第4回アジア・太平洋水サミット

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首脳級会合で登壇した各国首脳等
(向かって左から、チャンファ・ウー APWF執行審議会副議長、ウズベキスタン共和国 サルドール・ウムルザーコフ副首相、ツバル カウセア・ナタノ首相、岸田文雄 内閣総理大臣、森喜朗 APWF会長、カンボジア王国 フン・セン首相、ラオス人民民主共和国 パンカム・ヴィパヴァン首相、マーク・パスコー APWF執行審議会議長) |
概要
参加国(オンライン参加及びビデオメッセージ参加含む)
カンボジア、ツバル、ラオス、ウズベキスタン、ブータン、ベトナム、インドネシア、キルギス、スリランカ、タイ、タジキスタン、トルクメニスタン、ナウル、ニウエ、フィリピン、バングラデシュ、マーシャル諸島、インド、ブルネイ、モルディブ、シンガポール、パラオ、フィジー、アゼルバイジャン、韓国、ソロモン諸島、ネパール、モンゴル、アルメニア、カザフスタン、日本 |
開会式
開会式には、天皇皇后両陛下にオンラインによるご臨席を賜り、また会場の熊本城ホールには海外からの来賓を含め約700名が出席しました。

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開会挨拶 アジア・太平洋水フォーラム 森喜朗会長 | 天皇陛下おことば | 御挨拶 岸田文雄 内閣総理大臣 |

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開催都市挨拶 熊本市長 大西一史 | APWFからの報告 マーク・パスコー執行審議会議長 | ユース代表によるサミット開始宣言 |
天皇陛下記念講演

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オンラインで記念講演をされる天皇陛下 |
開会式のセレモニーの後、天皇陛下による「人の心と水-信仰の中の水に触れる-」と題した記念講演が行われました。
はじめに-熊本の人と水によせて-について、古来より、人と水とが深く関わってきた熊本市に於いて第4回アジア・太平洋水サミットの記念講演を行うことを嬉しく思うと述べられました。さらに、人口74万人のすべて飲料水を良質な地下水で賄っていることは、世界でも稀であり、多くの市民の皆さんが水環境の保全に取り組んでいるからこそであり、熊本市は、まさに清冽な水の都と言えると評されました。
続いて、国内外の山岳信仰や蛇神・龍神の神話などを陛下が自ら撮影された写真を交えながら、水への信仰がアジア太平洋地域に広がっていった過程を解説されました。
また、SDGsの進捗状況に触れられ、これらの達成に向けた取り組みなどを通じ「全世界の平和と繁栄に繋がることを心から願う」と述べられました。
首脳級会合では、対面・オンラインにより各国首脳が参加し「熊本宣言」が採択されました。
「熊本宣言」は、参加国の様々な意見を踏まえ、コロナからの回復において、水の持続性についての取組みを強化すること、強靭性、持続可能性、包摂性を兼ね備えた質の高い社会への変革のために、ガバナンス、ファイナンス、科学技術の3つの観点から簡潔かつ包括的にまとめられ、各国首脳級から参加者に議論を促し、実質的な行動を求めた新しい形の宣言となりました。
このような宣言が採択されたことは、大変意義深く、また、 一方で、開催地としての実践に向けた責任の重い国際会議となりました。
熊本水イニシアティブ

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首脳級会合において、「熊本水イニシアティブ」を発表する岸田総理大臣 |
首脳級会合で岸田首相が、アジア太平洋地域における水を巡る社会課題に対し、官民共同により持続可能な発展と強靭な社会経済の形成につなげていく「新しい資本主義」に基づき、質の高いインフラ整備等に、今後5年間で約5,000億円の支援を実施する『熊本 水イニシアティブ』を発表されました。
各国の首脳・閣僚級が集う本サミットにおいて、開催国の首相である岸田首相からこの表明がされたことは、世界の水問題解決に向けた国の強い決意を感じたところであり、この決意を盛り込んだ熊本宣言が採択されたことは、非常に大きな意義があります。
次世代の参画
今回のサミットでは「ユース水フォーラム・九州」の高校生達が活躍しました。開会式では、熊本北高校の生徒2人がサミット開始を英語で宣言。水問題解決に向けた動画を作成した3組は、天皇皇后両陛下とオンラインで懇談を行いました。
また、展示会場では、外国人と通訳を介さず英語で意見交換を行うなど、様々な場面で積極的な参画が見られました。

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天皇皇后両陛下とオンライン懇談するユース水フォーラム九州の高校生 | 熊本北高校の生徒2人によるサミット開会宣言 | 展示会で海外の参加者と交流するユース水フォーラム九州の高校生 |
熊本の取り組みを世界へ

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特別セッションの大西市長発表 |
(1)特別セッション
各国の優れた取組を紹介する「特別セッション」では、日本を代表して大西市長が登壇し、豊かな地下水を大切に守り、後世に継承するための熊本地域の地下水保全の取組や、気候変動などにより激甚化する洪水災害に備える「流域治水」の取り組みなどを発表しました。
発表を聞いた他の登壇者からは「水保全と防災が連携するという新たな試みに驚いた」「科学技術の高度な知見が地下水管理に役立てられており、先進事例を学ばせていただいた」といったコメントが寄せられました。
(2)サイドイベント(シンポジウム)
サイドイベントのシンポジウムで、熊本県、熊本市、(公財)くまもと地下水財団、(公財)肥後の水とみどりの愛護基金が連携し、地域一体となった地下水保全の取組を紹介しました。
また、海と日本プロジェクトinくまもとのシンポジウムでは、小学生による海洋ごみゼロの取組や学習の成果が世界に向けて発表されました。

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熊本の地下水保全発表の様子 | 小学生による海洋ごみゼロの発表 |
(3)現地展示会
熊本城ホール1階の展示ホールBで開催した現地展示会には、インフラ・テクノロジー、世界・宇宙から見た水問題など28のブーズが出展され、国内外からお越しのお客様と出展者の交流が図られたほか、出展者同士の交流の輪が広がり、今後の水保全活動などへの繋がりが期待されます。

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熊本地震からの復興パネル |
(4)熊本地震からの復興
熊本地震からの復興パネルの前には、国内外の多くの皆様が足を止め、熱心にパネルをご覧になっていました。
復興パネルには、熊本城の復元の様子も展示しており、熊本地震の発災時に、励ましや支援をいただいた皆様に、着実に復興している熊本の姿をご覧いただき、感謝の意を伝えることができました。
閉会式
2日間の議論を総括した「議長サマリー」では、熊本宣言で示された「質の高い社会」への変革を目指すための、科学技術やガバナンスなどそれぞれの視点で求められる役割などが提言され、2日間の日程で開かれた「第4回アジア・太平洋水サミット」は閉幕しました。

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セッション報告 上川陽子 衆議院議員(水制度改革議連会長) | 閉会宣言 国内ユース代表及び海外ユース代表 |

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国土交通大臣挨拶 中山展宏 国土交通副大臣代読 | 閉会挨拶 熊本市長 大西一史 |
第4回アジア・太平洋水サミット 開催概要
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アジア太平洋地域諸国の首脳・閣僚級や国際機関の代表などが参加し、当地域における爆発的な人口増加や急速な経済発展による水不足、河川・海域・地下水の水汚染、さらに地球温暖化による洪水被害の増大など、深刻化する水問題について課題の解決を図るために話し合う国際会議です。 |
概要
期日 | 2022年4月23日(土)24日(日) |
会場 | 熊本城ホール(熊本市中央区桜町) |
主催 | アジア・太平洋水フォーラム(APWF)と熊本市の共催 |
全体テーマ | 持続可能な発展のための水~実践と継承~ |
会議の公式言語 | 日本語・英語 |
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熊本城ホール メインホールホワイエ | 熊本城ホール メインホール |
世界に誇る地下水都市・熊本での開催意義
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熊本市は、市民の水道水の100%を地下水で賄っている日本一の地下水都市です。清らかで豊富な地下水は、社会活動を営むうえで様々な用途に利用されており、人口約74万人を擁する都市で、水道水の全てを地下水で賄っているところは、日本全国でも他に例がありません。 また、熊本平野には白川、緑川などの主要河川や坪井川、井芹川などの河川、江津湖、八景水谷などの湧水地があり、人に潤いと安らぎを与える水辺環境も豊かです。 かけがえのない資源である地下水環境を将来に渡り守っていくために、昭和52年(1977年)に「熊本市地下水保全条例」を制定するとともに、地下水保全の組織を置き、熊本県や研究者等の協力のもと、地質や土地利用調査など地下水流動機構に関する調査研究や地下水利用の実態把握、地下水観測体制の整備を行いました。また、水源かん養林整備事業や水田湛水事業などの水量保全事業や市民協働による節水市民運動などを実施してきました。 このような取組は国内外から高く評価され、平成20年(2008年)6月には、第10回日本水大賞グランプリ、平成25年(2013年)3月には国連“生命の水”最優秀賞を受賞しました。また、地域住民等による主体的かつ環境の保全活動が評価され、平成20年(2008年)6月に、平成の名水百選に「水前寺江津湖湧水群」「金峰山湧水群」の2か所が選定されています。 本サミットでは、熊本市がこれまで培ってきた自然を生かした地下水保全の取組や、熊本地域の住民・事業者・行政の連携・協働による広域的な取組を発信することにより、水問題に苦しむアジア太平洋地域の課題解決の一助となります。 また、アジア太平洋地域の代表地域の1つとして、大西市長が本市の「健全な水循環」および「流域治水」の取組を全世界へ発信します。 ※熊本市の地下水の仕組みや地下水保全の取り組みの詳細はこちら |
目指す成果
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本サミットは、「国連水の国際行動の10年」の中間年にあたる2023年3月に開催予定の「国連水会議」のロードマップに位置づけられており、サミットの成果である「熊本宣言」がこの「国連水会議」において世界に発信されることで、アジア・太平洋地域のみならず、世界の水問題解決につながることを目指すものです。 |
参加予定国
アジア太平洋地域の国(主催国日本を含む)
アゼルバイジャン、アフガニスタン、アルメニア、イスラエル、イラン、インドネシア、インド、ウズベキスタン、オーストラリア、カザフスタン、カンボジア、キルギス、サモア、ジョージア、シンガポール、スリランカ、タイ、韓国、タジキスタン、中国、トルクメニスタン、トンガ、ニュージーランド、ネパール、パキスタン、パプアニューギニア、パラオ、バングラデシュ、東ティモール、フィジー、フィリピン、ブータン、ブルネイ・ダルサラーム、ベトナム、マーシャル諸島、マレーシア、ミクロネシア、ミャンマー、モルディブ、モンゴル、ラオス、ソロモン、ツバル、キリバス、ナウル、ニウエ、バヌアツ、クック諸島、日本
過去の開催概要
公式プロモーション動画
協賛企業
アジア・太平洋水サミットとは
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第3回APWS開会挨拶 写真提供(Myanmar News Agency) (ミャンマー・ニュース・エージェンシー) |
アジア・太平洋水サミット(APWS)とは
アジア太平洋地域における、急速な人口増加、経済発展、気候変動による水不足や水質汚濁、洪水被害の増大などの水に関する声を取りまとめ、世界の優先課題として提起するとともに、地域の英知を結集し、課題の解決を図るための水の国際会議です。
アジア太平洋地域(49カ国)の首脳・閣僚級を含むハイレベルを中心に、水問題に対する認識を深め、その解決に向けた行動を促します。
また、第4回アジア・太平洋水サミットは、国連の国際行動の10年「持続可能な開発のための水」の中間年にあたる2023年3月に開催予定の「国連水会議」のロードマップに位置付けられています。
サミットの成果である「熊本宣言」がこの「国連水会議」において世界に発信されることで、アジア太平洋地域のみならず、世界の水問題の解決につながることを目指すものです。
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国際行動の10年「持続可能な開発のための水」中間レビューに向けたロードマップ |
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第3回APWS集合写真 写真提供(Myanmar News Agency) (ミャンマー・ニュース・エージェンシー) |
熊本市でAPWSを開催する意義
74万市民の水道水源の全てを地下水でまかなう熊本市では、市域の範囲を超えた「熊本地域」の住民・事業者・行政による連携・協働のもと、地下水保全の取組みを展開し、多くの効果を挙げています。
この「熊本地域」の取組みは、水問題の解決を目指す多くの国々に有効なヒントとなるものと考えています。
同時に、2016年4月に発生した熊本地震からの復興を世界に発信する絶好の機会と捉えています。
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第4回アジア・太平洋水サミット 公式ロゴマーク |
第4回アジア・太平洋水サミット公式ロゴマーク
私たちの住む地球では、大気から大地、河川などを経て海に向かう大きな水の循環があり、水問題解決のために実施したことが、他の地域、環境・経済への効果や影響を与えることがあります。水問題に対しては、様々な地域、立場の人々が水循環を考えながら、一体的に取り組むことが重要になります。
このロゴマークは、アジア太平洋地域全体が、水循環という大きな視点で、水を認識し、水問題解決に取り組んでいく姿勢を表現したものです。
外側の輪は、右から反時計回りに、水蒸気となった水が、雨となって地上に降り、川や湖、地下水などに形を変えて大地を潤していくという、大きな循環を意味しています。
写真誌
水サミットの様子を記録した「第4回アジア・太平洋水サミット写真誌」を作成しました。
開会式や首脳級会合といった本体会議プログラムの他、現地展示会やシンポジウム、海外からお越しいただいた皆様へのおもてなしの様子などを掲載しております。是非ご覧ください。
写真誌は、以下の場所で閲覧することが可能です。
・熊本市本庁舎7階 水保全課
・熊本市議会図書室(熊本市議会棟 2階)
・熊本市立各図書館、図書室(図書館・図書室によっては取り扱いがない場合があります)
※一般販売は行っておりません。