令和2年第2回定例市議会 市長提案理由説明
提案理由の説明に先立ちまして、本市の新型コロナウイルス感染症への対応について数点御報告を申し上げます。
まず、現在の状況でございますが、本市では、五月九日以降、新規感染者が確認されておらず、五月二十七日に開催した「熊本市新型コロナウイルス感染症対策本部会議」において、リスクレベルを「レベル一注意」に引き下げ、現時点におきましても引き続き同レベルを維持しております。
これに伴い、市有施設につきましては、今月一日より熊本城の特別公開第二弾を開始したほか、動植物園では開園時間や入園者数を緩和するなど、感染防止対策を十分に講じたうえで多くの施設を段階的に再開しているところでございます。
また、区役所におきましては、区民課窓口業務を通常の開設時間に戻すとともに、新型コロナ相談センターは、二十四時間対応ができる工夫を行いつつ体制の見直しを行い、相談業務に従事していた保健師は各区の保健福祉活動を再開することといたしました。
次に、昨日八日に全面再開した市立学校につきましては、各学校において感染防止対策を徹底するとともに、長期休業により不安を抱える児童生徒の心のケアを行うほか、児童生徒の学習状況を把握し、必要に応じてタブレットなどを活用した学習支援を行うなど、本市の未来を担う子ども達が、健やかで充実した学校生活を一日も早く取り戻すことができるよう取り組んでまいります。
市民や事業者の皆様などの御協力によりまして本市の感染状況は縮小傾向にあり、段階的に社会経済活動を再開してまいりますが、新型コロナウイルス感染症は完全に収束したわけではありません。
市民の皆様には、今後も警戒を緩めることなく、密閉・密集・密接の「三つの密」を避け、「人と人との距離の確保」や「マスクの着用」など、感染拡大を予防する「新しい生活様式」を実践していただきたいと思います。
本市におきましても、引き続き感染拡大の防止に向けた取組の徹底はもとより、感染拡大の第二波に備え、PCR検査体制の強化や医療提供体制の充実などを図ってまいります。
また、六月に入り本格的な出水期を迎えるにあたり、災害時の避難所につきましては、新型コロナウイルス等の感染症に対応可能な体制を構築する必要があります。
そこで、避難者数の状況に応じた避難所の追加や、濃厚接触者等の健康観察が必要な方が避難する「保健避難所」を新たに設置するなど、安心して避難いただける体制を整えたところでございます。
さて、新型コロナウイルスは市民生活や地域経済などに対して深刻な影響を及ぼしていることから、今後は、市民の皆様とともに感染拡大防止対策を継続することはもとより、同時に社会経済活動を段階的に再開させ、事業と雇用を守り、市民生活の安心を取り戻していかなければなりません。
本市ではこれまで、県市連携のもと五回にわたる緊急対策を講じてまいりましたが、現下の厳しい社会・経済情勢を乗り越えるためには、一層の人員と財源を確保し、様々な対策に集中して取り組む必要があります。
そこで、今年度予算についても見直しを行ってきたところであり、その内容につきましては、今定例会の各常任委員会で御議論を賜りたいと考えております。
また、新型コロナウイルス対策に係る予算につきましては、先の臨時会でお認めいただき、早急に取り組んでいるところであり、特別定額給付金については六月八日までに、約三十一万七千件、全体の九十一・七%の世帯から申請を受け付け、同日までに約十七万五千件、三百八十五億四千万円の給付を行いました。
さらに、本市独自の取組である緊急家賃支援金につきましては、六月八日までに約三千三百件の申請をいただいております。
この制度は、県の休業要請又は営業時間の短縮の要請に御協力をいただいた飲食店等を支援の対象としておりました。
しかし、県の要請の対象とならない事業者の皆様も、休業等に御協力をいただき、経営も厳しい状況にあるとの御意見を伺うとともに、家賃支援について対象拡大の御要望を多くいただいております。
このような状況を踏まえ、休業や営業時間の短縮により新型コロナウイルス感染症の拡大防止に自主的に御協力いただいた多くの事業者の皆様にも、家賃支援を受けていただけるよう対象をさらに拡大することといたしましたので、御報告申し上げます。
加えまして、国においては先月二十七日、今年度の第二次補正予算案が閣議決定され、昨日国会に提出されたところであり、国に呼応した対策とともに、市民生活の安心と地域経済の再建に向けた本市独自の対策についても、現在、取りまとめを行っており、今定例会への補正予算案の追加提案も検討しております。
議員各位におかれましては、なお一層の御理解と御協力を賜りますようお願い申し上げます。
それでは、提出議案について、説明に入らせていただきます。
今回の補正予算案は、国の補助内示に伴う経費のほか、指定管理の更新に伴う債務負担行為など、今後の業務推進上、速やかに対応する必要があるものを計上しております。
まず、補正予算案の概要について申し上げますと、一般会計において一億四千九百十万円の増額、補正後の予算額四千四百四十五億九千七十五万円となり、全会計の補正後予算額は七千三百二十億六千二百五十六万円となりました。
補正後の予算を前年同期と比較いたしますと、一般会計では十八・九%の増、全会計の合計額では八・八%の増となっております。
補正予算案の内容について申し上げますと、「平成二十八年熊本地震」関連として、来年春の特別公開第三弾に向けた熊本城天守閣内部のサイン設置に要する経費として、二千万円を計上しております。
その他、熊本地震関連以外の補正予算案の内容につきまして、まず、文化市民部門では、DV被害者等への支援を強化するため、先進的な取組を国のモデル事業として実施する団体への助成金でございます。
次に、健康福祉部門では、子どもの自殺の再発防止等に向けた「熊本市子どもの死亡事案に関する詳細調査委員会」の開催に係る経費のほか、児童手当・児童扶養手当の支給にあたり、本市の既存システムと国のマイナンバー情報を一括連携するためのシステム改修経費でございます。
次に、都市建設部門では、歴史的な価値を有する建築物の保存及び活用にあたり、建築基準法の適用除外を受けるための保存活用計画書を作成する際の助成経費でございます。
次に、消防部門では、国の補助内示に伴い、消防団へ救助用資機材を購入するための経費のほか、消防車両の物損事故に係る損害賠償金でございます。
次に、選挙部門では、本年三月に執行された熊本県知事選挙に係る「熊本市選挙事務における持ち帰り票事案等に係る調査検討委員会」の開催に要する経費でございます。
最後に、地域コミュニティセンターをはじめ、老人福祉センターなど計八十一施設の指定管理更新に伴う債務負担行為を計上しております。
以上が、補正予算の歳出の説明でありますが、これを賄う財源として、それぞれの歳出に見合う特定財源を計上しますとともに、一般財源として繰越金を充当しておりますほか、熊本地震に伴う熊本城の復旧経費の財源としまして、熊本城復元整備基金も活用することとしております。
続きまして、条例等の議案でありますが、主なものとしまして、まず、「熊本市附属機関設置条例の一部改正」について御説明いたします。
これは、関連予算案も計上しておりますが、子どもの自殺について、当該事案の経緯を調査するとともに、再発防止策を検討するため、市長の附属機関として、熊本市子どもの死亡事案に関する詳細調査委員会を設置するものであります。
次に、「熊本市歴史的建築物の保存及び活用に関する条例の制定」につきましては、こちらも同様に関連予算案を計上しておりますが、本市における歴史的な価値を有する建築物の保存及び活用を図り、それを良好な状態で将来の世代に継承するため、当該建築物について建築基準法の適用除外に関し必要な事項を定めるものであります。
その他の議案につきましては、末尾に簡単な理由を付しておきましたので、説明を省かせていただきます。
以上で説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議の上、御賛同いただきますようお願い申し上げます。