平成20年第1回定例会市長提案理由説明
提案理由の説明に先立ちまして、職員の不祥事について御報告いたします。
去る六日、本市職員が住居侵入容疑により逮捕されました。これまでも不祥事が続く中、職員の意識改革に努めてきたところですが、またしてもこのようなことが起こり、議員各位をはじめ市民の皆様方に深くお詫び申し上げます。
今議会に職員全体の倫理感を醸成するため「熊本市職員の倫理の保持に関する条例」を上程しているところではございますが、今後もこれまで以上に職員の意識改革に努め、市政の信頼回復に全庁一丸となって取り組んでまいります。
引き続き、合併及び政令指定都市実現に向けた動きについて御報告申し上げます。
まず、富合町との合併に関しましては、去る一月三十日に総務大臣による廃置分合の告示が行われ、平成二十年十月六日の合併が決定いたしました。これまでの議員各位の御支援、御協力に対し改めてお礼を申し上げます。今後、合併に向けた準備を着実に進め、新市への円滑な移行ができますよう努めてまいります。
また、城南町とは、一月十一日に「熊本市・城南町合併任意協議会」を設置し、二月七日に第一回協議会を開催したところであります。今後この協議会において、住民生活に関わりが深いと考えられる項目等について協議、検討を行ってまいります。
次に、植木町とは、昨年十一月に「熊本市・植木町の政令市及び合併に関する研究会」を設置して、熊本市と植木町が合併し政令指定都市となった場合、住民の皆様方にとって、どのような効果、課題があるのか等について、事務レベルで研究を行い、十二月二十六日には研究成果の報告を受けました。その後、植木町におかれては、この報告書を基に一月から二月上旬にかけて町政懇談会を実施されたところであります。
さらに、益城町とは、昨年三月から熊本都市圏ビジョンに基づき、両市町間の連携事業につきまして「益城町・熊本市政策連携勉強会」を設置し、事務レベルで検討を行ってきたところでありますが、この度、学識経験者や両市町の各種団体代表者などを構成メンバーとした「益城町の明日と政令指定都市を考える研究会」を一月二十二日に設置いたしました。この研究会は、熊本市と益城町が合併を行い政令指定都市になったと想定した場合の益城町の将来像や住民の皆様に与える影響について調査、研究を行うものであり、今後、三月を目途に研究成果をまとめていく予定としております。
本市としましては、こうした協議会や研究会を通して各町の住民の皆様に合併や政令指定都市についてのご理解をさらに深めていただきたいと考えており、今後も真摯な対応を心がけてまいります。
それでは、当初予算編成にあたっての基本的な考え方につきまして、国の新年度予算案や地方財政計画等も踏まえて御説明申し上げます。
現下の経済情勢につきましては、国において、「景気は、一部に弱さがみられるものの、回復している」との判断が示されておりますが、一方で、サブプライムローン問題や、原油価格の高騰などがあり、先行き不透明感が漂っております。本市におきましても、企業収益の足踏み感に加え、住宅投資や個人消費の一部で回復テンポが鈍化傾向にあり、まだまだ景気回復を実感できるまでには至っておりません。
このような中で、国は平成二十年度予算において、歳出全般にわたる徹底した見直しと最大限の削減を行い、「希望と安心」の国の実現に向け予算の重点化・効率化を行うこととしております。
その概略を申し上げますと、一般会計の予算は、前年度比〇・二%の増、このうち一般歳出は、前年度比〇・七%の増となっておりますが、これは医療、年金などの社会保障関係費等が大幅に増加したことによるもので、それ以外の、例えば公共事業関係費は前年度比で三・一%減となり、文教及び科学振興費も四・〇%の減となっております。
また、地方財政計画につきましては、全体規模は七年ぶりの増加、地方一般歳出も九年ぶりの増加となっていますものの、これは、地方税の偏在是正策として創設された「地方再生対策費」を含むものであり、これを除いて比較しますと、全体規模でマイナス〇・二%となり、給与関係経費や投資的経費など、歳出全体を抑制した計画となっております。
さらに、地方税や地方交付税、臨時財政対策債等の、安定的な財政運営に必要な地方一般財源の総額は対前年度比プラス一・一%と五年ぶりに増額確保されましたものの、地方税につきましては景気回復を前提としており、また地方交付税につきましては、原資となる国税の伸びの鈍化を勘案し、地方の財源不足額を補てんするため、平成二十年度に行うこととしていた交付税特別会計からの借入金の償還を繰り延べした上で確保されたものであります。
それでも、なお、地方の財源不足は五兆二千四百七十六億円と前年度から約八千億円ほど増加しており、地方の財政運営にとりましては引き続き厳しい状況となっております。
このような中、本市の平成二十年度当初予算の編成を行ったところでありますが、来るべき新年度は、現行の「まちづくり戦略計画」、「行財政改革推進計画」の最終年度で総仕上げの年であります。また、本市の目指すべき姿を描き、その実現に向けたまちづくりの基本方針を明らかにする「第六次総合計画」の策定や、「行財政改革推進計画」の見直し、そして、いよいよ富合町との合併を迎え、さらなる合併と政令指定都市の実現に向けた動きを加速しなければならない重要な年であります。
また、九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に向けた熊本駅周辺整備、鉄軌道ネットワークの強化やバス路線網再編などの公共交通への取り組み、中心市街地の活性化に向けた取り組み等、引き続き、本市の将来を方向付ける重要政策課題への対応が求められており、それらの課題を円滑に推進してまいりますため、徹底した事業の選択と集中の考え方のもとに財源の配分を行ったところであります。
それでは、当初予算案の内容につきまして具体的に申し上げますと、まず、歳入面では、その根幹をなす市税につきまして、税源移譲の影響が通年ベースとなることや固定資産税の安定的な増額などにより、一定の伸びが見込まれますものの、地方交付税及び臨時財政対策債がいずれも前年度当初予算を下回る見込みとなり、地方消費税交付金なども減少が見込まれますことから、税、地方譲与税、地方交付税等を合計した一般財源総額は、前年を若干下回る見込みであります。
このように、依然として厳しい財政環境のもとではありますが、燃やすごみ等収集運搬業務、共同調理場給食業務などの民間委託や公立保育所民営化など、新年度が最終年度となる「行財政改革推進計画」の着実な推進はもとより、さらなる財政健全化を目指して掲げた、経常的経費、政策的経費のシーリングの設定や、事務事業の廃止・見直しなどにより財源の確保に努めたところであります。
次に、歳出の面で重点的に取り組んだ事項につきまして、「まちづくり戦略計画」に関連する項目を中心に御説明申し上げます。
まず、『市民協働で築く自主自立のまちづくり』の推進についてでありますが、自治基本条例につきましては、現在検討委員会で御論議いただいておりますが、その推移を見極めつつ、広く市民の皆様方への情報の提供とともに御意見をいただくためのシンポジウムやオープンハウスを開催してまいります。また、市の制度や手続きに関する市民の皆様からの様々なお問い合わせの窓口となるコールセンターは本年六月から本格運用を開始いたします。
次に、これまで自治会に委託しておりました市政だよりの配布事務を民間委託に切り替え、併せて、町内自治振興補助金を見直しますとともに、校区自治協議会を主体とした地域の課題解決への取り組みに対する助成制度を創設しております。
続きまして、ターゲット一の『良好な環境を未来へと引き継ぐまち』でありますが、本市最大の魅力であり、大きな財産でもあります清冽な地下水を守り育て、次世代に引き継ぐため、引き続き地下水保全対策の推進に取り組んでまいります。また、地下水かん養のための白川中流域での水田たん水事業につきましても、地元の御理解と御協力をいただきながら実施してまいります。
さらに、改正した「熊本市地下水保全条例」では、市民の共通財産である地下水を保全するため、市や市民、事業者など、それぞれの役割と責務を明確にしたところでありますが、今後とも市の施設の新設、改築に際しては雨水の地下浸透施設を設置しますとともに、条例の趣旨に則った広報、啓発活動に努めながら、地下水の質と量の保全に取り組んでまいりたいと考えております。
家庭ごみにつきましては、ごみ減量・リサイクル推進基本計画に掲げる減量目標を達成するため、地域拠点説明会やメディアの活用等による啓発に努めてまいります。
また、環境にやさしい交通機関の利用促進につきましても、公共交通機関のネットワーク整備や結節機能の強化などによる利便性の向上を目指し、中心市街地における交通ビジョンの策定に取り組みますとともに、バスサービスの水準やバス交通のあり方についての検討を進めますほか、都市圏における鉄軌道ネットワーク強化に向けた調査や桜町地区の交通結節の検討などを行ってまいります。
次に、ターゲット二の『子どもたちが健やかに成長するまち』でありますが、新年度においては子ども施策の専管組織として子ども未来局を新設し、子育てしやすく、子どもたちの健やかな成長を育む環境づくりに総合的に取り組むこととしております。
そして、いよいよ四月に本市の保健福祉の拠点施設となる熊本市総合保健福祉センター、愛称「ウェルパルくまもと」を開設いたします。保健所、中央保健福祉センターをはじめ、子どもに関する相談を一元的に受ける「子ども総合相談室」や、障害の早期発見、早期療育を目指す「子ども発達支援センター」、健康をテーマに情報を発信し、市民とともに学びあう場となる「ウェルパル広場」などを設置し、安心して子育てができる環境づくりを目指してまいります。
また、妊婦・乳幼児健康診査につきましては、これまで二回であった公費負担の妊婦健診を五回に拡充し、その中で、全妊婦を対象に超音波健診を実施することとしました。さらに、平成十八年度に策定いたしましたひとり親家庭等自立促進計画に基づき、ひとり親家庭の生活環境の改善に寄与するため養育費確保支援員の配置を新たに行います。
このほか、引き続き児童相談所の開設に向けて、必要な人材の育成や調査に取り組むとともに、保育所関係では、平成十九年度に実施した保育需要調査の結果を踏まえた保育所整備計画の策定に取り組み、また、認可外保育所への支援として、医薬品・衛生材料費等を新たに助成対象といたします。
また、児童の小学校における放課後の安全・安心な居場所づくりのため、学校図書館の開放やスポーツ教室の開催などを国庫補助を活用しながらモデル校で実施してまいります。
個を育む学校教育の推進につきましては、中学校における少人数学級・少人数指導に関して検討委員会を設置することとし、また、教員の指導力向上を図るため派遣する授業力向上支援員や教育活動が困難な状況にある学級に派遣する学級支援員を増員いたします。
次に、ターゲット三の『人々が集う元気なまち』でありますが、昨年五月に国からの認定を受けました「熊本市中心市街地活性化基本計画」掲載事業のうち二十六事業について当初予算に所要額を計上しております。
主なものを申し上げますと、まず、魅力ある熊本駅周辺のまちづくりに関しましては、熊本駅前東A地区市街地再開発事業で、建物等の補償費や管理処分計画費等を計上するとともに、平成二十二年度末の完成を目指して本体工事に着手します。また、情報交流施設につきましては、本体工事の進捗にあわせた保留床の取得経費や情報システム設計経費等を計上いたしております。
また、平成二十三年春の九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に向けて、新幹線建設や連続立体交差事業の一層の促進はもとより、熊本駅西土地区画整理事業や関連する都市計画道路の整備等を着実に行ってまいります。
「KUMAMOTOブランド」の確立におきましては、新年度は熊本城築城四百年祭のエピローグを迎え、四月二十日には本丸御殿の落成式を予定しております。この機会を熊本城域のみならず中心市街地の賑わい創出にも繋げるため、落成式当日は市電の一日無料運行を実施し、通町筋をはじめとして地元商店街とも一体となった各種行事を開催いたします。また、本丸御殿落成後には熊本城からの全国テレビ放映も予定しており、本市の魅力を広く全国にアピールしてまいります。
こうした賑わいを一過性のものとして終わらせることが無いよう、四百年祭終了後も引き続き熊本城における催事を開催してまいりますとともに、今後の熊本城を中心とした魅力ある都心の形成を目指し、桜の馬場地区の利活用の検討も引き続き進めてまいります。
また民間が主体となる花畑地区や桜町地区の市街地再開発事業につきましても、事業の進捗にあわせた支援を行ってまいります。
そのほか、韓国・台湾・中国からの観光客誘致に引き続き取り組むほか、九州新幹線全線開業をにらみ山陽道・関西方面での観光PRを拡充してまいります。
そして、「まちづくり戦略」関連分以外につきましても、先ほども申し上げましたが、まちづくりの基本方針を明らかにする「第六次総合計画」の策定に合わせ、都市マスタープランの改訂や熊本市農業基本計画の策定などを行うこととしております。
また、富合町との合併に向け、税や住民基本台帳、都市計画データなど様々なシステムの統合、更新経費や観光案内標識などの整備経費、合併式典経費などを計上しております。さらに、政令指定都市実現に向け、城南町との合併任意協議会経費や、民間と一体となって機運の醸成に取り組むための広報経費、熊本都市圏における産業振興推進経費なども計上しております。
以上が今回の予算編成にあたって特に配慮した事項でありますが、この結果、予算規模は、一般会計において二千七十八億六千二百万円、特別会計では一千四百九十四億八千九百三十二万円、企業会計では八百二十億八千二百五十七万円、一般・特別・企業の各会計の総計は、四千三百九十四億三千三百九十万円となりました。
これを前年度当初予算と比較いたしますと、一般会計はほぼ前年同額、特別会計は二十五・九%の減、企業会計は八・四%の増、総計で九・四%の減となりました。
特別会計が大きく減少しておりますのは、後期高齢者医療制度の創設に伴い、七十五歳以上の方の医療給付費等の事務が広域連合事務とされたことによるものが大きな要因となっております。
それでは、次に部門ごとの主な事業について、御説明申し上げます。
まず、総務部門ですが、「熊本市職員の倫理保持に関する条例」に基づき職員倫理審議会を設置し職員の倫理感の醸成に努めてまいりますとともに、入札契約事務につきましては、入札等監視委員会等により運用状況の検証を続けてまいります。
また、平成十九年度から三年間の期間限定で創設されました、公的資金借入金の補償金免除繰上償還につきましては、財政健全化に資するため可能な限りこの制度を活用することとし一般会計分約十九億円を計上しております。このほか、「熊本市外郭団体助成条例」に基づく外郭団体の自立に向けた助成や、地域経済の活性化とスポーツ振興に資するためロアッソ熊本の運営会社への出資を行います。
市民生活部門では、現在七十二クラブを開設しています児童育成クラブのうち、児童数が七十一人以上となっている大規模クラブを計画的に解消していくこととし、新年度においては七クラブ分の増設等の経費を計上しております。また、熊本城本丸御殿の落成式にあわせ、友好姉妹都市をはじめ相互交流を深めております国内外六都市からの訪問団招聘経費や、サンアントニオ市との姉妹都市締結二十周年を記念して派遣します友好の翼、熊本県人ブラジル移民百周年慶祝訪問団への参加などの国際交流関係経費も計上しております。
健康福祉部門では、後期高齢者医療制度がスタートすることから、後期高齢者医療特別会計を新設し、保険料の徴収業務等を行いますほか、熊本県後期高齢者医療広域連合に対します負担金を計上しております。
次に、平成十八年度末において、六十五億円を超える累積赤字となっております国民健康保険会計につきましては、現在の健全化十ヵ年計画を改訂し、収納嘱託員の大幅な増員を行い、より一層の収納率向上を目指しますとともに、被保険者の負担感にも配慮し平成二十一年度に予定しておりました保険料率改定を二年間繰り延べすることといたしました。また、医療制度改革に伴い特定健康診査や特定保健指導を行ってまいります。
続きまして、地域子育て支援センターにつきましては、現在の十ヶ所からさらに三ヶ所増設いたします。また、本市が雇用する障害者事務補助嘱託員を一名増員して三名とするのに合わせ、新たに障害者就労支援員を雇用し、より円滑な業務遂行を図ってまいります。さらには、ホームレスを一時保護する施設を運営する法人に対して、新たな助成制度を創設いたしました。
次に、環境保全部門では、現在十小学校区で実施しております、燃やすごみ等収集運搬業務の民間委託を十八小学校区に拡大しますとともに、秋津浄化センターにおいても一部運転管理業務を民間委託いたします。また、ごみの最終処分場である扇田環境センターの第二期工事に着手し、平成二十三年度末の完成を目指し新年度は地質調査、実施設計経費等を計上しております。さらに、東部環境工場では引き続き基幹的整備を行ってまいります。このほか、昨年七月に施行しました「熊本市路上喫煙及びポイ捨ての禁止等に関する条例」に基づき、引き続き喫煙マナーの啓発や巡回指導を実施してまいります。
次に経済部門におきまして、商工関係では「熊本市企業立地促進条例」に基づく助成や東京での企業説明会等により、企業誘致に積極的に取り組みますとともに、産業文化会館の入居者に対する移転補償につきましても、平成十九年度補正予算とあわせ所要額を計上しております。
観光振興関係では、本丸御殿の落成にあわせ各種行事を幅広く展開しますほか、動植物園におきましては、エントランス・ホッキョクグマエリアの改修などの再編整備に、引き続き取り組みますとともに、夜間の動物の生態観察を目的としまして、夏休みの土曜日に夜間開園を実施いたします。
また、競輪事業会計では、さらなる収益の確保を目指して、サテライト車券売場を本年三月には鹿児島県阿久根市に、そして、五月には鹿屋市にそれぞれ開設する予定としており、補正予算とあわせ関係経費を計上いたしております。
農林関係では、農業の多面的機能を維持するため、中山間地域への支援を引き続き実施しますとともに、国・県の補助制度を活用し、事業完了した県営のほ場整備事業に要した地元負担に対する支援を行ってまいります。
水産関係では、松尾地先においてアサリ漁場の整備を実施いたします。また、昨年九月に開所しました熊本市水産振興センターへ四月から水産振興課が移転いたします。今後、地元関係者の方々とも、より一層の連携を図り、さらなる水産振興を目指してまいります。
次に都市建設部門について申し上げます。まず、都市計画関係では、用途地域の見直しに向け詳細調査を実施しますとともに、市街化調整区域における集落内開発制度導入に向けた検討や、合志市と連携した北熊本サービスエリアでのETC専用のスマートインターチェンジの設置に向けた検討を進めてまいります。
都市交通関係では、交通局が導入いたします超低床電車の車両購入費に対する助成に加え、まちづくり交付金を活用し路面電車優先信号システム整備にも取り組んでまいります。
さらに、建築関係では、本年度策定いたします耐震改修促進計画に基づき、特に優先して耐震化を図る必要のある民間の木造建築物や、緊急輸送道路沿いの特定建築物の耐震診断費用に対する支援制度を創設いたしますとともに、公共建築物につきましても未診断の特定建築物につきまして耐震診断を実施することといたしました。
次に、消防部門では、政令指定都市以外での開催は初めてとなります「第十七回全国救急隊員シンポジウム」の開催経費を計上しておりますほか、消防司令管制システムの機器更新や救助工作車の更新を行うことといたしております。
次に、教育関係についてですが、まず、学校教育関係では、学校においての食育推進の一環として、食育指導資料集の作成に取り組むほか、新たに三共同調理場において民間委託を実施いたします。
また、小・中学校施設の整備につきましては、力合小学校分離新設校建設用地の取得を行いますとともに、優先度調査を踏まえた学校耐震診断を進め、改修に向けた設計業務に着手いたします。
生涯学習関係では、生涯学習指針の改訂に取り組みますほか、図書館の機能充実のため書庫の増設を行うこととし、また、老朽化が進んでおります博物館のプラネタリウム設備の更新に向けて、調査・検討を進めることとしております。
また、「世界女性スポーツ会議くまもと」の開催を機に締結しました、「JOC・パートナー都市協定」の成果といたしまして、アクアドームを練習会場とします、ドイツ水泳代表チームの北京オリンピック事前合宿を招致いたします。
以上が一般会計及び特別会計の説明でありますが、これを賄う財源として、市税、地方交付税等の一般財源をはじめ、それぞれの歳出に見合う国、県支出金等特定財源を充当いたしております。
次に、企業会計について申し上げます。
まず市民病院会計につきましては、周産期母子医療の整備、がん医療の充実、生活習慣病医療の充実、救急医療の推進など、信頼される医療の提供に努めますとともに、引き続き、「熊本市民病院経営改善計画」に基づいてさらなる経営改善に取り組むことといたしておりますが、特に新年度は患者の皆様の利便性向上を図るためクレジットカードによる医療費支払いにも対応いたしますほか、南館の耐震補強調査を実施いたします。
次に、水道事業会計では、「熊本市水道事業経営基本計画」における施策体系であります、「安心して使える水道」、「おいしさを届ける水道」、「災害に強い水道」などの基本方針に基づき、引き続き経営の健全化に取り組んでまいりますが、新年度においては、平成二十一年度の上下水道組織統合に向けた所要の準備経費及び新庁舎建設の予備調査経費を計上しますとともに、計画最終年度となる第五次拡張事業など安定した水道水供給のための事業を着実に推進してまいります。
次に、下水道事業会計では、「熊本市下水道事業中長期経営計画」に基づき平成二十年度末の普及率八十六・五%の達成に向けて、建設改良費約八十五億円を計上し着実に事業を展開してまいりますとともに、上下水道組織統合に向け水道局敷地への仮庁舎建設経費や電算システムの再構築経費を計上しております。
また、経営健全化に資するため、約九十三億円の補償金免除繰上償還を行います。
次に、交通事業会計ですが、軌道事業につきましては、二編成四両の超低床電車を新たに導入しますとともに、年末にはイルミネーション電車を運行するなど、利便性が高く魅力ある市電の運行に取り組んでまいります。
また、バス事業につきましては、バス路線の再編に向けまして、「楠城西線」・「画図線」の二路線を本年四月から民間事業者へ移譲いたしますとともに、平成二十一年度に予定しております本山車庫所管分の面的移譲につきましても協議を進めてまいります。
続きまして、条例その他の議案のうち、主な条例について御説明申し上げます。
まず、先程も申し上げました「熊本市職員の倫理の保持に関する条例」の制定についてですが、これは、職員の度重なる不祥事の発生という、誠に重い事態を打開するためには、職員の一人ひとりの倫理意識を高めることが肝要であり、本市職員としての倫理の原則を明確化するとともに、倫理の保持に必要な事項を定めるため、この条例を制定するものであります。
次に「熊本市企業立地促進条例」の一部改正についてですが、これは、本市への企業の立地促進をより一層図るため、新たに投下固定資産に対する補助金を創設し、また、正社員に対する補助を手厚くするなどの制度改正を行い、補助限度額を五億円から二十億円に増額するものであります。
その他の議案につきましては、末尾に簡単な理由を付しておきましたので説明を省かせていただきます。
最後に、平成十九年度の補正予算につきましては、一般会計では、城南町との合併任意協議会、益城町での研究会、それぞれへの負担金や、本丸御殿落成に合わせて実施いたします、中心市街地での賑わい創出を目指した各種行事の準備経費、産業文化会館の入居者で移転を申し出られた方への補償料などを計上しております。また、特別会計では、医療費の増加等に伴う国民健康保険会計の増額など、決算見込みによる過不足調整等を計上しております。
そして、新年度予算の中でも申し上げました補償金免除繰上償還につきましては、平成十九年度分として一般会計、水道事業会計、下水道事業会計合わせて、総額約百八十五億円を計上しております。
以上で説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議の上、御賛同いただきますようお願い申し上げます。