【市長発表:1年を振り返って】
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それでは、年末の記者会見をはじめさせていただきます。本日は、この1年を振り返りましての所感などをお話ししたいと思います。早いもので1年経ったわけですけれども、一日、一日を市長という重責を感じながら過ごしておりまして、あっという間にこの1年が過ぎてしまったという思いでございます。今年は、緊張の連続でございましたが、改めまして、市役所の業務の幅の広さ、また、市民に密接に関係している業務であるのかということを、改めまして、実感しながら、新しい熊本づくりに向けまして,六千四百名の職員とともに、新しいくまもとづくりの現実に取り組んできた1年でありました。
そして、年明け早々でございましたけれども、市政の運営の基本方針を三つ掲げました。「情報公開と市民参加による信頼される市政の実現」、「特色ある日本一住みやすく、暮らしやすい街の実現」、また、「都市機能の充実した活気あふれる政令指定都市の実現」と掲げ、また、改革に向けましての決意として、平成15年、今年を「市政改革元年」と位置付けまして、その実現に向けまして、「まちづくり戦略計画」、「行政改革推進計画」、「財政健全化計画」の三つの計画づくりを三位一体で取り組むんだということを発表させていただきました。
新年度早々に市政改革本部を立上げまして、その推進体制を整備し、また、「ブレックファーストミーティング」や「市政改革に向けての講話」など、回を重ねまして、全職員一丸となって取り組んだ1年でもございました。
以上、申し上げましたように、この1年は、市の業務、施策の入念な把握、さらには、ゼロベースでの見直しを行い、併せて,職員との意識の共有化に努め、市政改革を今後、迅速に効果的に実行してまいりますための計画作りにも鋭意取り組んでまいりました。まだ、不十分な点もございますけれども、全庁挙げての市政改革に全力で取り組んでまいる覚悟でございます。今日も、地方交付税の話も出ておりましたけれども、国の三位一体での動きを見てみましても、市政改革全般につきましては、待ったなしの状況であると、もっと、もっとスピードアップを図っていかなければいけないとの印象も持っております。
ここで、ただ今、皆様にもお配りしてあることと思いますが、市政運営の基本方針に添い、その取り組み状況をお示ししながら、具体的に今年を振り返ってみたいと考えております。
まず、最初に「情報公開と市民参加による信頼される市政の実現」についてでございます。信頼されます市政が実現してこそ、日本一住みやすい、暮らしやすく、都市機能が充実した活気あふれる都市が実現できるものであるとの思いで、何よりも、最初に手がけた所でございます。まず、最初に、新年早々には、それまでも制度としてはございましたが、相談要望事項の文書化、この基準を定めまして、徹底を図りまして、その後、数多くの記録が残されているところであります。また、これらの文書に対しましての情報公開も行われている所でございます。さらに、新年度に入りましてからは、交際費、食料費につきまして、基準等の改正を順次行い、より透明性が高い市政運営に努めたところでもございます。そのほか、様々な市政情報の提供に関しましては、市政だよりやホームページ、あるいは、報道機関の皆様方のご協力をいただきながら、市民の皆様によりわかりやすい情報の提供に努めてまいったところでございます。
次に「市民との直接対話と市政への市民参加」に関してでございますが、とにかく、あらゆる機会を捉えまして、設けまして、市民の皆様と直接お話したいと考えまして、まずは、「まちづくりトーク」をスタートし、さらには、「お出かけトーク」に発展をさせ、少しでも多くの方に、「今、本市を取り巻く課題が何であるか、そして、これからの熊本市をどのようなまちにしていきたいのか、そのために、今、私たちは、何をしなければいけないのか」などをお話ししてまいりましたし、多くの市民の皆様からも、それについての様々なご意見を伺ってきたところでございます。
また、より積極的な市政への参加をお願いいたしますために、各種委員会での市民の皆様からの一般公募によります参加をお願い申し上げたところでございまして、例えば、「少人数学級に関する検討委員会」、先日、答申をいただきました「熊本城利活用検討委員会」、「協働のまちづくりを進める市民会議」など様々な分野におきまして、ご活躍いただいているところでもございます。なかでも、申し上げました「協働のまちづくりを進める市民会議」におきましては、120名のご参加をいただきまして、市民、行政の役割と責務、協働の仕組み、さらには、行政運営のルールなどを謳いました「自治基本条例」の制定に向けまして、毎回、活発なご論議をいただいているところでございます。
パブリックコメントにつきましても,これまで、高齢者保健福祉計画、介護保険事業計画、あるいは、文化振興計画など各種の計画策定において実施してまいりましたが、今後も、新年早々から、まちづくり戦略計画や行財政改革推進計画、さらには、地下水量保全プランなど積極的に、市民の皆様の声を反映すべく、実施してまいりたいと考えております。
次に「特色ある日本一住みやすく、暮らしやすい街の実現」についてでございますが、まずは、将来を担います子どもたちの健やかな成長を願いまして、それぞれのライフステージに応じた施策を効果的に展開してまいりますために,次世代育成支援行動計画の策定に着手したところでございます。また、具体的な取り組みといたしましては、子育てしやすい環境の整備といたしまして、例えば、乳幼児医療費や無認可保育園への助成拡大、さらには、ゆとりある教育環境の実現に向けましての30人学級のモデル校での実施などに取り組んでまいったところでございます。
さらに、高齢者や障害者の方の福祉の充実についても、地域の一員として暮らし続けられるような、高齢者の生きがいづくりや、健康づくりを盛り込んだ高齢者保健福祉計画、制度の適正な運用のための介護保険事業計画の策定、あるいは、措置から支援へと大きく転換いたしました障害者福祉の充実を目指しました障害者プランの策定など、さらには、介護保険における減免制度の開始などに取り組んでまいったところでございます。
環境の保全においても、本市の最大の財産とも言えます、清冽な地下水の保全に向けまして、地下水量保全プラン策定の基本方針を策定いたしますとともに、県、関係の自治体、JAなどからなります「白川中流域水田活用連絡協議会」を設立いたしまして、来年度からの本格的な事業実施に向けての協議を進めているところでございます。また、この春には、ふたがついたままのビンやペットボトルの引き取り拒否問題を契機に実施をいたしました「ふたバイバイキャンペーン」も市民の皆様方の取り組みにより、引き取り再開に至ったところでございまして、また、ごみ減量、リサイクルの推進に向けての市民会議の立上げですとか、市民の皆様と一体となり取り組んだところでございます。
そして、最後の基本方針でもあります、「都市機能の充実した活気あふれる政令指定都市の実現」についてでございますが、今年は、なんと申しましても、政令指定都市移行への重要な年との位置付けで取り組んでまいりました。地方分権が進展していきます中、将来の本市のまちづくりにとりまして、また、九州新幹線の全線開通を見据えましたときの熊本都市圏、ひいては、県全体の発展を考えましたときに欠くことができないものであると確信いたしまして、そのことは、就任早々から意識いたしまして、市民の皆様と一体となり政令指定都市への移行につながりますように、また、本市と合併の動きがございました周辺町の皆様へご理解いただけますように、様々な取り組みを行ってまいりました。
残念にも、ご理解いただくことができずに、政令指定都市移行の現行の特例法期限内での移行のめどがなくなってしまいましたが、将来におきましては、不可欠なものであるとの考えは変わっておりませんので、今回の各町での結果を真摯に受け止め、一日も早い、政令指定都市の実現に向けまして、今後も、できることから、着実に取り組んでまいりたいと考えております。
そのためにも、本市が、魅力ある都市機能を充実させ、また、活気あふれるまちづくりを進めることが肝要であります。公共交通網の整備、熊本駅周辺整備、さらには、熊本城を中心といたしました中心市街地の活性化や観光振興、地場経済の活性化や雇用の確保などにも鋭意取り組んでいかなければなりませんが、今年は、九州産交の産業再生機構の支援決定に端を発し、バス網再編が大きな動きを見せた年でございました。本市では、従前から、新幹線の開通を見据えた、広域交通網の整備を利用者の利便性の確保に最大に配慮しながら取り組むことといたしており、バス交通実態調査の実施などを行ってきたところでございます。先日、本市交通局が利便性の確保を前提とした4路線の委譲の考えを提示したところでございますが、今後も利用者の利便性の確保を前提として取り組んでまいりたいと考えております。
そのほか、9月には、「観光立市くまもと」都市宣言の決議がされたわけですが、その観光振興の核となります熊本城復元整備事業に関しましても、これまでの浄財によります基金に併せまして、新たな手法といたしまして、「蘇る名城くまもと市民債」と名づけましたミニ公募債の募集、さらには、築城400年という記念すべき年であります、平成19年を一つの目標といたしまして、本丸御殿の復元整備にも着手するなど着実に整備を進めてまいりました。そのほか、地域経済の活性化を目的としまして中堅・若手の業界代表者や学識経験者の方々から構成していただいております「地域経済活性化プロジェクト」を設置し、企業化・経営革新、あるいは、中心市街地・周辺商店街の活性化についてなど、その方策について、現在、ご検討いただいているところでもございます。
以上、今年を振り返ってまいりましたが、来年3月には、三位一体の市政改革の最終報告を終え、また、今年、様々な分野で、検討会議や市民会議などを設置し、ご論議、ご検討いただいているところでございまして、その成果が、果実として実を結びますように、様々な施策を着実に実行に移して行かなければなりません。そのためにも、これまで以上に市民の皆様と私どもが、お互い知恵を出し合い,力を合わせていくことができますよう、市民協働のまちづくりをさらに推進していかなければならないと考えております。私も、今年以上に、「新しいくまもと」づくりに向け、その実現に邁進してまいりたいと考えております。
報道機関各位におかれましても、今年、賜りましたご協力に心から感謝申し上げますとともに、来年も同様のご理解、ご協力をいただけますようにお願い申し上げ、一年を振り返っての所感とさせていただきます。それでは、質問をお受けいたします。