【市長発表:3月議会の提出議案について】
|
議案の説明に入ります前にまずもって、昨年10月に発生いたしました市電事故におきまして、先日、被害者の方がお亡くなりになられたことにつきまして改めて心からお詫びを申し上げる次第です。
交通局の市電運転士が交通信号を見ていなかったという重大な過失を犯したことに伴う事故によりまして、被害者の女性を死に至らしめ、ご遺族の皆様には大変なご苦労とご心痛をおかけし、ここに深くお詫びを申し上げます。
ご遺族のお悲しみは察するに余りあり、深く哀悼の意を表しますとともに、故人のご冥福を心からお祈りを申し上げる次第です。
交通局が、今後とも加害者として誠意をもって対応いたしますとともに、二度とこのような事故を起こさないよう指導を徹底してまいりたいと考えています。
それでは、当初予算編成にあたりましての基本的な考え方につきまして、国の予算案や地方財政計画等も踏まえて説明をさせていただきます。
現下の経済情勢につきましては、2月の月例経済報告において、「景気は、急速な悪化が続いており、厳しい状況にある。雇用情勢は、急速に悪化しつつある。」との判断がなされておりまして、また、先日発表されました昨年10月から12月期の国内総生産(GDP)の速報値におきましても、年率換算で12.7%の減となっており、戦後二度目の二けた減少を記録いたしますなど、大変厳しい状況にございます。
同様に、県内におきましても、日銀が示します金融経済概観では「景気は大幅に悪化している」とされており、雇用情勢についても、熊本職安管内の有効求人倍率ですが、12月現在で0.63、前年同月比でマイナス0.38と大幅に低下しており、今後、年度末にかけてさらなる雇用調整も予想されるところです。
このような中で、政府は、当面は「景気対策」、中期的には「財政再建」、中長期的には「改革による経済成長」という3段階で、経済対策を進めるとしており、当面の景気対策を最優先で進めるため、1月5日には、「定額給付金」や「子育て応援特別手当」、「地域活性化・生活対策臨時交付金」などを含む、平成20年度第2次補正予算を、そして、1月19日には、一般会計予算規模が、88兆5千4百億円で前年度比6.6%の増となります平成21年度予算を国会に提出されたところです。
また、地方財政計画につきましては、全体規模はマイナスの1%となっておりますが、地方一般歳出はプラスの0.7%と2年連続の増加となっています。
こうした中、本市の平成21年度当初予算案の編成を行いましたが、国内景気の悪化が深刻化をいたします中、景気の動向を反映し法人市民税の減収が見込まれますなど、依然として厳しい財政環境にはございますが、来るべき新年度においては、今回の市議会に議案として提案しております「第6次熊本市総合計画」基本計画に基づく各種施策の推進や、本市将来の発展のため、今なさなければならない喫緊の課題への対応などに、事業の選択と集中という考え方のもとに、重点的に財源の配分を行ったところです。
このような観点から特に重点的に取り組んだ大きなポイントを申し上げますと、まず、1点目が「新総合計画」におけるまちづくりの重点事業でございます、わくわくプロジェクトへの集中的配分です。
中学校における少人数学級の導入などの新規・拡充分約10億円を含み、176事業、129億円を計上いたしております。
次に、2点目が政令指定都市実現に向けた取り組みと富合町地域における「新市基本計画」の推進であり、近隣3町との合併協議会経費等と合わせまして約20億円を計上いたしております。
3点目ですが、九州新幹線全線開業および「入園者日本一」の熊本城を中心としたさらなる観光集客への取り組みと「中心市街地活性化基本計画」掲載事業の着実な推進であります。
「中心市街地活性化基本計画」掲載事業分では約100億円を計上いたしております。
そして、4点目でありますが「緊急経済対策・地域活性化対策」であり、雇用創出・金融支援・地域活性化などの各分野に3月補正とあわせまして約9億円を計上いたしております。
最後に5点目が、着実な行財政改革の推進です。
新年度は、第4次の「行財政改革計画」のスタートの年でもあります。民間委託の推進や、財政の健全化をこれまで以上に進めますことで、総合計画に掲げるまちづくりの着実な推進を図るものです。
それでは、ただ今申し上げましたポイントに沿いまして、主な取り組みについてご説明をいたします。
まず、1つ目のポイントは、わくわくプロジェクトへの取り組みですが、「夢わく1:子どもも大人もみんなの笑顔が輪になるまちづくり」におきましては、中学校1年生への少人数学級の導入や、小学校5年生、6年生を対象とした英語活動の推進、学級支援員の増員、また、プラネタリウムの全面改修や熊本城での宿泊体験学習など、一人ひとりの個性を大切に、学ぶ楽しさとわかる喜びを実感できるような学校づくりや、放課後・休日等も友達と楽しく安全に過ごせる環境づくりに取り組んでまいります。
また、子育て世代が安心して子どもを産み育てられ、子育てを社会全体で応援できる環境づくりを目指しまして、妊婦検診における公費助成回数をこれまでの5回から14回に拡充いたしますほか、こんにちは赤ちゃん事業への取り組みや認可外保育施設助成および病時・病後時保育事業の拡充、さらには、平成22年4月の児童相談所開設に向けた準備を進めてまいります。
次に「夢わく2」でありますが、「誰もが能力を発揮でき、将来も住み続けたいと思えるまちづくり」では、暮らしを支え、働く意欲に応える『熊本元気産業』づくりに向けまして、起業化支援や企業立地促進に向けた助成などを引き続き行いますほか、将来も住み続けたいと思える地域づくりを目指した、まちづくりサポーターの養成や地域コミュニティセンターの建設、そして、新型インフルエンザへの対策などによる安全安心なまちづくりに取り組んでまいる所存です。
次に、「夢わく3:ふるさとの自然を守り、世界に誇れる環境先進都市づくり」では、「日本一の地下水都市」「森の都」の名にふさわしい世界に誇れる環境先進都市を目指しまして、低炭素都市づくり戦略計画の策定を行いますとともに、地下水都市空間の創出や、辛島町電停から水道町電停までの軌道敷緑化に向けた市電緑のじゅうたん事業などに取り組んでまいります。
また、新年度からの家庭ごみ有料化により生じる財源を活用し、資源物拠点回収やセメント原料化などのリサイクルの推進など、ごみ減量化に向けた様々な取り組みを行ってまいります。
次に、「夢わく4:伝統と文化が息づき、「くまもと」の恵みを満喫できるまちづくり」では、熊本城に象徴される歴史的遺産や伝統、文化をはじめとする本市特有の豊かな恵みを、魅力的な市民共有の財産として今の時代に生かし継承するための取り組みを行ってまいります。具体的には、本年1月から新たに募集を開始しました新「一口城主」でありますとか熊本城馬具櫓復元整備、水前寺公園「古今伝授の間」保存修理、横井小楠生誕200年記念事業などを計上いたしております。
また、農商工観光等の連携による地域農産物の普及拡大、情報発信を目指したわくわく「くまもと」自然のめぐみお届けプラン事業にも取り組んでまいります。
5つ目の、「夢わく5:だれもがおでかけしたくなるまちづくり」でありますが、中心市街地や地域の商店街、動植物園などの拠点の魅力を高め、おでかけすることが楽しいまちづくりを目指しております。
中心市街地におきましては、お城まつりや火の国まつりの開催、イルミネーションでまちなかを彩ります光のページェント事業、城下町大にぎわい市などに加え、熊本城入園者日本一を契機といたしまして、さらなる中心市街地活性化を目指し、昨年4月に実施いたしました「城下まつり」を本年度は商店街等が主体となって、市電沿線商店街とも連携をしながら5月に開催することとしております。
また、動植物園におきましては、第2期再編整備事業としてチンパンジーエリアの新規整備を行いますとともに、昨年も多くの方々で賑わいました、夏休み期間の夜間開園を本年度も実施することとしております。
そのほか、水前寺地区の観光活性化検討や、公園施設の園路・駐車場・トイレのバリアフリー化に計画的に取り組みますとともに、北岡・立田自然公園の施設整備も実施をいたします。
次に、「夢わく6:バス・電車、自転車などで気軽におでかけできるまちづくり」では、日常生活において、クルマがなくてもだれもが気軽に快適に移動できるまちを目指しまして、バス乗換拠点の整備検討や、電停改良マスタープランの策定、東バイパスにおける新バス路線の実証実験、路面電車優先信号システム整備、新水前寺駅におけるJR駅との結節に向けました電停移設設計など、誰もが利用しやすい公共交通システムの整備に向けた事業を実施してまいります。
また、本年4月より、本山車庫管轄路線の移譲を受け運行開始となる熊本都市バス株式会社へは、安定的な公共交通の運営を目的といたしまして、バス路線維持費等の助成を行うこととしております。
最後に、「夢わく7:温かいおもてなしの心があふれ、楽しい交流が生まれるまちづくり」では、来熊者が「くまもと」によい印象を持って何度も訪れていただけるような、温かいおもてなしの心とまちの魅力・活力があふれ、楽しい交流が生まれるまちづくりを目指して取り組んでまいります。
具体的には、九州中央の交流拠点都市を目指し、熊本の都市ブランドを確立いたしますための熊本シティブランド戦略の推進や、観光分野におけるメディアを活用した宣伝強化などに取り組みますとともに、新幹線の全線開業を踏まえた観光ビジョンの策定、外国人観光客用のサイン計画策定にも取り組んでまいります。
また、九州、アジアの交流拠点にふさわしいまちづくりに向けましては、熊本駅前の情報交流施設の整備や、お城周辺での回遊性の向上を目指した桜の馬場観光交流施設の整備、花畑・桜町両地区での再開発の促進、熊本駅と都心間における協働のまちづくり、また、香港・台湾への観光物産情報発信を目指した経済交流戦略にも取り組んでまいります。
次に、2点目のポイント、富合町地域関連予算についてですが、富合町地域関連の予算につきましては、人件費・扶助費などの義務的経費、合併特例区への交付金、九州新幹線総合車両基地関連経費のほか、新市基本計画に基づく経費として約19億円を計上する等、総額で約40億円の予算規模となっております。
昨年10月6日の合併後、初めての当初予算編成となる新年度においては、これまでの行政サービス水準を確保しつつ、新市基本計画掲載事業の着実な推進を念頭に予算編成を行ったところです。その他、政令市に関する事業につきましても先ほども申し上げたところではございますが、順次取り組んでいくところです。
次に、3点目のポイントのうち、平成23年春に控えました九州新幹線全線開業に向けた取り組みですが、これまで申し上げた事業と一部重なりますが、今回の予算案におきまして、九州新幹線建設関連事業及び駅周辺の基盤整備事業として、17事業、約94億円を計上しております。
具体的には、九州新幹線建設や連続立体交差事業の建設負担金をはじめ、東A地区情報交流施設整備や南A地区における地区計画道路の整備、熊本駅前電停から田崎橋電停までの軌道敷緑化、坪井川親水空間整備などの駅周辺基盤整備に取り組みますとともに、西口駅前広場の意匠工事や駅東口における市電乗り入れを含めた駅広場について検討を進めてまいります。
次に、4点目のポイント、「緊急経済対策・地域活性化対策」の実施についてですが、今回、緊急経済対策として総額9億3千万円を、3月補正と当初予算に分けて計上しており、その財源として国・県からの交付金も活用しております。
主な内容は、雇用創出経費として約2億2千万円を計上し、293名の新たな雇用を予定しております。
また、緊急ハード整備として、小中学校図書室における冷暖房機設置や事業内高等訓練校作業室の施設整備等で約3億3千万円、金融支援として約1億円、地域活性化対策として、3月補正で道路・住宅の維持関連経費に1億2千万円の上積み、当初では単独道路整備経費に1億円の上積みを行うことなどによる2億8千万円となっております。
今後とも、経済対策につきましては、国の動向にも注視しながら、適切な予算措置を行ってまいりたいと考えています。この結果、新年度の当初予算の規模は、一般会計において2,197億800万円、特別会計では1,461億9,151万円、企業会計では823億7,422万円、一般・特別・企業の各会計の総計は、4,482億7,373万円となっております。
これを前年度当初予算と比較をいたしますと、一般会計は5.7%の増、特別会計は2.2%の減、企業会計は0.4%の増、総計では2.0%の増となっております。平成20年度の本市予算に富合町予算を加算して比較をいたしますと、一般会計が3.2%の増、特別会計が3.4%の減、企業会計が0.3%の減、総計で0.3%の増となっております。
以上が予算関係の主な説明です。続いて、条例等の議案ですが、まず、「熊本市基本計画の策定について」説明をいたします。
これは、昨年6月議会で議決をいただきました基本構想に基づきまして、平成30年度を目標年次として、基本構想のめざすべきまちの姿である『「湧々都市くまもと」~九州の真ん中!人ほほえみ、暮しうるおう 集いのまち~』を実現しますための具体的な取り組みを体系化したものです。
次に、おもな条例議案として、「熊本市水道条例」の一部改正、および「熊本市下水道条例」の一部改正について説明をいたします。
これらいずれの条例も、使用水量等が10平方メートル未満の場合の料金を、定額制から一部従量料金制を導入し、市民の皆様の節水努力が反映される料金体系とするなどの改正を行うものです。
次に「熊本市自動車運送条例及び熊本市軌道条例」の一部改正について説明をいたします。これは、熊本都市圏のバス路線網再編により、本年4月から本山車庫管轄路線が民間移譲されることになりますが、利用者の便宜を図りますため定期券の相互利用を可能といたしますなど、所要の改正を行うものです。
次に「熊本市産業文化会館条例を廃止する条例」の制定について説明をいたします。
産業文化会館は、設備等の老朽化や花畑地区の再開発事業計画に伴い、平成20年4月よりホール等の利用を休止をいたしまして、入居者の方々に対しましては本年3月末での移転をお願いし、協議を進めてきたところです。この度、すべての入居者の方々から移転の同意をいただいたので、3月いっぱいで産業文化会館を閉館するのに伴いまして、「熊本市産業文化会館条例」を廃止するものです。
なお、閉館後の対応につきましては、地域の賑わいや安全・防犯等にも配慮し、必要な措置を講じたいと考えています。
以上で3月議会の提出議案の説明を終わらせていただきます。