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令和5年1月4日 年頭市長記者会見

最終更新日:2023年1月4日
政策局 秘書部 広報課TEL:096-328-2043096-328-2043 FAX:096-324-1713 メール kouhou@city.kumamoto.lg.jp 担当課の地図を見る


1 本年の抱負について


2 報告

・本市の感染状況等について

・台湾訪問について   


3 お知らせ

・マイナンバーカードの普及促進について

・熊本市区制10周年記念イベントについて


4 質問

(1)幹事社代表質問

(2)各社質問


会見録

市長発表

新年明けましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願いします。
はじめに、恒例の「本年を表す漢字一文字」についてですが、本年は『道』でございます。この「道」ですが、一つ目は、熊本市の未来に向けて明るい道筋をつけるという意味を込めました。また、二つ目は、道理至極という言葉がありますように、その意味は「理にかなっていること」であり、物事がそうあるべきであると市民の皆様に納得していただけるように誠実に市政運営を行っていくという決意をこの文字に込めました。

それでは、新年の抱負を述べさせていただきます。新たに迎えました本年は、3期目の本格的なスタートとなる年であります。市民の皆様が充実した生活を送れますよう、これまでの地域主義を発展させ成熟した地域社会(コミュニティー)の実現に向けて全力で取り組んでまいります。具体的な市政運営の方針として3期目は、大きく次の3つの考えに基づき進めてまいります。
一つ目は「自然災害による被害からの脱却」です。熊本地震あるいはコロナ禍で疲弊した地域経済の回復に向けて、引き続き事業者等の支援に取り組むとともに、安全安心で災害に強いまちづくりを進めてまいります。
二つ目は「徹底的な市民本位の生活の追求・DXの推進」です。DXを子育て、教育、医療のほか、市役所の窓口部門に積極的に導入し市民サービスの向上を図ります。中でも、子どもを核としたまちづくりを進めるため、本年4月に「こども局」を創設し、こどもに関する総合的な政策を強力に推進してまいります。
具体的には、子ども医療費の助成拡充など子育て世帯への負担軽減や少子化対策に取り組むとともに、妊娠・出産に関する専門的な相談支援を行う妊娠相談センターを開設します。このことにより、結婚・妊娠・出産・子育てといった、それぞれの場面において切れ目のない一体的な支援を実施することで、安心して子育てできる環境づくりに取り組んでまいります。
三つ目は、「上質な生活都市くまもとを支える都市基盤整備」です。慢性的な交通渋滞の解消を図るとともに、TSMCの進出にも対応してまいります。具体的には、「10分・20分構想」の早期実現に向けて市民参画を取り入れた概略ルート・構造案の検討のほか、公共交通と自動車交通のベストミックスの構築に向けた交通政策の推進や公共交通の利用促進に向けて取り組んでまいります。
また、TSMCの熊本進出にあわせ、半導体関連産業の進出に対応できる産業用地を市内に約20ha確保するため、本日付で新たに「産業用地グループ」を結成し、具体的な検討に着手してまいります。加えて、従業員等の住宅については、ご承知のとおり楠団地旧棟跡地に約50戸確保することとしています。TSMCの進出は、産業の振興のほか、本市の人口増にも繋がるものと考えており、県のみならず九州全体の発展に向けて、土地利用など様々な課題にスピーディーに対応してまいりたいと考えております。
本年も、引き続き市民の皆様と徹底した対話を行いながら、様々な地域課題に向き合うことで、「誰もが憧れる上質な生活都市くまもと」の実現に向けて取り組んでまいりたいと考えております。以上、新年の抱負について述べさせていただきました。

次に、新型コロナウイルスの感染状況等についてご報告します。本市の新規感染者数は、直近1週間で8,310人で、実質的な最大確保病床使用率は、昨日時点で73.3%となっており、依然として高い水準で推移している状況です。感染の拡大に伴い、高齢者の感染者も増加しており、入院される方やお亡くなりになられる方も増加している状況です。
また、冬場に入り新型コロナウイルス感染症以外の救急搬送も急増しており、救急医療は大変厳しい状況となっております。市民の皆様におかれましては、高齢者や基礎疾患のある方など重症化リスクの高い方を優先的に診療できる体制を維持するためにも、医療機関の適正受診にご協力をお願いします。重症化リスクの有無にかかわらず、症状が軽く緊急を要さない場合には、平日昼間の受診をお願いします。特に重症化リスクの低い方については、救急車の不要・不急の利用をお控えいただき、病気やケガで夜間などに救急車を呼ぶかどうか迷う場合は、夜間安心医療電話相談(#7400)や子ども医療電話相談(#8000)にご相談ください。
また、検査キットでのセルフチェックを積極的にご検討いただき、陽性となっても軽症であれば、自宅療養を行っていただきますようお願いいたします。自宅療養中に体調が悪化した場合には、まずは、療養支援センターや夜間相談窓口にご相談ください。 

次に、今月予定しております台湾訪問についてご報告いたします。これは、TSMCの熊本進出に伴い、台湾経済界とのビジネス交流の拡大などを目的とし、今月11日から14日の日程で、熊本県や経済団体等とともに台湾を訪問するものです。TSMCの進出は、本市にも大きな影響が見込まれるため、私を本部長とする半導体関連産業集積推進本部を立ち上げ、全庁的な取組を進めているところです。
TSMC本社の訪問では、今後熊本市で生活を始める台湾の方々が安心して生活いただけるよう、受入環境の整備に関する報告や、熊本都市圏の水資源の保全について協力をお願いするとともに、今後の台湾企業誘致に向けたトップセールスを行ってまいります。チャイナエアライン本社の訪問では、熊本-台北線の新規就航、並びに熊本-高雄線の早期復便について協力をお願いし、これまで以上に熊本を訪れていただけるよう環境整備を図ってまいります。
また、高雄市への訪問では、マラソン友好交流覚書の更新を行い、双方のマラソンの宣伝強化を図るとともに、スポーツ交流を通じた更なる友好都市関係の深化につなげてまいります。加えて、熊本地震の際、台湾の皆様から頂いた義援金やご支援に対し、あらためてお礼を申し上げるとともに、昨年4月の天守閣の完全復旧などについて報告を行ってまいります。
引き続き、TSMC進出を契機として、台湾との経済・国際交流を深めるとともに、熊本県等と連携しながら、様々な取組を進めることで、本市の経済発展につなげてまいります。

次に、マイナンバーカードの普及促進に関する新たな取組についてお知らせします。本市のマイナンバーカード申請率は、11月末時点で73.91%となっており、政令指定都市の中で第1位となっています。現在、土日や夜間も申請ができるサテライトの開設や、商業施設等での出張受付に取り組んでいるところですが、新たに今月24日からマイナンバーカード申請サポート窓口を市内の郵便局に開設します。実施する郵便局は、この10局で、熊本市の窓口と同様に、郵便局員が顔写真撮影や申請書の作成をお手伝いします。加えて、今月下旬から、申請窓口がお近くにない方のために、植木郵便局など5つの郵便局に本市職員が出向いて受付を行います。
また、更なるカードの普及に向け、本市独自で取り組んでいる「マイナンバーカード取得促進キャンペーン第2弾」を1月23日まで実施するほか、最大2万円分がもらえる「マイナポイント第2弾」についても、ポイントの対象となる申請期限が2月末まで延長となりました。まだ、マイナンバーカードを申請されていない方は、この機会にぜひご申請をお願いします。

最後に、区制10周年記念イベントについてお知らせします。本イベントは、今月29日に熊本城ホールにて開催を予定しており、政令指定都市移行から10年で育んできた地域の魅力を再発見するとともに、さらなるまちづくりの活性化や地域文化の振興を目的に開催するものです。当日は、まちづくり活動における優良事例の発表や、神楽や太鼓など伝統芸能が登場する地域文化祭のほか、地域物産の販売等、様々なコンテンツを実施いたしますので、市民の皆さまのご参加をお待ちしております。詳細は、お手元の資料をご確認ください。
私からは以上です。



質疑応答

【記者】TSMCに関連して伺います。産業用地グループを新設したということですが、今後どのようなスケジュールで用地の確保を行う予定なのかということと、台湾訪問について、熊本市独自の訪問先のMICとLRTライトレールの2か所を視察先に選んだ理由ならびに目的などをお聞かせください。

【市長】まず、産業用地に係る新たなプロジェクトグループですが、本日付けで経済観光局内に産業用地グループというものを設置いたしました。任期は今年度末までを想定しており、経済観光局の総括審議員をグループリーダーに、農地、都市計画、文化財等の関係部署の職員9人をメンバーとしております。昨年12月に策定しました「半導体関連産業の集積に向けた産業用地の整備方針」に基づいて、民間活力を活用した工業団地の整備に向けた具体的な検討をさらに推進していくということになります。
具体的には、産業用地確保にあたっての候補エリアの選定、産業用地開発に係る民間事業者からの提案募集に係る要件の整備、県や様々な関係機関との協議を行うこととしております。スケジュールについてですが、このプロジェクトグループが今年度中の設置ということで、現在整理中ですが、今年度中にかなり具体的な方針をお示ししていくということになろうかと思います。先ほど申し上げましたような候補エリアや、民間事業者からの提案募集といったものについて、より具体的な動きをしていきたいと思っています。
実際、TSMCの熊本県への進出に伴って、半導体関連産業の動向調査を行いましたが、本市を具体的な立地候補とする企業や、事業環境が整えば設備投資の際の候補地としたいといった企業が81社ほどございまして、また、産業用地に係るニーズを把握したところ、約47ヘクタールというニーズがありました。加えて、過去2年間に本市に寄せられた産業用地に係る相談が約54ヘクタールということであり、これを合わせますと約101ヘクタールほどの産業用地に係るニーズがあるということでございます。これは、具体的なニーズや潜在的なニーズがあるということが明確であるということですので、このような進出ニーズに丁寧に対応しながら、本市への立地に繋げるためにも、こうした産業用地をしっかり確保していくということです。まずは短期的にこういった形で、今実現可能性のあるところを急ぎ洗い出して進めているところですので、ある程度の候補地や条件が整ってくれば、皆さんにはその都度お知らせさせていただきたいと思っております。
また、台湾訪問においては、台湾の様々な企業を訪問するわけですが、まずメインの訪問先としてはTSMC、それから、チャイナエアラインというのは熊本県、蒲島知事とも一緒に伺うということです。また、この2社以外の企業を本市独自で今回訪問させていただきますが、これらの企業を選んだ理由については、今後、企業の誘致等について、本市としても積極的にトップセールスをやっていきたいということが一つです。また、高雄のLRTライトレールの視察ですが、私が台湾を直近で訪問した6年前にも、お伺いして状況を拝見したのですが、高雄で公共交通を充実させていきたいということで、かなり急速にLRTをどんどん整備していくということを打ち出しておられました。その状況が、この6年間でどのぐらいのスピード感で進んできたのか、また、それが乗りやすいものになっているのか、あるいは、交通渋滞等々への影響がどうなっているのかということを参考にさせていただきたいと思っています。高雄のLRTの構想をいろいろお聞きした際、当時の高雄市長の陳氏からもいろいろとお話を伺ったのですが、環状線にするといったとても大きな構想で、公共交通の利便性を高めることが台湾の産業振興や市民生活にとって非常に重要であり、特に高雄という大きな都市の発展には非常に重要だということをおっしゃっていましたので、熊本市もこれから市電の延伸や、公共交通の在り方についてさらに検討を深め、そして、市民の皆さんの満足度を高めていき、自動車分担率を減らしていくということを考えていますので、そうしたことを中心にお話を伺ってきたいと思っております。

【記者】マイナンバーカードについて伺います。(申請率が)政令市で1位ということですが、あらためて市長の受け止めと、また、(1月24日から)郵便局で申請窓口を開設ということでしたが、なぜ郵便局を選ばれたのかを教えてください。

【市長】まず、マイナンバーの申請率が11月末現在で政令指定都市1位ということですが、かなり早い時期からマイナンバーの取得については非常に力を入れてまいりました。今、職員の取得率も100%に近づいており、95%を超えているということで、おそらく全国の自治体の中でも極めて高い数字だと思いますので、ぜひ確認していただければと思います。これからデジタルトランスフォーメーションも含めて、行政の効率化や市民の皆さんの利便性の向上(が必要です)。先日デモンストレーションを行いましたが、コンビニエンスストアで様々な証明書等があっという間に安価に受け取れることによって、様々な行政の効率性にも繋がっていきますし、市民の皆さんにとって非常に利便性が高いということになりますので、これをさらに推進していくための基盤がマイナンバーであると思っております。したがって、マイナンバーカードを市民の皆さんに持っていただくことで、熊本市は、デジタルトランスフォーメーションで様々な業務、あるいは、様々な煩雑な手続きをこれから順次、どんどん改善しながら、マイナンバーカードを活用し皆さんに楽にいろいろな申請ができるようにし、また、行政コストも抑えていくということで、転換していきたいということで考えておりますので、今のマイナンバーカードの申請率は70%台でありますが、できるだけ年度末までに100%に近づけるように全力で頑張っていきたいと思っております。
また、郵便局における申請サポートということですが、今月24日から実際に手続ができるようになるわけですが、選定に当たっては、熊本市の都市マスタープランの中の地域拠点15か所とその他の拠点2か所を候補地としまして、その中で区役所やサテライト等の申請場所のない地域をカバーするために、郵便局の8つのエリア、それから、(申請窓口で)利用実績が集中している中央区と東区、この2か所は非常に利用が集中しておりますので、中央郵便局と東郵便局の2つのエリア、合計10エリアから郵便局と協議して10局を選定しました。利用実績を踏まえ、これから必要に応じて対応できる郵便局を増やしていきたいと考えております。3月末までの郵便局での対応を約2000人程度と見込んでいるところです。国でも、マイナンバーカードの申請における郵便局との連携については、積極的に推進しておられますので、郵便局ともしっかり連携を取りながら、市の窓口でカバーできない、あるいはサテライトでカバーできない人たちに対しても、より申請しやすい環境を作り、マイナンバーカードの取得率の向上に向けて、さらに頑張っていきたいと思っております。

【記者】妊娠相談センターについて伺います。どのような形で運営されるかということ、相談センターが担う役割を教えてください。

【市長】妊娠相談センターについては、以前からずっと会見でもいろいろお話をしておりますが、ドイツ等には実際にそういった施設、妊娠葛藤相談所というものがあります。これは、ドイツではきちんと法整備がなされた中で設置されているわけです。実際には、なかなか法制度ができない中、現行法の中で、内密出産も含め妊娠に対してのいろいろな悩みを抱えておられる方々に安心して相談いただけるように、そして、出産できる環境をしっかりと整えていくためにこのような相談センターを設置いたします。
現在、予期せぬ妊娠をはじめ、いろいろな状況によって匿名で出産を希望するという方、あるいは様々な課題を抱えておられる方がたくさんいらっしゃって、今は慈恵病院に相談されるという方が非常に多いわけですが、一民間病院や一自治体だけで解決するわけではありません。できるだけ全国の身近なところで相談や対応ができるような制度を整えていかなければいけないと思っているのですが、母子の命に関わる重要なものでありますので、様々なお母さんの気持ちに寄り添って、また、ご意向も尊重しながら、この妊娠相談センターが、そういった非常に困った状況にあり課題を抱えている皆さんの解決に繋がっていくようにそういう役割を果たしていきたいと考えているところです。これはやはり、慈恵病院のいろいろなノウハウも教えていただきながら、そして、連携して運用していく必要があるだろうと思っています。今、内密出産ということで相談される方々が、行政に対して、内密出産を希望したり、名前を伏せていろいろな相談をしたりということはなかなか難しい、あるいは、非常に敷居が高いと思われている方が多いわけですが、この妊娠相談センターを設置することによって、そういった垣根をできるだけ低くして、多くの相談が受けられるようにしたいということがまず一つです。その中で、最終的にいろいろな選択をすることになると思うのですが、内密出産に至る前でも、いろいろな解決方法があるかもしれないということが、もしかすると妊娠相談センターへの相談の中でわかってくるかもしれません。個人の状況というのはいろいろと違いますから、望まない妊娠の状況がどういった状況なのかということも含めて、そこで丁寧に対応し、当然、看護師や助産師といった方々も含め、ソーシャルワークとして、福祉的な様々な課題を抱えていらっしゃる方が、内密出産の実際の事例でもいらっしゃるのではないかと考えますと、総合的な(対応を)いろいろな専門職の人たちが一緒になって悩み、抱えている課題を解決するというような形でこれから運用していきたいと考えております。慈恵病院さんのほうでも、いろいろなケースを取り扱っておられますが、行政の中に福祉の専門職等がおりますので、そういったスタッフが、より細かないろいろなアドバイスをしたり、相談に応じたりすることによって、内密出産に至らなくてもいろいろな課題が解決できるということに繋がっていけば良いのではないかと考えております。どういった形で運用するということについては、これから模索しながら作っていきますが、まずはできるだけ相談しやすい環境をつくるということで、皆さんにはどんどんお知らせしていきたいと思っています。
できればそういったことを熊本のモデルケースとして実施しながら、全国に広めていければ、熊本に様々な課題を抱える方々が頼る状況ではなくなり、近くの(病院)あるいは自分の家から割と近い自治体等で相談ができる体制が取れれば、より多く母子の生命・健康を守っていくことができるといった願いを込めています。これは、手探りでいろいろと実施していきますが、できればそういった取組状況を全国の自治体にもお知らせをしながら、(全国的にも)広まっていけば良いと考えています。

【記者】今の件に関連して、慈恵病院さんの取組について、例えば、産前産後の母子支援等のソーシャルワークに繋げるといった点が不足しているという認識でしょうか。

【市長】不足しているというわけではなく、慈恵病院さんは産科婦人科を持つ病院でありますから、病院という機能に限界があるのだと思います。出産後(の支援について)、例えば、行政であれば様々な機関があります。そういう意味では、幅を広げるということでは、行政の役割もさらにあるのではないかと思います。そこはやはり連携しながら、慈恵病院さんだけで解決できないこともたくさんあるはずですし、逆に、行政では(先ほどお話ししたように)敷居が高いというようなことも含め、(妊婦さんが行政に)頼れない点を慈恵病院さんには今大変カバーしていただいているということもありますので、そこはお互いの良さといいますか、特長を活かしながら連携するということが、一つの熊本モデルに繋がっていくのではないかと考えています。

【記者】TSMC訪問に際して、水資源に関して協力のお願いというお話がありましたが、具体的にはどのようなことになるのでしょうか。

【市長】今、熊本にTSMCをはじめとした半導体関連企業が集積してくるということで、地域にお住まいの皆さんからすると、地下水が枯渇してしまうのではないか、あるいは地下水が汚染されてしまうのではないかというような不安をお持ちの方もたくさんいらっしゃると思います。現実的には、今半導体産業が立地をしている地域あたりでも、様々な企業の皆さんの努力によって、こうした地下水の環境というのは守られてきたわけですが、特にTSMCの工場に関してはかなり大きな企業でもありますので、そうしたものに対して、私は地下水財団の理事長という立場でもありますので、(水資源の保全の協力をお願いすることとしています)。この地下水財団は、地下水を利用するあるいは白川中流域の11自治体が集まって、県や実際に立地をしている企業あるいは学識者の皆さんとも連携をしながら、様々な地下水保全の取組を行っていますので、そうした状況もTSMCの皆さんにしっかり理解をしていただくということが必要かと思います。
お正月の熊日新聞さんの記事だったと思いますが、県でも竜門ダムの工業用水という形での利用についても考えておられるということですから、そういったことも含めて、水資源をしっかり使えるということが、産業立地にとって非常に重要だと思いますが、一方では自然環境をしっかり守り共生していくということが、これからの企業の展開にとっては非常に重要であり、また、地域との共生という意味でも非常に重要なことになります。したがって、その点については、しっかりとご認識しておられると思っておりますが、私はそういう立場もございますので、あらためて、TSMCの幹部の方々にもそうしたことに積極的に協力していただけるように、地下水の保全、あるいは環境への配慮というものをお願いしたいと考えております。

【記者】課題として挙げられました交通渋滞に関連して、市電の延伸については、現在、まだ議論が中断している状況ですが、この再開の目途についてはどのようにお考えでしょうか。

【市長】新型コロナへの対応等々もあり、また市電の様々な経営環境も変わってきているということもあって、今、いったん市議会での議論というのは中断させていただいているところであります。先の記者会見でも申し上げましたとおり、あるいは、市長選の折にも申し上げてきましたが、今現在、この市電の延伸については具体的にどういう形での課題、あるいは、今後の取組が必要なのかということを事務方に整理させているところです。これが、ある程度、一定の目途が立った段階で、市議会にはお示しさせていただいて、議論を再開させていきたいと思っております。ただ、市議会も、これから年度末から年度明けにかけて、統一地方選挙が控えておりますので、やはり改選した後でなければ、なかなか落ちついた議論ができないのではないかと考えております。したがって、今は新型コロナ第8波という状況でもあり、収束がまだ見えないという状況でありますので、まずは内部での検討を年度内にしっかりさせていただいて、そして、改選した新たな市議会の構成の中でお示ししていくということが、ステップとしては望ましいのではないかなと考えているところです。
スケジュールについては、今、具体的に何か決まっているということではありませんが、大体の目途感といいますと、そういう形になろうかと思います。ただ、これも新型コロナウイルスの感染状況が、この後どうなるかということで、まだ、状況を見極めなければならないと思っています。内部的な作業は、どんどん進めさせていただきたいと考えています。

【記者】市長の今年の一字「道」に関連して伺います。昨年末、国土交通省の熊本河川国道事務所が、環状道路の一部になる北バイパス3路線のうち、北バイパスと植木バイパスが今年の2月5日に開通して、西環状道路と繋がるという発表がありまして、このことに対しての市長の受け止めと、どのように評価されるか、また、どういった意義を持つのかを教えてください。

【市長】北バイパスの4車線がやっと完成をするということは、熊本都市圏域の交通の円滑化に非常に大きく繋がる、大変重要な意義のあることだと思っています。さらに、植木バイパスの一部が車線は制限されますが、西環状の方まで繋がるということで、これは東バイパスから北バイパスそして西環状まで繋がるということは、今まであまり実感することがなかった環状道路というものを多くの市民の皆さんが、少しずつ実感をされていくと思います。この開通をもって、渋滞が一気に解消するかというと、そう簡単なことではないと思います。既に今現在も、国道3号線は非常に混雑をしていますし、植木バイパスが全面的に開通する、あるいは、そういった道路ネットワークが、例えば、西環状線については、池上インターまで繋がるのに大体約4~5年かかりますが、それが完了すると、道路環境としては、この環状線というものがかなり活きてくるのではいかと思います。そういう意味では、非常に大きな転換点、歴史的な転換点と言っても良いと私は思っています。
北バイパスに関しては、私が熊本北高校に入学をしたときに着工された道路です。昨年、熊本北高校は創立40周年ということで、その頃から考えますと、私は当時、自転車で道なき道を通っていたわけですが、それがあれだけ立派な道路がやっと完成をするというのは、当時高校生でしたが、非常に感慨深いものがあるなという個人的な思いも持っているところです。ただ、それだけ大きな事業で、長い時間がかかる事業でもあったと思いますので、国土交通省をはじめ、関係の皆さんには本当に感謝と敬意を表したいと思います。開通記念式典が、おそらく来月にはあると思いますので、開通したときには、市民の皆さんにもぜひ活用していただければと考えています。
加えて、それが開通することによって、また交通流量が若干変化していくと思いますので、その流れをしっかり見極めながら、できるだけ渋滞の解消に繋がっていくように、国や県とも連携しながら取り組んでまいりたいと考えています。

【記者】今日、熊日新聞さんの報道で、市電に顔認証を導入するという記事があったのですが、(路面電車では)全国初と書かれていたのですが、そういったものを取り入れる理由とどのように運用していきたいかを教えてください。

【市長】市電に関しては、これまでもICカードを導入し、今は全国の交通系ICカード等も使え、また、くまモンのICカードのような地域のICカードも使えるということで、非常に利便性が高まっているという評価をいただいております。そうした中でも、今後は利用者の皆さんが、降車時にスマートフォン等を提示する必要がないような方法が開発されていけば、よりスムーズに、そして、効率的に乗降ができるということになってきます。そうしますと、将来的には定時制の確保等にも繋がっていくのではないかと考えています。何よりも、利用者の利便性が高い、ユーザーオリエンテッドとよく申し上げますが、利用者の皆さんが利用しやすい環境をできるだけ作っていくことによって、市電などの公共交通機関をより多くの方に利用していただくためのサービス向上にも繋がってくると思います。
今回の「顔パス」については、市電のモバイル定期券の利用者に、まずは事前に登録していただいて、車内のカメラ認証によって降車ができるというような仕組みであります。これはまたあらためて、交通局のほうでデモンストレーション等のお知らせがあるのではないかと思っておりますが、路面電車で全国初となる実証実験を来年度行いたいということで、これからモバイル定期券の利用者からモニターを募るなどの方法でまずはスタートさせるということです。これがどんどん広まっていけば、例えば、顔認証によっての信用乗車のようなことも(可能になり)、これはヨーロッパあたりで行われています。要は、(乗車時にICカード等を)ピッとやらなくても(乗降車でき)、例えば、モバイル乗車券のようなものを購入して一定の決まった時間内の利用が(できるといった仕組みがあり)、これが非常に便利で、本当にシームレスにいろいろな公共交通機関の利用ができるということで、これはヨーロッパで私も視察させていただきましたが、非常に便利なものでありましたので、そういったものにも使えると思いますし、おそらく未来に向けての展開が非常に期待されるのではないかと考えております。現時点ではまだ過渡期ということであろうかと思いますが、今後、こういった顔認証による実証実験結果をもとに、未来に向けての公共交通の利用環境をより良いものにしていく取組に繋げていければと考えているところです。

【記者】市電への顔認証の導入に関連して、実証実験等の事業費は、来年度予算に組み込まれるのでしょうか。

【市長】おそらく、交通局が来年度の予算案の中に組み込んでいくのではないかと思います。


※質疑応答の冒頭部分(台湾訪問に関する質疑応答)については、機材トラブルにより動画がございませんので、ご了承ください。

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