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平成26年6月2日 臨時市長記者会見

最終更新日:2014年6月2日
政策局 秘書部 広報課TEL:096-328-2043096-328-2043 FAX:096-324-1713 メール kouhou@city.kumamoto.lg.jp

【市長発表】

【市長】それでは、改めまして本日はまことにありがとうございます。これまで幾度となく記者会見で問われてまいりました、今年の11月に行われます予定の次期市長選挙につきましての私の考え、まとまりましたので、この場で発表させていただきたいと存じます。

 

まず結論から申し上げますけれども、今年11月に行われる予定の次期市長選挙については、立候補しない、ということを決断しました。理由を、少し長くなりますが、申し上げさせていただきたいと存じます。それから少し振り返らせていただきたいと思いますが、平成14年12月3日に第29代熊本市長として就任をいたしました。それ以来今日まで、多くの皆様方からご支援を賜りました。まだ任期は半年ほど残されてはおりますけれども、改めましてこの場をお借りしまして、全ての皆様方に対しまして心から感謝の気持ちを表させていただきたいと存じます。改めまして就任からこれまでを振り返らせていただきますと、現職前市長との間で、激しい選挙戦でありましただけに、就任直後は様々な困難が伴いました。私自身県議会議員の経験がありましたとはいえ、まだまだ若輩でもありましたし、そして無名に近かったこの私が、しかも1ヵ月半ほどという短期決戦にも関わらず、なぜ当選することができたのか、改めてそのことを考えてみますと、当時未知数ではありましたものの、当時の閉塞感を何とか打破してくれるのではないか、或いは公平公正な市政というものを実現してくれるのではないか、また、市政が身近なものになるのではないか、等といった市民の皆様方の様々な期待というものが芽生え、そしてそれが結集し、大きく広がった結果ではなかったかと、私自身受け止めさせていただきました。もちろん選挙期間中苦労もございましたけれども、今でも当時の感動的な場面というものはしっかりと脳裏に焼き付いているものでございます。初めて市役所に登庁した日でありますけれども、多くの市民の皆様が市役所玄関で出迎えていただきました。そして市長としての第一歩を後押ししてくれたこと、今でもはっきりと記憶をしているものであります。

 

ただいま申し上げましたような状況の中でのスタートでありましただけに、就任後は、公約も含めまして、その選挙戦で約束してまいりましたことを守り、実行しなければならない、市民の皆様の期待を裏切ることはできないと、どんなに厳しい局面に追い詰められたといたしましても、決して妥協することなく、公平・公正な市政を実現すべく、そして次世代に対する責任を果たすべく、それまで先送りにされてまいりました行財政改革等にも正面から向き合いまして、一つひとつ課題に必死になって取り組んでまいりました。

そんな一期目の4年間を、ぶれることなく信念に基づいて貫き通すことが出来ましたのは、先ほど申し上げましたような、私が市長として誕生した背景に基づく使命感、というものであり、そして市民の皆様方の変わらぬ応援が常に支えになっていたからであります。

 

2度目の選挙につきましては、結果といたしましては、次点の方とダブルスコアということになりましたが、やはり厳しい戦いでありました。その選挙期間中に私に対して問われましたことは「政治的な信念を貫き通す、それは結構なこと、構わない。けれども、熊本市の未来のために具体的な成果を出して欲しい。熊本市の未来を見通せる状況を作ってほしい。」というものでありました。そのなかでも“政令指定都市の実現”これを期待する声は特に強いものがありました。もちろん実現に向けました具体策というものが、選挙戦における争点にもなりました。2期目のスタート時点におきましては、全く先行き不透明な状況ではありましたけれども、この際にもやはり市民の皆様の応援を受けながら、そして県や経済団体の皆さんのバックアップもいただきまして、更には合併町の皆様の幾度もの苦渋の決断を経まして、何とか3町との合併、そして新熊本市の誕生、更には政令指定都市の形を固めるところまで漕ぎ着けることができた、そんな2期目の4年間ではなかったかと考えています。

 

そして3期目でありますけれども、選挙戦自体は激しいものではありませんでしたけれども、任期中に確実に訪れることになります新幹線開業と、政令指定都市への移行を前提として、それまでとは異なった感覚で、また先日も申し上げましたが、真っ白なカンバス、或いは画用紙に絵を描くような気持ちで公約を練り上げまして、その実現に向けて今日まで取り組んでまいりました。3年半が経過をいたしまして、もちろん百点満点というわけではありませんが、更には公共交通網の再編でありますとか、花畑・桜町地区、或いは熊本駅周辺の整備等、これから本格的に動き出すものもありますけれども、少子高齢化や人口減少等も見据えながら、より暮らしやすく、持続可能で、広域的にも貢献のできる都市といった、これからの熊本市の進むべき道を指し示しながら、取り組んでまいったものであります。

 

そのような中で12年目を迎えております。この間を振り返りますと、あっという間のようでもありますが、しかしながらこの期間というのは決して短いものではありません。

これまで私は、政治家の定年制について問われました際に、明確に反対の意思を示します一方で、それよりも多選の方が問題である旨の発言をしてまいりました。政治家は間違いなく、誤解を与えるかもしれませんが間違いなく、権力者であります。特に首長にはあらゆる権限が集中することになります。もちろんその権限を行使することが役目でもありますので、私自身、私利私欲をもたないのはもちろんのこと、公平・公正な政治を行うということを常に心がけてまいりました。

 そのことで時には摩擦が生じ、或いは厳しい批判を受け、「市政が停滞するのではないか」との懸念を持たれることもありましたけれども、やはり信頼される市政の実現、これを市政運営の基本とし、私自身も政治家として大事にしてきたものであります。

もうひとつ大事にしてきたものがあります。それは言葉であります。政治家は常に自らの言葉に責任を持たなければならないと考えています。最近の政治全般に対する信頼の低下というものは、私は言葉の軽さにもあると考えております。私の議会でありますとか或いは記者会見などの公の場での発言を「面白味がない」といった指摘を受けること、これは決して少なくありませんでした。振り返りますと慎重過ぎたのかもしれないと考えることもありますが、しかしながらそれは、私は、常に自らの発した言葉には責任を持つ、そしてそのことが信頼される市政の実現のためには大事なこと、そのことを常に意識をしていたからでもあります。

 

政治家の出処進退というものは自らで決めなければならないと考えております。今回、この決断をするにあたりましては、様々な思いが交錯をし、そして正直申し上げまして迷いもしましたけれども、最終的には、ここで区切りをつけなければならないと、判断をしたものであります。最近では、時折、多選の弊害ではないかと感じることもございました。また新たなステージに移りました熊本市でありますが、新たな発想も必要でありまして、そして何より一人でも多くの市民の皆様の参画の下に進められなければならないと考えているものでもあります。そのためにも私はここで区切りを付けるべきだと考えたものであります。

 

改めましてこの場をお借りしまして、市民の皆様方に対しましては、心から感謝をするものであります。また、職員たちに対しても同様であります。もちろん、今日で辞めるわけではありません。残された半年余りの期間というものを、少しでも市政が前進するように最後まで全力を尽くすつもりであります。

 

以上が、私の次期市長選に向けましての考えであります。

【質疑応答】

【記者】出馬をしないというご判断ですけれども、任期後、12月以降のご自身についてはどのようにお考えでしょうか。

 

【市長】12月3日以降のことは、市長としての任期が終わりましてから考えたいと思っています。とにかく、市長という重責を最後の最後まで全うすべく、全力を尽くし続けたい、そのように思っています。

 

【記者】進退を決めた理由として、多選の弊害の話を挙げられましたが、市長自身は多選の弊害をどこに感じていらっしゃいますか。

 

【市長】例えば、私は緊張感というものが大事だと思っております。それは対議会であったり、或いは対市民でもそうですし、また職員との間でもやはり一定の緊張関係は必要だろうと思っています。そしてその距離感の中で、切磋琢磨であったり、或いは議論を戦わせたり、方向性を見出し、そして実現に向けて前進をしていくということが、市政を運営するうえにおいて重要なことであると感じておりました。そのような中で、やはり長くなりますとどうしても遠慮が出てきたり、多少緊張感の欠如ではないかというような場面でありましたり、或いは市民の市政に対する関心も、私が市長に就任しました当時、その最初の頃に比べますと、高くなったとは決して言えない状況であるのではないかと思っております。

先ほど申し上げたように、熊本市は政令市へ移行し、例えば中心部の再開発でありますとか、或いは駅周辺整備でありますとか、そのような次なる目標に向かって進んでいかなければならない中で、一人でも多くの市民の皆様方の関心であるとか、参画の下で進んで行くべきだと思っています。そういう意味におきまして、今回私は出馬をしないという結論に至ったものであります。ただ、今申し上げたようなことにつきましては、この3期目のなかで道筋はつけさせていただくことができたのではないかとも思っています。そして何より残された任期があと半年あるということでもありますので、その中で少しでも前進させるべく、今後も努力を続けたいと思っています。

 

【記者】次の選挙戦で新しく当選される市長には、そういった市民・職員、周囲との距離感をとりながら市民の関心をいろんな事業に惹きつけられるような方に、市政を担ってもらいたいということですか。

 

【市長】新しく市長になられる方に対して望むことは、それぞれのやり方があると思いますし、そしてそれは市民の皆様方が判断することであるでしょうから、あまり私の方から具体的なことで注文を付けるつもりはありません。そして問われるかもしれませんが、「次の市長選挙にお前はどう臨むのか」ということなのかもしれませんが、基本的には、私は関わらないつもりでおります。ただそこは、今後の状況次第ではありますけども、例えば激しい選挙戦になり、そしてそのことで、これまでやってきたことに対する批判等も出てくるかもしれません。もちろんそのようなことがあって然るべきだとは思いますが、明らかに間違ったことでありましたり、或いはこれまでやってきたことが曲げられて伝えられるような場面があれば、そこは積極的に発言をしていきたい。そういう状況になれば、やはりこれまで進めてきた責任もありますので、関わっていかなければならないかとは思っています。

 

【記者】最終的に不出馬を決断されたのはいつだったかということと、どなたかに相談とかご報告をされましたか。

 

【市長】最終的に決めたのは、ここ数日の間でありまして、昨日だったか一昨日だったかというような状況であります。最終的に誰かに相談したかということでありますが、これはどなたとも相談はいたしておりません。最終的に自分で判断をさせていただきました。

 

【記者】不出馬の一番の理由は多選ということなのでしょうか。

 

【市長】多選もそうですし、それから自分がこれまで言ってきた言葉に対する責任ということもありますし、そしてそのことが、ひいては私がこれまで市長を務めることができた市民の皆様の信頼にも大きく関わることであると思いましたし、そういう意味で今回の判断にいたったということです。それともう一つは政策的なことではありますけれども、新たな熊本市、しかもそこには少子高齢化或いは人口減少なども見えております中での、方向性・道筋というものはある程度つけることができたというようなこともあり、総合的に今回の判断に至ったというものであります。

 

【記者】政治家として、定年よりも多選が問題であるということ。幸山市長の政治信念として、4選というのは出るべきではない、そういう決断をなされたということですか。

 

【市長】そこはですね、例えば3選がよくて4選が駄目だ、或いはもっと短い2選まで、いろんな捉え方があると思います。ですから私は一律何年までというような、それはその自治体の状況によっても異なるだろうと思います。ただ私は基本的な考え方として、やはり多選というものは、特に首長の場合は権力が集中するポジションでありますだけに、どこかで区切りを付けなければならないのではないかということは思っておりました。ですから今回の3期12年というものが、全ての自治体に当てはまるものだと考えているものではありません。

 

【記者】今まさに動いている再開発の問題ですとか、駅前周辺の整備ですとか、それはまだ半ばだと思うんですけども、そのあたりはどのようにお考えでしょうか。

 

【市長】確かにようやくスタートできた状況、特に花畑桜町地区におきましては、まさにそのような段階であろうかと思っています。都市計画決定がなされまして、或いは予算が議会でも認められましたり、そして先日は県民百貨店さんが苦渋の決断だったと思うんですが、転居するということも決められました。そういう意味ではこれから本格化することではあろうかと思いますけれども、ただやはりこのことも大きな一歩、なかなか難しかった一歩を踏み出すことができたのではないかと思っています。

もちろん最後まで見届けたいという気持ちが無いではありませんが、ただこれは、例えばあと4年やったとしても、全てをやり遂げるということにはたぶんならない。駅周辺だってあと4年で終わるものではありません。そういう意味におきましては、やはりどこかで区切りを付けなければならないなかで、そのようなスタートラインに立ったばかりのものもありますけれども、やはり自分として区切りを付けるのは今ではないかと思い、今回の判断に至ったものであります。

 

【記者】今の件に関連しまして、桜町それから駅周辺の整備、また交通網などもそうだと思うんですが、熊本市が中核となって都市圏とか、市長の公約などでも掲げられていますグランドデザインとか、そういったものが動かされてきているなかで、今のお話ですと大きな一歩を踏み出したというなかで、4期出馬しないということになりますと、今手掛けていらっしゃることを途中で投げ出すという批判に繋がらないのか、その辺はどうお考えですか。

 

【市長】そのような批判というものもいただく場合もあるのかもしれません。またもっとやるべきだという声が出てくるかもしれません。そのいずれも私にとってはある意味ありがたいことだというふうに受け止めたいと思います。ただ繰り返しになりますけれども、やはり先ほども申し上げましたように、あと4年やったといたしましても、やはり終わりがないものであります。そこはやはりどこかで区切りを付けなければならないのが政治家だろうと思っております。そういう意味で私は今回判断をさせていただいたというものであります。

もう一つ申し上げますと、12年前に現職の方と戦わせていただいて、そして市長に当選させていただきました。現職と戦ったわけでありますから、「全ての事業をゼロベースで見直します」でありますとか、非常に刺激的な言葉も使い、逆にその言葉を裏切るわけにはいかないということで、懸命に取り組んできたことは先ほど申し上げたとおりです。そして一つひとつの事業を見直してまいりましたが、例えば一つ例を挙げますとお城の復元整備であります。市民の皆様方のなかには当時、やはり全てを見直すといったわけだから、お城の復元もやめるんだろうというような声をいただくこともありました、就任直後に。ただそれは役所の中でも議論をし、またいろんな方々からの声も伺うなかで、やはりこの事業は続けていかなければならないというようなことで、前職からの事業でありましたけれども、引き継がせていただいたというものであります。ですから今私が取り組ませていただいている中心部の問題であったり、或いは公共交通の問題であったり、このようなことは、私は将来の熊本にとって必ずや必要なことだという判断のなかで、これまで進めてまいりました。もちろん100%そのまま引き継がれるということはないのかもしれませんけれども、やはりその基本的な方向性というものにつきましては、私は変わらないのではないか、という思いは持っています。

 

【記者】そういう点でいきますと、先ほどの今後の市長選の関わり方という点なんですけども、少し踏み込んで聞きますと、ご自身の事業ですとか市政に対する思いみたいなものを、ある方に引き継いでもらいたい、いわゆる後継指名ということになると思うんですけども、そういったこともお考えとしてあるんですか。

 

【市長】後継指名のような形をやってしまいますと、私がここで区切りを付ける意味が半減してしまうのかもしれません。それはやはりやってはいけないことだと思いました。ただ繰り返しですが、激しい選挙戦になったとしまして、そのなかでいろいろとやはり、これまで取り組んできたことに対する評価であったり批判であったり、そのことがやはり理にかなっていないことでありましたり、或いは誤解を伴うようなことでありました時には、しっかりと発言をし、そういう意味で関わっていかなければならないかと思っています。それは私がどなたを、と指名するような話ではないかと思っています。

 

【記者】先ほど12月以降のことについては任期終了後に考えるというお話でしたが、政治家を続けるということについては。

 

【市長】これはこれまでも何度も申し上げてきたことかと思いますが、今後も政治家であり続けたいと思っております。

 

【記者】選択肢はそう多くはないと思うんですけど、今何か考えというのはあるんでしょうか。

 

【市長】今この場で申し上げることは、何もありません。これは前回の記者会見の時にも申し上げたことかと思いますけれども、今回の判断というものは、私の次のポジションのための判断ではないということであります。ただ、政治家であり続けたいという思いはあります。それからこれまで経験したことをまた活かしたいという、強い思いもあります。それを考えるのは、今年の12月3日以降だと思っています。

 

【記者】市長は先ほど迷ったこともあると、やりたかったこともたくさんあると思うんですが、そのなかで大きなものは何が挙げられますか。

 

【市長】やはりいろいろとまだ途中のものもありますし、ようやく緒についたばかりのものもあります。それらを最後まで見届けたいという気持ちは正直ありました。それから、今回のこの判断というものが、市民の皆様方のもう一期やってほしいというような期待を、裏切ってしまうことになるかもしれない、という気持ちもありました。それから、一緒になって懸命に取り組んできた職員達も、裏切ることになるのではないかというような思いもありました。いろんな思いが交錯しまして、迷い、なかなか最終的な判断に至るまで、当初は新年度に入って早い時期にと思っておりましたけれども、ぎりぎり今の時期になってしまったということであります。

 

【記者】一定の方向性について、ある程度の道筋をつけることができたということですが、特にどういうところに道筋をつけられたと思いますか。

 

【市長】例えば中心市街地の活性化の問題も、これは何も中心市街地の問題だけではなく、多核連携型の都市構造ということで熊本型のコンパクトシティという基本的な都市構造というものを定めさせていただきました。そしてそれは都市構造を支える大きなツールともなる交通手段、それを公共交通のグランドデザインであったり、或いは基本条例を策定したりというようなこと、やはり将来を見据えた中で色んな枠組みを整えてきたというものであります。

 ですから、今の花畑桜町を含めた中心市街地の問題はその一つであるという認識であります。

 

【記者】2点ありまして、一つは当時の閉塞感、1期目のお話しをされましたが、当時の閉塞感を打破したという思いがあられると思いますが、あの時と今では自民党の勢いに関わってくるという部分もあると思いますが、その状況でも市長は退かれるという、その辺は考えられたのかというのが1点と、もう一つが、30代の後半という若さで市長になられて、まだ40代後半でありますけれども、ここで退くことで、自分が政治家としての次のステップなりを考える上で、フリーハンドというか、そういう思いもあられたのか、その2点をお聞きかせください。

 


【市長】まず1点目は、閉塞感、自民党の強さ、弱さ?

 

【記者】自民党の支持を受けた現職の方を突破されてきたと思いますが、自民党を辞められて、そういうものに期待が集まったと思うのですが、今は、逆に自民党への評価が高まっている状況ですが、この時期に退かれるという迷いというものはなかったのですか。

 

【市長】それはほとんどなかったというか、一切考えていません。そしてその12年前の閉塞感というものは、なにもその自民党を意識したというものだけではなく、ある意味長い熊本市政の歴史の中で、選挙で現職と戦ってそして新人が当選するということは確かなかったのではないかと思っております。

 それはやはり継続性ということも大事なのかも知れませんが、そのような状況のなかで、つもり積もった閉塞感、或いはしがらみというものがあったのではないかと、当時、そのことが問題ではないのかと思いました。

 ですから、無茶だとは言われましたが、とにかく戦うことに意義がある、そして戦って当選しましたので、やはりそれを変えていく大きな責任が伴ったということでありまして、そのことには、これまで懸命に取り組んできたというものであります。

 2つ目でありますけれども、次のステップ云々の話がありましたが、これは先ほど答えたとおりでありまして、そのようなことを意識しての判断ではないということであります。

 

【記者】先ほどからの多選という中で、市民の市政への関心が就任当初から変わっている要因をどのように感じていますか。

 

【市長】端的に言えば、よく投票率が言われますが、3回の市長選で言いますと1期目、2期目は少し上がりましたが、しかしながら3期目は大きく低下したということもありました。

 或いは、いろいろと私も、お出かけトークでありますとか、直接対話ということで地域に出向いておりますけれども、やはり当初に比べますと参加者が少し減ってきたかなということも感じておりました。

 また、議会もそうでありますし、議会の傍聴者でありますけれども、これは就任当初からすると、市民の方々が参加されていた状況から、今はやはり特定の後援会の方でありますとか、一部の方に限られている状況でありまして、やはりそういう全体的に市政に対する関心というものが、当時の状況から比べると低下したといわざるを得ないと思います。ただ、ここは決して、市民の皆様方に責任を押し付けるつもりはありません。いろんな、様々な場面で今申し上げた、市民協働と、いろいろご協力いただいてきておりましたので、そのことは本当に感謝しているものでもあります。

 

【記者】その中で、市民の期待に答えられなかったというものがあったのですか。

 

【市長】例えば、議会で言いますと公の場での議論といいながら、本当に活発な議論になっていたのかということでありますとか、或いは、自分としましても、当時と全く同じ状況ではありませんので、そのような中でも市民の皆様が関心を持ち続けていただけるようにということで、例えば2000人市民委員会を立ち上げましたり、いろいろと試行錯誤しながらやってきたということはあります。

 そういうことについては、多くの市民の皆様方にご協力いただいておりますので、そういう意味では潜在的な関心というものはあるのかも知れません。ただ、中々そこが私自身が引き出すだけの力といいますか、力不足があったのではないかと、特にやはり長くなりますとどうしてもそこのところが、問題かと感じるようになったことは間違いありません。

 

【記者】3期目を振り返られて、積み残した課題、積み残したことを挙げるならば何ですか。また、次の市長に期待することは。

 

【市長】おかげさまで、政令指定都市としてスタートを切ることができました。ただ、まだ2年余りでありますので、この政令指定都市という手段を使って、もっともっと次の市長の方には、大いにその効果を発揮していただくことを期待するものでもあります。それは、対外的な発信力というものもありましょうし、また、多くの人たちを引き付ける、そのような魅力を高めるということもあるでしょうし、そして何より先ほど申し上げた少子高齢化や、人口減少が見えているなかで、市民の皆様方がやはり安心して暮らし続けていただけるような環境を作っていただくというようなこと、政令指定都市という手段を使って、もっともっと生かしていただきたいというものを期待するものであります。

 

【記者】3期12年、これは市民が評価することと思いますが、市長自分自身で、自己評価する形ですが、どう評価していますか。

 

【市長】これはやはり、まだ終わってもおりませんし、そして、評価というものは、第3者にしていただくものなんだろうと思います。ただ、答えるとするならば、そのタイミングとするならば、終わった時点だろうと思います。まだ半年も残されている中で、自己評価というものはこの場でいろいろと申し上げることは僭越かと思います。

 

【記者】先ほどの多選の中で、緊張感の欠如と遠慮を挙げられましたけれども、何に対する遠慮なのでしょうか。

 

【市長】例えば、職員にも申し上げることなのですが、「このことは、市長が一番よく知ってますもんね。」という言葉が役所の中でも良く聞こえてくることがあります。職員たちは人事異動がありますが、私は変わらず11年半いる訳ですから、もちろんその事業の推移あたりは分かっているわけでありますが、そこはやはり専門家としてのプライドをもって、どんな長い市長であろうと、遠慮なく議論をぶつけてくるようなそんな環境、職場風土というものを、私自身も意識をして、長くなればなるほど意識をしてきたものでもあります。

 

【記者】職員の方が市長に遠慮してしまうと、そうならないように努めてこられたということですか。

 

【市長】そういうこともありましたので、あえて、差し戻したり、或いはこちらから議論を吹きかけたりということを意識してやっていたということでもあります。

 

【記者】対議会との緊張感というものは、どうでしょうか。

 

【市長】対議会との緊張感という意味では、最初の頃に比べますと、緊張感という意味ではその当時ほどではなくなってきていると思う。

 ここはただ、一定の緊張感が必要ということ、或いは一定の緊張感、距離感という言い方をして参りましたけれども、そこは常に意識をしてきたことではあります。ただ、そこを第3者がどう評価するかはわかりませんけど、常にそれは意識をしてきたところではあります。

 

【記者】次の選挙における市長の関わり方ということで、これまでの市政に対する誤解ですとかあった場合は、市長も発信していかれるという話しでしたけれども、市長が今度の選挙を見られるにあたって、桜町の再開発についての議論が出てくると思いますけど、大きな争点として、市長が説明されるということはあるのでしょうか。

 

【市長】それはわかりません。花畑桜町が争点になるかどうかは分かりません。それは立候補される方々の政策の中から争点というものは生まれてくるものでないかと思います。

やはり市民の皆様方の関心の中から争点というものが生まれてくるものだと思います。可能性がないとは言えませんが、なかなか現時点で断定できるものではありません。

 

【記者】市政への批判というものは、それだけを想定したものではないということですか。

 

【市長】もちろんそうであります。

 

【記者】誤解を生じたりした場合には、発信をしていきたいというのは、どういう形になるのですか。考えの近い方に対しての発信になるのですか。

 

【市長】現職の市長として、それは公の場で伝える場面があると思います。いろいろとあると思います。

 

【記者】現職の市長であるという立場で発信をするということになるのですか。

 

【市長】もちろんそうです。

 

【記者】市長選の何かの場に直接関わっていかれるというのではないということですか。

 

【市長】基本的には選挙に直接関わることは極力避けなければならないと思います。ただそこは、状況も見なければならないと思っています。

 


【記者】具体的には。

 

【市長】一定の候補者に肩入れしたり、応援したりということは現時点では避けなければならないことだと思います。

 

【記者】新年度の早い時期にということでしたが、改めて今日このタイミングで発表されたというのは、もちろん迷っていたものに結論が出たということがあろうかと思いますが、次の市長選に向けた時間、その辺も意識もあってのこのタイミングということですか。

 

【市長】そうです。それは、これまで記者会見で申し上げてきたことでありますが、やはり選挙までにきちんと政策論争するための一定の期間が必要であるということは意識をしておりました。そういう意味で、本来であるならばもっと早く、新年度に入って早い時期に結論を出すべきであったのかも知れません。ただそこは自分自身の中でのなかなか吹っ切れない迷いもありましたし、そういう意味で現時点に至ったと。ただもう一つ意識しましたのは、6月議会が今週金曜日から始まりますので、3月議会の中でもその去就について問われました。そのときには、「しかるべき時期に」というような答え方をしました。これは、議会で何度も何度も聞かれることではないだろうと思いましたので、6月議会前までには結論を出さなければならない。そこはやはり意識をしていたところでありました。

 

【記者】随分お悩みになったとのことですが、もう一期やったほうがいいのではという考えもあるわけですけれども。

 

【市長】もちろん、それも選択肢としてはあったということです。

 

【記者】それはもう消えてしまったわけですが、もう一期やるという選択肢についてはどうお考えだったのでしょうか。

 

【市長】その選択肢については、先ほどの繰り返しになるが、継続のものもある、緒についたばかりのものもある。それらを最後まで見届けたいというような思いもあったというものでもあります。ただ、途中は、判断するまでの途中は迷うものもありましたけれども、今は全く後悔はありません。今も迷っていると、後ろ髪を引かれる思いでここに座っているというものではありません。

 

【記者】熟慮されて結論を出されて、今の気持ちはどういう気持ちですか。

 

【市長】12年前、市長選に出るかでないかというのは自分の中では大きな決断でありました。今回、4期目に立候補するかしないか、これも大きな決断、判断がいりました。それと同じような感覚であったというものであります。

 そのような中で、今回判断に至ったわけでありますけれども、ただ、ここで終わりというわけではありませんので、決してこれでホッとするとかいうようなことではなく、やはりまだ、半年という残りの任期がありますことから、緊張感を持ち続け最後まで、市民の皆様方の期待に対して応えたいと思います。

 

【記者】さっぱりした感じですか。風呂上りのような。

 

【市長】それはないです。風呂上りのようなそういう感覚ではないです。政治家というものは、決断の連続だと思っています。それは大小というか、いろんな種類の決断がありますけれども、そういう意味では、今回の決断というのは、私の20年足らずの経験ではありますが、その中でもやはり最もと言っていいくらいの大きな決断であったことは間違いないと思います。それをしたからといって、どうだと言うことはありません。それだけ大きな難しい判断だったということです。

 

【記者】最後に、「よし決めた」と思った瞬間とかはありましたか。自分の家でありますとか。

 

【市長】基本的には、家に帰って、夜考えることが多かったです。いつ「よしっ」というものではないのですが、最終的にはやはり我が家で決まったと思います。

 

【記者】部屋の中でひとりでですか。

 

【市長】ひとりです。どなたかに相談して決めたとかいうものではありません。最終的には自分で判断をさせていただいたというものです。

 

【記者】個人後援会の方ですとか、ご家族には今回の決断はお伝えになったのですか。

 

【市長】後援会の皆様方には、これからということになります。できるだけ早い時期にお声かけをさせていただいて、今申し上げていたような説明を直接しなければならないと思っております。家族に対しては、もちろん、昨日でありましたり、話をしました。

 

【記者】この20年の中で最も大きな決断ということですけれども、これまで熟慮されていたときは、市長選に初めて立候補された時と同じくらい悩まれていたということで、今回はそれ以上に悩まれたということですか。

 

【市長】それと同じくらいか、それを上回るくらいといっても過言ではないと思います。それを数字で表すことはなかなかできないのですが。これは一般的に言われることでもあるのですが、政治家というものは、なるのも難しいが、引き際というか、辞めるのも難しいという言い方をする人もいます。そういう意味では、今回の私の判断というものは、そういうものなのかなと、ある意味実感しながら決断したものであります。

 

【記者】残り半年ですが、これを進めたい、ここまで進めたいというものはありますか。

 

【市長】それはいろいろです。特に再開発事業もあるでしょうし、それから交通の問題もあるでしょうし、そこはこの半年間というものが、私にとりましての12年間の中で最も大事な期間になるのかもしれないくらいの思いをもって、緊張感を持って取り組んでいきたいと思います。まさに、今年の年頭の一文字である「繋」という言葉、漢字を掲げさせていただきましたけれども、まさに次に繋ぐための大事な半年間になるのではないかと思います。

 

【記者】非常に大きな決断ということで、その理由としては、出馬するよりも、退く判断のほうが大きな決断だったということですか。

 

【市長】大きなというか、難しいという言葉が適当かもしれません。政治家として、多選というか、期間の問題を申し上げましたが、経験を重ねれば重ねるだけ、市長としての責任はどんどん増してくるものだと思っておりますので、その責任の重みと、政治家としてのけじめとをどう自分の中で、折り合いをつけるかというのは非常に難しいと思います。

 

【記者】不出馬を首長の方が表明されるときは、影響力の低下を懸念されてギリギリになってからというのが多いですけれども、半年という若干長い期間があり、レームダックというものが懸念されますけれども、今後、どのように対処されますでしょうか。

 

【市長】レームダックに対する具体的な対応策まで考えているものではありませんが、ただ、先ほどから申し上げておりますように、最後の最後まで市長としての責任を貫き通したいと思っておりますので、今の熊本市にとって必要なこと、或いは将来の熊本市を見据えても判断しなければならないこと、その辺は決して先送りすることなく残された任期の中で判断すべきものは判断していきたいと思っております。


 

【記者】職員から遠慮を感じる、或いは多選による弊害を感じることがあるという話しもありましたけど、ある出来事でそれを痛感した、或いは、今回の決意の中で痛感させられた一番決定的な出来事は何かありますか。

 

【市長】特にこれをもってというものはありません。そういうことを、時々、時折感じるようになっていったということで、これがやはりいわゆる多選の弊害というものなのかなと感じるということがあったということです。だからといって、それを放置していたというものではありません。ただやはり年月とともに、そういうことが起こりやすくなるんだなと感じていたものであります。

 

【記者】いつごろからとか、どの事業でとかはありますか。

 

【市長】特にありません。取り立ててあげるものはありません。

 

【記者】2期目までは感じてなかったということですか。

 

【市長】段々と感じるようになったということでしょうから、1期目の4年間は感じることはなかったです。やはり3期目からではないでしょうか。はっきりと一つ一つ覚えているものではありません。

 

【記者】また、政治家を続けられるというのは、いずれまた、公職に就かれる志しでいらっしゃるという意味でしょうか。

 

【市長】政治家もいろいろありますが、ただ今後も政治に携わっていきたいと思っております。これまでの20年間の経験というものを今後も生かしていくことができればと思っております。

 

【記者】それは熊本に根を張って活動ということですか。

 

【市長】そういう話になりますと具体的なことになりますので、とにかく残された任期の間はそういうことは一切考えることなく、市長職を全うしたいと思います。それだけです。

 

 

【市長】改めまして、緊急にお集まりいただきありがとうございました。今日で辞めるというわけではありません。あと半年間、まだまだ長い、やらなければならないこともありますし、また、一昨年、九州北部豪雨災害もありました。一日たりとも気を緩めることなく、最後まで緊張感をもってやり通したいと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。今日はどうもありがとうございました。

 

(終  了)

 

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