江津湖地域における特定外来生物等による生態系等に係る被害の防止に関する条例
<条例の目的> これまでの駆除や調査の結果、外来生物の増加や外来生物による在来種の捕食や在来種の種数の減少が確認され、更なる外来生物への対策が必要になっています。
そこで、これまでの駆除に加え、市民や事業者の皆様にも指定外来魚を釣ることや放流、再放流をしないことで駆除に協力していただくなど、みんなで江津湖地域の豊かな生態系を守るためにこの条例ができました。
条例全文 (PDF:142.5キロバイト)
施行規則全文 (PDF:127.7キロバイト)
<条例の内容>
◎指定外来魚(※1)の再放流(リリース)の禁止
江津湖地域内で釣り上げた指定外来魚は、回収いけす以外には再放流(リリース)できません。
指定外来魚を釣った場合は、市が指定する回収いけすや回収箱(※2)に入れてください。
◎江津湖地域における指定外来魚の放流の禁止
江津湖地域に指定外来魚を放すことはできません。指定外来魚を江津湖地域に持ち込まないようにご協力をお願いします。
※1 指定外来魚とは?
江津湖地域の生態系に悪影響を与えるおそれのある魚として、下の6種類の魚を指定外来魚としています。
【指定外来魚】 |  |  |
---|
○オオクチバス(ブラックバス) サンフィッシュ科、オオクチバス属 全長 30~50cm | ○ブルーギル サンフィッシュ科、ブルーギル属 全長 25cm | ○カダヤシ カダヤシ科、カダヤシ属 全長 雄 3cm、雌5cm
|
 |  |  |
○ナイルティラピア カワスズメ科、カワスズメ属 全長 50cm
| ○ジルティラピア カワスズメ科、ティラピア属 全長 35cm
| ○カムルチー タイワンドジョウ科、タイワンドジョウ属 全長 30~80cm |
※2 江津湖地域と回収いけす、回収箱の設置箇所

釣り上げた指定外来魚は回収いけす又は回収箱に入れてください。
◎条例に違反した場合
条例に違反した場合は、市から指導を受けます。さらに悪質な場合は、住所や氏名が公表される場合があります。
※江津湖の生態系を守るため、ご協力をお願いいたします。
江津湖の現状
江津湖は、市街地にありながら、1日約40万トンに及ぶ豊富な湧水により、四季を通じて水温の変化が小さく、年平均18℃前後を保っていることなどから、良好な水辺環境が保たれています。そのため、環境省や熊本県のレッドリストに掲載されている希少種(絶滅のおそれのある種)をはじめ、野生動植物の種類も豊富で、市民の憩いの場、自然学習の場としても親しまれています。
しかし、近年江津湖では、オオクチバスやブラジルチドメグサなどの外来生物が増加し、また在来種を食べたり、広く繁茂するなどの原因で在来種が減少し、江津湖の生態系が変わってきています。
<江津湖で見られるレッドリスト掲載種(絶滅のおそれのある種)>
 |  |  |
○ミナミメダカ ○レッドリスト 環境省:絶滅危惧II類(VU) 熊本県:準絶滅危惧(NT) | ○ヤリタナゴ ○レッドリスト 環境省:準絶滅危惧(NT) 熊本県:絶滅危惧II類(VU) | ○カワヒガイ ○レッドリスト 環境省:準絶滅危惧(NT) 熊本県:準絶滅危惧(NT) |
 |  |  |
○ヤマトシマドジョウ ○レッドリスト 環境省:絶滅危惧II類(VU) 熊本県:- | ○カワアナゴ ○レッドリスト 環境省:- 熊本県:準絶滅危惧(NT) | ○ニホンウナギ ○レッドリスト 環境省:絶滅危惧IB類(EN) 熊本県:準絶滅危惧(NT) |
※レッドリストの分類について

・絶滅(EX):すでに絶滅したと考えられる種
・野生絶滅(EW):飼育・栽培下でのみ存続している種
・絶滅危惧IA類(CR):ごく近い将来における野生での絶滅
の危険性が極めて高いもの
・絶滅危惧IB類(EN):IA類ほどではないが、近い将来における
野生での絶滅の危険性が高いもの
・絶滅危惧II類 (VU):絶滅の危険が増大している種
・準絶滅危惧 (NT):現時点での絶滅危険度は小さいが、生息
条件の変化によっては「絶滅危惧」に移行
する可能性のある種
・情報不足(DD):評価するだけの情報が不足している種
・絶滅のおそれのある地域個体群(LP):
地域的に孤立している個体群で、絶滅のおそれが高いもの
<江津湖で確認される外来生物による影響>
もともとその地域にいなかったのに、人間活動によって外国や日本国内のほかの地域から持ち込まれたものを外来生物といいます。
外来生物の中には、生命力が強く、もともとその地域にいる在来の生物を食べたり、生活の場所や餌を奪うなど、生態系に大きな影響を与えるおそれのあるものがいます。その中でも特に生態系などに大きな影響を与える外来生物として、「特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律」(外来生物法)で指定されたものを特定外来生物といいます。
江津湖でも、オオクチバス(ブラックバス)などが、もともと江津湖にいた在来の魚を餌にすることや、ブラジルチドメグサやボタンウキクサ(ウォーターレタス)などの外来植物が大量に発生することにより、在来の植物が減少してしまうことなど、特定外来生物や外来生物による生態系への悪影響が心配されています。
 |  |  |
オオクチバス(特定外来生物)の胃の中に入っていた小魚やエビ | ブラジルチドメグサ(特定外来生物) | ボタンウキクサ(特定外来生物) |
※特定外来生物が引き起こす影響
●生態系への影響
・捕食:その地域にいる生物を食べる。
・交雑:その地域にいる生物と交雑して雑種を作る。
・競合:その地域にいる生物が生活をしていた場所や餌を奪う。
●人体への被害
・毒をもっている。 ・人をかんだり刺したりする。
●経済・産業への被害
・農林水産物を食べる。 ・畑を踏み荒らす。
※特定外来生物について、コチラもご参照ください。
→「特定外来生物について」
<市での取り組み>
このような現状を受け、市では国や関係団体などの協力を得て外来生物の駆除や調査を行ってきました。
また、江津湖周辺に看板を設置し、条例の周知を図っています。
 |  | 
|
電気ショッカー船による外来魚の駆除 | 刈取船による外来水草の駆除
| 看板設置(令和3年度改修) |
指定外来魚回収実績について
電気ショッカー船による指定外来魚の捕獲実績
環境政策課では、平成27年度に電気ショッカー船を導入し、江津湖地域においては平成27年度から魚類生息状況調査を、平成29年度からは指定外来魚駆除をはじめました。電気ショッカー船による指定外来魚の捕獲実績は、以下のとおりです。
〇魚類生息状況調査
江津湖地域における環境DNA分析(魚類)調査
〇環境DNA分析(魚類)調査
江津湖地域における外来植物調査
〇外来植物調査
江津湖地域における希少生物生息・生育状況調査