はじめに、9月21日に発生しました石川県能登地方の豪雨災害についてです。
まず、この豪雨災害によりお亡くなりになられた方々に哀悼の意を表しますとともに、被災された全ての皆様にお見舞い申し上げます。
本年1月に発生しました「令和6年能登半島地震」の災害復旧のために派遣しております本市職員8名については、全員無事であるとの報告を受けており、引き続き、被災地の復興に向けて全力で取り組んでいくよう指示いたしました。
また、指定都市市長会におきましても、総務省などの関係機関と連携いたしまして、被災した自治体に対口支援として新たに応援職員を派遣するなどの体制を整えております。
本市におきましても、引き続き関係機関と連携いたしまして、被災された皆様が一日でも早く元の生活に戻ることができるように、できる限りの支援を行ってまいります。
市民の皆様におかれましては、今回の災害を自分ごととして捉えていただき、発生が予測できない災害へ備えるため、ご家庭や職場の防災対策や避難方法、また備蓄物資等をご確認いただきますようよろしくお願いいたします。
それでは、第3回定例会を終えての所感を述べさせていただきます。
本定例会に提出いたしました予算案及び条例案等につきましては、議会において慎重にご 審議いただいた結果、原案どおり全て可決いただきました。
一般質問では、新庁舎整備をはじめ、地域公共交通の今後の在り方や、本市の職場環境整備に向けた取組のほか、防災、福祉、教育、経済政策等に関する諸課題など、いずれも本市の将来に関わる重要な政策課題について、議員各位から大変熱心にご質問をいただきました。
なお、教育委員会において、市議会での議決を経ずに購入しておりました教師用指導書につきましても、追加議案を提出し可決いただきました。法令等の規定に違反する不適切な支出は決してあってはならないことであり、議員各位はじめ、市民の皆様に深くお詫び申し上げます。
本日私から教育長に対して、改めて適正な事務の執行について厳しく指導したところでございまして、市のトップとして引き続き、覚悟をもって対応してまいりたいと考えております。
本定例会を通じて賜りましたご意見・ご要望につきましては、真摯に受け止め、市政運営の糧として取り組んでまいります。
次に、「市電延伸室の新設」についてお知らせいたします。
本市では、誰もが安心して移動できる持続可能な公共交通の実現に向けた取組の一つとして、市電の延伸に取り組んでおりまして、本日閉会いたしました第三回定例会では「(仮称)東町線」の市電延伸に係る実施設計等に要する予算を可決いただきました。
これを受けまして、「(仮称)東町線」の整備を迅速かつ円滑に進めていくため、都市建設局の移動円滑推進課内に「市電延伸室」を新設することといたしました。
「市電延伸室」の設置は10月1日(火曜日)付けとし、室長以下7名体制といたします。
新たな組織により体制を強化し、令和13年の開業を目指して、市電延伸事業を着実に推進してまいりたいと考えております。
次に「公共交通利用促進に関する取組」についてお知らせいたします。
まず、今月21日から交通事業者が販売しております「渋滞なくそう!半額パス」についてです。こちらをご覧ください。
このパスは、10月1日から来年2月末までの5ヶ月間、割引対象となる県内の路線バスや電鉄電車、市電を利用して、平日朝9時以降に降車した場合、通常の半額の運賃でご利用いただける大変お得なサービスです。
加えて、土曜、日曜、祝日は時間の制限なく、始発から終日半額でご利用できますし、同乗者の方も、大人は1名まで、小学生以下のお子様は何人でも半額割引が適用されます。
詳細は各交通事業者のHPをご確認いただきたいと思います。
市民の皆様には、時差出勤による通勤や、日常生活の様々なシーンにおいて、お得な半額パスをぜひご利用いただきたいと思います。
次に、くまモンのICカードに関するキャンペーンについてお知らせいたします。
10月1日から来年3月末までの間、くまモンのICカードを路線バスや電鉄電車、熊本市電でご利用いただきますと、ポイントが通常の2倍となり、また、期間中毎月抽選で100名の方に1,000ポイントが付与されるキャンペーンが実施されます。
付与されたポイントは電子マネーに交換することで、運賃決済等に利用できます。
詳細については肥後銀行HPをご確認いただきたいと思います。
また、現在、熊本市電において実施しております「1日上限設定割引キャンペーン」につきましては、さらに多くの皆様にタッチ決済をご利用いただくため、期間を12月末まで延長いたしまして、引き続き上限額を360円として継続することといたしました。
既にご利用いただいた方も、まだご利用されていない方も、市電をご利用の際には、ぜひこの機会にタッチ決済による運賃支払いをご体験いただければと思います。
今後も、引き続き県や交通事業者等の関係者と連携いたしまして、公共交通の更なる利用促進に取り組んでまいりたいと考えております。
次に「秋のくまもとお城まつり」の開催についてお知らせいたします。
お城まつりは、二の丸広場を中心に毎年春と秋に開催しているイベントで、秋のお城まつりでは、例年、城あかりや熊本城流鏑馬などを行っておりまして、市民の皆様はもちろん、観光客の方々からも大変好評をいただいております。
そして、今年は例年より1ヶ月ほど早い、10月11日(金曜日)から11月4日(月曜日)まで開催いたしまして、熊本城のこれまでにない新たな姿をお届けいたします。まずは、こちらの動画をご覧ください。
今、(動画の中で)雲上の熊本城というものがありましたが、ご覧いただきましたとおり、今回、初の試みとして「雲上の熊本城」と題し、日本最大級の人工雲海により、天守閣や石垣を美しく荘厳に演出し、特別見学通路では雲の上を歩いているような非日常の雰囲気を味わっていただけます。
この雲海は、夜にはライトアップの演出も加わり、昼間とは違った表情をお楽しみいただけるとともに、雲海を発生させるミストは、一部飯田丸の井戸水を使用しており、「水の都熊本」ならではの取組となっております。
期間中は、開園時間を午後9時まで延長し夜間開園を行います。この機会に熊本城の新たな姿をぜひご覧いただければと思います。
このほか、10月18日(金曜日)から11月4日までの期間は、本丸エリア各所に設置された竹あかりや、天守閣の輪郭を縁取るレーザー・ムービングライトなど、見ごたえのある演出を多数用意しております。
各イベントの詳細については、お城まつりの公式ホームページをご確認ください。
期間中は大変混雑が予想されますので、ご来場いただきます皆様には、公共交通機関などでお越しいただき、秋の夜長を熊本城にてお楽しみいただければと思います。
次に「バリアフルレストラン in くまもと」の開催についてお知らせいたします。こちらのモニターをご覧ください。
10月14日・15日の2日間、熊本城ホール2階のエントランスロビーにおきまして「バリアフルレストラン in くまもと」を西日本で初めて開催いたします。
この「バリアフルレストラン」、あまり聞いたことがない方も多いかと思いますが、これは「もしも世の中のほとんどの人が車いすユーザーだったら」という社会を想定して作られた体験プログラムです。レストランの内部は、天井が低い、また椅子が無いなど、立って歩く人にとっては過ごしにくい作りとなっております。
レストランの中に入ると、車いすユーザーのスタッフの方に迎えられ、頭をぶつけないように腰をかがめながら歩いたり、立ったまま低いテーブルからサンプルの食品を取り分けたりするなど、「障がい」を感じる体験をしていただくことができます。
この体験を通して、「障がい」は個人の心身機能に起因するものではなく、社会や環境によって作り出されているということに気づいていただき、皆様それぞれの「当たり前」を見直すきっかけにしていただければと思います。
このレストランでは飲食物の提供はありませんが、予約不要で、参加費も無料ですので、ぜひ多くの方にご来店いただきたいと思います。
最後に、「熊本市 若者・ヤングケアラー支援センター」の開設についてお知らせいたします。こちらのモニターをご覧ください。
こどもや若者が抱える複雑化・深刻化する課題の解決を積極的に支援するために、「熊本市 若者・ヤングケアラー支援センター」を10月1日に開設いたします。
このセンターには、社会福祉士、臨床心理士等の資格を有する職員を配置し、若者やヤングケアラーの皆様からのあらゆる相談を受け付けますほか、新たに病院受診や就労相談への同行支援に取り組むとともに、若者やヤングケアラーの方々に、安心して過ごしていただける居場所を提供いたします。
開所時間は、月曜日から金曜日の午前9時から午後6時までで、来所、電話、メールやLINEでの相談を受け付けますほか、来所が難しい場合は、職員がご自宅のほうに訪問して相談をお受けすることもいたします。
ご本人はもちろん、ご家族や周囲の方々からのご相談もお受けいたします。特にヤングケアラーは、こども本人の自覚がないケースもございますので、少しでも気になることがあれば、お気軽にご相談いただければと思います。
私からは以上です。
【記者】定例会が終わり、長く議論されてきた市役所の建替えに向けた関連予算案と、同じく長く議論を進めてきた市電の延伸についても、実施設計などの予算が可決されました。市長の受け止めを改めてお願いします。
【市長】今回の議会では、大きな市の方向性を示す議案が可決されました。一つは、市庁舎の整備設計関連予算が可決したということで、これでいよいよ移転、新庁舎の建設がスタートするということになります。長年にわたって、耐震性の問題も含めて、機能などいろいろな問題について、ご議論がございました。いろいろと議論を尽くしていただいた中で、賛成多数で今日可決をいただいたということは大変ありがたく、そしてまた我々の方向性についても、一定程度ご理解をいただいて、議会としても前にしっかり進めるようにということであったと私自身受け止めております。とはいえ、当然慎重なご意見、それから、もっと市民の皆さんに分かりやすく状況を、なぜ建替えが必要なのか、あるいは、建て替えた後にどういうまちづくりを行っていくのかという将来のビジョンを含めてしっかりお示しするようにと、議会からも数々のご指摘をいただいておりますので、これから丁寧に進めさせていただきたいと思います。
基本構想を策定し、先ほど議長に、議会棟の在り方についても、ぜひご検討いただきたいということでお願いをしてまいりましたが、そういったことも含めて、市民の皆さんには、次の庁舎がどのような新しい機能を持って、大きな災害が起こっても安心な庁舎、昨日も地震がありましたが、いざ大きな地震が来ても安心な体制をしっかりつくっていけるように、頑張っていきたいと思います。
それから市電の延伸について、私の1期目のマニフェストでお示しして以降、ずっと市電の問題については掲げてきました。9年以上にわたって議論を続けてきたわけですが、ようやく今回、設計の予算が可決をしたということで、今まで数十年にわたって、特に鉄軌道をどんどん延ばして、もっと熊本の公共交通軸を強固なものにしてほしいというような声や、渋滞が深刻で、公共交通機関の輸送力や利便性の拡充という要望が非常に多い中で、ようやくこうしてスタートを切ることができたのは、私も大変感慨深い気持ちで、今日は本会議に臨ませていただきました。
これから先ほど申し上げましたように、市電延伸室の新設もして、どんどん事業を進めてまいりますが、公共交通の利用がさらに増えていくように、しっかり取り組んでいきたいと考えています。
【記者】市電でトラブルが頻発していることに対して、先日、九州運輸局から交通局へ改善指示がありました。このことについての受け止めをお聞かせください。
【市長】九州運輸局による改善指示は、今年の1月以降、インシデントや重大事故が連続して発生したことを受けて実施されたものでありまして、緊急保安監査の結果、改善の必要性が認められた事項について、改善措置を講じるようにということで先日指示を受けました。このことは大変重大なことですので重く受け止めさせていただいていますとともに、こういった指示を受けたということに関しまして、市民の皆様にご迷惑とご心配をおかけしておりますこと、また、ご不安を抱かせてしまっていることに、改めてお詫びを申し上げたいと思います。今回、指示を受けた事項それぞれについては真摯に受け止めて早急に対策に取り組んでまいりますし、私からもそのように担当部局に指示をさせていただきました。
私自身も実は、先日、九州運輸局長に面会にお伺いしまして、いろいろと意見交換をさせていただきましたが、我々の安全に対する決意、覚悟、こういったものについてもお示しするとともに、引き続き厳しい目でご指導いただきますようお願いをしてきたところです。これからも安全運行に向けて全力で頑張っていきたいと思っています。
【記者】庁舎関連について伺います。今後、基本計画の策定に向けて動かれるということで、市民の方々への説明や要望を聞く機会を、どのあたりで考えていらっしゃるのかお聞かせください。
【市長】改めて今回議決をいただきましたので、構想の策定からこれまでのプロセスを、皆さんには、なぜ市役所を建て替える必要性があるのか、そして、どういう形でこれまでの議論が進んできたのか、ということをできるだけ分かりやすくお伝えするように、例えば動画で皆さんにお伝えできるように、そういったものを作成したり、あるいは、報道機関の皆さんにご協力いただいてメディアで発信するなど、いろいろと考えているところです。そして、これから基本計画をつくっていくということで、やっと、市役所をどういう形にしていったほうがいいのかという、市民の皆さんのご意見を反映する場面になってまいりますので、ワークショップを行ったり、シンポジウム等々も開いて、これからのまちづくりについての、いろいろな可能性をご議論いただくような機会も考えています。まだ詳細に日時が決まったとか、具体的には決まっていませんが、そうしたことを、これからどんどん進めていくことで、市民の皆さん方のご理解と、それから熟度も高めてまいりたいと考えています。
【記者】新庁舎建設をまちづくりの起爆剤にとおっしゃられていますが、改めて本庁舎移転後はどういった熊本市を創造していくのか、今回の議決を受けての決意などがあれば、教えてください。
【市長】まずは、熊本地震という大きな災害を受けて、強靱なまちにしていかなければならないということです。災害に強いまちにするということは、未来の熊本にとっても非常に重要なことです。そういう意味では、今回、本庁舎建替えをして、そして耐震性の高い、災害に強い建物にするために、いろいろな最新の技術や知見を生かして、これから整備していくことになりますが、それと同時に、民間のビルなど、今、まちなか再生プロジェクトもやっていますように、街中のいろいろな老朽化したビルや家屋も、耐震性が高いとか、災害に強い設計にしているかはすごく重要なことになると思います。ですので、そういったものに波及していくように、地震にも負けない強いまちをつくっていく、そしてそれが安心に繋がって、賑わいに繋がっていくと考えています。そこがまずは1番大きいところかなと思っています。
そのうえで、熊本の街というのは、今、海外からたくさんのお客さんがお見えになったり、観光客の方々も過去最高ということで来ていただいていますし、先日は移住者の方との懇談もさせていただきましたが、東京などの都市部にお住まいの方が、熊本に移ってきて何がすばらしいかというと、まちなかがコンパクトで、歩いていろいろな所にアクセスできるということが非常に快適であるということで、移住の強いインセンティブになったというようなことも伺ったところです。
そのように考えますと、まちなかの市役所が建っている場所は、城下町の本当にど真ん中の中心でもありますので、この地域が、先ほど申し上げましたように強靱であるということはもちろんですが、魅力的で、このエリアの活性化に繋がっていくような跡地の利活用についても、これから議論が進んでいくと思いますので、多くの皆さん方が期待と希望を持てるような、そういったまちづくりに向けて、熊本市としては全力を挙げていきたいと思っています。
【記者】定例議会でもありましたが、上熊本駅の屋根落下について、これまで市は管理責任を認めたうえで、一方で施工に瑕疵があったと主張してきましたが、現在もこの認識に変わりはありませんか。
【市長】今回の議案については、平成28年の3月に完成した屋根に、求めるべき品質と性能を欠く瑕疵があったということで、屋根の撤去あるいは再設置の費用が必要ということになったことから、市が被った損害について賠償金等の請求を行うということで、その認識についてはこれまでと変わりありません。
ただ、今後は本市の委任弁護士と調整しまして、提訴に向けて準備を行ってまいりますが、熊本市の管理についての問題、管理をもう少しきちんとやっていれば発生を防げたのではないか、というようなこともご指摘をいただきました。そういったこともしっかり踏まえて、いろいろな検証を進めていきながら、そして瑕疵については、司法のご判断を仰ぎたいという考えで提出をさせていただきます。
【記者】半額パスについて、これまでいろいろキャンペーンを行われてきたと思いますが、今回は実証実験ということで、結果次第では本格導入も想定されているのでしょうか。
【市長】バス事業者さんと県の予算を使って行われますが、公共交通をもっと利用してもらいたいというのは熊本市も思っているところで、こういった事業についてはできるだけ多くの方に利用していただくことになれば、当然継続をしていこうとか、そういった議論に繋がっていくと思います。
この半額パスの発売が始まってからまだ数日間しか経っていませんが、実は予定を超えるような販売数になっているということで、当初は全体で1,500ぐらいいけばいいかなぐらいの見込みでスタートされたようですが、もう既にここ数日間で1,300を超えるぐらいの状況だと伺っています。
実は私も買いました。行列ができていましたが、ちゃんと並んで買いました。半額パスの申込みの方も普通の定期と同じところに並んだので、定期の方が多いのかなと思いましたが、実は半額パスを求める人たちばかりが並んでおられたので、皆さんもお得だなとお感じになっているんだろうと思います。これで、市電もバスも電鉄電車も全て半額ということですし、県内の路線バスで使える、熊本市内だけではない広いエリアで使えるということですから、非常にこれはお得です。
こういうことを今やっているということと、それから、まちなかフリーパスも土日祝日は300円で乗り放題となりますし、それから市電も上限360円で何回でも乗り放題ということで、クレジットカードタッチ決済という形になりますが、そういったことでいろいろ選択肢が増えて、ユーザーの皆さんが魅力的だな、車よりも公共交通がお得だなと思っていただけるような取組を進めていきます。
バス事業者さんは今のように好調であれば、またぜひやっていこう、その時には県や市も協力してほしいと恐らく言われてくると思いますので、その時には、いろいろ検討して議会ともご相談しながら、予算等々についても考えなければいけないかなと思っております。ぜひ多くの方に、まずは利用していただいて、この半年間の実証実験の結果で、いろいろな割引や優遇政策については、考えていきたいと思っています。
【記者】今日、議会で庁舎関連の予算が可決されたということで、これから基本計画の策定に向けて、市民のご意見を聞きながら丁寧に進めていかれると思いますが、一方で地震はいつ起こるか分からないので迅速な対応も求められると思います。特に、熊本市の市民病院が耐震不足と長く指摘されながら熊本地震で被災して、関連死でお子さんが1人亡くなっています。改めて迅速な対応という点で、どういった工夫をされていくおつもりか、教えてください。
【市長】まず、今回設計関連の予算が可決されました。本庁舎等については耐震性に問題があるため建て替えるべきだということは、多くの有識者の皆さんやいろいろな方々からの結論としてきちんと導き出されたものですので、対応を急がなければならないと思いました。
ただ、これまでの議論で少し時間を要したのは、こうした大きな庁舎の建替えは市政の中でも100年に1回とか50年に1回ぐらいの大きな事業ですので、いろいろな疑念について慎重に審議していく必要があったこと、それから、コロナ禍の中で我々もそちらに集中せざるを得なかったということで時間を要してしまったことは大変申し訳なく思っています。これからそういった災害に対応できるようにするにはスピーディーにいろいろな対応を進めていかなければならないと思います。ですから、丁寧に市民の皆さんのご意見を聞きながら、計画・実施設計に向けて進めていきたいと思っていますが、昨日も夜中に地震が起こっていますので、そのリスクというのはずっとあると思っています。
先ほど能登半島についても申し上げましたけれども、いつ我々はそういった災害に襲われるかは分かりません。とにかく大きな災害が起きても対応できるように、まず、今、この庁舎の中でできる限りの対策をとりながら、新しい庁舎に向けてできるだけスピーディーに取り組んでいくことによって、市民の皆さんの安全安心というものをしっかり守っていくことができると思います。
いろいろなご意見をもちろん丁寧に聞きながらということではありますが、その必要性についてはしっかり訴えて、そして市民の皆さんの安全を確保できるような市役所体制をつくっていきたいと思います。
【記者】市電延伸室についてお伺いします。東町線の事業を円滑に進めるために設置されるということですが、延伸に関しては東町線以外のルートについても検討の俎上に上っていると思います。他のルートの検討についても延伸室で検討を進めていかれるのでしょうか。
【市長】今日、議決をしていただいたばかりですので、東町線のことについて市電延伸室のほうで集中して取り組んでいきたいということがまず一つです。2031年までの開業ということで時間もそうあるわけではありませんので、円滑に推進するためにはまずここに集中するということです。
それ以外のルートに関しても、これまでいろいろな検討をしてまいりましたが、今回、実際にこういった専門のセクションと体制をつくると同時に、並行して他の延伸についても検討するようにと、議会からもご意見を承ったところです。市電延伸室では東町線の整備に関することに集中させていただきますが、それと同時に都市建設局やいろいろな関連の部署と一緒になって今後のまちづくりの展開を考える中で、基幹公共交通軸をいかに強化するのかということを考えて、できるだけ早くそういった将来の全体の方向性をお示しできるようにしていきたいと思っています。
【記者】改善指示の関連ですが、これだけ市電のトラブルが続いている要因として、例えば職員の単年度任用などのこれまでのいろいろな合理化策のしわ寄せが招いているのではないか、改善策にもそういったことが含まれているのではないかと思うのですが、まずそうした指摘に対しての市長のお考えをお聞かせください。
【市長】市電100周年記念式典の際に申し上げましたが、これまでを振り返ってみる中で、経営が非常に危機的状況に陥ったということで暫定的な措置でいろいろなことをやってきました。そのしわ寄せで安全という絶対に守らなければならないところがないがしろにされてしまったということは、トップとして非常に重い責任を負っていると感じています。ですので、交通事業管理者や交通局のスタッフにも常に言っていますが、とにかく安全を最優先にするということは、公共交通を行う事業者として最重要の当然の責務ですので、ここについて全力を傾注するようにということで、8月1日を安全運行誓いの日と定め、それ以降もいろいろな取組をさせていただいています。もちろんいろいろなことが起こるたびに対処はしていますが、根本的には合理化策によってひずみができたということだと思います。
合理化をして経営が安定すればそれでいいのかというと、やはり両立というかバランスをきちんと取った上での経営の合理化ということでなければ本末転倒だと私は思っています。これから上下分離という形に進んでいきますが、公共交通の事業について、これは市電の事業もそうですし、もちろんバスや事業者の皆さんに対してもこれからいろいろな連携をとりながら、そして、必要に応じて財政的な面でも、行政としてしっかりとした下支えができるようにしていく必要があると思っています。
ですので、当然これから道路やいろいろなネットワークを整備していくのに多額の予算を使いますが、一方で即効性があるといいますか、早く多くの方々を輸送できるという意味では、市電の延伸等々も非常に効果的なものです。経営基盤をしっかり安定させて、そして安心して皆さんが働けるような体制をつくることは、安全という面に大きくつながっているんだなと改めて認識をしておりますので、そこについてはこれから全力で、行政として、上下分離になって一般財団法人になったとしても、責任をもって支えていきたいと考えています。
【記者】財政支援ということで、設備の老朽化なども言われていますが、その辺に対する財政支援予算化も念頭にあるという理解でよろしいですか。
【市長】現時点ではまだ何に対してということまでは考えておりません。当然交通事業の中で一生懸命努力をしていただいて、運賃をお客様からいただきながら、いろいろな経営の取組をやっていくと思います。そのうえでこういったものが必要である、そこに対しての支援策が必要であるというようなことが現場なり交通サイドから出てきた場合には、しっかり検討しながら支援をしていきたいと考えています。
【記者】若者ヤングケアラー支援センターについてお伺いします。設立に当たってのきっかけや、どういうところに課題を感じられて設立になったのか、また、自治体が支援センターを開設するのは他の都市にも見られる事ことなのでしょうか。
【市長】若者ヤングケアラー支援センターを開設するきっかけといいますか、もともとが孤立・孤独問題というものを、国でも(検討を)進められていますが、熊本市としてもいろいろな検討をする中で、特に若者やヤングケアラーの支援は非常に急がなければならない。先ほど申し上げましたように、お子さんたちが自分たちがヤングケアラーであるという認識を持てないような状況であるとか、それから就職活動したいけど方法が分からないとか、病院を受診したいけど1人では行けないといったことなどに、アウトリーチ型で積極的に支援ができるようにしたいということで、ハローワークや医療機関への同行支援をしたり、いろいろなことを今回寄り添って支援しますが、そのようなセンターがやはり必要だということで、我々としては設置に向けて検討していて、ようやく準備が整い、10月1日に開設できることとなりました。
家庭や学校等に居場所がなかったり相談できない若者、ヤングケアラーが、気軽に立ち寄ることができるような、そして、安心して自分の時間を過ごせたり、相談したい時にいつでも気軽に相談できるような居場所を提供する必要があると考えまして、こういった形を取らせていただいております。ヤングケアラーについては小学生から大学生、あるいはそれ以上の年代までと幅広い年代の方がいらっしゃって、区役所のこども家庭センターだけではなかなか早期に発見することは難しいところがあります。ですので、当事者はもちろんですが周囲の方からも分かりやすく相談しやすい窓口がいいということで、こうした若者とヤングケアラーの支援を一体的に行うため、今回設置をすることになりました。
【事務局】他の指定都市で、若者支援とヤングケアラー支援を一体的に行っている自治体は、さいたま市や名古屋市などがあります。
【市長】こういった所を、参考にしながら、今回の設置に至ったということですので、ぜひこれを報道の皆さまにも報じていただいて、まず相談してもらわないとなかなか孤立した状況というのはアウトリーチと言いましても難しいところがありますので、そこはぜひ多くの皆さんに利用していただけるようにしたいと思っています。よろしくお願いします。
【記者】先日大西市長も参加されていましたが、(スタートアップワールドカップ2024九州予選で)熊本市の創薬ベンチャー企業、株式会社StapleBioが決勝大会に進みました。これについての期待感や、こうしたベンチャー企業の活躍によって今後の熊本市がどのようになることを望むか、市長のお考えを伺いたいです。
【市長】スタートアップワールドカップの九州予選が熊本で開催されました。そこでStapleBioさんが創薬のスタートアップということで、社会課題をとにかく解決したいという強い熱意が我々にも伝わったわけですが、それが世界で評価をされて決勝まで進まれたということで、熊本から世界に向けて活躍のフィールドが広がるという好事例ですので、大変大きな期待をしております。
スタートアップへの支援は継続してやっていきますが、多くの若者が世界を目指して熊本から発信できるようにしっかり応援をしていきたいと思いますし、StapleBioさんには、世界の目に触れたということですので、例えば資金の調達などが今までと違って格段に得やすくなっていると思いますので、優勝したり活躍したりということはもちろんですが、実際にその薬が形になって多くの人々を救うといった、そういうスタートアップのすばらしい例をつくっていただけたらということで、しっかり応援をしていきたいと思います。