【市長発表:一年を振り返って】
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それでは、今年最後の記者会見をはじめさせていただきます。本日は、この1年を振り返りましての所感などをお話しさせていただきたいと思います。
今年は、市政運営の基本指針となります「まちづくり戦略計画」と「行財政改革推進計画」の実行2年目として、新しい熊本づくりに向けまして、全庁あげまして全力を尽くしてまいりました。市の役割が、市民の最も身近な基礎自治体として益々大きくなっております中で、私自身も、就任以来、市民との対話や丁寧な説明に心がけてまいりまして、そして、公の場での議論を大切にしながら、全市民の視点から改革を実行してまいったところでございます。67万市民の長として、その重責を日々感じながら、緊張感を持って市政の舵取りを行なってきた一年でございました。
今年一年を振り返ってみますと、全国的には景気は回復基調にあると言われておりますが、本市をはじめといたしまして地方経済はまだまだ本格的な景気回復を実感できるには至っておりません。こうした中で国の三位一体の改革におきまして、6千億円の国庫補助負担金の見直しと総額3兆円の税源移譲につきまして一応の決着が図られまして、全体としては地方分権に向けまして一歩前進したものの、地方交付税の大幅な削減など地方にとりましては依然として厳しい状況となっております。
本市では、これまで財政健全化に鋭意取り組んでまいりましたが、その結果平成16年度決算におきまして公債費比率が赤信号といわれております20%を下回ったほか、財政調整基金も96億円まで回復いたしますなど財政健全化に向け一定の成果を上げてまいりました。しかしながら、今後も三位一体改革の進展に伴いまして、地方交付税につきまして厳しい状況が予想されることなどから、11月には「さらなる財政健全化の方針」(素案)といたしまして、再度今後の財政試算を公表したところでございます。今後も、「行財政改革推進計画」に基づく積極的な取り組みはもとよりでございますが、「事業評価」を活かした全事業の徹底的な見直しなど進めてまいりたいと考えております。
今年は、このように厳しい財政状況の中ではありましたが、本市の将来を左右するような大きな課題への対応が本格化した年でもあると言えると思います。まず、本市の最重要事業の一つでもあります熊本駅周辺整備事業においてでございますが、新幹線全線開業の2年前倒しに対応いたしまして、6月には県市共同で「出会いとふれあいの副都心」を将来像といたしました新しい整備基本計画を策定したところでございます。来年も引き続き、県都の玄関口にふさわしい駅周辺の整備、特に西側の区画整理事業の推進でございますとか、さらには駅周辺整備の核となります熊本駅前の東A地区市街地再開発事業についての具体的検討など、平成23年春の全線開業に向けまして、さらに熊本駅周辺整備を加速させてまいりたいと考えております。
また今年は、近隣市町村との新たな連携協力がはじまりますとともに、本市の政令指定都市実現についても、県や経済界を中心にこれまで以上に関心と期待が高まってきたのではないかと感じております。3月には、近隣9町で構成いたします「熊本中央広域市町村圏協議会」の中で「広域連携検討部会」を開催いたしまして、観光振興など広域的な課題に対する連携協力のあり方についての検討を進めますとともに、肥後っ子パスポート「さるく」の発行など、新たな事業も展開したところでございます。また、5月には、富合町との間で本市との合併協議会の設置を視野に入れました「熊本市・富合町合同研究会」を設置いたしまして、両市町の事務事業の調査や将来像についての検討内容をとりまとめまして、市民の皆様への説明会も行ったところであります。来年も引き続き、熊本市民・富合町民の皆様はじめ両議会のご意見等を伺いしながら、早い時期に合併に向けた協議会を設置していきたいと考えております。
一方、本市の政令指定都市実現に向けましては、本市をはじめといたしまして、県、市議会、経済界等によります熱心な要望活動が実を結びまして、8月でございましたが、国の「新市町村合併支援プラン」に政令指定都市移行の人口要件を、実質70万人以上とする特例措置が引き続き盛り込まれることになりました。また、県の「市町村合併審議会」におきましても、政令指定都市実現を視野にいれた本市の将来のビジョンづくりを支援していくとの意向も示していただいたところであります。
今後の取り組みといたしましては、先の議会でも表明をいたしましたが、新年早々にも100万人熊本都市圏の将来像でありますとか、都市圏の拠点性を高めるための基本的方向性などを研究いたしますために、県をはじめ本市を含みます3市11町1村の近隣市町村と経済同友会、商工会議所、学識経験者の皆様からなります「熊本都市圏および政令指定都市についての研究会(仮称)」を設置することといたしております。その第1回目を1月10日に開催する予定でございますが、この研究会を通しまして、熊本都市圏の活性化のため、本市の政令指定都市実現の効果や課題などさらなる議論を深めてまいりたいと考えております。
このほか、間近に迫りました熊本城築城400年に向けましても、今年3月の飯田丸五階櫓の完成に続きまして、9月の本丸御殿の上棟式など、復元整備は順調に進んでいるところであります。また熊本城築城400年祭開催に向けました準備も本格的にスタートしたところでありまして、四季折々に繰り広げます記念事業など、現在同実行委員会で具体的な検討を行っていただいているところであります。今年はまた、城下町のにぎわいづくりにも力を入れてきたところであります。10月の「くまもと秋のお城まつり」をはじめといたしまして、昨年を上回ります6万9千人の人出を記録しました「城下町大にぎわい市」、同日開催されました「みずあかり」、そして今年初めての開催となりました地元商店街の皆様方との連携によります「城下町くまもと銀杏祭」など、官民一体となった取り組みによりまして、お城の周辺や中心市街地でのにぎわいを創出したところでございます。
以上が、今年特に重点的に取り組んできた主な施策、事業でございますが、このほかにも、全国でも初めての取り組みとなりました全市をあげましての節水社会実験、あるいは保育所の不足解消のため21年ぶりとなりました保育園の認可、さらには小学校3年生までの35人学級を実施いたしますための構造改革特別区域計画「くまもと子ども輝き特区」の認定など、環境の保全や子育ての支援、そして学校教育の充実など「まちづくり戦略計画」に基づきまして、様々な事業や施策の展開を進めてきたところでございます。
以上、簡単ではありますが主な事業を通しまして、この一年を振り返ってまいりましたが、今年は、幸いにも本市では、昨年ほどの大きな自然災害に見舞われませんでしたが、アスベストによります健康被害、さらには耐震強度偽装問題、そして大型ショッピングセンターへの対応、さらには都市圏の交通問題など、市民の安全や生活に直接影響を与えるものから、将来のまちづくりに大きく関わりますものなど解決すべき課題は山積しているところでございます。
私も、市長としての任期は残すところ一年を切りまして、来年は現任期の最後の年となりますが、これまで以上に、「新しいくまもと」づくりに向けまして、先頭に立ちまして、全庁一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。
報道機関各位におかれましても、今年、賜りましたご協力に心から感謝申し上げますとともに、来年も同様のご理解、ご協力をいただきますようお願い申し上げます。それでは、質問をお受けいたします。