【市長発表:熊本市庁舎で発生した火災について】
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市長記者会見の様子 |
昨日12月18日午前3時40分ごろ、熊本市役所10階フロアで火災が発生いたしました。午前5時半ごろには鎮火しましたが、その影響で10階フロアに保管しておりました市民の皆様からの各種申請資料等の一部を焼失した可能性がありますほか、パソコン等の備品が使用不能となりました。熊本市の大切な財産をこのような形で焼失し、多大なご迷惑とご心配を市民の皆様におかけいたしましたことに心からお詫び申し上げたいと思います。本当に申し訳ありませんでした。復興業務をはじめとして市民の皆様の生活に関わるサービスに影響が出ないよう、一刻も早く復旧をするように目指してまいりたいと思っております。なお、この火災の影響によりまして、現在10階フロアは立ち入り禁止となっております。本日から4階モニター室に臨時窓口を設けまして10階各課の業務を行ってまいりたいと考えております。市民の皆様にはご不便をお掛けいたしますが、ご用の際は4階モニター室へお問い合わせいただきます等お願い申し上げたいと思います。
それから、出火原因についてでございます。トラッキングと言いまして、コンセント等の埃が積もって出火する、もしくは配線ショートによる電気系統の不具合の可能性が高いと考えられておりまして、事件性はないとの報告を受けております。なお、出火原因と思われる物品につきましては警察が持ち帰り検証していただいているところでございます。
消失している書類がどのような物があるかということですが、10階フロアには様々な資料がございまして、どの資料が焼失したかという確認をする必要がございます。例えば、健康福祉政策課の業務で言えば市営墓地の管理運営を行っておりまして、この業務に関する紙資料が燃えている可能性がございます。また、10階フロア全体に水がかかっておりまして、健康福祉政策課以外の影響についても現在調査をしているところでございます。
市民サービス業務への影響につきましては、各区役所の担当部署が行っておりまして、基本的には影響がないと考えております。り災証明書関係業務につきましては、サーバーが別にありまして、各区福祉課で申請を受け付け、証明書を発行しているため特に影響は出ないと考えております。
職員が深夜のこの時間帯に一人で残っていたことについてでございますが、業務繁忙期で年末ということもあり、遅くまで職員が残って業務に就くことはあるということでございますが、日中の時間帯を電話対応、一般の市民の皆様からのお問い合わせ等々を受け付けているような課におきましては、土日に出勤して通常業務を行っているということもあるようでございます。今回第1発見者となりました職員につきまして、本日の午前中に私も直接面接をいたしました。当時の状況ですが、当日の午前11時から17時まで時間外勤務命令が出されておりましたが、昼の時間でこの業務が終わらなかったために、夜の時間外勤務命令は出ていなかったんですけれども、本人の強い責任感のもと、締め切りの月曜日に間に合わせたいという強い責任感もあり、自ら出勤したとのことでありました。今の時期は議会対応、予算編成、また各種申請の申し込みが集中するなど、業務多忙ではあったかもしれませんが、深夜の時間帯に残業するということについては、見直しの徹底をして特に1人の職員に負担がかかることがないように今後全庁を挙げて徹底してまいりたいと考えております。
また、今後の対策につきましては、先ほど午前8時40分から臨時の庁議を開催いたしまして、本日中に全庁的に全ての配線類のチェックと清掃を行うよう指示をしたところでございます。なお、その後の点検につきましては、消防局職員の立会いのもと、確認を行うようにしております。また、併せて現在閉館している施設等につきましても、順次確認するように指示したところでございます。私からは以上でございますが、今回の火災によりまして市民の皆様に多大なご迷惑をおかけしたことを改めて市長としてお詫びを申し上げます。本当に申し訳ございませんでした。
【質疑応答】
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市長記者会見の様子 |
【記者】今朝の臨時庁議で出た具体的な防止策ですとか、もう少し詳しく教えてください。
【市長】今回の臨時庁議で話をしましたのが、この火災の原因についてです。長年のごみが溜まってトラッキング現象が起こってしまったということは、どのセクションで起こってもおかしくないことでありますので、全庁的に徹底的に確認をすること。例えば、健康福祉部門はそうですけれども、非常に書類が多いセクションでもありまして、焼け跡を見ていただければわかると思いますけれども、かなり狭いということもあって、タコ足配線があっているようでありますので、そういったことも電気系統の不具合の原因になったということですので、これを今日中に全て改めるように指示を出させていただきました。それから、庁舎の管理の中で、本庁舎もかなり古くなってきております。もともと構造上、新たなパソコンであるとか、いろいろな機器を設置するということは、建設した昭和50年代には想定されていませんので、対応できていない部分に関しては配線であるとか、そういう部分もきちんと確認をするよう指示しております。あとは、遅い時間帯に職員が出ていたということがあります。休日夜間の入退室につきましては、セキュリティの観点からも今後厳しくしていくということで管理を徹底するように指示したところであります。職務上、これから予算編成の時期に入ってきますと、財政課あたりの職員は非常に遅くまで残って業務しているということもありますので、そういったところも改善できる点は改善するという全体を見直す契機にもするということで、火災の予防の部分と、業務のあり方の見直しの部分、庁舎全体の管理セキュリティの部分をしっかり確認するようにということで指示したところです。
【記者】焼失した書類ですけれども、一部には市民からのご協力が無ければ復元できないものもあると思いますが、そういう部分はどうされますか。
【市長】何が復旧できるか、あるいはサーバー上に残っているということで大丈夫なのかということと、市民の皆さんに協力していただかないと復旧できないような資料の確認作業をさせていただいているところでございますので、全体の把握を急ぐように指示しております。これができ次第、市民の皆さんにお知らせいたします。例えば先ほど申し上げましたとおり、墓地の部分であるとか、入力内容がサーバーに残っていない場合には、そういったものもきちんと確認作業をして突合し情報として、もう一度保管をする必要があると思っております。
【記者】今想定される中で、まだわからないと思いますが、支障が出そうな可能性があるものはどういったものがあるんでしょうか。
【市長】コンピュータのサーバー上に様々なデータが残っているということ、それから証明書類の発行であるとか市民の皆さんに直接影響のあるような業務は、全て区役所で行っているということもありまして、特段市民の皆さんの生活、あるいは復興業務に直ちに影響があると言えるものはないと確認しております。おそらく影響があるとすれば、情報セキュリティのポリシーも持っておりますので、基本的には個人情報のデータ類はサーバ―で一定のところで管理するということで厳重になっておりますので、そこの部分については、ほぼ問題はないのではないかということであります。例えば、人事情報です。これから人事異動の季節でもありますので、ヒアリングをしたりして、課長なり所属長が個人的に入力をしていたとか、そういうことに関しては内部の事務ということでパソコンにしかデータがないという可能性もありますので、そういったものについては多少影響があるかもしれませんが、それは再度確認すればいい話ですので、そこまで大きな影響はないと現段階では聞いているところです。
【記者】来年度の予算編成の時期でもありますが、それがずれ込むとか、その辺の影響はありますか。
【市長】予算への影響については、極力いろいろな予算査定の時期を考えて調整するしかないと思いますので、今回影響がなかった部門から先にチェックをしていきます。福祉部門である程度今回の火災で影響があった部署に関しては、時期的なものも含めて各局で調整をしながらやっていくということになろうかと思いますので、直ちに影響があるというふうには言えませんけれども、できるだけそういったものに影響しないように一日も早い復旧に努めていきたいと考えております。
【記者】健康福祉政策課は、今日から受付が始まっています一部損壊の義援金の支払いの担当もされていると思いますけれども、これの処理が遅れるということはないですか。
【市長】各区で受付させていただきますので、直ちに問題があるとは思いません。
【事務局】支払いは生活再建支援課の方でします。
【市長】復興部の生活再建支援課というところがございまして、そこが担当するということになりますので、そういうことで特段の影響はないと考えております。逆に、影響が出ないように他のセクションとも協力をしながらやっていきたいと考えます。先ほどの共同通信社さんの質問で漏れていましたが、今日の臨時庁議の中で業務をしっかり区役所等々でカバーしながらやっていくように指示を出しておりますので、その辺の影響は最小限にできるのではないかと考えております。
【記者】働き方の問題で、市長としてこういう働き方の実態は把握されていたのかということと、今後どういう形で実態の改善に繋げてきたいですか。
【市長】一つは、議会、予算編成の時期というのはセクションによって変わりますけれども、かなり遅くまで残業する実態があったということは私も承知しております。ただ、そこについてはフレックスに、例えば翌日に休養を取るとか、翌日は午後から出てくるとか、そういう調整はある程度なされていると聞いておりました。私も県議会議員時代に県庁でも予算時期というのは財政担当も遅くまで残ってかなり過酷な状況があったというようなことも見ておりましたので、市長になってからも業務の全体について、極度に一部の部署に負担がかからないように分散して配慮するようにということで財政局長も含めて話をしておりましたので、以前と比較しますとずいぶん柔軟な対応がなされていると聞いております。ただ、今回ヒアリングをして各局長達からどういう状態なのか聞きましたら、震災以降どうしても復興の業務が重なったものですから、この時期にかなりのしわ寄せがきているというのは事実で、税務の職員、福祉の職員、生活保護関係の職員に関しては、かなり業務が増えているということがあるようでありますので、こういう勤務実態の再点検をして、各局長で改善できるところをしっかり洗い出すように指示させていただきました。私自身も民間企業でも過酷な勤務実態等々が問題になっていると報道等々で存じ上げておりますので、市役所に関しても比較的ワークライフバランスという意味では、これからしっかりリードしていかなければならない行政でありますので、行政職員の今の働き方自体の全体の見直し、効率化、業務の改善も含めて残業時間を短縮したり、そういったことはこの火災が起こる以前から取り組もうということで内部的にはいろいろと協議をしていたところでございました。今後こうしたことが起こらないようにするために、直ちに制限をかけたり、何時までに入れなくするということではなくて、職務の実態と状況に応じて抜本的な改善をしていかないと解決しないのではないかと考えております。
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市長記者会見の様子 |
【記者】事件性はないということでしたけれども、外部の入退庁のチェックをするということでしたけれども、出火時間帯の前後あたりで不審者はいなかったのですか。
【市長】それはありません。その夜間は6名残っていて、1名が10階のフロアに残っていた。それから、守衛職が4名、防災センターに1名の6名だったということで確認できております。以前からセキュリティについては強化すべきではないかと私自身が考えておりましたので、そういうふうにしてまいりたいと考えております。
【記者】現状は市役所は何時から何時まで施錠されているんですか。
【市長】市役所は午後6時に1階フロアが閉鎖されますので、夜間の通用口でしか入退室はできません。ここには守衛がおりますので、そこでチェックをするという仕組みになっております。
【記者】復興業務には影響ないだろうということですけれども、それ以外の課に関しても書類とか各区役所でサーバーの方にデータが入っているということで問題はないということですか。
【市長】全くゼロとは言いませんけれども、概ねサーバーに情報が残っているということでありますので、業務的にはなんとか影響はない範囲であると考えております。もちろん、片付けをしたり職員にもいろいろなプラスαの業務が出てきますので、そういうこともよく考えて今後も10階フロアができるだけ早く正常に戻るようにするということと、しばらくは業務スペースの確保のため執務室を4階に置くということですけれども、会議室の使用等々もできる限り10階を使っている人たちを優先する形でスペースを空けていくということです。場合によっては、民間のテナント等もお借りするということも考えなければいけなくなるのかなとも思いますが、その辺は全体として財政担当部局で調整しているということです。
【記者】市営墓地関係の資料が焼失した可能性があるということですけれども、具体的にはどういう資料ですか。
【事務局】墓地の管理に関わる部分で、どなたがどの場所のお墓を持っているかという登録のデータとかです。サーバー自体は焼けていませんので、こちらに来ていただいてお話ができるかと思います。書類関係についても、燃えてはいませんので確認できるところを確認しているところです。
【市長】ちょっと聞こえにくかったかもしれませんけれども、サーバーに残っているものに関しては、燃えたところが健康福祉政策課のエリアだったということで昨日も説明されたと思いますが、今の担当の話でもありますとおり、サーバーに残っているものと台帳で完全に消失していなくて確認できるものについては確認できる状態かどうかというのをチェックしているということでございます。この辺も市民の皆さんにどういう影響があったのかということをきちんとお知らせするということが重要だと思いますので、適宜分かり次第担当からお知らせをさせていただきたいと思います。
【記者】出火したフロアと残っていた女性職員が同じフロアだったということに関して、第一発見者がその職員の方だったことに関して、不幸中の幸いであったとか、どう思われますか。
【市長】先ほど申し上げましたように、私もその職員と面接をしまして状況の聞き取りをしましたけれども、一人で締め切りに間に合わせようということで夜遅くまでやっていたとのことです。その時に、パチパチという音が聞こえて、フロア内には自分しかいないと思っていたが誰かいるのではと身構えた。そうするとパチパチといったのでもう一度見たら煙が上がってきたので、危険だということですぐに防災センターに連絡をしたということです。本人が気にしていたのが、初期消火の対応を自分ができたのではないかということを考えていたようでありますけれども、それは警察や消防から話を聞きましたが、逆に無理をすると一酸化中毒で命を落とす可能性ということもありますので、すぐに通報して消防に任せたという判断は良かったのではないかと思います。そういう状況だということで私としても本人からも確認をしました。本人が仕事をしていた場所と実際に出火をした場所とが離れていましたけれども、怪我人がいなくて良かったということと、職員も入庁してまだ間もないものですから動揺しないように私からも心配はいらないということを話しました。とにかく命を守るということが非常に重要でありますし、確かにいろいろと消失をしてしまいましたけれども、消防に早く通報することができたことによってなんとか消し止めることができ他のフロアまで広がらなかったということで、これは仕方がないことでありますけれども、私からはそのように話をしたということです。
【記者】出火の原因ですけれども、トラッキングなりショートなりと考える根拠はありますか。
【市長】消防と警察で現場検証をしていただいた結果を私は受けております。
【記者】それがトラッキングだと前提はしているんですか。
【市長】ほぼ間違いないということです。トラッキングや配線ショート。
【記者】そのコンセントなどを持って帰っているということですか。
【市長】そういうことです。警察の方で出火原因と思われる物品の精査をさらにしています。皆さんも報道等でそうだと思いますけれども、火災の場合は断定という言い方はしないようですけれども、十中八九これで間違いないということで私は報告を受けておりますので、そういう意味で事件性もないということで確認しているということです。トラッキングであるとか、配線のショートというのは、複数の機器をたくさん繋げるということになりますので、どこでも起こり得るということになりますので、庁内はもちろんのこと、市民・全国の皆さんもこういう不幸な火災が起こらないように、もう一回確認していただければ幸いだと思っております。
【記者】今回の火災が起こる前にタコ足配線や多重な繋げ方に対する注意喚起は庁内でされていたのですか。
【事務局】地震の後に庁内に注意喚起メールの提示をしまして、地震の後に物とかが倒れてきたら配線を圧迫するものですから、5月7日、8月19日に点検活動をするようにということをやりましたけれども、それについて完了したかどうかの確認、5月の繁忙期に報告書を出すという行為まではしていません。あと、11月11日に消防訓練をさせていただいた際に各フロアの責任者にそういう点検をするようにということはしておりました。結果的にこういうことになりましたので、不十分だったと捉えております。さらに今日実施させていただきます。
【記者】チェックが十分か、不十分かというところで、チェックをしたかどうかに関しては、健康福祉政策課は注意喚起を受けてどうされましたか。
【事務局】消防訓練の際に注意喚起の説明会に参加しまして、その後戻ってから配線関係の確認はしたんですけれども、それが足りなかったと思っております。
【記者】配線関係はチェックをしたということですか。
【事務局】そうですね。タコ足配線とかしないように職員には伝えましたし、埃がかぶっているところとかを見てくれということは伝えました。実際に自分で見たのは数ヵ所だけです。
【記者】指示したということですか。チェックが具体的になされたかどうかということではないということですか。
【事務局】そこまでの確認はとれていません。
【市長】率直に申し上げまして、チェックをした、指示もした、ということではありますけれども、その確認が十分でなかったということであります。要は、徹底しなければ何もならないということでありますので、その点については本当に申し訳なかったと思っております。震災等々がありまして業務もかなりいろいろなことがあっております。フロアも確認が十分にできていないところはないか再確認を今日中に全ての部署でやるということございます。秘書課でも私が朝来たときまでには改善しているということでありました。私が就任してから市長室は全部引っこ抜いて確認をしたんです。私もそういうところは意外と気になる方でしたので、気にはしていたんですが、椅子の下にコードを踏んづけてしまったりとか、配線類でケーブル自体が劣化したり、いろいろな要因が考えられるようですので、今回、消防から全てのフロアをチェックしてもらうということで、ちゃんと指示を出し各所属でチェックをし、さらに最終的に確認を消防でしてもらうということで、念を入れるということで再発防止に努めていきたいと考えております。記者の皆さん方がおっしゃるとおり、不十分だったと思われても仕方がないということについては、私も大変責任を感じておりますので、大変申し訳なく思っております。
【記者】財産の被害について、パソコンとか備品とかはどうなっていますか。
【市長】パソコンが約170台で、スキャナー1台、シュレッダー1台、コピー機1台が同フロアにありましたので、そういったものが焼損していると思われます。そういった物の保険の適用もございますので、その確認を昨日の段階でしていたというふうに思います。例えばパソコン等の情報機器に関しては、昨日情報政策課長がパソコンを1台ずつ写真を撮りながら確認しておりましたので、求償できるものはそういったものでお願いしたいと思いますが、それができないものに関してはこれからまた調達をする等必要がでてきますので、ご迷惑をおかけするところです。
【記者】警察が持っていった部品はどういったものですか。
【事務局】現場検証の時は立入禁止でございまして、関係者を一人ずつ呼んで、最後にビニールシートに被せて持っていかれたので 普通だったら点検すれば分かるんですけれど燃えた後の部分ですので、配線類とかコンセントとかそういった類のものやパソコンも一部持って行かれたかもしれないですけれども、発火の可能性があるものを包んで持って行かれたということです。
【記者】何を持っていかれたかというのは把握していないということですか。
【事務局】そういうことです。
【市長】先ほど私からも申し上げましたとおり、出火の原因と思われる物品を警察の方で持って帰られたということであります。
大変いろいろご迷惑をおかけしましたけれども、年の瀬で火災の多い時期になりますので、皆様におかれましても十分気を付けていただきますようお願いを申し上げます。本当に申し訳ありませんでした。
(終 了)