所長からのご挨拶
熊本市都市政策研究所が誕生し5年が経過しました。黎明期から揺籃期を終え、いよいよ確立期からさらに発展期に向かうことになります。以前とは違い、物事の変化が急速に進む時代だからこのように捉えるのが妥当でしょう。研究の成果だけでなく政策の果実を期待する段階に来ています。
平成24年4月1日の政令指定都市誕生で大変革となり、その後わずかな時間をおいて熊本地震を経験することになりました。この二つの出来事により、本研究所は「政令市に必要な研究所」相応の調査研究に取り組み、それ以外にも期待された任務をこなし、応分の役割を果たしてきたと自己点検できます。
都市政策は、国や県、そして基礎自治体である市の政策が連動し、時として補完することで実効性につながります。さらにグローバル化した現代社会では、文化遺産の保護や貿易等にみられるように条約や協定の影響を受けることになります。
そこで、この様な時代にはタイムリーな知見に触れることに努め、主体的に思考をめぐらすことが大切と考えます。これまでに20回以上の講演会を開催してきたのはそのためです。創造性豊かな政策立案に資する素材を提供することを研究所の重大な使命としていることが背景にあります。
歩き始めて5年が経った平成29年10月には「都市政策研究所開設5周年記念シンポジウム」を開催し、過去5年間の研究所活動を振り返ると共に、先行する政令指定都市のシンクタンクから多くを学ぶ機会を得ました。そして、これまでの研究成果はもとより、進め方についても吟味することができました。
大西一史市長を交えた「研究所の今後のあり方」についての鼎談では、一つステップアップした「どうしても必要な研究所」として目指す方向が確認できました。
それは各種課題を抱える政策現場との密な連携です。また公共事業にかかわる研究に加え、地域産業界にその便益が還元できる研究が強く求められました。これを私は「研究の成果から政策の果実へ」と認識しています。類似の研究機関との連携、あるいは役割分担も考慮しながら、活動の点検評価を怠らず、5周年を節目として熊本都市圏が抱える様々な都市問題や地域課題にアプローチし、活動の成果を市政に反映できるよう引き続き努力します。
熊本市都市政策研究所は、熊本の中長期的なまちづくりへの貢献を通じ、開設当初の志である「どうしても必要な研究所」と成すべく邁進します。
どうぞよろしく変わらぬ御助力とご支援をお願い申し上げ挨拶とします。
熊本市都市政策研究所所長
農学博士 蓑茂 壽太郎
設立の背景
わが国では、少子高齢化社会の進展とともに本格的な人口減少社会を迎え、これまでの社会経済のあり方の抜本的な見直しが迫られています。また、地方分権の進展によって、地方には、地域の個性や特性を生かし、自らの判断と責任においてまちづくりを進めていくことが強く求められています。
このような中、今後、さらなる政策形成力の向上が不可欠であるとの認識のもと、中長期的なまちづくり構想に資する調査研究活動を行うとともに、職員の政策形成能力の向上を図ることを目的として、2012年(平成24年)10月に「熊本市都市政策研究所」を設置しました。
2013年(平成25年)4月からは所長以下職員9名を配置し、研究体制の充実を図りました。
研究所の機能
本市の中長期的なまちづくり構想に資する調査研究活動を行うとともに、職員の政策形成能力の向上を図るため、次の3つの機能に基づく活動を行います。
1 調査・政策研究機能
政策形成のベースとなる基礎調査を行うとともに、中長期的な視点のもと、理論やデータに基づく実践的な調査研究活動を行います。

2 情報収集・発信機能
都市政策全般に関する情報の収集と蓄積を図るとともに、研究成果を積極的に発信してい きます。
3 人材育成機能
多くの職員が調査研究活動を行うことにより、政策形成能力の向上を図ります。また、職員を対象とした勉強会や研修会を行い、一層の能力向上に努めます。
組織体制
〔令和2年6月8日現在〕
所長(非常勤) |
蓑茂壽太郎 |
熊本県生まれ。農学博士。 現在、(一財)公園財団法人理事長、 東京農業大学名誉教授、熊本県立大学客員教授 などを務める。 |
副所長(市職員) |
中村 司 |
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研究員(市職員) |
眞原賢一郎
木村 領 松澤真由美 |
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研究員 (会計年度任用) |
市川 薫 山田聰亮 劉 強 |
東京大学大学院農学生命科学研究科生圏システム学専攻博士課程修了 博士(農学) 京都大学大学院経済学研究科博士後期課程現代経済・経営分析専攻修了 博士(経済学) 熊本大学大学院自然科学研究科環境共生工学専攻博士課程修了 博士(工学) |
研究テーマ
■スタートアップ研究
歴史認識・地域認識の共有化に関する研究
「熊本都市形成史図集」を作成し発行(平成26年11月)
「熊本都市形成史図集-戦後編-」を作成し発行(平成28年3月)
■「平成28年熊本地震」に係る調査研究(平成28年度研究報告事項)
「熊本明治震災日記」(水島貫之著)の現代語訳を作成し発行(平成28年12月)
■研究員研究(平成30年度研究報告事項等)
年報 熊本都市政策vol.6 をご覧ください。
■研究員研究(平成29年度研究報告事項等)
年報 熊本都市政策vol.5 をご覧ください。
■研究員研究(平成28年度研究報告事項)
■研究員及び職員併任研究員の研究(平成27年度研究報告事項)
■研究員研究(平成26年度研究報告事項)
熊本都市政策(熊本市都市政策研究所年報)
平成30年度の調査研究及び当研究所の研究活動等を取りまとめた年報『熊本都市政策 vol.6』を刊行しました。
出版物(熊本市都市形成史図集)
都市政策研究所では、熊本市の地域認識・歴史認識を踏まえた今後の特色あるまちづくりや政策形成・立案に活用できるとともに、熊本市の都市形成史を知るための身近な図書としても利用できるよう「熊本都市形成史図集」と「熊本都市形成史図集-戦後編-」を刊行しています。
「熊本都市形成史図集」では、熊本市制発足の年である明治22年の「熊本第6号地図」から昭和22年の「大熊本市全図」まで、明治から昭和の終戦直後にわたる計16葉の地図を掲載しています。
また、「熊本都市形成史図集-戦後編-」では、終戦直後の「熊本復興都市計画図」から現在の「熊本市全図」まで、昭和から平成にわたる計15葉の地図を掲載し、2冊で熊本市の都市形成の歴史と変遷をたどります。
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『熊本都市形成史図集』 | 『熊本都市形成史図集-戦後編-』 |
「熊本都市形成史図集」は1部800円、「熊本都市形成史図集-戦後編-」は1部600円で熊本市役所地下1階売店において販売しております。興味をお持ちの方は、ぜひお手にとっていただき、ご活用ください。
<図集について詳しくはこちら↓>
都市政策研究所『熊本都市形成史図集』を販売しています
都市政策研究所『熊本都市形成史図集-戦後編-』を刊行しました
出版物(【現代語訳】熊本明治震災日記)
都市政策研究所では、「平成28年熊本地震」に係る調査研究の一環として、明治熊本地震に関する詳細な記録である『熊本明治震災日記』(水島貫之著・明治22年発行)の現代語訳版を刊行しました。
『熊本明治震災日記』は、明治22年7月28日に発生した明治熊本地震に関して、当時の様々な被害状況、行政機関や被災した市民の動向等が克明に記録されたものです。日記では、現代の私たちが体験した震災時の状況と相通じるものが読み取れ、過去の地震の記憶を後世へ受け継いでいくと同時に、今後の防災・減災対策につながるものと考えています。
過去の災害を後世へ伝える資料として多くの方に手にとっていただき、ご一読いただければ幸いです。
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『【現代語訳】熊本明治震災日記』 |
「【現代語訳】熊本明治震災日記」は1部1,000円で熊本市役所地下1階売店において販売しております。興味をお持ちの方は、ぜひお手にとっていただき、ご活用ください。
<熊本明治震災日記について詳しくはこちら↓>
都市政策研究所「【現代語訳】『熊本明治震災日記』」を刊行しました
ニューズレター
熊本市都市政策研究所ニューズレターの第19号を2020年12月に発行しました。
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ニューズレター創刊号
(2013年6月) |
ニューズレター第2号
(2013年9月) |
ニューズレター第3号
(2014年1月) |
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ニューズレター第4号
(2014年4月) |
ニューズレター第5号
(2014年7月) |
ニューズレター第6号
(2014年10月) |
(外部リンク)
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(外部リンク)
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ニューズレター第7号
(2015年1月) |
ニューズレター第8号
(2015年4月) |
ニューズレター第9号 (2015年10月) |
(外部リンク)
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ニューズレター第10号 (2016年4月) | ニューズレター第11号 (2016年10月) | ニューズレター第12号 (2017年4月) |
都市政策研究所第31回講演会を開催しました。
【日時】 令和2年(2020年)11月27日(金) 午後2時30分~ 2時間程度
【場所】 オンラインによる遠隔開催
【内容】 講演
熊本大学名誉教授 二塚 信 氏
「歴史上からみた新型コロナ感染症」
【講演録】現在作成中です
都市政策研究所第30回講演会を開催しました。
【日時】 令和2年(2020年)8月28日(金) 午後3時~ 2時間程度
【場所】 オンラインによる遠隔開催
【内容】 講演
熊本市都市政策研究所
所長 蓑茂 壽太郎 氏
「感染症によるパンデミックと全国都市緑化フェア2022の間に公園の進化を考える」
【講演録】第30回講演会講演録のページ
都市政策研究所第29回講演会を開催しました。
【日時】 令和2年(2020年)2月11日(火・祝) 午後2時~ 2時間程度
【場所】 熊本市役所14階大ホール
(熊本市中央区手取本町1-1)
【内容】 講演
株式会社ヒンメル・コンサルティング代表 斉田 季実治 氏
「いのちを守る気象情報」
【講演録】第29回講演会講演録のページ
都市政策研究所第28回講演会を開催しました。
【日時】 令和元年(2019年)11月14日(木) 午後3時~ 2時間程度
【場所】 熊本城ホール3階中会議室B1.B2.B3
(熊本市中央区桜町3-40)
【内容】 講演
公益財団法人地球環境戦略研究機関(IGES)
理事長 武内 和彦 氏
「SDGsを地域政策に活かす」
【講演録】第28回講演会講演録のページ
都市政策研究所第27回講演会を開催しました。
【日時】 令和元年(2019年)8月16日(金) 午後3時~ 2時間程度
【場所】 熊本市国際交流会館6・7階ホール
(熊本市中央区花畑町4-18)
【内容】 講演
東京都市大学 都市生活学部
教授 坂井 文 氏
「公共空間の利活用とエリアマネジメント」
【講演録】第27回講演会講演録のページ 
都市政策研究所第26回講演会を開催しました。
【日時】 令和元年(2019年)5月24日(金)午後3時~ 2時間程度
【場所】 熊本市国際交流会館6・7階ホール
(熊本市中央区花畑町4-18)
【内容】 講演
熊本大学大学院先端科学研究部
教授 田中 智之 氏
「本当にまちとつながる公共建築とは」
都市政策研究所第25回講演会を開催しました。
【日時】 平成31年2月22日(金)午後3時~ 2時間程度
【場所】 熊本市役所14階 大ホール
(熊本市中央区手取本町1-1)
【内容】 講演
東京農業大学 地域環境科学部 造園科学科
准教授 福岡 孝則 氏
「グリーンインフラを活かした住みやすい都市づくり」
グリーンインフラには様々な定義や考え方があるが、自然の持っている多様な機能を活かし、社会資本整備や国土管理を行う考え方であるといえる。日本の都市はすでに完成しているが、その土地が本来もっている地域資源や環境資源を活かし、どのように一つの場所で防災減災、雨水の管理や生物多様性の向上、健康増進、不動産価値の向上などを達成するのかという問いに対してグリーンインフラは一つの答えになり得る。既存の施策の中にグリーンインフラをどれだけ入れ込めるかという事をまず考える必要がある。という話題を提供頂きました。

第25回講演録
(PDF:1.56メガバイト)
<研究員報告>
「熊本市の下水道事業の歴史的考察-行政史料と市民が目にするマンホール蓋を材料に-」
熊本市都市政策研究所 研究員 木村 領
都市政策研究所第24回講演会を開催しました。
【日時】 平成30年11月22日(木)午後3時~ 2時間程度
【場所】 TKP熊本カンファレンスセンター9階 はなしょうぶ
(熊本市中央区花畑町4-7)
【演題】 講演
熊本大学くまもと水循環・減災研究教育センター
准教授 星野 裕司 氏
「風景から考える社会インフラ」
都市政策研究所第23回講演会を開催しました。
【日時】 平成30年8月9日(木)午後3時~ 2時間程度
【場所】 熊本市役所14階大ホール(熊本市中央区手取本町1-1)
【演題】 講演
考古学者 佐賀女子短期大学名誉教授
高島 忠平 氏
「歴史を観る目・辿る道」
都市政策研究所第22回講演会を開催しました
【日時】 平成30年5月24日(木)午後3時~ 2時間程度
【場所】 市民会館シアーズホーム夢ホール 大会議室
【演題】 講演
上智大学文学部 保健体育研究室
教授 師岡 文男 氏
「ラグビーワールドカップ2019、2020東京オリンピック・パラリンピック
と熊本の地域活性化」
上智大学文学部 保健体育研究室教授 師岡文男氏をお招きし、「ラグビーワールドカップ2019、
2020東京オリンピック・パラリンピックと熊本の地域活性化」をテーマに、講演会を開催しました。
「スポーツとは」といったお話にはじまり、1964年の東京オリンピックを振り返り、2020年のオリン
ピック・パラリンピックを通して日本は世界に何を訴えるのか。熊本においても、ラグビーワールドカ
ップや世界女子ハンドボール選手権など、立て続けに開催されるスポーツイベントをどのように地域活
性化につなげていくのか。また、スポーツとの関わり方として、観戦から参加、そしてその後どのよう
に自身のライフスタイルに結び付けていくのか。といった話題を提供いただきました。
講演録
(PDF:718.7キロバイト)

<研究員報告>
「震災記録誌の作成を終えて-編纂担当者としての知見-」
熊本市都市政策研究所 研究員 清原 邦洋

都市政策研究所第21回講演会を開催しました。
【日時】 平成30年2月8日(木)午後3時~ 2時間程度
【場所】 熊本市役所14階大ホール
【演題】 講演
京都大学こころの未来研究センター
教授 広井 良典 氏
「人口減少社会を希望に
-グローバル化の先のローカル化-」
京都大学 こころの未来研究センター 教授 広井 良典氏をお招きして、
「人口減少社会を希望に-グローバル化の先のローカル化-」をテーマに、講演会を開催しました。
日本は世界に先駆けて「人口減少と高齢化」というテーマを経験しており、他の国も日本を追い
かけるようにそのテーマを経験することとなるため、日本が「人口減少と高齢化」にどう対応して
いくかは、日本にとって意義があるだけでなく、世界全体にとっても意義があり、また、「人口減
少・高齢化」には多くの難題もありますが、人口減少や高齢化をプラスの可能性やチャン