【市長発表項目:「こうのとりのゆりかご」について】
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それでは記者会見を始めさせていただきます。まず早速でありますが、結論から申し上げます。医療法人聖粒会から平成18年12月15日付けで提出をされておりました病院開設許可事項変更許可申請につきまして、本日4月5日付けをもちまして、医療法上の許可を行ったところであります。なお申請者に対するこの病院開設許可事項変更許可にあたりまして、設置を予定するいわゆる「こうのとりのゆりかご」につきましては国等から示されておりました運用上等の留意点でありますとか、本市のこれまでの検討を踏まえ留意事項を付記したところであります。その留意事項といたしましては3点ございますが、まず1点目は子どもの安全の確保であります。子どもの健康及び生命に支障が生じないよう構造上及び運用上の安全性を確保することそれが1点目、それから2点目でありますが相談機能の強化、病院の相談機能に関する人的及び設備面の強化を図り保護者が相談しやすい体制を確保すること、最後の3点目でありますが公的相談機関等との連携であります。その3点目のなかでも小さくまた3項目に分かれておりますが、1項目目が保護者に公的相談機関への相談を促す掲示を分かりやすい場所に設置をすること、それから2点目といたしまして子どもを置いた保護者が考え直した場合の連絡方法や親子関係の確認方法について特段の配慮を行うこと、さらには3点目、子どもが置かれた場合は要保護児童として直ちに本市、熊本県、熊本南警察署、並びに熊本県中央児童相談所に通告すること、公的相談機関等との連携、以上3項目でございます。申すまでもなく私は、赤ちゃんが置き去りにされるという行為はあってはならないと考えておりまして、様々な悩みを抱えた保護者の方々には福祉総合相談室を始めといたしまして、各保健福祉センターあるいは県の児童相談所等公的機関にぜひ相談していただきたいと考えております。また本市といたしましては、妊娠等の悩みの相談に対応いたしますため福祉総合相談室の相談員を増員いたしまして24時間体制で電話相談に応じるなど相談体制の充実を図ることといたしております。次に改めまして、これまでの検討経過につきまして申し上げさせていただきます。申請者医療法人聖粒会からは、平成18年11月の中旬に市保健所に対しまして慈恵病院内の施設を一部改修したいとの相談があったところでありますが、その目的がいわゆる「こうのとりのゆりかご」の設置とのことでありまして、多数の所管事務に関連する課題でありますことから関係課の情報交換を行うべく庁内7課によります検討会議を設置をいたしたところであります。それが昨年の11月の10日でございました。平成18年12月15日、申請者から医療法に基づく病院開設許可事項変更許可申請書が提出をされまして、初めてこの「こうのとりのゆりかご」の計画の具体的内容が明らかになったところでありますが、このことは我が国の法体系が想定していない仕組みでありまして、法律の適用関係が不明であること、そして全国でも初めての事例でありまして、今回の事例が全国的に大きな影響を及ぼす可能性があることなどから、早速12月18日には担当者を厚生労働省に派遣をいたしまして相談をさせたところであります。
その後、年末から今年の2月22日に至りますまでの1ヶ月半、国をはじめといたしまして、県の児童福祉や母子保健、医療政策を所管される関係課、児童相談所、熊本県熊本南警察署、熊本県警察本部、及び庁内検討会議などにおいて協議や確認を行いながら、本案件にかかる課題を検討いたしまして、1つの条約、12の法令、25項目に課題の整理をしたところであります。
この25項目の課題のうち、特に医療法上の許可・不許可の判断を行います上での大きなポイントとなります重要事項の6つの項目につきまして、去る2月19日には健康福祉局長を厚生労働省に派遣をいたしまして、事務的な協議を行ったところであります。2月22日には私が直接厚生労働省を訪問いたしまして、国の回答を求めたところであります。
また、申請者に対しましても、本市が検討してまいりました25項目につきまして内容を提示いたしますとともに、重要な4項目につきまして説明責任を果たしていただくため文書照会を行ったところであります。
その後、国におかれましては、柳沢厚生労働大臣、辻事務次官、さらには安倍首相や塩崎官房長官、高市内閣府特命大臣など様々なお立場からのご意見が報道されるところとなりまして、去る3月12日には参議院予算委員会において、そして3月15日には衆議院本会議においても本案件が論議されるところとなりました。
また、本市におきましては、先の2月議会の本会議におきまして、さらには保健福祉委員会におきましても質問やご意見をいただいたところであります。この間、市民の皆様方をはじめといたしまして、全国から電話や手紙、あるいはEメールなどによりまして、賛成、反対、その他沢山のご意見をお寄せいただいたところであります。
その後3月20日には、2月22日に照会しておりました4つの項目につきまして、申請者から文書で回答をいただいたところであります。また、同日、担当者を国に派遣いたしまして、文書で照会しておりました6つの項目につきまして、これまでの国の法解釈に変わりがないことを確認いたしますとともに、今後の国との連携について依頼を行ったところであります。
さらに、3月27日には保健所による現地調査を行ったところでありまして、これと前後するかたちで県との協議、確認を行ってまいりました。
これらを総合的に熟慮いたしました結果、本日、許可することといたしました。
今回の申請でありますが、医療法に基づいて行われたものでありますが、医療法上の構造設備基準を満たしていることや、予定をされております「こうのとりのゆりかご」の設置も直ちに関係法令に違反しているとまでは言い切れないことなどによりまして、医療法上の変更許可をしないこととする合理的な理由はないとの判断に至ったものであります。
しかしながら、赤ちゃんの命、あるいはその健やかな成長等の観点から、今後、国に対しまして、妊娠に関する悩み相談体制の全国的な充実でありますとか、運用上の課題に対する本市からの相談への対応でありますとか、状況に応じた法令等の整備等の対応がなされることを強く望むものであります。
今後、病院におきましては、子どもの安全の確保、さらには相談機能の強化、公的相談機関等との連携などに留意をして適切に運用していただきたいと考えております。
本市といたしましては、相談機能の充実、あるいはその周知広報の徹底等に努めていきたいと考えております。
具体的にはまず妊娠等の悩みへの取り組みといたしまして、現在、市の担当部門におきまして電話、来所による相談や、担当保健師による家庭訪問等により妊婦等の悩みの相談を受けておりまして、その解消に向けた取り組みを行っているところであります。
今後、新たに「妊娠に関する悩み相談電話」を設置するなど24時間の相談体制を確立いたしますとともに、福祉総合相談室におきまして相談体制を強化いたしますために相談員を増員することといたしております。
続きまして妊産婦への取り組みといたしましては、従来の電話、来所による出産等の相談に加えまして、只今申し上げました24時間相談体制のなかで悩みや不安等の解消に努めてまいりますとともに、育児支援家庭訪問を拡充をいたしまして相談体制の強化を図ってまいりたいと考えております。そして子の養育等への取り組みといたしましては現在、保健福祉センターや福祉総合相談室への電話、来所による子育てに関する相談を行っているところでありまして、今後、子育て支援センター公立で1ヶ所、その他5ヶ所、合計8ヶ所現在設置をしているところでありますが、新年度平成19年度には、2ヶ所増設をする予定にいたしております。さらには次世代育成支援行動計画によります目標年次平成21年度までには15ヶ所の設置を進めてまいりたいと考えておりますし、さらには育児不安の解消、地域の保育情報の提供等、地域全体で子育てを支援する取組みを進めてまいりたいと考えております。また、総合子育て支援センターにおきまして現在、小学生から大学生を対象として実施しております赤ちゃんとのふれあい体験につきまして、他の子育て支援センターへの拡充を行ってまいりたいと考えております。平成20年度には、総合保健福祉センター、仮称でございますが、現在建築中でございますが、ここに子ども総合相談室を設けますとともに、将来的には市の児童相談所の設置によりまして、子どもに関します相談体制の強化を進めてまいりたいと考えております。最後に周知・広報の徹底として市政だより、ホームページ及びポスター等によりまして相談体制や今後の取り組み等の周知徹底を図ってまいりたいと考えております。また、県におきましては、福祉総合相談所における妊娠葛藤相談や養育相談の周知の徹底を図りますとともに、今後、乳幼児と学生のふれあい交流など、若い世代に命の大切さを訴える取り組みを予定しているとのことでありまして、本市といたしましては、引き続き県との緊密な連携体制をもって対応していきたいと考えております。最後に再度強調しておきたいと思いますが、赤ちゃんが置き去りにされるという行為はあってはならないことでありまして、「こうのとりのゆりかご」の設置によりまして赤ちゃんの安易な遺棄等が増えることがないよう、現時点におきまして考えられる出来る限りの対応を市として行いますとともに、関係機関との連携をはじめといたしまして、この施設の運用状況の把握に努めまして、その状況如何によりまして、改めて国、県とも連携のうえ対応していきたいと考えております。私からは以上でございます。