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令和7年(2025年)7月31日 臨時合同記者会見

最終更新日:
(ID:65615)

全大腸内視鏡検査の無償実施について

1 熊本市による説明

2 熊本市医師会による説明

3 質問

(1)幹事社代表質問(TKU)
(2)各社質問


会見録




発表内容

【市長】
はじめに、私から「全大腸内視鏡検査の無償実施」の概要についてご説明いたします。
すでにお知らせしておりますとおり、本市では、全国で初めて無償の「全大腸内視鏡検査」を実施いたします。まずはモニターをご覧いただきたいと思います。
この検査の目的は、「大腸がんによる死亡者を一人でも多く減らし、市民の命を守る」ことです。次のモニターをご覧ください。
検査の対象は、今年度中に55歳から59歳を迎える熊本市民のうち、50歳以降に全大腸内視鏡検査を受けていない方です。令和7年度の実施人数は1,000人を予定しておりますが、先着順となりますので、検査を希望される方はお早目にお申し込みください。
検査までの流れにつきまして、次のモニターをご覧ください。
まず、検査を希望される方は、検査実施医療機関へ直接お電話いただき、問診のお申込みを行ってください。安全性を担保するため、医療機関で問診を受け、問題がなければ正式に検査を予約していただくことになります。その後、予約日に検査を受けていただき、ポリープ等の切除が必要な場合は、医療機関の指示に従って対応していただくことになります。その後、検査結果の説明を受けていただきますが、検査で異常がなかった方も、予防効果を持続させるために、翌年度中に「便潜血検査キット」をお送りしますので、必ず検査を受けていただきますようお願いいたします。
医療機関への問診の申込ですが、今年の9月24日から開始いたします。
そして、医療機関での問診及び検査予約は10月1日から開始いたします。なお、検査実施医療機関の一覧については、問診申込開始日に熊本市のホームページに掲載しますので、問診申込方法等について、まずは検査を希望する医療機関へお問い合わせください。このほかの詳細については、熊本市のホームページに随時掲載していきますので皆さんそれぞれご確認いただければと思います。
なお、本市では、便潜血検査をはじめとする5種類のがん検診等をすでに実施しておりまして、本事業の対象でない方も、職場などで検診を受ける機会がない場合は、ぜひ熊本市のがん検診をご利用いただきたいと思います。
私からは以上ですが、続いて、園田会長、緒方理事からそれぞれお話をいただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。


【園田会長】
熊本市医師会会長の園田でございます。
今回大西市長のご英断で、熊本市が全国の自治体で初めて全大腸内視鏡検査を無償で実施することになりました。そのきっかけは、2023年9月に私が市長とお話をした際、大腸がんによる死亡の減少に、全大腸内視鏡検査が大変有用であることに深くご理解をいただいたことに始まります。
大腸がんは男性2位、女性1位のがん死亡順位です。しかも、社会を支えている働き盛りの60歳代で急増します。また、大腸がんは大腸ポリープからゆっくり成長するものが大半で、50歳代で全大腸内視鏡検査を一度受け、大腸ポリープを切除することで、その後10年間の大腸がん発生率が半減いたします。このことは、様々な学術論文等で発表されており、大腸がんの多いアメリカでも実証されています。
検査の結果、何もなかった方は便潜血検査を毎年受けていただき、ポリープ切除をした方は、医師のアドバイスに応じて、便潜血検査と全大腸内視鏡検査を適正な間隔で受けていただくことで、大腸がんの発生を、9割以上抑制することができます。大腸がんを早い段階で発見し、さらに大腸がんの発生を抑制することにより、その方の命を守ることができると考えております。
熊本市医師会は、熊本市のこの画期的な取組に対して全面的に協力いたします。市民の皆様が、全大腸内視検査やその後のフォローアップを安全に安心して受けることができるよう、検査実施体制の整備をいたします。また、検査結果やポリープ切除の結果などを分析し、本プロジェクトの効果判定を行います。
検査実施医療機関、並びに熊本市と密接に連携し円滑な事業運営に努めます。この画期的なプロジェクトで大腸がんによる死亡を回避できるよう、対象となる熊本市民の皆様がご利用されることを切に願いまして、私の説明を終わります。


【緒方理事】
熊本市医師会の緒方と申します。私からは、この検診の骨子をもう少し詳しくご説明させていただきたいと思います。今、お話にありましたように、大腸がんは非常に多くの方が罹患して、かつ多くの方が亡くなっているというのが現状です。この検診の根拠となりました論文が大きく2つあります。1つは、ニューイングランドジャーナルに掲載された、しっかりした内視鏡検査を1度受けられると、その後10年間で大腸がんの発生を5割抑制できる、という論文が根拠になっています。
それともう1つは、米国の大腸がん検診の今までの効果というものが、根拠になっております。米国の場合は、50歳と60歳の方を対象に、10年に1回の内視鏡の無料検診が現在行われております。受診率が50%から70%に上がるだけで、大腸がんの発生が半分になったという効果がアメリカでは出ています。この検診自体を受けることで、スライドのオレンジのところですが、このくらいのスクリーニングの効果があると言われています。
米国でこういった検診が始まったもう1つの理由は、働き盛りの方から大腸がんが見つかるということと、大腸がんが減ることで、非常に高額な抗がん剤の使用が減ることによる、とても大きな経済効果が見込まれています。
では、日本はどうかと言いますと、従来アメリカは大腸がんによる死亡数が非常に多かったわけですが、日本も右肩上がりで、食事の欧米化と共に増えてきております。そして、(日本と比べて)人口が3倍いるアメリカの死亡者数に、2010年には女性が、そして2015年には男性が追い付いております。年齢調整罹患率としましても、アメリカは検診の効果もあり減ってきていますが、日本は高止まりということで、アメリカの倍近くの方が大腸がんになられています。
さらに、熊本はどうかと言いますと、熊本は過去20年間右肩上がりで大腸がんに罹患される方が増えています。熊本市の大腸がん検診は、主に便潜血検査で行われております。何度か改善が行われておりますが、中々受診率のアップは難しいところで、目標は60%以上の方に受けていただきたいのですが、全国平均でも16.7%、熊本は8%で中々ここから上がっていかないのが現状です。
そこで、内視鏡を大腸がん死亡抑制に利用できないかということで、熊本の場合を調べてみますと、熊本県はグラフの中で一番高いところ、40歳以上の人口比で大腸内視鏡件数が非常に多い県です。そのほとんどが熊本市ですので、熊本市のデータと考えてもいいのですが、これだけの医療資源があるのに、熊本県の大腸がん死亡順位の低さでトップになれないという背景があります。
これは、全国規模のアンケート調査なのですが、大腸内視鏡検査をどれぐらいの方が受けられているかというものです。40歳代、50歳代、60歳代とありますが、中でも50歳代の方の約7割は1回も受けていないという現状がございます。ですので、何度も受けられることが多くて、件数はたくさんあっても大腸がんの死亡には結びつかないということで、いかに裾野を広くするかということが大事になってくると思います。
熊本から何とかしないといけないということで、医療資源はたくさんあるが大腸がんによる死亡を減らせない、ではその検診をどこで導入すればいいかというのがこの資料になります。大腸がんは50代から60代にかけて8倍に増えます。根治不能など、なかなか治療が難しい方も、この間にものすごい勢いで5倍に増えています。ということは、大腸がんが5年から10年かけて進行がんになることを考えますと、50代で一度内視鏡を導入することが非常に大事になるのではないかと考えられます。
以上のように、今回の検診につきましては、最も効果的な50歳代の市民に大腸内視鏡検査を導入します。今回1000人限定ということですが、検診という意味合いを持ちましては、対象者全員の方に上限なく受けていただきたいというのが本当のところだと思うのですが、まずはパイロット事業として、裾野を広げていくというコンセプトがありますので、50歳以降に大腸内視鏡検査を受けたことのない方に限定させていただきたいと考えています。
それから1つ懸念されることは、がんを疑うような症状がある方は、この検診を待たないでほしいということです。血便、進行する貧血、便通の急激な変化など、大腸がんを疑われる所見がある方は、この検診を待たずに、保険診療で検査を受けていただきたいと思います。
また、この検査は1000人限定ですので、1000人から漏れた方もいらっしゃるでしょうが、本当だったら受けるはずのこの検査を、損をした気分になるから受けないなんてことがないように、受診控えにならないよう、受けようかなと思った方は是非保険診療でも受けていただきたいというのが、私たちの懸念でございます。
最後になりますが、ぜひこの検査を皆さんに受けていただきたいと思います。
私からは以上です。

【市長】
園田会長、緒方理事、ありがとうございました。
園田会長、緒方理事のお話にもありましたとおり、全大腸内視鏡検査を本市で実施するということは、その効果や意義が非常に大きいものがあると考えております。
検査の対象となる皆さまにおかれましては、初めてであったり、久しぶりの検査であると思いますので、申し込みを躊躇される方がいらっしゃるかもしれませんが、自らの命を守る第一歩として、まずは医療機関へ問診のお申し込みをしていただきますよう、よろしくお願い申し上げます。
私からは以上です。


質疑応答

【記者】全国初の取組ということですが、なぜ熊本で初の取組になったのでしょうか。

【市長】実は、私が市長選挙に最初に出るときの市長就任1期目から、継続して「がん検診の無償化」をマニフェストに掲げてきました。特に大腸がんはがんの中でも、罹患数が1位、死亡数が2位です。5年相対生存率は高いがんですが、早く発見すればそれだけ多くの方の命を救うことができ、その後の人生もよりよいものになっていくということです。
がんになって、ひどくなってからいろいろな治療をしていくと、当然医療費もかかってきますが、その人の人生にとって厳しいものになっていきます。ですから、私は政策として予防に力を入れたいと、これまでもいろいろな検診を積極的に推進してきました。
ただ、そうは言っても、私が市長に就任してからの10年間、なかなか検診率が上がっていません。先ほどエビデンスも見ていただき、論文もあったかと思いますが、この死亡抑制効果が高い全大腸内視鏡検査を50代のときに1回受けていただくことで、相当な効果が出るだろうと判断しました。
そこで、たまたま園田会長をはじめ医師会の皆さんからも大腸がんを抑えていくということであれば非常に効果もあるので、そういうことも検討しないかと以前お話がありました。我々も事務方も含めて数年間いろいろな検討をしていく中で、これはやはり効果があるということで、まずはパイロット的にはなりますが1000人限定で無料で受けていただくことになりました。
全大腸検査を普通に受けると2~3万円ほどかかるので、コストの面で躊躇する方もいらっしゃったのかなと思います。また、受けたことがないと、何となく大変な検査じゃないかと思われる方も多いと思います。園田会長も毎年受けておられるということですが、今は楽な検査と言いますか、比較的手軽にできる検査です。
これ(無償実施)は全国的にどこもやっていないのですが、大腸がんの死亡数やいろいろなものを見ても、熊本市は医療リソースが非常に豊富であることがまずやれる前提としてありました。他の地域と比べても断トツで熊本市には大腸の内視鏡(検査ができる環境)が揃っている。ところが、受けないという状況がありますので、ここをしっかりマッチさせていこうということで、我々は予算を組んでこういったことに踏み切ることにしました。
それが日本で初めてになった理由かどうかは別として、これを先進的にやっていこうと考えました。

【記者】検査できる医療機関の数、それから、これまでの市と市医師会との準備の間で、特に意を用いられたのはどういうところか。

【緒方理事】熊本市の医師会の方で、検討していただけるところがどのくらいあるかと募ってみたのですが、最終的には70施設ぐらいが手を挙げていただきました。それらの施設かどのくらいの件数を(担当)できるか、年間に何件ということで書いていただいたんですが、十分な件数がありましたので、これでいけるかなということで考えております。

【記者】初の取り組みとして熊本市からこの検査を発信していかれますが、その制度設計など準備の段階で特に意を用いた点はありますか。

【市長】まずは実施医療機関にご協力いただけるかどうかはすごく考えたところです。一人一人に準備をして丁寧に時間をかけていくため、集団で便潜血検査を出してもらうだけではないので、スタッフの数、それから医療のキャパシティの問題。ここが1番検討するときには苦労しました。うちの事務方も、医師会の先生や皆さん方と協議をしながら進めていきました。
それから、踏み出すにあたっては市民の皆さんに関心をどのくらい持たれるだろうかということも考えました。全大腸検査を受けたことがある人はイメージしやすいですが、1回も受けてない方からするとどんな検査だろう、と。内視鏡をお尻に入れての検査はすごく痛いのではないか、きついのではないか。そういう懸念を持つ方も結構いらっしゃると思うので、そういう皆さんに対して安心して受けていただく。それから、技術も非常に高い先生方が熊本にはいらっしゃるので、これからになりますが市民の皆さんに安心して受けていただくような情報の提供と言いますか、具体的なことについて皆さんにお知らせしていきたいと思います。
今日から熊本市のホームページで全大腸内視鏡検査に関するページを公開しますし、SNS等でも広報します。10月1日からの問診の開始までの間に少し時間をとってきちんと説明する。市政だより9月号でもお知らせをします。多くの皆さんに関心を持っていただきたいといろいろ考えたところです。

【記者】今回は1000人でスタートされます。この結果次第かもしれませんが、次年度以降はどのように考えられていますか。

【市長】当然反応を見てということになると思います。秋口からスタートしますので、まずはこれを成功させること。それから効果がどのぐらいで出るのかは、緒方先生にお尋ねしますと、やはり5年から10年ぐらいのスパンで見ていかないといけないということですので、1000人なら1000人と継続して取り組む。この数をどうするかは当然予算との関係もありますが、データをしっかり取りながら検証していくことが必要かなと思っています。

【記者】緒方理事に質問です。今一度フローを教えていただけますでしょうか。申し込みをして、問診が対象になったら受けて、みたいなところがあったと思います。そのフローを教えていただければと思います。

【緒方理事】熊本市の予定としては、9月24日に受けられる医療機関をホームページで発表する。それを見て、受けられる(検査を希望する)方は、医療機関に今後どうしたらいいかについて問い合わせていただきたいと思います。
申し込みは、各医療機関からネットでの申し込みになります。まず(申し込んだ)医療機関で問診を受けていただく。条件がいくつかあります。その条件が、年齢、熊本市民であるということ、50歳以降に全大腸内視鏡検査を受けていないこと。そういうことが確認できましたら、そこの受診(問診)された医療機関から、ネットで熊本市に申し込みいただきます。そうするとそこで受付番号が配布され、受付完了となります。
あとは、日時に関しましては、来年度3月の下旬までに受けていただくことになるので、その検査の予約をしていただければ完了となります。

【記者】実際の検査をしてもらって、検査で問題がある方はそれで措置をして、ない方も続けて便潜血検査を提出するということでしょうか。

【緒方理事】便潜血検査は翌年です。その年はもう検査しませんので、翌年の1年後ぐらいに熊本市医師会から(検査キットが)配布されると思いますので、それを提出していただければと思います。今回の検査で病変があった場合は、1年以内に全部治療することを1つの目標としております。ポリープがあった場合は、全部1年以内に取ってしまう。がんなどはもちろんもっと早いですけれども、治療完了してしまうということで、ポリープを取ったらそのポリープの進み具合に応じて、次回はいつごろ受けたらいいのか各医療機関でガイドラインを作っておりますので、それに従って次回は全大腸内視鏡検査を受けるのか、それとも翌年からは何もなければ従来やっている便潜血検査の検診に戻っていただくのか、その辺の判定をしてお知らせしたいと思っています。



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