平成29年7月12日 定例市長記者会見
【市長報告:九州北部の大雨災害に関する本市の対応について】 | 市長記者会見の様子 |
まず、7月5日からの大雨災害に関する本市の被害と対応の状況についてご報告させていただきます。
本市の被害で主なものは、住宅の床下浸水が4棟、道路損壊が17箇所、冠水及び通行止めが40箇所、崖崩れが11箇所発生しております。
本市では、平成24年の九州北部豪雨での経験を基に、住民の皆様の予防的避難に向けた取組みを進めておりまして、今回の豪雨災害にても気象台からの「土砂災害警戒情報」の発表を受け、市内の山沿いの地域に「避難勧告」を発令するなど、早めの防災対策に努めてまいりました。
また、市民の皆様も、5年前の九州北部豪雨及び熊本地震の教訓を踏まえ、早めの避難行動を起こされたこともあり、幸い人的な被害は発生いたしませんでした。
先日の台風に続き、大雨にも見舞われたところではございますが、今後も熊本地震からの復旧・復興にスピード感を持って取り組んでまいりたいと考えております。
一方、福岡県や大分県では、多くの尊い命や財産が失われるなど甚大な被害をもたらし、被災地では、今なお懸命の救助活動や復旧作業が進められているところでございます。
ここに、改めて、亡くなられた皆様方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、被災されたすべての皆様方に、心からお見舞いを申し上げる次第でございます。
本市といたしましては、被災された多くの皆様が1日も早く生活再建ができますよう、できる限りの支援をしてまいりたいと考えているところです。
現時点における本市の支援の状況というところでございますが、総務省消防庁からの要請を受けまして、被災者の救助活動のため、消防局職員を7月5日の午後10時頃から大分県日田市に派遣いたしました。現在は福岡県の朝倉市に場所を移し活動しておりまして、これまでに延べ147名の職員を派遣しているところでございます。
次に、義援金の受付につきましては、すでに日本赤十字社において「平成29年7月5日からの大雨災害義援金」の受付が始まっているところでございますが、本市におきましても、復興支援の一助になればと考え、金曜日の14日から本庁舎をはじめ、各区役所や総合出張所、まちづくりセンター等において義援金の受付箱を設置することとしております。
集まりました義援金につきましては、被災自治体を通じて被災された方々にお届けしたいと考えておりますので、熊本地震でも、大変各地からお世話になりましたので、ぜひ、熊本の皆様もこの豪雨災害の義援金について御協力をよろしくお願いを申し上げる次第でございます。
次に、災害ボランティアについてでございますが、ボランティアセンターを管轄しております熊本市社会福祉協議会のホームページにおいて、被災地の社会福祉協議会におけるボランティア募集のホームページのリンクを貼り付け情報提供を図るとともに、ボランティア保険の加入の勧奨やボランティア活動の注意事項等を記載した記事を掲載することとしております。
また、本市職員によるボランティア活動についても、積極的に推奨してまいりたいと考えております。
その他、災害復旧に関する各種業務にかかる応援職員の派遣につきましては、要請があれば即座に対応できるよう、これまでも準備を指示してスタンバイをしているところでございまして、今後も被災地のニーズを的確に把握していくとともに、早期復旧に向けできる限りの支援を行ってまいりたいと考えております。なお、支援に関する情報は、熊本市のホームページでも随時お知らせいたします。
大雨災害に関する本市の対応についてのご報告は以上でございます。
【市長発表:「みんなの熊本城プロジェクト~知れば,もっと好きになる!熊本城の歴史と復旧~」の開催について】
次に、発表項目が1点、お知らせが2点ございます。 | 市長記者会見の様子 |
まず、発表項目の1点目、熊本城の復旧につきまして、市民の皆様から広く意見を聴取することを目的に、本年8月に開催をいたします「みんなの熊本城プロジェクト~知れば,もっと好きになる!熊本城の歴史と復旧~」について、発表をさせていただきます。
ご承知のとおり、市民・県民の誇りでもあります「熊本城」の復旧につきましては、昨年12月に「熊本城復旧基本方針」を策定いたしまして、被災をしました石垣・建造物等の保全や計画的復旧、天守閣の早期復旧や復旧過程の段階的公開などの基本方針を定めたところでございます。
現在、この復旧基本方針に基づきまして、復興のシンボルとして天守閣の1日も早い復旧を目指し、工事を進めていますが、復旧を効率的・計画的に進めていくため、今年度中に「熊本城復旧基本計画」を策定することとしております。
この熊本城の復旧過程につきましては、新聞やテレビ等で毎日のように取り上げられておりまして、私自身も、市民の皆様方をはじめ多くの皆様方から、復旧に対する様々なご意見やご要望をいただくことで、改めて熊本城の存在の大きさと関心の高さを、日々実感しているところでございます。
この「熊本城復旧基本計画」の策定にあたりましては、関係機関や専門家はもとより、熊本城を愛してくださる多くの皆様に参画いただくことが重要であると考えております。
そこで、熊本城の復旧に向けた取り組みの現状と、今後の復旧計画について説明するとともに、市民の皆様から広く意見を聴取するため、お手元の資料のとおり、「みんなの熊本城プロジェクト~知れば,もっと好きになる!熊本城の歴史と復旧~」を開催することといたしました。
第1部としましては、火の国まつり開催期間中の8月4日から6日にかけて、中心商店街のアーケードや、びぷれす広場で、オープンハウスを開催いたしまして、復旧工事の施工事業者である株式会社大林組の協賛をいただきまして、パネルや飯田丸の模型展示に加えまして、天守閣復旧工事過程の映像紹介を行うこととしています。
また、8月27日(日)には、この熊本市役所14階ホールにおきまして、熊本城の復旧に向けてみんなで話し合うワークショップを開催することとしております。
さらに、12月からは、熊本市現代美術館にて「天守再現プロジェクト」として、特撮映画の技術で熊本城の一部を再現いたしまして、復興への気運を高めますとともに、復旧基本方針や進捗状況等についても紹介をする予定でございます。
この他にも、来年1月には、第2部として、「熊本城復旧基本計画(案)」に関するシンポジウムを開催することとしております。シンポジウムの詳細につきましては、また改めて決定次第ご案内をさせていただきたいと思います。
このプロジェクトは、先人たちの英知により築かれた熊本城を未来に引き継ぎ、さらには100年先を見据えた復元整備を検討していくために、現代を生きる私たちの想いや力を結集するとても大切な機会だと考えております。
そのため、これからの熊本を担う子ども達や若者をはじめ多くの皆様に、この「みんなの熊本城プロジェクト」に参画いただくことを、心からお待ちしております。
【市長発表:市観光文化施設の復旧について】
次に、本市では現在、震災復興計画に基づき観光文化施設の迅速な復旧を進めているところでございますが、その中でもこれまで市民の皆様から多くご利用いただいておりました市民会館シアーズホーム夢ホールについて、営業再開の目途が立ちましたのでお知らせいたします。
市民会館につきましては、県立劇場との同時休館を避けるために、来年1月の再開を目指して復旧工事を現在進めているところでございまして、その進捗も順調なことから、営業再開予定日を来年1月10日(水)に決定いたしました。これにより、ご利用予約の受付を8月1日から再開させていただきます。施設の復旧に当たりましては、落下防止天井の採用など、市民の皆様が安心して安全にステージを楽しんでいただくことを第一と考えまして、万全の対策を施してまいりたいと考えております。
なお、大ホールや会議室等の種類によって受付時期が異なりますので、詳しくは熊本市のホームページ、あるいは市政だより等でご確認をお願いしたいと思います。
また、健軍文化ホールにつきましても来年1月4日の営業再開、8月1日からの予約受付といたしますので、併せてお知らせいたします。
皆様のご利用を心からお待ちしております。
【市長発表:「(仮称)熊本城ホール」に関するアンケートについて】
最後に、「(仮称)熊本城ホール」に関するアンケートについてお知らせいたします。 | 市長記者会見の様子 |
これまでも施設の名称につきましては、「(仮称)熊本城ホール」ということで使用してきたところでありますけれども、平成31年度の開業に向けて、次の第3回定例市議会におきまして施設の設置に関する条例議案を提出するにあたりまして、施設名称として、この仮称であります「熊本城ホール」を提案することを考えておりまして、この名称に決定することについて、現在、アンケートを実施しております。 名称につきましては、これまでの経緯ですけれども、平成27年1月に開催いたしました「精査再検討に関する市民意見交換会」におきまして、市民の皆様から寄せられた意見などを参考にして、本市のシンボルである熊本城を近くで望める場所にあるということ、それから、海外や県外の方にも分かりやすいということから、施設の名称を「(仮称)熊本城ホール」としたところでございまして、ホームページや説明会等で使用してまいりました。 この施設名称の決定についてのアンケートは、今月17日まで実施しておりまして、市のホームページから入ることができます。また、区役所とまちづくりセンターにおいてもこのアンケート用紙が用意してございますので、皆様のご協力をよろしくお願いいたします。私からは以上です。
【質疑応答:みんなの熊本城プロジェクト~知れば、もっと好きになる!熊本城の歴史と復旧~」の開催について―(1)】 | 市長記者会見の様子 |
【記者】「みんなの熊本城プロジェクト」なんですけれども、これを皆から意見を集うことによって、どういう熊本城になっていくかというのは、どのように想定されていらっしゃいますか。
【市長】まず熊本城の復旧のプロセスに関して、本市としてこれまでも基本方針を示し、報道への公開等々を通じて、市民の皆さん、県民の皆さんにお知らせしてきたところなんですけれども、例えば、学識者の方々のご意見があったり、様々な専門家のご意見、あるいは一般の皆さん方の素朴な疑問であるとかご意見、こういったものがたくさん寄せられている中で、きちんと皆さん方にどういう過程でこの復旧をまず進めていこうとしているのか、本市としての基本的な考え方をまずお知らせをするということが非常に重要だと思っています。その上で、私も復旧基本方針の方でも触れておりますけれども、100年先の復元整備につながる復旧を目指したいということを考えているところです。以前も、昨年ここで発表させていただいたと思いますけれども、この熊本城の復旧、それから復元整備ということを通して、この平成28年熊本地震から熊本の人々が立ち直っていく姿というものを皆さんに見ていただくそのシンボルとして、熊本城は非常に大きな存在であるということ、それと同時に、例えば90年後であれば、築城500年という節目を迎えるわけです。そういうタイミングで、この熊本城の復元を整備していくということが、地震を風化させずに、震災の記憶を未来につないでいく大きなきっかけにしたいと思っているところです。その中で、熊本城に対しては、やはり皆さん大切な思いを色々お持ちで思い入れも非常に強いですので、皆さん方のそれぞれのご意見がいろんな形で集約される中で、市民のみなさん、県民のみなさん、あるいは全国や世界各地から応援していただいている多くの皆さんのご意見を反映しながら進んでいくのが、この平成28年熊本地震からの復興という中で、大きなプロジェクトでもあるこの熊本城をみんなの熊本城として作っていく、そのきっかけにしたいということで、今回こういう企画を立てているということでございます。ワークショップの中身についてでございますけれども、まず、オープンハウスで8月4日から6日までの間、色々な方に今の情報をお伝えしていくということと同時に、ワークショップを8月27日に開催いたしまして、若い方から高齢の方まで幅広い世代の方にぜひ集まっていただいて、熊本城の復旧をテーマとした対話を行っていく予定でございます。コーディネーターとしましては、熊本大学の政策創造教育研究センターの田中尚人准教授を全体コーディネーターとして考えているところでございます。私も参加して、色々な皆さん方のご意見を聞かせていただきたいと思っております。参加できない方も色々ご意見が寄せられるように、例えばメールやホームページで色々なご意見をいただくとか、そういったことも今後考えていきたいと考えております。
【質疑応答:指定都市市長会でとりまとめた要請内容について―(1)】
【記者】先日の政令指定都市市長会議のことについてお伺いしたいのですけれども、そこで議題として、要請書をまとめられたとお聞きしているのですが、要請書の確実に決まったことというのは、どういうことを要望されたのでしょうか。
【市長】まず、5月に広島市で政令指定都市市長会のサミットが開催されました。この中で、全体の議題の一番最後のその他のところで、私から「こうのとりのゆりかご」に関して、これはちょうど「こうのとりのゆりかご」が設置されて10年という大きな節目の中で、私としても、全国の自治体の皆さん、特に政令指定都市の市長の皆さん方に、自分のことと思って、この「こうのとりのゆりかご」、妊娠や出産で悩む人々のために色々な相談をする機関があるのですけれども、実際にはなかなかそれが各地にあっても利用さていないとか、色々なことがあります。その要因はまだこれから分析していかなければいけないのでしょうけれども、熊本にある慈恵病院に多くの県外からの子どもさんが預け入れられたという事実があるということ、それから、そういう妊娠や出産の相談の窓口の電話、特にこの慈恵病院に対しては24時間全国各地から、実は相談が寄せられているということで、この問題というのは、一自治体、一地方病院、一地方の民間病院の範ちゅうを超えているということもありまして、当然、全国の自治体の皆さんにそういう意識を持っていただくということ、それから相談体制を充実していくということをやっていきたいということ、それと国に対しても、積極的に関与していただきたいとそういう意味もありましたので、まず先の広島市での会議の際に私から発言しまして、そして、先般、厚生労働省にも私から要望を出させていただいて、事務次官あるいは局長をはじめ、皆さんとお目にかかってお話させていただいたというところでございます。その上で今回、昨日開催されました政令指定都市市長会議におきまして、正式な議案として提出させていただきまして、指定都市市長会の皆さんの一致する意見として、国に対してまずは国における相談体制を充実して整備していただくということ。それから2点目として、指定都市をはじめとした自治体における相談体制の整備強化のための財政的な支援をお願いすること。それから3点目の内密出産制度等に関する調査や法制度の整備の早期実現を求める要請書というものの提出を私から提案させていただき、了承されたということでございます。提出については昨日、この要請書が全会一致で決まりましたので、私が担当の市長ということで、今後国に対して直接要望を行うということにしております。
【記者】その直接要望のスケジュールはどのように進んでいくのでしょうか。
【市長】今月内というふうに考えておりますが、当然、厚生労働省の方の相手の都合もあるでしょうから、できるだけ急いでというふうには思っております。今月中には、できるだけ要請の文章を趣向してまいりたいと考えております。
【記者】その一致したということに対して、お気持ちというか判定はどうですか。
【市長】広島での会議の時もあまり多くの時間がさけなかったのですけれども、自治体それぞれのトップの皆さん方が、やはりこれは熊本だけの問題ではないし、非常に重たい問題であるということを認識していただいたということで、そういう声もいただいておりました。そうした中で、正式に今回議題を出して、皆さんが異議なく、この国に対してもそうですし、各都市でもしっかり取り組んでいこうということは、この10年間を総括する意味でも、そしてこれからこの「こうのとりのゆりかご」が投げかけた多くの課題、そしてまだ解決できていないたくさんの課題があるというふうに思いますが、そうしたものを本市や熊本県だけ、あるいは慈恵病院だけ、ということではなくて、やはり全国共通の課題として、国を挙げて、そして全国の自治体を挙げて、こうした問題に真剣に取り組んでいくという大きな一歩を踏み出したと私は感じております。ですからそういう意味で、設置されている自治体の長としても大変、今回の政令都市市長会でご決定をいただいたということは、大変ありがたく重いことだと受けとめているところです。
【質疑応答:仮設住宅等居住者への引越費用等に係る助成について】
【記者】仮設住宅の方が引越しする際に、助成する制度を検討されているという話をお伺いしたのですけれども、そのことについて詳しく教えていただけますか。
【市長】実際に仮設住宅から、あるいはみなし仮設住宅から、恒久的な住まいに移っていただくということがやはり望ましいということで、先の記者会見でもそういうことを述べさせていただきました。ただ、国で仮設住宅の入居の期限が2年と迫っている中で、伴走型支援をこれから行っていくということなのですが、それを行うにあたって、移転促進につながるような何らかのインセンティブ(誘因)となるような、助成制度ができないかということで、イメージしているということでございます。現在、実はその制度設計を行っているところでありまして、一部の報道では、色々な家賃の補助であったり、引っ越し代であるとか、家賃助成というようなことが具体的に書かれていますが、まだそれは確定したものではございません。あくまでも例示として、本市の担当からお示しさせていただいた、ということでございます。今後、どのようなものが考えられるかにつきましては、やはり、被災者の方々の1日も早い生活再建というのが極めて重要だと思いまして、それを踏まえた制度となるように関係機関ともよく協議しながら、そして本市としても、この生活再建を後押しできるように積極的に進めていきたいと考えています。ですから、内容が固まりましてからまた皆さん方にお知らせしたいと思いますが、今は、そういう助成制度も含めたイメージを持っているという状況で、内部的にはまだ検討している状況だということで、ご理解いただければと思います。
【記者】スケジュールとして目標に定められている期間とかはあるのでしょうか。
【市長】7月から伴走型の住まい確保支援事業が本市でスタートいたしました。この中でも、そういったものが早く打ち出せた方がいいと思っておりますので、期間としては今ここではっきり決まっているものではありませんけれども、できるだけスピーディーに行いたい、それから当然インセンティブ(誘因)を検討するということになりますと、財政的なこと、補正予算も含めた形での対応であるとか財源をどこに求めるのかということも含めて検討していかなければなりませんので、そういった検討も時間的には必要だということであります。ただ、できる限り早く皆さん方の生活再建につながって、仮の状態から早く恒久的な住まいの確保に繋がっていくように、私たちとしてはできる限りのそういう支援を行いたいと考えているところです。
【質疑応答:今回の大雨災害に伴う被災地支援について(震災の経験をどう生かすのか)】
【記者】福岡と大分の豪雨について、応援職員の派遣に向けて準備を進められているということなんですが、熊本市の職員さんには熊本地震で培った経験とかがあると思うのですが、地震と豪雨災害では性質の違いがあると思うのですが、そういうものをどういうふうに支援で活かせると考えていますか。
【市長】まず大前提としては、本市は平成24年に九州北部豪雨で被災したという経験をしておりまして、それもまだ5年ですから、被災の記憶も生々しい状況の中であります。その上、今回熊本地震という大きな災害を経験していますので、我々が今後、福岡県、あるいは大分県内のそれぞれの自治体に応援に行くにあたっては、非常にそういう意味ではお役に立てる部分があるのではないかと思っております。例えば、水害の場合、まだ今捜索が行われているような状況であります。この後、家の片付けであるとか、それからゴミや廃棄物の処理であるとか相当な労力、マンパワーがかかります。そういうことを考えますと、現在九州地方知事会で色々とりまとめながら支援体制を組んでおられますし、また、九州市長会でも防災部会がございますので、ここと協議・調整しながら本当に必要な支援を行っていくということ、やみくもに押しかけるということではなく、本当に必要な時に必要な支援ができるような体制を我々は組んでいるということです。昨日も指定都市市長会の席で、福岡の高島市長、それから北九州の北橋市長、それぞれ一緒にこの豪雨災害に対してもスクラムを組んで頑張ろうということでお話しておりますし、必要な措置は、今後も十分取っていく必要があると思っております。ただまず、今行方不明者も含めた人命の救助が極めて急がれるというころでありますので、そのところについては、消防から職員の派遣ということで、全国を挙げて支援していくということでございます。あと、時間的に相当、時間労力がかかる、泥や土砂をどうやって除去するのかというのは、前回の平成24年の九州北部豪雨でも皆さん大きな経験をしています。その時にかなり、多くの自治体からの応援、あるいはボランティアの皆さん方の応援をいただきました。すでにもう応援に入っておられるところもありますけれども、もちろん、本市としても職員もボランティア休暇制度、こういったものも活用しながら色々とボランティアを募っていくとか、そういうことも今後考えているところでございます。平成24年の九州北部豪雨の際は、職員のボランティア参加者は、述べ人数ですけれども、約2,800人が参加しております。そういう災害が起こった時には近隣の自治体同士で、みんなでスクラムを組んで助け合うということが非常に重要だと思っておりますので、大分・福岡それぞれの地域で皆さん本当に大変なご苦労されていると思いますけれども、いつでも要請を受けて的確な応援ができるようにしていきたいと考えています。
【質疑応答:「みんなの熊本城プロジェクト~知れば、もっと好きになる!熊本城の歴史と復旧~」の開催について―(2)】
【記者】「みんなの熊本城プロジェクト」についてお話を伺っていたら、市民の方々にも当事者として未来の熊本城を考えていってほしいということなのかと思ったのですが、ワークショップとかで出てきた子ども達や若者からの画期的なアイデアとか意見を取り入れられるというようなことがもしあったら参加のモチベーションにもなるかと思ったのですが、そういう予定はありますか。
【市長】当然、「みんなの熊本城プロジェクト」ということですので、様々なご意見を出していただいて、それらのご意見をできる限り反映していきたいと考えています。もちろん、石垣や重要文化財等の復旧ということについては、安全性の確保、それから文化財保護ということの観点から、どうしても専門家の方々のご意見を尊重するということにはなりますけれども、ただ、皆さんがこういう希望を持っている、熊本城に対してこういうイメージを持っている、あるいはこういうふうにしてほしいという願い、こういったものをできるだけたくさん具体的に寄せていただくことが、今後の熊本城の復旧、そして復元という大きな事業に対して、まさに魂を込めると言いますか、命を吹き込むことになるのではないかと思っていますので、そういう意味では、できるだけ反映させられるものは全て反映させたいと、そういう気持ちでいるということです。
【質疑応答:指定都市市長会でとりまとめた要請内容について―(2)】 | 市長記者会見の様子 |
【記者】昨日の指定都市市長会議についてです。概要は担当課に伺いましたので、市長の見解ですとか、そういうところを伺いたいのですが、3点あります。まず1点が、これを国に要望するにあたってなんですけれども、今までも熊本市単独ではされてきたと思います。熊本市単独ではなくて、今回政令市全体で要望することの意義についてはどのようにお考えですか。
【市長】まず、本市単独で行っていたのと違いまして、20の指定都市で、機関的に決定して、国へ要請するということですから、更に問題意識として、国も大きく捉えていただけると期待しているところでございます。
【記者】原案は熊本市が出したものだったと思うのですが、これに特に修正など入らなかったと聞いているのですけれども、これについては、市長としてはどのように思っていらっしゃいますか。
【市長】一つは、これは望まない妊娠であるとか計画していない妊娠、そして出産で悩む人々の十分な対応を図るという意味では、皆さん本当に一致した状況だと思います。ただ、どうしてもこの慈恵病院の「こうのとりのゆりかご」に全てが集中してしまっている状況ということは、各自治体の長の皆さんも大変重く受け止めていらっしゃるということでありますので、そういうところで皆さん方が異議なく、皆で一緒に共有してやっていきましょうという決議をいただいたということは、非常に重いですし、ありがたいと思っています。先ほども申し上げましたけれども、まだ全ての課題がクリアになっているわけではないという状況でありますし、これは国全体としても考えていかなければならない大きな問題でありますので、そういう意味では、今回の異議なく、指定都市市長会としても意思表示していただいたということで、これは強い力を持ってくると受け止めています。
【記者】2点目なのですけれども、そもそも、国に求める前に他の都市は、独自でこういった取り組みですとか、妊娠相談をされるようなご意見というのは特にありませんでしたか。
【市長】すでに独自で妊娠出産相談の窓口というのは、例えば、女性センターのようなところであるとか、そういうところで、実は指定都市20市されています。ただ、私からも今後具体的に指定都市市長会で、色々な部会とかプロジェクトがありますので、そういった中でも申し上げていきたいなと思っているのは、本市の窓口もそうなんですけれども、そういう相談窓口が設置されていたとしても、なかなかそこに相談に行かずに、慈恵病院に行っている現状があり、公的機関の相談窓口の在り方については非常に課題が多いと思っています。国に求めることは、財政的な措置です。要は人の面もそうですし、それから24時間ということになりますと、電話の通信費の問題、そういったこともあろうかと思います。そういうことも国でバックアップしてもらいつつ、さらにこの指定都市で、それぞれ妊娠、出産、こういったものに対する相談体制を充実していただくということが重要だと私からは繰り返し申し上げていって、実態として、各指定都市や各自治体での取り組みが進んでいくように促していきたいと考えています。
【記者】最後に3点目なのですが、今回の指定都市市長会議をやっていくにあたってなのですけれども、先日も慈恵病院の意見交換会がありましたが、こちらは活きましたか。
【市長】はい。当然、慈恵病院で意見交換させていただいたことによって、慈恵病院に本当に一極集中しているような状況で、しかも県外の様々な児童相談所等々も関係していることでありますので、そういったことを踏まえて、今回の提案に繋がっているということでありますので、これはもうすべてがそういう意味ではつながっていると思いますし、要望活動に活きていると思います。
【記者】意見交換の中で出た何かを今回文言として盛り込むですとか、何か実際に動きとして、慈恵病院との意見交換、視察というのが活きたものというのはあるのでしょうか。
【市長】慈恵病院では特に、私の方でも色々センシティブな問題(注意して取り扱うべき問題)はあるせよ、相談しやすい体制というのをどうするのかということ、特に匿名といったところが非常に大きいものがあると思います。今回の提案については、相談体制の整備であるとか人材育成に関わる部分について2点目として触れているんですけど、ここについては、やはりもっと詳しく細かなことについて、本市からできる限りの情報提供、いろんな相談の在り方とかやり方、それは慈恵病院さんで受け答えしておられるノウハウみたいなものもあると思うんですね。こういうものを、逆に全国で活かしていただくと安心して相談できるなと、例えば秘密を洩らされたくないとか、色々な事情を抱えている方に対する配慮という意味では、そういう慈恵病院のノウハウというのは、十分に活きてくるのではないかと思っております。
【記者】意見交換の中で、例えば、今回の項目の3つ目、こちらで法整備についての話も出ていらっしゃいますけれども、これに対しては、例えば先日の意見交換の中で何か話が出たとか、慈恵病院から話が出たということはあったのでしょうか。
【市長】当然、慈恵病院からも特別養子縁組であるとか、子どもの権利、出自の問題ということについては色々な意見交換させていただきましたので、そういったこともこの3番目の中には込められていると思います。
【質疑応答:熊本市単独での政府に対する要望活動の内容について】
【記者】2点あるのですが、まず先週霞が関の方に行かれて、いわゆる熊本市が単独要望をされたと思うのですが、主にどういった内容の要望をされたのか教えてください。
【市長】要望の内容としては、文部科学省、厚生労働省、国土交通省それぞれに、例えば、文部科学省であれば、児童生徒の心のケアに対する支援ということで、スクールソーシャルワーカーであるとか、今国でも非常に支援いただいておりますけれども、そうしたことについて文部科学省は樋口大臣政務官にお話させていただいて、できる限りの支援をしたいということで、次年度以降もこの予算確保に向けて取り組みたいというような趣旨のご発言をいただいているところでございます。それから熊本城の復旧復興に向けた支援については文化庁にもお願いしておりますし、それから厚生労働省には、避難所の環境であるとか、「こうのとりのゆりかご」、これは震災のこととは別に通常の要望という形で、積極的な関与をしていただきたいということで、二川事務次官、それから吉田雇用均等・児童家庭局長に要望させていただいたということでございます。
【質疑応答:災害時の市長の公務に関するガイドライン等の有無について】
【記者】先週5日から大分・福岡を中心に豪雨で、熊本市の方でも5日~7日と結構な大雨が降り水防本部も設けられていたと思うのですけれども、その間市長は6日に上京されて7日に熊本に帰って来られたということなのですけれども、その間のある程度予期されるような災害、例えば雨とかだったらある程度予期されて、地震の場合だったらなかなか難しいと思うのですけれども、そういった時の警戒態勢として、市長はこの時いた方が良かったのではないかなという気持ちも少々僕の中にはあったんですけれども、そこら辺のある程度規定とかそういうガイドラインとかがあったら教えて下さい。
【市長】いつ災害が襲ってくるか分からないということを考えると、ガイドラインの通りに、何ミリまで雨が降ったらそこに留まるべきだとかということではないと思います。大事なことは、取るべき対処というのをきちっと準備するということです。大雨に関して言えば、予報の中である程度予防的な措置ができますので、それを万全にするということ。それから、きちんと連絡が付く体制にしていることです。私はずっとこの間非常に心配でありましたので、危機管理監とも電話でやり取りしながら、常にホットラインの中でやって判断しておりましたので、そこは特段問題がないのかなと思いますし、そのために副市長がいて、そして危機管理監や、そういう体制も整えています。雨が降っている時期は市長は一切国への要望も含めて動けないというのは、これはやっぱりおかしな話だと思います。ただ、本当に危機管理ということでの体制を、地震も含めてですけどいつ起こるか分からない、その時にきちんと指示を出して、そしてそれがきちんとスピーディーに動く体制を取っておくということ、これが非常に重要なのではないかなと思います。ですから、例えば熊本にいたとしても私は夜中は自宅にいますけれども、そうなると常に連絡を取っている状況というのは、あまり場所というのは問わないということではないかなと思います。ただ、基本的に全ての行事をキャンセルしてでも、帰って来るということも当然視野に入れて行っておりましたので、そこは特段問題ないのかなと思っています。
【記者】常日頃からですか。
【市長】そうですね。これは熊本地震を経験してから大きく変わりましたね。今朝方も4時頃には私も起きていましたので、警報が入って自動的に水防本部が立ち上がっていくということになっていますので、その辺は特段問題ないかなと思いますが、やはりかなり敏感になっているのは間違いないですし、それから深夜帯で、特に大雨の場合は非常に大きな被害になるということがありますので、ここに対する警戒というのは十分に必要だと思っています。
【質疑応答:(平成24年九州北部豪雨の教訓を踏まえ)防災に関する市民への呼び掛けについて】
【記者】今日で九州北部豪雨から5年ということで、5年前避難指示が遅れたという指摘もあったみたいなんですけれども、5年前の九州北部豪雨を受けて、熊本市が教訓にして取り組んでいることと、梅雨明けもまだで白川の工事もまだやっているということなんですけれども、改めて市民の皆さんに呼び掛けたいことは何ですか。
【市長】平成24年の九州北部豪雨からちょうど5年という月日が経ちました。5年前は私は県議会議員でしたので市長ではありませんでしたけれども、その時からの教訓がどのように活きてきたかといいますと、予防的な避難を徹底的に図っていただくように態勢を整えているということがまず一つあります。それから、市民の皆さんの危機管理の意識がずいぶん向上しているというふうに思われます。態勢として、気象台、国土交通省、熊本県を始め、関係機関とのダイレクトのネットワーク、特に私が危機管理監と直接、国土交通省の熊本河川国道事務所長さんであるとか、あるいは自衛隊や、消防も含めた庁内の体制も関係機関との連携が密になってきていると思います。これからの備えという部分でありますけれども、5年前は大きな地震はなかったわけですから、5年前と比較すると明らかに地盤が弱くなっているということ、それから地盤沈下も含めてですけれども、実は同じ雨量であっても、5年前よりも現在の方がリスクは高いという意識を皆さんにももっていただきたいということを思っています。ですから雨が止んでるからといって土砂災害が起きないとは限らないわけです。むしろどのくらいの水分をこの土地が含んでいるのかとかそういったことを考えながら、この危機管理でもモニターをしながら、良い天気であったとしても土砂災害警戒情報を出し続けて、避難勧告を発令したままにしていたということです。そういうことを、予防的避難として明るいうちに避難するということに繋げていただくように、私たちももっと積極的に動かなければいけないと思います。やはり土砂崩れが夜中に起きますと、今回の朝倉市や日田市など被災した自治体は、夜中非常に厳しい状況に陥っていると考えますと、明るいうちの予防的避難を皆さんにはぜひ心掛けてほしいです。蒲島知事もおっしゃっていますけれども、やはり避難勧告の空振りを恐れないということです。意外と河川の氾濫であるとか土砂災害について言えば、皆さんそんなにひどくはないんじゃないかということで、地震の場合はすぐ体感としてきますけれども、大雨の際は意外と避難勧告を出しても逃げないことがあるということを、私たちは経験のなかから感じているところです。これは全国の首長の中でも被災した自治体の皆さんと意見交換した中でもそのようなことが出ていましたので、皆さんできるだけ早く避難する、そのためには避難所の開設とかそういったことの態勢を十分私たちは的確にとっていくということが必要であるというふうに思っています。
【質疑応答:災害対応で国に強化してもらいたい事項について】
【記者】関連ですが、先般の福岡、大分の豪雨もそうですし、昨日は鹿児島で大きな地震があったということで、九州のみならず全国各地さまざまな災害が起きる可能性がある状況が続いておりますけれども、九州北部豪雨や熊本地震を経験した上で、こういった災害が頻発する状況の中で、水害、地震に対する復興にあたっていくうえで、国の方でもっと強化してもらいたい制度的なものであったり、とにかく災害が起きるのを防ぐことが事務的な力ではできないわけですから、起きてしまった後のいろんな復旧に当たっての支援といいますか、制度的なものも含めて、改めて九州北部豪雨から5年というタイミングで考えることはありますか。
【市長】一つは国に求めることというか、やはり国、県、市町村それぞれで役割分担しながら、被災自治体が一番被災者の救出や復旧にスピーディーに取り掛かれるような制度的な課題がもしあれば改善していく。例えば避難所の運営にしたってそうですし、それからいろいろな被災時の廃棄物の処理であるとか、こういったものも事前に応援受援の関係も今計画を作ってはいますけれども、そういったことの一つ一つを国、県、市町村で一番良い形、それぞれの組織で同じように動くのではなく、それぞれの組織がお互いに補完し合うような関係を築いていくことが一番重要だと思います。国に対しては、特に我々は復旧復興していくという局面にありながら、さらに大きな被害を受ける可能性があるということでありますので、そうした時に例えば激甚災害であるとかの指定をできるだけ早くしていただくとか、やはり財政的に現場が動きやすくしていただくようにお願いしたいというのが国に対するところです。それから手続き的な面もできるだけ簡素化するということです。災害が起きたときには現場でフレキシブルな対応をできるようにすることは非常に重要だと思っていますので、そういった面での制度改正については、我々もいろいろな提案をさせていただいていますので、そういったことも考えていただきたいです。それからソフト面も同時に、ハード面で河川の整備であるとかこういったことについては的確に予算措置をして、以前と比べると雨の降り方が非常に集中的に降る状況が見られますので、そういう財政的な措置も含めてですけれども、ハード面の整備も極めて重要だと思っています。
【質疑応答:今回の大雨災害におけるLINEの活用状況について】
【記者】今年4月にLINEと災害時のいろいろな活動の協定をされていると思いますけど、今月5日からの大雨の中で、業務でLINEを使われましたか。
【市長】はい、使いました。
【記者】それはどういった内容で使いましたか。
【市長】災害対策本部会議のメンバーとの情報共有で使いました。このおかげでかなり早くいろいろな対応ができたのではないかと思います。
【記者】4月以降で見ると、4月その直後に訓練でLINEの活用をされたかと思いますけれども、実践という意味では今回が初めてですか。
【市長】いえ、実際には例えば大きな余震がございましたので、そういった時とか北朝鮮のミサイルの時の情報共有であるとか、そういったことで使っています。ただ今回は例えば消防が5日の10時頃に出発する情報であるとかそういったことも共有して、リアルタイムに30数名の災害対策本部要員に情報共有できたことが利点としてあったと思います。まだもちろん課題はいろいろありますけれども、今後良い連携を取れるようにしていきたいと思います。
(終了)
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