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令和6年第1回定例市議会 市長提案理由説明

最終更新日:2024年2月19日
財政局 財務部 財政課TEL:096-328-2085096-328-2085 FAX:096-324-1713 メール zaisei@city.kumamoto.lg.jp

提案理由の説明に先立ちまして、四点御報告申し上げます。


 まず、昨日十八日に開催いたしました「熊本城マラソン二〇二四」について御報告いたします。


 第十一回目となる今回の熊本城マラソンは、天候にも恵まれ、国内外から約一万四千人のランナーの皆様に御参加をいただきました。


 運営に従事されたボランティアなどの関係者の皆様をはじめ、沿道から応援いただいた多くの市民の皆様方のおかげをもちまして、盛況のもとに無事終えることができました。


 ここに改めまして、開催にあたり御尽力いただきました関係者の皆様、並びに沿道で温かい応援をいただきました市民の皆様に対しまして、心から厚く御礼を申し上げます。


 次に、令和六年能登半島地震への対応について御報告いたします。


 本市におきましては、これまで災害マネジメント支援をはじめ、災害廃棄物支援や応急給水活動、並びに避難所運営支援等を行う職員を延べ二百六十六名派遣し、熊本地震の経験を生かした対応を行っております。


 引き続き、関係機関等と連携し、被災地へ必要な支援を行うとともに、被災者の本市への受け入れをはじめ、日々刻々と変化する状況に応じた支援を追加するなど、被災者の皆様に寄り添った対応を進めてまいります。


 なお、本年四月で熊本地震から八年が経過いたします。


 議員各位をはじめ、市民の皆様におかれましては、今回の地震を契機に防災対策、特に備蓄物資などについて改めて御確認をいただき、防災対策の徹底をお願いいたします。


 次に、海外訪問について御報告いたします。


 去る一月二十九日から二月二日にかけて、半導体関連企業進出に伴う行政課題の調査や、ビジネス交流拡大に向けたトップセールス、友好交流都市である高雄市との交流促進を目的に、田中議長をはじめとする市議会の皆様とともに、台湾の高雄市、台南市、新竹市、台北市を訪問いたしました。


 行政課題の調査では、TSMC本社を訪問し、地下水保全等の環境問題について意見交換を行い、市民の皆様へのわかりやすい情報発信をお願いしました。


 そのほか、TSMCの工場がある台南市及び新竹市への表敬訪問、工場周辺の視察、意見交換等を行うとともに、現地の金融機関や日本政府関係機関等を訪問し、トップセールスを行うなど、各分野のキーパーソンとのネットワークを構築してまいりました。


 また、友好交流都市である高雄市を表敬訪問し、昨年末に延伸工事が完了した高雄LRT環状線の視察のほか、高雄市に建設中のTSMC工場に係る環境や交通、住宅に関する取組などについて意見交換を行いました。


 なお、TSMCにおきましては、熊本県内にJASM第二工場を建設し、二〇二七年末までに稼働開始を目指すことが去る二月六日に発表されました。


 半導体関連企業の誘致強化を進める本市といたしましても、歓迎すると同時に進出による本市への経済波及効果が最大限になるよう努めてまいります。

 一方、環境の保全、交通対策、住環境の整備、人材確保支援等の課題への対応がこれまで以上に重要となることから、今回の訪問で得られた成果を生かし、今後の効果的な施策の展開に繋げてまいります。


 最後に、熊本市第八次総合計画の策定について御報告いたします。


 熊本市第八次総合計画は、本市の最上位の計画であり、今後の長期的なまちづくりの方針を示す重要な計画です。


 そこで、計画の策定段階から、庁内における議論はもとより、各区において計五回開催いたしました「市長とドンドン語ろう!」等を通じて、市民の皆様から多くの御意見や御提案をお伺いいたしました。


 また、市議会におきましても、定例会ごとに総務委員会を中心に、各常任委員会で御議論をいただき、今回、議案として提出させていただいております。


 この中で、基本構想に掲げる「めざすまちの姿」を、市民が住み続けたい、だれもが住んでみたくなる、訪れたくなるまち、「上質な生活都市」とし、あわせて、めざすまちの姿を実現するために必要な取組を分野横断的な「ビジョン」として体系化しております。


 今後は、このビジョンに基づき、誰もが明るい未来を展望し、希望を抱くことができるまちづくりを行うため、全庁一丸となって取り組んでまいります。


 それでは、改めまして、令和六年度当初予算編成にあたっての考え方について、御説明いたします。


 先程申し上げましたとおり、新年度は第八次総合計画が始動する大変重要な一年となります。


 本市が目指す「上質な生活都市」の実現に向け、特に、こども・子育て政策を積極的に推進していく必要があると考えております。


 そこで、令和六年度当初予算の編成につきましては、ビルド&スクラップと連動した予算要求の新たなルールを導入した上で、こども政策の大幅な拡充のための重点課題対応経費として「こども枠」を設定するなど、事務事業の徹底した見直しを行い、国の経済対策を含む令和五年度二月補正予算と一体的に編成しました。


 それでは、「よりよい未来への着実な一歩」をテーマに編成した令和六年度当初予算について、新総合計画における八つのビジョンに沿って御説明いたします。


 まず、ビジョン一の「こどもが輝き、若者が希望を抱くまち」については、このたび「こども枠」を設定し、こども・子育て政策の充実を図りました。


 具体的には、「すべてのこどもの健やかな成長と家庭の幸せへの支援」として、結婚支援センターの開設による結婚を希望する方への支援や、時間単位での利用を可能とする「こども誰でも通園制度(仮称)」の試行的実施、児童育成クラブにおける受入れ体制の確保のほか、「こどもの権利サポートセンター」によるこどもの権利救済などに取り組んでまいります。


また、「困難な状況にあるこどもや子育て家庭への支援」として、安心・安全なこどもの居場所の確保や、新たなこども食堂の開設支援に取り組むとともに、産後の母子への専門的なケアの実施や「(仮称)若者・ヤングケアラー支援センター」の開設のほか、国の「こども未来戦略」で示された児童手当の拡充を行うこととしております。


さらに、「こどもを主体とした教育の推進」、「まちを支える人材の確保・育成」として、タブレット等の活用による教育の情報化の推進や不登校対策サポーターの増員による生徒の居場所づくりのほか、児童養護施設等における将来的な人材確保の支援に取り組んでまいります。


次に、ビジョン二の「市民に愛され、世界に選ばれる、持続的な発展を実現するまち」については、「半導体関連産業等への新たな投資の後押しや中小企業等の振興」として、スタートアップにおけるミドルステージから更なる成長を促す伴走型支援や、セミナー開催等による中小企業の事業承継・引継ぎの促進のほか、TSMCのサプライヤー企業をはじめとする半導体関連企業への誘致活動の強化などに取り組んでまいります。


また、「世界を魅了する都市ブランド力の向上」、「交流人口拡大によるにぎわいの創出」として、ナイトタイムエコノミーの推進や夜間景観の充実、高付加価値旅行者をターゲットとしたホテルの誘致等に取り組むほか、AR等のデジタル技術を活用した中心市街地のにぎわいづくりや戦略的なMICEの誘致、「西日本・九州ゴールデンルートアライアンス」による広域連携での魅力発信・プロモーションを展開してまいります。


さらに、「活力と魅力に満ちた持続可能な農水産業の振興」として、農道・用排水路等の農業基盤整備を着実に推進するほか、経営改善のための農業経営コンサルタントの活用など夢と活力ある農業のための支援や捕獲報償費の引き上げによる鳥獣被害対策の強化、熊本輸出促進ネットワークを活用した農水産物の販路拡大に取り組んでまいります。


次に、ビジョン三の「市民生活を守る強くしなやかなまち」については、「防災・減災の推進」として、重要な防災拠点である市役所本庁舎の新庁舎整備に向けた建設地や庁舎の機能・規模等の検討とともに、市民の皆様への情報提供・合意形成に取り組むほか、緊急告知ラジオの電波不感地区解消のための中継局等の整備に加え、ハザードマップにおける表示情報や視覚障がい者に対応するための読み上げ機能の追加等の機能強化を図ってまいります。


また、「保健衛生体制の強化と医療提供体制の確保」、「総合的な消防・救急体制の強化」として、定期接種化後の新型コロナウイルスワクチン接種体制の確保や、西消防署の西区移転による一区一消防署体制の確立を着実に進めてまいります。


さらに、「交通安全・防犯の推進」として、犯罪被害者等に対する見舞金制度を創設し、経済的支援を行うほか、犯罪被害者等の実情に対する理解促進のための広報啓発等に取り組んでまいります。


次に、ビジョン四の「だれもが自分らしくいきいきと生活できるまち」については、「人権尊重社会の実現」、「だれもが生きがいを持ち、お互いに支え合える社会の実現」として、体験学習プログラムである「バリアフルレストラン」の開催による心のバリアフリーの推進や、がん治療に伴う外見の変化を補完するための医療用ウィッグ等の購入助成により、心理的・経済的負担の軽減を図るアピアランスケアの推進に取り組んでまいります。


また、「男女共同参画の推進」として、女性のデジタルスキル習得から就職までの伴走型支援を実施し、女性のキャリアアップを支援してまいります。


さらに、「多文化共生の推進」として、飲食店や宿泊施設向けに食の多様性のセミナーを開催するなど、ヴィーガン・ベジタリアン等の多様な食文化への支援を講じてまいります。


 次に、ビジョン五の「豊かな環境を未来につなぐまち」については、「カーボンニュートラルの実現」として、熊本連携中枢都市圏における太陽光発電設備の導入等に伴う電力の脱炭素化事業の加速化や、省エネルギー機器等を導入する個人や事業者への支援に取り組んでまいります。


また、「快適で安全・安心な生活環境の保全」として、環境保全のため、事業計画の段階から事業者自らが環境への影響を調査・予測及び評価を行い、より良い事業実施につなげる制度である「(仮称)環境影響評価条例」の制定に向けた検討を進めるほか、住民・事業者・行政との協働による地下水かん養の促進や水源かん養林としての森林整備、公共用水域における水質監視の強化に取り組んでまいります。


次に、ビジョン六の「すべての市民がより良い暮らしを営むまち」については、「地域コミュニティ活性化の推進」として、マイナンバーカードと紐づけた「くまもとアプリ」を導入し、ポイント等のインセンティブを付与するとともに、地域活動への参加を「見える化」することで、活動の活性化を図ってまいります。


また、「人生一〇〇年時代を生きるための健康づくりの推進」として、熊本健康アプリを連携中枢都市圏で共同運用し、自主的な健康づくりを支援するとともに、プロスポーツチーム等と連携して開発した運動プログラムを実施する介護予防教室を開催するなど、健康づくりに取り組める環境整備を促進してまいります。


さらに、「生涯にわたる学びやスポーツの推進」として、県市連携で運営する夜間中学における学び直しの機会の提供や、地域特性・市民ニーズに応じた生涯スポーツマスタープランの全面見直しに取り組むほか、「文化芸術が持つ多様な価値の活用」として、記念館におけるイベント開催を通じて認知度向上や魅力発信に努めるとともに、熊本ならではの漱石文化の振興を図ってまいります。


次に、ビジョン七の「安全で良好な都市基盤が整備されたまち」については、「持続可能で魅力的な都市づくり」として、百八十円均一エリアにおいて、土日祝日に路線バスが三百円で乗り放題となるまちなかフリーパスの実証実験やAIデマンドタクシーの本格導入、「バス・電車無料の日」の実施など、公共交通の利用促進に取り組んでまいります。


あわせて、熊本駅新幹線口駅前広場の渋滞対策や熊本西環状道路の整備促進、「一〇分・二〇分構想」の推進など、都市基盤の整備を着実に進めてまいります。


また、「豊かな住環境の実現」として、空き家の除去やリフォーム補助等による危険空き家を未然に防ぐための対策や、市営住宅の管理戸数の適正化に向けた団地ごとの方針策定に取り組んでまいります。


次に、ビジョン八の「市民に信頼される市役所」については、「行政サービスの質の向上と持続可能な行財政運営の推進」として、こども医療費をはじめとする医療費助成に係る申請手続きの簡素化や、区役所における窓口業務改革による書かない窓口の導入検討のほか、各部署で対応している類似の定型業務を「(仮称)総合行政事務センター」に集約することによる業務改善など、行政サービスの質の向上に取り組んでまいります。


また、データを利活用できる人材の育成や、これまで蓄積されたデータを活用可能な状態にする環境整備の実施により、データに基づく企画立案等を推進してまいります。


最後に、合併三町における新市基本計画につきましては、令和六年度におきましても、道路や農業基盤、上下水道などの都市基盤の整備に加え、義務教育施設の整備などに総額約五十九億円の事業費を計上しており、各事業を着実に進めてまいります。


令和六年度当初予算に関する説明は以上でありますが、予算の規模としましては、一般会計では四千十四億二千万円、特別会計では二千四百十九億千三百二十九万円、企業会計では八百五十億八千二百七十三万円となり、全会計の総計は七千二百八十四億千六百二万円となりました。


これを前年度当初予算と比較いたしますと、一般会計は五・二%の増、特別会計は四・二%の増、企業会計は一・九%の増となり、総計では四・五%の増となりました。


続きまして、令和五年度の補正予算について御説明いたします。


今回の補正予算は、本年一月に発生いたしました令和六年能登半島地震の災害復旧支援に係る経費のほか、昨年十一月二十九日に可決成立しました国の補正予算に連動し対応する分として、総額約六十七億円を計上しております。


まず、「物価高から国民生活を守る」については、物価高騰の影響を受けている商店街に対する支援経費などでございます。


次に、「地方・中堅・中小企業を含めた持続的賃上げ、所得向上と地方の成長を実現する」については、農業者が行う高性能な機械・施設の導入等に対する支援経費などでございます。


次に、「人口減少を乗り越え、変化を力にする社会変革を起動・推進する」については、保育所等におけるICT化推進のための機器等の整備に対する支援経費などでございます。


次に、「国土強靱化、防災・減災など国民の安全・安心を確保する」については、障がい者支援施設等における設備改修等に対する支援経費などでございます。


また、追加交付された「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」を活用した小中学校等の給食食材高騰に対する支援経費などでございます。

このほか、国庫補助内示額の減や入札残などに伴う減額等に加え、決算見込みに伴う過不足調整等でございます。


続きまして、条例等の議案でありますが、主なものといたしまして、「熊本市附属機関設置条例の一部改正」について御説明いたします。


これは、本市における公契約条例の策定に関し必要な事項を審議するための「熊本市公契約条例(仮称)検討委員会」をはじめ、三つの附属機関の設置等を行うものであります。


 続きまして、補正予算に関する専決処分について御説明いたします。


これは、国の総合経済対策の中で示された、住民税均等割のみ課税世帯に対する一世帯当たり十万円の給付に要する経費及び住民税非課税世帯等において扶養されている十八歳以下の児童一人当たり五万円の給付に要する経費として、一月十九日に二十四億九千九百四十万円を専決処分したものであります。


この専決処分については、地方自治法第百七十九条第三項の規定に基づき市議会に報告するとともに承認を求めるものでございます。


その他の議案につきましては、末尾に簡単な理由を付しておきましたので、説明を省かせていただきます。


以上で説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議の上、御賛同いただきますようお願い申し上げます。

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