地下水位の現状(はじめに)
地下水位の現況
約30万年前から9万年前まで、阿蘇火山は、4度にわたる大爆発を繰り返し、隙間の多い溶岩を含む多くの火砕流を噴出しました。
その火砕流の上に、水を透し易い火山灰などが降りつもり、熊本地域の約1千平方キロメートルに及ぶ地下水をはぐくむ地層が出来上がりました。
この地層は、隙間に富んだ地質からなるため、雨水を地下に透し易いという特徴があり、染み込んだ水は、水を透しにくい基盤岩や粘土層の上に貯えられ、地形にそって水位の高い方から低い方へと流れています。
阿蘇西麓に降った雨水や白川中流域の水田の水が地下へ浸透し、ゆっくりと流れてきて、熊本の主な地下水となっています。
しかし、この地下水は私たちの目で見ることができないため、熊本市内の20地区に33本、大津町の2地区に2本の地下水の水位を観測するための井戸を配置して、継続的な観測を行っています。
地下水位は常に一定ではなく、1年の内で降水量の多い梅雨時期に水位の上昇が始まり、その後は水田からの地下への浸透水により、稲刈りが始まる秋時期まで上昇が続きます。
そして、秋から冬にかけて、地下水位は緩やかに低下し、翌年の梅雨の前まで低下が続くという変化を毎年繰り返しています。
また、1日の内でも、都市生活が始まる前の早朝が地下水位は一番高く、都市活動の開始とともに下降が始まり、夜になって地下水採取量が減る頃から、地下水位は上昇に転じます。
このように、周期的に上昇と下降を繰り返す地下水位ですが、年単位でこの地下水の上昇と下降の状況をみると、長期的な下降傾向を示しており地下水量の減少を示すものとして、地下水量の保全が必要な状況となっています。
■地下水システム図■