それでは臨時の会見を開かせていただきます。
「有機フッ素化合物(PFAS)の対策」についてご報告いたします。
PFASとは、皆様ご承知のとおりですが、PFOS、PFOAなど、有機フッ素化合物の一部で、健康への影響のおそれがありますことから、PFOSは2010年から、PFOAは2021年から、それぞれ製造・輸入が原則禁止となっております。
本市では、これまで、法令に基づきまして、PFASに関する調査を水道水、地下水、河川等で行ってまいりました。
水道水については、令和3年度から年4回の調査を実施しておりまして、市内全てにおいて暫定目標値を下回っておりますことから、安心してご利用いただけます。
次に、地下水については、令和4年度から定点監視井戸の調査を開始しておりますが、植木地区、白川地区の2地点で指針値の超過が確認されましたことから、令和5年5月にPFASに関する情報共有や適切な対応を検討するため、「PFOS・PFOA対策地下水保全特別プロジェクトチーム」を設置し、庁内横断的に取り組んでまいりました。
この指針値超過の2地点の周辺については、国の手引きに基づいて、さらに調査を実施しましたところ、植木地区の21地点、白川地区の1地点で指針値の超過が確認されましたため、指針値超過を確認した井戸所有者には、飲用を控えていただくことと、水道水への切り替えについてお願いをしてまいりました。
また、市民の皆さまのご不安を払しょくするため、本市では飲用井戸等の検査を実施しておりまして、令和6年10月末時点において、これまで調査を実施した423地点のうち47地点で指針値超過が確認されております。
そこで、こちらについても、井戸所有者の皆様には飲用を控えていただくことと、水道水へ切り替えていただくようお願いをしております。
さらに、河川についても、令和4年度から調査を開始いたしまして、市内5つの河川全てが暫定指針値以下であることを確認いたしましたが、比較的高い値を示した井芹川において追加調査を実施いたしましたところ、井芹川上流域で指針値超過が確認されたため、河川への流入水等を含めさらに詳細な調査を実施いたしました。
次のモニターをご覧ください。
その結果、指針値を超過する流入水が複数箇所で確認されたところです。
このうち、特に値の高かった鐙田川上流の「イ」の地点については、湧水であると考えられるため、現地確認を行いましたが、現在のところ原因特定には至っておりません。
同じく値の高かった、流入水「13-1」の水路ですが、この上流にある埋立処分場からの放流水について、その埋立処分場の設置者のご協力をいただいて調査をさせていただきました。その結果、指針値を超過していることが分かりました。
このことから、他の埋立処分場でも指針値の超過の可能性が考えられるため、民間の埋立処分場7カ所についても調査をさらに実施させていただきました。そうしたところ、6つの処分場の放流水で指針値超過が確認されました。次のモニターをご覧ください。これがその全てでございます。
こうした形で、企業名まで今回出させていただいておりますが、それぞれの処分場で放流水、それから観測井戸、上流、流入水、下流で超過が確認されております
このほか、周辺の河川では5カ所、処分場内に設置してあります観測井戸では3カ所で指針値超過が確認されたものの、この3カ所の観測井戸周辺500m以内の飲用井戸についてはすべて指針値未満ということでございます。
以上のことから、本市では、地下水及び河川水の指針値超過について、学識者等からなります専門家委員会を設置いたしまして、原因究明に努めてまいりたいと考えております。また、あわせて、廃棄物埋立処分場の放流水の濃度低減対策についても、埋立処分場の事業者の皆様と連携して、専門家委員会のご意見を伺いながら検討してまいりたいと考えております。何らかの対策をとれるようにしたいと考えております。改めて皆様にお知らせしますが、熊本市内全域の水道水に関しましては、全て調査をして、基準以下でありますので、安全にご利用いただけるということは強調させていただきたいと思っております。
そして、飲用井戸をお持ちの方で大変ご心配の方も多いと思いますので、飲用井戸をお持ちの方でこれまで検査を受けていない方は、本市が無料で検査を行っておりますので、ぜひお申し出いただければと思っているところでございます。
なお、現時点では、健康被害それから農作物への影響は確認されておりません。本市が独自で調査を行いましたが、井芹川上流域で耕作されたお米についても影響は今のところ全く確認されておりませんので、その点はご安心いただきたいということと、こうした発表をすることによって風評被害にならないように、ぜひ皆様には慎重にご対応いただければと思っております。
このほか、PFASに関してご不安等を感じる方はこれらのお問合わせ先までご相談いただきたいと思います。
最後になりますが、埋立処分場の事業者の皆様については、法令を遵守して処分場の運営をされているということであります。今回、調査をさせていただきましたが、全ての原因が処分場によるものではないということです。まだ分かりません。
ただ、社名を公表させていただいて、今回の調査と同時に今後の対策についても一緒に色々考えていっていただくということで非常に真摯にご協力いただいております。例えば、先ほどの上流域のそういったところを調べさせてください、という場合には、その企業の敷地内に入り込んで調査をしなくてはいけません。通常であれば、法令に違反もしてないし、問題もないのに、なぜそのようなことに協力をしなくてはいけないのか、となりがちであったり、あるいは何も違反をしてないのに名前を公表されるのはどうなのかということもあるかと思います。実は、皆様方が協力的であって、今後の対策についても我々に協力いただいているということは、ぜひ誤解の無いようにご理解いただきたいということは改めて強調させていただきたいと思います。そして、今後の対策等々も、やはりこうした企業の皆様の協力がなければ先に進めることができませんので、そういう意味では、今回、我々としても調査が非常にやりやすかったと思います。
いずれにしましても、徹底的に色々なことを公開しながら、これから市民の皆様の安心と安全をしっかり担保できるように、そして、熊本の水というのはブランドでもありますので、こうした熊本の水ブランドをしっかり守っていくために、さらに原因の調査そして対策の強化、こういったものをどうすればいいのか、専門家委員会を設置しまして、事業者の皆様や関係機関と連携しながら、PFAS対策について、さらに取り組んでまいりたいと考えておりますのでよろしくお願いします。
私からは以上です。
質疑応答
【記者】専門家委員会を設置されるとのことですが、いつ設置するのかということと、目的、最終的なゴールを教えてください。
【市長】専門家委員会の設置の時期につきましては、直ちにと思っていますが、委員の就任等々もありますので、年明けの早い時期にと考えております。そして、専門家委員会にはどういった方を招集するのか、ということについては、地下水の専門家や土壌関係の専門家、それから廃棄物関係の専門家、リスク評価関係の専門家、そうした方々で構成を予定しております。今、人選も含めて、それぞれの皆さんにお伺いしているということですので、早ければ年明け早々に設置し、委員会が開催できればと考えております。なお、環境省にもオブザーバーとして参加いただく予定です。
【記者】設置は、今年度にという理解でよろしいでしょうか。
【市長】はい、今年度中の設置は間違いありません。できるだけ早くということです。
【記者】今回の調査の結果、全ての原因が必ずしも放流水ではないというご説明でしたが、処分場からの放流水にPFASが含まれていたことについて、市長の見解をお聞かせください。
【市長】なかなか原因が特定できずに、なぜか井芹川が高い数値が出たこともあって、報道等でも調査をされたりしていたわけですが、我々としてはその原因を探るべく、PFOS・PFOAの原因究明するための庁内プロジェクトチームを昨年立ち上げて、これまで調査を続けてきました。
その中で、濃度を調べていくと暫定指針値を超えた辺りから、どうやら埋立処分場付近から濃度がどんどん上がってくるということが分かってきました。少し時間がかかっていますが、昨年の春先、プロジェクトチームを設置した後に1年ぐらいかけて(調査を)やっているのですが、季節的な変化も捉えなければなりませんし、それから地点もずっと追いかけていかなければならないということで、かなり念入りに調べたということでございます。
そして、こういう形で分かってきたのですが、埋立処分場の近辺で高い値が出ているということは、過去のいろいろな経過なども調べながら、何がそこで影響を与えているのか、PFASがどういう形で流れ出ているのか、これはPFASの成分自体が、永遠の化学物質と言われているほど分解されないものですので、しっかりどういう形でどこが原因でと、辿っていくのはなかなか難しいのですが、濃度が高いというところまではたどり着けました。
廃棄物処分場に関して言えば、例えば埋立てごみの中にプラスチック類があったり、金属類があったり、金属類の中でもフライパン等にPFOS・PFOAを使った、いわゆる水をはじくような成分が含まれているものが捨てられているのならば、我々の生活廃棄物が由来している可能性があります。ただ、埋められてるごみの中身がどんなもので、それにPFOS・PFOAが使われているのかは中々分からないものですから、これは今後いろいろな検査をしながら、専門家委員会と埋立処分場の皆さんにご協力をいただきながら、原因をできるだけ探っていきたいと思います。
そのことが、今後、非常に重要になってくると思います。全国的にもここまで企業の皆さんにご協力いただいて、公表についてもこのようにかなり細かくお示ししているところはあまりないのではないかなと思います。我々は、事業者の皆さんにご了承いただいたうえで公表していますので、そういう意味では、皆さんが熊本の水を守りたいという、同じ方向を向いていただいてるということはありがたいことだなと思っています。
全国各地で(PFASの)データが出ていますので、全国の処分場等において、これから検査が進んでいったりするのではないかと思いますが、私としては、どういうところに原因があるのかということを突き止めていけるように、できる限りの努力をしていきたいと考えています。
【記者】公表された八つの事業所は、それぞれPFASの使用歴があるのでしょうか。
【事務局】使用履歴があったわけではなく、事実として検出されているだけですので、会社といて使用していたということは確認されていません。
【記者】井芹川で3事業所、坪井川で4事業所ということですが、坪井川の中・下流域からは特に超過しているようなポイントはなかったと思います。これは拡散されたという理解でよろしいですか。
【事務局】下流域になりますと水量が増えますので、結果的に薄まっているという考え方でよろしいかと思います。
【記者】井芹川および鐙田川流域で指針値を超過している原因も不明という事でしょうか。
【市長】はい、現在理由は分かっていません。ですので、とにかく分かる範囲で徹底的に調べている状況です。
【記者】あと1か所、九品寺の地下水の状況について教えてください。
【市長】白川地区については、以前発表させていただいておりますが、指針値超過後の状況について年6回調査を実施しておりますが、現時点で濃度に関して大きな変化はないという報告を受けております。
ここについては、埋立処分場があったということではないと思いますので、指針値超過の原因はまだ分かりませんが、濃度に関してはきちんとモニタリングをしています。
【記者】先ほどお示しになった8事業所については詳細な説明はあるのでしょうか。
【市長】この会見が終了した後に、改めて市の担当部局から、記者の皆様にはご説明させていただますので、詳しくはその際にお聞きいただければと思います。
【記者】昨年発表がありました井戸水と今回の排水の関係について認定したということではなく、あくまで川の水と放流水の関係ということなのでしょうか。
【事務局】ご質問は、上流の鐙田川付近の井戸と鐙田川との関係についてかと思われますが、定点監視井戸の原因と今回の井芹川の調査の原因との因果関係については、非常に可能性として低いと思っております。定点監視井戸が上流側に位置しており、今回発表させていただいた井芹川への流入水につきましては、あくまでも井芹川の一部が高かった原因の一つではないだろうかと考えております。
【記者】PFASについては法的根拠がない状態ですが、現場の市長としては対応しなければなりません。これから専門委員会を立ち上げて、事業者に協力いただいていくときに、法的根拠がない中でどのように対応していかれるのでしょうか。
【市長】法的根拠に関しては、これから恐らくいろいろな基準値について、ガイドラインなどが示されていくのではないかと思っています。国でも、全国的にいろいろな地点でPFASが検出をされている中、健康被害があるかどうかということも含めて、因果関係について明確でないところがあります。ですが、今後対策をとるという意味では、熊本の地下水をきちんと守っていく、あるいはそういう熊本の水ブランドを守っていくということで、企業や事業者の皆さん、それから市民の皆さんにもご理解いただきながら対策を進めていくということですので、現行環境保全に関する法律、こういったものを踏まえて、我々はその範囲の中で対応していくことになるだろうと思います。
(事業者の皆さんは)現在何か違法なことをされてるわけでも何でもなく、数値が出たので調査にぜひ協力してほしいということと、この地点で出てきましたということに関して、事業所の方々に対してあらぬ臆測を生まないようにするためにも、きちんと公表をさせていただくべきだと私も判断しましたので、そういうお願いをして事業者の皆さんにもご理解いただいたという状況です。
【記者】ということは、8事業所について何らかの蓋然性は高いということだけれども、因果関係は分からない。したがって、原因企業であるという言い方は適当ではないということでよろしいですか。
【市長】そのとおりです。原因企業であるとは今の段階で言えないということです。しかしながら、そこに埋立処分場があるということは、埋立てられたものが影響して数値が出てるのではないか、というのは普通に考え得ることですので、ご協力をいただきながら、その原因を探っていくということです。例えば、今まで持ち込まれたり、埋め立てされたものについては、記録が残っている範囲のものがありますので、そういったものを洗い出しながら、場合によっては土壌を調べていくということも出てくると思います。恐らくこれからいろいろな検査があると思いますが、その時には、先ほどご質問にもありましたように、法的な規制がまだ入っていない物質に関しての調査をやっていくものですから、やはり専門家委員会の皆さん方のいろいろなご見解をいただいてからやっていこうと考えています。