【市長発表:12月議会の提出議案について】
それでは、12月議会の提出議案について説明させていただきます。
まず、補正予算案について説明いたします。先般、10月26日に行われた、鳩山新総理の所信表明演説では、「戦後行政の大掃除」に触れた上で、特に「組織や事業の見直し」と「税金の使途と予算編成のあり方の徹底的な見直し」を掲げられ、「コンクリートから人へ」の理念に沿った形で硬直化した財政構造の転換を目指すとされておられます。
また、国と地方の関係におきましては、地域のことは住民自らが決定する活気に満ちた地域社会を作るため「地域主権」改革を断行するとされており、地方の自主財源の充実・強化や、国と地方が対等に協議する場の法制化の実現についても言及されているところであります。しかしながら、新政権における国の平成22年度一般会計予算の概算要求は95兆円を超える過去最大の規模となっており、さらに別枠で要求されている地方交付税の増額1兆円などを含む事項要求約3兆円を加算いたしますと、実質98兆円を超える概算要求であり、全体を大幅に圧縮しない限りは、その財源の国債発行が多額なものになることも懸念されているところであります。
一方、現下の経済情勢を見てみますと、11月の月例経済報告では、「景気は、持ち直してきてはいるが、自律性に乏しく、失業率が高水準にあるなど依然として厳しい状況にある。」との判断がなされ、国内の物価の状況については、ご案内のとおり「緩やかなデフレ状況にある」として、日本経済のデフレ入りを3年5ヶ月ぶりに宣言したところでもあります。また、県内における雇用情勢につきましても、熊本職安管内の有効求人倍率は、依然として0.50倍以下という低い水準で推移するなど、地域経済は、引き続き厳しい状況にございます。
このように、政治、経済両面で先行きが極めて不透明な状況の中にあり、特に、国の予算編成の動向次第では、本市への影響も多大なものとなることが予測されますが、一方におきましては、都市自治体の活動は、市民生活に直結するものであり、このような状況下にありましても、一日として停滞を許されず、なすべき課題に対しましては、的確に対処を続けて行くことが求められています。
市政をあずかる者としては、現下の政治経済の動きを可能な限り掌握しながら、必要な手立てを確実に講じてまいりますとともに、新政権によって今後打ち出されてくる施策の内容によりましては、国に対し地方の立場から言うべきことは申し上げて行く覚悟であります。
そのような中で、編成した今回の補正予算でありますが、国・県からの補助内示に伴うものや、今後の業務推進上やむを得ないものなどに加えまして、国の「緊急雇用対策」に対応した緊急雇用創出経費や、景気の低迷を受け対象が大幅に増えております生活保護費などの扶助費、そして新型インフルエンザ対策経費などを計上しているところであります。
なお、補正予算の個別、具体的な内容につきましては、先ほどお配りした「平成21年度12月補正予算(案)の概要」、「平成21年度12月補正予算(案)のポイント」をご参照いただければと考えております。
今回の補正による各会計の予算額でありますが、一般会計において、24億134万円の増額、補正後の予算額2,318億916万円、特別会計において、600万円の増額、補正後の予算額1,546億412万円、一般・特別・企業会計の合計では、24億734万円の増額、補正後の予算額は4,705億4,399万円となっております。
補正後の予算を前年同期と比較いたしますと、一般会計では8.6%の増、特別会計では3.2%の減、企業会計では0.3%の増、さらには一般・特別・企業会計の合計額では3.0%の増となっております。
続いて、条例議案でありますけれども、今議会には16件の条例案を提案しており、そのうち主なものについて説明いたします。
まず、「熊本市自転車等駐車場の附置に関する条例」の制定についてでありますが、本市においては、これまで放置自転車対策として駐輪場の整備や駐輪マナーの啓発、放置自転車の撤去等の方策を実施してまいりましたが、今後、駐輪需要が見込まれる施設の設置者に駐輪場の設置を義務づけることで、新たな放置自転車等の発生を抑制するために、この条例を制定するものであります。
次に、「熊本市開発許可の基準等に関する条例の一部改正について」ご説明いたします。これは、本市の市街化調整区域におきまして、指定した区域の住宅、店舗等の建設要件を緩和することにより、既存集落の人口流出を防ぎ、その維持活性化を図るため、所要の改正を行うものであります。