■■■■■■■■■■■■■■■■■■灯油の保管・取扱いの留意事項について■■■■■■■■■■■■
寒い冬の時期は、ストーブなどの暖房機器の使用は欠かせません。それらの燃料である「灯油」は、生活の中で身近なものですが、消防法において
「危険物」であり、大量に保管すると火災の危険性が高まるとともに、保管・取扱い方法を誤ると出火や事故などを発生させる危険性があります。
灯油を取り扱う場合は、次の点に注意し、安全に行ってください。
1 高温の場所や火気の近くでは保管しない・取り扱わない
灯油は、引火点が40℃以上で、加熱などにより液温が引火点以上になると、引火の危険性はガソリン(引火点は
―40℃)とほぼ同じになります。布などの繊維製品などにしみ込んだ状態では、空気に触れる面積が大きくなるので危険性は増大します。火気の近くで保管・取り扱わないのは当然、直射日光の下、風通しの悪い物置などの高温となる場所では保管しないでください。
灯油から揮発した蒸気は空気より重いため、可燃性の蒸気が床面に沿って広範囲に拡大し、穴やくぼ地などに溜まりやすくなります。
そのため離れた場所でも可燃性蒸気が滞留し、火気、高温部、静電気等思わぬ火花などによって引火する危険性があります。
2 法令に適合した容器を使用する
灯油は、電気の不良導体(静電気が蓄積し易い液体)であり、貯蔵又は取り扱う容器は、消防法令により、一定の強度を有するとともに、材質により容量が制限されています。そのため、ペットボトル、ビン等飲料水用の容器には入れることができないほか、水を保管するポリ容器(ポリ缶)等何でも良いわけでもありません。
灯油の貯蔵又は取り扱いを行う容器については、灯油用として性能試験に合格したポリ缶の使用をお願いします。
性能試験に合格した容器には、次のようなマークの表示が付されていますので、容器を購入する際に販売店でしっかり確認してください。
また、容器の劣化に注意し、正しく使用した場合でも5年を目安に更新してください。(ポリ缶には製造年月が表示してあります。)
※参考:日本ポリエチレンブロー製品工業会 リーフレット (PDF:726.8キロバイト)
3 適切に容器で保管する
灯油を入れる前に必ず、容器や栓に破損がないか確認しましょう。また、ストーブへの燃料補給をしていないときは、ノズルやポンプを取り付けたままにしないで、しっかり密栓してください。
灯油が入ったポリ缶は積み重ねず、地震による転倒、落下が起きないよう棚等の固定や滑り止めを設置しましょう。
4 安全に灯油使用機器に入れる・灯油を使用する
灯油を石油ストーブなどの暖房機器に入れるときは、必ず火を消した状態にし、カートリッジ等を戻すときは蓋が確実に閉まっていることを確認しましょう。
直射日光が当たっていたり、高温多湿の場所で保管されていた場合、灯油が変質(燃えにくい成分のタールが発生)している可能性があります。
■独立行政法人国民生活センター『不良灯油による石油暖房機器の故障や異常に注意』
https://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20131121_1.pdf(外部リンク)
このような変質した灯油を使用すると異常燃焼や燃焼不良を起こし、有害な一酸化炭素が発生する可能性もあり、火災や中毒を起こすおそれがあります。このため、古い灯油は廃棄し、新しい灯油の使用をお勧めします。(廃棄は、決して側溝・排水溝には流さず、ガソリンスタンド等で引き取ってもらうようにしてください。)
灯油用暖房機器に誤ってガソリンを入れてしまった場合、そのまま使用すると大変危険ですので、絶対に使用せず専門業者、製造メーカーに問い合わせてください。
5 危険物の違法な貯蔵・取扱いの禁止
消防法令に適合した容器であっても合計200リットル以上の灯油を保管する場合は、建物の大幅な改修が必要となる場合があります。危険物の貯蔵等を行う場合は、事前に管轄する消防署指導課までご相談ください。なお、保管数量が1000リットル以上の場合は、市町村長の許可が必要です。また、200リットル以上(個人の住宅では500リットル以上)1000リットル未満の場合は、あらかじめ所轄消防署長に届出が必要です。
【参考リンク】総務省消防庁『暮らしの中で危険物を安全に取り扱うために ~震災を踏まえた危険物の事故防止~』