【市長発表:平成20年第1回定例会における当初予算案・条例案について】
それでは、当初予算編成にあたりましての基本的な考え方につきまして、景気の動向や地方財政計画等も踏まえましてご説明を申し上げます。
現下の経済情勢につきましては、国も示しておりますように、「景気は、一部に弱さがみられるものの、回復をしている」とされてはおりますが、その一方におきましては、サブプライムローン、あるいは原油価格の高騰などがございまして、未だ不透明感が漂っているような状況でございます。
本市におきましても、企業収益の足踏みに加えまして、住宅投資や個人消費の一部におきまして回復テンポが鈍化傾向にございまして、まだまだ景気回復を実感できるような状況には至っておりません。
このような中で、国は平成20年度予算におきまして、歳出全般にわたる見直しと最大限の削減を行っているとされております。
その中で地方財政計画につきましては、全体規模は7年ぶりの増加、地方一般歳出も9年ぶりの増加となってはおりますものの、これは、地方税の偏在是正策として今計画で創設されました「地方再生対策費」を含むものでございまして、これを除きまして比較を致しますと、全体規模でマイナス0.2%となりまして、給与関係経費や投資的経費など、歳出全体を抑制した計画となっているものであります。
さらに、地方税や地方交付税、臨時財政対策債等の、安定的な財政運営に必要な地方一般財源の総額は対前年度比プラスの1.1%と5年ぶりに増額確保されてはおりますものの、地方税につきましては景気回復を前提としているものでありまして、また地方交付税につきましては、原資となる国税の伸びの鈍化を勘案し、地方の財源不足額を補てんするため、平成20年度に行うこととしておりました交付税特別会計からの借入金の償還を繰り延べした上で確保されたものでございます。
それでも、なお、地方の財源不足でございますが5兆2,476億円と前年度から約8,000億円ほど増加している状況でございまして、地方の財政運営にとりましてはやはり引き続き厳しい状況と言わざるを得ないと感じているところであります。
こうした中、本市の平成20年度当初予算の編成を行ったところでございますけれども、来るべきこの新年度でございますが、大変重要な年だという位置付け、これまでも繰り返し申し上げてきたところでありますが、現行の「まちづくり戦略計画」、さらには「行財政改革推進計画」のいよいよ最終年度でもありますし、そして総仕上げの年とも言えると考えております。
また、さらには本市の目指すまちの姿を描き、その実現に向けたまちづくりの基本方針を明らかに致します「第6次総合計画」の策定や、「行財政改革推進計画」の見直し、そして、いよいよ富合町との合併を迎え、さらなる合併と政令指定都市の実現に向けた動きを加速していかなければならない大変重要な年でもあるわけでもあります。
そして、九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に向けた熊本駅周辺整備、鉄軌道ネットワークの強化やバス路線網再編などの公共交通への取り組み、中心市街地の活性化に向けた取り組み等、引き続き、本市の将来を方向付ける年でもございまして、それらの重要課題を円滑に、そして着実に推進してまいりますために、徹底した事業の選択と集中の考え方のもとに財源の配分を行ったところであります。
具体的に申し上げますと、まず、歳入面では、その根幹をなします市税につきまして、税源移譲の影響が通年ベースとなることや制度改正の影響などによりまして、一定の伸びが見込まれますが、地方交付税及び臨時財政対策債がいずれも前年度当初予算を下回る見込みとなり、県税関係の交付金も大幅な減少が見込まれることから、税、地方譲与税、地方交付税等を合計した一般財源総額は、前年を2億円ほど下回る1,324億円となる見込みでございます。
このように、厳しい財政環境のもとではございますが、先程もご紹介致しました新年度が最終年度となります「行財政改革推進計画」に基づきまして、燃やすごみ等収集運搬業務、共同調理場給食業務などの民間委託でございますとかあるいは公立保育所の民営化の推進などはもとより、「さらなる財政健全化」を目指して掲げました、経常的経費、政策的経費のシーリングの設定、さらには事務事業の廃止・見直しなど、各項目の着実な実行によりまして財源の確保に努めたところでございます。
次に、歳出の面で重点的に取り組んだ事項につきまして、「まちづくり戦略計画」に関連する項目を中心として説明をさせていただきます。
まず、『市民協働で築く自主自立のまちづくり』の推進についてでありますが、自治基本条例につきましては、現在検討委員会で御議論いただいておりますが、広く市民の皆様方への周知を行いますためにも、シンポジウム、オープンハウスを開催をしてまいる予定であります。また、市の制度や手続きに関する市民の皆様からの様々な問い合わせの窓口となりますコールセンター、これを本年6月から本格運用を開始致します。
次に、これまで自治会に委託をしておりました市政だよりの配布事務を民間委託に切り替えることに伴いまして、町内自治振興補助金を見直しますとともに、校区自治協議会を主体とした地域の課題対応への取り組みに対する助成制度、これを新たに創設したものであります。
続きまして、ターゲット1『良好な環境を未来へと引き継ぐまち』でありますが、本市最大の魅力でもあり、大きな財産でもあります清冽な地下水を守り育て、次世代に引き継いでまいりますために、引き続き節水を目指した各種事業の推進に取り組んでまいります。
そして、地下水かん養のための白川中流域での水田たん水事業につきましても、地元の御理解と御協力をいただきながら実施をしてまいりたいと考えております。
さらに、改正をされました地下水保全条例に従いまして、市の施設の新設、改築にあわせて雨水の地下浸透施設を設置してまいります。
家庭ごみにつきましては、「熊本市ごみ減量・リサイクル推進基本計画」に掲げる減量目標を達成致しますため、地域拠点説明会やメディアの活用等によります啓発に努めてまいる所存であります。
また、環境にやさしい公共交通機関の利用促進につきましては、公共交通機関のネットワーク整備や結節の強化などによる利便性の向上を目指し、中心市街地における交通ビジョンの策定に取り組みますととともに、バスサービスの水準やバス交通のあり方についての検討を進めてまいりますほか、都市圏における鉄軌道ネットワーク強化に向けた調査や桜町地区の交通結節の検討などを行ってまいります。
次に、ターゲット2の『子どもたちが健やかに成長するまち』でありますが、新年度におきましては子ども未来局を新設致しまして、子育てしやすく子どもたちの健やかな成長を育む環境づくりにこれまで以上に総合的に取り組んでいくこととしております。
いよいよ4月には本市の保健福祉の拠点施設となります熊本市総合保健福祉センター、愛称「ウェルパルくまもと」も開設を致します。
ここはご承知のように保健所、中央保健福祉センターをはじめ、子どもに関する相談を一元的に受ける「子ども総合相談室」や、障害児の早期発見、早期療育を目指します「子ども発達支援センター」、健康をテーマに情報を発信し、市民とともに学びあう場となる「ウェルパル広場」などを設置致しまして、安心して子育てができる環境づくりを目指してまいりたいと考えております。
また、妊婦・乳幼児健康診査についてでありますが、これまで2回でございました公費負担の妊婦健診を5回に拡充致しまして、その中で、全妊婦に対し超音波健診を実施することと致しました。
さらに、平成18年度に策定を致しました「ひとり親家庭等自立促進計画」、これに基づきまして、ひとり親家庭の生活環境の改善に寄与するための養育費確保支援員の配置を新たに行うこととしております。
このほか、引き続き児童相談所の開設に向けまして、これまでも準備を進めてまいりましたが、今後も必要な人材の育成や調査に取り組みますとともに、保育所関係におきましては、平成19年度に実施を致しました保育需要調査の結果を踏まえた保育所整備計画の策定に取り組み、また、認可外保育所への助成と致しまして、新たに医薬品・衛生材料費等を助成対象としたところであります。
また、児童の小学校における放課後の安全・安心な居場所づくりのため、平日の学校図書館の開放、あるいはスポーツ教室の開催など国庫補助を活用しながらモデル校で実施していく予定であります。
さらに個を育む学校教育の推進についてでございますが、中学校における少人数学級・少人数指導に関しまして検討委員会を設置することとしております。また、教員の指導力向上を図るため派遣する授業力向上支援員、そして教育活動が困難な状況にある学級に派遣する学級支援員、これをそれぞれ増員することと致しております。
続きまして、ターゲット3の『人々が集う元気なまち』でありますが、昨年5月に国からの認定を受けました「熊本市中心市街地活性化基本計画」に掲載致しました事業のうち26事業につきまして当初予算に所要額を計上致しております。
その中で主なものを申し上げますと、まず、魅力ある熊本駅周辺のまちづくりに関しましては、熊本駅前東A地区市街地再開発事業で、建物等の補償費や管理処分計画費等を計上致しますとともに、平成22年度末、新幹線開業を目途と致しまして、完成を目指して本体工事に着手致します。また情報交流施設につきましては、本体工事の進捗にあわせた保留床の取得経費や情報システム設計経費等を計上致しております。
また、新幹線の開業に向けまして、新幹線建設や連続立体交差事業の一層の促進はもとより、熊本駅西土地区画整理事業や関連する都市計画道路の整備等を着実に進めてまいりたいと考えております。
熊本城築城400年祭についてでありますが、「エピローグ~未来へ~」開催中の4月20日に本丸御殿大広間が、いよいよ一般にお披露目することになるわけでありますが、本丸御殿の落成を市民の皆様方挙げてお祝いし、熊本城域のみならず中心市街地の賑わい創出に繋げますために、落成式当日は市電の1日無料運行を実施致しますとともに、通町筋をはじめとしまして商店街とも一体となりました各種行事を開催することと致しております。
さらに、熊本城築城400年祭の賑わいを一過性のものとして終わらせることの無いよう、400年祭終了後も引き続き熊本城における催事を開催してまいりますとともに、今後の熊本城を中心とした魅力ある都心の形成という観点から、桜の馬場地区の利活用の検討も引き続き進めていきたいと考えております。さらに民間が主体となる花畑地区や桜町地区の市街地再開発事業につきましても、事業の進捗にあわせました適切な支援を行ってまいりたいと考えております。
そのほか、韓国・台湾・中国からの観光客誘致に引き続き取り組みますほか、九州新幹線の開業をにらみまして山陽道・関西方面での観光PRを拡充していきたいと考えております。
それから、J2に昇格しましたロアッソ熊本の支援策といたしまして、運営会社であります株式会社アスリートクラブ熊本の経営基盤強化のため500万円を出資致しますとともに、ロアッソ熊本のJリーグでの活躍を期し、市政だより等におきまして積極的な広報を展開していきたいと考えております。
そして、「まちづくり戦略」関連分以外におきましても、先程申し上げましたが、まちづくりの基本方針を明らかに致します「第6次総合計画」の策定に合わせまして、都市計画マスタープランの改訂、熊本市農業基本計画の策定などを行うことと致しております。
また、富合町との合併に向けまして、税や住民基本台帳、都市計画データなど様々なシステムの統合、更新経費や観光案内標識などの整備経費、合併式典経費などを計上しているところでもあります。
さらに政令指定都市実現に向けまして、城南町との合併任意協議会経費、あるいは民間と一体となって機運の醸成に取り組みますための広報経費、熊本都市圏における産業振興推進経費なども計上しているところであります。
この結果、予算規模と致しましては、一般会計において2,078億6,200万円、特別会計では1,494億8,932万円、企業会計では820億8,257万円、それぞれの各会計の総計は、4,394億3,390万円となりました。
これを前年度当初予算と比較いたしますと、一般会計はほぼ前年同額、特別会計は25.9%の減、企業会計は8.4%の増、総計で9.4%の減となっております。
特別会計が大きく減少しておりますのは、後期高齢者医療制度の創設に伴い、75歳以上の方の医療給付費等の事務が広域連合事務とされたことによるものが大きな要因でございます。以上が予算関係の主な説明でございます。
続いて、条例等の議案でありますが、主な条例議案として、先程も申し上げた「熊本市職員の倫理の保持に関する条例」の制定について説明を致します。これは、職員の度重なる不祥事の発生という、誠に重い事態を打開致しますため、本市職員としての倫理の原則を明確に致しますとともに、倫理の保持に必要な事項を定めますため、この条例を制定するものであります。
次に「熊本市企業立地促進条例」の一部改正について説明いたします。これは、本市への企業の立地促進をより一層図りますため、新たに投下固定資産に対する補助金を創設致しまして、また、正社員に対する補助を手厚くするなどの制度改正を行い、補助限度額を5億円から20億円に増額するものであります。
以上で説明を終わりますが、いよいよ来月22日から熊本城築城400年祭のフィナーレでございます「エピローグ~未来へ~」を5月6日までの日程で開催することとなりました。特にこの期間でございますが、「本丸御殿大広間の落成」とともに様々な催事を予定しておりますが、なかでも歌舞伎の坂東玉三郎氏やジャズの渡辺貞夫氏、そして「千の風になって」で有名な秋川雅史氏を迎えましてのステージなど多彩な催事を予定しておりますので、市民の皆様をはじめ県内外からも多くの皆様方においでいただきたいと考えております。以上で私の方からの説明並びに報告を終わらせていただきます。それでは質問をお受け致します。