【記者】こども局について、まず、組織の規模等を教えてください。
【市長】こども局(が行う予定の業務)については、これまで健康福祉局で業務を担っていたわけですが、組織自体を十分拡充して設置していきたいと考えております。こども局の体制については、こども育成部、こども福祉部、それから児童相談所も部相当にいたしまして、迅速で適切な対応が取れるようにしていきたいと考えております。組織の人員につきましては、後ほど担当部署よりお知らせをさせていただきます。
今回、こども局を新設することに伴い、こども育成部、こども福祉部、児童相談所というそれぞれ部相当の組織を作り、先ほど申し上げました電話の窓口も含めて、(今後)こどもの権利サポートセンターを設置するということですので、機能的にはかなり拡充されると思います。人員につきましても、それに見合うだけのスタッフを配置し、また専門職員についても充実させていきたいと考えております。
【記者】こどもの権利サポートセンターに関して伺います。この窓口を経て、どのような支援に繋げていきたいか、市長のお考えをお聞かせください。
【市長】こどもの権利サポートセンターについては、例えば、教職員の暴言や体罰等があるときに、学校になかなか相談しにくいとか、保護者や子ども自身もどこに相談すればいいのかと迷うこともあると思います。また、これは総合教育会議でも既に議論させていただいておりますが、学校に相談することだけではなく、専門的で多様な皆さんが介入し解決していくことにより、重大な問題や深刻な問題に至らないように、早く解決していくことが非常に重要だということで、複数のいろいろな相談ルートを持つことによって深刻な事象や複雑で解決しにくい問題につながらないように、できるだけ早い対処を可能にすることが目的です。
こどもの権利サポートセンターにいろんな相談があったときに、子どもの立場を中心に考えるということが、こども局の中では重要になってきます。これは児童相談所も同様ですが、様々な機関が、子どもを中心にした考え方で、子どもを真ん中に据えるということが非常に重要でありますし、その中で、いろいろ取り巻く環境をしっかり整えていくということが、重要だと思っております。これは特にケース毎に、問題点や対応がかなり違うと思いますので、学校内外で起きたことに対して、十分対応できるような専門のスタッフを充実させていきたいと考えているところです。
【記者】自治基本条例について伺います。議会でも、この条例の改正素案について意見が出たと思うのですが、市民の不安や寄せられる意見に対して、どのように対応していかれるのかを教えてください。
【市長】自治基本条例の改正案の内容については、現時点で外国人に関する文言を削除する・しないということについて、正式に決定したわけではなく、議会の常任委員会の議論の中でいろんな御意見をいただいております。その中で、パブリックコメントの意見を踏まえた上で、担当局長が自身の考え方をお伝えしたということであります。いずれにしても、この改正素案をお示しして、パブリックコメントを募ったときに、多くの皆さんから、(市民の定義に外国人も明記することが)外国人参政権を付与することにつながるものではないかということで、不安の声や反対する声も非常に多く寄せられました。
改正することにより、かえって外国人の皆さんへのいろいろな差別的な動きにつながっては、本当に元も子もないと思います。したがって、今回、こうして議会で議論いただきましたので、改正内容については、議会でいただいた御意見を踏まえて慎重に検討していきたいと考えています。一番重要なのは、外国人の住民については、もともと自治基本条例の市民の定義の中にも入っており、あえてこれを特出しする必要はないのではないかといったご意見もあります。逆に、市民の定義に外国人を明記することによって、外国人の住民の皆さん方にも、同じ市民として様々な地域のまちづくりの活動に参加していただきたいという、地域の皆さん方からの御意見も踏まえてこうした素案ができ上がったということです。ただ、誤解がある部分や、いろいろな反対の意見の方についても、しっかりこの経緯等を丁寧に説明し、外国人の皆さんと共に生きていくということ、そして多文化共生ということについて、皆さんと共にしっかり考えるという意味では、いろいろな御意見が出ることによって、ある意味注目された案件でもあります。私としましては、この条例の意義と、外国人の皆さんと共に暮らしていくということが、これからお互いを尊重するということが非常に重要になってきますので、そういった部分について理解がより深まるように、私たちとしては発信をしていきたいと考えております。
【記者】市庁舎建て替えの是非について、議会からは住民投票を求めるような意見もありましたが、それを踏まえた市としてのお考えをお聞かせください。
【市長】議会や委員会においても、庁舎整備に関して様々な議論をいただいたということですが、やはり市民の皆さんともしっかり対話をしながらいろいろなことを進めていく、市民の皆さんにしっかり理解をしていただくことが非常に重要だと思っています。今は、有識者会議の中で議論いただいておりますが、この有識者会議の中でも、効果的な合意形成の手法等についてどうしたら良いのかと(検討いただいております)。有識者会議のメンバーの皆さんの中にも、いろいろな自治体の庁舎の問題について、議論が深まるように取り組まれた実績のある学識者や経験者の方々がいらっしゃいますので、そういった皆さん方のアドバイスをいただきながら、また、議会での御意見も踏まえながら、効果的に市民の皆さんの御意見を反映できて、かつ市民の皆さんの更なる理解につながるように(合意形成の)手法等については検討していきたいと考えています。
【記者】こども局について伺います。子どもを巡っては、慈恵病院に「赤ちゃんポスト」が設置され15年経ちますが、どのような課題を感じてこども局の新設に至ったのかを改めてお聞かせください。また、先ほどお話がありました妊娠内密相談センターなどは、どの部の所管になるのか現時点で分かっていれば教えてください。
【市長】「こうのとりのゆりかご」に象徴されるような、子どもに関する非常に複雑な環境といいますか、どんな環境にあっても熊本市で生まれた子どもたちは、社会みんなで守って、そして、育み、成長してもらえるように寄り添った支援を行うということが非常に重要だと考えています。これまで熊本市は、行政としていろいろな経験をしてきましたが、国としてもこども家庭庁という新しい機関を設置するわけですし、子ども政策ということに国民全体の関心が向いている中でもあります。私も、1期目の選挙のとき以来から、マニフェストには、ほぼトップ項目は全て子どもに関すること、あるいは教育に関することになっております。そのように考えますと、これまでもかなり力点を置いて、子どもに関する総合的な施策を全庁的に進めていきたいという思いは持っていました。
現在、健康福祉局に「こども未来部」という部があります。以前は「こども未来局」がありそれが組織改編されて今の形になっており、それが今回またこういった形になるということですが、健康福祉局で所管する事務や様々な事業というのは、かなり多岐に渡っています。それは、新型コロナをはじめとする感染症の対応や医療全般に関する部分、子どもに関わることや障害福祉・高齢福祉といった福祉の分野など、本当に多岐に渡っておりますので、こうして子どもに特化した組織があることによって、子どもたちを取り巻く環境をより良いものにしていくことができるのではないかと思っております。
人口減少や少子化への対応ということの切り口もありますが、今生まれて育っている子どもたちが、いろいろな困難を乗り越えて成長できるように、そして未来に希望を持って成長してもらいたいという強い願いを込めて、今回こども局を設置いたしますので、ぜひ、市民の皆さん方も一緒になって社会全体で子育てがしやすい、あるいは、いろいろな環境にある子どもたちにも救いの手をみんなで差し伸べるようなそういった優しい社会になるようにしていくことが大切であり、長い目で見たときに、少子化という問題を克服していく大きな一歩になるのではないかと考えております。
なお、様々な組織についてのご質問につきましては、詳細を担当部署から説明させていただきます。
【事務局】まず、「こどもの権利サポートセンター開設準備室」につきましては、こども局の直下として開設いたします。また、「妊娠内密相談センター」はこども福祉部の中に設置します。
また、先程ご質問いただきましたこども局の規模につきましては、現在調整中ですので、後日改めてお伝えします。
【記者】国連水会議の参加について伺います。配布資料を踏まえ、大西市長がスピーチされるスケジュールについて詳しく教えてください。
【市長】現地に到着し、3月21日にニューヨークの国連本部で開催されます「国連水と災害ハイレベルパネル」でプレゼンテーションを行う予定です。様々な会合に出席し出番も少し多いので整理して申し上げますと、今申し上げました、現地時間21日11時半から13時まで開催されます「第6回国連水と災害に関する特別会合」での発言の機会があります。次に、3月22日から国連水会議の本会議が開催されるのですが、ここで「アジア太平洋地域における耐水性、持続可能性および包摂性」ということで、サイドイベントとして日本とタジキスタン他が主催者として水サミット、それから熊本宣言の実施について議論するイベントでスピーチをさせていただきます。次に、24日は「地下水管理に関するハイレベル会合」というものがあり、これは主催者がナミビア、ボツワナ、南アフリカ、ユネスコ他となっていますが、ここでも、「観測データと科学技術を活用した効果効率的な地下水保全の取組」ということについて事例発表を行います。続いて、同日11時から12時15分には、ユースのセッションがあり、これは「ローカルアクション、グローバルインパクト、持続可能な水管理のための世代間パートナーシップの構築」というテーマでありますが、ここで事例発表を行う予定です。また、同日17時から19時まで歓迎レセプションということで「未来のための水の持続可能性」という会合があり、ここでも国連水会議の参加ユースの活動の振り返りを含めた開会スピーチを行うことになっています。現地でいろいろな変更がある場合もありますが、現在の予定では今申し上げた通りなっておりますので、それに向けてスピーチの原稿など、様々な準備を行っている最中です。
【記者】スピーチは英語でお話しされる予定ですか。
【市長】はい、英語で発言することになっておりますので、頑張らなければいけないなと思っています。私も以前、会社勤めの時は英語を使っていましたが、もう随分経ちますので、日常的なコミュニケーションで買物をしたり日常的な会話をしたりということに関してはそこまで問題にはならないと思うのですが、やはり国連の場でのスピーチということになりますと、しっかりした英文での原稿を遂行していかなければいけないと思っておりますので、しっかり頑張っていきたいと思っています。
【記者】スピーチの中身については、どのような内容になるのか教えてください。
【市長】内容については現在、国や関係機関と調整をしながらまとめておりますが、特に、国連の「水と災害に関する特別会合」においては、熊本では令和2年の7月豪雨もありましたが、水災害について、特に日本の地方においての減災・防災への取組や流域治水ということについて、今、国の方でも自治体でも行っておりますが、そういった取組と健全な水循環というのは非常に密接に関わるということをしっかりとアピールさせていただきたいと思っています。
また、昨年の水サミットやその中でまとめられた熊本宣言について、議論をするような場というものも水会議のサイドイベントの中でありますので、そうしたところでのスピーチや、それから地下水管理に関するハイレベル会合ということですが、これも観測データや科学技術を活用した効果・効率的な地下水保全への取組についての事例発表を行うということです。熊本市は地下水財団を含め11の市町村と共にそうした取組を行っていますし、これは行政だけではなく、官・民いろいろな主体の皆さん方と取り組んでいるということを世界に発信していくことになろうかと思います。
【記者】今議会で設置が認められた文化顧問の役割について伺います。日比野克彦さんに文化顧問として具体的にどのようなことを任っていただくのか具体的に教えて下さい。
【市長】文化顧問に就任いただく日比野克彦さんは、現在、熊本市現代美術館の館長としての役割を担っていただいているわけです。日本のアート界全体の中では、東京藝術大学の学長というお立場もあり、あらゆるアートにおける人脈や課題認識というものをしっかりお持ちで、そして、そのアプローチについても新しいアプローチをいろいろ考えられていると思います。我々が、いろいろな社会課題を解決していこうというときに、例えば、道路渋滞であれば、「道路をつくります」あるいは「公共交通網を整備していきます」ということになると思いますが、ここに何かアートの視点があることによって、違ったアプローチができるのではないかというふうに考えることもできるかもしれません。(今そのように考えているわけではなく、あくまで一つの例として)交通渋滞問題とアートというのはどのように結びつくのかといった(視点を持つことで)、今はハード整備や物質的な対応でいろんな社会課題を解決していこうというアプローチがありますが、その一方では、アートでいろいろな人々の心が動くようなこともあります。例えば、芸術作品や音楽などの文化芸術に触れるということだけではなくて、様々な社会課題のアプローチをしようということで、実は東京藝術大学でもいろいろなアプローチを考えられているというようなことも伺っておりますので、熊本市のいろいろな政策課題について、違う視点を持ってアドバイスをしていただきたいと思っています。
したがって、これは何も文化芸術の分野だけということではなく、例えば、まちづくりや高齢化の中での高齢者福祉ということに関してもアートが何か貢献できることがあるのではないかというような様々なディスカッションをこれまでもさせていただいておりまして、日比野さんとそういったディスカッションする中で、ぜひ熊本市政のあらゆる分野に参画していただいてアドバイスをしていただけると、非常に多くのアイデアや政策のアプローチが見つかるのではないかと考えております。
日比野さんは、現代美術館の館長をやっておられますので、実はこれまでも熊本市役所のいろいろなセクションに入り込んで、御用聞きという形で、市の事業はどのように成り立っているのか、あるいはどのような考え方なのかといった話を聞きながら、違うアプローチがあるのではないかということを考えていただく機会が来熊された際にもありました。
さらに、街中の皆さんとのいろいろな対話をはじめ、様々なことをされていますので、そういった意味では、このアートの力というものが、単なる文化の振興や芸術の振興ということに留まらず、多くの社会課題を解決していくアドバイスを的確にいただけるものになると私は思っておりますので、大変期待しているところです。
【記者】自治基本条例について伺います。議会の委員会の中での文化市民局長が、外国人を明記するということについては「時期尚早だ」と発言されました。先ほど市長は、文化市民局長は自身の考えをお伝えしたとのことでしたが、公の場での発言ですので、市としてもそういった方向で議論が進んでいると捉えているのですが、市長としても削除する方向でお考えになっているのか、改めて真意をお聞かせください。
【市長】横田文化市民局長がその時に答弁をしたのは、前置きとして、「個人の意見としてではあるが」ということで、「何か熊本市として具体的な方針が決まったわけではないが、外国人について明文化することは、こうしたいろいろな反響や議論の状況からしても時期尚早という思いがある」という答弁をされたということです。
私としましては、以前の記者会見でも申し上げたかもしれませんが、この条文に関して、あえて「外国人」の文言を入れた形で提案し、これだけのいろいろな反響があった中で強引に推し進めてしまおうということになってしまうと、先ほど申し上げましたように、かえって外国人の皆さんに対するいろいろな差別的な動きや混乱を生じさせてしまうのは、自治基本条例という性質上、望ましくないと思っています。
したがって、今議会において様々な議員の皆さんからも御議論いただいている中で、「第2条第2号の該当するものの後に括弧書きをあえて入れる必要はない」であるとか、「住民というのは、本市に住む全ての人を指すということで、これは日本人・外国人を問わず熊本市に住民登録をされている方々は、もともと全て含んでいるということであり、外国人について特記しなくても良いのではないかということが再認識できた」と、議会でも御議論いただいたということです。したがって、そういったことを総合的に判断して、この条文についてはこれから検討を行い、改正案等については、新年度以降に対応していくということになりますが、今申し上げたように、横田局長からそういった発言があったということですが、やはり混乱を生まないにするということが一番重要だと思っています。
それともう一つ、「今まで自治基本条例というものがあまり知られてないということがあるので、よく市民の皆さんに浸透するようにお願いします」と、答申のときに推進委員の皆さんから付言されております。したがって、今回本当に図らずもこういった形で、非常に多くの多様な意見が出たということは、逆にこれを好機と捉えて、我々は多文化共生ということをこれからさらに模索していかなければいけません。そして、熊本市には、もう既に外国人の方々がたくさんお住みになっていて、良好な地域コミュニティーの中で生活されています。そういった皆さん方を尊重するような地域社会を作っていくということを目指すことが、非常に重要だと思っていますので、そういった意味では、成熟した多文化共生の素地がある地域社会を作っていくために、こうしたことをきっかけとして、誤解をしている方にもきちんとわかりやすく、また、あまり自治基本条例について認識がなかった方々についてもしっかり説明していく(ことが重要かと思います)。
そして、外国人の方々については、私も過去に「市長とドンドン語ろう!」の外国人住民の方を対象にした回を既に開催したり、外国人コミュニティーの皆さん方の中に入って一緒に食事したりということも行いました。そういったことを多くの皆さんに知っていただくことが大切だと思っていますので、新年度は、特に外国人の皆さんと「市長とドンドン語ろう!」の中で、生活上どういったことを皆さんが感じておられるのか(をお聞きしたいと思います。)熊本というのは非常に暮らしやすいと思っておられる方がたくさんいらっしゃるわけですが、そういった相互理解を深めていくということが最も重要なことですので、そこを追求していきたいという思いです。
したがって、メディア的には、これ(「外国人」という表記)を削除するか・残すかといったことがステレオタイプに議論されそうな部分があるかもしれませんが、本質はそこではないということをあえて申し上げておきたいと思います。この素案の中で、市民の定義に「外国人」を明記したその背景には、外国人の方に参政権を与えるなど国の法律やその解釈まで変えてやろうということではなく、あくまでも、外国人の皆さんが共にまちづくりに参画しより良い地域社会を作っていこうということで、自治推進委員会の皆さんの中でも、特に自治会の方から明記したほうが良いのではないかというお話があったということは、これは、先ほどのごみ出しの話でもそうですが、それは一つの例であって、生活していく中でいろいろな方々と関わりながら、そして皆さんが生活しやすい環境を作っていくと同時に不安がないようにしていくことは非常に重要ですので、そういった取組につなげていく良い機会にしたいと思っています。
【記者】今度の条例案は検討して、第2回の定例会への提出を目指すという理解でよろしいですか。
【市長】それも含めて今議会で御議論いただきましたので、それを踏まえて、整理をしていきたいと思います。したがって、第2回定例会に提出するのか、それとも先ほど申し上げたようにいろいろなアプローチをする方が先なのか、その点も含めてまだ決まっていません。昨日議会が終わったばかりですので、これから検討していきたいと考えています。
【記者】妊娠内密相談センターについて伺います。対応する相談員の人数や、その中で専門職が何名なのか等、もう少し具体的に教えていただけますか。
【市長】妊娠内密相談センターの専門職については、保健師、社会福祉士、臨床心理士などを配置予定です。人数につきましては、これから人事異動ということになりますので、体制も含めて何人ということを今の時点では明確にお答えできない状況です。
相談方法については、電話やメールで気軽に相談していただけるように24時間で対応できるようにしたいと考えています。また、相談対応時間はスタッフにも限りがありますので、例えば、にんしんSOS熊本といった期間もあり24時間電話で受け付け可能となっておりますので、そうした期間との連携も含めて現在調整中です。
したがって、ここだけで全てを担うということではなくて、例えば、今慈恵病院でもいろんな相談を受けられていますし、にんしんSOS熊本や他のいろいろな機関ともしっかり連携をしていくということが、より相談が受けやすい状況につながっていくと思います。
また、名称については、最初の案だと「(仮称)妊娠相談センター」って言っていたと思いますが、それだとどうしても相談しにくいことを相談するということに、なかなかならないだろうということで、この「内密」という文言は内密出産のことを想像させるということももちろんありますが、内密にしたいという思いの方がいろいろなケースで多くおられます。そういった方々に早く相談していただきたいという思いで、実は名称を変更しました。当初案である「(仮称)妊娠相談センター」では、どこにでもある機関のように捉えられるかもしれませんし、秘密は守ってあなたと一緒に考えて匿名相談も受ける専門のスタッフがいるということで、いろいろ一緒になって課題を解決していこうということにつながっていくのかなと思っています。
したがって、スタッフについては、保健師、社会福祉士、臨床心理士等も入るということでありますが、当然相談の内容やいろいろな状況に応じてスタッフを充実をさせていく必要があると考えておりますし、あるいは他の専門職の方が必要なケースがあれば、当然人員配置に関しても検討していきたいと考えておりますが、まずはこれでスタートするということになります。
【記者】相談に関しては無料で受けられるのですか。
【市長】基本的には無料で相談をお受けします。おそらく、お困りの方がたくさん相談されると思いますので、無料での相談ということになります。例えばドイツの妊娠葛藤相談所は、相談内容に応じて費用がかかりますが、熊本市でスタートしようという妊娠内密相談センターに関しては、今のところ無償で皆さんからの御相談をお受けしようと考えています。
【記者】相談方法に関して、先ほど電話やメールでとのことでしたが、SNSや対面、同行支援などもあり得るのでしょうか。
【市長】そういったことも当然あり得ます。複数のチャンネルを持つということは、非常に重要です。ただ、これも当然体制がしっかり整わないと受け付けられませんので、人員体制やいろいろなツールをどのようにするかというのは、今検討しているところです。
【記者】対象者は熊本市民とは限らないということでしょうか。
【市長】対象は熊本市民に限りません。全国の方を対象とします。こういった取組を本市が進めることによって、同様の機関が、全国の主要都市せめて20政令市ぐらいに広がってくれると良いなという私の強い思いがあります。したがって、これをスタートし課題を整理しながら、今後、全国市長会あるいは指定都市市長会でこうした事例・ケースを発表させていただいて、全国の市長や自治体の長の皆さんに呼びかけをしていきたいと思っています。まずは始めてみないことにはわかりませんので、しっかり取り組んでまいります。
【記者】熊本市の児童相談所が行った「こうのとりのゆりかご」に預けられていた子の養親に対する真実告知のアンケートについて伺います。あと数年で最初に預けられたお子さんが成人年齢に達すると思われます。「こうのとりのゆりかご」の出自情報の取り扱いや真実告知の議論については、設置から15年経っての初調査となったわけですが、市長はこのタイミングになったことは適切だったと思われますか。
【市長】いろんなケースを考えて早め早めに、いろんな対応すべきだという御指摘もあるかもしれませんが、ちょうど最初に預けられたお子さんが成人を迎えるといった多感な時期を迎えるなどいろいろなタイミングで、この真実告知をどうするかということに関して、例えば里親の方々や養親の方々あるいは施設も含めて、非常に悩みがあって葛藤もあると聞いております。ケース毎に状況が違いますし、匿名性や不明点もいろいろあるという中で、どういった形でお知らせしていくのかということについては、相当難しいものがありますので、一定程度このぐらいの時間で、15年ぐらいかかっていますが、今回改めてこうした調査をすることによって検討会を立ち上げ、その中で共有し議論していくことが必要だと思っております。したがって、これからの検討会の中で、より深く議論していただくべきことだと思います。
【記者】今、匿名性について言及があったと思いますが、結果の公表について、昨日も少し伺いましたが、取り扱いを慎重にすべきというお話と全体として社会に公表すべきというお話がありました。例えば、個別の要望等は言えないと思いますが、「こうのとりのゆりかご」の検証部会のように数字のみを公表するなどのお考えはありますか。
【市長】例えば、どのような形で告知等がなされているのかということが、個人のいろいろな情報や、お子さんや養親や里親の方々やいろいろなところに影響が及ばない範囲の中で、公表できるものはオープンにしていって、そして全体としての傾向というものが何なのかというのは一定程度つまびらかにしないと(いけないと思います)。「こうのとりのゆりかご」や内密出産には、生まれた命をとにかくまずは安全に確保するという役割があるわけですが、それと同時に、お子さんたちが安全に生まれた後でどう育っていくのか、そして、お子さんたちが自己肯定感を持って、先ほど申し上げましたようにこども局を設置するこの意義というのも、お子さんたちに、自分たちは社会から必要とされているのだと思ってもらえるような環境を整えるというのは非常に重要だと思います。そういったときに、この真実告知の在り方というのは、非常にセンシティブなものを含んでいると思いますので、こうしたことも皆さんと一緒に考えられるようにしていきたいと思っています。
私自身は、当然お子さんとそれから養親の方や里親の方、それから施設の関係者の方、こういった方々が、まずはお子さんとしっかり向き合いながらその成長のために努力をしていただいて、健やかに成長していただくということを最優先にするということが重要だと思っています。一方で、望まない妊娠やいろいろな境遇において出産してお子さんが生まれたと、子どもの人権ということを考えたときに、どのように告知することが望ましいのかということは、よくいろいろな専門家や関係機関の皆さん方との検討会の中で、示していくべきだと思います。そして、ある程度結果といいますか、状況については、できる範囲でお知らせをする必要があると思っています。それだけ、やはりこの問題というのは、社会的に大きな論争も巻き起こしていますし、まだこれといった解決策が何かあるわけではないのです。まだ途中です。しかし、こういったいろいろな状況にある方々を救いながら、そしてそこで生まれた子どもたちが、本当に生まれてきて良かったなと思って、成長してもらえるように全力で頑張っていきたいと思っています。
【記者】昨日、議会閉会後に出自情報の取り扱いについて、国のほうでもまだ確定的なものがないとおっしゃっていましたが、出自を知る権利の保障について、具体的な法整備というのは今のところはないと思うのですが、こういった状況についてどのようにお考えなのかを教えていただきたいのと、要望などを行うお考えはあるのでしょうか。
【市長】これまでも様々な要望を行ってきておりますが、まずは、しっかりと現場の状況をこの検討会で検証し、その結果を国としっかり共有していくことが必要だろうと思います。そして、内密出産の取扱いについても、今ガイドラインという形で行われていますが、これもまだいろいろな課題が残っていますし、この相談センターにしても、法的にドイツの妊娠葛藤相談所のような形で設置を法制化していくということを我々は求めているわけですが、そういったことも、このようにいろいろなトライをすることによって、見えてくることがあると思います。国がきちんと法整備を行い制度化することによって、全国でもいろいろな困った状態の方々を救済することになると思いますので、そういったことはしっかり対応していきたいと思っています。国と連携しながら共有していくということは非常に重要だと思っております。
【記者】妊娠内密相談センターのことで伺います。匿名で相談する妊婦さんの中には、出産の直前まで身元を明かせない方がいらっしゃることも、これまでの慈恵病院の事例の中でも分かっていますが、そのような方が市の窓口に相談された場合、慈恵病院と連携して、内密出産できるようにサポートするということもあり得るのでしょうか。
【市長】そういうことも当然あり得ます。妊娠内密相談センターというのは、慈恵病院さんをはじめ、今後、医療機関をはじめいろいろな機関に幅広く協力を求めていくことはあると思います。したがって、慈恵病院さんに限らず、慈恵病院さんとは連携をしながら、いろいろな協力体制を取っていただけるところにはお願いをしていきたいと思っています。まずは、相談を受けるところからスタートするということです。
【記者】こどもホットラインについて確認です。所管の部と、ホットラインに相談できる対象者は市内の学校に通う方々をはじめどういった方が対象者になるのかを教えてください。
【事務局】こどもホットライン所管の部ですが、こども局直下に設置する「こどもの権利サポートセンター準備室」が担当になります。相談の対象者ですが、子どもさんや保護者をはじめ、幅広く受け付けすることとしております。
【市長】したがって、熊本市内に通学する子ども達とは限らないということであり、市外在住でも相談の対象者となります。ただ当然、例えば教育委員会にいろいろな話をつなげるということになりますと、それは市外の場合は市外のいろいろな関係機関との連携ということになります。このこどもホットラインは、子どもさんだと、例えば、行政区域など分からないで電話してくるかもしれませんので、まず救いを求める手を掴むということはすごく大切だと思っています。もちろんこれは、先ほど申し上げた妊娠内密相談センターのように、全国の自治体でこういったものがあれば、割と気軽にみなさん相談できると思うのですが、まずは、いろいろな厳しい事象を早くつかんで解明していくということが、非常に重要だと思っていますので、そういった意味ではあまり対象を限定して、例えば「あなたは市内の学校ではない」とか「私立の学校だから知りません」というようなことではないということです。