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平成19年市長記者会見(こうのとりのゆりかご)

最終更新日:2007年4月18日
政策局 秘書部 広報課TEL:096-328-2043096-328-2043 FAX:096-324-1713 メール kouhou@city.kumamoto.lg.jp

【市長発表項目:「こうのとりのゆりかご」について】

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 それでは記者会見を始めさせていただきます。まず早速でありますが、結論から申し上げます。医療法人聖粒会から平成18年12月15日付けで提出をされておりました病院開設許可事項変更許可申請につきまして、本日4月5日付けをもちまして、医療法上の許可を行ったところであります。なお申請者に対するこの病院開設許可事項変更許可にあたりまして、設置を予定するいわゆる「こうのとりのゆりかご」につきましては国等から示されておりました運用上等の留意点でありますとか、本市のこれまでの検討を踏まえ留意事項を付記したところであります。その留意事項といたしましては3点ございますが、まず1点目は子どもの安全の確保であります。子どもの健康及び生命に支障が生じないよう構造上及び運用上の安全性を確保することそれが1点目、それから2点目でありますが相談機能の強化、病院の相談機能に関する人的及び設備面の強化を図り保護者が相談しやすい体制を確保すること、最後の3点目でありますが公的相談機関等との連携であります。その3点目のなかでも小さくまた3項目に分かれておりますが、1項目目が保護者に公的相談機関への相談を促す掲示を分かりやすい場所に設置をすること、それから2点目といたしまして子どもを置いた保護者が考え直した場合の連絡方法や親子関係の確認方法について特段の配慮を行うこと、さらには3点目、子どもが置かれた場合は要保護児童として直ちに本市、熊本県、熊本南警察署、並びに熊本県中央児童相談所に通告すること、公的相談機関等との連携、以上3項目でございます。申すまでもなく私は、赤ちゃんが置き去りにされるという行為はあってはならないと考えておりまして、様々な悩みを抱えた保護者の方々には福祉総合相談室を始めといたしまして、各保健福祉センターあるいは県の児童相談所等公的機関にぜひ相談していただきたいと考えております。また本市といたしましては、妊娠等の悩みの相談に対応いたしますため福祉総合相談室の相談員を増員いたしまして24時間体制で電話相談に応じるなど相談体制の充実を図ることといたしております。次に改めまして、これまでの検討経過につきまして申し上げさせていただきます。申請者医療法人聖粒会からは、平成18年11月の中旬に市保健所に対しまして慈恵病院内の施設を一部改修したいとの相談があったところでありますが、その目的がいわゆる「こうのとりのゆりかご」の設置とのことでありまして、多数の所管事務に関連する課題でありますことから関係課の情報交換を行うべく庁内7課によります検討会議を設置をいたしたところであります。それが昨年の11月の10日でございました。平成18年12月15日、申請者から医療法に基づく病院開設許可事項変更許可申請書が提出をされまして、初めてこの「こうのとりのゆりかご」の計画の具体的内容が明らかになったところでありますが、このことは我が国の法体系が想定していない仕組みでありまして、法律の適用関係が不明であること、そして全国でも初めての事例でありまして、今回の事例が全国的に大きな影響を及ぼす可能性があることなどから、早速12月18日には担当者を厚生労働省に派遣をいたしまして相談をさせたところであります。
その後、年末から今年の2月22日に至りますまでの1ヶ月半、国をはじめといたしまして、県の児童福祉や母子保健、医療政策を所管される関係課、児童相談所、熊本県熊本南警察署、熊本県警察本部、及び庁内検討会議などにおいて協議や確認を行いながら、本案件にかかる課題を検討いたしまして、1つの条約、12の法令、25項目に課題の整理をしたところであります。
この25項目の課題のうち、特に医療法上の許可・不許可の判断を行います上での大きなポイントとなります重要事項の6つの項目につきまして、去る2月19日には健康福祉局長を厚生労働省に派遣をいたしまして、事務的な協議を行ったところであります。2月22日には私が直接厚生労働省を訪問いたしまして、国の回答を求めたところであります。
また、申請者に対しましても、本市が検討してまいりました25項目につきまして内容を提示いたしますとともに、重要な4項目につきまして説明責任を果たしていただくため文書照会を行ったところであります。
その後、国におかれましては、柳沢厚生労働大臣、辻事務次官、さらには安倍首相や塩崎官房長官、高市内閣府特命大臣など様々なお立場からのご意見が報道されるところとなりまして、去る3月12日には参議院予算委員会において、そして3月15日には衆議院本会議においても本案件が論議されるところとなりました。
また、本市におきましては、先の2月議会の本会議におきまして、さらには保健福祉委員会におきましても質問やご意見をいただいたところであります。この間、市民の皆様方をはじめといたしまして、全国から電話や手紙、あるいはEメールなどによりまして、賛成、反対、その他沢山のご意見をお寄せいただいたところであります。
その後3月20日には、2月22日に照会しておりました4つの項目につきまして、申請者から文書で回答をいただいたところであります。また、同日、担当者を国に派遣いたしまして、文書で照会しておりました6つの項目につきまして、これまでの国の法解釈に変わりがないことを確認いたしますとともに、今後の国との連携について依頼を行ったところであります。
さらに、3月27日には保健所による現地調査を行ったところでありまして、これと前後するかたちで県との協議、確認を行ってまいりました。
これらを総合的に熟慮いたしました結果、本日、許可することといたしました。
今回の申請でありますが、医療法に基づいて行われたものでありますが、医療法上の構造設備基準を満たしていることや、予定をされております「こうのとりのゆりかご」の設置も直ちに関係法令に違反しているとまでは言い切れないことなどによりまして、医療法上の変更許可をしないこととする合理的な理由はないとの判断に至ったものであります。
しかしながら、赤ちゃんの命、あるいはその健やかな成長等の観点から、今後、国に対しまして、妊娠に関する悩み相談体制の全国的な充実でありますとか、運用上の課題に対する本市からの相談への対応でありますとか、状況に応じた法令等の整備等の対応がなされることを強く望むものであります。
今後、病院におきましては、子どもの安全の確保、さらには相談機能の強化、公的相談機関等との連携などに留意をして適切に運用していただきたいと考えております。
本市といたしましては、相談機能の充実、あるいはその周知広報の徹底等に努めていきたいと考えております。
具体的にはまず妊娠等の悩みへの取り組みといたしまして、現在、市の担当部門におきまして電話、来所による相談や、担当保健師による家庭訪問等により妊婦等の悩みの相談を受けておりまして、その解消に向けた取り組みを行っているところであります。
今後、新たに「妊娠に関する悩み相談電話」を設置するなど24時間の相談体制を確立いたしますとともに、福祉総合相談室におきまして相談体制を強化いたしますために相談員を増員することといたしております。
続きまして妊産婦への取り組みといたしましては、従来の電話、来所による出産等の相談に加えまして、只今申し上げました24時間相談体制のなかで悩みや不安等の解消に努めてまいりますとともに、育児支援家庭訪問を拡充をいたしまして相談体制の強化を図ってまいりたいと考えております。そして子の養育等への取り組みといたしましては現在、保健福祉センターや福祉総合相談室への電話、来所による子育てに関する相談を行っているところでありまして、今後、子育て支援センター公立で1ヶ所、その他5ヶ所、合計8ヶ所現在設置をしているところでありますが、新年度平成19年度には、2ヶ所増設をする予定にいたしております。さらには次世代育成支援行動計画によります目標年次平成21年度までには15ヶ所の設置を進めてまいりたいと考えておりますし、さらには育児不安の解消、地域の保育情報の提供等、地域全体で子育てを支援する取組みを進めてまいりたいと考えております。また、総合子育て支援センターにおきまして現在、小学生から大学生を対象として実施しております赤ちゃんとのふれあい体験につきまして、他の子育て支援センターへの拡充を行ってまいりたいと考えております。平成20年度には、総合保健福祉センター、仮称でございますが、現在建築中でございますが、ここに子ども総合相談室を設けますとともに、将来的には市の児童相談所の設置によりまして、子どもに関します相談体制の強化を進めてまいりたいと考えております。最後に周知・広報の徹底として市政だより、ホームページ及びポスター等によりまして相談体制や今後の取り組み等の周知徹底を図ってまいりたいと考えております。また、県におきましては、福祉総合相談所における妊娠葛藤相談や養育相談の周知の徹底を図りますとともに、今後、乳幼児と学生のふれあい交流など、若い世代に命の大切さを訴える取り組みを予定しているとのことでありまして、本市といたしましては、引き続き県との緊密な連携体制をもって対応していきたいと考えております。最後に再度強調しておきたいと思いますが、赤ちゃんが置き去りにされるという行為はあってはならないことでありまして、「こうのとりのゆりかご」の設置によりまして赤ちゃんの安易な遺棄等が増えることがないよう、現時点におきまして考えられる出来る限りの対応を市として行いますとともに、関係機関との連携をはじめといたしまして、この施設の運用状況の把握に努めまして、その状況如何によりまして、改めて国、県とも連携のうえ対応していきたいと考えております。私からは以上でございます。

【質疑応答:「こうのとりのゆりかご」について】

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【記者】今回許可する判断をされた訳ですが、そのことについてポイントでは変更許可をしないこととする合理的な理由はないとありますが、それと市としても必要性を感じていたということなのか、第一義的にまずやはり許可できないことはないということなのか、そのへんの市長の考え方をお伺いしたいと思います。もうひとつは市長はできる限り早く判断したいとされていましたが、ここまで判断に時間がかかってきた理由についてお尋ねします。3点目にこのゆりかごの問題につきましては賛否両論ありまして、子捨てを助長することにならないかと、体に障害のある子などが捨てられないか、全国から熊本のほうに遺棄にくることが増えたりしないかという懸念があります。市長はこのことに対してどのようにご説明されるのか3点お願いします。
【市長】まず判断のポイントといたしましては、先ほど申し上げましたように、今回の申請は医療法に基づきまして判断いたしたものでありまして、医療法上の構造設備基準を満たしておりますことや、予定をされている匿名で赤ちゃんを預かるいわゆる「こうのとりのゆりかご」の設備も直ちに関係法令に違反しているとまでは言いきれないこと等によりまして医療法上の変更許可をしないこととする合理的な理由はないとの判断に至ったものであります。しかしながらこのことにつきましては医療法上の許可ではありますけれども、この目的自体が「こうのとりのゆりかご」という目的としているものでありまして、先ほど話がありましたような子捨てを助長するものではないか等々の声も上がったところではありますけれども、私どもとしては相談体制等をできる限りとることによりまして、まずは相談ということを広く周知するなかで出来るだけこの施設が使われることがないような努力をしていかなければならないと考えております。しかしながら現実問題として子どもが捨てられている、生まれたばかりの子どもが健康上、安全上が保たれないような状況のなかで遺棄をされているということが出てきているなかにおきまして、こうした設置も必要であるという申請者の考え方、これは十分理解できるものではあると考えております。
それからできる限り早くということを申し上げてまいりました。4ヶ月間という期間が長いのか短いのか、私どもとしましては先ほど経緯を申し上げましたけれども、国でありますとかあるいは県やいろんな関係機関と、先ほど申し上げましたように現在の法体系で想定されていないものでもありますし、あるいは初めての取組みでもありますし、できるだけ早くという思いに加えまして慎重な対応に心がけてきたところであります。そして今日判断に至ったものであります。出来る限り早くという思いのなかで進めてまいりましたのが今日に至ったものであります。それから最後に子捨てを助長することになりやしないかという懸念に対してということでありますが、これは先ほどポイント必要性のところで述べさせていただいたとおりであります。
【記者】国の見解としては現行法に違反していないという点で消極的容認ということが言えると思うのですけれども、市として今後起こりうる問題というのが多々あると思うのですが、一番今後懸念される問題として考えておられることはどういったことになりますか。
【市長】先ほど申し上げましたように、現在考えられる範囲のなかにおきましては出来るだけの体制を整えるなかで今回の判断に至ったという思いはございます。しかしながら実際今後運用していくなかでなかなか想定できないような課題というものが発生することも考えられるわけでありますから、そのことにつきましてはしっかりと申請者、設置者を始めといたしまして先ほど申し上げました関係機関等々しっかり連携をとることによりまして対応していかなければならないと考えております。それから国におきましても今後の運用状況のあり方につきまして市あるいは県域内だけで完結するような話ではないと思っておりますので、その点につきましてはしっかりと今後も国のほうに相談をしながら、そして運用状況等留意していかなければならないと考えております。
【記者】市長が最初におっしゃったように今回の許可は医療法上の判断であって、実態上「ゆりかご」を直接判断する法的な位置づけ、直接判断する規定等もない訳で、法的な位置づけが曖昧なままに運用するということにはなると思うんですけれども、そのへん新たに国に対して法整備等も考えていただきたいということですが、具体的にお考えを聞かせて下さい。
【市長】これは先ほど3点国に対して望むことということであげさせていただいたところでありますが、その3点目に新たな法体制の整備等も検討していただきたいと申し上げたところであります。外国の事例では匿名出産等が法制化されているところもありますし、そういったことの必要性でありますとか、ただ現時点でその法整備の必要性等、国も考えていない、私どもとしても現時点ですぐそれを求めるというものではありませんけれども、しかしながらこの施設が運用されていくなかで状況に応じてそういったこともぜひとも考えていただきたいということをこの時点で考えているところであります。
【記者】国が結局文書での回答を拒否しましたけれども、そのことに対して市長はどういうふうにお思いになっているのかという点、それと判断のポイントのなかで国に対して法令等の整備などの対応を強く望むとお話になりましたけれども、再三に渡って熊本市と国とが話合われているなかで、こういった要望三点、国は理解を示しているというふうに捉えてもよろしいのでしょうか。
【市長】まず文書での回答が出なかった点につきまして、先ほど申し上げましたように私が国に参りまして6項目につきましての国の考え方の確認をさせていただいた。そのなかである程度の考え方といいますか、ある程度じゃなくてきちんとした考え方を述べていただいたところではありますが、ただ先ほど申し上げたように現在の法体系では想定されていない新しい取組みでもあるということで、やはりより丁寧にという意味で文書の回答を出して欲しいというお願いをしたところであります。そのときには時間はかかるけれども検討するというお話でありました。時間がかかっても構いませんということを申し上げた訳でありますが、その後何らかの状況の変化だと思いますが、なかなか文書は難しいということでありました。そのこと自体は大変残念ではございますが、しかしながら改めて担当のほうを上京させまして、その法解釈について変わりがないかどうかの確認、これをとらせていただいたところでありまして、そこについては変わりがないという確認をとらせていただいた。あるいは参議院・衆議院等での答弁等を聞きましてもやはり変わりがないということを確認させていただいた。そこのところにつきましては文書での回答はいただけはしませんでしたけれども、考え方としては私ども十分理解をしているつもりではあります。それから最後の6項目につきましては新たな法整備ということもありましたし、今後の運用状況のなかでぜひとも国にもいろんな相談に乗って欲しいという思いを込めて6項目目を質問の照会のなかにあげさせていただいたところでありますが、そのことも私はしっかりと国のほうでは受け止めていただいているのではないかというふうにこれは捉えております。
【記者】市としてできる限りの対応ということで24時間の相談体制というのが出てきたと思うのですけれども、これは相談員を人数的にはどれくらい増やされるのか、それといつからされるのかということと、こういった電話に掛けられてこられる方というのは自分で育てられないとか誰にも相談ができないとか非常に切迫した状態で掛けられているケースが多いと思うんですね。そういったなかでこの相談のなかでどういったアドバイスをすればゆりかごの利用が抑止できるのか、どんなふうに対応していかれようと思っているのか、その点についてお願いします。
【市長】まず増員の数でありますけれども、2名の増員を考えているところであります。さらにはそれに加えまして嘱託職員として2名の増員を考えておりますし、さらにはそれに加えて保健福祉センターの職員を加えることによりましてそしてそのローテーションによりまして24時間体制というものを確立をしていきたいと考えております。それから設置の時期でありますが、これにつきましては今月中にはと考えております。これはこのいわゆる「こうのとりのゆりかご」が設置をされるまでにはやはり間に合わせなければならないと考えているところであります。それからいろんな相談がおそらくくるであろうと思っております。切迫した状態や、あるいはいろんな知識が求められることもあろうかと思っておりますが、やはり相談の窓口があるということ、しっかりといろんな悩みを受け止める場所があるということ、それを広く周知をして『ここに何かあったら電話をしてください』ということを広く広めることによって、そして悩みをひとりで抱え込むのではなくて、それが安心に繋がり、そして子を捨てるそれを思い留まることにぜひともつなげたいと、つなげなければならないと考えているところであります。
【記者】今回のゆりかごの計画というものが投げ掛けた意義というか、大きかったようにも思うのですが、その結果このように相談体制の充実をすることにも繋がりましたが、今回の判断をされるなかで相談体制の充実等には着手をされたわけですが、やはり公的機関としてできないものがあるというような思いもあっての判断になるのでしょうか。今回の許可というものについては。
【市長】公的機関でできないものがあるといいますか、これは申請者である医療機関としっかりと連携をとることによりまして子どもの安全安心の取組みというものを進めていく必要があると思っています。これは連携が大事であると思っています。
【記者】いろいろ24時間体制ですとか、相談体制の充実というのを今発表されたと思うのですけれども、逆にいうとこれまでの相談体制、行政としての支援というのは今まで逆に十分ではなかったのかというようなことにもとれるとは思うのですけれども、あとお母さん達が今置かれている状況、そういったところの状況を市長としての認識というものはどういうものなのか。そしてその状況に対してこのゆりかごが投げ掛けた意味というのはどういうものであったのか。
【市長】これまでの相談体制が十分であったのかと問われますと、やはりそれは十分ですとは言い切れないところがあろうかとは思っております。ですから今回「こうのとりのゆりかご」というものが投げ掛けた大きなものといいますか、これはやはりしっかりと受け止めてそして行政の相談機関、敷居が高いとご指摘を受けることもありますけれども、そういった声をしっかりと受け止めるなかで、先ほど申し上げましたようなできるだけ相談しやすいような対応というものを考えていかなければならないと思っております。そして繰り返しになりますけれども、このことというものは市内、あるいは県内だけで完結することではありませんので、全国的なこの相談体制の充実、というものをやはり国のほうでもしっかりと受け止めていただいて、そして具体的な行動に移していただければありがたいと思っています。
【記者】3点程お尋ねをしたいのですけれども、設置の許可についてなんですが、これまでは設置されることによって捨てられる子どもが増えるのではないかという懸念であったり、匿名性の部分についての懸念・課題というのはあるとおっしゃっていたと思うのですが、そのへんの課題については今回対応できると考えられての許可なのかということと、あと今後他の医療機関でも同じような施設の申請というのが出てくることも考えられますが、その場合の対応について市はどのように対応されるのかということと、あともう一点が今回病院に対して付記された部分、三点されていますが、これは条件付きでの許可ということになるのか、この点について病院側にまた今後の対応などについて回答を求められていくのか。
【市長】まず1点目の匿名性等も含めた法的な課題といいますか、これにつきましては先ほど申し上げましたように、ひとつの条約でありますとか、12の法令等含めまして25項目の課題につきまして整理をさせていただいたところでありますが、その検討した結果、その課題についての整理というものはできていると捉えております。しかしながらその遺棄される子どもが増える可能性というもの、これにつきましては先ほど申し上げましたように現在考えられる範囲のなかでできる限りの対応ということでございますので、しっかりとそこに取り組んでいかなければならないと思っております。それから留意事項の3項目につきましてはこれまでも申請者と協議をしてまいりますなかでこの3項目の必要性につきましては認識をしていただいていると理解をしております。ですから私どもといたしましてはこの留意事項がしっかりと守られているかどうかというところ、これはきちんと確認をしなければならないと考えております。そして他の病院から同様の申請が出された場合はということでありますが、これは今回はいわゆる「こうのとりのゆりかご」という一般的なもの全てを認めたというものではございませんので、これにつきましてはまたもし申請が出されるようなことがありますればしっかりとまた協議をしなければならない、庁内でも検討しなければならないと考えております。
【記者】先ほど相談体制のお話がありましたが、例えば相談を受けた場合回答する側が示す選択肢として、慈恵病院にこういうゆりかごというものがありますとか、そういったことを紹介するということもあり得るのでしょうか。
【市長】それは相談の内容によるかと思うのですが、そういうこともあり得るとは思いますが、ただあくまでもこのゆりかごというものは最終手段であるということでありますので、これがありますからどうぞということには決してしてはいけないと思っております。きちんと相談を受け止めてそういうことをしないようにと、そのためにはどうするかと、一緒になって考えていくということが大事であると思っています。
【記者】設置の許可がおりたということで全国でも珍しいことだと思うのですけれども、このニュースが全国に流れますと捨て子をする方がもしかすると熊本まで捨てにくるかもしれません。それは予測がつきません。もしかするとたくさん捨てられるかもしれませんよね。今回の市の対応というのは捨てる前の相談、事前に相談する窓口を増やすということだったのですけれども、仮にたくさん捨てられた場合、キャパ(シティー)を超えた場合とかいうのは想定されているのかどうか、もしキャパを超えた場合に市はその許可を取り消したりするのかどうか。
【市長】そういうことは想定はしておりません。キャパ云々のことは想定はしておりません。繰り返しになりますけれども、できる限りこれを利用していただかないような事前の対応をしなければならないと思っておりますし、それと同時にやはりこれは全国的にも大きな影響を及ぼすような課題だと思っておりました。これを機にやはり改めて命の大切さでありますとか、あるいはその相談体制というものが身近に現在あるわけですから、もう一度そのへんについてご理解をいただくということを、当事者の方もそうですし、あるいは相談体制の側のほうもしっかりとこれまでのことを踏まえたうえで対応していく必要があると考えております。
【記者】状況によっては許可を取り消したりという想定はされていない(のですか)。
【市長】例えば現在留意事項として付記していることが、実際守られていないということがありますれば、取り消すということもあり得るということであります。
【記者】保護責任者遺棄罪などとの絡みでお聞きしたいのですが、県警のほうはケースバイケースで対応するという姿勢で、必ずしもゆりかごに保育器に置かれたからといって罪に問われないとは限らないと思うのですが、そのへんについて市が許可をすることでそういった罪をいわば幇助する形にもなりやしないかという声もあるかと思うのですけれども、そのことについてのご認識はいかがでしょうか。
【市長】まさにそのことは、これは国の見解でもそうでありましたけれども、ケースバイケースであろうかと考えております。そして仮にこの「こうのとりのゆりかご」が使われるような場合がありましたときには病院側に速やかな連絡・報告を求めているものでありまして、児童相談所、南警察署、あるいは私どもへもすぐに報告をしてもらうようにと求めているものではあります。
【記者】相談体制を充実させるということでなるべくゆりかごを利用することがないようにもっていくということはされると思うのですが、最終手段としてやっぱりゆりかごを使う方がどうしてもいらっしゃると、どのくらいのペースでゆりかごを利用するかどうか分かりませんが、そこで赤ちゃんが入れられた場合というのは、市としては棄児が増えたとみるのではなく、そこで救われた命があったという認識でいかれるのでしょうか。
【市長】仮に使われた場合にはやはりそれによって救われる命があったと捉えたいと思います。
【記者】この留意事項で親子関係の確認方法等について特段の配慮を行うこととありますが、これは市としてはどのような親子関係の確認方法というのを想定されているのでしょうか。
【市長】このことにつきましては担当からよろしいでしょうか。確認方法について。(事務局に確認)
【事務局】病院側で今考えていらっしゃるのは、手紙を置きますとか、いわゆる割符みたいなものですね。それから身体の特徴を記載しておくとか。そういうものを今考えておられるところでございます。
【記者】この3ヶ月とちょっといろいろ協議するなかでも児童虐待だとかいろんな悲惨なケースとかも向き合ってこられたかと思うのですけれども、許可は医療法上の許可ではあるんですけれども、やっぱり最終的に許可を後押ししたものというのは必要性がやっぱりあるというふうにみたっていうことでよろしいのでしょうか。
【市長】これを設置することによって救われる命があるという可能性があるということ、これを尊重したことは間違いありません。ただそれを設置することで遺棄される子どもが増える可能性がある訳でありまして、そこのところをどう考えるかということが非常に難しい判断ではありました。
【記者】その関連なんですけれども、市長はこの会見のなかで何度も遺棄されることがあってはならないということと、できるだけゆりかごを使わないような事態になることが望ましいとおっしゃっていますので、その点から考えると法解釈上設置をしない理由はないということから考えると熊本市としては積極的に設置を許可するということではなくて、法解釈上問題がないのであまり利用はしてもらいたくないのだけれども消極的な意味合いでの設置の許可というふうにとってよろしいのでしょうか。
【市長】この問題はそういう積極的とか消極的とかいうことで、二者択一的な分け方は私はしたくないと思っております。先ほど申し上げた判断が全てであります。
【記者】ゆりかご自体は匿名で預ける仕組みなので、これまでの母子保健は当然妊娠したら届出義務があって子どもを育てられない場合も実名で児相(児童相談所)に相談するというその大きな実名原則の流れを大きく揺るがすことになると思うのですが、そのへんの認識はその25項目で先程整理はできているとおっしゃいましたけれども、もう一度市長のお考えをきちんと聞かせていただきたい。
【市長】この課題のなかで「こうのとりのゆりかご」に赤ちゃんを入れるシステムは入れる者の匿名性が保たれることになるが、このことは児童の権利に関する条約の第7条「出自を知る権利」でありますとか第8条「父母に養育される権利は奪われる」こういったことになるのではないかと、そういう課題を出したところでありますけれども、ここにつきましては一概にこのことについて法に違反するものではないと、これは国の解釈が基本にある訳ではありますけれども、私どもとしてもそのような捉え方をしているところではあります。
【記者】国の回答というのは逐条で、この条文についてのここについて違法性がありませんというふうには整理されてないというふうに伺っていますが、それでも課題については先ほどおっしゃったポイントは整理ができている、法に違反するものではないという認識でよろしいでしょうか。
【市長】これは先ほどの保護責任者遺棄罪とも重なってくる訳ではありますけれども、やはりこのこともケースバイケースということになろうかと考えます。
【記者】市長は先ほどから法に違反するものではないと強調されていますけれども、これに関して世論については賛否ありますけれども、この判断は世論に左右されるものではないとお考えですか。
【市長】いろいろと先ほど申し上げましたように賛成、反対いろんな立場からご意見をいただいていたところであります。それから議会等でもいろんな立場からの意見をいただいたところでありますが、今回の判断の参考にしたということは事実であります。ただこの問題は賛成、反対、その多いから少ないからというもので判断するようなことではないと思っています。
【記者】先ほど4ヶ月半経って結果が今日やっと出たということだったんですけれども、4ヶ月半経って結果が出た率直な市長の今の気持ちを教えてください。
【市長】これからがスタートであるという思いであります。今日設置についての判断はしたところではありますが、まさにこれからが大事であると思っておりますのでしっかりと先ほどの申請者に対する留意事項が守られているのかどうか。あるいは私どもの相談体制というものがしっかりと機能しているのかどうかということをチェックしなければならないと思いますし、それから国や関係機関との連携等もしっかりと今後もとっていく必要がある、まさにこれからが始まりであるという思いであります。
【記者】匿名性のことでお伺いしたいのですけれども、結局赤ちゃんが置かれた場合に親が匿名で置いた場合に赤ちゃんが大きくなったときに自分のルーツを知ることができないという課題が残るかと思うのですけれども、結局は出自を知る権利というのは現行法で定められていることではないので、まずは現行法の範囲内で結論を出されたという理解でよろしいのでしょうか。
【市長】現行法の範囲内での結論であることは間違いありませんが、しかしながら先ほどのゆりかごのところに本人確認をするための書類でありますとか、等によってやはり思い留まっていただくといいますか、そういうことをしっかりといろんな留意事項等のなかでも対応していく必要があると思っております。
【記者】まず一点が先ほどからもちょっと話がでておりますけれども、匿名性の問題なのですけれども、市長は先ほど匿名出産のことで触れておられましたが、今後の匿名出産まで見据えたポストの運用、どんなふうにこれは運用されていったらいいのかということを、どうお考えになってらっしゃるのか、ひとつお聞きしたいのと、それともう一点がおっしゃっているように全国への影響というのが多々あると思うのですが、医療法上の許可とはいえですね、赤ちゃんポストの是非を熊本市長が判断したというような理解をされる国民の方々もいらっしゃるかと思います。決断を出すに至るまでのそうした苦悩とかもしあれば教えていただければと思います。
【市長】先ほど新たな法整備のなかで例えばということで匿名出産の話もあげさせていただいたところではありますけれども、現時点で先ほど申し上げましたが、それがすぐに必要であるということは考えているものではありません。しかしながらそれは運用していきますなかでの状況、それ次第によってはそういったものも必要になる可能性もあると、それは外国でも事例があるようにそういうことも国では視野に置いといて欲しいという思いはあります。しかしながら先ほど申し上げましたようになるべくこういう施設は使われることがないような、そのへんは行政としての対応をしっかりととっておくということが大事だと思っています。それから判断をした訳でありますけれども確かに難しい判断ではありました。先ほど苦悩という話もありましたけれども、非常に難しい判断ではありました。やはり現実問題として生まれたばかりの赤ちゃんが遺棄をされるという自体が発生をしているということ、やはり命を何とか守るためには最終手段としてこういった施設も必要なのかという個人的な思いもあったのは事実であります。しかしながら遺棄される子どもが増えるのではないかという懸念もございました。いろんな思いを持ちながら、しかしながら現行法体系のなかで最終的には判断をさせていただいたところでありますし、そして先ほど申し上げておりますようなできる限りこういった施設が使われないような対応というものを想定される範囲のなかでしっかりととって、今回の判断に至ったというものであります。
【記者】病院への留意事項の一点目「子どもの安全の確保」ということについては、病院だけに留意される事項ではなくて、例えば病気の赤ちゃんが置かれた場合とか、瀕死の状態の赤ちゃんが置かれた場合の産児救急が必要になった場合の体制、これっていうのは市民病院を抱える熊本市としても十分に連携をとっていかなければならないと思うのですけれども、そこらへんの仕組みというか病院との連携のあり方、その点についてはどのように進められるのでしょうか。
【市長】そこもやはりそういったケースも考えられる訳ですから、これまでも病院や関係機関といろんなケースを想定したなかで検討を進めてきたところでありますが、これから設置に向けまして、実際の設置それから運用されるなかでいろんな個々具体的なケースにつきましては想定し、そして対応についても申請者と一緒に考えていきたいと思っています。
【記者】市長は今日に至るまで万全の体制を整えて許可かどうか判断したいとおっしゃっていましたけれども、今日相談体制の充実とかでましたが、万全の体制でという認識でいいのかというのをお答えいただきたいのと、あと一点医療法上の許可の取り消しもあり得るという話なのですが、医療法上の許可の取り消しならば衛生的な施設であるかどうかという医療法に基づく取り消ししか認められないと思うのですけれども、この留意事項が守られているかどうかで取り消しが可能なのか。すみませんこれは事務方でも結構なのですが。
【市長】まず一点目は私から答えさせていただきます。確かにこれまでも記者会見等で万全の体制でということを申し上げてまいりました。先ほど申し上げましたように、現在考えられるなかでできる限りの対応ということで準備を進めてまいったところであります。しかしながらこれも先ほど申し上げましたが、実際これは設置された後でないとなかなか分からない場面もあろうかと思っております。ですから現時点においての万全の体制と申し上げておきたいと思います。それから二点目につきましては担当から。
【事務局】二点目の医療法上の許可でありますので医療法上の取り消しがあり得るかというお話ですが、先ほど市長が言われた取り消しの意味は、病院の今回の施設構造の変更については医療法上の病院側の安全衛生に支障がないということで「こうのとりのゆりかご」に関する関連法令も含めて検討したうえで許可ということになった訳ですが、その許可によって病院の施設構造は変更されますので、そのことを取り消すということ、直接的ではありませんけれども、運用の状況に応じては危惧されている状況が生じ、刑法や児童福祉法、児童虐待防止法に触れる状況が続発するようであれば医療法人としての取組みでございますので医療法に基づきまして医療法人のあるいは医療施設に対する監督権の行使としての実行というのがあり得るとそういう意味でございます。
【記者】すみません二点お願いします。この問題については、設置をめぐって安倍首相のほうはこれまで大変抵抗を感じると非常に否定的な見解を述べていました。その考え今のところ市長がこれまでいろいろ前向きな姿勢を示してきたにも関わらず変わってないようです。それを市長は今どう受け止めておられるのか、という点が一点です。そして結果的に遺棄の子どもがでた場合、名付け親は熊本市長になりますですね。そのことの責任の重みというのをどう考えてらっしゃるのかと二点お願いします。
【市長】まず一点目でありますけれども、確かに首相のほうから抵抗を感じるという発言がなされておりました。先ほど私自身も判断については大変悩んだということを申し上げましたが、確かにこのことをすぐ必要だ、ぜひやりなさいというものではないと私もそう思っています。ですからあれは首相の率直な感想だったのかなと思っておりますが、その後厚生労働大臣あるいは国会等の答弁等もみておりますと先ほど申し上げましたように合法的な考え方といいますか、それについては変化がないということでありますから、今後も国、厚労省(厚生労働省)とはしっかりと連携をとらせていただきたいと思っております。名付け親云々は別にして繰り返しになるかもしれませんがこういう施設が使われないこと、そして遺棄されるような子どもが少なくなること、なくなることを願うものであります。
【記者】先ほど許可の判断というのは消極的だとか積極的だとかということで考えたくないというふうにおっしゃったのですけれども、直ちに関係法令に違反するとまではいえないということはですね、裏を返せば現行法では適法であるという判断というふうにいっていいのでしょうか。
【市長】先ほど課題の整理のなかでいろんな法令の話を12法令に照らし合わせてということを申しあげました。そういうなかで整理をされたということを申し上げました。しかしながらケースによりましては法に抵触する可能性もあるということであります。しかしながらこれを設置するという行為自体が即法に反しているというものではないということであります。そのことが今回の判断に至った理由の一つでもあります。
【記者】4ヶ月の間市長自らも厚生労働省に出向かれて悩まれたと思うのですが、許可のポイントとしてどの時点が一番のポイントだったでしょうか?時期的にはですね。
【市長】どの時点でといいますか、やはり判断をしたのは今朝でありますから、ひとつひとついろんな課題を整理していきますなかで最終的な判断に至ったというものでありますが、ただ一番私どもで悩んでおりました法の解釈ですね、それをどう捉えたらいいのかという部分、それにつきましては国から考え方を示していただいたということが判断の大きな材料になったということは間違いありません。
【記者】それと一連の国との協議のなかで文書による回答がないということがありましたけれども、納得のいく対応だったでしょうか。
【市長】国の対応がですか。
【記者】はい。
【市長】100パーセント納得かというと、私が参りましたときには文書での回答というものを検討するとおっしゃっていただいた。その後何らかの事情で変わったという部分については少し疑問の残るところではありますけれども、しかしながら誠意を持って対応していただいたと思っております。
【記者】国に対してその法令の整備等を強く求められるということなのですが、市で独自に条例の整備とかそういうことは考えていらっしゃるのでしょうか。
【市長】今回相談体制等を市として、あるいは県と連携しながらできるだけのことをやってまいりましたけれども、そのことにつきましても、この域内で完結する話ではないと思っておりますので、現時点で条例等の整備等考えているものではありません。

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