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平成21年8月定例市長記者会見

最終更新日:2009年8月18日
政策局 秘書部 広報課TEL:096-328-2043096-328-2043 FAX:096-324-1713 メール kouhou@city.kumamoto.lg.jp

【はじめに】

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 それでは、8月定例記者会見をはじめさせていただきます。本日は2点発表を行ったのちに、「7月の節水啓発月間の結果」についての総括、「第32回火の国まつり」及び「夏のくまもとお城まつり」を終えての所感を述べさせていただきます。

【市長発表:実証実験バス「東バイパスライナー」の運行について】

 まず1点目はバス路線網再編に伴う「東バイパスライナー」の運行について発表させていただきます。お手元に関連資料をお配りさせていただいております。
 これは、昨年設置しました熊本市におけるバス交通のあり方検討協議会において策定いたしました「熊本市地域公共交通総合連携計画」に基づいて実施するバス運行の社会実験です。
 その目的ですが、現状で部分的に運行されております東バイパスに西部と東部地域を直接結ぶ路線を運行させることで、バスの利便性を向上させるとともに、既存のバス路線と交差するバス停を乗換えポイントとしまして、乗換え利便向上のサービスを併用して行い、新しいバス路線網に位置づけている市街地環状線の有効性を検証するものです。
 運行の概要ですが、お手元の資料をご参照いただきたいと思います。名称は「東バイパスライナー」、運行区間は九州産交さんの西部車庫から東バイパスに点在する総合病院を経由しまして長嶺団地までの約19kmです。運行期間は9月1日から3か月、11月30日までの平日運行となっております。運行頻度は1日24往復、始発時間は西部車庫、長嶺団地とも7時15分、終発時間は西部車庫、長嶺団地とも20時45分です。なお事業の認可については、現在、九州運輸局へ申請中でございます。
 また、今回の社会実験にあたりましては、熊本都市バス株式会社をはじめバス事業者5社共同で運行していただくこととなっており、乗換え利便性向上策として、市電や既存路線バスと乗り継ぐ方に対して「東バイパスライナー」の運賃を半額にすることとしております。
 今後、ポスター・チラシをはじめ市政だよりへの掲載など、広報活動に努めていく所存です。

【市長発表:平成20年熊本市観光統計について】

 2点目は、このほど平成20年の熊本市観光統計がまとまったので報告させていただきます。
 平成20年は、統計を取りはじめた昭和40年以来、観光客の入込数及び観光消費額が歴代2位、宿泊客数が8位となりました。内訳は観光客入込数が、571万8千人で、対前年比104万8千人増、22.4%の増加となっております。宿泊客数も、207万5千人と、対前年比12万3千人増、6.3%の増加となりました。
 これは、ご承知のとおり、築城400年に向けて平成10年から取り組んでまいりました熊本城復元整備の最大の建造物でもございました「本丸御殿」が4月に落成し、熊本城の入園者数が全国の城郭で日本一となるなど、本市の観光の目玉である熊本城の賑わいが大きく貢献した結果でございます。また、5月にフィナーレを迎えました「熊本城築城400年祭」や、引き続きお城を舞台に開催されました「くまもとお城まつり」も観光客数を押し上げる要因になったものと考えています。
 ちなみに熊本城の年間入園者数は、約204万人で、前年比82万4千人増、67.8%の増加となっております。熊本城入園者数のカウント開始以来、初の200万人突破となりました。今後も、平成23年春の九州新幹線鹿児島ルートの全線開業に向けまして、熊本城を中心とした観光振興に取り組んでいきたいと考えています。
 

【市長報告:「7月の節水啓発月間の結果」についての総括】

 次に7月の節水啓発月間の結果について述べさせていただきます。
 現在、節水強化月間として市民の皆様に節水の協力をお願いしているところでありますが、7月の「節水啓発月間」の「市民一人一日当たりの生活水使用量」は238リットルで、削減率は6.2%となっております。目標の10%には届きませんでしたが、これまでの最高記録であります7%に次ぐ結果となっております。これは、市民の皆様の節水意識の高まりとともに、市民運動としての取り組みが除々に向上している結果ではないかと捉えております。節水の取り組みを始めてからの年平均の生活水使用量も、毎年確実に減少しており、昨年は237リットルとなっています。わくわく節水倶楽部や、小学校や地域での節水学習など継続的な啓発事業の実施により、節水意識が定着しつつある結果であると考えています。
 引き続き今月は「節水器具普及月間」、さらに来月は「漏水防止月間」と取り組んでまいります。これからさらに暑い日が続き、水を使用する機会が増えてくると思われますが、蛇口のこまめな開け閉めや節水器具の活用など、目標達成に向け市民の皆様の更なる節水へのご協力を何とぞよろしくお願い申し上げます。

【市長報告:「第32回火の国まつり」及び「夏のくまもとお城まつり」を終えての所感】

 次に、「第32回火の国まつり」及び「夏のくまもとお城まつり」を終えての所感を述べさせていただきます。
 今回は、「市制施行120周年」を記念しての開催となりました。7日の花火大会、8日のおてもやん総踊りと、2日間を通しまして、昨年と同じ、約26万人の人出となりますなど、「くまもとの真夏の祭典」は今年も熱く盛り上がったところであります。また、7月18日から8月8日まで開催した夏のお城まつりでは、サンロード新市街や新町界隈に並べました、大、小200基を超える走馬灯が熊本の街を幻想的に彩りまして、観光客をはじめ街なかを訪れる多くの人たちの目を楽しませてくれたのではないかと考えています。
 今回、「火の国まつり」の総踊りには、残念ながら植木町からは地元の祭りと重なって参加はいただけませんでしたけれども、城南町あるいは昨年合併した富合町からも、八幡町長さん、村﨑区長さんはじめ多くの住民の皆様方にご参加いただくなど、華を添えていただきました。また、今年は「横井小楠生誕200年」にあたりますことから、姉妹都市の福井市からも交流事業で来熊しておりました小学生たちが、本市の小学生と一緒になって郷土の偉人の生誕200年をお祝いしてくれました。
 火の国まつりの開催にあたりましては、ご協賛いただいた多くの企業・団体をはじめ、花火大会や総踊り終了後の清掃活動など、たくさんのボランティアの方々にご協力をいただいたところでございます。9日は私もボランティア清掃に参加しましたが、早朝の雨の中にも関わりませず、昨年の倍近い220名のボランティアの皆様にご協力いただきますなど、このまつりがたくさんの人達の協力のもとに成り立っていることをあらためて実感したものでもあります。この場をお借りして、改めて多くの関係者の皆様方に対しまして、厚くお礼申し上げます。
 以上で発表並びに報告については終わらせていただきます。それでは質問をお受けいたします。

【質疑応答:実証実験バス「東バイパスライナー」の運行について】

【記者】バスライナーについてですが、これは正式な事業としていつ頃に始めるのを目標としているのかということと、今ここに既存のバス路線はないということなのでしょうか。
【市長】まず1点目でありますけれども、今回はあくまでも実証実験ということです。3か月間の実証実験を終了したのち、収支状況、乗客数、利用者に対するアンケート調査などを基に検証を行う事としております。この検証を踏まえて、本格運行についてはバス事業者と協議の上、その後検討していくことになろうかと思いますが、私どもとしては、またバス交通のあり方検討協議会におきましても大変重要な熊本のバス網の向上につながる路線ではないかという思いを持っておりますので、本格運行につながるように広報、啓発活動を含めて最大限努力をしていきたいと思っております。
 それから他の路線と重なることはないかということですけれども、一部重なるところがございます。具体的には事務局の方からお答えします。
【事務局】他の路線ですが、まず、国道3号線を松橋方面から下近見まで入り東バイパスを北上し、県庁通りまで来て北窪を左折して県庁前を抜けていく九州産交バスのルートが1日3往復ございます。それから熊本バスですけれども、済生会病院~神水間で西から東への片方向ですが1日4本ございます。
【記者】すると、それと比べても、さっきおっしゃった乗換えサービスも含めてかなり利便性は上がるということですか。
【市長】今申し上げた既存のバス路線は、この(東バイパスライナー)路線の一部です。この路線は全く新しい路線だと思っておりますし、東バイパス沿線には総合病院等も点在しておりますので、そうしたものを結んだり、県庁とそうした施設を結んだりと、利用者にとって非常に利便性の高い路線ではないか。それから乗換えの割引等も考えました時に、多くの皆様方にご利用いただけるのではないかと思っています。
【記者】今回、運賃については乗り継ぎ運賃半額という設定などがありますけれど、例えば放射状に走っている既存のバスと交差する地点で乗り換える時に、ダイヤの調整はどうなっているのかという点。それに関連して乗り継ぎ拠点と言いますか、乗り継ぐバス停での対応策はどう考えていらっしゃるか。
【市長】それについては事務局の方からお答えしたいと思います。
【事務局】ダイヤの調整ですけれども、これは既存するバスと交差する本数が非常に多いものですから、今回ダイヤの調整はしておりません。乗換えについては、乗換えポイントのバス停間が300m、400mと離れているところがございますので、東バイパスを運行する実証実験バスが、既存路線と交差するように部分的には既存のバス停まで迂回することになっています。例えば済生会~田迎間は一旦北上して旧浜線に入っておりますので、東バイパス上では乗換えのポイントの設定ができないものですから、実証実験バスが既存の路線バスのバス停まで迂回するという工夫をしております。
【市長】3か月間で利用者に対するアンケート調査を行いますので、例えばダイヤの問題、乗換えなどの改善について提案も出てくるかもしれません。そうしたアンケート結果も踏まえた上で、さらなる対応は必要になってくる可能性もあります。


【質疑応答:平成20年熊本市観光統計について】

【記者】観光統計についてよろしいですか。入込数と観光消費額が歴代2位とあったのですが、1位はいつ、どんな時だったのかということと、人数はとても増えていますが宿泊客数の方は前年比だと6%ぐらい増えていますが、他の観光施設、例えば水前寺公園とかにはそれほど影響していないのではと思います。そうした全体的な課題などありましたらお願いします。
【市長】まずこれまでトップだったのはいつかというのはわかりますか。(事務局に確認)
【事務局】入込客が一番多かったのは平成3年です。平成3年は飽託4町の合併、それと動植物園がリニューアルオープンしたことなどがあり、一番多かったということです。
【市長】それから2点目のお尋ねにつきましては、確かに入込数と比較すると宿泊客数はそこまで大きく伸びておりません。これまでも何度か申し上げてきたかもしれませんが、滞在時間をいかに延ばしていくか、宿泊にいかにつなげていくかということが今後の私どもの大きな課題であろうと思っております。ですから今、夜間開園ですとか、それに合わせた本丸御膳の提供ですとか、さらに滞在時間の延長という意味では桜の馬場の整備に取り組んだりなど、この賑わいを継続させ波及効果を上げていくためには、さらなる色んな仕掛けが必要だろうと思っています。
【市長】飽託4町の合併はどう影響しているのですか。
【事務局】熊本市の観光客の入込客数に4町の入込客数を入れ込みますので、その影響もあったということです。
【記者】しかし飽託4町はその後もずっと合併しているわけですよね。
【市長】そのことについては、その先は恒常的なものですから、(入込数が多かった)一番大きな要因は動植物園のリニューアルオープンということです。
【記者】観光客についてお聞きしたいのですが、政令指定都市に近くなるだろうということで外国にも目を向けていかれると思うのですが、現在の外国人観光客数の統計の取り方はどうなっているのかということと、どこから来たのかを明確に分けることはできないのでしょうか。入場の時にどこから来たのかを尋ねているとか。
【市長】外国人と言ってもどこまで詳細に把握しているかということでしょうか。事務局でそれは分かりますか。
【事務局】宿泊者につきましては市内に100ぐらいホテルがありますが、そちらにアンケート調査をしまして、それぞれの国を把握しています。それから外国人の入込客数の統計は、熊本城へのクーポン入場券等がございますので、そちらからの推計という形です。
【市長】宿泊客だけで言いますと(観光統計資料の)7ページ、8ページの下のところに外国人の国別宿泊客数は出ているようです。韓国、アメリカ、台湾、中国ということで、やはり韓国がかなりのウェートを占めているようです。
 しかしながら韓国の場合ウォン安等の影響もあり、最近では韓国も厳しい状況にあるわけですが、韓国だけではなく東アジア全体に対するPR等にも力を入れていかねばならないと思っています。
【記者】関連で、滞留率が5.5ポイント減となっていますが、これはどういうことでしょう。(観光統計資料の)1ページに5つ状況が挙げられる中で、ほかは増えているのですが滞留率だけが減っていますが、これはどういうもので、どんな原因が考えられますか。
【事務局】滞留率についてはまず宿泊者数を入込客数で割った数字です。ですから入込客数が増えれば滞留率は下がってくると。
【市長】入込客数の伸びほど宿泊客数は伸びていなかったということですね。
【事務局】そうです。
【市長】今後の課題として、この部分も挙げられるのではないかと思います。
【記者】賑わいの継続ということで夜間開園や本丸御膳の提供、桜の馬場の整備とおっしゃいました。さらなる仕掛けの中に、民間との連携という点では何か話が進んでいるのでしょうか。
【市長】民間との連携で言いますと、これまでも中心部の商店街の皆さんと連携をしたイベントの開催等に取り組んできたところです。こうしたものをさらに充実していくことが考えられるでしょうし、特に新幹線開業を見据えた時には、新幹線駅周辺と中心部とを結ぶ新町・古町地区の皆様方ともこれまで色々と検討や具体的な行動にもつなげてきたところですけれども、今後もさらにこうしたエリアと、熊本城あるいは城下の魅力を引き立たせるために協働事業を進めていきたいと思っています。
 それから観光客の皆様方にとって、熊本においでになって「サインに統一性がない」とか「わかりにくい」というご指摘もいただいています。市として色んなサインのチェックをした中で統一感のあるデザインやわかりやすさ、あるいは外国語表記の充実についても今総合的に取り組んでいるところです。

【質疑応答:衆議院議員総選挙について】

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【記者】総選挙が近づいてきています。各政党がマニフェストを発表しました。改訂の動きもありますが、現在判明している分だけで幸山市長は各政党のマニフェストをどう評価されているのか。点数化していただければ幸いです。よろしくお願いします。
【市長】マニフェストの評価ということで、各政党の政権公約が発表されており全国知事会などでも評価が行われているところですが、その中でも特に地方分権の部分を中心として私自身も評価させていただいているところです。地方分権改革の進み方が重要な政策テーマの1つとなっているのが今回の総選挙の特徴でもあると思っておりますし、また私どもの立場から言いますと非常に意義深いものであると考えています。地方分権、地方重視という言葉がこれまではある意味、掛け声倒れに終わってきたという感もありますけれども、今回の総選挙による政権選択の結果、地方分権改革が抜本的に進んで欲しいと期待しております。
 地方分権改革に関する各党の政権公約のうち、自民党と民主党の政権公約に着目して個人的な評価をするのであれば、例えば自民党については分権委員会の勧告に沿った分権改革の実行というのが基本であろうと考えています。その中で地方税財源の充実・確保などが総じてしっかりと明記されています。特に地方消費税の充実あるいは地方交付税の増額などが明記されている点は特徴的ポイントではないかと思っています。また新しい国の形として道州制が明記されている点、これが特徴的ではないか。しかしながら、これまで長年に渡り政権の位置にあられたわけですが、結果的にその実現がなかなか進んでいないことですとか、あるいは三位一体の改革の名のもとに地方財源が削減されてきたという過去の経緯を考えた時には、不安がないとは言い切れないものがございます。
 一方、民主党は、地域主権国家の確立を明確に位置づけられており、ヒモ付き補助金の廃止や一括交付金化など大胆な地方分権改革が明記されている点が特徴的ではないかと思っております。また全ての直轄事業負担金の全廃とそれに伴う地方交付税の減額は行わないという点におきまして、極めて特徴的ではないかと思っております。自民党との対比で申し上げると、税源移譲や地方消費税の充実、道州制には触れられていないという点が違いではないかと思います。一方、地方財源でもある道路関係税の暫定税率を廃止する中で一括交付金化による無駄の排除を名目とする地方財源の総額削減が行われないか、といった懸念は残ります。暫定税率を廃止すると言う中で、まだまだ私どもの課題としてある道路整備が遅れるのではないかという懸念が残っているところです。
 両党の共通する点で申し上げますと、直轄事業負担金の改革の部分については共通するものがあります。さらには国と地方との協議機関の法制化についても共通するところがあります。今、自民党と民主党だけの比較と相違点について述べさせていただきましたが、総選挙を通じてさらに地方分権改革、あるいは地方税財源の充実・確保のあり方について政党間や国民各層での議論や理解が深まり、総選挙後の新しい政権において公約どおりの地方分権改革が断行されることを強く期待しています。
 そして点数ということですが、今の段階において点数を付けるということはなかなか難しいところがございます。両党を見比べれば見比べるほど悩みが深くなるという部分も正直ございます。その思いは私だけではなく、今回ある意味本格的なマニフェスト選挙になったのではないかと思いますが、多くの国民の皆様方も迷っていらっしゃる、悩んでいらっしゃるのではないかと感じています。しかし迷うこと、悩むことも大事ではないかと。ある意味シングル・イシュー(一つの論点)それだけで票を投じるより、深く考え悩む過程というもの、これは私自身も、もっともっと悩んだ上で1票を決めたいと思っておりますし、多くの国民の皆様方にも、今回の選挙がいろんな意味で生活や今後の国の行方にも影響するものだと思いますので、とにかく棄権することなく貴重な1票を投じていただきたいと思っています。
【記者】他党について言及はありませんか。
【市長】それぞれ見てはおりますけれども、今回は特にということで自民党と民主党の公約について評価をさせていただいたものです。
【記者】その2つに着目したのはどういう理由からですか。
【市長】やはり今回の選挙が政権選択の選挙とも言われておりますし、その中心的な政党になるのが両党であることは間違いなかろうと思いましたので、その2つの政党に主に着目し、今申したようなコメントを述べさせていただいたところです。
【記者】先ほど、一部分だけではなく全体的なことで悩んで1票を投じたいとおっしゃいましたが、市長がどこに1票を投じられるかはお聞きしませんが、地方分権についての民主と自民のマニフェストの内容について、現時点で総合的に優劣をつけるとすれば、どうお考えになりますか。
【市長】地方分権については積極的に取り組んでいくのだという姿勢は両党のマニフェストから伺うことができます。ただ民主党の場合は、どうしても財源でありますとか現実味、本当にこれが実現できるのかという部分の懸念は私の中に依然残っております。自民党のマニフェストは、先ほど申し上げましたように基本的には分権委員会の勧告に沿った内容になっておりますので、現実的に今後進められる可能性は非常に高いのではないかと思っておりますが、一方ではこれまで政権の中におられて、地方分権の進み方という意味ではなかなか進んでこなかったという現実。それが本当に突破できるのかという不安も残るわけであります。ですから今の時点でどちらに優劣がつけられる状況ではないと思っています。ただ、地方分権というものを両党とも重視した中で運動を展開されていることは、地方にとって望ましいことではないかと思います。
【記者】優劣はつけられないということですが、両党の内容について、重視しているということと評価できるということとは意味が違うと思うのですが、両党の内容については総合的に評価できると感じていらっしゃいますか。
【市長】総合的には、地方分権に関しては両党ともマニフェストを評価しています。
【記者】もう1つ、民主党で財源の懸念があるというのは、地方分権に関しては具体的にどのような部分で財源の懸念をされているのでしょうか。
【市長】例えば、直轄事業負担金を全廃しますということですが、そうなると総事業費が減っていくということ。今はそれに伴って地方交付税も減額するような仕組みになっているわけですが、それをそうさせないということですから地方交付税の考え方自体も大きく見直していかなければならないという部分、そうした整合性をどう図っていくのか。あるいは直轄事業負担金を全廃する中で、今の様々な公共事業に対する要望に対してどう応えていかれるのか、優先順位をどうつけていかれるのか等々の懸念があります。それを今までどおりやっていくというのであれば、それを補う財源がどうしても必要になってくるわけで、「無駄の排除」などと今おっしゃっておられますけれども、その辺がもう少し見えにくいところがあると私自身感じています。

【質疑応答:政令指定都市について】

【記者】政令市の関係ですが、先般5つの部会が初会合をし、市の内部ではスタートしたという形ですが、市民に対する啓発といった取り組みが必要になってくるかと思うのですけれども、その辺の具体的な取り組みは。それから先般(交通センターの)センターコートなどでイベントがありましたが、(民間経済団体などで構成する)推進協議会にこういう形で取り組んでもらいたいとか、こういうものをして欲しいとか、そういったものも含めて官民の連携、協働など、今後どうやって市民の盛り上げを図っていこうと考えていますか。
【市長】今のところは市の中で推進本部を立ち上げまして、それぞれの専門部会がスタートしたところであります。これから本格的な協議検討に入っていくと考えております。しかしながら大事なところは、今おっしゃったような行政の中だけの取り組みではなく市民全体の取り組み、あるいは民間の皆様方との協働という部分は、これまでも「政令指定都市はあくまで手段であり目的というものは…」と常々申し上げておりましただけに、非常に大事なポイントであろうと思っております。そういう中で先般、推進協議会主催でパレードを開催していただいたり、パネルディスカッションを行っていただいたりしたことは市民に対する政令指定都市への移行がいよいよ実現していくのだということを知っていただく意味において、大変意義のある取り組みだったと思っています。ですから今後もこうした活動を推進協議会の皆様方に是非お願いし、あらゆる機会を通じて啓発活動に取り組んでいただきたい。また推進協議会の中には、それぞれの団体が所属されていますので、全体としてではなく団体ごとにそうした活動に取り組んでいただくことを期待しています。

【質疑応答:レジ袋の有料化について】

【記者】来月からレジ袋の有料化が始まりますけれども、手応えというか成功へ向けた意気込みを聞かせてください。
【市長】先般、(レジ袋削減社会実験)キックオフ・ミーティングを開催したところであり、9月からいよいよスタートということです。その段階ですので、まだ手応えを感じられる段階ではありませんけれども、実は先日、私的にスーパーに買い物にまいりました時、「9月からレジ袋削減の実証実験が始まります。有料化になりますので是非マイバッグをご持参ください」という館内放送が流れておりました。私が行った2か所でそうした啓発活動をされていましたので、今回70の事業所や団体等に参加いただきますから、それぞれでそうした取り組みを行っていただいているということは、かなり市民の皆様方への周知につながるのではないかと期待しております。
 この社会実験の2か月間でマイバッグ持参率50%という目標値を掲げています。今の状況からするとかなり高い目標値に考えられますが、しかしながら、お店の皆様方や様々な消費者団体の皆様方のご協力もございますし、決してやってやれないものではないと思いますので50%の目標値達成に向けて全力で取り組んでいきたいと。それから実際スタートする直前にはパレード等も行い、広く市民の皆様方に呼び掛けていく予定です。
【記者】マイバッグの利用を呼び掛けているのはよく分かるのですが、例えばレジ袋に一旦生ゴミを入れて、透明ゴミ袋に入れて捨てるというような利用の仕方をされている人は多いかと思います。レジ袋なしの生活の工夫といったようなことのアピールが少ないのではないかと。実際の生活の中での工夫についてというところはいかがですか。
【市長】事務局からよろしいですか。
【事務局】確かにレジ袋を内袋として使われているご家庭もあるかと思います。レジ袋より薄いビニール袋も売ってありますし、例えば色んな物を包装してあるビニール袋などの再利用も可能だと思っております。クリーニングから上がってくる時にビニールに入っておりますけれども、そういう袋を利用したりと、レジ袋がなくなったとしても色んなやり方があると思っております。
【市長】ですから市としてもそういう周知をやっていく必要があると考えています。
【記者】9月から実験が始まりますけれども、参加していないところもあります。そうしたところには実験が始まった後も呼び掛けていかれるのですか。
【市長】今も継続して呼び掛けを行っているところです。1つでも多くの団体やお店にご協力いただけるように、期間中も呼び掛けは続けていきたいと思っております。やはりお客さんが減るのではないか、中には万引きが増えるのではないかという懸念があります。ですから実験がスタートして途中経過を報告するなど、参加していただくよう呼び掛けを続けていく必要があると思います。やはり全体で取り上げないと効果は限られてしまうのではないかと思っています。

【質疑応答:福岡・熊本・鹿児島3都市交流連携協定について】

【記者】昨年8月に3都市連携を締結されました。これまで1年の成果と、それをどう見ていらっしゃるか、また今後どういう展開にしていきたいかを教えてください。
【市長】昨年3都市連携を締結しまして、動物園の動物の貸し出しや博物館や美術館の所蔵品の貸し出しについては順次取り組んでいるところです。さらにはそれぞれの市民の皆様に3都市連携を意識してもらいたいということで、公共施設の相互の割引等を行っていただいたり、できるところから取り組んできたというところです。
 これからの展開は、いよいよ新幹線開業まで2年を切りましたので、さらに具体的な行動につなげていかなければならないと思っています。そうした中で今後は3都市共同で観光的なキャンペーンや企業誘致を行うなど九州外に向けて取り組んでいく、あるいはアジアに向けて展開していくことを具体的な形で行っていく必要があるのではないかと思っています。
【記者】市長は(東アジアビジネスミッションに参加するため)明日から香港に行かれます。アジアに向けてというところは、これから政令市に向けて必要なことかと思うのですが、この3都市連携で縦軸の連携をすることで九州全体に対してどんな影響、効果を与えたいのかを聞かせてください。
【市長】九州のそれぞれの地域にはそれぞれの魅力があるわけで、そこが連携し一体となって特にアジアの大市場にアピールしていくことは、九州全体の効果につながるであろうという意識で取り組ませていただいているものです。そうした中で特に新幹線開業を考えた時には、その核となるこの3つの都市がその存在感をもっともっと個々に上げていく。そしてそれぞれが連携していくということ。これは九州全体の浮揚に確実につながるだろうと。それからもう1つは九州の中での南北格差が懸念されている中で、その解消にもつながるのではないか。様々な思いを持って3都市連携を今後も発展させていきたいと思っています。そのことがひいては九州全体の発展につながるであろうと思っています。
【記者】メインは交流人口の拡大、観光という面になりますか。
【市長】そうですね。全体としては人口減少社会に入っていくことは間違いないでしょうし、九州の中でパイの奪い合いをする、その競争は避けられないのですが、そうした切磋琢磨をしながらも九州外から呼び込んでくるという意味におきましてはアジアにはもっともっと取れるだけのマーケットがあると考えています。こうした取り組みはこれまで、福岡にある意味頼りすぎていたところがあるのかもしれません。そういうところをもっと熊本市としても積極的に取り組んでいく必要があると思っています。

【質疑応答:道州制について】

【記者】地方分権について。先ほどの関連になりますが、道州制のことについてお尋ねします。自民党のマニフェストで17年だったでしょうか、法制化のことも言及していますが、先ほどマニフェストの評価の対象の部分で市長は道州制のことを言及されました。道州制についてのお考えですけれども、熊本市の経済界には「道州制を進めて州都を」という意見もあります。一方で知事会は道州制を求めていますが知事会の中でも意見は分かれていますし、市町村レベルではそれほど道州制を求める声が高まっていないようにも思えます。そういう観点から自民党の考え、知事会の考えと併せて、市長は道州制についてどう考えているのかお尋ねします。
【市長】確かに道州制について個々では色んな考えがあるのは事実です。しかしながら、特に九州だけで考えた時には知事会としても積極的に導入に向けて取り組んでおられると思っております。市町村という意味においては、市長会では九州市長会の中で道州制の検討委員会を作り、ビジョンも作っておりますので道州制にむけて積極的に取り組んでいるというものはございます。ただ町村会の立場から言いますと、全国町村会として道州制には反対という立場であると思いますので、それぞれの会での違いもあると思いますし、会に所属しているそれぞれの首長さんたちの思いの違いもあると思います。ただ知事会、市長会については基本的に推進、町村会については慎重、と分けられるのではないかと思っています。
 道州制というのはこの国のありようと言いますか国の形を大きく変えるものでもありますし、そのことは国民一人ひとりの大きな変化にもつながりますので、様々な立場の中でもっと議論、検討を深める必要があると思います。地方分権の一つとして、基礎自治体のありようがかなり変わってきたことを補完する広域自治体というものが今の都道府県のままでいいのかどうかという中で出てきた道州制は、究極の地方分権の姿としてありうるものだと思っています。地方分権が進む中で道州制が出てくるのであれば、私も積極的に賛成という立場におります。また、そうしなければならないと思っています。
 中途半端な道州制というのが一番困る、という思いがあります。これはある意味行政の肥大化にもつながる可能性もありますし、住民にとっては余計に煩雑になるということも考えられますので。しっかりと行程表を作り取り組んでいく必要があると思います。
【記者】今回、自民党の道州制についてのマニフェストについてはいかがですか。
【市長】明記してあるという意味では評価できると思うのですが、どういう行程で進めていくのかという内容に関してはほとんど記述がないという意味においては不安があるのは事実です。一方、民主党については道州制のこと自体が明記されていないことを考えた時に、分権、地域主権ということはおっしゃるのですけれども、その具体的な姿が見えづらいという思いはあります。
【記者】市長は熊本市長であると同時に市長会の会長でもあります。熊本市のように基礎自治体が大きいところと小さいところでは地方分権への対応が、受け皿となり得るのかということで差が出てくると思いますが、現行で市町村合併があまり進んでいない小さな基礎自治体が多い中で道州制移行は可能だとお考えになられますか。
【市長】現時点の市町村の形、全国的に3,300ぐらいあったのが1,700ぐらいになり、熊本県内で言いますと94が47ということで、かなり市町村合併が進んできた状況ではありますが、依然として数百の町村も残っていることを考えた時には、今の都道府県が完全になくなって九州府というのが仮にできたとすれば、特に小規模な自治体に対する補完機能や役割が本当に果たせるのか、かなり疑問が残ります。ですから道州制を論じるのであれば、基礎自治体の形をどうしていくのかを明確にした上で取り組まないと、先ほど申し上げましたような国民の混乱にもつながるだろうと思っています。

【質疑応答:横浜市・中田市長の動向について】

【記者】横浜の中田市長が辞表を出されて政治集団を作るというような動きもありますけれども、まず、その動きについてどう思われるかということと、やり取りをなされたのかということ。そして政治集団をもし作られるのであれば参加するご意思がおありになるのか、その3点について教えてください。
【市長】以前の記者会見で申し上げたかと思うのですが、首長連合を作られる直前には確かに連絡がありました。趣旨、基本的な方向性については賛同すると。そして今後具体的になれば、というお話をしたところです。しかしその後、連絡は取り合っておりません。そうした中で突如辞任されたわけでありまして、私自身も何度かお会いし、交流もありましたので大変驚いたところですが、政治家として大きな決断をされたのだろうと思います。これからの動き、どういう展開をされていくのか私自身承知しておりませんけれども、興味深く見ていきたいとは思っています。ただ全く形が分かりませんので、参加するとかしないとか言える段階ではないと思います。

【質疑応答:熊本城復元整備事業について】

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【記者】お城の話です。名古屋の河村市長が、本丸御殿の復元に加えて天守閣の復元について調査費を計上すると言及されました。やはり木造の復元がいいのではなかろうかと昨日発言されたということですが、熊本城についてはいかがでしょうか。
【市長】河村市長さんも思い切ったことを言われるなと。この前まで本丸御殿は復元しないこともあり得ると言われたかと思ったら、今度は本丸御殿だけでなく天守閣も木造でやるということで。実際どのようにされていくのか、私どももこの動きを注意深く見ていかなければならないと思います。まだ私どもとして天守閣をどうするのかということが言える状況ではありませんけれども、ただ、あの天守閣を復元するとなると本丸御殿以上の難しさがあるのではないかと感じたところです。その程度の段階です。
【記者】検討されているということではないと。
【市長】まだまだ具体的に検討している段階ではないです。


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