【記者】観光統計についてお伺いします。宿泊者がぐんと伸びたということですが、裏返して、ホテルが足りなくなったり、タクシーの台数が足りないなど課題が浮かび上がってきたのかどうかを教えてください。
また、慈恵病院のこうのとりのゆりかごについて、明日で開設から18年を迎えます。市としてこの取組をどう見ているのかということと、慈恵病院が手弁当で妊娠相談や内密出産を支援していて、ある種の福祉サービスを民間病院が一手に担っているという現状は、少しいびつと言いますか、頑張りすぎではないかという気もします。市として、行政が孤立している女性に妊娠相談等を行うことに対して、感じている課題などがあれば教えてください。
【市長】まずは観光消費額、延べ宿泊者数、入込数が過去最高になったという、非常に喜ばしい明るいニュースといいますか、そんなに暗いニュースばかり言っていたわけではありませんが、久しぶりに明るいニュースだなと思っています。体感として、非常に外国人の方が増えたなというのは、町を歩いていて皆さん思われていると思いますが、実際に数字で見ますと、宿泊者数も含めて相当伸びているということで、観光消費額の伸びもすごいですが、宿泊者数の伸びも13.9%ということで相当伸びています。
最近は、ホテルが取りづらくなっているというお声をよく聞きます。特に料金が変動制になっていますので、結構料金が高くなっているという声も聞いたり、ビジネスホテルなどでは、ビジネス需要の方々が観光の方と時期的にぶつかってしまった場合に、ホテルが取りづらくなっていると伺っています。ただ、トラブルが発生したということは今のところ聞いておりませんので、他の人気の観光地を抱えるエリアと比べますと、オーバーツーリズムというような問題は今のところ起こっていないと認識しているところです。
あとは、先ほどモニターに映しましたとおり、台湾・中国・香港・韓国など直行便の影響が非常に大きいと思います。これから上海便も就航する可能性があるという報道もされていますので、そうなりますともっとここは増えていくことになると思います。ですので、今の受け皿がどういう状況にあるのかということは、市の観光のセクションも含めて関係の皆さん方とも意見交換をしながら、旅行業や受け入れをされる宿泊施設等々とも連携して課題を整理し、対処できる部分には対処していきたいと考えています。
それから、こうのとりのゆりかごについては、開設から18年ということで、この間非常に多くの命を救ってきていただいたと思います。昨日、慈恵病院でも記者会見をされていましたが、私も市長になる前の県議時代から、こうのとりのゆりかごについては関心を持っていましたし、関わってきた者として、この18年の歩みは、大変なことも多かったし、行政と慈恵病院や関係者の皆さんとでいろいろな形で連携をとりながら、やっとここまでの形になってきたのではないかと思っています。
ゆりかごの問題については、そのあとの内密出産という取組も含めて、慈恵病院が全国で初めての取組を次々になさってきたということで、こうのとりのゆりかごや内密出産を通じて、予期せぬ妊娠やいろいろな悩みを抱えておられる方が、例えば悲しい事件になるような棄児に繋がったり、あるいは遺児殺しに繋がらないように、少しでも小さな命を守りたいという強い思いから、献身的に行動なさってきたことだと思います。我々行政も、前例がない中で、どのように対応していけばいいのかと、担当部局も含めて相当悩みが大きかったと思います。時には慈恵病院さんとも上手くコミュニケーションが取れずに、見解に違いがあったりなど、なかなかうまくいかない部分もあった18年ではないかと思います。
これまで、こうのとりのゆりかごには179人の子どもが預けられて、多くのこどもたちの命を救ったということ、そして母子の孤立を防いで適切な支援に繋げるような役割を果たしてこられた慈恵病院のこれまでの献身的な取組には本当に敬意を表します。
先ほど、金銭的な負担の問題もありました。東京の賛育会病院で同じような取組がスタートしているものの、金銭的な課題は一方であるということで、そういったことに対してかなりの負担を強いられてる状況というのは、私も認識をしておりますし、マンパワーも含めて財政的な面もかなり大変だと思います。ただ、ご承知のとおり、福祉システムとして法的に確立されたものがない中で、そこに公的な助成や補助のスキームを作ることが、現状ではなかなか困難であると思います。ですので、我々も国に対して、ゆりかごや内密出産に関する様々な環境を整えるためにも、法制化をしっかり位置付けていただきたいと、繰り返し要望させていただきました。
昨日も報道でもあったように、18年という月日が経ち、預けられた赤ちゃんは18歳になるということで、多感な時期を過ごしている状況であり、当然自己のアイデンティティ確立のために、自分の出自を知りたいという欲求も含めて、自らのルーツを求める行動をするお子さんは増えてくる、そういう時期に差しかかっているということだと思います。今、慈恵病院でも、マニュアルというかガイドラインというか、そういったものを独自で策定しようと取り組まれていますが、今年の3月に、出自を知る権利の保障等に関する検討会から、私の方に提出されました報告書も踏まえて、慈恵病院、それから全国の児童相談所等々とも、連携をしっかり図っていくということ、それから、子どもたちの思いに丁寧に寄り添っていく必要があると思っていますので、正にこれからいろいろな課題に直面していくことになると思います。
そのためにも、国に対してこういった事例も含めたこれまでの状況(を説明し)、そして、内密出産の法制化に向けた動きも見られているところです。国において、今年度中に、海外事例の研究に着手するということもございましたので、本市としてもこの機をとらえて、法制化に向けた検討が加速するよう、国への要望を行っていきたいと考えています。
こうのとりのゆりかごが使われない社会の実現は、多くの人たちが望んでいることだと思いますが、一方では、そういったものに頼らざるを得ない状況に置かれている人たちが、たくさんいらっしゃるという現実を、我々は直視しなければいけないと思っています。
そんな中で、熊本市は内密出産相談センターを立ち上げて、相談件数がかなり増えています。慈恵病院とはまた別に、相談のチャンネルが増えたということで、大切な命や権利そういったものを守っていくための体制は少しずつですが整ってきているような気がします。現場でいろいろと葛藤しながらやっていますが、そこで悩んでいる人たちの相談は、最初はやはり秘密にしたい、内密にしたいという方が非常に多いと思いますので、そういう皆さん方に対して、きちんと寄り添った相談が受けられるように、行政としても最大限努力をしていきたいと思っています。
【記者】観光統計についてお伺いします。消費額や入込数の増加の幅と言いますか、増加率の数字に対して、率直に市長はどのように感じられたのかを教えてください。
【市長】予想を超える増え方だなと思っています。コロナ禍があったということもあって、コロナ禍前に戻れるかどうかというところが、今、全国各地でも目標というか、テーマになってると思うんですね。できるだけインバウンド、あるいは観光客をたくさん呼び込もうということで、全国各地が苦労している中で、過去最高を更新したということは、熊本の勢いを示す大きな結果だなと思っています。
今お尋ねされた、その幅をどう捉えるかということは何とも表現ができませんが、これからまだ伸びるだろうと思っています。これは受け皿も、例えば新しいホテルを作ろうということが、熊本市内だけではなく都市圏全域で起こっていることや、それから今、インスタグラム等SNSを通じて、地域の小さなお店が注目されて、そこに外国の方が殺到しているような状況も結構見られます。私も意外だなと思うような、ここのお店に来ますかねというような、熊本の人は知っているけど、なぜ知っているんですかという所に行かれているなと思うこともあって、やはりSNSやインターネットのデジタルの力で、相当情報が早く回っていくことで、いろいろな意味で加速度的に増えていくと思います。
逆に言えば、魅力がなくなれば、急に来なくなる(こともあり得ますので)、危機感を持たなければいけないと思います。そこはやはり、まちの魅力を高めていく努力を、地域の皆さん方と一生懸命やっていく必要があると考えています。
ですので、私はまだこれから伸びると思っていますし、先ほど上海便のお話をしましたが、中国本土と直で結ぶ便ができるということは、中国との行き来だけではなく、上海は世界中のエアラインと繋がっており、韓国の仁川もそうですが、そういったところから海外の他の地域から経由してこられるお客さんを呼び込むということで、欧米豪も増えているのは、そういったことも関係しているのではないかなと思っています。
【記者】市電に関してお伺いします。追突事故から1ヶ月が経ち、原因究明が進められていると思うのですが、軌道上に付着していた油状の物の解析など、何か進捗がありましたら教えてください。
【市長】今のところまだ、原因について何か確定的なことが、私に報告があったということはございません。現在も、関係機関の方で調査が継続して行われていると思います。
一方で、先日報道でありましたように、レール幅を測定した結果、広がってる箇所が30ヶ所ほど確認できたということですが、事故調査の結果を待たずに、わかっていることで改善できることは直ちに行っていくということで、これは今、夜間工事において舗装の剥ぎ取り等いろいろなことをやって、レール幅の調整をしなければいけませんが、こういったことについても、皆さんに安心していただけるように、しっかり改善していく。これを継続してやっていくことだと思っています。
状況については、適宜皆さんにお知らせをさせていただきたいと思っています。
【記者】昨日、負傷者の状況について訂正がありましたが、補償や謝罪などまだ継続中という理解でよろしいでしょうか。
【市長】はい、今も継続中です。お一人お一人にきちんと寄り添って、対応させていただくということで、報道発表させていただきましたとおり、例えば骨折ではなく打撲だったなど、そういったことはきちんと、その後の状況に応じて、変化が起こっていることがありますので、修正や訂正を行うこと。
もちろん傷がひどくない方がいいのですが、きちんとした補償であるとか対応ということは、やっていかなければいけないと思っていますので、同時並行的にやらせていただいているということです。
【記者】市電に関してお伺いします。負傷者の状況に訂正があった件について、骨折が打撲だったりっていうのは、なかなか聞き取りの中で共有がうまくいかなかったのかなと想像するのですが、交通局から度々こういった訂正が出ていることについて、市長はどのようにお考えかをお聞かせください。
【市長】正しい情報を修正して出していくことが重要だと思っていますので、あえて発表しています。ちょこちょこ出るので、修正が多くて最初の確認が悪いんじゃないかと言われるかもしれませんが、そうではなくて、事実関係が変わってくること、それから例えば、病院にかかっている方が、元々あった症状と追突事故との因果関係はどうだということを、医療機関で確認されるとそこが変わってくるということは十分あり得ることなので、そういったことについて、細かいようですが、その都度丁寧に修正で報告をさせていただいてるというのが、今の状況だということでご理解をいただければと思います。
【記者】観光に関連してお伺いします。沢山の観光客がいらっしゃっている中で、交通機関がとても大事だと思うのですが、今交通事業者は人手不足だと言われています。これからどんどん観光客も増える一方で、人手不足が課題となっている状況で、市としてどのように人手不足に対処していきたいと考えられているのかを教えてください。
【市長】一義的には、交通事業者さんの方で努力をしていただくしかないと思っていますが、今お伺いしてるところでも、しろめぐりんは平日運休するということになりましたが、都市バスは20数名ぐらい足りない状況だということで、バス会社5社で合わせて7、80人ぐらい足りない状況だったと記憶しています。今資料が手元にありませんので数字がお示しできませんが。
そのように考えますと、慢性的に人手不足、運転手不足ということがあります。皆さん方の普段の移動手段でもあり、特に観光で訪れる方は公共交通機関を頼りにされますので、そういう意味では、地下鉄やモノレールがあるわけではないこの熊本のエリアで、バスというのは非常に重要な公共交通機関です。
ですので、今バスの共同運行をされていますが、バス事業者をはじめ、交通事業者の皆さんにどういったてこ入れをしていけば、運転士不足解消や待遇改善に繋がり、安定的に運行していくことができるのかということは、市の交通政策としても、しっかり企業や事業者の皆さんからお話を聞きながら対応していきたいと思います。
今はバス事業者だけではなく、タクシーとも連携してということをされていますので、そういったことももう少し充実をさせて、例えばバスの運行はなかなかできない場所も、乗合いのタクシーやAIデマンドというようなもので補完をしていくという手段、応急的な感じではありますが、そういったこともミックスしながら、できるだけ移動の足を確保していきたいと思います。中長期的に見ると、このトレンドがもっと進んでいくと思って危機感を強く持っています。これは全国的な問題でもありますが、熊本は特に人手不足感が強いので、危機的な状況だということで、我々もスピーディーにいろいろな対応をしていきたいと思います。
これは少し将来的な話になるかもしれませんが、先ほど申し上げました自動運転バスについては、実際に乗っていただくと、感想でもありましたとおり、思ってたよりも安心感があります。運行前に事故が起きましたので、その印象が強かったのかもしれません。事故を起こしたと言うよりは、起こされたと言った方がいいのですが、実際に乗られると、皆さんリピートをしたい。このようなことから、実証実験をもっと拡充していくということで、期間を延ばしますが、その中でいろいろなデータを取りながら、運転士不足に対応できる可能性の大きなツールとして、手段としてこの自動運転バスのこれからに、期待をしているということです。
【記者】観光統計についてお伺いします。先ほどのお話の中で、オーバーツーリズムという言葉がありました。熊本空港も、今後国際線の路線をさらに増やすという方針であり、おそらく今年から、どんどん加速していくと思うのですが、オーバーツーリズムという点に関して、ホテル等は呼びかけられると思いますが、市として主体的に行う対策などがあれば教えてください。
【市長】今は、オーバーツーリズム対策に何かこれをやるというような具体的なことはございません。例えばキャパシティを余りにも超えすぎているということになってしまうとなかなか難しいと思うのですが、逆に言えば今はまだ何とかホテルやいろいろなもののキャパシティは取りにくい状況とはいえ、何とか充足してる状況であります。オーバーツーリズムの中には、キャパシティをオーバーしたということよりも、むしろ地元住民生活者とのトラブル、こういったところをどうするかということが、課題になっていることです。
やはり、習慣の違いや感覚の違いがあります。例えば、富士山をコンビニの前で写真を撮っていたら、人が多くて大変になってしまったとか、どこかの雪国の樹木をみんなが見に来て、余りにも人が多すぎて日常生活を大きく阻害されてしまったので木を切ってしまったなど、そういった観光地もあったということですので、外国人の皆さんに正しく理解していただくために啓発していくことは、行政としてやっていく必要があると思っています。これは別に、郷に入っては郷に従えなどと強制することではなくて、正しい理解をしていただくこと。お互いに悪気がない状態で、トラブルが起きるということは非常によくないと私自身は捉えていますので、そういう発信を強化していって、お互いに気持ちよく旅をしてもらい、そして観光客の方を受け入れていただくというような、そういった、まちの風土というかムードというか、そういうことを大切にするというのが、オーバーツーリズムの対策として、今の状況の中で重要なことではないかなと私は思います。
たくさん来ていただくことは、皆さんある程度ウェルカムという気持ちはあると思うんですよね。私自身、人で賑わっている下通や上通などをゴールデンウィーク中に歩きましたが、非常に多くの皆さん方がいらっしゃっていて、そして海外のお客さんも和気あいあいとお店で買い物や食事を楽しんでおられる様子で、特にトラブルがないということはいいことだなと思いました。ですので、オーバーツーリズムということで数が多いことが駄目ということよりも、むしろそういうトラブルや習慣の違いを理解しながら、気持ちよく旅ができるような状況、環境を作っていくことを提供することが、我々に必要なことではないかなと思っています。
【記者】市電のレール幅の基準超過が30箇所あるということで、結構な箇所で広がっていて市民的にはすごく不安なのですが、改めて安全なのかを伺います。
【市長】まず、年度末までに詳細測量を実施した結果、レール幅が広がっている箇所が30箇所確認されているのですが、広がりの程度として直ちに運行に影響が出る状況ではないことは確認しておりますので、そこは安心していただきたいと思います。
そのうえで、当然、安全な運行をしていくためにこうしたレール幅の調整をきちんとやっていくということ、そして、運行に影響が出ないように夜間工事でしっかり対応すること、それを年内中に完了させるということです。逆に言えば、そういう30箇所が見えているということは、そこを例えば徐行したり安全に運行したりすることで気をつけていくということもあります。そういったことはきちんとチェックしていって、現状を常に把握して、そして改善を急ぐということ、これを徹底するしかないかなと思っています。
直ちに運行に影響するものではないと言っても、いろいろなインシデントも重なっていますので、大丈夫かなと思っておられる方が多いと思います。できるだけそういう情報を正確に出して、皆さんが不安を持たないように取組を進めていきたいと思います。
【記者】自社の撮影にトラブルがあったため、自動運転バスに関して、乗客の方の乗車目的や外国人観光客の乗車があるかを含め、改めて発表をお願いします。
【市長】自動運転バスについてもう1回発表させていただきます。
モニターをご覧いただくと、5月9日、今日から運行を再開させていただきましたこの自動運転バスをより多くの皆さんに体験していただくために、6月30日まで運行期間を延長することとしました。
運行ルートについてはこれまでと同様、桜の馬場城彩苑、二の丸駐車場、市役所の前、家庭裁判所の前、熊本城三の丸駐車場の前ということで、1周約30分のルートで1日6便を運行するということです。
運賃は無料で、予約システムにより事前に予約して乗車していただいているのですが、予約なしでも空いていればどの停留所からもご乗車いただけるので、ぜひご利用いただきたいと思います。
そこで、利用された方々のいろいろな声をアンケート調査した結果ですが、これまで延べ452名の方々に乗車いただいておりまして、86.9%の方が再度利用したいということ、そして、66.7%の方が乗車中に安全を感じたということで、リピートを希望する方、安全性を評価する方が非常に多かったので良かったと思っております。
また、利用者の声としては、思っていたよりもスムーズで技術の進歩に感動したとか、遠くの車や人を車内モニターで確認できて安全性を感じたというようなことで、大変好評なお声をいただいているということです。
そして、常時センサーであるとかカメラで周辺状況を確認して、緊急時には同乗のオペレーターが対処いたしますので、安全面にも万全を期して安心してご乗車いただけます。
来月2日より、しろめぐりんが平日運休するということになりましたので、利用者の皆様には大変ご不便をおかけしますが、自動運転バスは観光ルートである熊本城周辺を運行しておりますので、ぜひこの機会に多くの皆様にご乗車いただきたいと思います。
それで、この自動運転バスの利用状況ですが、外国人の方については担当から答えさせていただきます。
【事務局】交通企画課です。外国の方かどうかということまでは分からないです。県外にお住まいの方というところまでは把握しており、8.3%の方が県外にお住まいの方、県内の方が残り91.7%になります。
【市長】今、ご質問いただきましたが、今後、海外の方の反応も私もぜひ伺ってみたいと思います。海外の観光客やお客さんが利用しやすいようなアナウンスとしては英語の表記もさせていただいたりしていますが、こういったものに皆さん乗っていただいて、その調査結果が分かるような形で反映できればと思いますので、そこは工夫させていただきたいと思います。
【記者】自動運転バスの実証実験で452人が乗車されたことを、どう評価されますか。
【市長】期間がある程度限られていることを考えると、まずまず乗車していただいているのかと思います。各日の乗車実績として見ますと0の便はあまりないもので、大体1便に1桁から2桁の方が乗っておられるということですので、ある程度あるかなと。
ただ、自動運転バスはご承知のとおり、全部着席にしないといけないものですから、今の車両でいきますとやはりたくさんは乗れないです。ですので、そういう意味では、その辺のキャパシティがどうあるべきかということはあると思うのですが、今は実証実験で皆さんの反応を乗り心地も含めて見ている状況ですので、今後、おそらく実証実験のフェーズが変わっていったり、また、期間を過ぎた後、6月30日以降どうするかということもこれから考えていくと思います。そういう中で、できるだけ利用しやすいような形でやっていきたいと思います。時間帯とか運行の頻度とか、こういったものは非常に重要になってくるかと思います。
【記者】観光統計について、消費額とか入込数などが過去最高を更新したとのことですが、熊本が選ばれているフックになっている部分はどういうところにあると市長はお考えですか。
【市長】外国人の方からもお話を聞いたのですが、1つは、熊本は非常に自然が豊かだということで選ばれることが多いということです。熊本の自然、それから歴史、文化ですね。熊本城は、ゴールデンウィーク期間は日本人の方が多かったのですが、今、海外の方が非常に多くなっています。やはり阿蘇であるとか、それから天草とか、人吉、球磨もそうですが、そういった地域にも外国人の方々がたくさん行っておられるということは、やはり熊本の豊かな自然を評価していただいているのではないかと思います。
それから、コンパクトシティということで、熊本は割と買い物するにも凝縮して上通、下通とか中心市街地がぎゅっと詰まっているので、そこに多くの皆さん方が行きやすいという評価をして、それが口コミでSNSでも広がっているということ。
それから、今、台湾の方が非常に多いということです。全体で今、国際線が熊本空港で週39便飛んでいますが、特に台湾との定期便が台北それから高雄もまた繋がったということでさらに増えている。これは、熊本に住む台湾人の皆さんのコミュニティから発信があって、あるいは会いに来るとかそういった交流もあって、それでぜひ熊本に行ってみようと。これは、やはりTSMCの効果が非常に大きいのだろうと思っております。
もちろん、円安が非常に大きいということもありますが、全般としてはそういう形が評価できるのではないかと思います。
【記者】新庁舎整備のまちづくりシンポジウムに市長もパネリストとして登壇するということで、庁舎整備やまちづくりに関する市長の考えを市民が直接知る機会にもなるかと思います。改めて、このシンポジウムでどんなことを発信されたいか伺います。
【市長】シンポジウムの中で(発信したいこと)は、新庁舎を整備する意義です。熊本地震を我々は経験しています。先日も埼玉のある自治体では市役所の庁舎が火災で機能が不全になっているということですが、とにかく庁舎に何かがあったら直ちに市民への応急復旧やいろいろな対応をすることが困難になるということもあります。
我々は、いろいろなことでこれまで6年間かけて議論してきました。もちろん、大型の事業ですから賛成、反対はあるわけですが、その中でも皆さんに納得いただいて、そして、議会でも議決をいただいてこれを進めるということにしました。これが、やはり意義です。
それは防災拠点としてもそうですが、ここを防災拠点として確実なものにして市民生活を守っていくと同時に、これを起爆剤として街なかをさらに付加価値の高いエリアにして、市民の皆さん、より多くの皆さん方が楽しめる、あるいはにぎわいの拠点としてもエリアを作っていくことは非常に重要だと思います。そういった意義についても、これは横浜市の方やいろいろな他の地域の方々に来ていただいて、庁舎に限らず今後のまちづくりのあり方について、皆さんにもその意味を理解していただけるようにわかりやすくお話しして、疑問点にもお答えしていけるような機会であればと思っております。
【記者】ここ数日、市長は公の場でTシャツにジャケットという服装をされています。今年は政府がクールビズを提唱してちょうど20年という節目でもありますが、きっかけや心境の変化があれば教えてください。
【市長】心境の変化というか、今日はあえてチャレンジしてみたということです。記者会見で、今まではクールビズのスタイルにしたことはありますが、こういうビジネスカジュアルというか、実はこういうスタイルにすることは初めてです。連休明けからこのスタイルを取り入れています。庁内ではそういうものが少しずつ定着してきました。
去年の11月から、こういった夏も冬も1年中問わずある程度ビジネスカジュアルをやることによって非常に働きやすいということもありますが、やはり暑さとか寒さとか、空調も今日結構効いていると思いました。いつもスーツを着てネクタイを締めていますので、結構汗をかくのですが、全く汗をかきません。ですから、そういう意味では機能的にも非常にすぐれているということ。そして、相手の方にも不快に思われないような、ぎりぎりのところと言えばそうかもしれません。スニーカーも履いています。実は、痩せたということもあってこれが着られるようになったということはあるんです。
それで、働きやすくなったという若い職員の声であるとか、それから多様性を認め合うような感じになったとか、割と歓迎する声があるということ。市民の皆さんからのお声もすごく大事なのでどうかと思って聞いてみたのですが、スタイリッシュでいいのではないかとか、それから、我々からというよりは市民の方から、これは若い人の声なのかもしれませんが、こういうスタイルでやっているということで行政の仕事に興味が出て、それで働いてみたいという声があるとか。親近感が湧いて話しやすいとか、堅苦しさがなくていいなどの肯定的な意見も出ているということもあって、職員からはイメージアップ、それから魅力ある市役所として人材確保に繋がっていくという話があったり、それから働きやすさが増すので業務の質とか量の向上に繋がるということもありました。
ただ、これはTPOをきちんとわきまえて意識しなさいということで進めていますので、私も実は一昨日着替えている場面があります。一昨日から始めて、これで来たんです。
ですが、一応シャツとネクタイは別に用意しております。連携協定の調印式があったんです。これはTPOということで、Yシャツとネクタイをして、ビジネスのいわゆるスタンダードなスタイルで対応しましたが、その後の表敬とかは実はこれに切り換えたということです。
そうやってTPOを意識するきっかけにもなったと職員から反応があるので、そういった状況を踏まえながら適切に対応していく。それから、熊本はやはり暑いですから、これから本当に激しく暑い夏が来ると思いますので、こういう軽装を通じて地球温暖化防止のための環境への対応にも繋がっていくようにしたいということがあります。それはトップがやらないと、なかなかやっていいのかどうか迷いがある人達もいると思いますので、あえてやってみたということです。何人かいますが、まだ政策局長も副市長もバシッとしていますが、そういう人が並んでもそんなに不快じゃないような状況であればいいと思います。
ただ、ここではわきまえなさいという声が多分出てくると思うので、そういったことは皆ファッションにはすごく気を使わなければいけないし、相手がどう受け取るかということも大事な要素だと思いますので、そういったことも注意しなければいけないかと思います。
【記者】しろめぐりんの平日便の運休と、自動運転バスの運転期間延長に何か関連性はありますか。
【市長】たまたまそういうタイミングになりましたが、自動運転に関してはかなり順調であったため継続をして、もう少しいろいろなデータも取りながらやっていこうということでした。するとちょうどその時にしろめぐりんの運行がやはり厳しいということになったので、代替というわけではありませんがそれを少し補えるような要素があるということで、そういう形なりました。
【記者】アンケートのリピートの声が多かったのも受けての延長になるのでしょうか。
【市長】そうですね。アンケートもですが、これからレベル4を目指していく中では、やはりより多くのデータを取っていく必要があって、昨年度から今年度にかけてこれまで何回かに分けて実証実験を行ってきました。ただ、予算もかかるので、こういう形で進めていくことによって、熊本市としてはさらにその先を目指して、発展させる可能性があるということで、もう少し延長しながら進めていこうとなりました。
【記者】このアンケートで、リピート希望と比べると安全性の評価が20ポイントぐらい違いがありますが、市長は、この66.7%をどのようにお考えですか。
【市長】安全性を感じたというご意見が66.7%ということですが、乗り心地を評価するというご意見が実は60.7%ということで、概ね及第点というか、合格点なのかなと思っています。安全面を今とにかく重視しているので、急ブレーキがどうしてもかかってしまうことがあって、乗っていただくと分かりますが右左折時の違和感や走行時に違和感を覚えるという回答がやはり78.6%ぐらいあります。ですので、やはりこういった実証運行で得た知見や、ご乗車いただいた皆さん方のご意見を踏まえて、どういう改善をしていけばいいのか、運行上の修正みたいなことでそういった不安などが改善できるのかということをよく見ていく必要があるかなと思っています。
私自身が乗ってみた感じでも、熊本でも乗りましたし、小松で実際に営業している空港から小松駅までも乗りましたが普通に走るんですよね。ただ、時々バイクがぴゅっと出てきたりしたときにキュッなるので、吊革は掴めないようになっています。熊本もそうなんですが、全員着席することになっていて、それはやはり急制動が起こることがあり得るということですが、ただ、実際に乗ってみると非常に快適で安全だということが分かりますので、これは恐らく、今後運行を重ねていけば安全に関する意識が高まっていくのではないかと期待をしています。
【記者】ふるさと納税の件でお伺いします。2023年度の熊本市の収支が出てきまして、地方交付税措置があっても1億2500万円赤字だということですが、この制度はどうしても大都市が不利な制度ですが、市長の評価をお願いします。改善すべき点とか、考えがあられたら教えてほしいです。熊本市も実は寄附額も増えていて、ただやはり控除額も多いので赤字になってしまうということですが、熊本市として寄附額を増やすための取組等、どういうことをお考えかを教えてください。
【市長】まずふるさと納税制度もスタートして時間が経ち、特に小さな自治体の財政的になかなか厳しい自治体がいろいろな工夫を凝らして、このふるさと納税で、特に、生まれ育ったふるさとなど特定の自治体に対して応援をすることは、制度の目的として非常に評価できることだと思っています。
ただ、そのうえで、やはりどうしても財源の偏在と言いますか格差が出てきて、東京都世田谷区は区長がこの制度どうなんだと随分仰るぐらいになっていて、大都市部が非常に不利になる。大都市部の人口が多い方々がふるさとに納税するという仕組みでもありますので、そういう意味ではなかなか都市部には厳しいということがありますが、我々もせめて赤字にならないように、元々ふるさとを豊かにするための制度ですので、せめて赤字がないようにしようということで実は結構てこ入れをしてきたというのが今までの実績です。
それで、実際に寄附額も増えているということもあり、実は、控除額や事務経費を除く収支額で比較すると政令指定都市の中では3位なんですね。収支としては浜松・新潟・熊本ということで、赤字幅は政令指定都市の中では実は小さいほうになるということですが、大都市、首都圏は厳しい状況になっているのかなと思います。
私たちとしては、ある程度こういった制度の特徴的なことはありつつも、やはり魅力を発信していくツールとしても非常に有効なものであると思います。当然返礼品のこともありますが、魅力を増していくようにすることが非常に重要だと思っていますので、そういった取組は今も進めています。
それから、ふるさと納税はポータルサイトがかなり充実していて皆さんそこをチェックされますので、4大ポータルサイト全て導入していますし、フルーツなどいろいろな返礼品も、例えばその在庫がきちんとあるかどうか。今、お米がないという話が全国的にありますが、そういった市のPRに繋がるようなものをしっかり用意すると同時に、ものだけではなくて、例えばアクティビティ、体験型の返礼のようなことも開拓をしていくということでやっていきたい。
それから東京事務所と連携して、やはり首都圏の皆さんに訴えていくことは重要だと思っています。これは東京都や世田谷区といったところには申し訳ないですが、そういう形でやらせていただこうかなと思っているところです。
【記者】最近全国の自治体で窓口の受付時間を短くしようという取組がありますが、熊本市はどうするかとお尋ねしたいのです。議会でも確かこのような質問が出ていて検討するというような答弁があったと思いますがその進捗状況等あれば教えてください。
【市長】もともと行政手続きもだんだんオンライン化が進んできて、そして、証明書の発行が今コンビニでもできることになりました。全国的にもそういう利便性が高まっているので、窓口についても受付時間を見直そうという動きが出ています。私も以前つくば市の五十嵐市長からもそういった事例を聞いていたので、熊本市でも検討するようにということで数年前からいろいろ勉強をしています。市民にどのくらい影響があるかということもやはり考えなければいけないので、当然、職員のいろいろな働き方の改革もありますが、そういった影響について検討するようにということで、まだそこは開始時間も含めて現在検討中です。特に事前の十分な周知が非常に重要になってきますので、そういったことを今検討している状況です。
窓口受付時間を短縮するメリットって一体何なんだろうということがあると思いますが、やはり窓口を開設するための事前準備やそれから受付終了後の後処理。こういったもので恒常的に時間外勤務がどんどん増えていて、つまり残業を前提とした制度になってしまっている。例えば銀行の窓口は3時に閉まりますが、あれは3時でみなさん帰っているわけではなく、そのあとの勤務時間の中でバックヤードで業務を終えるということでやられていることもあるので、元々がかなり業務の無理を強いるような状況になっています。ですからここを改善することによって時間外勤務を縮減したり、そして、ワークライフバランスをしっかりとっていくということもあります。
この窓口業務の短縮で生まれた時間を市民サービスの質の向上や業務改善につなげられるので、トータルで見ると、当然残業するコストも人件費、税金ですから市民の皆さんのコストになりますので、そういったところを改善していくことが非常にメリットとして大きいです。あとは職員の多様な働き方にも繋がっていくということです。
大体どこでも事前準備に30分、後処理に40分ということですので、大体そのぐらいの時間を皆さん短縮するということで、設定されているところが多いようです。宮崎市が8時45分開始の16時30分終了で、福島県のいわき市は9時開始の16時終了です。先行自治体のいろいろな事例も勉強しながら、一番市民の皆さんにも影響がない形で、なおかつ、そういう業務の改善に繋がるようにこれからまた、さらに検討していきたいと思います。
【記者】前向きに検討されていますか。
【市長】全体的に前向きに検討しています。ただ、いつやるのかというのも含めて、タイミングを含めていろいろ検討しなければいけないことはあるのと、当然窓口業務を短縮するだけではないので、時間をただ短縮するだけではなくいろいろな業務やその窓口の状況も変えなければいけないところもあるので、一定の時間をいただくこということです。
【記者】市電の速度計についての確認ですが、これまでのお話だと要するに、残り全部に付けるべく検討するという話でしょうか。これはもうできるという理解で良いでしょうか。
【市長】そういう指示をしています。当然物理的に、例えば古い電車は元々構造上そういうものを設定するようになってないところがあるので、GPSの速度計等いろいろなことを工夫しながらどれがいいのかを調整してる段階です。全ての台数をどのような形でできるかは今ここで申し上げられませんが、そういう検討はすでにやっていて、予算もきちんと立てながらやっていこうと進めています。
【記者】やり方はいろいろあるが基本的には全部やるという認識でしょうか。
【市長】そうです。
【記者】これはお願いですが、小さな話でもいいのでやることを決めたら、今こんなことを考えているというようなことがあったら、また逐次教えていただけないでしょうか。基本的には、事故があって市電が変わっていくんだ、こんなことやっているんだときちんと出していきたいので、よろしくお願いします。
【市長】わかりました。それはおっしゃる通りで、なかなか生煮えのことを中途半端に出すことはできませんが、きちんとこういう形で決めていっています、こういう方針でいきますということは皆さんに逐次お知らせしようと思っています。
先ほどの事故被害者の方の状況の修正がありますが、こういったことでできるだけ情報を的確に提供させていただきたいと思いますのでよろしくお願いします。
【記者】市電の関連で、処分の進捗状況を伺いたいです。また、外国人の宿泊者数の件で、国別で何人来られたかというのがもし分かれば教えてください。
【市長】先に国別の状況を事務局より説明します。
【事務局】配布資料の裏面に宿泊者数の人数を掲載しておりますので、そちらでご確認いただければと思います。
【記者】欧米豪やアジア系の方はどれぐらいでしょうか。
【市長】欧米豪が7万3000人で台湾、中国、香港、韓国が66万人ですが、これの国別ということでしょうか。
【事務局】台湾、中国、香港、韓国の内訳は配布資料に記載しています。
【市長】詳細は分かる範囲でみなさんにお知らせします。
【市長】交通局のいろいろな事故に絡んだ処分は今検討しておりますので、また決まり次第発表します。もうしばらくお待ちいただければと思います。