【記者】泉佐野市が赤ちゃんポストの設置や内密出産ができる施設を作ると発表しましたが、改めてこのことに対する市長の受けとめをお聞かせください。
【市長】熊本の一病院である慈恵病院から始まった、こうのとりのゆりかごや内密出産、こうした取組は、こどもたちの命をとにかく守っていこうということでスタートしたわけですが、設置されてから18年、先日発表されましたとおり、預入が193件にのぼっており、また、全国各地から多くの預入が行われているという事実が判明しているところです。全国各地に予期せぬ妊娠で悩む方、そして孤立した方が非常に多くいらっしゃるという現実を踏まえて、こういう皆さん方の相談窓口が増えることや、支援体制が充実するということは望ましいことだと私は思っています。
これまで私どもが訴えてきたように、ゆりかごや内密出産の問題は、一自治体、一民間病院では解決できない問題だと思っています。泉佐野市の取組に関して詳しい内容を承知しているわけではありませんが、お昼に、泉佐野市の千代松市長と電話でお話をさせていただきました。2年前にも、(泉佐野市の)担当者の方が、熊本市の担当者にいろいろな情報の調査に来られましたので、情報はご存知ですが、私から千代松市長には、「熊本市のいろいろな事例について協力させていただきますので、何でもご相談ください。」ということを申し伝えました。千代松市長からは、以前から非常に強い思いを持っておられるということは私も存じ上げておりましたが、「いろいろな情報をいただけるとありがたい、少しでもこどもたちの命を守るための最後の砦ということで、そういった取組をしっかり進めていきたい。」ということを電話でおっしゃられていました。
また、今後この件に関しては、両市の市長同士、あるいは事務方もあわせて、一緒にいろいろな情報共有やディスカッションをしていきましょうと、私から提案をさせていただきました。リモートか対面かはわかりませんが、そういう形で連携を取っていこうということで一致させていただきました。ただ、千代松市長も今、いろいろなことを対応されていると思いますが、まだそのスキームの全体を、短い時間での電話の中でお聞きできたわけではありませんので、どういう課題があるのか、それからどういう取組をしていかなければならないのか、自治体同士どういう連携をしていくべきかということについては、ちょっとまだわからないことがあります。
それと、熊本市との規模の違い、熊本市は政令指定都市で、児童相談所設置市でもあります。それがない泉佐野市は、大阪府やいろいろな関係機関との連携が重要になってくると思いますので、そういった点で、何か我々がアドバイスできることがあれば、お手伝いをしていきたいと考えています。
【記者】熊本市として、人員を送り込むことや情報提供以外の手助けをしていきたいというお考えはありますか。
【市長】そういうご相談があれば、我々としても検討していきたいと思っています。
私から千代松市長に申し上げたのは、慈恵病院が取り組んでおられる、こうのとりのゆりかごにしても、内部出産にしても、慈恵病院でも、事前相談に一生懸命寄り添って対応されてきました。我々熊本市としても、事前のいろいろな相談について、妊娠で悩んでいる方、あるいは本当に急なことで動揺して、自分の名前を明かさずに相談できる所はないかと考えていらっしゃる方が本当に多いというのが、妊娠内密相談センターを設置して、相談件数が非常に多いことからも明白なように、寄り添った支援や相談する機能が必要だなと思います。ですので、そういった取組について、ぜひ力を入れていただきたい、ここが大事ですよということを、私から申し上げたところです。
ですので、設置すればいいということではなくて、いろいろな機関との連携や相談体制をきちんと整えていくこと。そして、ある意味では敷居を低くと言いますか、悩んでる方々が気軽に行政の窓口で相談できるような体制を作る、そこに対するノウハウは、私たちも2年間で随分蓄積もありますので、そういったものに関しては、ぜひ協力をさせていただきたいと考えています。
【記者】市電再生タスク・フォースに関してお伺いします。設置が6月ということですが、期間はいつまでというのは決まっていますでしょうか。
【市長】期間をいつまでとは決めておりません。ですので、きちんとした改革を成し遂げるというところまで、人的な面も含めてですが、先ほど、市電再生タスク・フォースのご説明の中でお出ししました、人事、組織体制、施設整備、経営、こういったものが1つ1つきちんと解決していく中で、タスク・フォースの役目が一定程度終えたということになりますと、これが解散といいますか、また違う形に戻るということになると考えています。
【記者】先ほど抜本的な改革とおっしゃられていましたが、今までの改善を図られてきた体制とどのような部分が大きく変わるのかをお聞かせください。
【市長】今までは、インシデントや事故が起こったときに、個別にそれぞれのことにフォーカスして対応してきたのですが、やはり人事の面、それから組織体制などは、抜本的にどこに課題があるのかをもっともっと掘り下げていく必要があり、そして実際に今回、16人派遣、あるいは併任をかけるということですので、市長部局と一緒になって、これは市政全体の課題だということで、私も積極的に関わりながら動かしていくという意味では、大きな違いがあると思っています。
インシデントの根本原因の追及や再発防止の徹底、効果検証については、不十分であったと言わざるを得ないと、私もずっと思っていたところでありまして、やはり、公共交通を運営する組織としてしっかり立て直していくということ、これに尽きるかなと思っています。
特に、安全運行を常に安定して提供していかなければならないという公共交通機関は、少しのミスが重大なものに繋がっていきますので、組織全体を見直さないと、1個1個切り離されてそれぞれ問題が起こっているというよりも、全部繋がっているんだという、そういう意識で運行していかなければならないと思っておりますので、1つ1つ徹底的にクリアにしていく、解明していく、改善を図っていく、という目的で体制を作ったとご理解いただければと思います。
【記者】市電再生タスク・フォースに関してお伺いします。市長の積極的な関与とありますが、もう少し具体的に教えてください。
【市長】当然のことながら、様々な改善をして、そのうえで人をたくさん投入しますし、市長事務部局の職員も投入しますので、そこから、今の経過や状況が私のもとに入ってきます。熊本市として、交通事業を企業局(である交通局)の中だけでやるということではなく、市政全般として意思決定しながら、例えば予算にしても、いろいろな組織改変をやっていかなければならないという中では、私がきちんと報告を受けながら判断をしていくということが、非常に重要なってくると思います。
ですので、一義的には交通事業管理者が、当然日頃の運行も含めて、この改革についてもしっかり責任を持ってやっていくということは重要なのですが、それに合わせて、私が1つ1つ報告を受けながら、改善に向けての指示も含めて、私の方でも強く関与していきたいということです。
【記者】それは、予算措置などがしやすくなるということでしょうか。
【市長】予算措置もそうですが、根本的な原因を追究しながら、市政の中で交通事業をしっかり改革していくんだという、交通局だけに任せることではないことを強く意識しています。
【記者】市長等の給料の特例に関する条例案についてお伺いします。これは、今までの運行トラブルや事故、不祥事などを全部含めたことに対する、市長自身の処分という理解でよろしいですか。
【市長】はい。
【記者】今回は幹部の方々(の処分)ですが、今後原因が明らかになり、必要であれば職員の処分という事もあり得るという事でしょうか。
【市長】運輸安全委員会やいろいろな調査結果が出てくると、自ずと誰にどういう責任があるかということが出てきますので、その都度、処分等の必要な対策をとっていくということです。
【記者】市長ご自身の減給に関する条例案についてお伺いします。事故調査委員会の結果が出てからというお話も、以前の記者会見でおっしゃられていたと思いますが、どうしてこのタイミングなのかということと、3ヶ月の2割減という重さになった理由を教えてください。
【市長】これまでも、すべての事故調査委員会の結果が出ないままに、全ての対応をとるとか責任取るということを言っているわけではなくて、3月25日にあれだけ多くの皆さんに対して、大変なご迷惑をかけた事故を起こしてしまったことが、本当に大きいところでもありました。もちろん、これまでいろいろなものが累積をしてくる中で、しかるべき時期にきちんと対応するべきだろうと思っています。
なぜこの時期かといいましても、3月議会は閉会していましたし、こういう条例議案を提案するのは、次の6月議会になります。これは、条例事項でしか提出できませんので、議会へ提案するタイミングなども当然踏まえたということで、対応させていただいています。
【記者】予算に関してお伺いします。交通局の安全の再構築に向けて、経営計画の見直しに3000万円が計上されていたかと思います。これは、外部コンサルに委託されるということですが、解体的出直しであれば、まずは内部で議論すべきではないかという意見もある中で、外部活用という判断に至った理由を教えてください。
【市長】当然、内部で徹底して行っていく事はもちろんですが、そのうえで外部からの様々な視点を入れていく。いろいろな所が建て直しをする時、例えば、大きな航空会社が、経営上非常に問題になった事がありますが、あれも外部の力を経て、それと同時に、内部も改善をしていくということですので、外に丸投げしろということではありません。外の目を入れながら改善をしていくということで、ご理解いただければと思います。
【記者】熊本市電再生プロジェクトは内部でいろいろと改革していこうということだと思いますが、16人のうち何人が市長事務部局から派遣されるのでしょうか。
【事務局】市長事務部局からは5人の職員が派遣されます。
【記者】市電の全国交通系ICカードの決済手段についてお伺いします。国が決済機器の単純更新にかかる費用について鉄軌道事業者にも費用の3分の1を補助するという通知が、事業者に出されたと伺っています。国のこの補助制度の見直しについての受けとめと今後の対応方針を教えてください。
【市長】まず、国が地方の地域交通を支えていくということで、今までなかった補助を創設していただいたことは、非常にありがたいと思っていますし、国の姿勢に感謝したいと思います。
そのうえで、今回、九州運輸局から交通局宛てに要綱等の資料が提供されまして、要望調査の連絡があったと聞いております。地域の交通事業者のそれぞれの実態を踏まえて、今後、いろいろな制度設計をされていくと思いますので、しっかり我々の声を聞いていただけたらと思います。
【記者】今、全国交通系ICカードを使った決済手段を維持されるか廃止されるかを検討されていると思いますが、この検討の今後のスケジュールについて伺います。
【市長】以前から申し上げておりますが、予算化のこともありますので年内にある程度決定をする必要があると思います。
これから、いろいろなアンケート調査等もさせていただこうと思っています。今、スケジュールと、それから国の動向もまだ明確にいつということが分かりませんので、そこを踏まえて適宜進めていきたいと考えています。
【記者】市電再生タスク・フォースは、熊本市電再生プロジェクトの一環だと思いますが、タスク・フォース以外にこのプロジェクトで計画されていることなどがあれば教えてください。
【市長】基本的には、再生プロジェクトということでタスク・フォースが人事や組織体制、施設整備、経営、それぞれの問題点を全部洗い出しながら、この全体のプロジェクトとしてまとめ上げる、そういうイメージでご理解いただければと思います。
【記者】市電再生タスク・フォースのメンバーをもう一度教えてください。
【市長】市長事務部局から5名、そして交通局から11名の合計16名です。
【記者】分野ごとに割り振りするのではなく、16人全員で一緒に取り組んでいくということでしょうか。
【市長】ある程度人選はできていますので、それぞれ今からしっかり対応していくということです。当然、連携していかなければいけませんから、どれかが単独でということではないと思います。もちろん、それぞれの専門で人は配置いたします。
【記者】外部コンサルの委託も一部行われるかと思いますが、そのコンサルとこのタスク・フォースとの連携をどうとっていくのでしょうか。
【市長】当然のことながら、それは連携しなければできないので、このタスク・フォースがいろいろな中心になって内部で考えていく。そして、外部のコンサルの皆さん方とも協議をしながら、いろいろなアイディアや、ここはこういうふうに変えたほうがいいのではないかということが出てきた場合には、当然いろいろな検討をするでしょうし、私の方にその辺が多分上がってくることで、どんどん回っていきながら改革をもっと進めていくということで、再生プロジェクト全体が再生に繋がるスキームになっています。
【記者】タスク・フォースの中のリーダーは16名の中から選ばれるのか、それとも市長が務められるのか、伺います。
【市長】特にリーダーを決めるということではなく、もちろん責任は皆で負っていきますが、最終的には交通事業管理者、そして私がリーダーとしてやっていく。この体制の中で、それぞれ常に連携しながら、年内を目途にいろいろなことを考えていきますので、常に私も関与しながら進めていく、そういうイメージです。ですから、経営の課長とか係長が就くとか、そんなことではないです。
【記者】最終的なゴールは、例えば経営計画の見直し等について報告書のようなものを作るイメージでしょうか。
【市長】紙を作ればいいということではないですが、再生プロジェクトと銘打ってやるわけですから、どこに課題があってどう改善をしていくのか、そのプロセス、そして、将来に向けてこういう対策をとりますということがまとまらなければいけないと思っていますので、報告書的なことには多分なるだろうと思います。ただ、まだそれは決まっていません。
それを踏まえて、例えば来年度以降の予算をどうするのか、事業をどうするのか、そして、その先に例えば延伸だとか交通体制について考えなければいけないことがたくさんあるわけですが、それが今、止まっています。上下分離はどうするのか等、いろいろなことがありますので、そういったことも次々に対応していかなければいけません。まず、短期的に集中してやって、それを全部洗い出すということに尽きると思います。
【記者】市電再生タスク・フォースに市長事務部局から投入される職員について、主な役割、市長が期待されている部分について伺います。
【市長】交通局の今までの101年の歴史の中で、文化、風土があると思うんです。市長事務部局から見るとそれは少し違うのではないかとか、それから、これは今どきどうしてこのぐらいの改善になっているのかとか、やはりチェックしていくという視点はあると思います。人事とか組織とか体制とかは、いろいろな経験のある人間が行きますので、そういう職員が組織の中で当たり前だと思っていた文化を変えていく。1つ1つの気づきを与えていくことになっていくのかと思います。
一方で、11人の交通局の職員がここに入ってくるということは、当然、専門性としての見方、ここをしっかり議論し、ぶつけ合いながら課題を掘り下げていく、そこに期待しています。
【記者】派遣される市長事務部局の職員は、今持っている仕事もありながら、例えば集まってミーティングをしたり、お互いに意見交換をしたりしながら、再生へプロジェクトを進めていくということでしょうか。
【市長】タスク・フォースのメンバーとして主体の責任を負いつつも、客観的な視点も持ちつつ、そして、今の業務の中で併任をかけてやる場合もありますので、そういう職員はそういう仕事もこなしながらやっていくということですから、外からの目は気づきに繋がるかとは思います。
当然、必要に応じて、専任の職員を派遣しなければいけない場合には、人事当局とも相談しながら積極的に行っていくというふうにイメージとしては考えているところです。
【事務局】市長事務部局から来る職員については、併任ではありますが、タスク・フォースの業務をメインとして、体自体も交通局に入って一緒になってやっていくということで考えております。
【記者】泉佐野市の赤ちゃんポストなどの取組についてお伺いします。行政主導で進めていかれると思われますが、その際には公費も負担されることについては、これから市民や議会への理解を深めていかれると思います。行政主導で進めていくということでは初の取組になると思われますが、そこについての市長の見解をお願いします。
【市長】行政主導と言っても、当然いろいろな機関の協力がなければできません。千代松市長がこの分野に関して強い関心を持っておられて、非常に強いリーダーシップを発揮されているということは、行政主導という形で言われていると思いますが、実際には、これを実現しようと思えば医療機関や関係機関との連携がなければできません。何をもって行政主導と言うのかということは、まだ私もスキームが分からないので、はっきりコメントをしづらいところです。
ただ、1つ言えることは、今回、予算措置をして調査を徹底的にされるということですし、それから、お金の問題についても、ふるさと納税の話だけが出ていましたが、そうではなく、もともとの福祉基金を使って活用しながらやりたいと模索されているとお聞きしましたので、どのような制度設計になるのかはこれからかなと思っています。
ただ、行政が積極的に取り組もうとしていることに関して、予期せぬ妊娠等で悩む皆さん方、そして、そのこどもの命をどのような形で守っていくのか、お母さんの命も守っていくのかということも、自治体として向き合う覚悟を示されたことは、すごく私は尊いことだなと思っています。
【記者】例えば、内密出産の費用に関して、東京での取組の中では女性との相談の状況として芳しくない部分もあり、慈恵病院に改めて相談されるなどいろいろな状況があります。有料であるとか、無料であるとか、そういった部分に関してもいろいろな考え方があるかと思いますが、市長のお考えを教えてください。
【市長】いろいろな考え方と言っても相談される方の状況が全然違いますので1つではありません。まだ私も詳しくお聞きしたわけではありませんが、例えば賛育会病院の方で、費用負担のことだけをすごく強調されているようですが、まずはしっかりとした相談体制をとられると聞いていますので、一概にお金の問題だけをトピックスにするのは不適切だと思っています。
むしろそれよりも、どのようにして赤ちゃんや孤立した妊婦の方など、いろいろな方の悩みに寄り添っていくのかということに、もっとフォーカスをしていかないといけません。
ケースごとに課題はあると思います。先ほどおっしゃったように、どのようなケースなのかは分かりませんが、例えば賛育会病院のケースが慈恵病院に移ったということもあるようですが、それぞれの役割の中でニーズに応じたというところがあると思います。
熊本の慈恵病院は18年取り組まれていますが、まだ発表されてから数ヶ月というレベルでそこまでの評価をするのは難しいと思っています。
【記者】法制化されていない中で行政主導で取組を進めていくうえでの、熊本市としてもこれまで18年間連携してしてきた中で思われることはありますか。
【市長】どういう形であっても孤立した女性に徹底的に寄り添うこと、そして、生まれてくる赤ちゃんの命を守って、そのあと、出自を知る権利も含めてですが、出自の情報をどうするのかという非常に重たい課題があります。これは簡単なことではありません。私も市長になってからこの任務と言いますか、この取組に積極的に関与する中で、本当にそのように思っているので、そうした覚悟をしっかり持っていただくことが重要ではないかと思っています。
【記者】泉佐野市の件で伺います。熊本市と泉佐野市の連携のお話はありましたが、今回このような自治体主導の取組が出てきた中で、熊本市側から見て慈恵病院のゆりかごなど内密出産への取組に対する関与の仕方が今後変化する可能性はあるのか、見解があれば教えてください。例えば熊本市がより関与を深めるなど何か自治体主導のニュアンスが増すような変化はありえるのか。
【市長】自治体主導と言うのかどうかは別としても、妊娠内密相談センターを設置したのは熊本市としての強い主導的な取組であると思っています。何をもって主導と言うのかは判然としませんが、やはりこのようにいろいろな制度を改善していくことが必要だと思っています。全国の事例が出てくれば出てくるほど、どのように向き合っていけばいいのか、改善すればいいのかがより明確になっていきます。要は問題の深刻化です。今までは慈恵病院の取組、そして熊本市の関与・取組ということだけがフォーカスされてきたわけですが、全国でいろいろなパターンの事例が出てくることによって、これは大きく変更していく。
泉佐野市の千代松市長の取組のように、積極的に問題に関与する自治体が今後増えてくるのではないかと思っていますので、そういう皆さん方と一緒になって、我々のノウハウもそうですが、皆さん方の課題やいろいろなものを共有しながら、いい制度に解決する。それがひいては、我が国の中での法制度の改革、あるいは、新たな法制度を作ることに繋がっていくと思います。自治体の動きやいろいろな事例が増えていけば増えていくほど、国の検討も急がなければならないと言うことになっていくのではないかと考えています。
【記者】タスク・フォースについて伺います。チームを作って検討・分析していくということですが、過去の発生した事故やインシデントを見ながら検討分析していくのか、まず何か焦点を作って分析していくのかなど、現時点で決まっていることがあれば教えてください。
【市長】今までのインシデントなどいろいろなものが起こったことは大きいことなので、報告書などがある中で第三者の視点もすでに入れていただいていますが、こういったものがきちんと動いてるかどうかということはもちろんあります。
また、先ほど申し上げましたように、この熊本市交通局の組織風土や体制をどのように変えていくのかということに関しては、新たな視点がいろいろ入ってくると思います。
今ここで何か一概に、具体的に申し上げることではなく、人事組織や体制、施設整備、経営というこの4つは非常に大きな項目です。これをしっかり深掘りしていくということと、この横の連携をどうしていくのか。それぞれの管理をしっかりやっていくということになると思います。
【記者】現状を見て分析していくという流れになるのでしょうか。
【市長】現状はもちろん見ながらも、他の交通事業者での取組など、先進的な取組はキャッチアップしながらやっていくことになると思います。
【記者】泉佐野市の件で伺います。行政主導とは言いながら結局医療機関が運用することになると思いますが、実際、慈恵病院を見ると、相当負担が大きく大変だと思います。実際手を挙げるところがあるのだろうかという懸念を抱きましたが、市長はどのように感じていますか。
【市長】当然ハードルは高いだろうと思います。慈恵病院さんのようにあれだけスタッフを揃えて、そして、24時間365日体制であれだけのことを献身的にされているということは本当に頭の下がる思いです。そこまでのことを今まで取り組んだことのない病院がどのように取り組めばいいのかということはもちろんあると思いますが、ただ、全てが慈恵病院さんのようにやらなければいけないということではないのかもしれません。
もっとこういうやり方があるのではないかと医療機関が協力するなど、新たな方策を見つけていく必要があると私は思います。まだ私もどういうふうに考えておられるのかスキームが分かりませんが、ここは詰めが甘いのではないかということがあれば、私たちの方から、こういったところはもう少し詰めたほうがいいのではないかと申し上げますし、それは新たな視点だということがあれば、我々の方にもフィードバックしていただいていろいろとまた慈恵病院さんとも相談していく、仕組みを変えていくことはあり得ると思います。それは先ほどの質問にも繋がると思います。
【記者】東京都がこの夏に水道料金の基本料金を無料にすることを発表されましたが、市としてそのような予定はありますか。地方と財源の差があり、これは東京だからできることだと神戸市の久元市長などが苦言を呈されてるようですが、市長はどのように評価されますか。
【市長】自治体のやり方についてはそれぞれの自治体の長や議会の判断なので、私がコメントすることは全くありません。
まず、熊本市がそのような検討をしているかということは、現時点では検討しておりません。そのようなことをいろいろな我々の考え方の中でお示ししていくということですし、我々は水道料金を管路の安全性や耐震化、こういったものを積極的に進めていく費用にしています。そういうところで、東京都さんは東京都さんなりのお考えの中でされるのかなと思います。
ただ、全国的に住民の負担に対する差がいろいろなところで出てくることが果たしてどうなのかというのは、当然議論としては必要だと思います。例えば、こども医療費にしても給食費にしても、そういう負担を軽減しようとするときに、財政的に豊かなところはできるけれども、豊かではないなどいろいろな課題があるとできないということになってきます。その差が起きたことに対して国がどう思っているのか。我々は市長会でもそういう地域間格差がないように取り組んでほしいと常々要望していますし、給食費やこども医療費も国の方で一律に財源を整えて取り組んでくださいと主張しています。
ある意味では、ナショナルミニマムをどう考えるかということは非常に重要な視点かと思います。それならば独自でいろいろなことに取り組めばいいのではないか(という声については)、それはその通りだと思いますが、ただ、最低限どこを皆さんに保障していくのかという国の1つの考え方は、やはりしっかり示されるべきだろうと思っています。