【市長発表:市政改革プランのパブリックコメントについて、平成16年度当初予算案等について】
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おはようございます。
それでは、3月の定例市議会前の記者会見をはじめさせていただきます。本日は、去る16日にパブリックコメントが終了いたしました、「まちづくり戦略計画」及び「行財政改革推進計画」に関して、そして、3月議会に上程を予定しております平成16年度当初予算案や条例案などについてにお話させていただきます。少し長くなりますことをお許しいただきたいと思います。
最初に、去る16日にパブリックコメントが終了いたしました「まちづくり戦略計画」と「行財政改革推進計画」について申し上げます。結果から申しますと、ご意見をいただきました方が470名、件数に関しましては、まず市政改革全般に関してのご意見が28件、「まちづくり戦略計画」につきましてが317件、「行財政改革推進計画」につきましてが588件、合計で933件と、多くのご意見をいただき、市民の皆様方に心から感謝を申し上げる次第でございます。また、ご協力をいただきました報道機関の皆さん方にも併せてお礼申し上げます。
本日は、そのいただきましたご意見を整理し、本市の考え方を回答としてまとめたもの、また、そのご意見の中からどのようなご意見をどのように計画の最終案に案に反映させるのかという修正事項の一覧、また、素案の段階では、見直し中としておりました財政健全化の目標値などの資料をお配りいたしております。
今回は、多くのご意見をいただき、また、ご意見の内容に関しましても、貴重なものが数多くございまして、最終的な整理作業などに若干の時間を要しております。議会開会までには、両計画の最終案を公表させていただきたいと考えておりますのでよろしくお願い申し上げます。
それでは、平成16年度の当初予算案や条例案などについてご説明申し上げます。本日は、先日の記者会見でも申し上げておりましたが、予算編成過程の情報公開の一環として、各事業の要求額及びその査定額の一覧もお配りいたしておりますので、是非ご覧いただきたいと思います。
まずは、平成16年度当初予算案についてでありますが、先ほどの全員協議会でもご説明したところでありますけれども、皆様ご承知のとおり、国庫補助負担金、地方交付税の改革、また、税源の委譲を含む税源配分の見直しなど、いわゆる「国の三位一体の改革」によります地方への影響が顕著に現れてきております。平成16年度の地方財政計画におきましては、その総額は、3年連続で減少しているところでありますが、その中で、公立保育所の運営費等の国庫補助負担金などが削減され、その補てんとして、所得税の一部が所得譲与税という形で地方に配分されております。また、地方交付税につきましても、総額で対前年度比マイナス6.5%の16兆8,900億円、さらに臨時財政対策債が前年度比マイナス28.6%の4兆1,900億円のマイナスと地方財政の運営に大変厳しい内容が示されたところであります。
このように、国の改革が地方にもたらす影響は非常に大きいものの、ただ、その改革の全体像などがいまだに明確にされていないなど、大変不透明な状況でありまして、この国の改革の行方につきましては、今後も十分に注視していかなければなりませんし、市としてきちんと、声をあげるべきところはあげていかなければならないと考えているところでもあります。
このような中で、平成16年度の予算編成を行った訳でありますが、国におきましては,2月の月例経済報告におきまして、「景気は設備投資と輸出に支えられ、着実に回復している」と、先月、三年ぶりに盛り込まれた回復基調が維持されているとの判断を示し、また、2003年10月から12月期における国内総生産速報値におきましては、実質1.7%の増、年率に換算いたしますと、7.0%と高い成長を示しますなど、日本全体としては、明るさが見えてまいりつつありますものの、本市も含めまして、特に中小企業を中心といたします地方経済、あるいは個人消費におきましても依然として低調が続き、雇用面でも有効求人倍率が低水準で推移するなど大変厳しい状況が続いているとの認識であります。そのため、本市の歳入の根幹をなします市税におきましても引き続き低迷が予想され、また、先ほど申し上げました地方交付税、臨時財政対策債も大幅なマイナスとなり厳しい見通しのもとでの予算編成となりました。
日頃から自らの責任と権限による独自のまちづくりを進めまいりますことが今後の地方分権においては肝要であると考えておりまして、その限られた財源を戦略的に重点的に用い「新しいくまもと」づくりを実現させますために、就任早々、昨年を市政改革元年と定めたところでございます。そして、その改革を着実に実効あるものとすべく、その指針となります「まちづくり戦略計画」や「行財政改革推進計画」の策定を進めてまいりました。この両計画も、昨年10月の中間報告以来、様々な場でのご論議をいただきました。また、先のパブリックコメントや地域説明会などを通じまして、市民の皆様方から数多くのご意見をいただいて来たところであります。
従いまして、今回の当初予算編成にあたりましては、市政改革を実現に移します最初の年でもありますので、これまでの「まちづくり戦略計画」、「行財政改革推進計画」の策定に向けましての様々な議論を念頭におきまして、改めて、全ての事業を見直しまして、重点的、かつ、効率的な財源の配分に心がけたところであります。
それでは、これから予算編成にあたり、重点的に取り組みました事項につきまして、「まちづくり戦略計画」に掲げました項目を中心にご説明申し上げたいと思います。「まちづくり戦略計画」におきましては、「自然と調和した市民が主役の活気あるくまもとの実現」を基本目標としておりまして、その目標達成のために三つのターゲットといたしまして、一つ目が「良好な環境を未来へと引き継ぐまち」、二つ目が「子どもたちが健やかに成長するまち」、三つ目が「人々が集う元気なまち」を掲げております。また、そのまちづくりの進め方といたしまして、「市民協働で築く自主自立のまちづくり」としているところでありまして、それらの実現に向けましての新たな施策や、さらには、継続的に実施いたします事業についても、例えば、住民によります主体的な地域づくりを推進するための仕組みとしての校区自治協議会の設置、あるいは、街区公園に市民の意見を取り入れますPI手法の導入など、市民との協働という新たな視点での手法にも留意したところでございます。
まず、最初に「良好な環境を未来へと引き継ぐまち」につきましては、この分野では、都市化の進展や生活様式の多様化、さらには、モータリゼーションの進展などによりまして、失われつつある環境を改善し、今後の都市戦略においても重要な位置付けとなると考えております本市最大の財産である清冽な地下水などの自然環境を将来にわたり確実に保全してまいりますため,私たちの日常生活などを見直し、環境の負荷の少ない循環型社会の構築に向け、積極的に取り組んでいきたいと考えております。
そこで、まずは、先日の白川中流域における水田湛水推進に関する協定に基づきます、白川中流域での水田などを活用した地下水の涵養の推進や水源涵養林の整備を引き続き行いますとともに、白川中流域住民の方々との交流を深めますなど、地下水の保全に向けました広域連携の強化に努めていきたいと考えております。また、他都市に比べまして一人当たりの使用量が多いとされております生活用水の節水対策につきましても、地域や学校と連携いたしまして啓発のための新たな取り組みなどを行ってまいりたいと考えております。
そのほか、環境にやさしい店を認定いたしましてノーレジ袋運動や集団回収の推進などによります、ごみ減量・リサイクル推進のための事業、あるいは、自転車道の整備、市内中心部での新たな駐輪場の整備、また、駐輪場案内図の配布などによります駐輪場への誘導策、さらには、バス路線の運行体制の検討やノンステップバスの導入などによりまして、環境にやさしい自転車や公共交通機関の利用促進を積極的に進めてまいりたいと考えております。
次に、「子どもたちが健やかに成長するまち」の実現に向けての取り組みでございます。この分野では、進展いたします少子化や核家族化、あるいは、地域におけるつながりの希薄化など、子ども達を取り巻く環境が著しく変化してまいります中、子どもたちを安心して生み育てることができ、そして、子どもたちがそれぞれの個性や能力を育みながら、伸び伸びと成長できますような社会環境づくりに積極的に取り組むことといたしておりまして、そのための施策を推進してまいりたいと考えております。
例えば、母子医療の向上を目指しまして、新たな取り組みといたしまして不妊治療に対しての支援策ですとか、総合周産期母子医療体制の整備、また、育児に対します不安解消のため、子育て支援センター、障害児デイサービス、児童虐待防止などの育児相談体制の拡充、さらには、多様なニーズに応じた保育サービスの充実や、放課後児童の健全育成やプレイパークなど地域での子育て支援の拡充にも取り組んでいくことといたしております。
また、子ども一人ひとりの個性や能力を育み、豊かな人間性の醸成に向けましての教育の推進として、引き続き少人数学級や少人数指導を実施してまいりますほか、教職員の指導力の向上、心の教育の推進など、また、学校同士や図書館との図書共有化や学校と地域の連携推進などその環境の整備に向けましての取り組みなども積極的に推進して行くこととしております。
最後の「人々が集う元気なまち」の実現についてであります。この分野では、九州新幹線の全線開業を本市が持つ九州の中央に位置するという、その拠点性を最大限に発揮いたします好機と捉え、さらなる都市機能の向上に向け、例えば、熊本駅周辺の魅力あるまちづくりや、あるいは、平成19年には、築城400年を迎えます熊本城を核といたしました中心市街地の都市機能の向上、さらには、駅周辺と中心部、双方が有機的に結びつくようなまちづくりを進めてまいりたいと考えております。また、本市固有の地域資源を活かした魅力づくりとして、「KUMAMOTOブランド」の確立にも併せて取り組んで参りたいと考えております。
具体的には、熊本駅を中心とした魅力あるまちづくりといたしまして、九州新幹線や在来線の連続立体交差事業の促進や駅西土地区画整理事業を推進いたしまして、熊本駅東西市街地の一体的な魅力ある街並みの形成に向け積極的に取り組みます。また、東側の都市機能の充実を図りますために、東A地区市街地再開発事業に関しまして引き続き取り組んでまいりますほか、道路網の整備などによります交通結節機能の強化を図り、陸の玄関口としてふさわしいまちづくりを進めてまいりたいと考えております。
さらに、本市の豊かな自然、歴史、文化、特産物などによります「KUMAMOTOブランド」の確立に向け、熊本城の復元整備を引き続き進めますとともに、昨年末に「熊本城利活用検討委員会」からいただきました答申などをもとに、熊本城の利活用につきましての基本方針と築城400年に向けての取り組みなどを、後ほど具体的にご説明いたしますが、「熊本城利活用プラン」としてまとめたところであります。16年度は、その具体的な事業を展開いたしますための準備に着手するほか、民間と一体となりました中心市街地のまちづくりの推進や賑わいの創出など熊本城を中心といたします魅力ある都心の形成にも取り組んでまいりたいと考えております。そのほか、水前寺江津湖公園の観光資源調査や動植物園への市電延伸の検討、あるいは、伝統的工芸の継承や新たな土産品の開発など、自然や文化を生かした観光の振興にも取り組むことといたしております。
ここで、若干、ただ今申し上げました熊本城利活用プランについてお話ししたいと思います。熊本城は、日本を代表とする貴重な歴史的文化遺産であり、郷土の誇りとして大切に保全し後世に継承していかなければならないと考えております。また、その一方で、市民の皆様がこの熊本城において歴史や文化に触れ親しみ、また、憩い安らぐ場としてご利用いただき、さらには、本市観光の中核施設として本市の賑わいと活力を生み出していくことが重要であると考えております。
このようなことを踏まえ、利活用検討委員会からいただきました答申をもとに、今後の利活用の基本方針と築城400年に向けての取り組みをまとめたところであります。その概要については、お手元にお配りしているところでございますが、その中で、熊本城を「市民学習の場」とすることや「観光の場」あるいは、「憩いの場」といたします三つの基本方針を掲げ、築城400年に向けましての取り組みといたしまして、①伝統文化に触れ親しむ機会を積極的に提供する②歴史や芸術、また自然観察などの各種学習コースの開設③楽しい熊本城の演出④誰もが利用しやすい環境の整備⑤楽しい散歩やジョギングの支援などの施策に取り組んでいきたいと考えておりまして、また、そのための体制強化も図りたいと考えております。
そこで、手始めに平成16年度におきましては、共通年間入園券などの発行、夜間早朝開園の実施、石段の段差緩和などを予定いたしておりまして、市民の皆様が気軽に城内を楽しんでいただけますように取り組む予定でございます。また、文化活動に携わっておられる関係者の方々や城内にある他の文化施設の方々とも協議を進め、活用内容を充実させてまいりたいと考えております。プランの詳細などにつきましては、担当であります熊本城総合事務所にお尋ねいただければと思います。
以上、重点的に取り組む三つのターゲットに沿いましてご説明申し上げましたが、その他の分野別の重点プランにおきましても、それぞれの施策を市民の目線で事業を見直し、市民協働という視点での取り組みに心掛けたところでございます。さらには、これまでの継続事業につきましても、例えば、みかんブランデー事業の廃止など、取り巻きます社会情勢等も考慮し、その必要性や効率性の観点からも廃止を含めまして見直しを行った次第であります。
以上の結果、予算規模は,一般会計におきまして、2,207億円、特別会計で1,973億4,000万円、企業会計では、419億6,000万円で、各会計の総計で4,600億円となりました。前年度当初予算は、骨格予算でしたので、政策予算であります6月補正後の予算と比較いたしますと、
一般会計では、3.1%の増、特別会計では、7.1%の減、企業会計では、0.6%の増となり、総計で1.8%の減となっております。なお、一般会計の伸びにつきましては、国の景気対策といたしまして実施された減税への対応といたしまして、平成7年度と8年度に借り入れいたしました減税補てん債105億円を全額借り換えいたしますことが要因となっておりまして、これを除きました一般会計の実質的な伸び率は、マイナス1.9%となっております。
以上で、当初予算案につきましての説明を終了いたします。このほか、3月の議会には新年度からの新たな取り組みに関します条例案なども上程を予定いたしております。今回の条例案につきましては、市政改革が本格化します中で、様々な形で、市民の皆様方にご負担をお願いするものがいくつかございます。これらにつきましては、「まちづくり戦略計画」や「行財政改革推進計画」の策定に向けましてのいろいろなご論議、さらには、パブリックコメントにおきましても、様々なご意見をいただいているところでございますが、本市を取り巻きます様々な課題への対応や、将来を見据えて、自らの責任によります自立した「新しいくまもと」づくりに向けまして避けてはとおれない取り組みであると認識をしております。
当然、行政におきましても時代の変化に迅速に、そして、的確に対応できますようなスリムで合理的な行財政システムを目指しての改革を断固たる決意のもと進めていかなければなりません。そのためには、職員同様、私自身もその責任の重大さを痛感しているところでございまして、自らに関する改革もできる限り進めるため、退職手当に関します条例案も今回上程することといたしております。
以上、新年度当初予算案や条例案などについてご説明申し上げましたが、新年度からは、本格的に市政改革に取り組むこととなります。これまで以上に本市一丸となり、不退転の決意を持ちまして「新しいくまもとづくり」を進めてまいる所存でございますので、市民の皆様方には、ご理解、ご協力をいただきますようにお願い申し上げます。私からは、以上でございます。それでは、質問をお受けいたします。