CKD(慢性腎臓病)とは
CKD(慢性腎臓病)は、自覚症状がほとんどないことから、自分には関係がない病気と思ってしまいがちです。しかし2024年現在日本のCKD患者数は約2,000万人いるといわれています。これは「成人の5人に1人」の割合であり2005年の推計CKD患者数1,330万人(8人に1人)から大幅に増加しています。
本市は全国的に見ても人工透析者数の割合が最も高い状況にあることから、CKDを重要な健康課題としてさまざまな取り組みを行っています。
CKDは「腎炎」「糖尿病」「高血圧」など様々な原因によっておこりますが、近年は中でも「メタボリックシンドローム」や「糖尿病」などの生活習慣病によるCKDが増加しています。また、生活習慣病を放置すると、CKDが進行するばかりでなく、脳梗塞や心筋梗塞といった病気を起こしやすくなることもわかってきました。
 |
熊本市CKD対策イメージキャラクターたち |
CKD(慢性腎臓病)とは
(1) 腎臓の働き(GFR※)が健康な人の60%未満
(2) たんぱく尿が出るなどの腎臓の異常
(1)(2)のいずれか、または両方が3ヶ月以上続く状態です。
※GFR(糸球体ろ過量)とは・・・
腎臓が体の外に老廃物を出す能力のこと。血液検査の血清クレアチニンの数値、性別、年齢で推定され、その値をeGFR(推算糸球体ろ過量) といいます。
これが腎臓!?
背中側の両側の腰の上に左右1個ずつあります。
そら豆の形で、にぎりこぶし大の大きさです。1個の重さが約120~150グラムです。
腎臓は毛細血管の集まりで、血液を”ろ過”して尿を作るフィルターの役目をしています。
CKDで腎臓が悪くなると、きちんと”ろ過”できずに、老廃物が体にたまったり、尿にたんぱくが出たりします。

| 
|
腎臓の場所は背中側の腰の上です。 | 腎臓の中の糸球体(血管のかたまり)で血液をろ過します。 |
腎臓の働きとは
1 血液をろ過紙、体に必要なものは体内に、不要なものは「尿」として出します。
2 血圧を調整します。
3 造血ホルモンをつくります。
4 ビタミンDを活性化し、骨を強くします。
CKDを放置すると、人工透析や腎移植が必要になるばかりでなく心筋梗塞や脳卒中の危険が高まることが分かってきました。
 |
CKDを放置するとどうなるの? |
自覚症状ではなかなか気付きません。
CKDは、初期には
自覚症状がありません。
吐き気、体がだるい、骨そしょう症、高血圧、貧血、むくみ、食欲不振などの状があらわれたときは、病状が進行していることがあります。

|
腎臓が悪くなったときの症状 |
糖尿病・高血圧・脂質異常症・高尿酸血症・肥満・塩分の取りすぎ・喫煙など。
腎臓を守るための血圧の目標値は、内服の有無に関わらず130/80mmHg未満です。
CKD(慢性腎臓病)は自覚症状がないまま静かに進行するため尿や血液を検査しなければわかりません。定期的な健診が、早期発見につながります。年に一度は健診を受けましょう。
1 血液検査(血清クレアチニン)から腎臓の働きが何%かわかるeGFR値(推算糸球体ろ過量)を算出
2 尿検査(たんぱく尿など)年に1回は健診を受けて腎臓の働きをチェックしてみましょう!
CKDと診断されたらどうすればいいの?
今では薬物療法・食事療法・生活改善を正しく行えば、CKDの進行を遅らせ腎機能を維持することが可能です。尿検査や血液検査の結果、異常があればすぐにかかりつけ医を受診しましょう。
熊本市ではCKD予防や対策に協力されている医師を熊本市CKD対策推進「病診連携医」としてホームページで公開しています。
腎機能をチェックしよう
あなたの腎機能をチェックしてみましょう!
健診データ(血清クレアチニンが載っているもの)を準備してください。
→ 腎機能をチェック!
(日本腎臓病協会ホームページ)
eGFR(推算糸球体ろ過量)とは腎機能の状況を推算したものです。
90以上を正常と考えて、50であれば50%程度の機能に低下していることを意味します。
腎臓のステージごとの受診アドバイス
上記で算出されたeGFRをもとに、腎機能を推測することができます。受診等の参考にされてください。
eGFRの数値が90以上 → 正常です。年に一度は健診を受けましょう。
eGFRが60~89 → 腎機能がやや低下しています。年に一度は健診を受けましょう。
eGFRが30~59 → 腎機能が半分程度低下している状態です。熊本市CKD対策病診連携医を受診しましょう。
eGFRが15~29 → 腎機能が大きく低下している状態です。熊本市CKD対策病診連携医を受診しましょう。
eGFRが15未満 → 腎不全(人工透析が必要な場合があります)。熊本市CKD対策病診連携医を受診しましょう。
尿検査でも腎機能がチェックできます
 |
尿検査でチェックしましょう! |
腎機能が低下すると尿中のタンパクが増加します(タンパク尿)。
タンパク尿は薬局で販売されている尿試験紙を使って、自分で調べることもできます。
心配な方は、熊本市CKD対策病診連携医を受診して調べてもらいましょう。
CKD予防のために
CKD予防のポイント
◆バランスよく食べる
定食スタイルでバランスを整えましょう
主菜を1品とし、たんぱく質のとりすぎには注意しましょう
◆塩分を控える
1日の塩分量は男性が7.5g、女性が6.5g未満です
血圧が高い人は1日6g未満を目標に
◆野菜・果物をたくさんとる
野菜は1日350g以上、果物を200g以上とりましょう
※腎機能が低下している場合は高カリウム血症になる場合もあるので、注意しましょう
◆血圧・血糖管理
腎臓を間持つための血圧の目標値は、内服の有無に関わらず130/80mmHgです
糖尿病が進むと腎機能が低下しやすくなります
◆太りすぎに注意
摂取エネルギーが消費エネルギーを超過していませんか?
運動不足(⇒消費エネルギー減少)
栄養バランスの偏った食習慣(⇒食べすぎ、飲みすぎ、間食のとりすぎなど)
ストレス
◆お酒を飲みすぎない
適度な飲酒を心がけましょう
◆禁煙
喫煙は血管を収縮させて、血圧を上昇させます
他、風邪や脱水にも注意しましょう。
 |
健診を受けてね! |
自覚症状もなく、ひそかに進む腎臓病を見つけるのは、健診です!
●1年に1回は健診を受け、腎臓の機能を確認する(eGFR・タンパク尿等)
CKDになっても治療ができます。早期対応で進行を抑えましょう
◆ 血圧・血糖のコントロール、しっかり治療する
◆ 薬の飲み忘れや、受診の自己中断はありませんか?
腎臓に負担をかける薬や腎臓を保護する薬がありますので、主治医に相談しましょう
◆ 尿検査や血液検査の結果、異常があればすぐにかかりつけ医・CKD病診連携医に相談しましょう。
なぜ血圧が高くなるの?
塩分に注意します
腎臓は、塩分を排泄して血圧を調整しています。
塩分が多い食事をとると、その分腎臓は働かなくてはなりません。腎臓が疲れると、血圧をコントロールできなくなり、血圧が上がります。血圧が高い状態が続くと、腎臓に負担がかかり、さらに血圧を調節できなくなるという悪循環におちいってしまいます。
食塩摂取量の基本は、3g/日以上6g/日未満です。
◆食べ方の工夫
 |
食べ方の工夫 |
〇塩味の代わりに、レモン等の酸味やカレー粉、コショウ等の香辛料、大葉、しょうが等の香味野菜を使う。
〇ハム等の加工食品は、塩分が多く含まれているので、塩の代わりに調味料として使う。
〇みそ汁は具沢山、ラーメンやうどん等の汁は飲まない。
〇しょうゆ等の調味料は、食品にかけずに小皿に少量つけて食べる。
たんぱく質の取り過ぎに注意します
- たんぱく質は、体を作るもとになる大事な栄養素ですが、腎臓に負担がかかる“燃えかす”がでるので、必要以上に摂らないように制限する必要があります。また、エネルギー不足の状態では、体のたんぱく質がエネルギーとして使われ、腎臓に有害な“燃えかす”が増えてしまいます。
- 詳細は主治医にご相談下さい。
世界腎臓デーに熊本城天守閣をライトアップします!
- 世界腎臓デーに熊本城天守閣をライトアップします。
- 国際腎臓学会と腎臓財団国際協会が、毎年3月の第2木曜日を「世界腎臓デー」と定め、様々な啓発活動を展開しています。
- これに合わせて、熊本市では、熊本城天守閣をライトアップします。
- ◆カラーライトアップ実施日
- 令和7年(2025年)3月13日(木)日没から22時