はじめに、「熊本市電再生プロジェクト」の検討状況についてご報告させていただきます。
このプロジェクトの目的は、100年もの間、市民の皆様の日常生活や経済活動を支えてきた移動手段であり、現在も熊本都市圏の基幹公共交通軸を担う熊本市電が、市民の皆様の信頼を取り戻し、そして、安全・安心で持続可能な公共交通機関として再生することです。
そこで、6月1日から始動いたしました本プロジェクトにおいて、「市電再生タスク・フォース」が中心となり、熊本市電のすべての分野において抜本的な見直しを現在進めております。
中でも、安全運行の根幹を支える「乗務員の処遇改善」ですが、重要かつ喫緊に対応すべき課題であることから、市電再生への第1歩として、この度、令和8年4月から上下分離移行までの間、乗務員を交通局の正規職員として雇用することといたしました。モニターをご覧ください。
乗務員の正規化によります雇用環境の安定化は、乗務員の意識向上をはじめ、人材の定着・確保による労働環境の改善、あるいは技術継承に繋がり、運行の安全性向上が図られることはもとより、運転士不足の解消によりますダイヤの改善など利用者の利便性向上も期待できると考えております。
また、新たなキャリアアップ制度の導入や勤務体系の見直しを行いまして、職員のモチベーションや責任感を高めますとともに、交通局が就業先として選択される魅力ある職場となるよう検討してまいります。
なお、正規化に向けた具体的な手法や財源の確保、スケジュール等については、決定次第、お知らせしてまいります。
引き続き、市民の皆様に安心してご利用いただける熊本市電として再生するため、私自身が先頭に立って改革に取り組んでまいります。
次に、海外訪問についてご報告させていただきます。
7月2日から6日にかけて、フランス・エクサンプロヴァンス市を訪問いたしました。こちらのモニターをご覧ください。
こちらはエクサンプロヴァンス市から招待を受け、7月3日から5日にかけて参加いたしました「セザンヌ2025」イベントの様子でございます。世界的な画家「ポール・セザンヌ」の出身地であります同市では、セザンヌが居住した「ジャス・ド・ブファン」という館があります。また、「グラネ美術館」ということろがございますが、ここでのセザンヌ展に加えまして、こどもの目線でセザンヌの作品を鑑賞、体験することができる「小さなセザンヌ・ギャラリー展」の他、オペラ祭などが催されまして、まち全体が文化・芸術で彩られておりました。
地域一体となって文化を推進するこの取組は、本市が目指す「市民が身近に文化芸術に親しめるまち」の姿そのものでありまして、今回、このイベントに参加できたことは、今後の施策を考えるうえで大変有意義な機会となりました。次のモニターをご覧ください。
こちらが7月4日にジョルダン公園内で開催されました「国際経済会議エクサンプロヴァンス経済フォーラム」の様子です。このフォーラムには世界各国から3日間で約7,000人が参加いたしまして、様々な議論が交わされました。
特に、「出生率変動の謎」をテーマとした分科会では、これは私が参加したものですが、各国の事例を交えながら、出生率低下の要因や政策立案に関する提言等について活発に議論が交わされました。本市の少子化対策やこども施策推進の参考となる取組を知る良い機会となったところです。
また、エクサンプロヴァンス市のジョワサン市長及びデュボスト副市長との会談の機会をいただきました。文化・経済・青少年・スポーツ・医療など、多分野において、これまでの交流を更に発展させていく方針を確認いたしました。
また、同市のスタートアップ関連施設であります「アルボアテクノポール最先端技術研究センター」を視察いたしました。次のモニターをご覧ください。
このセンターでは、私から本市の「スタートアップエコシステム拠点都市」としての取組をプレゼンテーションしたほか、アルボアテクノポールの担当者の方から活動状況や具体的なスタートアップの事例についてご紹介いただきまして、今後のスタートアップやテクノロジー分野での両市の連携強化に向けた意見交換を行いました。
また、フランスにおける匿名出産の取組についても視察いたしました。次のモニターをご覧ください。
こちらは、エクサンプロヴァンス市総合病院での様子でございます。
ここでは、母子の安全を最優先に、女性の権利とこどもの出自を知る権利の両立を目指す制度や、その支援を担う専門職の養成について説明を受けました。
また、予期せぬ妊娠を防ぐための支援体制として、出産前後の総合的支援や充実した相談窓口、また学校現場での外部の専門職を活用したきめ細かな包括的性教育など、様々な取組をご紹介いただきました。
さらに、今回同行いたしましたこども局の視察団からは、児童社会扶助機関や母子保護局保健センターにおいて、現場のスタッフから直接、出産前後の母子や匿名出産で生まれたこどもの支援状況などの話を聞くことができまして、非常に有意義な視察であったという報告を受けております。
この視察を通じて得た知見を活かしまして本市の施策をさらに充実させるとともに、引き続き、国に対して法整備等に関する具体的な要望を行ってまいります。
続きまして、7月9日から10日にかけて訪問いたしましたインドネシア・バリでの活動についてご報告いたします。こちらのモニターをご覧ください。
こちらは、インドネシア・バリにおいて人的交流とビジネス創出をテーマに開催されたカンファレンスの様子です。
このカンファレンスでは、インドネシアから日本へ人材を送り出す機関の代表や海外で活躍する投資家の方々を交えて、日本での様々な分野における人材の受入れや、ビジネス機会の創出についての意見交換がなされました。
その中で、私や木村知事からも外国人の受入環境整備を推進することや、雇用・地域活性化における官民連携の重要性について、意見を述べさせていただきました。こちらのモニターをご覧ください。
また、木村知事や熊本商工会議所の久我会頭らとともに、在デンパサール日本国総領事館の宮川総領事を訪問いたしまして、熊本とインドネシアとの様々な交流についてのご支援を要請してまいりました。
今回の訪問を通じて、木村知事及び熊本の経済界の皆さまとともに、現地でのネットワークを構築することができました。
今後、介護や建設現場、また運輸や物流などの分野における人材不足の解消及びそれに伴う外国人の受入環境の整備、また海外とのビジネス機会の拡大によります地域経済の活性化に向けて、官民一体となって取り組んでいきたいと考えております。
最後に、7月11日に中国・上海で参加した記念式典についてご報告いたします。次のモニターをご覧ください。
阿蘇くまもと空港と上海を結ぶ定期路線の就航を記念いたしまして、上海浦東国際空港で開催された、中国東方航空主催の式典に出席させていただきました。その後、第1便に搭乗して帰国いたしました。飛行機の中でもセレモニーがあったのですが、第1便での帰国後には、熊本空港でも記念式典が開催され、大いに盛り上がっていたところでございます。このモニターをご覧ください。
上海・浦東国際空港は、中国国内はもとより、アジアの主要都市をはじめ欧州、北米、そしてオセアニア等にネットワークを持つ国際的なハブ空港です。今回の直行便就航は、中国本土と熊本の観光やビジネスでも有効なのですが、世界的なこれだけの地域と新たに繋がったということで、地域経済の活性化に大きく貢献するものと考えております。
今回の一連の訪問を通じまして、各都市との友好と交流をさらに深めていくことができたと実感しておりまして、今後、各分野における施策展開に活かしてまいりたいと考えております。
私からは以上です。