ってきたなと感じました。

【記者】これから実証実験をされるという事で、少し気が早いかもしれませんが、市長が思われる将来の理想的な姿を具体的に教えていただきたのと、実用化に向けての法的なハードルのようなものがあれば教えてください。

【市長】基本的にはルート等も含めて、国にこういうことで走りたいと、計画を提出しています。それがある程度認められて、今回事業採択されたということですので、法律面でのハードルというのはあまりないのかなと思います。ただ、今後、運用していく中でいろいろな課題が出てくると思いますので、それを国と一緒に共有しながら、その技術的なハードルや交通規制面での課題があれば、そういったものをクリアしていくということが必要になってくるかなと思っています。
このページに関する
お問い合わせは
政策局 秘書部 広報課
電話:096-328-2043096-328-2043
ファックス:096-324-1713
メール kouhou@city.kumamoto.lg.jp 
(ID:56338)
新しいウィンドウで このマークがついているリンクは新しいウィンドウで開きます
※資料としてPDFファイルが添付されている場合は、Adobe Acrobat(R)が必要です。
PDF書類をご覧になる場合は、Adobe Readerが必要です。正しく表示されない場合、最新バージョンをご利用ください。
熊本市役所〒860-8601熊本市中央区手取本町1番1号代表電話:096-328-2111(代表)096-328-2111(代表)
[開庁時間]月曜~金曜日の午前8時30分~午後5時15分(ただし、祝・休日、12月29日~翌年1月3日を除く)
肥後椿
copyrights(c) 2013 Kumamoto City Allrights Reserved