市長発表
発表に入ります前に、一言お詫び申し上げます。令和4年3月に本市の土木センターにおいて、洗濯機の排水が水路に流れていたことを受け、市有施設の洗濯機排水等の接続状況について全庁的に調査を実施した結果、1,699施設のうち35施設において不適切な排水が行われていました。このような不適切な排出は、決してあってはならないことであり、市民の皆様にご心配、ご迷惑をおかけしておりますことに対し、あらためて深くお詫び申し上げます。大変申し訳ございませんでした。
この35施設については、洗濯機の撤去、下水道への接続など、適切な改善措置を進めているところであり、このようなことが二度と起こらないよう再発防止と適正な管理に徹底して取り組んでまいります。
それでは発表に入ります。
はじめに、本市におけるゴールデンウィークの人出についてご報告いたします。コロナ禍が続く中、3年ぶりに行動制限なしとなりました今回のゴールデンウィークでございますが、報道でもあっておりますように、各地におきましては大勢の人出で賑わったところであります。
本市におきましても、熊本城天守閣については、平成28年の熊本地震以来6年ぶりに内部公開を行ったところであり、期間中(4/29から5/8までの10日間)の来園者は、約5万7千人と多くの方にお越しいただき、復興への確かな手応えを感じたところです。7年前のゴールデンウィーク(2015年の同期間の約7万8千人)と比較いたしますと、約2万人の減少となっておりますが、期間中はシェアサイクルの実証実験や辛島公園北側道路の歩行者空間化なども行い、たくさんの方々にお楽しみいただけたのではないかと思っております。
このシェアサイクルについては、4月28日から5月8日までの11日間で利用者が 1,090人、利用回数が1,820回と、順調な滑り出しとなりました。私も数回利用してみましたが、大変便利であると実感しており、新たな移動手段として定着することを期待しているところでございます。
また、開催中のくまもと花博におきましても、ゴールデンウィーク期間中、50日目記念セレモニーや竹あかりなど新たな催し物を行ったこともあり、街なかエリアなど3会場併せて23万人を越える人出で賑わいを見せたほか、水辺エリアのひとつとなっている動植物園におきましても、入園者が約8万1千人とコロナ禍前の水準(2019年の同期間の約8万5千人)まで戻りつつある状況です。
こういった賑わいを見せる中でも、来県者が昨年と比べて約33%増加するなど、感染の再拡大が懸念されているところであります。直近1週間の新規感染者数は2,068人と、前週比で700人増という状況です。これまでの例をみましても、大型連休後に感染が拡大する傾向があり、今後の傾向に注意が必要です。
市民の皆様におかれましては、引き続き、手洗い、マスク着用などの基本的な感染防止対策を徹底していただきますようお願いいたします。また、宴会等はなるべく普段から一緒にいる方と行うとともに、普段会わない方と会食をされる場合にはマスク会食を徹底するなど、お一人お一人が感染リスクを下げる行動をとっていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
なお、先の会見でも申し上げましたが、本日からグリーンスローモビリティ、通称グリスロの社会実験を行っております。このグリスロは、アトラクション性もあることから、観光地で利用されたり、コンパクトな車体で集落内の細い道の移動も可能なことから、多様なニーズに対応する新たな移動サービスとして期待されています。花博最終日の5月22日まで、どなたでも無料で乗ることができますので、多くの皆様に試乗して頂きたいと思います。私も明日実際に試乗してみたいと思います。
次に、新型コロナワクチンについてご報告いたします。
まずは、3回目接種の状況についてです。昨日5月12日時点での接種率は65歳以上の方が89%、12歳から64歳の方が53%であり、全人口の56%にあたる約42万人の方が接種済となっています。この接種率は、4月1日に政令指定都市の中でトップとなって以降も上位を継続しており、他の自治体と比べても順調に接種が進んでいるところです。
続きまして、4回目接種についてお知らせします。4回目接種については、対象者を60歳以上の方とすること、18歳から59歳までで基礎疾患を有する方等の重症化リスクが高い方に限定すること、また接種間隔を前回接種から5か月経過後に接種可能とすることなどが国から示されました。使用するワクチンは、ファイザー社、モデルナ社のいずれかで、5月下旬にも国の省令改正等がなされる予定です。本市では、この省令改正にあわせて4回目接種を開始いたします。対象者数は、3回目接種済の60歳以上の方が約21万人、基礎疾患を有する方等が約2万人の合計23万人と推計しています。
予約方法は、対象者が限定されたこともあり、これまでとは異なります。まず、60歳以上の方の予約方法です。60歳以上の方を対象に、6月1日から接種券を順次発送いたします。予約方法は、これまで同様、インターネットやコールセンターへの電話、かかりつけ医での直接予約となりますが、予約開始日は設けず接種券到着後にすぐ予約ができる「随時予約」といたします。接種券が届き次第予約が可能です。また、これまでも実施してまいりましたが、インターネット予約が苦手な方のために、予約サポートセンターについても、まちづくりセンター等市内19か所に開設いたします。
次に18歳から59歳の基礎疾患を有する方等の予約方法です。まずは、3回目を接種した18歳から59歳までの全ての方に接種券発行に関する「ご案内」を5月26日から発送いたします。ご案内が届きましたら、記載してある基礎疾患等の対象条件をご確認いただき、該当する方で接種を希望する方につきましては、接種券発行を申請いただきます。つまり、ご自分で基礎疾患等の対象条件を確認していただき、該当すれば接種券発行の申請をしていただき、接種券が発行されるということです。発行された接種券に基づき、インターネットやコールセンターで接種予約をしていただくということになります。接種券発行の申請も、インターネットまたはコールセンターで受け付け、接種券を順次発送いたします。接種券到着後、すぐにご都合の良い日時や場所を選んで接種の予約が可能ですので、よろしくお願いいたします。
4回目の接種会場については、市内の約400の医療機関及び、市総合体育館等4か所の集団接種会場を予定しております。
ワクチン接種は決して強制ではありませんが、接種の進展に伴い、高齢者への感染や中等症以上の方が低く抑えられているなど、発症予防や重症化のリスクの軽減といった効果が表れています。接種によるリスクはゼロではありませんが、これまでの本市での156万回を超える総接種回数の中で、重篤な症状になった方は極めてまれな状況です。例えば、5歳から11歳に対する小児接種についても、これまで約6,000人の方が接種しておりますが、重大な副反応は生じておりません。
こうしたこれまでの接種状況をみましても、ワクチン接種のメリットは非常に高いと考えられます。まだ3回目接種をお済でない方につきましては、是非、積極的な接種をお願いいたします。なお、本市のホームページには、接種後の救急搬送件数(約40回)や予防接種健康被害救済制度の申請件数(約20件)等の情報も公表しておりますので、ご心配の方はワクチンの効果と副反応についてご自身でご確認いただきたいと思います。
私からは以上です。
質疑応答
【記者】新型コロナワクチンの4回目接種について伺います。資料には接種開始時期が5月下旬と記載してありますが、接種券の発送については、60歳以上の方が6月1日からと説明されましたが、実際の接種開始時期はいつごろになりますか。
【事務局】接種開始は5月下旬頃になります。国の省令改正等がまだ正式決定しておりませんので、それをもって開始ということになります。ただ、接種開始当初につきましては、医療従事者の方々が主に接種されることになりますので、各医療機関等で接種していただくのが最初になると考えております。
【記者】接種開始時期が5月下旬と記載してありますが、接種券の発送開始が6月1日からとなっているので、実際に接種が始まるのがいつかを教えてください。
【事務局】医療従事者の方々は、接種券なしでの接種が可能ですので、5月下旬からの接種が事実上可能でございます。
【市長】医療従事者等以外の方につきましては、接種券が届いてから随時接種していただくことになりますので、実際の接種は6月1日以降になるかと思います。5月の下旬以降、省令改正等が行われて、医療従事者等の方が、接種券なしで予約して接種されることもありますので、そういった点から、5月下旬から接種開始ということです。ただ、医療従事者等以外の方については、6月1日に接種券発送ということですので、それ以降に接種することになろうかと思います。
【事務局】補足させていただきます。高齢者の方々については、2月1日から3回目接種を始めましたので、3回目接種日から5ヵ月が経過する7月から本格的化すると見込んでおります。
【記者】確認ですが、60歳以上の方は実際に接種し始めるのは7月からということでしょうか。
【事務局】医療従事者等以外の方であれば、そのようになります。
【記者】今、国で新型コロナウイルス対策のマスク着用に関して議論が行われており、今日も岸田首相が「緩和は考えていない」という方針を示されましたが、マスク着用に関する大西市長の見解をお聞かせください。
【市長】マスク着用は、基本的な感染防止対策としては非常に有効だと思っております。一方で、これからの季節においては、熱中症等の心配もあるということで、マスクの着用によって熱中症のリスクが高まるということにも注意が必要です。これまでも国において、熱中症を防ぐために、例えば、屋外で人と2メートル程度の十分な距離が確保できる場合などは、マスクを外すよう呼びかけをされています。熊本市においても、そういった呼びかけ等については、ホームページで周知しております。
岸田首相や松野官房長官は、これまでの政府の考え方に沿ってご発言されていると思いますので、今後のマスク着用の対応については、これまでの状況等を踏まえて検討されると考えています。日本では、マスクの着用が義務化されているわけではありませんが、用心のために予防的に着用されている方は非常に多いと思います。国立感染症研究所所長の脇田座長が「屋外で距離をとって会話もないような場合は、マスクをする必要はない」というコメントを出されており、研究者の方が実際におっしゃっていることを考えますと、状況を踏まえて会話等がなければ、私は外していただいて構わないのではないかと思います。ただ、会話をしたり、近い距離で人と接したりする場面があるのであれば、当然マスクは持っておいて、その場面で着けるといった臨機応変な対応をしていただければと考えております。
いずれにしても、これは自分で予防していくということもありますが、人と接する際のエチケットのような形で着用されている方も結構多いのではないかと思います。そういう意味では、会話等での飛沫感染を防ぐという一定の効果はあるわけですので、普段一緒にいる方とはある程度リスクを共有している部分はあると思うのですが、普段会わない方と会食を行う際はマスク会食を心がける等、室内で普段会わない方と接する場面では積極的にマスクを着用されると良いのかなと思います。
私自身も、外を歩いていて少し息苦しくなってくると、周囲にどなたもいらっしゃらないような場面では、完全に外すわけではありませんが、少しマスクをずらしたりして、息を吸ったり、熱くならないように汗を拭いたりしていますので、皆さんもご自身の感覚の中で対応されれば良いのではないかと思います。
【記者】北海道で「赤ちゃんポスト」国内2例目設置の報道がありましたが、熊本市としてどのように考えていらっしゃるのか、また関係する自治体などと連絡を取るなどのお考えはありますか。
【市長】その報道に関しては、私も十分承知をしておりませんのでコメントは差し控えさせていただきます。まずは、どういう内容のものが設置されるのかをこれから確認したいと思います。
【記者】先日、慈恵病院から内密出産の2例目の発表がありましたが、そのことについて、市長の受け止めを教えてください。
【市長】内密出産については、1例目の事例についてこれまでいろいろと対応してきたわけですが、母親が匿名を希望して出産されたということで、慈恵病院で対応されたと伺っております。2例目についても、慈恵病院と熊本市の担当者の間で緊密に連携をとりながら、それぞれの対応をとらせていただいています。コメントでも発表させていただきましたが、安全な出産、そして母子への献身的な支援をしていただいている慈恵病院に対し、改めて敬意と感謝を申し上げたいと思います。
そして、慈恵病院と熊本市でカンファレンス等を繰り返し行い、内密出産になった母親や子どもさんへの支援を十分に連携しながら行っています。いろいろと課題が明らかになったものについては、その都度確認をしながら慎重に進めていきたいと思います。
2例目となったわけですが、その後もいろいろと相談が寄せられているとのことです。今、国では、厚生労働省や法務省の協議の中で、ガイドライン等についても検討作業に入られていると伺っておりますので、本市としましても必要な情報については国等に十分提供し、作成されたガイドラインのもとで、安心して母親や子どもを守る取組が早くできるように全力を挙げて頑張っていきたいと思っています。
【記者】熊本市と慈恵病院とのカンファレンスについてですが、2月18日に1回目が行われ、2回目が3月、3回目は開催されないまま今日に至りますが、開催頻度と協議の議論の進捗状況、また内容についてどのようにお考えかということと、この協議の中で整理された課題をガイドライン作成のために国へ報告すると伺っていますが、報告の時期に関しての目途や目標があれば教えてください。
【市長】カンファレンスの開催頻度に関しては、慈恵病院さんの状況と本市の状況とを調整しながら開催していますので、必ずしも月に1回やらなければいけないということではなく、状況に応じて様々な対応が必要かと思います。ただ、ほぼ毎日のように日常的に慈恵病院さんと市の担当部局は連絡をとっていると私にも報告がきていますので、そういった信頼関係のもとで、いろいろな課題等を導き出していき、そしてカンファレンスの場でまとめて議論しながら、整理をしていくことになると思っております。
内密出産のガイドラインの策定に対しての今後の情報提供の時期についてですが、昨日と今日とで内部的な調整をする中で、国への適切な情報提供、それから、現場で今困っていることやなかなか解決ができないこと、あるいは法令的にどう解釈すれば良いのかということなども含めて疑問点は全て挙げ、来月になるかもしれませんが、できるだけ近日中に厚生労働省へ適切に情報提供する必要があると考えております。
【記者】今、「こうのとりのゆりかご」の専門部会が開かれて、「こうのとりのゆりかご」のあり方について検証されていると思います。熊本市と慈恵病院とのカンファレンスも進んでいるとは思いますが、内密出産の事例が2例生じたことについて、対応の検証作業をどうするかという点について、熊本市としてどのようにお考えですか。
【市長】当然、対応がどうだったということに関しては検証が必要だと思っています。ただ、1例目についていろいろと整理している最中であり、またカンファレンスの途中でもありますので、今はまず、この事例の適切な対応に全力を挙げることが最優先だと思っています。そして、お子さんの処遇等も急がなければならない部分が出てきますので、そうしたものにしっかり対応していきます。
今後、カンファレンスの中で出てくるいろいろな課題や、実際に国との協議を行い、あるいはガイドラインをこれから策定しますが、一定程度の時期が来て、1つの事例の対応がどうだったのかということを整理し客観的に評価できるようにするということは、情報が表に出せる範囲ということにはなりますが、「こうのとりのゆりかご」と同じように、そういった検証についても検討しなければいけないと思います。
今、「こうのとりのゆりかご」の専門部会で、いろいろと検証をしていただいているということですが、この内密出産についても大きく関係することでもありますので、そうした情報を今後は、「こうのとりのゆりかご」の専門部会等とご相談をしながら、どういう取扱いにするかということについては、これから検討させていただきたいと考えています。
【記者】国によるガイドラインの策定後に、検証を行うということでしょうか。
【市長】今のところ、確定的なスケジュールがあるわけではないので、具体的な時期についてはお答えできませんが、いずれにせよ検証は必要だと思っております。
【記者】冒頭にお話しのありました市有施設の不適切な配水の件ですが、先日全庁的な調査の結果が示され、その中で、建設年代の古い市営団地の中でベランダに設置してある洗濯機の排水が下水道につながっておらず垂れ流されていたということでした。本来設置されているべき下水道の管が通っていない箇所があったということで、なぜそういった古い市営団地の改修状況に差が出てしまったのかということについては、経緯がよくわからないという事務局の回答でした。市営団地において、築年数や居住空間の差というのは当然生じるかと思いますが、下水道への接続などの施設に必要なものの整備は等しく行われるべきだと思います。この点について、市長はどのようにお考えですか。
【市長】市営住宅等もかなり多くの戸数があります。特に、建設年代が古いところは、例えば、壁の改修や風呂釜の対応、畳の張替え等、それぞれ対応しています。建築年代が昭和の古い時期の住宅になると、建設当時はそもそも洗濯機ではなく金ダライに洗濯板で洗濯をしていた頃で、洗濯機が十分普及していない時期に建てられたものもあり、下水設備が十分ではないということで、全体的にきちんと把握ができていなかったということについては、大変反省すべきことだと思っています。これがわかっていれば、恐らくすぐチェックができて、しっかり対応できていたと思うのですが、恐らく入居者の方は、洗濯機はベランダに置けばいいじゃないかということで、自然にベランダから排水されていたと思います。今の新しい住宅では、下水の管がある場所にきちんと洗濯機置場があるのですが、全ての市営住宅において、一律に管理が十分できなかったということは、本市の反省点だろうと思います。
一方で、熊本市の市営住宅ではこういった状況が判明しましたが、このようなことがあるということは、全国の建設年代が古い公営住宅も、もしかしたら十分な対応ができてないのかもしれないと感じました。それは私たちの管轄外ではありますが、こうした熊本市の事例を皆さんに踏まえていただいて、全国的にそういった調査をしていただければ、排水の処理等の十分な対応ができてないところもあるかもしれません。本市としては、どのような点検をして、不適切な排水のあった35施設をどのように改善したかという情報をオープンにしておりますので、必要があれば自治体からのお問合せに対してもお答えできるかと思います。そういったことで、水サミットを開催した都市であり、また、「水の国熊本」「地下水都市熊本」と謳われている都市でもありますので、熊本市として反省すべきところはしっかりと向き合いながら対応するために、今回全件調査を行いました。そういった取組が他の自治体の参考になって改善が進んでいき、あるいは民間の事業所でもあり得る話ですので、民間の皆さんにとっても参考情報になるよう、これからいろいろな情報を提供させていただければと思っております。
【記者】ワクチン接種の発表に関連して、現在の感染状況についてお聞きします。現在の若い世代の感染状況が増加傾向ですが、若い世代のワクチン接種の状況、また今後の見通しについてどうお考えですか。
【市長】若い世代の方の感染状況は、お手元の資料を見ていただいても分かるとおり、このところ20代や30代の方の感染が非常に多くなってきています。ゴールデンウィーク等も含めて、行動の範囲が広がったということで、新規感染者数は、連休中は減少が見られていたのですが、連休後は20代や30代の方が増加しているということを考えますと、行動範囲が広い方々を中心に感染が拡大しているのではないかと考えられます。
熊本市のワクチン3回目接種の状況ですが、65歳以上の方に関しては89%の方が接種済みで、予約状況も踏まえれば90%を超える状況になるだろうと思いますが、現在、10代から30代の若年層においては、全国的にも接種率が低く、熊本市においても10代が約20%の接種率、20代が約43%の接種率、30代では約47%の接種率となっており、年齢が若くなれば若くなるほど接種率は低いという状況になっています。考えられる要因として、若年層は感染しても重症化するリスクが低いのではないかということで、副反応のデメリットが想定される中、ワクチン接種をする必要があるのかと思っておられる方が多くいらっしゃるかもしれないことが考えられます。また、いろいろなSNS等の情報ツールによって、正確でない情報も含めてワクチンのネガティブな情報がかなり広がったことの影響もあるのかもしれないと捉えています。
ただ、先ほど申し上げましたように、これまでのワクチン接種において、接種会場での接種後に何らかの症状で救急搬送された方が、5月9日現在、集団接種会場で25件、医療機関で19件の合計44件です。これは約156万回打った中で、44件ということでありますので、割合としては0.003%ということになります。つまり、何らかの症状で救急搬送されるという可能性は極めて低いということを考えますと、このデータを見てもリスクは非常に低いワクチンであると言えると私は思っております。一方で、ワクチン接種との因果関係は分かりませんが、入院や通院をしていた方が、ワクチン接種後に発熱等の症状が続き、予防接種の健康被害救済制度へ申請した方も、156万回のうち20件ということです。因果関係については、国の審査会等々で検討されると思いますが、接種によるリスクはゼロではないですが、こうした状況は極めて稀な状況であると考えております。
何度も申し上げているとおり、ワクチン接種は強制ではありませんが、正しい情報をもとに発症や重症化のリスクの軽減が期待できますので、ぜひ若い世代の方にも接種いただくと、これからの感染状況を踏まえても、自分の重症化も抑えることができるし、他の方への感染の拡大も抑えていくことができると考えております。ワクチンの数や予約状況も、今現在十分空きがありますので、ぜひそうした機会を捉えて接種していただけたらと思います。
【記者】赤ちゃんポストの2例目が北海道で設置されたことについて、社会の中でこういった取組というのが求められているのではないかと思われますが、この点に関しての市長のご見解と、国として支援が必要だと考えられる点があれば教えてください。
【記者】私も詳しい情報は今把握していませんが、赤ちゃんポストについて、新たに設置されたということは、そういった受皿が他の地域でも必要であるということ(だと思います)。今までは熊本市だけの話だったわけですが、現在まで159人のお子さんたちが預け入れられた現実の中で、かなり多くの方が熊本市外の方だったということを考えても、全国的にそういった動きが広がるということは、ある意味では、受皿が広がるというふうに評価できるのではないかと考えています。
ただ、どういう形で設置されるかというのはわからないので、詳細なコメントはしづらいのですが、今回15周年を迎える「こうのとりのゆりかご」や「内密出産」を巡る様々な問題については、やはり望まない妊娠で悩む、そして非常に厳しい状況にあってどこにも相談しようのない方々が、最後の砦として「こうのとりのゆりかご」や、慈恵病院の「内密出産」を頼っておられるという現状を考えますと、全国にある相談窓口がなかなかうまく機能していないことの現れではないかと、私は感じています。今、熊本市では、「にんしんSOS」ということで、24時間・年中無休で、全国各地からご相談いただけるような窓口を設置しておりますが、全国にいらっしゃるお困りでどこに頼っていいかわからないという方々が、何らかの形で相談窓口へアクセスしやすいようにするということは、これから国全体で考えていく課題だと思っています。
それから、これまでのいろいろな取組から見えてきたことは、相談される方々も、個別の事情はそれぞれ違います。例えば、病院やそういう受皿機関が密接に行政機関とも連携することによって、母親の状況を救ってあげることができるような、いろいろな制度をご紹介することが十分できるはずだと思います。今ある制度の中で、できることを尽くせているかといえば、これは「こうのとりのゆりかご」の159例も含めてですが、なかなか接触ができない、あるいは寄り添えないということで、そこが十分機能していないこともあるのではないかと私は思っていますので、「内密出産」の2例も含めて、本市では慈恵病院と緊密に連携を取り、熊本市としてできることは何か、また、足りないものは何かを考えてきました。その中で、今までの法律や制度でどうしても対応できなかった方々がこの間いらっしゃるのではないかと捉えますと、そうした法制度も改正も含めて見直しをするとか、国の方では、こども家庭庁の設置法案が内閣委員会で可決したというお話がありましたが、このこども家庭庁では、今回の事例をはじめ、望まない妊娠で悩んでいる方たちを救済する相談窓口を設置していただくことが必要であると私は思っています。この点は、慈恵病院や実際のいろいろな事例を通して、国等にも働きかけをしていきたいと考えております。
【記者】内密出産の1例目のお子さんについてですが、戸籍は市長の職権で作成し、これから特別養子縁組を検討したりされると思うのですが、お子さんの処遇についての進捗状況で何か報告できることがあれば教えてください。
【市長】これまで個人の特定につながる恐れがあるということで、戸籍について、皆さんにお知らせしないという方針を私からお伝えしておりましたが、いろいろ検討し、この記者会見に臨むに当たって、個人の特定につながらないという判断に至りましたので、第1例目のお子さんについての情報を公表いたします。時期は明らかにできませんが、既に今日の時点で戸籍が作成されており、就籍によってこのお子さんの身分が安定したものになったということをこの場でお伝えさせていただきたいと思います。
【記者】特別養子縁組など、お子さんの処遇については、まだこれからということですか。
【市長】お子さんの処遇については、今、関係機関で対応の検討がなされている最中ですので、お答えできることはございません。