平成27年1月20日に開催された第42回「こうのとりのゆりかご」専門部会において、平成26年10月に起こった熊本市西区島崎にある医療法人聖粒会慈恵病院に設置された「こうのとりのゆりかご」に産んで間もない男児の遺体の預け入れについて審議され、自宅出産の危険性と妊娠に関する相談窓口の周知等について提言が出されました。
死亡児預け入れを受けての自宅出産等の危険性についての提言
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こうのとりのゆりかご専門部会
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平成27年1月20日
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これまで当部会では、生後間もない子どもを遠くから長時間かけて連れてくる行為や、ゆりかごへの預け入れを前提とした自宅出産や車中出産等の事例について、子どものみならず母親の生命にかかわる事故が起こる懸念を指摘してきたところであるが、今回、自宅出産により子どもが死亡した事例が現実に起こり、また、その子どもがゆりかごへ預け入れられたことは、大変遺憾である。
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今回の事件は、ゆりかごへの預け入れを前提とした自宅出産ではなかったが、子どもについては、定期的な妊産婦健診を受診し、医療機関で出産していれば、死亡せずにすんだかもしれない。また、母親については、第1子を帝王切開により出産しているにもかかわらず、第2子を自宅出産することは、子宮破裂等を起こし大出血するなどの可能性もあり、大変な危険を伴うものである。
再びこのような事例が起こることがないように、妊産婦健診の未受診出産並びに自宅出産等の危険性について、行政及び医療機関等の連携のもと強く周知に努めてもらいたい。
行政及び医療機関等の相談機関においては、窓口の周知、利用(相談)のしやすさ、相談員の資質向上等のさらなる改善・工夫に努めてもらいたい。
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なお、望まない妊娠や子どもが生まれても育てられない等で悩んでいる方は、お住まいの市町村の相談窓口や児童相談所へぜひ相談をしていただきたい。
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本文
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「自宅出産等の危険性等についての提言」の注釈について
上記提言について、公益社団法人 日本助産師会から、「助産師等の専門家の立ち会う自宅出産等も危険であるという誤解を生じさせる」とのご指摘がありました。
提言の中での「自宅出産等」は専門家の立ち会いの無い自宅出産等を指しており、また、定期的な妊婦健診を受診したうえでの助産師等専門家の立ち会いによる自宅出産を否定しているものではありません。
しかしながら提言が誤解を与えかねないとのご指摘を踏まえ、改めて提言の中の「自宅出産等」については、上記のとおりの趣旨であることをお伝えいたします。