はじめに、三笠宮妃百合子様の薨去の報に接し、熊本市民を代表いたしまして謹んで哀悼の意を表します。
突然のご訃報に接しまして、悲しみの念に堪えません。
三笠宮妃百合子様は、1948年から約60年にわたって、母子愛育会の総裁を務められましたほか、日本赤十字社の名誉副総裁も務められるなど、多大なるご貢献をなされました。
皇室をはじめ、ご近親の方々の深いお悲しみを拝察申し上げますとともに、三笠宮妃百合子様の御霊の安らかならんことを市民の皆様とともにお祈り申し上げます。
次に、「熊本市電のインシデント」についてです。
去る11月9日及び15日、交通信号が赤にも関わらず交差点内に電車を進行させるという事案が立て続けに発生いたしました。
新たに安全統括管理者を選任しまして安全管理体制の見直しを進める中で、このようなインシデントが発生したことについて、極めて重大な事態であると受け止めております。利用者の皆様並びに市民の皆様にご迷惑とご不安をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。申し訳ございませんでした。
市電開業100周年記念式典では、運行トラブルが続発していることを受けまして、8月1日を「安全運行誓いの日」として、「今年を、安全を最優先する組織風土の再構築元年とする」と決意表明いたしましたが、それ以降、本件を含め4件のインシデントが発生しております。
このような危機的状況を受けまして、現在作成しております「軌道運送高度化実施計画」について、「安全の再構築」を担保するため、本年9月に九州運輸局から受けた改善指示事項や、今後取りまとめられる予定のインシデント外部検証委員会の最終報告を踏まえまして、内容を改めて精査するよう指示いたしました。
この「軌道運送高度化実施計画」の国への申請が遅れることで、来年4月に予定しておりました上下分離の導入も延期せざるを得ない状況となりますが、公共交通の使命である「安全」を確保するためには、やむを得ない判断だと考えております。
なお、安全意識の向上や乗務員確保のための職員の処遇改善につきましては、上下分離導入に先行して進めてまいりたいと考えております。
熊本市電では、市民の皆様に安心してご利用いただけますよう、安全管理体制の再構築に努めてまいります。
次に、令和6年第4回定例会提出議案についてご説明いたします。
まず、補正予算案につきましては、国の臨時交付金を活用した物価高騰対策関係経費のほか、白川中流域における地下水涵養を推進する経費や、人事委員会勧告を踏まえた給与改定に係る経費などを計上しております。
補正額については、一般会計、特別会計、企業会計を合わせた全体で81億7,156万円の増額となります。
その主な内容についてご説明いたします。
まず、物価高騰対策関係経費につきましては、物価高騰の影響を受けた、介護施設、障がい者施設、保育所などの社会福祉施設等に対する給付金の支給や、県内の路線バス事業者が販売する「渋滞なくそう!半額パス」事業の支援等の経費を計上しております。
このほか、白川中流域において水田湛水を行う協力農家へ助成する「白川中流域かん養推進経費」を増額いたしますほか、高校生等の自転車用ヘルメットの購入費の一部を補助いたします「自転車ヘルメット着用推進事業」や、豪雨等で被災いたしました農地・道路等の災害復旧に係る経費、人事委員会勧告を踏まえた職員の給与改定に係る経費などを計上しております。
また、令和7年度当初から実施する必要がある事業に係る債務負担行為などを計上しております。以上が、補正予算の概要です。
次に、条例等の議案につきましては、主なものとして「熊本市一般職の職員の給与に関する条例の一部改正」をはじめとした給与改定に関する条例などの提出を予定しております。
なお、詳細につきましては、先ほど開かれた議会運営委員会においてご説明申し上げたとおりとなりますので、割愛させていただきます。
以上、提出議案についてご説明させていただきました。
次に、「熊本市マイナンバーカードセンターの開設」についてお知らせいたします。
マイナンバー制度は、平成28年の本格運用開始から今年で9年目を迎えますが、マイナンバーカードの有効期限が発効後10年間であることから、今後、カードの更新手続きで来庁される市民の皆様の増加が見込まれます。
そこで、窓口混雑を緩和し市民の皆様の利便性を向上するため、「熊本市マイナンバーカードセンター」を来年1月14日に開設いたします。
こちらのモニターをご覧ください。
センターは通町筋電停のすぐ近くであります大劇会館の1階で、開所時間は日曜日から木曜日までの9時から19時までですが、手続き内容によりまして対応時間が異なりますので、来所にあたりましては、事前に本市ホームページ等でご確認をお願いいたします。
このセンターでは、「行かない」「書かない」「待たない」「便利」をコンセプトに、従来の窓口予約システムに加え、専用チャットボットや申請書自動作成システムのほか、お子様連れの方にも安心してご利用いただけるように家族対応室など、皆様が利用しやすい環境を整えております。
また、センター開設に先がけまして、1月10日(金曜日)にプレオープンセレモニーを開催いたします。詳細については後日担当課よりご案内いたしますが、当日は関係者の皆様方をお招きして、開設をお祝いしたいと考えております。
なお、センター開設後も引き続き各区役所等に設置している窓口でも対応してまいりますが、新しいマイナンバーカードセンターは、市民の皆様により利用しやすい環境が整っておりますので、ぜひご利用いただきたいと考えております。
次に、「飲酒運転根絶啓発動画」についてお知らせいたします。
去る6月15日、中央区細工町付近の交差点におきまして、飲酒運転による事故により、本市職員が亡くなるという大変痛ましい事故が発生いたしました。
本市では、絶対にこのような悲惨な事故を起こさせてはならないという強い決意のもと、飲酒運転根絶に向け、SNS等での情報発信や、飲食店に向けた啓発チラシ・ポスターの配布のほか、事故現場付近では運転手ひとりひとりに飲酒運転根絶の呼びかけを行うなど、さまざまな啓発活動を行ってまいりました。
そして、このたび、飲酒の機会が増える年末に向けて、飲酒運転根絶を訴えるための啓発動画を制作いたしました。こちらの動画をご覧いただきたいと思います。
この動画は、本日より本市ホームページで公開しておりますほか、各区役所のデジタルサイネージや、中心市街地の街頭ビジョンなどでも放映する予定です。
多くの皆様にこの動画をご覧いただくことで、飲酒運転は絶対にしてはいけない、させてはいけない極めて危険な行為であることを理解し、徹底していただけることを心から願っております。
飲酒運転は、一瞬で人の未来を奪います。重大な犯罪です。
本市では、引き続き熊本県警をはじめ、関係機関と連携し、様々な機会を通じて飲酒運転の危険性を訴え続け、飲酒運転の根絶に向けて取り組んでまいります。
最後に11月12日から17日の6日間にわたり開催されましたバドミントンの国際大会「熊本マスターズジャパン2024」についてご報告いたします。
この大会では、パリオリンピックのメダリストなど、世界22の国と地域から213名のトップクラスの選手が集い、迫力あるプレーが繰り広げられました。
会場の熊本県立総合体育館には、国内外から約1万9千人の方々にご来場いただきまして、連日熱い声援で大会を盛り上げていただきました。
特に、17日に行われました女子シングルス決勝では、再春館製薬所の山口茜選手が2年目を迎えた本大会で日本勢初の優勝を飾るなど、日本選手が大活躍をいたしました。
本大会を通じて、多くの市民の皆様にスポーツの素晴らしさや感動をお伝えすることができたものと考えておりまして、大会運営に携わっていただきました皆様方のご協力に改めまして心から感謝申し上げます。
昨年から始まりました本大会は、2026年まで毎年熊本で開催されます。本市におきましては、引き続き、関係団体との連携のもと、大会の更なる充実に向けて取り組んでまいりたいと考えております。
私からは以上です。
【記者】熊本市電についてお伺いします。安全統括管理者を置かれた直後の、2週続けてのインシデントに対する受け止めをお願いします。
【市長】市電のインシデントについては大変申し訳なく思っております。安全については、ここ1年間ずっと、様々なインシデントが起こる中で対策を考えてきたところですし、安全統括管理者を含めて、そういう体制を強化した矢先ということでありまして、本当に市民の皆様に対し申し開きのできない、極めて重大な、そして、危機的な状況であると考えております。本当に申し訳なく思っています。
体制を整えることはもちろんですが、100周年の記念式典の際に、私もいろいろと今後の対策等について発表させていただきましたが、「安全運行誓いの日」として以降、まだインシデントが続いているということは、市民の皆さんに安心して、信頼して乗っていただけることはできていないという、極めて厳しい状況だと受け止めております。
そこで我々としても、これからの体制もそうですが、来年の1月にまた新しい組織を作る、それから、運転士へのいろいろな教育や様々な待遇改善等、そういったものについてもこれから取り組んでいきたいと考えていますし、何よりも大きな要因となっている1つに、運転士不足というものがあって、人のやりくりが非常に厳しい状況になっていることは間違いありません。今日、西日本新聞さんの報道で、かなり詳しく運転士の勤務状況等についても報道があっておりますが、これを改善すべく、市民の皆さんには大変ご迷惑をおかけしておりますが、現在減便を実施しております。
何よりも安全に運行するために、便利で、安全で、早くて、安いというのが、市民の皆さんに愛されている市電であると思いますが、そういったものをしっかり取り戻すように、今後も事故がないように全力で取り組んでいきたいと考えております。
【記者】来年4月の上下分離を延期すると発表されたと思いますが、具体的にいつ頃までという日程は決まっていますか。
【市長】今後の日程はまだ決まっておりません。
ただ、上下分離の前に、高度化計画というものを国に申請するわけですが、この計画をもう1度精査する必要があると思っています。直接ここ(計画)に、いろいろな安全に対する、こういう形でという(具体的な)ものを必ずしも書かなければならないということではありません。
しかし、高度化計画の中身について、考えてみれば、実は全てハード的なものも含めて安全に関することばかりなんです。
例えば車両の導入もそうですし、電停の改良や軌条の高度化、こういった古くなったいろいろな設備を更新していくことも、安全で安定した運行につなげるためでもあります。
もちろんこれは経営にも関係してきますが、高度化計画の中に参考資料として今後の長期収支についてきちんと書くのですが、例えばそこに、新たに実施する安全対策や安全管理体制など、こういった増加費用が当然かかってきますので、そういったものについて見込む必要があると思います。
そのため、もう一度点検し直して、精査をし直して、加える部分はしっかり加えることをやっていくと考えますと、やはり1年近くは上下分離は延期せざるを得ない状況になるのではないかと見込んでおります。
外部検証委員会の最終報告もまだこれからですし、九州運輸局からの改善命令についても中間的なもので対応はまだ途中ですので、こういったものをしっかり確実にやっていって、そしてその上で、そういったものも踏まえて、この高度化計画をさらによくしていくということで、時間はかかりますがそういう形で取組をしたいと考えています。
まだ提出できる時期が確定していませんので、いつ頃上下分離になるのかについては少し時間をいただくかなと思っています。ただ、きちんと精査をして、国ともやりとりをしなければいけませんので、やはり1年ぐらいかかるのではないかと、現時点では考えているところです。
【記者】市電に関しての質問です。(上下分離を)延期するという判断を、このタイミング、この時期に行った理由を教えていただければと思います。
【市長】高度化計画自体がちょうどこの時期に国ともいろいろなやりとりをさせていただいていたこともありますが、提出にあたっても体制を変えてこれから再出発をしようとしているにも関わらず、今、これだけインシデントが続いているということは、これはきちんとした見直しも含めて精査をしなければならないという判断に至りました。
何か特定の事象がきっかけというよりも全体として見て毎月のようにインシデントが発生しているという事実と、先ほども少し申し上げましたが外部検証委員会の最終報告もまだ出ていないということ、それから九州運輸局からの改善指示への対応も途中であること、こういうことを総合的に判断して私が判断をさせていただきました。
【記者】先ほど説明の中で待遇改善は先行して取り組むというお話がありました。上下分離を行うと待遇が改善されて運転士が確保されて安全運行につながるというお話もありましたけれども、どのように先に取り組んでいくのか具体的にお願いします。
【市長】私も直接交通局に出向いて、実際に運転士、整備士など技術に関わる人達や経営に関わる人達も含めて話を個別に聞いてきました。その中で、会計年度任用職員ということになると、直接はそういう話をされませんでしたが、やはり不安定感がすごくあると思います。それと同時にもう一つ大きいのは、今日報道でもあっていたとおり、人が少ないことによるシフトの関係です。より多くの方々に運転士になっていただくためには、安定した労働条件、そして、雇用条件などが必須であると思います。特に非正規の職員ということになれば、生活を自分たちがしていくうえでも不安定な状況に感じている人もいると思います。それから、目指したい仕事として、きちんとした処遇をしていくとことは重要だと思います。特にモチベーションを高く持つという意味では、どのような内容の処遇改善(が必要か、)これは給与だけではなく、勤務体系や、例えば休憩場所の話やどのくらい休憩をしているのかなど、いろいろなことを聞きました。ご存知かもしれませんが交通局の中には仮眠室がありますが、決して状況がいいわけではありません。ただ、限られた条件の中で、できるだけ、少しでも改善をしていこうということについてはしっかりやっていきたいと思います。
今後は、記者さんのお尋ねの中で触れられたとおり、最終的に上下分離になって法人化して、そこの正規職員となることが非常に重要ですが、それ並みに待遇を早く整えていくことは、私から今、指示をしておりますので、もう少しお時間をいただいて具体的な対策について示すようにしたいと考えています。
【記者】今回、高度化計画を見直すため提出が遅れるということですが、計画には延伸と新型車両の導入も併記されていると思います。それらへの影響はないのでしょうか。
【市長】延伸に関しては先日議会において予算を承認いただきました。延伸自体が高度化計画のことと直接リンクするということではなく、これから設計していくなどいろいろなことについては直接影響は及ぼさないということですので、その辺については国ともよく協議をしながら丁寧に進めていきたいと考えております。今のところ、議会でもお示しした日程に対して変更を余儀なくされるということではなく、この高度化計画の中できちんと精査をしながら並行してやっていくことになるかと思います。
それから、車両の更新などについても、これからこの計画、安全という面と車両の輸送密度等を仮に安全運行のためにいろいろな見直しをしたほうがいいということであれば、車両の更新計画も当然変わっていきます。ですので、そういったことは影響しますが、ただ、来年にまた新型車両を2編成導入しようということで計画し、発注をしています。例えばそれを止めるということではなくて、それは予定どおりきちんと行って、影響のないところはちゃんと前に進めていく、それと同時に、高度化計画の中で見直すべきところはしっかり見直していく。そのような両立てで進めていくとご理解いただければと思います。
【記者】今年1年、安全についてメッセージを発信してきた中で、最終的に大きな影響が出てしまった形になると思いますが、そのことについての受け止めをお願いします。
【市長】このような言い方をすると市民の皆さんには申し訳ないですが、これまでのツケが一気に回ってきたということだと思います。今までもっと早めに経営の改善と同時に、安全も併せて必要な措置、それから運転士の確保や教育、継続的につなげていくということを、もっと早い段階から計画的にやっていれば、こういうことにはならなかったのではないかと思います。
これは体質的な問題も大きくあったと思いますし、私がトップとしてそういったところに至らなかったことは本当に申し訳なく思っています。そこは本当に市民の皆さんに申し開きができないところですが、今からそこをもう1回見つめ直し、初心に返って本当に安全で、経営も安定させて、安定的な、市民の皆さんに愛される公共交通になるようにしっかり頑張っていきたいと思います。
【記者】兵庫県知事選についてですが斎藤元彦さんが再選を果たされました。SNSを駆使した選挙戦や、他の候補の方が斎藤さんを応援するような場面も見られて注目を集めていますが、どのようにご覧になっていたかということと、今後予算編成なども不透明ということでまた注目を集めている中、今後の県政運営に関して思うことがあればお聞かせください。
【市長】まず、兵庫県知事選挙は地方の長を選ぶ選挙の中でも、非常に昨今注目された選挙だったと思いますし、私も報道やインターネット、SNSの発信等々も見ておりまして、非常に動きが活発だなと思っておりました。
一方で、この選挙の前には不信任案が全会一致で県議会で可決をされ、そして出直しをするというようなプロセスでしたので、私自身もどうなっていくのかと注目をしておりました。ただ、私自身熊本にいて、兵庫県の有権者の方が得ている情報や見ている情報と、私たちが受け取っているものはちょっと違うのかなということも感じましたので、実際にどのくらい報道でそういうことになっていたのか。インターネットの部分に関してはある程度目にすることはできますが、どういう論戦が実際に行われていたのか。他の地域からも候補者が出たなどありますが、これはどの選挙でもいろいろな方が出られるのは自由ですのでそこに対して何か私がコメントすることもありません。ただ、私が言えることは、どんな状況であってもこれが民意だということです。正当な選挙で選ばれて民意が示された結果がこれだということですから、今後いろいろな混乱もあるかとは思いますが、選ばれたトップとして責任を持って県民のために全力を尽くしていただくことが非常に重要なことだと思っています。
また、SNSの影響や既存のメディアの影響力が落ちたのではないか等の声もあって、あるいは、報道側からももっといろいろな報道が選挙期間中にできなかったかという反省するような声がありましたが、これは公職選挙法の中である程度バイアスがかからないようにという一定程度の規制がある中で既存のメディアの皆さんは報じなければいけないということで、なかなかジレンマもあったのではないかと思います。だからこそ選挙報道や選挙に関することをより詳しく有権者の皆さんに提示することがいかに重要なことかを、ある意味では考えさせられる大きな選挙だったであろうと思います。
これはどちらがいい、どちらが影響力を持った持たないとかそういった話よりも、選挙で有権者が判断するときにどういうことを基準に判断しているのか、そのためにどういった情報を提供するべきなのかということを、公職選挙法の在り方も含めて私は考えるべきだと以前から思っておりました。今回の選挙もそうですし、以前の衆議院選や補欠選挙やいろいろな選挙があった時に、事件化されているようなものもあります。特定の候補者をつきまとって候補者が攻撃をしたり、インターネットの中でも確かではない情報が飛び交って、判断材料の受け止めがなかなか難しい中、有権者が自分の気持ちとして、自分の1票を行使するために必要な情報というのは一体何なのかということを我々は真摯に受け止めて、これは政治家の側も、候補者の側もよく考えていかないと、何となくストーリーをつくってムードをつくってということは、選挙のときはなんとなくよくあります。私も政治家ですから、イメージだとかそういったものはすごく重要だと思っています。ただ、政策として私も120から130項目マニフェストを出して、できるだけ解説して、政策の中身で選んでくださいということを言っています。私がローカルマニフェスト運動というものにずっと関わってきて、人柄などももちろん大事だけれども、やはりそこで有権者が何を選択すればいいのかという判断材料をできるだけたくさん出したいと思って、私はマニフェストを一生懸命徹夜して夜なべして書いています。
ところが、今回の兵庫県知事選挙にしても、昨今の選挙は、政策は埋没しているじゃないかと。元職をどうするかということも含めてだと思いますが、それは1つの争点であったかと思います。現県政を誰に託すのかという意味では1つ大きかったことだと思いますが、それをどういう形で県民の幸せのために導いていくのかという論争がされたかというと、どうだったのかなというのはよく検証していく必要があるのではないかと思っています。
私もここのところずっと報道やSNS等のいろいろな発信等々を見ながら、なかなか難しい時代になっているなと感じているところです。ですので、報道の皆さんとも一緒に選挙期間中の報道の在り方やどうあるべきかということはディスカッションしてみたいなとよく思います。私も選挙運動をしていて、選挙カーに乗って、たすきをかけて、名前も連呼しますし、法の中で条件として限られたことだけで活動していますが、なかなか伝わるのは難しいなと思いますし、皆さんが関心を持って投票率が上がるようにといっても、候補者にも限界があるんですよね。例えばテレビ討論など、アメリカの様子などを見ますと、やはり選挙の在り方は国や地域によって違うのでしょうが、もうそこにしっかり手をつけていかないと駄目な時代になっていると私は思います。
この示された民意をもとに新しいリーダーがしっかり今の兵庫県政を担っていくことになり、ここにはずっと注目がありますし、議会でのチェックも出てきますから、これはその中でお任せをしていくということに尽きるのではないかなと思います。それ以上のコメントはありませんがそのように感じています。
【記者】昨日熊本県の木村知事に公職選挙法違反の疑いで告発状が出され、それが県警に受理された事案がありました。それに対して、なかなかコメントが難しいとは思いますが、何か思われることがあればお聞かせください。
【市長】市民の皆さんがそういう告発をされたということは私も報道等で承知しております。これから捜査機関等々で十分検討がなされていくと思いますので、推移をしっかり見守っていきたいと思います。
ただ、政治家というのはそういった公職選挙法の規定をしっかり理解をして誤解を生まないようにしていくことが非常に重要なことだと思いますので、そういった点は私自身もしっかり自分事として捉えながら、そういったことがないように法令を遵守した行動を行っていきたいと思っています。
【記者】上下分離に関してお尋ねします。高度化計画は今年3月に議会で関連議案が可決されて、その後国へそのまま申請することもできたと思うのですが、なぜなかなか申請ができなかったのか。例えば上下分離に早く移行することで安全運行や処遇改善などを確保するという考え方もあると思うのですが、なぜ申請に時間がかかってしまったのかをお聞かせください。
【市長】これだけ大きな申請ですので、当然十分に精査をして、国とも協議をしながら申請していくことになります。国にも一定程度、いろいろな状況等をお伝えしながらやってきているというプロセスであることは一つ言えるのかなと思っていますが、それと同時に、その間インシデント等に対する対応をずっと迫られてきていることもあって、進捗が遅れてしまったということは事実だと思っています。
今回これは非常に大きなことですが敢えてこういう判断をさせていただいたのは、安全というものに対して、かけがえのないものであって、それをないがしろにしては高度化も何もないという極めて危機的な状況だと思い、慎重な判断をしたということです。そういう意味では、少し時間がかかったり手間がかかったりということはまだありますし、市民の皆さんやスタッフ、職員も含めて一体どうなっていくんだとご心配もあろうかと思いますが、やはり安全を追求していく、そしてその中で高度化をすることによって、さらに安全で経営に優れた交通局をしっかり取り戻していくということに徹していきたいと考えています。
【記者】職員の処遇改善について、具体的にはこれから検討されると思いますが、例えば給与面で手当など検討されていることがあればお聞かせください。
【市長】給与も含めた勤務条件についてどうあるべきかはしっかり検討していきたいと思っています。今ここで発表できるようなことはございませんので、内容としてはこれから検討させていただく中である程度固まってくればまたお知らせをしたいと考えております。
【記者】交通局の運転士の中には非正規から正規に処遇が改善されることや、給与面への期待がある方もいらっしゃったと思いますが、この上下分離の延期で新たな不安、さらに言えばそのまま離職につながりかねない決定かと思います。そういった不安に対してどのように対応していかれるのかをお聞かせください。
【市長】そこについては、職員に対してきちんと我々の考え方も伝えて、今後の方針もよく話をしながら、職員が動揺しないようにすることは非常に重要だと思っています。
それから、待遇としては上下分離にならないと正規職員化は難しいのですが、ただ、給与面や待遇面に対してしっかり手当てをすることは、これは今の時点でも、会計年度任用職員においても可能だと考えております。そういったところをこれから検討し、示しながら、職員の不安や不満、こういったものにもしっかり応えていきたいと思っています。
【記者】同性婚訴訟についてお伺いします。東京高裁と札幌高裁では違憲という判決が出され、来月が九州訴訟で熊本市の原告も含まれています。これまでの他地域での判決をどのように受け止めたのかということと、九州訴訟をどのように見られているのかお考えをお願いします。
【市長】同姓婚の訴訟については、いろいろ判決が出されたということに関して一定の司法の判断が示されたと受け止めております。今、私どももパートナーシップのいろいろな取り組みをさせていただいていますが、その中で、そうは言っても法的な面で婚姻が認められないことによるいろいろな不都合やネガティブな面がかなりあることは、私どももいろいろな話を聞いて承知しています。
私が以前ドイツを訪問し、赤ちゃんポストと言っていたドイツのいわゆるベビークラッペを視察した際に、ちょうど同性婚を認められたドイツの状況について少しお話をお聞きしました。海外のいろいろな事例もありますし、また、こういった裁判例も出てきていることを考えて、しっかりこの問題や課題については国においてよく検討していただきたいと思います。やはり、一自治体ではパートナーシップの取組をすることぐらいが限界になってくると思いますので、そうした点についてはよく検討していただければと思います。
【記者】市電に関連してお伺いします。昨日のインシデント検証委員会の中で、交通局職員の皆さんへのアンケートの中身が出てきました。職場での連携不足や孤立感、交通局の風通しのよさがまだ足りないのではないかというような話も出てきましたが、トラブルと交通局の職場環境というのは関係があるのか、市長のお考えをお聞かせください。
【市長】これはあらゆる仕事に通じることだと思いますが、風通しのよさはどんな職場でも必要なことだと思います。それが職員のメンタル面や行動の面で影響を受けることは十分あり得ることだと思っていますので、こういった職員の率直な声をどのようにこの組織風土を変えたり、改善していくのかということについて、真摯にかつスピーディーに対応していければと、私自身が見て思ったところです。
【記者】そういった点も含めて、安全統括管理者が担うものは大きいのでしょうか。
【市長】安全統括管理者だけでなく、組織全体として取り組まなければなりません。これはもう交通局だけの問題ではないと私は思っていて、私自身先ほどから申し上げているとおりトップとして責任を感じています。
以前も申し上げましたが、市電は人々の幸せを運ぶ公共交通機関です。ですから、そういう尊い仕事をしているという気持ちを皆に持っていただけるように、私もトップとして力を入れていきたいと思います。また、今、交通局の幹部も含めて私からかなり厳しくいろいろなことを言われてきつい状況にあるとは思いますが、今、ある意味でこういった重大なインシデントや危機的な状況があるからこそ大きな見直しや大きな改革ができていくと思います。また、今まで風通しが悪かったとか、コミュニケーションやガバナンスにもいろいろ問題があったということであれば、そういった膿を出し切ってやり直すチャンスだと逆に捉えなければいけないと思います。
それが信頼への早道なのだろうと思いますので、そこは本当に真摯に職員の声を聴いて、やはり職員が生き生きと働ける環境をつくるというのは、我々トップや監督者の責任でもありますので、そこをしっかり自覚しながらやっていきたいと思っています。
【記者】庁舎についてお尋ねします。今後、具体的な設計に入っていくと思いますが、災害やにぎわいなどどのような部分を重視されるのか改めてお聞かせください。
【市長】庁舎に関しましては、熊本地震を受けて耐震性やいろいろなものを調査してきました。それは、何よりも市民の安全を守る砦は市の行政機関であるからです。様々な災害復旧、それから、いろいろな市民生活を取り戻していくためには、市の行政機能を止めないことが大前提になってきます。最優先するのは当然防災面、強靱な市役所をつくるということがまずトッププライオリティになると思っています。
そのうえで、何も災害が起こっていない時には市民の皆さんが集う場所でもありますし、今、行かない窓口、行かない役所だと言われていますが、逆に言えば、そういった手続的なものはどんどんマイナンバーカードやいろいろなデジタル化によって便利になっていきますが、市民の皆さんの直接的な声がしっかり届くような市役所にするために、どういう機能を持たせればいいのかということはこれからしっかり考えていく必要があると思います。そうすると、人が集い、そこから賑わいが生まれ、市民と行政との一方通行ではないコミュニケーションがとれることによって、より豊かな市政運営ができていくと思いますので、そういったことを目標にしながら。あとは機能的な面やセキュリティーの面などいろいろな面があります。それから全国的に見ても、あるいは世界的に見ても、シティーホールは市の中心地でもあり、市民のシンボルでもあると思います。ですので、シンボルとして皆さんが誇りを持てるような、そういった市庁舎をこれからみんなで議論しながら作っていくことが必要だと思っています。
【記者】議論しながら作っていくことが必要だとおっしゃいました。市民の意見を取り入れるような場を設けられる予定はありますか。
【市長】今から実際に基本設計や実施設計等々、いろいろなことを発注していくことになっていきますが、そういったプロセスの中で、実際の設計、機能にどのように市民の皆さんのご希望などを入れていくかということは、ワークショップを行ったり、シンポジウムを行ったりしてご意見を聴く場面はこれからたくさん出てくると思いますので、そういった中で皆さんが参画できるように、まずはその条件をしっかり整えていくことが重要かなと思っています。
【記者】庁舎に関連して、来週、市民団体が住民投票請求を求める署名を提出する予定だと伺っています。既に先の議会で関連予算が承認されていて動き出している中ですが、この動きについてどのように考えているのか教えてください。
【市長】住民投票条例制定の請求に向けた署名活動をされていることはよく承知をしております。特にこの庁舎については慎重なご意見や反対するご意見、大きな地震に耐えたのならこの庁舎はまだ大丈夫だという声もあって、本当に建て替える必要があるのかという声がまだあることも、そういった活動があることで認識をしております。住民投票条例制定の請求に向けた署名については法的にきちんと認められていることですので、我々としても署名簿が提出され、それが正当なものであれば当然法的な手続きに則ってやっていくということです。
もう一つ言えることは、先ほどのご質問にお答えしたように、市が市庁舎の建て替えについてどのように考えているのか、もっと分かりやすくお示しをしていく必要があることと、具体的になっていくと皆さんの関心も高まって、例えば庁舎の機能等について、新しく機能が生まれ変わることによってこういう対応ができるということを、きちんとご説明をしていくことがようやく一連の議会でお認めいただいた予算等々の中で前に進むことができると思っていますので、これから市民の皆さんが検討できるような情報をたくさん出していけるのではないかと思っています。
【記者】手続きに則って条例制定を求める署名が提出され認められれば、条例案を提出するということになると思います。その時には市長としてのご意見を付けられると思うのですが、現段階で既に動きが始まっている中で改めて民意を問うことの必要性があるのか否か、考えを教えてください。
【市長】署名の手続が途中段階であるということですので、今、私がコメントを申し上げるのは適切ではないと思いますので、差し控えさせていただきたいと思いますが、こういった署名が届けられてきちんとした手続きを経た段階で、改めて私としても執行部としても考え方をしっかり整理させていただきたいと考えています。
【記者】上下分離に関してお伺いします。高度化計画には新型車両12編成の導入も含まれていたと思います。今年度2編成導入し、また来年に向けて2編成発注しているということですが、その後の計画の見通しが分かっていたら教えてください。
【市長】高度化計画をこれからもう一度精査し直します。従来の高度化計画の中には、多両編成と1両編成も含めて見通しということで計画をつくっていたと思います。ただ、ご承知のとおり今年3両編成の車両を2編成運行していくわけですが、これが安全運行上も経営上も非常に有効であるということが恐らくどんどん示されていくと思います。そうすると、今後の車両の導入計画は先々変わっていく可能性があります。人数が少ない運転士の中でできるだけ多くの人を運んでいくという意味では、恐らくこれからの流れとしては上下分離の後も大型の車両を導入するということは十分考えられることではないかなと思っていますので、その辺の計画も安全性や運行面での優位性、こういったものを含めてもう一回考えて直していくことになるかと思います。現段階においては来年までの発注は終えていますので、そこから先についてもう一度これも精査し直します。
車両については、きちんと製造できるかどうかということもあります。受注してもすぐに納車できないということになれば、それは逆に非常にマイナスにもなってきます。
それから、今、市電には非常に古い車両がたくさんあり、それを整備しながら大事に扱っていますが、いろいろな面で無理が来たり限界が来ていることもありますので、そういったことも全体的に見直しながら今度の高度化計画に反映させていきたいと考えています。
【記者】市電に関して、交通局や車両の問題、運転士不足や働き方など様々な課題があると思います。検証委員会の最終報告はまだですが、今後何に優先して取り組んでいく予定でしょうか。
【市長】当然検証していただいた最終報告書を参考にさせていただきたいと思いますが、今分かっていることで既に手をつけていることがありますので、老朽化した設備面をきちんと直したり、車両編成を変えていくということはもちろんですが、やはり全てのものにおいて大事なのは人の問題だと思います。ですので、人をどう育成して、待遇処遇も含めてしっかり安定的に、皆さん方が市電に乗る人たちのために働けるような環境をいかにつくるか、ここは最優先で取り組んでいきたいと考えております。