○植木町の自然と生活環境を守る条例
平成4年6月20日
条例第11号
目次
第1章 総則
第1節 通則(第1条・第2条)
第2節 町の責務(第3条―第8条)
第3節 事業者の責務(第9条―第14条)
第4節 町民の責務(第15条・第16条)
第2章 生活環境の保全
第1節 生活環境の整備(第17条―第21条)
第2節 公共の場所の清潔保持(第22条―第24条)
第3節 家畜飼養施設の整備(第25条―第27条)
第3章 自然環境の保全
第1節 削除
第2節 自然環境の保護(第29条―第39条)
第3節 緑化の推進(第40条―第42条)
第4節 開発行為の制限(第43条・第44条)
第4章 雑則(第45条・第46条)
附則
第1章 総則
第1節 通則
(目的)
第1条 この条例は、町民が健康で文化的な生活を営むため、すぐれた自然と良好な生活環境を保全することに関し、基本となる事項を定めるとともに、町、事業者及び町民それぞれの責務を明らかにし、もって町民の良好な環境を確保することを目的とする。
(定義)
第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
(1) 良好な環境 町民が健康な心身を保持し、快適な生活を営むことができる生活環境及び自然環境をいう。
(2) 生活環境 人の生活に直接的に係わる環境をいい、主として、人の生活や行為によって生じる事象をいう。
(3) 自然環境 自然現象である、大気、水、土壌、動植物等を一体として、総合的にとらえた人間を中心とする生物の生存環境をいい、次に掲げるものを対象とする。
ア 山林、原野、河川、池沼等(そこに生育する動植物を含む。)
イ 公園、緑地等
第2節 町の責務
(基本的な責務)
第3条 町長は、町民の良好な環境を確保するため、必要な施策を策定し、これを実施しなければならない。
(良好な環境の整備)
第4条 町長は、町民の良好な環境を確保するため、公園、緑地、道路、河川及び廃棄物処理施設等の整備に努めなければならない。
(良好な環境の保全)
第5条 町長は、良好な環境の保護と回復に必要な施策を講じ、自然環境及び生活環境の保全に努めなければならない。
(地域開発等における配慮)
第6条 町長は、良好な環境に影響を及ぼすと認められる地域の開発及び整備に関する計画等の策定並びに実施に当たっては、自然の保護及び公害の防止に十分配慮しなければならない。
(財政措置等)
第7条 町長は、良好な環境の保全を図るため、必要があると認めるときは、財政上の措置、技術的な援助その他の措置を講ずるよう努めなければならない。
(苦情処理)
第8条 町長は、町民から公害その他良好な環境の侵害に関する苦情があったときは、速やかにその実情を調査し、迅速かつ適正な処理に努めなければならない。
第3節 事業者の責務
(基本的な責務)
第9条 事業者は、その事業活動によって良好な環境に悪影響を及ぼさないよう、自らの責任において必要な措置を講ずるとともに、町が実施する良好な環境の確保に関する施策に協力しなければならない。
(努力義務)
第10条 事業者は、法令又はこの条例に定めのない場合においても、良好な環境の維持、増進に努めるとともに、その事業活動による良好な環境の侵害に係る紛争が生じたときは、誠意をもって解決に当たらなければならない。
(良好な環境の保全)
第11条 事業者は、事業活動を行うに当たっては、自然環境保護及び公害防止に努めるとともに、進んで植生の回復、緑地の造成等良好な環境の保全に努めなければならない。
(開発行為についての責務)
第12条 事業者は、土地区画形質の変更(以下「開発行為」という。)をしようとするときは、自然環境の適正な保全及び公害の防止等、良好な環境の保全に努めなければならない。
(管理義務)
第13条 事業者は、その事業活動による公害の発生源を厳正に管理するとともに、事故の防止に努めなければならない。
(廃棄物の自己処理の義務)
第14条 事業者は、その事業活動に伴って生じた廃棄物をその責任と負担において、適正に処理しなければならない。
第4節 町民の責務
(基本的な責務)
第15条 町民は、常に良好な環境の保全に努めるとともに、町が実施する良好な環境の確保に関する施策に協力しなければならない。
(良好な環境の保全)
第16条 町民は、良好な環境をつくるため進んで樹木、花等を植栽し、動植物を愛護するなど、自然環境の保全に努めなければならない。
2 町民は、道路、下水溝並びに自己の所有若しくは管理する土地又は建物及びそれらの周囲の清潔を保ち、相互に協力して地域の生活環境の保全に努めなければならない。
第2章 生活環境の保全
第1節 生活環境の整備
(空き地の管理義務)
第17条 空き地を所有し、占有し、又は管理する者(以下「所有者等」という。)は、その空き地に繁茂した雑草、枯れ草又は投棄された廃棄物を除去し、及びその空き地への廃棄物の不法投棄を防止する措置を講ずる等、その空き地の近隣住民の生活環境を害さないように努めなければならない。
(雑草等の除去の勧告)
第18条 町長は、空き地に雑草等が著しく生活環境を害しているとの苦情があるときは、当該空き地の所有者等に対して雑草等を除去すべきことを勧告することができる。
(悪臭及び騒音の防止)
第19条 何人も法令に違反しない場合であっても、悪臭及び騒音の発生により近隣の生活環境を妨げないよう努めなければならない。
(愛がん動物の飼育者の義務)
第20条 愛がん動物の飼育者は、その動物が近隣住民の生活環境を害さないよう飼育しなければならない。
2 前項に規定する者は、不用となった愛がん動物をその責任において適正に措置しなければならない。
(し尿、浄化槽の適正な維持管理)
第21条 し尿浄化槽の設置者は、その排水等により生活環境を妨げないよう適正に維持管理しなければならない。
2 町長は、前項の規定に違反し、生活環境を著しく害し、又は害するおそれがあると認める者に対し、その施設の維持管理の方法又は施設の改善その他必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
第2節 公共の場所の清潔保持
(公共の場所の清潔保持)
第22条 何人も道路、公園、広場、河川等の公共の場所に廃棄物を投棄し汚損してはならない。
(工事施行者の義務)
第23条 土木工事、建築工事その他の工事を行う者は、その工事に際し、土砂、廃材、資材等が道路その他の公共の場所に飛散し、脱落し、流出し、又は堆積しないようこれらの物を適正に管理しなければならない。
(勧告)
第24条 町長は、前条の規定に違反して公共の場所の環境を著しく害していると認める者に対し、その違反を是正するために必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
第3節 家畜飼養施設の整備
(家畜飼養施設の新増設の届出)
第25条 規則で定める区域内において、家畜及び家禽類(以下「家畜」という。)を飼養する施設(以下「家畜飼養施設」という。)で規則で定める規模以上のものを新設し、又は増設しようとする者は、規則で定める事項を町長に届け出なければならない。
(家畜飼養施設の適正な維持管理義務)
第26条 家畜を飼養している者は、その飼養施設に汚物及び汚水処理施設を設け、汚物、汚水の流出、悪臭の発散、衛生害虫の発生等により生活環境を悪化させないよう適正に維持管理しなければならない。
(勧告)
第27条 町長は、前条の規定に違反し、生活環境を著しく害し、又は害するおそれがあると認める者に対し、その施設の維持管理の方法、施設の改善その他必要な措置をとるべきことを勧告することができる。
第3章 自然環境の保全
第1節 削除
第28条 削除
第2節 自然環境の保護
(自然環境保護地区等の指定)
第29条 町長は、自然環境の保全を図るため必要があると認めるときは、次に掲げる区分、態様により保護すべき地区(以下「保護地区」という。)、保存すべき樹木(以下「保存樹」という。)及び保存すべき樹林(以下「保存樹林」という。)を指定することができる。
(1) 良好な自然環境保護区 良好な自然環境を有する山林、渓谷、河川等で、その自然環境を維持するために保護を必要とする区域
(2) 歴史的な自然環境保護区 歴史的及び文化的遺産を取り巻く自然環境のすぐれた地域で、その自然環境を維持するために保護を必要とする区域
(3) 保存樹 町民に親しまれ、又は由緒、由来がある樹木で、その保存を必要とする樹木
(4) 保存樹林 町民に親しまれ、又は由緒、由来がある樹林で、その保存を必要とする樹林
(保護地区等の指定の手続)
第30条 町長は、保護地区、保存樹及び保存樹林(以下「保護地区等」という。)を指定しようとするときは、当該保護地区等の所有者、占有者及び管理者(以下「所有者等」という。)の同意を得て植木町環境審議会条例(昭和47年植木町条例第14号)第1条の植木町環境審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴かなければならない。
2 町長は、前項の指定をするときは、規則で定めるところにより、その区域又は種目等を告示しなければならない。
3 保護地区等の指定は、前項の告示によってその効力を生ずる。
(標識の設置)
第31条 町長は、保護地区等を指定したときは、その旨を表示する標識を設置しなければならない。
2 前項に規定する土地の所有者等は、正当な理由がない限り、同項に規定する標識の設置を拒み、又は妨げてはならない。
3 何人も第1項の規定により、設置された標識を町長の承諾を得ないで移動し、除去し、又は棄損してはならない。
(指定の解除及び区域の変更)
第32条 町長は、必要があると認めるときは、審議会の意見を聴いて保護地区等の指定を解除し、又は区域の変更をすることができる。
(保護地区の保護義務)
第33条 保護地区の土地の所有者等は、当該保護地区の植物、動物等の自然環境が良好に保全されるよう努めなければならない。
2 何人も保護地区内において、みだりに植物を採取し、又は損傷し、動物を殺傷し、又は捕獲してはならない。
3 何人も保護地区内において、廃棄物を投棄し汚損してはならない。
(保護地区内における行為の届出)
第34条 保護地区内において、次に掲げる行為をしようとする者は、規則で定めるところにより、あらかじめ、町長に届け出なければならない。
(1) 建築物その他の工作物を新築し、改築し、増築し、又は移転すること。
(2) 宅地を造成し、土地を開墾し、その他土地の形質を変更すること。
(3) 木竹を伐採すること。
(4) 土石類を採取すること。
(5) 広告物その他これに類するものを掲出し、又は設置すること。
(6) その他自然環境の保全に影響を及ぼすおそれのある行為で、町長が必要と認めるもの
2 保護地区が指定され、又はその区域が拡張された場合、当該保護地区内において前項各号に掲げる行為に着手している者は、遅滞なく町長に届け出なければならない。
3 保護地区内において、非常災害のために必要な応急措置として行う行為をした者は、遅滞なく町長に届け出なければならない。
(保存樹及び保存樹林の保護義務)
第35条 保存樹及び保存樹林の所有者等は、保存樹及び保存樹林の枯損の防止に努めなければならない。
2 何人も保存樹及び保存樹林が良好な状態に保護されるように協力しなければならない。
(保存樹及び保存樹林に係る行為の制限)
第36条 何人も、保存樹及び保存樹林を損傷し、又はその保存に悪影響を及ぼす行為をしてはならない。ただし、規則で定めるところにより町長の許可を得た場合は、この限りでない。
2 保存樹及び保存樹林について、非常災害のために必要な応急措置として行う行為をした者は、遅滞なく町長に届け出なければならない。
(保護地区等についての指導、勧告及び命令)
第37条 町長は、第34条に規定する届出又は前条に規定する許可申請があった場合において、保護地区等の指定の目的を達成するため必要があると認めるときは、当該届出又は許可申請をした者に対し、必要な措置をとるべきことを指導し、又は勧告することができる。
2 町長は、第34条及び前条の規定に違反する者又は前項に規定する勧告に従わない者に対し、当該行為の中止又は原状の回復等必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
(補助)
第38条 町長は、保護地区等の保護のため必要があると認めるときは、予算の範囲内でその費用の一部を補助することができる。
(みどりの保全員の設置)
第39条 町長は、保護地区等及びその他の自然環境を保全するため、規則で定めるところにより、みどりの保全員を置くことができる。
第3節 緑化の推進
(公共施設における緑化の確保)
第40条 町が設置し、又は管理する公園、公営住宅、学校、庁舎等の施設(以下「公共施設」という。)においては、緑地を確保するため、規則で定める緑地基準に基づき、積極的に植樹等を行うものとする。
2 国及び本町以外の地方公共団体が設置又は管理する公共施設においても管理主体に働きかけ緑地を推進するものとする。
(工場、事業場等の緑地)
第41条 工場若しくは事業場等を設置している者又は設置しようとする者は、前条の緑地の基準に準じて当該土地内に緑地を確保し、植樹等を行うよう努めなければならない。
(宅地等の緑化)
第42条 町民は、その居住し、所有し、管理する土地について樹木等を植栽するなど緑化に努めるものとする。
第4節 開発行為の制限
(開発行為の届出)
第43条 自然環境及び水源を保全するため、山林において規則で定める規模以上の宅地の造成その他の土地の区画、形質の変更を伴う開発行為をしようとする者は、規則で定めるところによりあらかじめ町長に届け出なければならない。
2 前項の規定は、次の各号のいずれかに該当するものについては、これを適用しない。
(1) 文化財保護法(昭和25年法律第214号)第109条第1項又は第110条第1項の規定により指定又は仮指定されたもの
(2) 森林法(昭和26年法律第249号)第25条の規定により指定されたもの
(3) 自然公園法(昭和32年法律第161号)第2条第1号に規定する自然公園の区域として指定されたもの
(4) 自然環境保全法(昭和47年法律第85号)第22条第1項又は第45条第1項の規定により指定されたもの
(5) 都市計画法(昭和43年法律第100号)第29条の規定により許可を受けなければならない開発行為
(6) 熊本県立自然公園条例(昭和33年熊本県条例第45号)第6条第1項により指定されたもの
(7) 熊本県自然環境保全条例(昭和48年熊本県条例第50号)第22条、第26条により届け出なければならない開発行為
(指導、勧告及び命令)
第44条 町長は、自然環境等の保全のため、必要があると認めるときは前条の規定による届出をした者に対し、必要な措置をとるべきことを指導し、又は勧告することができる。
2 町長は、前条の規定に違反する者又は前項に規定する勧告に従わない者に対し、当該開発行為の中止、計画の変更、原状の回復、自然環境及び生活環境の保全に必要な措置をとるべきことを命ずることができる。
第4章 雑則
(立入調査)
第45条 町長は、この条例の目的を達成するため必要があると認めるときは、その職員に保護地区内の土地、保存樹又は保存樹林の所在する土地若しくは工事現場又は建築物の敷地その他の場所に立入調査をさせることができる。
2 前項の規定により立入調査を行う職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。
(委任)
第46条 この条例の施行について必要な事項は、規則で定める。
附 則
(施行期日)
1 この条例は、平成4年10月1日から施行する。
(植木町あき地に繁茂した雑草等の除去に関する条例の廃止)
2 植木町あき地に繁茂した雑草等の除去に関する条例(昭和53年植木町条例第15号)は、廃止する。
附 則(平成13年12月21日条例第30号)抄
(施行期日)
1 この条例は、公布の日から施行する。
(植木町の自然と生活環境を守る条例の一部改正に伴う経過措置)
6 この条例の施行の際現に前項の規定による改正前の植木町の自然と生活環境を守る条例(以下「旧自然環境保護条例」という。)第28条第1項の植木町自然環境保全審議会の委員である者は、施行日に、新審議会条例第3条第2項の規定により植木町環境審議会の委員として任命されたものとみなす。この場合において、その任命されたものとみなされる者の任期は、新審議会条例第4条の規定にかかわらず、同日における旧自然環境保護条例第28条第1項の植木町自然環境保全審議会の委員としての任期の残任期間と同一の期間とする。
附 則(平成17年3月11日条例第13号)
この条例は、平成17年4月1日から施行する。