提案理由の説明に先立ちまして、一点お詫びを申し上げます。
去る一月三十一日、令和六年第四回定例会で御報告いたしました窃盗容疑で逮捕された中央区役所の会計年度任用職員、また病気休暇の診断書を変造した南区役所職員を懲戒免職処分といたしました。
不祥事の根絶に向け、全庁を挙げて取り組んでいる中、市政への信頼を大きく失墜させる事案が相次いで発生しましたことを大変重く受け止めており、議員各位をはじめ市民の皆様に対しまして、深くお詫び申し上げます。
改めまして、職員の法令遵守はもとより、常に全体の奉仕者として、強い自覚と緊張感をもって職務に専念するよう全職員の意識改革を図り、市民の皆様からの信頼回復に向け、職員一丸となって取り組んでまいります。
次に、三点御報告を申し上げます。
まず、昨日十六日に開催いたしました「熊本城マラソン二〇二五」について御報告いたします。
第十二回目となる今回の熊本城マラソンは、国内外から約一万四千人ものランナーの皆様に御参加をいただきました。
心配されていた雨も早朝には止み、運営に従事されたボランティア等の関係者の皆様をはじめ、沿道から応援いただいた多くの市民の皆様方のおかげをもちまして、盛況のもとに無事終えることができました。
ここに改めまして、開催にあたり御尽力いただきました関係者の皆様、並びに沿道で温かい応援をいただきました市民の皆様に対しまして、心から厚く御礼を申し上げます。
次に、学校給食費について御報告いたします。
これまで給食用食材の価格が高騰する中、給食費については、保護者の皆様のご負担を増加させないよう、国の地方創生臨時交付金を活用し公費での助成を続けてまいりました。
来年度におきましては、学校給食を安定的に提供していくため、一食当たりの単価の改定を実施したいと考えておりますが、引き続き、保護者の皆様の負担軽減を図るため、国の地方創生臨時交付金の活用に努めてまいります。
加えまして、これまでの国の交付金を活用した助成にとどまらず、本市独自の取組として、学校給食費の無償化につきましても、今後、庁内で具体的に検討してまいりたいと考えております。
最後に、下水道管路の重点点検の実施について御報告いたします。
先月二十八日に埼玉県八潮市において、下水道管の腐食が原因と考えられる大規模な道路陥没が発生いたしました。
この事故を受け、本市では、二月三日から三月末にかけて、下水道管路の重点点検として、事故と類似した管路約五十km及び管路が腐食しやすい四百五十五箇所の目視点検及びカメラ調査、また、老朽管の過去の点検結果に基づく約二百km分の再チェック等を実施しております。
上下水道は生活インフラに欠かせない重要な施設であることから、今後も市民の皆様にご安心いただけるよう、適切な維持管理等に取り組んでまいります。
それでは、改めまして、令和七年度当初予算編成にあたっての考え方について、御説明いたします。
令和六年度は、本市の最上位計画であります「熊本市第八次総合計画」に基づくまちづくりがスタートし、新たなステージへ歩み始めた一年となりました。
新年度は、この流れをさらに加速させる重要な一年であり、本市が目指す「上質な生活都市」の実現に向け、まちづくりの重点的取組について着実に推進していく必要があると考えております。
そこで、令和七年度当初予算の編成につきましても、昨年度と同様、ビルド&スクラップと連動した予算要求のルールを導入した上で、「慢性的な交通渋滞の解消」「半導体関連企業の熊本進出に伴う諸課題への対応」「総合的なこども施策の推進」をアクションプランにおける重点事項に設定し、重点的な予算配分を行うなど、事務事業の徹底した見直しを行い、国の経済対策を含む令和六年度二月補正予算と一体的に編成しました。
それでは、「心をつないで、くまもとの未来へ」をテーマに編成した令和七年度当初予算について、総合計画における八つのビジョンに沿って御説明いたします。
まず、ビジョン一である「こどもが輝き、若者が希望を抱くまち」については、「すべてのこどもの健やかな成長と家庭の幸せへの支援」として、結婚支援を包括的にコーディネートするくまもと出会いサポートセンターKumarry(クマリー)の運営による結婚を希望する方への支援や、親の就労状況等に関わらず、月に一定時間の利用枠内で保育施設を利用できる「こども誰でも通園制度」の実施、障がい児や医療的ケア児の受入体制の整備や児童育成クラブにおける受入体制の強化などに取り組んでまいります。
また、「困難な状況にあるこどもや子育て家庭への支援」として、安心・安全なこどもの居場所の増設や、子育て短期支援事業の拡充に取り組むとともに、産後の母子への専門的なケアを実施することとしております。
さらに、「こどもを主体とした教育の推進」、「まちを支える人材の確保・育成」として、日本語指導を必要とする児童生徒への支援体制の強化や新たな学校部活動の実施に向けた部活動指導員の増員等の取組のほか、専門員による移住・就職に関する相談支援や公式移住情報サイトの改修を含むプロモーションの強化等によりUIJターンを促進し、企業の人材確保の支援に取り組んでまいります。
次に、ビジョン二である「市民に愛され、世界に選ばれる、持続的な発展を実現するまち」については、「半導体関連産業等への新たな投資の後押しや中小企業等の振興」として、スタートアップ等の成長段階に応じた伴走型支援等による熊本版スタートアップエコシステムの構築や、伴走支援プログラムの提供等による中小企業の事業承継・引継ぎの促進のほか、半導体関連企業の進出意向等の調査をはじめ、企業誘致の取組を強化してまいります。
また、「世界を魅了する都市ブランド力の向上」、「交流人口拡大によるにぎわいの創出」として、熊本の地下水を活用した誘客や周遊につながるイベントの開催、新庁舎整備を契機としたまちづくりの推進のほか、国際会議等の誘致による戦略的なMICE誘致活動の推進や観光振興の取組を強化するための安定的な財源確保に取り組みます。
さらに、「活力と魅力に満ちた持続可能な農水産業の振興」に向けて、就農希望者への早期定着・経営安定に向けた支援の実施等による未来へ向けた農業の担い手確保の推進や、農と食の未来をつくる理解醸成の推進、半導体関連企業の熊本進出を契機とした海外への販路拡大・プロモーションの支援に取り組んでまいります。
次に、ビジョン三である「市民生活を守る強くしなやかなまち」については、「防災・減災の推進」として、新庁舎について、市民ワークショップやアンケート調査、市民説明会等を実施し、市民の意見を踏まえながら整備方針の検討を進めてまいります。
また、白川洪水浸水想定区域図の変更に伴うハザードマップの刷新を行うとともに、適切な避難行動に繋げるために浸水リスクの高い地域へ浸水標識を設置するなど、市民の防災意識の向上を図ってまいります。
また、「総合的な消防・救急体制の強化」として、消防行政におけるDX化を推進し、更なる市民サービスの向上や業務の効率化、消防力の強化を進めてまいります。
さらに、「交通安全・防犯の推進」として、町内自治会等における防犯カメラの設置等に係る費用を補助し、地域の防犯力強化に取り組んでまいります。
次に、ビジョン四である「だれもが自分らしくいきいきと生活できるまち」については、「人権尊重社会の実現」、「だれもが生きがいを持ち、お互いに支え合える社会の実現」として、定型業務や軽易作業を行う集合型のワークステーションを新たに設置し、障がいのある職員の特性に応じた活躍機会の創出を図るとともに、民生委員協力員の配置による地域福祉活動の推進に取り組んでまいります。
また、「多文化共生の推進」として、台湾からの移住者向けの生活情報セミナーやイベントの実施による交流促進、外国人受入環境の整備として、地域日本語教育の総合的な体制づくりを推進してまいります。
次に、ビジョン五である「豊かな環境を未来につなぐまち」については、「カーボンニュートラルの実現」として、令和七年度末に計画期間が満了する熊本連携中枢都市圏地球温暖化対策実行計画の改定を行うとともに、住民や事業者の行動変容を促進する広報・啓発活動に取り組み、脱炭素化事業の加速化を図ります。
また、「生物多様性の保全と自然との共生」、「快適で安全・安心な生活環境の保全」として、水の都熊本のシンボルである江津湖の自然環境の保全・再生に向けた調査を行うほか、市民・事業者・行政の協働による水田湛水、水源かん養林整備等の地下水かん養の推進や地下水及び公共用水域の水質監視強化に取り組んでまいります。
次に、ビジョン六である「すべての市民がより良い暮らしを営むまち」については、「地域コミュニティ活性化の推進」として、マイナンバーカードと紐づけた「くまもとアプリ」を本格運用し、ポイント等のインセンティブを付与するとともに、地域活動への参加を「見える化」することで、活動の活性化を図ってまいります。
また、「人生一〇〇年時代を生きるための健康づくりの推進」として、国内で最も罹患者数の多いがんである大腸がんの早期発見を図るため、全国初となる全大腸内視鏡検査の無償実施を開始するなど、がん検診の強化に取り組むとともに、受動喫煙対策を推進するため、中心市街地へ新たに分煙施設を設置する経費に対する助成を行います。
さらに、「文化芸術が持つ多様な価値の活用」として、記念館におけるイベント開催を通じた認知度向上や魅力発信に努めるとともに、連続テレビ小説「ばけばけ」の放送にあわせた小泉八雲熊本旧居のPRイベントや展示の充実に取り組んでまいります。
次に、ビジョン七である「安全で良好な都市基盤が整備されたまち」については、「持続可能で魅力的な都市づくり」として、目指すべき公共交通の姿を実現するため、持続可能な公共交通のあり方の検討をはじめ、交通量分散による渋滞の緩和を図るためのルートマネジメントの検討やJR新水前寺駅の混雑解消を図る南熊本快速バスの試験的運行、公共交通空白地域等におけるAIデマンドタクシー等の運行など、公共交通の利用促進に取り組んでまいります。
あわせて、新水前寺駅及び上熊本駅の交通結節点の強化に向けた取組や熊本西環状道路の整備推進、「一〇分・二〇分構想」の実現に向けた調査検討など、都市基盤の整備を着実に進めてまいります。
また、「豊かな住生活の実現」として、今後の住宅政策に活用するため、半導体関連企業の進出に伴う住宅ニーズの変化予測・分析に取り組んでまいります。
次に、ビジョン八である「市民に信頼される市役所」については、「行政サービスの質の向上と持続可能な行財政運営の推進」として、通話録音装置等の導入や職員の接遇意識の向上研修を行うカスタマーハラスメント対策に加え、書かないワンストップ窓口の導入や、建築関係をはじめとした行政手続きのオンライン化等により、これまで以上に市民の皆様の利便性向上を図り、行政サービスの質の向上に取り組んでまいります。
また、データを利活用できる人材の育成や、既存の本市統計書等のデータを市民・職員が容易に利用しやすい環境を整備することにより、データに基づく事業立案等を促進してまいります。
最後に、合併三町における新市基本計画につきましては、令和七年度におきましても、道路や農業基盤、上下水道などの都市基盤の整備に加え、義務教育施設の整備等に、総額約六十三億円の事業費を計上しており、各事業を着実に進めてまいります。
令和七年度当初予算に関する説明は以上でありますが、予算の規模としましては、一般会計では四千百九十三億円、特別会計では二千四百六十八億三千百二十二万円、企業会計では九百二億七千百四十三万円となり、全会計の総計は七千五百六十四億二百六十五万円となりました。
これを前年度当初予算と比較いたしますと、一般会計は四・五%の増、特別会計は二・〇%の増、企業会計は六・一%の増となり、総計では三・八%の増となりました。
続きまして、令和六年度の補正予算について御説明いたします。
今回の補正予算は、昨年十二月十七日に可決成立しました国の補正予算に連動し対応する分として、総額約百一億円を計上しております。
まず、「日本経済・地方経済の成長」については、農業者が行う高性能な機械・施設の導入等に対する支援経費などでございます。
次に、「物価高の克服」については、追加交付された「物価高騰対応重点支援地方創生臨時交付金」を活用した、LPガス価格高騰の影響を受けた世帯や事業者に対する支援、社会福祉施設等の光熱水費等に対する支援経費などでございます。
次に、「国民の安心・安全の確保」については、避難所の生活環境改善のための資機材や車両等の整備に要する経費などでございます。
このほか、国庫補助内示額の減や入札残などに伴う減額等に加え、決算見込みに伴う過不足調整等でございます。
なお、市電延伸事業につきましては、二月十日の記者会見でもお示ししましたように、地域公共交通に関する特別委員会でのご議論を踏まえ、本格着手を延期することとし、実施設計に係る予算については、本定例会において全額を減額補正として上程させていただきます。
何よりも市電の安全、安心の確保を最優先に取り組むための判断でありますことから、ご理解をいただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
続きまして、条例等の議案でありますが、主なものといたしまして、「熊本市宿泊税条例」の制定について御説明いたします。
これは、観光都市としての魅力向上、訪れる人に優しい滞在環境の構築及び戦略的な誘客促進、その他の観光振興を図る施策に要する費用に充てるため、宿泊者一人一泊につき一律二百円の宿泊税を課すため、条例を制定するものであります。
その他の議案につきましては、末尾に簡単な理由を付しておきましたので、説明を省かせていただきます。
以上で説明を終わりますが、何とぞ慎重に御審議の上、御賛同いただきますようお願い申し上げます。