【市長発表:東日本大震災への熊本市の対応について】
まず、1点目は「東日本大震災への熊本市の対応について」であります。震災発生から既に2ヶ月以上経過しておりますが、被災地での復旧・復興は、徐々に進み始めたところでありますけれども、依然として10万人を超える被災者の方々が避難所生活を続けられており、不自由な生活を強いられている状況にあります。
また、福島第一原発事故による放射能漏れ事故につきましては、関係者による懸命な努力にも関わらず、一号機にメルトダウンが判明し、東電の工程表の見直しが迫られますなど、事態の収束までには長期化が懸念されておりまして、極めて厳しい状況が依然として続いております。また、浜岡原発の停止等の影響によって、関東・東北エリアだけでなく、夏場の電力不足への懸念がこの九州を含む全国に拡大しているといった状況でもあります。
震災関連につきましては、本市では既に発表しているとおり、大震災発生直後から、人的支援に努めているところでございますが、22日現在、派遣総数は224人、延べ活動実績は1,538人日となったところであります。また、市として東松島市に対して、さらに長期の行政職員の派遣を打診したところでありますが、福祉部門と年金部門への派遣依頼がございましたので、準備が完了次第職員を派遣することとしております。本市としては引き続き、今後も被災地の復旧・復興に向けた支援活動を積極的に継続して取り組んでいく所存であります。
続きまして物的支援ですが、義援金につきましても、引き続き各総合支所、市民センター等、市施設58ヶ所で受付を行っておりまして、昨日までに約6,924万円が寄せられております。この場をお借りして心から感謝を申し上げたいと存じます。
次に大震災の本市経済への影響について申し上げます。まず産業面においては、自動車関連は依然として部品不足から稼動率が低くなり、雇用調整の動きも見られるなど厳しい状況が続いておりますが、逆に半導体関係は高い水準の操業が続いております。
海外市場関係では、輸出した食品関係の商品が通関できないなどの影響も出ておりまして、食品の安全を証明する方法の確立が急がれております。
観光関係では、自粛ムードが和らいでまいりまして、もう発表済みでありますが、GW期間中は、新幹線や城彩苑の開業効果などもあり、熊本城など観光施設の入場者も増え、市内の宿泊施設も国内の個人客を中心にほぼ例年通りの宿泊があったと伺っております。
震災関連で市が創設した特例融資につきましても、問い合わせは5月20日現在で30件ございますが、融資の申し込み件数はゼロということでございます。
全体として言えば、熊本市における震災によるマイナス影響は徐々に薄らぎつつあると認識いたしておりますが、先ほど少し触れました電力不足の懸念も含め、今後も経済状況の推移を注視してまいりたいと考えております。
一方、ただ今申し上げました電力不足に対する懸念でございますが、九州電力の社長が、点検中の原子力発電所の一部が稼動できず、火力発電の燃料確保ができない場合などを前提に、7月中旬から最長9月下旬までの期間、最大15%程度の節電要請を行う方針を言及されたところであります。
現時点で具体的に熊本市に対して、九州電力からの節電要請はございませんが、あらゆる事態に備え、数段階に分けた節電対策や電力不足時の業務継続計画を講じるために、全ての関係部局からなる「電力対策庁内連絡会議」を先日19日に発足させまして、必要な対策の検討を開始したところであります。
今後、電力不足による市民生活や経済活動への影響が最小限となりますよう、九州電力からの情報などを踏まえ、適切に対応してまいりたいと考えております。
また、今回の震災を踏まえて、本市の防災対策の見直しも行うこととしておりまして、現在、学識経験者や防災関係機関等の意見聴取を行いますとともに、課題について洗い出しを行っている状況であります。今後、短期的に対応が可能なものと、中長期的に対応すべきものとに区分いたしまして検討を進めてまいりたいと考えております。
先週の18日に実施した熊本市総合防災訓練におきましても、東日本大震災の津波被害の現状を踏まえ、津波警報発令を想定した避難訓練も実施したところでございます。
以上が震災関係の報告でございました。