平成29年7月26日 定例市長記者会見
【市長報告:東区画図町下無田の不発弾について】 | 市長記者会見の様子 |
会見の前に、一昨日発見されました不発弾についてご報告いたします。
これまで報道されておりますとおり、不発弾は、全長1m、直径40cmの焼夷(しょうい)弾で、底部に信管が残っていることが判明しております。既に自衛隊において爆弾が作動しないよう安全措置を施しており、通常の状態では爆発の危険性はなく、現時点では周辺住民の方々の避難の必要はありませんので、ご不安を感じる方もいらっしゃると思いますが、どうか落ち着いて生活をしていただければと思います。
なお、現在、この信管の除去に向け、本市をはじめ関係機関で協議しているところでございまして、詳細が決まり次第、皆様にご報告させていただきます。
それでは、会見に入らせていただきます。本日は、報告とお知らせがそれぞれ2点ございます。
【市長報告:「まちづくりセンター」の活動状況について】
まず、本年度から各区に設置しました「まちづくりセンター」の活動状況についてご報告いたします。
今後の更なる人口減少や少子高齢社会の到来、地域コミュニティの希薄化等を背景として、地域の様々な課題に対応するためには、自助・共助・公助の仕組みづくりを進め、情報共有の下、参画と協働による自主自立のまちづくりにより、地域力の維持・向上をめざすことが必要であると認識しています。
そのため、本年度から、地域の自主自立のまちづくりを支援する体制を強化する目的で、一部の出張所等を再編し、新たに17ヵ所のまちづくりセンターと49名の地域担当職員を配置し、地域での活動を開始したところです。
地域担当職員は、いわゆる行政の「営業マン」として、地域の最前線におり、相談窓口、地域情報の収集、行政情報の発信、地域コミュニティ活動支援の役割を担うこととしています。 | 市長記者会見の様子 |
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4月にスタートしてから7月20日までの時点で、道路・公園など都市整備に関すること、ゴミなどの環境・緑化に関すること、まちづくりの担い手不足等の地域活動に関することなど、846件の相談・要望を地域に出向いて伺ってきております。
この内、既に7割以上については解決に至っており、残る3割についても、今後一層努力してまいりたいと考えております。なお、これまでの取組みを通じ、市民の皆様からも行政が近くなったという声を数多くお聞きしているところです。
また、まちづくりセンターによっては、まちづくりの担い手不足という地域の課題を捉えて、公民館講座を活用した地域人材の育成に取り組むなど、課題解決に向けた事業を始めたところや、企業と連携し子ども達の体験型ワークショップで地域の魅力発信に取り組むなど、工夫を凝らした事業を実施するところも出てきております。
さらには、地域担当職員は本来、地域におけるコーディネーターとしての役割も担っていることから、この後にご報告します、7月22日(土)開催の「あなたが創るくまもと 復興ミーティング ’17夏 」でも、グループワークの取りまとめ役を行うなど議論の活性化に積極的に貢献したところでございます。
一方で、地域担当職員がお受けした様々な相談・要望をできる限り速やかに施策に反映させていく仕組みづくりが必要だということも、この3ヶ月間であらためて課題として認識したところです。 | 市長記者会見の様子 |
そこで、まちづくりセンターが吸い上げた地域ニーズのうち、既存の制度の枠内で解決できるものは、関係部署と連携してスピーディーな対応を行っていくとともに、区役所、本庁関係部署による協議・検討の場を設け、審議経過をホームページに公表、いわゆる「見える化」するなど、地域ニーズ反映の仕組みを構築したいと考えています。 こうした取り組みを通じて、地域と行政がおたがいさまで支え合う気運を醸成し、最終的には市民満足度の向上、上質な生活都市の実現を目指してまいりたいと考えております。
【市長報告:「あなたが創るくまもと 復興ミーティング‘17夏」の開催結果について】
次に、市民の皆様と一緒に熊本地震を振り返りながら、これからの復興まちづくりについて考える、「あなたが創るくまもと 復興ミーティング ’17夏 」を7月22日土曜日に開催しましたのでご報告いたします。
先日の復興ミーティングでは、5月に開催したミーティングの中で参加者から出された、地域力を高めていくために「変えていきたいこと」に関するアイデアをもとに、市で作成しました事業プラン(案)について、実際に地域で活用するという立場で意見交換を行っていただきました。
地域の交流やつながりの場を作りたいという意見を受けて、作成した事業プラン(案)の「地域カフェ事業支援」に対しては、様々な世代が参加できるよう、学校の授業の一環として、子ども世代だけでなく、親の世代も一緒に交流してみてはどうか、さまざまなテーマでカフェを開催し、外国の人々とも関われるようなイベントにしてみてはどうか、というアイデアなどをいただきました。
また、SNS(LINE等)を活用した情報発信の事業プラン(案)に対しては、高齢者をはじめ、使い慣れていない人のために、大学生など若い世代が講師となり、使い方説明会や講習会をしてみてはどうか、そういった講習会を通じて、世代を超えた交流にもつながる、とのアイデアなどをいただきました。
実際に、復興ミーティングの場でも、同じグループ内の若い世代と高齢者との間でSNSの使い方を教え合う姿を見かけました。
今回、事業プラン(案)に対する意見やアイデアをもらうことを目的として開催しましたが、この復興ミーティングそのものが「つながり」や「世代を超えた交流」の場となって、新しい交流ができていました。
今回、いただいた意見やアイデアは、事業プランに反映させ、事業化していく予定としております。
【市長発表:熊本市動植物園の復旧状況並びに夜間開園の開催等について】
次に、熊本市動植物園の復旧状況並びに夜間開園の開催等についてお知らせいたします。
熊本地震で被災し休園していた熊本市動植物園は、被災の少なかったエリアを今年2月25日(土曜日)から土曜、日曜、祝日に限って再開し、「部分開園」でありながらも、これまで多くの方々にご来園いただいております。
復旧状況としては、まず、植物園施設をはじめ、駐車場や管理事務所の工事が5月までに完了しました。現在は正門部分や園内の排水管について引き続き復旧工事中であり、また、今月12日には文部科学省の災害査定も終わり、猛獣舎などの動物舎についても来年春の全面開園に向け、工事発注に向けた準備を急いでいるところでございます。
そして、これらの復旧工事を後押しするものとして、多くの方々に「復興応援サポーター」になっていただき、部分開園の再開日からこれまで約900万円ものご寄附をいただいております。
あらためて、サポーターの皆様には心より感謝申し上げます。
なお、6月30日からはサポーターの振込口座を開設いたしました。また、8月12日、13日にはサポーター向け見学会も予定しております。
引き続き、皆様からの温かいご支援をお願い申し上げます。 | 市長記者会見の様子 |
一方で、動植物園では、毎年この時期に「夏の夜間開園」を開催してきましたが、昨年は臨時休園で開催できず、その開催を望む声が多く寄せられておりました。
そのため、そういったご期待に応えるべく、本年は8月19日、26日、9月2日のいずれも土曜日(3日間)に、開園時間を午後9時まで延長して開催することといたしました。
震災からの復旧・復興が最優先事項となる中、限られた予算内でという制約はありますが、例えば職員が提灯を手作業で園内に取り付け、また、中央ステージでのイベントもボランティアの方々にお力添えをいただくなど、楽しめる空間となるよう準備を進めております。
この機会に、夜の動植物園で少しでも涼しく過ごしていただきますとともに、夏の思い出づくりにもなればと考えております。
多くの皆様のご来園をお待ちしております。
【市長発表:熊本城二の丸広場観覧区域の一部拡大について】
最後に、熊本城の二の丸広場における観覧区域の一部拡大について、お知らせいたします。
ご承知のとおり、熊本城では、現在、有料区域の全て及び西出丸など無料区域の一部において立入規制を実施しており、来場者の皆様には二の丸広場や加藤神社などから被災した天守閣や宇土櫓などをご覧いただいている状況にあります。
震災から1年以上が経過した今なお、国内外から多くの皆様にお越しいただいている中、今月13日には二の丸広場に通行路の設置を行い、観覧環境の改善を図ったところですが、更に少しでも間近でご覧いただけるよう、立入規制区域の各所において開放が可能かどうか検討を行ってまいりました。 | 市長記者会見の様子 |
その結果、配布しております資料のとおり、二の丸広場の3箇所について、来場者の安全が確保できると判断し、8月1日(火)の午前9時から開放いたします。 この二の丸広場観覧区域の一部拡大により、元太鼓櫓(もとたいこやぐら)の崩落した石垣や、隅石で頑張っている戌亥櫓(いぬいやぐら)、催し物広場に並ぶ石材をより間近でご覧いただけるようになりますので、是非、多くの皆様に今しか見ることのできない熊本城にお越しいただきたいと考えております。
なお、今後も立入規制区域の開放については引き続き検討を行い、安全が確保できる箇所については順次開放していきたいと考えており、適宜お知らせしてまいります。私からは以上です。
【質疑応答:不発弾処理当日の本市の対応について】 | 市長記者会見の様子 |
【記者】不発弾の件なんですけれども、信管を取り出す作業の時は周辺150m以内の世帯には避難指示を出されるということで、文書で対応するというように伺ってはいるんですけれども、当日の熊本市の対応というのはどんな風に動かれる予定ですか。
【市長】当日はどういう形になるかというのは、これから手順を決めて関係の皆さんと協議していくということになりますけれども、まず本市としては、来週早々にも本市の不発弾処理に関する対策本部会議を立ち上げまして、処理に向けた動きを加速させるということでございます。その中で当然この不発弾の処理については、自衛隊の専門の皆さんにお願いすることになりますので、そちらの指示に従いながら、私たちとしても適切に市民の皆さん、地域住民の皆さんに危害が及ばないように、十分な周知をして慎重な対応をしていきたいとこのように今考えているところでございます。現地においては24時間の監視態勢を取って、住民の皆さんの安全確保に努めているところです。既に安全対策の処理という形では、自衛隊でも行っていただいているところでございます。もちろんご不安にならないよう、そして信管を取り除くまでの間に現状を安全な状況のまま保全していく必要がありますので、その点については本市としても厳重に行っているところです。既に、熊本市不発弾処理警戒本部が設置されておりまして、処理に関しての関係機関との調整等は既にリアルタイムで行っているところであります。
【質疑応答:熊本城二の丸広場観覧区域の一部拡大について】
【記者】熊本城の開園範囲が少し広がるということなんですけれども、今少しずつ海外からのお客様も戻りつつあるということですので、より近くから見られるということは、すごくありがたいことだと思うのですが、近くに行ったことでプラスして何か展示するという話は出ていたりしますか。説明書きとか、ボードとかご用意されていると思うのですが。
【市長】例えば、加藤神社のところに行きますと、グリーンのフェンスがあってそこに宇土櫓の説明だったり、被災状況の説明だったりが書いてありますから、当然こういう各場所で、フェンスには例えばこの場所がどういう形なのかとか、どういうものなのかとか、復旧状況がどうなのかというような、ある程度の解説というのは今後考えていくということになろうかと思います。まずは、安全な場所が今回確認できたということがありますので、できるだけ近づいていただくと、ちょうど二の丸広場から頬当御門にいつも行くところの西大手門にずっと繋がる元太鼓櫓とか、あの辺がかなりずっと崩れていますが、近づいて見ることがなかなかできずに、今までお堀の手前のところでフェンスがありました。これも確認してもう少し内まで入っていただけるということですので、入っていただくことによって、当時の被災状況の凄まじさということも見ていただけると思いますけれども、それと同時に、またこれからの復旧・復興に向けて、私たちが取り組む事についても多くの皆さんに理解していただけると思いますので、それからそういうものをバックにして、例えば今しかこの場所で写真や動画が撮れないとか、そういったことは意識しながら、できるだけこの復旧過程を段階的にお見せしていくということも、ある意味では震災のダメージを逆手に取って、観光面でと言いますか、いろんな面で人が今来なくなっているこの熊本城に、多くの人が足を運んでいただけるきっかけにできるんではないかというふうに思っておりますので、今記者さんからご提案がありましたように、そういう解説を付けたりとか、いろいろな取り組みは積極的にやっていきたいというふうに考えております。
【記者】解放区域はこれから徐々に広がっていくのかと思うんですけれども、安全性の確保ということの、その点検の方法とか対策というのはどういうふうに行いますか。
【市長】今熊本城総合事務所で常駐の警備の方もいらっしゃいます。それから常に点検しておりますし、余震もあったりしていますので、石垣の状況の変化であったり、櫓類とか重要文化財等々の被災した箇所のその後の変化とか保全も含めてなんですが、そういったものは熊本城総合事務所で今確認しているということで、必要がある場合には全てそういう安全対策は取っておりますし、相当安全面の対策を取ってきていますので、今回こうした観覧区域を拡大することで、安全面に何か問題があるということは全くないというふうに考えています。
【質疑応答:こうのとりのゆりかごについての国への要望内容と市長の感触等について】
【記者】先般から記者会見でも出ておりました、こうのとりのゆりかごについてなんですが、先日厚生労働省の政務官にお会いになられて、改めて熊本市としてのお考え、要望等をお伝えになったということなんですが、改めてその概要と政務官からの反応を含めた感触というのはどうだったかということ。それとこういった改めての機会を踏まえて、今後の熊本市としてのこうのとりのゆりかごに対しての向き合い方をお願いします。
【市長】まず、第43回の指定都市市長会議が先般行われましたけれども、この際に議題として私からも提案させていただいて、望まない妊娠あるいは計画しない妊娠、出産で悩む人々への十分な対応を図る体制整備に関する指定都市市長会の要請ということで、3つの点について要請項目を掲げたところでございます。一つ目が、全国からの相談や預け入れが昼夜を問わずこの慈恵病院に行われていることを踏まえますと、望まない妊娠、それから計画していない妊娠、出産で悩む人々が多数いらっしゃいますが、そういう相談がしやすいように24時間365日の対応の電話及びメール等、相談窓口を国において整備していただいて、その周知を行っていただきたいということがまず一点目でございます。そして二点目としましては、この指定都市をはじめとした自治体において、妊娠や出産に関する相談体制の整備・強化に向けた積極的な取り組みを推進することができるように、相談体制の整備であるとか、人材育成、こういった面に係る経費など、そうした面での十分な財政的支援を行っていただきたいということ。それから三点目が、望まない妊娠でありますとか、計画していない妊娠で悩む人々の救済、生まれてくる子どもの権利の両立が図られるように、諸外国で導入されている内密出産制度や類似の制度に関する調査を行って、我が国に適した法制度の整備について速やかに検討を開始していただきたい、こういうことを指定都市市長会議の中で要請文として決めまして、7月20日の国への要請ということで厚生労働省の馬場政務官に要請させていただいたということでございます。具体的にこれまで10年間の間に130件の預け入れがあったということ、それから熊本県外の預け入れが非常に多いということ、また相談の電話等々も含めてですけれども、件数が6,500件以上ということで、それが慈恵病院にかなりの割合で集中しているということ、こうしたことについて、国としてもその現状やこの10年間の推移というのをしっかり受け止めていただいているというふうに思いました。もちろん、何かすぐ解決策があるということではないわけでありますので、子どもがこうのとりのゆりかごのような施設に預け入れられるその手前の段階の相談体制の充実というのが、極めて重要だということの認識が国とも一致して、我々の考え方というのも受け入れていただいているというふうに思います。しかも今回指定都市市長会として要請したということは、かなり重く受け止めていただいているというふうに感じましたし、私たちはこれからこれが終わりではなくて、これまで10年間熊本市とそれから慈恵病院、熊本県も含めていろいろなこうのとりのゆりかごに関わってくる中で、全国的な問題として捉えていただくという努力は、設置されている自治体としても全力を挙げて頑張っていかなければいけませんし、また徐々に指定都市市長会議等々でも話題に挙げることによって、各指定都市あるいは自治体の長の皆さんがこうした課題について認識していただくことというのがより深まっていくように頑張っていきたいと思っています。やはり究極の目標というのは、内密出産制度も含めた様々な制度、あるいはこれまで紆余曲折あってきたドイツでのベビークラッペ(2000年に設置された「こうのとりのゆりかご」のモデルとなった施設)であるとか、こういったものの様々な議論について、ドイツではある程度国での検証がされているということでもありますので、これは我々設置されている自治体としても検証作業を行いますけれども、これは国も入っていただく形で検証していただくということが非常に重要だというふうに思っています。今ドイツの内密出産制度の問題についても、これも3年間で大体報告というか検証が行われるということで、それが今年ドイツでも検証が行われるということでもありますので、その点については馬場政務官からもドイツの状況をよく調査してみたいというようなお話も実際ございましたので、国としても熊本の事例の検証、それからドイツでの事例の検証というのは、今後かなり前向きに考えていただけるのではないかなという、そういう感触を受けました。
【質疑応答:災害訓練等における障がい者の参加について】
【記者】県外の話にはなるんですけれども、相模原での障がい者施設での殺傷事件から1年経ちました。本当に生活していく中での現実の部分としての、共に生きていくというその感覚を培っていっていないような人たちもいるというところを、去年私たちも感じたところであったんです。熊本市内で考えますと、今年に入って4月頃、大西市長のもとに知的障がい者の親御さんですとか団体がいらして、災害弱者となられた部分も含めてですね、災害の訓練ですとか、そういったところに参加できるように自治体としても考えてほしいという要望があって、市長も前向きに受け止めていらっしゃったと思います。ただ実際にその数日後に行われた大規模な災害訓練の時には、それがあっていることすらも結局知らされていなかったというお話を聞いているんですね。今度また北朝鮮のミサイルに対応する訓練を予定されていると思うんですが、そういった部分で障がい者の皆さんを含めての訓練への参加、そのあたりについて市長の思いというのを聞かせていただいてよろしいでしょうか。
【市長】まず前段で今ご質問頂いた相模原のやまゆり園での痛ましい事件が起こったということについては、障がい者と共に生きていくという部分、障がい者に対する理解という部分、こうしたものをより深めていかなければいけない、という非常に大きな問題を投げかけていると思います。障がい者への差別に関し、こういったものを禁止する法律なり、それから各自治体でも条例なりこういったものができている中で、なかなかそういった障がい者の皆さん方の当事者の意識、あるいは立場に立っていくということが非常に難しいものがそもそもあるということを、私たちは改めて行政として認識しておかなければいけないというふうに思います。私自身も、様々な障がい者の皆さん方と交流する機会が議員時代から大変多かったものですから、常に当事者のお話を直接お聞きして、さっきの訓練の話もそうですけれども、いろいろとどこにどういう形で困難なものがあるのか、あるいは配慮なり、合理的な配慮と言いますけれども、合理的な配慮も含めて必要なのかということは、常に私たちは問われているというふうに思います。避難訓練も含めてですけれども、要望いただいた時の後の災害対処訓練というのは、ある程度規模であるとか地域であるとかというのを限定してモデル的な地域であるとかそういうことでやっていましたので、要望いただいたから直ちにそちらに参加していただく、お知らせするということはなかなか現実的には難しかったとは思いますけれども、実際に我々熊本市当局として、この障がいを持った皆さんに対する、例えば災害時の情報提供の在り方であるとか、それから避難・誘導こういったものをどうするべきかというのは、危機管理防災総室も含めてですけれども、危機管理の担当セクションでも福祉部門等と連携しながら今考えているところでございます。秋にも行われるミサイルの訓練と言いますか、全体的にはそういう災害とか危機管理の訓練という意味で、情報伝達であるとか、国からのいろいろなJアラートも含めたそういう情報が来た時に、確実にそういうものが皆さんに届いていくのか、届かない場合にどういう課題があるのかという検証するために訓練を行っていくわけです。その時に常に健常者の目線ということでなくて、障がい者の皆さんがどういうふうに情報を必要とされているのか、入手ルートも含めて、あるいはこちらが届けたつもりでも届いていないというようなことがあります。それから情報の伝達方法も、障がいの種別、障がいの種類や重さによってもその伝わり方というのは変わりますし、伝える手段も変わりますので、そういったところは十分に工夫して、聴覚に障がいがあっても視覚に障がいがない方には視覚的なお知らせもできるでしょうし、やはり逆に視覚障がいの方に対して音声でどのように知らせるのかも含めてなんですが、そういう全体としてお知らせするやり方が、まず一ついろいろ工夫を考えなきゃいけないということ。その時にどういう合理的配慮が必要なのかということは、今後そういう災害対処訓練をする中ではしっかり検証していきたいというふうに思っています。それから当事者の皆さん方がそういう訓練している状況とかに、できるだけ参加していただくような取り組みというのは、今お話がありました通り大変重要なことだと考えておりますので、その辺も危機管理の担当のセクションあるいはそれから福祉の担当セクションともよく話をしながら取り組んでいきたいとこのように考えています。
【記者】大西市長がおっしゃったその行政側の発信の仕方っていうのが一つあるとは思うんですけれども、私先日取材してなるほどなと思ったのが、その知的障がいのあるご家族にお話を聞いていると、例えばバスの中で何か起きた時に、緊急地震速報の音を聞いてとか揺れを感じて知的障がい者は驚いてしまう、パニック状態になってしまった時に、一般の市民の方が居合わせた場合、羽交い絞めにして押さえつけようとしたり、なんとか落ち着かせようとしたりと、その対処の仕方が普段接していないと危機的な状態の時に、命をそういった形で奪ってしまうケースもあるんだということを訴えられて、これはなるほどなと思ったところがあったんですね。そういうところでできれば災害訓練なども参加することで、市民の方々との接点を作りたいというような思いもあるようなのですがこの辺はいかがですか。
【市長】まず災害対処訓練というのを一つの切り口としてご質問頂いていますが、全体としてはあらゆる生活の場面の中で、例えば普通に電車に乗っている時でも、そういう大きな音がしたり、あるいは何らかのことでパニックになってしまうとかということは十分ありえる話でもあります。これは障がいの種別とか障がいの状態、様子こういったものについて一般の方にどれだけ知っていただくことが重要なのかというふうに思います。私も議員時代活動している中で、例えば私が子ども会の会長をしている時に、自閉症のお子さんが、キャンプに参加したいというようなお話がありました。その時に以前はなかなかキャンプに障がいのあるお子さんが来て、結構過酷ないろんな状況がある中で、本当にできるんだろうかということがありました。その時に私は、一旦まず自閉症のお子さんの保護者の方としっかりお会いしてお話をし、それから主治医の先生からもヒアリングをして、さらにその上で専門の特別支援のそういう自閉症に詳しい教育の担当者、こういった人たちからヒアリングして、その上でみんなで共有しました。例えば子どもさんがこのキャンプに参加するということが可能かどうか、それをみんなで議論したんです。議論する場はそれまであまりなかったんですね。まずそれよりは受け付けしていませんとか、そういったところでの門前払いというと変ですけれど、以前はそういうことだったんですが、障がいを持っている方と一緒に活動することは可能ではないかと考えました。例えば自閉症の場合、こだわりの強さとかですね、そういったものがどの程度なのかによっても違うと思うんですけれども、そういったものについても私はこういうデータがあるから大丈夫なんじゃないかなという話をみんなとしました。その時に初めて、自閉症の子どもさんたちが例えばどういう状態にあって、どういうレベルというか障がいの状況があるのかということを初めて知ったという方がかなりいらっしゃいました。実際に一緒にキャンプにも行き、私も同行しました。特段何の問題もなく無事にキャンプを終えることができたんですけれども、もちろん何か起こる可能性もあるということで、常にバックアップをいろいろ考えていたんですけれども、やはり障がいのある皆さんと共に生きるということは、逆に言えばその障がい者の皆さんの様子、状況というのを知ろうとする市民の意欲や力、気持ちですね、やはり他人に寄り添っていこう、他者を理解しようという姿勢というんでしょうか、そういうのが非常に重要だと思います。少し話が飛びますけれども、この前ある航空会社を利用した肢体不自由の方が、車いすの方が利用できないその航空会社のタラップを手で登ったということで、非常にインターネットでも話題になり広まって、賛否両論あり、私もあれを見てびっくりしたところでありますけれども、やはり障がい者に対する理解、それから障がい者の方々が置かれている状況、環境というのを、私たちはもっと積極的に知ろうとする、お互いに本当に共に生きるということは、共に歩み寄るということだと思うんですよね。完全に当事者の気持ちになることはできません。その身になってみないと絶対に分からないと思います。だけど、やはりそこに近づこうと努力するということは、私は一緒にこの社会の中で生きていく中で非常に大切なことだと思っているので、そういうことは例えば教育の現場で小さい時から、今インクルーシブ教育であるとか、障がい者の皆さんと一緒に触れる時間というのも非常に以前よりは増えてきたような気がしますけれども、一般のいろいろな機会を捉えて、例えば避難所運営なんかにしたって、やはり避難所運営訓練、避難所運営ゲーム(HUG)とかああいうものをやれば、障がい者の方とどう接していくのかということはそこで分かっていくと思うんですよね。そういう機会をできるだけ我々も行政としてもたくさん作って、そしてそういう困難な状況にある方、あるいはハンディキャップのある方に対しても、本当に良い環境でと言いますか、生活していただけるような状況を作るというのが行政の責務だというふうに思っています。ちょっと答えになっているか、なっていないかよく分かりませんけれども、熊本市政というのは、上質な生活都市というのを掲げているのは、その上質さというのはそういう部分でもあるというふうに私は考えておりますので、積極的にそういう取り組みは行っていきたいと思っています。
【記者】ここまでを踏まえると秋口の危機管理の訓練には、できるだけやはり参加してもらうという方針ですか。
【市長】参加していただきたいと考えています。あるいはどういう形でその訓練するかということにもよりますけれども、その訓練の検証であるとか、そういった場に参加していただく、あるいは意見を事前にいただくとか事後にいただくとか、そういうことを考えるということです。
【質疑応答:熊本城天守閣に取り付けられる新たなしゃちほこの保管・展示について】 | 市長記者会見の様子 |
【記者】熊本城の件でお尋ねしたいんですが、しゃちほこの件で。しゃちほこが熊本地震で落下して今新しいものを作ってますけれども、8月末にも完成予定と聞いています。先ほどの二の丸広場の話でも、今しか見られない熊本城とおっしゃっいましたけれども、しゃちほこを間近で見れるのも今しかないということがあると思うんですが、まだ取り付け工事は先と思うんですが、その間の保管と展示はどのようになっていますか。
【市長】現段階ではまだ製作は大体終わっているというふうに聞いていますので、これからそれを据え付けるまでの間というのは(天守閣再建の)時間が必要になります。ただその時間もこのしゃちほこについては、普段はずっと上に上がって外からや下から眺めるものでもありますので、できるだけ市民の皆さんあるいは観光客の皆さんに近くで見ていただくような場所に展示して、しばらくの間ご覧いただいて、例えば写真を撮っていただけたらと思います。そこでまた壊れちゃいけないので、ちゃんと運搬上問題がないようなところとか、足場がちゃんとしっかりしていて余震でも耐えられるような場所とか、そういう設置場所の工夫は少し考えなければいけませんけれども、多くの市民の方、あるいは関心のある方々に、観光客も含めて、見ていただくように今内部では協議しているというところです。ですからその辺も、またはっきりしたことが確定いたしましたら、来月中にはなると思いますが、早めにプレスの皆さんにもお知らせして、多くの皆さんに来ていただければというふうに思っています。できれば夏休み期間中が良いなあというふうに思っていますけど、そこまで間に合うかどうか分かりませんが、その期間でありますと例えば子どもさんとか、県外からのお客さんたちも訪れますので、実は今回のこの観覧区域の拡大というのを8月1日からというのも、やはり夏休みにできるだけ多くの方に来ていただいて、その時の思い出の写真を撮っていただくってことでもあるというふうに思っておりますので、しゃちほこについてもそういう努力をしていきたいというふうに思っております。それで大天守のしゃちほこと小天守のしゃちほこととそれぞれあり大きさとか様子が違いますので、そういったものを見ていただくとか、あとできれば作者の方のいろんなご苦労話とかコメントとか、そういったものも知っていただけるような努力とかしてもいいのかなと今思っていますので、将来子どもたちが見て、私もしゃちほこを作る職人になりたいというような子が出てくるかもしれませんから、そういう何か機会を作りたいと思っています。テレビでも各社さんで報道とかされておりましたので、私もああそうかなるほどと思って拝見したところでしたけれども、関心が高いところだと思いますので、できるだけオープンにするようにしていきたいというふうに思っています。
【記者】時期的にはまだですか。
【市長】そうですね、時期的にはもう少しだと思いますけれども、できるだけ早くというふうに思っています。しゃちほこ自体はもうできています。(※訂正 正確には完成間近)
【質疑応答:「まちづくりセンター」の活動状況について】
【記者】まちづくりセンターについてなんですけれども、850件ぐらい相談があったということなんですけれども、熊本市としての受け止めとしては多かったのか少なかったのかどう思いますか。
【市長】常に様々なご意見がたくさん寄せられていますので、既に寄せられているのも含めて、新規のものも含めてその850件の中にはありますので、一概にそれが多かったとか少なかったとかという評価は少しコメントしようがないんですけれども、ただ潜在的なものも含めて地域担当職員がわずか3ヶ月という活動期間の中で、いろいろな地域のニーズを把握して、それを7割ぐらいを解決させているということについては、スピーディーに市民の皆さんのニーズに対応できているという証ではないかなというふうに思っていますので、そういう意味では今後もまだそういったことを受けて、また地域からもプラスの反応が出てくるのではないかなと、つまりこういうものに対してどういう解決方法があるだろうかとか、今まで解決しなかったことでも相談してみようとかですね、気軽に行政に相談しようという気持ちになっていただけるんではないかなというふうに、そういう効果を期待しているということです。そして我々も実は机上で判断するのではなくて、現場に出て行って、実際の言葉を聞いたり、あるいは現場を見たりすることによっての感覚と、報告書や要望書、陳情書等で上がってくる文面で見るのとでは随分違いますので、そういう意味では現場のリアルな状況を的確に掴んで、スピーディーにレスポンスよい行政をしていくということが今後期待されるというふうに思っています。
【記者】個人的には「御用聞き」みたいになるとつまらないのかなと思ったりはするんですけど、今後どう市民と支え合うまちづくりを作り出しますか。
【市長】市民の皆さんに考えていただという投げ掛けをするということです。例えば、行政ではこれはできないんだけれども、一緒になって解決方法はありませんかね、という投げ掛けです。行政もすべて万能であれば、御用聞きでも良いと思います。ただそうではないっていうことは、去年の熊本地震ではっきりしました。行政が全ての市民の生命、財産を守れるなんてことはなかなか100%言えないという状況にある中で、やはり市民の皆さんに考えていただいて、より新しいアイデアを引き出す、やはりそういう関係性が地域担当職員と住民の皆さんとの関係で求められます。だから、地域担当職員はそれぞれの地域に行って、優秀でコミュニケーションができる人間を配置していますので、彼等が上手にコミュニケーションを取りながら、地域の自治力を高めていくっていう方向です。もともとの設置目的は、御用聞きでただ便利屋さんが来た、窓口が近づいて来たっていうだけじゃなくて、そういう側面ももちろん今までの行政の縦割りでたらい回しにあっていて、どこに相談していいのかわからないのを、この人に聞けば的確に教えてくれる、こういうのは大事な機能だと思うんですが、やはり一方で、皆さんとまちづくりについて考えていく、そういうファシリテーター役ということを、この地域担当職員には求めています。なので、地域でこれはみんなで解決していけるよねと、これまでは地域でできるけど、ここから先は限界があるなと、例えば、財政的なものはどうしようか、みんなで寄付を集めてできるか、これは難しい、そうなった場合には、公的な補助や助成であるとかそういったものはないかと。そうすると、実際に私が言っているんですけど、こういう補助を出すにしたって、ただ単に行政サービスを受けるだけでなく、地域の皆さんと共有していく主体になっていただきたいなという気持ちがありますので、そこの部分で地域担当職員の活躍というのを今期待しています。そうすると地域担当職員だけを走らせて行っては、本当に御用聞きとか何かを言われて終わりということになりますので、常に彼らも研修をしたり、その吸い上げた声というのは各局長あたりで情報を吸い上げて、私のところにも情報が来ていますけれども、どういう相談があっているとか、どういうふうに解決したとか、そういうことを共有して全庁的にバックアップしていくこと。熊本市役所の6,400人の職員全員が、自分も地域担当職員なんだというような気持ちを持って仕事をすれば、より地域主義に基づいた、市民の力をある意味では引き出す、そしてより良い熊本市を創っていくというところに繋がっていくだろうと思っています。ただそのためには、相当な努力をしていかないといけないので、先ほど申し上げたような総括を常にしていくということが重要だと思います。これはなかなか簡単なことではないと思いますが、粘り強くやっていきたいと思っています。
(終了)
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