【市長発表:今年1年を振り返って】
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本日は、今年最後の記者会見でありますので、この一年を振り返っての所感につきまして述べさせていただきたいと存じます。
お手元に、今年1年の取り組みをまとめましたA3版の資料を配布させていただいておりますので、ご参照いただければと思います。改めてこれを見ますと、今年一年いろいろなことがあったと実感しているところでもございますけれども、早いもので今年も残すところ、あと4日となりました。改めて今年一年を振り返ってみますと、我が国におきましては、厳しい雇用・経済状況が続いておりましたし、東日本大震災からの復旧・復興でございますとか、緊迫した外交問題など、国内外で多くの課題が残された年であったかと思います。一方におきましては、ロンドンオリンピックでの日本人選手の活躍でございますとか、京都大学の山中教授がノーベル医学生理学賞を受賞されますなど、明るい話題も数多くあった年でもあったと思います。なお、先の衆議院議員選挙後におきましては、特別国会が26日に召集されておりまして、新内閣が誕生したところでございますが、多くの課題が山積をする中、新内閣におきましては、経済対策や東日本大震災被災地の復旧・復興について、スピード感をもって取り組んでいただきますとともに、中長期的には持続可能な社会保障制度の構築でございますとか、地方分権改革の着実な推進等々、将来を展望できる政権運営を期待したいところでございまして、早速26、27日は上京いたしまして、関係機関等を訪問させていただいたものでありました。
このような状況の中で、本市につきまして振り返ってみますと、印象深いことにつきましては、やはり政令指定都市移行でございます。また、決して忘れてはならないこととしては、九州北部豪雨における災害でございます。大きくはこの2つが挙げられると思います。
まず、指定都市についてでありますけれども、新幹線とともに長年の悲願でありました政令指定都市熊本の実現は、そこに至りますまで合併でございますとか区割りなど、多くの困難を乗り越えての達成でありましただけに、その誕生の瞬間はとても感無量でありました。しかしながら、この感無量というものはその一瞬だけでございまして、その直後からきちんと政令指定都市としてシステムが稼働するかどうか、あるいは区役所等の新たな体制がスムーズに動くかどうか等々緊張感を持ってその時を迎えたということでもございますし、また、これまでも繰り返し申し上げてきたところでございますが、指定都市というものは、あくまで手段ということで与えられた権限と財源を用いまして、市民の皆様方にとって、より暮らしやすさを実感できるようなまちづくりを進めていくということを、更に力を入れていかなければならないという強い思いも改めて持ったものでございました。指定都市に移行しておよそ9ヶ月となるわけでございますけれども、指定都市移行によりまして住民の皆様方とともに、地域の特色を活かしたまちづくりを進めていかなければならない。また、その過程でもあるということでございます。例えば、現在、区の振興ビジョンの策定に取り組んでいるところでありますし、小学校区単位での健康まちづくりでございますとか、区バスの運行でございますとか、地域の皆様と一緒になって取り組んでいるところでございますが、このような活動を通じまして、顔の見える区役所として、あるいはまちづくり活動の拠点として区役所をより一層活用していただきますとともに、人・自然・環境などそれぞれの区の特性を活かしたまちづくりを、さらに押し進めていかなければならないと考えております。
そのほかでは、企業立地におきましては、立地件数が過去最高を記録したことでございますとか、日本乳癌学会等、大規模なコンベンションも開催されております。また、熊本港におきましては、クルーズ船の寄港が決定いたしましたことなど、指定都市としてのブランド力、あるいは拠点性によってもたらされたものではないかと認識しているところでございまして、このことが地域経済の浮揚にも繋がるものとして期待をしているところでもございます。さらには、指定都市市長会への加入に伴いまして、議長市として、ローカルサミットも開催をさせていただきました。また、九州3政令指定都市市長会議で九州における大都市制度のあり方などに関する研究でございますとか、さらには、県との新たな関係を構築していくという意味におきまして、県と市における政策連携会議の設置をさせていただいたり、熊本県や九州のみならず、全国を牽引する立場にある指定都市としての責任と役割を実感する事柄を数多く経験させていただいたものでもございました。これからも、指定都市の市長として、その職責を十分に果たしていきたいと考えております。
もう一つの九州北部豪雨についてでありますけれども、7月12日未明から降り続きました大雨の影響で北区龍田地区や植木地区を中心に甚大な被害が発生したのはご案内のとおりであります。この豪雨災害への対応策といたしまして、ただちに災害対策指揮室を設置いたしましたほか、白川、合志川におきましては、来年の梅雨時期までにサイレンを設置いたしますなど、出来ることからスピード感をもって対応しているところでございますが、そのことに加えまして地域住民の方々による、地域ハザードマップの作成を通して、自助・共助意識の涵養にも努めてまいりますことで、今回の災害を教訓とした、より災害に強いまちづくりを進めていかなければならないと考えております。さらに、治水安全度を高めるために実施されます河川改修等につきましては、相当程度大規模なものとなりますが、事業進捗に向けまして本市といたしましても、できる限りの協力を行っていきたいと考えております。
これ以外では、熊本城マラソンでございますとか、わくわく江津湖フェスタ、恐竜展など、政令指定都市記念として開催したものにつきましては、市内外から多くの方々にご参加、ご来場いただきまして大変な賑わいとなったところでもございます。中でも、熊本城マラソンは、1万人のランナーが通町筋を一斉にスタートされますとともに、沿道には約15万人の観衆で埋め尽くされまして大声援の中での開催となりましたけれども、決定から1年3ヶ月という短い準備期間にも関わらず大きなトラブルもなく、また交通渋滞等もほとんど見られなかったことは、熊本の市民力・地域力の賜物でありまして、熊本の底力を感じずにはいられない瞬間でもございました。やがて2回目も開催されることになりますけれども、1回目以上に盛り上がる大会に市民の皆様方とともに頑張っていきたいと考えております。
そのほかでは、くまもとMICE誘致推進機構の設立でありますとか、中心市街地の再デザインへの取り組み、あるいは、熊本港におけるガントリークレーンの供用開始、韓国・釜山を結ぶ国際コンテナ船の週2便化などもございました。特に、桜町花畑地区におきましては、市として新たな方向性を発表いたしましたが、今後とも様々なご意見をいただきながら熊本らしい空間の整備に努めてまいりたいと考えております。
また、交通体系につきましては、「公共交通再生元年」と位置づけておりまして、区バスを導入しましたほか、3月には公共交通グランドデザインを策定いたしまして、バス路線網の再編に向けたアクションプログラムや新たなコミュニティ交通導入に向けた制度検討を行いますなど、再生への足がかりに向けまして本格的に取り組みを開始した年でもございました。中でも区バスにつきましては、より利用しやすい区バスを目指しまして、現在、地域の方々とともに、ルートやダイヤなどについて検討を行っているところでございまして、今後さらに公共交通の再生に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
最後に、12月3日は、私が市長に就任してから丸10年ということでございました。これまでの歩みを再確認しながら、そして、初心を大事にしながらこれからも努力を続けてまいりたいと考えております。
以上、簡単ではございますが、この1年を振り返らせてもらいました。報道機関の皆様におかれましては、今年賜ったご協力に心から感謝申し上げますとともに、来年も同様のご理解、ご協力をいただきますようお願い申し上げたいと存じます。私からは以上であります。