【質疑応答:熊本城の復旧方針について】
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市長記者会見の様子 |
【記者】3年後の熊本城についてですけれども、「何らかの形を見せたい。」というイメージで、「何らか」とはどういったものなのかということと、改めて確認として、20年の計画期間で今年度に方針を決めて、来年度までに計画を立てて、100年構想という数字がいっぱい出てきましたけれども、もう一度確認ができればと思います。
【市長】熊本城は、過去に類を見ない被害を受けた状況の中で、特に石垣の復旧には相当な期間を要するということが予測されますが、その期間は復旧体制でありますとか、投入できる人員等によって大きく変わってきます。そういうようなマンパワーも含めて検討に入っておりまして、復旧に要する期間が概ね20年と申し上げましたのは、いたずらに時間をかけて復旧を進めるということではなくて、震災前の姿に戻す一つの目標として20年ということで、そこに向かって復旧の手順でありますとか、方法について知恵を絞って行っていきたいと考えております。人員についても全国からの技術者・従事者を集めるなど、あらゆる力を結集してスピード感を持って復旧を進めることが必要であるという考え方から、あくまでも震災前の姿に戻す短期・中期目標として概ね20年という期間を選定させていただいたところでございます。天守閣について、具体的に現時点でどのような形になるかは、お示しはできませんけれども、今後、復旧の基本方針や基本計画の策定をしてく中で明らかにしていきたいと思っております。ただ、3年後に国際スポーツイベントが開催されて多くの外国人の方をはじめとして、日本中や世界中からも熊本に多くの方が訪れるということが期待できるため、その時にはできるだけ天守閣の復旧が進んでいる形を皆様にご覧いただきたいと考えており関係機関との連携の下で早期復旧に全力を挙げてきたいと思っております。国の方でも天守閣というのはシンボリックであり、できる限りの協力をしたいということで、いろいろな各省庁からのご協力をお願いをしているところでございまして、3年後にどこまで復旧できるかわかりませんが、天守閣の部分に関しては、かなりのところまで戻していきたいと考えております。将来に向けた構想ということですけれども、明治22年の熊本地震があって多くの石垣も含めて熊本城はその時にもかなり傷ついたという資料が出てきております。128年間、我々は熊本には地震がないものだと思っておりました。しかし、この100年構想というのは、往時の姿に蘇らせるだけではなくて、熊本地震で我々が経験したことを100年後の皆さんにお伝えしていくといっても、風化してしまうということもあります。ですから、100年構想の中での復元ということが、震災からの教訓を未来に受け継いでいくものにしなければ意味がないと思いました。逆に言えば、未来に受け継ぐ他の手法が何かあるのかと考えた時に、なかなか震災の記憶、辛い経験というのは、風化しがちでございます。ですから、熊本城の復元を着実に進め、築城500年の時に将来の熊本で生きる人々が、2016年には大きな地震があり、それをきっかけに我々は防災の面でもきちんと気を付けながら暮らしていくことを教訓にし、そして、このお城を中心に熊本の人たちが今の震災の厳しい局面から立ち直っていったんだということを、その世代の方々に受継いでいきたいという私の気持ちも含めています。私が32代目の熊本市長でありますけれども、明治22年の時に初代市長の杉村大八さんが震災の復興に当たられたということでありますので、築城500年の時に何代目の市長さんが就任しているのかわかりませんが、その時にもずっと受け継いでいけるように、そういう気持ちも込めているということでございます。それと同時に、震災の傷から我々は立ち直って未来の大きな姿、特に幕末期の熊本城は櫓が49基、櫓門が18基、城門が29基ということで、往時の熊本城の大小の天守閣をはじめとして、非常に堂々たる威容を誇ったということでございますので、そういう形にしていくということは、未来への財産を残していくということにもなりますし、多くの皆さんのご協力のもと、一つずつ復元をしていくということは、震災を語り継ぎ、熊本の財産を残していく上でも非常に重要なものだと考えてこういう構想を発表させていただいたということでございます。
【記者】未来の皆さんの協力もそうですけれども、すでに600億を超えるような総額の規模ということですので、とりあえずは3年後までにどれくらまでの上限の費用をかけて、どれくらい戻すというようなお考えはありますか。
【市長】費用については、天守閣に関して相当な費用がかかると思われますので、国の方にも予算的なことについては、災害の補正予算も含めてお願いをしており、財源についても国の方で確保を考えていただいていると伺っております。本日、閣議も行われたようでございますので、その内容については今後明らかになってくると思っておりますが、政府の関係省庁の方でも熊本城の復旧の予算ということについては、かなりの財政規模を用意していただけるものと思っております。
【記者】600億を超える見通しということですけれども、今、市長が考えているものでいいんですけれども、どこに何億という内訳があったら教えてください。
【市長】これは議会の特別委員会で申し上げたことですけれども、石垣で約354億円、天守閣・本丸御殿・飯田丸五階櫓の復元建造物等も合わせるとだいたい564億円ということ。櫓類等が210億円ぐらいということで数字を示しているところでございます。ただ、ここには重要文化財建造物であるとか、その他の再建復元建造物の被害が入っておりません。算入されていない建造物の修復に要する事業費の規模感を考えた場合、少なくとも600億円を超えてくることは間違いないと考えています。額の詳細については、これまでも概算を含め精査を行っているところでございまして、災害復旧のいろいろな国の予算との関係もありますので、次の定例市長記者会見で発表できるかどうかわかりませんけれども、皆さん方には早めにお知らせをしたいと考えているところでございます。
【記者】往時の姿ということですけれども、ただ往時の姿に戻すことで今回の熊本地震があったということを示すのは、100年も経てば120年前のように薄れてしまう可能性があると思いますけれども、例えば、どこか崩れているところを震災モニュメントとして残していくとか、そういうことも考えていくんでしょうか。
【市長】どういう形で残すかということは、文化庁とも協議しなければいけないことだと思います。震災モニュメントという形になるかわかりませんが、当然のことながら震災の記憶ということを原点に復元はスタートさせなければならないと思っていますので、そういう意味では、例えば、映像で残していくということもあると思います。湧々座の方でもお示ししている映像で体験していただくということもありますけれども、今度新たなバーチャルリアリティの技術ですとか、いろいろなものを使って崩れた状態を残していくということもデジタルで可能でありますので、コスト的には現存のものをそのまま残すということもあるかもしれませんけれども、そういう形が一つのアイディアとしてあると考えているところでございます。ただ、崩れたことによって石垣のところに400年前の物と考えられる人型が彫られていたとか、いろいろな新たな発見もありますので、復旧過程というのは新たな発見も含めて皆さんに見ていただくということも重要なことであります。
【記者】100年先なのでかなり先ですけれども、例えば、何年間のうちに基金を創設するとか、そういうところまで考えていらっしゃるんでしょうか。
【市長】基金をどうするかということについては、今はまず復旧の費用を多くの皆さんから寄付をいただいているところでございまして、震災後に我々の方で熊本城災害復旧支援金という口座を設けさせていただいたんですけれども、ここには7月21日現在で7,803件、総額10億532万円の支援金をいただいているところでございます。この他にもっと熊本城に末永く協力をしたいというようなお話もありますので、従来行っておりました一口城主をどうするかということも含めていろいろと検討をしまして、まずは復旧に向けた皆さんからの協力を賜るということをしたいと思いますし、それと同時に、将来に向けての夢の部分についても何らかの基金等が無ければ当然できないわけでございます。これだけの建造物を往時に戻していくということは、相当なプランだと思いますが、これを幕末のどの時代の熊本城に戻すのか。一番大事なのは、資料がある程度残されているところでやらなければいけません。天守閣を完全に木造で復元できるということで名古屋城がやっておれますが、これは完全に図面が残っていて、先日、河村名古屋市長にお会いした時にいろいろなお話を聞きましたが、戦災でも燃えていなくて、きちんと保管されていた図面が出てきたということで、文化庁としても本物の天守閣ができるというお話を伺っております。熊本城は天守閣の以前の図面というものは残念ながら残っていないということでございますが、復元建造物の飯田丸五階櫓もこういう絵図であるとか、往時の資料に基づいて復元しました。この手法で一番いい栄華を誇った時代の熊本城に戻していきたいと考えております。そのためには、専門家の皆さんからのいろいろなご意見をいただきながら、熊本城の100年復元構想ということをまた別途いろいろなお話をいただきながら検討していきたいと思っております。
【記者】「何らかの形でお見せできるようにしたい。」というのは、2019年までに天守閣を再建させたいという意向を示したという理解でいいんですか。
【市長】そうですね。2019年までには。完全に3年後に戻っているかどうかというのは、今の状態でも中を調査できていない部分がありますので、確定的に申し上げられないという部分があるものですから。
【記者】確定的なものでなくていいんですけれども、市長としての意向ということですか。
【市長】私の意向としては、3年後の節目に是非震災前の姿にできるだけ戻して、できれば入れるようにしたいということであり、担当ベースでも話していますけれども、大天守と小天守があって、両方ともきちんと戻せるかというと、なかなか簡単にはいかないという部分があると思います。先ほど20年という数字を申し上げたというのも、震災前の石垣も含めて20年後までにはすべてを戻したいというのが私の希望でありますけれども、特にその中でも天守閣については、3年後ぐらいを目途にしたいというのが私の今の考え方と受け取っていただければと思います。
【記者】天守閣ですけれども、大天守小天守2つの再建を目指すということでよろしいでしょうか。
【市長】基本的なイメージとしては、大天守が何らかの形でお見せできると一番観光の皆さんにとっても良いと考えます。
【記者】中に入ってもらってということですか。
【市長】入れるようになるかどうかはまだわからないです。やってみなければわからない。だけれども、そういう意気込みでやる。そこについて、国の方でもかなり協力をしていただけるということですので、頑張っていきたいと思っています。
【記者】耐震の強化というものも盛り込んで再建していくということですか。
【市長】当然そうですね。安全策というものは、今回の地震の教訓を踏まえて、最重視しなければならないと思っています。文化的な価値をしっかり残しながらも観光客をはじめ、ご覧になった皆さん方がお城の中で被害にあってしまわないようにする万全の対策は取らなければいけないと思っておりますので、そういったことも考えながら技術的な手法についても良く検討して、安全対策も含めて、ある程度万全だという状態に持っていきたいと思っています。
【記者】3点ほどお伺いしたいんですが、まず、天守閣の再建の前提として詳細な被害調査もできていない段階だと伺ったんですが、ある程度の補習で大丈夫なのか、それともバラして立て直しというようなことになるのか。その辺りについて、市として方針はあるんでしょうか。
【市長】基本的にペーパーでお示ししている最初のところの中で、調査して現況を確認しながら方法を検討していきますので、方針というのはこれからということです。年内に具体的な手順をお示しするようにしたいということでございます。
【記者】天守を3年後にできるだけ復元するようにされたいということですが、天守までどのルートでお客さんが入っていけるのか、そういうことも考えなければいけないと思いますが、市長としては、どのあたりのルートを確保したうえで天守閣の3年後というイメージがあるんでしょうか。
【市長】天守閣の復旧に向けては、本丸御殿の復元整備の時と同様に天守閣エリアの工事車両用仮設スロープを設置しなければなりません。工事用の仮設工作物を活用したルートになるものと考えているところです。今後、基本計画策定の中で天守閣エリアへのルート設定と共に、その後の復旧過程の公開ルートの段階的設定について検討を具体的に行っていって、適宜そのあたりは明らかにしていきたいと考えているところです。
【記者】段階的な公開の第一次公開として、最初の立入規制の解除はいつごろまでにやりたいと思われますか。
【市長】できるだけ早くと思っています。ただ、安全対策が非常に重要だと思っています。頬当御門の方から入るにしても、門から入れない状況になっていますので。私も中に入ってヘルメットをかぶって石垣等々を見ましたけれども、膨らんだ部分が確認をされたり、いろいろなところがありますので、管理者として危険を除去していくこと、安全を十分に確保していくことが大事だと思っております。最初は、「夏ぐらいまでには中に入っていただけるように。」と言っておりましたけれども、現実的には、今も立入規制をせざるを得ない状況になっているということですので、少し時間をいただくということになると思います。
【記者】経済界あたりからも「天守閣を先行して復元してほしい。」「復元の目標は2019年だ。」ということなんですけれども、それを最大限尊重したというような方針なんでしょうか。
【市長】経済界の皆さんだけでなく、一般市民の皆さん、全国の皆さんからもできるだけ早くお城が元気な姿を見たいとの声を聞いております。皆さんにとってお城が何を指すかと言うと、大天守のことを指しておられるということでありそれだけのシンボルでもありますので、そこを急いでやっていきたいと考えております。
【記者】つまり、先行して他よりも最初にそこを復元したいというような意向ということですね。
【市長】そういうことです。他は石垣の関係も含めて、重要文化財はかなり慎重に取り扱わなければならない部分でございます。天守閣についても、今の天守閣は昭和35年に外観復元をされたものでありますので、中は鉄筋コンクリートです。外観復元の姿であっても早くその姿を皆さんに見ていただくことが、何よりも復興に近づいてきたということで皆さん方の力にもなるのではないかと考えております。
【記者】お城の予算措置の中で今回の閣議決定の話についてですが、今日も報道で出ていたんですが、熊本地震に関して基金の創設をするという政府の方針が明らかになっているんですけれども、この件に関して受け止めを教えてください。
【市長】復興のため基金を創設していただくということは、大変ありがたく思っております。特に、基金の創設によって柔軟に使えなかった災害復旧の部分が、ある程度熊本地震の特性に応じた生活再建支援も含めていろいろなメニューに使えるのではないかということを考えますと、非常にありがたい、そして、心強い措置を政府にしていただいたと考えております。
【記者】基金を創設されると当然国の方からも交付税交付金として出ると思いますが、市長としてどういうものに使っていきたいというお気持ちがありますか。
【市長】基金の概要がはっきりしていませんので、どの部分に適応できるのかを確認してからお示ししたいと思いますが、今日の閣議の中で熊本地震についての基金の創設ということがあったという状況だけしか報道の面文でしか聞いていませんので、きちんと政府に確認をさせていただいて、今後の復興支援に繋げていきたいと思っています。
【記者】先ほど予算の概要を教えていただいたんですけれども、2019年の大天守の復旧には、だいたい予算はどのくらいかかるんですか。
【市長】大天守はまだわからないです。オールインクルーシブでだいたい600億以上ということが分かっているだけであり、調査してみないとわからないということで、その辺は多少膨らんでいく部分と、実際に見てみたけれども、このくらいで済むのではないかという部分の両面あると思いますので、多少前後はしてくると思いますが、600億を超えるのは間違いないということのようです。
【質疑応答:「ひごまる」のゆるキャラグランプリ2016参加について】
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市長記者会見の様子 |
【記者】「ひごまる」の件ですけれども、ゆるきゃらグランプリ2016にエントリーをなさっているということですけれども、今後の「ひごまる」の活用についてはどのように考えてらっしゃいますか。
【市長】「ひごまる」は、「くまモン」よりも早いデビューだったんですが、これまでゆるキャラグランプリに応募することはなく、城彩苑も含めて、いろいろなところで活動をしてきたところでございます。今後は、皆さんが復興で元気になるようなことをお願いしたいということで、いろいろな要望があっております。そういう中で「ひごまる」がゆるキャラでグランプリを取れれば一番いいなとは思います。熊本全体の復興のシンボルとして「くまモン」が非常に県全体でも頑張って世界中に駆け巡っているということでありますので、熊本城のシンボルでもあります「ひごまる」も復興の一つのシンボルとして、お城の復元に十分活用していきたいと思っていますし、露出の回数もできるだけたくさん増やしたり、いろいろなこともこれからアイディアを出しながらやっていきたいと思っています。
【記者】「ひごまる」の人件費だとか、そういった体制も固めてこれからの活用を目指していかれると。
【市長】そうですね。活動するには、それなりの位置付けも必要でしょうから。「くまモン」は営業部長ということでありますので、熊本城復興本部長というかたちで頑張っていただきたいなと。今、急に人事発令を出しましたけれども、熊本城復興本部長を頑張っていただきたいなと思っています。
【記者】ゆるキャラグランプリ1位を目指すということでいいですか。
【市長】もちろん1位を目指します。2位では駄目なんです。
【記者】ネーミングとかもそのままで、変えたりとかはしないですか。
【市長】はい、オリジナルが一番。ただ、ひょっとしたら「いいだまる」君とか、いろいろなキャラクターもこれから出てくるのではないかと思いますので、いろいろアイディアを考えていきたいです。皆さんが明るい気持ちになっていただけるようなキャラクターとして頑張ってほしいと思います。熊本城復興本部長として議会で答弁に立つことはないと思いますけれども、熊本が元気になっていく姿を「ひごまる」の元気な姿と繋げていきたいと思いますし、ありさお姉さんにも一生懸命サポートしていただきたいと思います。
【記者】今日付で口頭辞令ですか。
【市長】口頭辞令です。
【記者】熊本城復興本部長でよろしいですか。
【市長】はい、「ひごまる」は平仮名。「熊本城復興本部長ひごまる」です。
【記者】「ひごまる」が今回初めてエントリーしたのは何でですか。
【市長】私も「今まで何でエントリーしていなかったんだ。」と言ったんですが、今まではそういう意識を持っていなかったということのようです。今回、熊本城が熊本地震で大きく被災をしたということで、熊本城を元気にしていくために、この時こそ活躍しなければいけないだろうということでエントリーしました。先ほど言ったように51位ということですからハードルは高いんですけれども、これから全国的にも世界的にも愛されるキャラクターとしてお願いしたいなと思います。そのきっかけとしても良い機会だと思っています。よろしくお願いします。こういうやわらかい話題も時にはないと復興していくというのは辛いものがありますので。