はじめに、第4回定例会を終えての所感を述べさせていただきます。
本定例会に提出いたしました予算案及び条例案等につきましては、議会において慎重にご審議いただきました結果、原案どおり全て可決いただきました。これによりまして、引き続き、物価高騰の影響を受けた市民生活の支援、並びに地域経済の活性化に取り組みますほか、豪雨災害からの復旧等に速やかに取り組んでまいります。
一般質問では、新庁舎整備をはじめとしまして、地域公共交通の今後の在り方や、観光振興に関する取組のほか、防災、福祉、教育、経済政策等に関する諸課題など、いずれも本市の将来に関わる重要な政策課題について、議員の皆さんから大変熱心にご質問をいただきました。本定例会を通じて賜りましたご意見・ご要望につきましては真摯に受け止め、市政運営の糧として取り組んでまいります。
次に、「熊本県・熊本市調整会議」の開催についてお知らせいたします。
これまで本市では、熊本県と密接に連携して取り組むべき施策について協議を行います「熊本県・熊本市調整会議」を計6回開催しておりまして、8月に開催いたしました前回会議では、熊本都市圏の交通渋滞解消に向けた対策など、県市共通のさまざまな課題について協議してまいりました。そして、この度、今年度第2回目となります「熊本県・熊本市調整会議」を今月26日(木)の17時半から、熊本市役所において開催いたします。こちらをご覧ください。
今回の会議ですが、先日16日に開催されました「熊本県交通渋滞対策協議会」で議論されました現状分析や対策方針を踏まえまして、熊本都市圏の交通渋滞対策について「短期対策の具体箇所」、それから「中長期対策の方向性」について協議したいと考えております。会議の詳細については、改めてお知らせをさせていただきたいと思います。
引き続き、県や近隣市町村と連携いたしまして、慢性的な交通渋滞の解消をはじめとする、熊本都市圏を取り巻く課題等に対してスピード感をもって取り組み、効果的な施策展開につなげてまいります。
次に、「結婚・子育て全力応援プロジェクト」についてお知らせいたします。こちらのモニターをご覧ください。
このたび、プロジェクト第3弾として、本市と12の近隣市町村が連携いたしまして、来年1月27日に「くまもと出会いサポートセンター Kumarry(クマリー)」を熊本市内に共同で開設いたします。
このKumarryなのですが、結婚や出会いを希望する独身の方々に、安全で信頼できる出会いの機会を提供するものでございまして、「熊本連携中枢都市圏内に在住・在勤・在学している、または将来移住を考えている18歳以上の独身の方」であればどなたでも登録できます。次のモニターをご覧ください。
Kumarryでは、4つのサービスを提供させていただきたいと考えております。
まず、1つ目の「AIマッチングシステムによる1対1のお見合いサポート」では、スマートフォンやパソコンからマッチングシステムにご登録いただくと、お相手探し、それからお見合いの申込みなどのサービスが自宅からでも利用できるものでございます。
2つ目の「第三者による伴走型のサポート」では、この事業にご協力いただく個人ボランティア「くまもと出会いサポーター」の方々や、Kumarryの職員によるお見合いの立会いや交際成立後のフォローなど、結婚までの継続したサポートを提供させていただきます。このほか、豊富な婚活スキルを持った職員に対面やオンラインで相談できる「結婚相談サポート」や、出会いの機会を提供するための婚活イベントやセミナーなどを開催するということでございます。
次に、Kumarryの開設にあたり、多くの皆様にご利用いただくために、今回、入会登録料について、本事業を共同で実施する13市町村にお住まいの方はなんと1年間無料で、それ以外の方は1年間5千円とする「スタートアップキャンペーン」を、来年3月末まで実施いたします。
期間限定でございますので、ご登録をお考えの方はもちろん、ご利用を迷っている方も、気軽にこの機会にぜひご登録をお願いしたいと思います。もう一度言います。1年間は無料でございます。よろしくお願いします。
13市町村ということについては、ここに記載の市町村になります。今後、連携中枢都市圏の中で他の市町村も入りたいというところが出てくれば、当然追加していくことになろうかと思いますが、現時点でこの13の市町村ということになります。
また、本事業の周知と多くの出会いの機会を提供するため、来年3月上旬に開設記念として「婚活イベント」の開催を予定しております。イベントの詳細につきましては、決まり次第改めてお知らせいたします。
本市では、Kumarryの開設を契機として、結婚を希望する方を全力で応援するとともに、近隣市町村をはじめ民間における結婚支援の取組との連携も図りながら、社会全体で結婚を応援する機運を醸成してまいりたいと考えております。
次に、熊本市電における「タッチ決済上限設定割引キャンペーン」についてお知らせします。こちらのモニターをご覧ください。
今日はお得な情報がたくさんございますが、現在、熊本市電では、クレジットカード等のタッチ決済で運賃支払った場合、1日の上限額は「360円」です。ですから、1回が180円での乗車ですので、2回乗れば元が取れる。3回乗ればプラスになるということになります。
「1日上限設定割引キャンペーン」は、この度、来年1月から2か月間、2月28日までなのですが、上限額を「300円」にさらに引き下げて実施いたします。
タッチ決済が非常にお得になっているということでございまして、上限額が「300円」になることで、市電に乗って1往復するだけでもお得に乗車できるということになりますので、ぜひこの機会に、タッチ決済をご利用いただきたいと思います。
さらに、今回、「バス・電車無料の日」を実施いたします。
すでに市ホームページでもお知らせしておりますが、12月21日(土)は「バス・電車無料の日」ということで設定しました。
「バス・電車無料の日」は、今回で5回目となりますが、これまで毎回、非常に多くの方にご利用いただいておりまして、この無料の日を「きっかけ」に普段は公共交通に乗らない方にもバスや電車に気軽に乗っていただくことで、公共交通の利用促進につなげることを目的として実施するものです。次のモニターをご覧ください。
19の市町村が連携していますが、モニター表示の赤枠内の範囲を一部でも通過する路線バス、電鉄電車、市電、そして一部のコミュニティ交通が、どなたでも何回でも無料で乗れるということです。ですので、ぜひこの機会にご利用いただきたいと思います。
なお、当日はクリスマスシーズンなので混雑が予想されますが、バスが今どの位置にいるのかが分かるバスロケーションシステム「バスきたくまさん」が、絶賛キャンペーン中の「くまもとアプリ」でもご利用いただけるようになりましたので、ぜひ活用していただいて、バスの利用を気軽に行っていただければと思っております。
公共交通の利用をさらに促進したいという強い思いから、こういう取組を確実に進めています。今後も、関係機関と連携して、利便性向上も含めて、色々な促進策を徹底して進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いします。
次に、本市の「インフルエンザおよび新型コロナウイルス感染症の感染状況」についてご報告をさせていただきたいと思います。こちらのモニターをご覧ください。
インフルエンザと新型コロナウイルス感染症については、市内25箇所の「定点医療機関」において、毎週、感染者数の調査を行っています。
本市における12月9日から15日までの1週間の一定点の医療機関の感染者数なのですが、インフルエンザが19.68人、それから新型コロナウイルス感染症が2.36人となっておりまして、インフルエンザにおいては、国が定める注意報レベルの基準値10.0人を超えました。非常に感染が広がっているということです。
この数年の傾向では、年末年始から1月にかけて感染者数が急増するということが予想されますので、市民の皆様には、次の3点をお願いしたいと思います。
まず1点目は、マスクの着用であるとか咳エチケット、それから、こまめな換気、手洗いなどの「基本的な感染防止対策」をお願いしたいと思います。この年末年始は5年ぶりに9連休という方もいらっしゃるということで、非常に長くお休みがあるということでもあります。ご旅行等を検討されている方もいらっしゃるかと思いますが、先ほどお見せしたように、これから急激に感染が広がっていくということも考えられますので、体調を崩さずに楽しんでいただくためにも、必要に応じた感染防止対策をお願いしたいと思います。
2点目は、今、薬が不足していることもあって、処方薬も含めて薬がなかなかないということもありますが、自宅療養に必要な市販の解熱剤、それから食料品など、年末年始になりますと連休がかなり長くなりますので、お店が閉まっているということもあります。ぜひご家庭において事前の準備をお願いしたいと思います。また、新型コロナウイルス感染症は、私も先日罹りましたが、抗原定性検査キットを活用いただくと、自宅でセルフチェックができます。陽性であっても軽症であれば、自宅で療養していけば大丈夫ですので、自宅療養をしていただければと思います。
それから3点目に、医療機関の受診を希望する場合は、直接受診をする前に、お電話で医療機関へご連絡いただきたいと思います。特に、年末年始は休診であるとか、診療時間が変更するということで、かかりつけ医等の医療機関で受診できないこともありますし、色々な医療機関で患者さんが非常に多い状況でありますので、事前に医療機関の診療状況を確認することが重要です。
それから、夜間に具合が悪くなって、受診に迷うことがあると思います。こういうときは救急安心センターをご利用いただければと思います。救急車を呼ぶか迷うときに、「#7119」にかけていただくと、適切なアドバイスを夜間でも受けることができます。また、子ども医療電話相談「#8000」についても、ご利用いただければと思います。
先ほど申し上げたように、私も新型コロナウイルス感染症に感染して、公務にもつけずに非常にご迷惑をおかけしましたし、咳などの症状でつらい時期もございました。私も予防のための感染防止対策の徹底をやっていたつもりなのですが、それでも感染してしまいました。この時期、非常に流行していますので、皆さんもご注意いただければと思います。そして、ご家庭での備えを適切にしていただければと思います。
市内の感染状況等については、熊本市のホームページを毎週金曜日に更新して公開しておりますので、市民の皆様にもご確認いただいて、場面に応じた感染防止対策の実践をお願いします。
最後に、本日が今年最後の記者会見となりますので、この1年を振り返りまして所感を述べさせていただきたいと思います。
本年は、災害の対応で幕が開けた1年となりました。
元日に発生いたしました「能登半島地震」では、多くの犠牲、そして多くの被災者の方に本当にご苦労をおかけしている状況でしたが、発生直後から直接被災地の首長や国の関係機関と連絡を取りながら、危機管理部門の職員を1月3日に石川県に派遣して情報収集を行い、1月4日には熊本市応援本部を立ち上げました。そして、これまで約500名の職員を派遣することで、改めて災害対応の重要性を認識した1年でもございました。
また、4月には、本市の最上位計画であります「第8次総合計画」を策定いたしまして、これに基づくまちづくりがスタートしました。8月には市電、11月には水道事業がそれぞれ100周年を迎えるなど、新たなステージへ歩み始めた1年となりました。
さらに、こども・子育て支援に関しましては、「こども誰でも通園制度」の試行的な実施、子育てアプリ「くまっと」のリリース、「こどもの権利サポートセンター」、「若者・ヤングケアラー支援センター」の開設など、次々とこどもや子育て世帯へのきめ細かな支援を充実させてきたと思っております。
経済面では、半導体関連企業の熊本進出に伴う産業用地の整備、また企業誘致を強化したほか、「熊本市観光マーケティング戦略」に基づく戦略的な観光客誘致など、地域経済の活性化を図ってまいりました。
また、慢性的な交通渋滞の解消に向けて、県や近隣市町村との連携強化のもと、民間企業等にもご協力いただき、時差出勤による交通量の分散化に取り組むなど、着実に成果をあげてきたと思います。
一方で、度重なる職員の不祥事や、熊本市電のインシデントの発生など、市民の皆様にご不安やご迷惑をおかけした1年でもありました。改めまして深くお詫びを申し上げたいと思います。職員の徹底した意識改革を図って、市政の信頼回復に向け全力で取り組んでまいりたいと考えております。
来るべき新年は、慢性的な交通渋滞の解消はもちろんですが、半導体関連企業進出に伴う諸課題への対応、総合的なこども施策の推進などに取り組んでまいりますとともに、災害対応時の重要な防災拠点であります新庁舎整備について、防災機能の強化、それから行政サービスの質の向上、さらにはにぎわいのあるまちづくりの起爆剤となるように、丁寧な説明を尽くしながら取り組んでまいりたいと考えております。
また、令和7年は、市長就任11年目を迎える年でもありまして、この10年を振り返りながら、
培ってきた経験やネットワークを最大限に生かして、引き続き「誰もが憧れる上質な生活都市くまもと」の実現に向け全力で取り組んでまいりたいと考えております。
年末の会見にあたりまして、市民の皆様をはじめ報道各社から賜りました市政へのご理解とご協力に、改めて感謝申し上げますとともに、来年も更なるご協力を賜りますようお願い申し上げます。
そして、皆様におかれましては、良き新年をお迎えになりますように祈念いたしまして、私からの発表とさせていただきます。よろしくお願いします。
以上です。
【記者】26日に今年に入って2回目の県・市調整会議が行われるということですが、今回の会議で何か進めたい取組等があれば教えてください。
【市長】今回の議題は、8月19日に開催した前回の会議の中で、今後も定期的にトップ同士の会談を行って、課題や取組を共有してスピード感を持ってやっていこうということですが、新たな対策を年内を目途にお示しするとお約束しておりましたので、年末ぎりぎりのタイミングになりますが、県・市調整会議での議論を踏まえて様々な対策を発表しようということで、今、準備をしております。
具体的な対策内容については、今、県と調整中でございまして、先ほど申し上げましたように、今月16日に熊本県交通渋滞対策協議会が開催されまして、そこで示されている対策方針や主要渋滞箇所を踏まえて、具体的な対策をお示しさせていただきたいと考えています。個別には26日に県、市で協議したうえで発表させていただきたいと思いますが、車の流れをよくするための道路施策、公共交通への転換を促す公共交通施策、それからピーク時の交通を分散させるようなその他の施策など、そうした項目を26日に協議して、そして具体的な内容については、数字も入れながら発表できればと考えています。
【記者】くまもと出会いサポートセンターについて、サービスの内容を見る限り民間企業でも同じようなサービス内容があると思いますが、自治体が行う意義を教えてください。
【市長】自治体が行うことで、先ほどキャンペーンのお話をしましたが、今回、1年間ということですが費用は無料です。民間だと結構なお金がかかってしまうこともありますが、公的機関が行うことで多くの方々に参加しやすい状況をつくるということがあります。
それから、今回、連携中枢都市圏の13の市町村で連携しますが、熊本市内に限らず、いろいろな方々に幅広く参加していただくことで、多くの出会いや選択肢というと変ですが、いろいろなことを示すことができるのではないかと思っています。先ほど少し申し上げましたが、民間が信用できないと言っているわけではないですが、行政機関がやるということであれば、それなりにきちんといろいろな対応をしていきます。また、様々な他のサポートと連携することで、非常に大きな意義があると思っています。
自治体がそこまでやるべきかという議論は過去にもありましたが、今やこうやって出会いをしっかりつくっていくということ、人口減少の中で結婚を進めていくということは、非常にメリットが大きいということでもあります。また、結婚することに賛否はあり、結婚すれば誰でも私も含めて山あり谷ありいろいろあるのですが、それでも結果的には結婚して良かったと私は思っていますし、人生をより豊かにすると考えています。今、若い人たちに聞くと、結婚すると自分で使えるお金が減るのではないか等、いろいろなことを言う方もいますが、人はいろいろな人たちと支え合いながら生きていくものでもあります。その一番基本的な単位の家庭がしっかりと支え合うということは、すごく人生を豊かにすると思いますので、社会全体で結婚を応援する機運を醸成していくことで、来年はこのKumarryをきっかけに熊本はカップルがめちゃくちゃ増えるという一年にしたいと思っています。
Kumarryは、熊本とMarryが組み合わさったものです。ぜひ多くの方々がこういう形になれればと思います。いろいろな出会いの形がありますから、そのきっかけになっていけばと思って頑張っていきたいと思います。
【記者】北九州で中学生が犠牲となった事件が発生しました。先日、熊本市にも脅迫メールが届いたりしていますが、安全安心に関する市長のお考えをお聞かせください。
【市長】未来ある15歳の若者が、ああいう形で犠牲になったことは本当に残念ですし、怒り、憤りを強く感じています。そして、私たち熊本市としても、防犯、安全、安心、こういったものに力強くこれからも取り組んでいかなければならないと改めて思いました。今回、熊本市にも脅迫めいた(メールが届きましたが)、北九州市の犯人は捕まっていますので、これはいたずらのようなものかと思いますが、こういったことを許してはいけません。我々熊本市としても、防犯カメラを設置したりと、いろいろなことを商店街や地域の皆さんとも協力しながらやっていますが、そういった被害に遭わないように皆さんが見守っていく、地域の防犯の意識を高めていくことにしっかり取り組んでいきたいと思っています。地域の防犯協会であるとか、やはり人と人とのつながりがあることによって、そういったものが防げると思っています。
また、熊本市は全国の政令指定都市の中でも、刑法犯認知件数は一番低く、そういう意味では日本で一番治安のいい大都市だということになります。もちろんそれに甘んじているということではなくて、さらにそれが進んでいくように、私たちも取組を進めていきたいと思います。
いずれにしても、今回、北九州市で発生したこの事件で犠牲となられた生徒の方には心から哀悼の意を表したいと思います。また、こうしたことが二度と繰り返されないように、多くの関係者と力を合わせて、我々も一自治体として取り組めることを全力で頑張っていきたいと思います。
【記者】市長の政治資金に関して、先日、記者会見を開いていただいて、その後の議会においても質問がありました。これを受けた現状の市長のご認識をお聞かせください。
【市長】これは繰り返し申し上げておりますとおり、政治資金規正法に則ってこれまでも適切に会計をしてきています。そして、個人の皆さんの献金は、個人献金として事務処理も含めて適切に対応させていたただいております。ただ、住所の表記が勤務先なのか自宅なのかということに関しての見解は、今、それが違法に当たるかどうかということも含めて、私の事務所から熊本県の選挙管理委員会に問い合わせをさせていただいています。まだ県の選挙管理委員会から返答はきておりません。恐らく国に確認されているのだろうと思います。そういったことを受けて、また改めてきちんと私からコメント等を発表させていただきたいと思います。
繰り返し申し上げているとおり、これが違法性のあるものであるということは全く思っていませんし、私自身も個人献金を受けることによって行政をねじ曲げるとか、そういったこともありません。寄付してくださった方々が、今回の報道に大変憤りを感じておられて、私のところにもあの報道はどうなんだということで、強い怒りの声もいただいています。それは、自分たちが私の政治理念や政治活動に共鳴して本当に個人として寄付しているのに、自分たちの仕事のためとか、そういういうことを期待して献金しているように受け止められるのは、非常に腹立たしいということです。私は県議時代から無所属であり、政党支部もありませんので、企業からの献金はいただいたことはありません。そういう意味では、長く支援をしてくださっている方がたくさんいらっしゃるんです。
例えば、うちは会社も家も一緒なんだという方もいらっしゃいますし、住民票の住所が公表されますので、そういったことを避けるという意味もあったのかもしれません。いずれにしても、そういう皆さんの善意によって私の政治活動というのは支えていただいておりますので、そこは、私は正々堂々と公平公正をゆがめることは一切ないとここで断言させていただきます。また、今後もそういったいろいろな疑問等に関しては、きちんと公の場でお話していくということが非常に重要だと思っています。
例えば、政治資金規正法に違反しているのではないかというような報道が1回出てしまいますと、私が法令違反をしているんじゃないかというような疑いの念がずっと残るんです。それは、ぜひ報道の皆さんも報道の仕方を考えていただきたいと思います。年末に熱くなって言うようなことはあまりしたくなかったのですが、いろいろな報道で疑問点を出していくということは重要なことだと思っていますし、それを否定するものでもありません。しかし、それによって印象が操作されるようなことがあってはいけないと思います。それを私がいろいろと言ったところで、何かあったんでしょうと言う人たちも多いわけです。
ですから、そういったところはぜひ考えて報道していただければと思います。
【記者】先日、参議院の予算委員会で、石破首相が内密出産について触れられました。ドイツの例を研究して内密出産の法制化を検討したいという意向を示されましたが、このことに対する市長の受け止めをお聞かせください。
【市長】内密出産については、これまで国がガイドラインを示し、それをもとに慈恵病院で運用し、我々熊本市としても協力をしながら進めてきたものです。これまでも国に対していろいろな要望、法制化の要望も行っております。やはり、ガイドラインが示されても判然としないといいますか、いろいろな取扱いが一自治体、一病院で行われるということだけで、解決する問題ではない。
これは全国的に法制化していただいて、お母さんの情報の取扱いや保管、そういった出自情報をどうするのかという事も含めて、ぜひ検討していただきたいということは、これまでも繰り返し申し上げてきました。その上で、今回、国会での質疑の中で、石破総理が政府部内で検討させるとおっしゃったことは非常に大きな一歩だと思っています。これまで我々は、情報提供等を国に対して行ってきました。石破総理のリーダーシップで、本当に厳しい状況にある母子をしっかり守ってもらえるような法体系をこれから実現していただけるように、私たちからも国への要望、それから情報提供を引き続き行っていきたいと考えています。期待しているということです。
【記者】内密出産に関してお伺いします。内密出産がこの3年で38件だったという発表がありました。内密出産から3年を迎えたことに対する市長の所感をお聞かせください。
【市長】内密出産をスタートするときは、慈恵病院とのやりとりもかなりシビアなものがありましたし、やはり法的に判然としないことに対して、積極的にそういうことをやるのは止めてくださいと、当初は私たちも言っておりました。ただ、ガイドラインもその後示され、今38件ということですが、そうした多くの悩む方々に何らかの形で出産のサポートといいますか、相談を受けたり、安全な出産につなげることができたということは、評価されるべきだと思っています。
もちろん、これは最後の砦という形で、こうのとりのゆりかごにしても、それから内密出産にしても、慈恵病院の蓮田理事長をはじめ、多くのスタッフの皆さんが相当献身的にこれまで続けてこられたということで、その取組に対して改めて敬意を表したいと思います。
そして、熊本市としては妊娠内密相談センターを立ち上げました。ここで多くの皆さん方が、自分の素性はなかなか言えないがとにかく相談したいということや、予期せぬ妊娠で悩む人たちが非常に多いということが明らかになりました。
こういった、こうのとりのゆりかごや内密出産も含めて、悩んだ方々に対していかに行政が寄り添っていけるのかということを考えさせられる3年間であったと思っております。ですので、こどもの最善の利益を確保しながら、生まれたこどもが、これから社会の中で本当に自分自身が生まれてきて良かったと思えるように、熊本市、行政はもちろんですが、いろいろな方々の力を得ながら、そういった希望の持てる社会をつくっていきたいと思っています。
まず、お母さんとお子さんの命を守るということは重要なのですが、そのうえでその後のお母さんやお子さんの生活がきちんと安定したものになるように、出産までは病院である程度できるものですが、それから先孤立することがないように、早期に支えるような支援あるいは福祉的なサービスにつなげていくなど、適切な支援につながるように私たちとしては取り組んでいかなければならないということがありますので、これからも連携しながらやっていきたい。
それから、この3年の間で38件という、これだけ多くの内密出産を希望する方々がいたということにもかかわらず、全国各地でこうした動きがあるかといえば、ないわけです。つまり、全国で熊本だけでこういうことをやっている。全国的な関心は広まっていない。私はその点が非常に問題だと思って、全国市長会や指定都市市長会、それからいろいろな有志の首長さんたちの勉強会にも出ていますので、そういった中でこの状況についてお話させていただいています。各都市から視察に来られたりしている皆さん方もいらっしゃいますので、私は来年以降もどんどん情報を提供して、こういう予期せぬ妊娠で悩む人たちが、まず身近な行政機関、あるいは医療機関などそういったところで本当に気軽に早く相談できるようにする。残忍な嬰児殺しであるとか、お子さんが捨てられてしまうような状況、命を落としてしまうような状況、生み落としのような状況を1件でもなくしたいというのは、慈恵病院の蓮田先生もおっしゃっていることでもありますが、私もそのように思っています。そのために、できる限りのことを全力を尽くしてやっていきたいと思っています。
【記者】先程、石破首相に期待しているというお話をされましたが、市長はこの3年間で、法整備に関する議論は進んだと思いますか。
【市長】議論は国会でということになるので、国会の状況のままになりますが、少なくとも、国に情報提供や要望をさせていただく中では、こども家庭庁も含めて担当の皆さんにはかなり熱心に聞いていただいています。ですから、熊本の状況は国でもかなり注視していただいているということは、この3年間で実感しています。
それと同時に、先日参議院の予算委員会で質疑をされた伊藤孝恵議員ともお目にかかって、また、熊本県選出の国会議員団の皆さんにも国のガイドラインの働きかけや要望についていろいろと手助けをいただいておりますので、確実に理解といいますか、これは何とかしなければいけないという思いを持っておられる方の共感は広がっていると思っています。今後、国会で総理の答弁を受けてさらに政府部内での検討が進み、国会でもっと具体的な法制化に向けた議論が進むことを、来年、通常国会以降期待したいと思います。
私自身も、国会議員の皆さんに積極的に働きかけをしていきたいと思っています。
【記者】今月、熊本城ホールが開業から5年を迎えます。開業前の稼働率の想定もあったと思いますが、コロナ禍と重なりなかなか難しいタイミングだったと思います。この5年を振り返った評価をお聞かせください。また、これからどういう施設を目指し、どういう役割を果たしていくのかについての市長のお考えと、それを実現するための具体策があれば教えてください。
【市長】2019年12月にグランドオープンしましたこの熊本城ホールですが、その直後にコロナ禍に見舞われたということで、大変厳しい運営を強いられることとなりました。ただ、そういったコロナの状況にあっても、この5年の間にアジア・太平洋水サミットを開催することができまして、もともとMICEの整備の中で目指していた、国際会議を熊本でやろう、ということがコロナ禍にあっても実現したことは、熊本にとって非常に大きな出来事だったと思います。これは、この施設がオープンしていなければ実現しなかったことでもあります。
そして、そのことによって熊本の水ブランドが世界に発信されました。このアジア・太平洋水サミットが熊本で開催され、その翌年には、私は国連に呼ばれて国連の水会議の場でプレゼンを4回もするということがあって、そして今年の5月には世界水フォーラムに呼ばれてインドネシアでも6回ほどプレゼンや発表をさせていただきました。世界の中で、熊本市が水問題について自治体の中でも非常にリードしているということを、多くの皆さんに世界的に知っていただいた。国際コンベンション、つまりそういう国際会議を誘致するという、熊本市が当初目指していたことを実現できた大きなきっかけになったということは極めて大きいことだと思っています。今後もそういった取組は継続的に進めていきたいと思っています。
それから、理工系や医学系の学会がたくさん開催されたり、熊本ではあまり今まで実現できなかったイベントやコンサートなども、多くの方々にご利用いただけるようになりました。こけら落としでコンサートをしていただいた山下達郎さんは、これまで3回ほど熊本城ホールで開催していただいて、私は1回は抽選に外れたのですが、今年は抽選に当たったので行ってきました。楽屋をお尋ねして、山下達郎さんとお話をさせていただきました。とてもいいホールになったということと、多くのアーティストがたくさん来てるということが素晴らしいということで、音響への評価や会場への評価に非常に厳しい、辛口で知られる山下達郎さんから評価いただいてるということは、非常に良かったと思います。
今年の11月末までに、延べ240万人以上の方々にご来場いただいています。令和5年度までの集計ですが、経済波及効果として約273億円ということで、300億円弱の経済波及効果を生み出しています。
それから、施設の中に備蓄倉庫があり、先日訓練もしましたが、やはり熊本地震を経験して出来たホールということもありますので、災害が起こったときの防災拠点としての機能も非常に高めたという意味では、大きいものがあったと思います。
それと何よりも、催事が熊本で非常に増えたということです。これが開館したことによって、熊本城ホールだけが増えればいいということではなくて、県立劇場や市民会館との相乗効果が生まれて、例えば市民の皆さんが利用する際に他の施設が取りやすくなるなど、選択肢が増えたことによって催事が3施設全体で年間約1,600件増えたということは、コロナ禍にあっても非常に大きな役割を果たして、地域全体の需要に応えることができたと思っています。
それから、先日プロモーターの方とお話をさせていただきましたが、熊本は会場が押さえやすくなったと言われました。今までは、熊本は選択肢に入っていなかった。九州でやるのであれば、福岡で大きいものを一つやるか、もしくは福岡と鹿児島でやって北部九州と南九州をカバーするかということで、熊本はパスすることしか考えていなかったが、これだけ選択肢が増えたということはいろいろな公演もやりやすくなると。市民の皆さんにそういう文化的な事業が多く提供できるようになったということは、民間活力の利用という面でも非常に大きなものになったと思います。
一方で、マイナス面として、指定管理者との協定に基づき不可抗力が発生したときには損失を補うということを契約の中に盛り込んでいたので、コロナ禍でキャンセル料相当分を負担するということで、指定管理料はもともと0円で、民間の活力の中で熊本市から維持管理費を出すことなく賄っていってもらうスキームになっていたのですが、それが当初の3年間ほどできなかったことはマイナスであります。ところが、令和4年度以降、こうした補填は行われていませんので、市の財政負担は非常に軽減されているということが言えるかと思います。
それから、これからの見込みといいますか、誘致に関して言えば、数年先まで誘致を仕掛けていかなければ、なかなか簡単には実現しません。そういったことは、本市の経済観光局や担当セクション、それから医療系の大きな学会については熊本大学や関係の学術機関などのキーマンの皆さんと、今、積極的に連携しながら進めています。ですので、これからどんどん利活用は増えていくと思っています。
令和5年度の催事件数が1,500件ですが、恐らく今年度はそれをもっと上回ることになります。もともとの年間の想定催事件数が1,484件ですので、それをもう既に令和5年度で超えている。令和6年度ではさらに超えるだろうということです。
それから、リピーターが多いということはあると思います。例えば、コンサートで言えば葉加瀬太郎さんが一番多く、年に2回ほど開催されています。先日もお会いしましたが、このホールが大好きだからずっとやっていたいぐらいとおっしゃっていまして、非常に気に入っていただいています。玉置浩二さんも繰り返し開催されていて、毎回sold outの状態です。そういったビッグネームの方も含めて、多くの方が利用されています。恐らく、今後もここは活用が増えていくと思います。
先ほど申し上げように、市民会館や県立劇場といかに連携して熊本全体の文化的な価値を上げていくか、ベースを上げていくかということは非常に重要になってきますので、そこはこれからまた県や関係機関と連携しながら進めていきたいと思っています。また、そういう大きなイベントがたくさんできることによって、それがどんどん相乗効果を生んでいって、経済波及効果に繋がっていきますので、そうした点は全力を上げてやっていきたいと思っています。
【記者】政治資金報告書についてお伺いします。住所欄に企業団体の住所が記載されていたとして、現在、県選挙管理委員会に違法性も含めて確認中だと思いますが、ご自身の収支報告書に対し市民から疑問の目が向けられていることについて、政治家としてどのように受け止めていらっしゃるのかをお聞かせください。
【市長】私たち政治家というのは、そういった献金を受けることによって、しっかり政治活動を公平公正に進めていくということが求められています。特に透明性の部分に関して、そこを確保することで疑惑や疑念を持たれないようにするということは、非常に重要なことです。ですから、今回指摘があったことは、法的に課題があるのかどうかということについてきちんと当局に確認中ですので、それではっきりすると思います。ただ、いろいろな形で誤解を生まないようにするということはあると思います。
一方で、政治資金規正法は6月に改正されて、住所に関して地番は入れないことになっています。インターネットで公表されるということで、電子での申請に関して言えば、そういう改正がされているということです。疑念を持たれるといっても、きちんと私自身の口で説明していくことが重要だと思っていますが、それでも自宅なのか勤務先なのか分からなくなります、という話になりはしませんか。
むしろ、重要なのは個人献金としてしっかり扱っているかどうかということだと思いますので、そこをちゃんと説明できるようにすることは大事だと思います。政治家としていろいろと疑念を持たれないようにすることは、公の場で正々堂々とお話をしていくことかと思います。先程、報道の皆さんに苦言を言うような形になりましたが、正確に、印象で左右されることがないように報道していただければ、我々としてもありがたいと思っています。