【市長発表:平成18年度当初予算案および条例案について】
|
それでは議会前の記者会見を兼ねましての定例記者会見とさせていただきます。少し長くなりますけどもお許しをいただきたいと思います。それでは、今回上程いたします平成18年度当初予算案および条例案などにつきまして説明をさせていただきます。
先程の全員協議会におきましてもご説明したところでありますが、国におきましては、来年度予算につきまして、財政健全化に向けた歳出全般にわたります徹底した見直しを行い、一般歳出の水準について前年度よりも減額し、国債費や地方交付税を加えた一般会計歳出につきましても厳しく抑制を図っております。
特に地方交付税におきましては、前年度に比べまして5.9%の減、臨時財政対策債につきましても前年度比9.8%の減となりますなど、地方の財政運営にとりましては引き続き厳しい状況が示されたところであります。
このような中におきまして、本市の平成18年度当初予算の編成を行ったところでありますが、収入の根幹をなします市税が制度改正の影響も含めまして、一定の伸びが見込まれますものの、国の三位一体改革の影響によりまして、地方交付税が3年連続で前年度当初予算比51億円の大幅減額となるなど、依然として厳しい財政状況であります。このため、新年度におきましても、事業の選択と集中を図りますとともに、財源の重点的な配分を行いますなど、「まちづくり戦略計画」と「行財政改革推進計画」に基づきまして、3つのターゲットに重点をおいた取り組みやPI(パブリックインボルブメント)の導入、市民協働の具体化、さらには民間委託の推進など全庁的に取り組んでいくことといたしております。
その結果、「まちづくり戦略計画」に掲げております3つのターゲットに関連する事業といたしまして223事業、総額355億円、昨年と比較いたしまして16の事業の増加、71億9百万円の増額を行ったところであります。
このほか、「行財政改革推進計画」に基づきましては、外郭団体の改革推進や行政サービスのアウトソーシングなどを着実に進めるとともに、経常的経費の10%の削減、一部政策的経費の10%削減要求シーリングなどを行いましたほか、事業評価に基づいた事務事業の廃止・見直しも行い、総額12億776万円の削減をいたしまして、財政調整基金を取り崩すことなく市債残高の減少も念頭に置きながら、財政健全化の着実な推進にも努めたところでもあります。
それでは、予算編成にあたりまして重点的に取り組んだ事項につきまして、「まちづくり戦略計画」に関連する項目を中心にご説明をいたします。
まず、「市民協働で築く自主自立のまちづくり」の推進についてであります。昨年は、市民の皆様からの市政への様々なご意見、ご提案などを市民の声データベースとして、全庁的に活用させていただくとともにホームページ上でも公開してきたところでありますが、新年度におきましては、市民の皆様からのお問い合わせの窓口となり、本市の行政情報の案内をいたしますコールセンターの設置についても検討を始めることといたしました。
また、市民協働のまちづくりの一環として、平成17年度から住民自治の新しい仕組みでもあります校区自治協議会の設置を各校区にお願いをしているところでありますが、すでに52の校区で校区自治協議会が設立されているところであります。今後も引き続きまちづくり担当職員などによりまして支援を行ってまいりたいと考えております。このほかにも市民協働のまちづくりの一環といたしまして、仮称ではありますけれども「市民公益活動の推進に関する基本指針」を策定いたしますとともに、新たに市民協働モデル事業を行うことといたしております。
次に、ターゲット1の「良好な環境を未来へと引き継ぐまち」でありますが、本市の財産であり、魅力である清冽な地下水を守り育て、次世代に引き継ぐため、昨年度に引き続き節水社会実験に取り組みますとともに、白川中流域での水田たん水事業につきましても、地元の理解と協力をいただきながら、さらなる拡大に努めてまいります。また新年度におきましては、「くまもとの水」を一つのブランドとして位置づけまして、「公式な水」オフィシャルウォーターとして全国に発信したいと考えております。本年は、地下水保全都市宣言30周年の節目にも当っているところでありまして、水ブランド創造宣言とあわせましてシンポジウムの開催等を行いたいと考えております。
また、家庭ごみにつきましては、ごみ減量・リサイクル推進基本計画に掲げます減量目標を達成するため、今議会に家庭ごみ有料化に関する関係条例の改正案を提案いたしております。そして、この手数料収入によりまして、ごみ減量・リサイクル推進基金を設置いたしまして、ごみ出しに関する情報提供、ごみ相談窓口の設置、不法投棄への対応等を行いますとともに、容器包装プラスチック等の分別リサイクルに取り組むための調査を行いますなど、ごみ減量・リサイクルを積極的に展開していくことといたしております。
次に、ターゲットの2つ目の「子供たちが健やかに成長するまち」であります。これまで「赤ちゃんに優しい病院」として、産院で培われましたノウハウを本市で生まれるすべての赤ちゃんと母親の安心づくりに広げるために、市民病院にNICU三床を増床するための所要の経費を計上いたしますほか、すこやか赤ちゃん支援センター経費を計上し、熊本産院を廃止し、市民病院附属本山診療所といたします経費を計上いたしております。
また、安心して子どもを生み育てられる環境づくりのために、地域子育て支援センターや病後児の一時預かりなどの拡充を図りますほか、待機児童解消のための民間保育所の新規開設も引き続き進めてまいります。
このほか、個を育む学校教育の推進につきまして、少人数学級に関する検討委員会の最終報告を踏まえまして、これまでの小学校1・2年生の35人学級に加えまして、本市独自で小学校3年生への35人学級の実施に取り組みますとともに、子ども達の安全を守りますため、新たに幼稚園、保育園に緊急通報装置を設置することといたしました。
次に、ターゲット3の「人々が集う元気なまち」でございます。まず、魅力ある熊本駅周辺のまちづくりに関しましては、昨年6月に結びました県市協定に基づきまして、事業を着実に進めてまいりますために、新幹線建設や連続立体交差事業を促進いたします。また熊本駅前東A地区の再開発につきましては、九州新幹線の全線開業にあわせますために、新年度は、公共施設の機能の検討とともに、いよいよ転出地権者等の用地取得に着手したいと考えております。
また、熊本城につきましては、平成19年の築城四百年に向けまして、本丸御殿の復元はもとより奉行丸一帯の整備やわかりやすい案内板などの整備も行いますほか、熊本城の魅力そして本市の魅力を全国に発信してまいりますため、築城四百年記念事業実行委員会を主体にプレイベントを開催いたしますほか、周遊バスの再構築も図りますなど、その機運を盛り上げてまいりたいと考えております。
このほか、今年5月に開催予定の世界女性スポーツ会議につきましては、その開催経費を計上しているところであります。この会議は、世界100か国から約700人の参加が予定されております本市初の本格的な国際会議となりますもので、この会議の模様は市内数ヶ所でモニター放送を行い、多くの市民の皆様にもご覧いただきたいと考えております。私も、この開催を機に男女共同参画の推進はもとより熊本の地の魅力を国内外に発信いたしますため、先頭に立って積極的に取り組んでまいります。
次に、政令指定都市の実現に関してであります。本年1月10日に「熊本都市圏及び政令指定都市についての研究会」が発足いたしましたが、この研究会の中で、都市圏の皆様一人ひとりに夢と希望を抱いていただけるような将来像、それを実現していくための基本戦略等のいわゆる都市圏ビジョンを検討していただきたいと考えまして、新年度はこの研究会の関連といたしまして、熊本都市圏における拠点性の向上や都市圏内連携による産業振興の方策の策定、さらには公共交通の方面別の利用促進方策の策定といった調査検討経費を計上いたしております。
この結果、予算規模でありますが、一般・特別・企業の各会計の総計で4,659億8,200余万円となりました。一般会計おきまして2,055億9,250万円、特別会計では1,860億8,900余万円、企業会計は743億円余、前年度当初予算と比較いたしますと、一般会計は0.2%の減、特別会計は8.8%の減、企業会計は85.5%の増、総計で3.5%の増加となりました。特別会計の減少及び企業会計の大幅な増加は、下水道事業会計が特別会計から企業会計へ移行したことによるものであります。
次に、主な条例につきましては、先ほど申し上げました家庭ごみ有料化に関する関係条例の改正等のほか、いわゆる国民保護法の規定に基づきまして、熊本市国民保護対策本部及び緊急対処事態対策本部の組織等に関する条例、また、これとあわせまして国民保護協議会についての組織及び運営に関する条例の制定を行います。
次に、職員の給与に関する条例の一部改正についてでありますが、人事委員会勧告に基づいた本市職員の給与を改定するものであり、改定の主な内容は、いわゆる給与構造改革の一環として、給料表の4.8%の引き下げや昇給制度の見直し等でありまして今年4月1日からの施行を予定いたしております。
また、市長等の給与につきましては、熊本市特別職報酬等審議会から据え置きとの答申をいただいたところでありますが、今回市長の給与につきましては、7%、その他の特別職につきましては5%を減額する条例の制定などを上程いたします。
以上、新年度当初予算案や条例案などについてご説明いたしましたが、依然として地方を取り巻く環境は厳しさを増してきております。このような中で、九州新幹線の全線開業、政令指定都市の実現など本市ひいては本県全体の将来の発展をも大きく左右する様々な重要な課題が山積しているところであります。私は、市長就任以来「新しい熊本づくり」に向けまして、躊躇することなく市政改革に取り組んでまいったところでありますけれども、ここ数年が、本市にとっての将来像が決定付けられる正に正念場ではないかと認識いたしております。
新年度予算が、現任期最後の当初予算の編成となりましたが、新年度におきましても、就任時の改革に対します志と熱意を忘れることなく、財源や人的資源を最大限有効に生かしながら「新しい熊本づくり」に全庁一丸となって取り組んでまいりたいと考えております。
私からの発表は以上であります。それでは質問をお受けいたします。