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アフターコロナの公園緑地(都市政策研究所第33回講演会講演録)

最終更新日:2022年4月27日
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都市政策研究所では、自治体職員や市民に向け、都市政策に関する様々な知見を提供するために、各分野の著名な方をお招きし、講演会を開催しています。令和4年(2022年)2月24日に、第33回講演会を下記のとおり開催しました。

概要

古澤先生 写真 

第33回講演会の様子


  • 開催概要

【日時】 令年4年(2022年)2月24日(木)午後1時30分~ 2時間程度

【手法】 オンライン講演会(Microsoft teams使用)
講演
【演題】「アフターコロナの公園緑地ー老朽化する社会資本の再整備の視点から
【講師】 前: 国土交通省大臣官房審議官(都市生活環境担当) 
     現: 東急不動産(株)顧問 古澤 達也 
【講演録】
研究員報告
  • 【テーマ】西南戦争後の復興街路計画にみる熊本城下の近代都市づくりの始動

    【報告者】熊本市都市政策研究所 研究員 松澤 真由美

  • 講演要旨

    都市とオープンスペース

     道路や河川、上下水道などの施設では、その整備目的や効果が当初からある程度固まっているものが多いのに対して、公園緑地の効用・効果は時代とともに変遷し、しかも重層的に折り重なっているという点で、特殊なインフラと言えます。

     日本の公園の歴史を振り返ると、明治6 (1873)年の太政官布達第16号により初めて公園が制度化されました。当時の公園に求められた効用は、江戸時代から人々が集まる場所を保全・安寧すること、今で言う行楽の地、花見や飲食の場、アウトドアレクリエーションの場というものが強く意識されていました。その後、明治181885)年に東京市区改正の設計審査会で初代衛生局長だった長与専斎は、公園の効用は公衆衛生と健康であると説き、明治21(1888)年東京市区改正条例では道路や上下水道が整備されるとともに、日比谷公園なども造られました。また公園の効用には防災もあります。大正121923)年の関東大震災で上野公園など樹木に覆われた公園緑地が火災の類焼を防いだことから緑とオープンスペースの効用が、さらに災害発生後の避難場所、仮設の利用においても公園緑地の機能が強く意識されるようになりました。さらに公園には、都市の膨張を防ぐ効用もあります。昭和71932)年に設置された東京緑地計画協議会では、オープンスペース・空間地が都市内においてどのような意味を持つのか初めて体系的に概念整理されました。都心から約10キロ離れたところにグリーンベルトが配置され、戦時下では防空という名目で予算化し、戦後になると特別都市計画法という戦災復興の土地区画整理・都市計画の中で、都市の膨張を防ぐ計画が踏襲されました。その後、昭和40年代には新たに古都保存法を制定し、伝統的な風景を守るためには税金を投入し国が土地を購入してでも保存するという強力な仕組みができました。


    インフラの置かれた状況

     我が国のインフラの多くは昭和30年代後半からの整備で、あと10年もすれば整備後50年のものが過半数を占めるため、老朽化対策が求められています。しかし国も地方も、現状では人とお金が不足しています。例えば、国の公園整備費は平成7年度には約12600億円でしたが現在は約4分の1まで減少しました。公園の維持管理費も平成7年度以降はほぼ横ばいである一方、公園面積は増え、結果として面積当たりの単価は減少しています。

     しかしインフラの老朽化は安全性にも直結する大変重大な問題であり、今後も修繕と維持管理を進めていかなければなりません。そこで今、長寿命化計画の策定・実施が求められているのです。


    アフターコロナのまちづくり

     ここでは新型コロナ感染症を経た後の都市のあり方に関する議論を参考にしながら、インフラの長寿命化、修繕・更新において何に留意しながら進めていけば良いのかを見ていきます。国土交通省都市局では、新型コロナ危機を踏まえた後のまちづくりのあり方について、各界の有識者に様々なご意見をいただきました。その後「デジタル化の急速な発展やニューノーマルに対応した都市政策のあり方検討会」でさらに議論を重ね、中間報告を頂きました。中間報告では、「人間中心・市民目線のまちづくり」「市民のニーズに応じた機動的なまちづくり」「官民が有するストック(都市アセット)を最大限に利活用すべき」との3点をご指摘いただきました。すなわち「施設の維持管理ばかりに目が囚われて、利用者目線がないがしろにされていないか」「過去の先例に囚われすぎていないか、制度を言い訳にしてやってみるということを怠っていないか」「公も民も自分の殻に閉じこもっていないか、お互いにパートナーとして信頼が足りていないのではないか」というご指摘であり、これまで可視化されてこなかった課題が浮き彫りになりました。他にも、官民の多様な主体が将来のビジョンを共有し、各地域の自然や景観、歴史・文化、人々と企業も繋がった社会のコミュニティ、これこそが各地域の資本、財産であり、これらを大切にまちづくりをすべきとの提言がなされています。公園は非常に使いづらいという印象を利用者に与えていることも事実で、都市公園法の許可権者の権能は大変強く見えますが、公園管理者の許可がなければできないということは、許可すれば「できる」ということです。「設置・管理許可」「占用許可」「行為の許可」「P-PFI」など、各地域で工夫可能な道は今でも開かれています。

     一方、公園が老朽化するほどに長い年月が経過すると、その公園を使う方々の年齢層や人数も変化しています。ニーズの変化や運営の仕方も工夫しなければなりません。つまり長寿命化や修繕更新計画は単なる施設管理計画ではなく、今後も使い続けるためにどう工夫すべきかトータルで考えなければいけない。これが包括的に「ストックマネジメント」を考えるということです。その際、インフラの管理運営は行政の役割ですが、これを使うのは一般市民であり、また様々な方々がいるので、行政団体は指定管理者やN P Oなど公マインドを持つ中間団体といかにパートナーシップを組むことができるか、こうした社会作り・人作りも大切だと思います。 

     最後に、街路など公園以外のインフラでも近年は制度改正が進んでいます。そもそもインフラは人が快適に過ごすためのツールで、それが老朽化し修繕更新を行うのならば、その機会に今のニーズに合ったものに造り替えようとの方向に向かっています。但しインフラは地域ごとの一品生産品で、土地の状況に応じて設計・整備・管理される施設です。つまり他の事例を参考に、そのまま適用できるわけではありません。規格が決まっていても各地域でカスタマイズする必要があり、そこが知恵の絞りどころです。

     

    ※講演会要旨の文責は都市政策研究所にあります。

    ※内容の詳細は講演録をご覧ください。

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