【記者】大雨に関してお伺いします。今回の大雨の際、坪井警報局のサイレンが適切なタイミングで鳴らなかった、または聞こえづらかったという指摘がありますが、市長の受け止めと今後の対策についてお聞かせください。
【市長】サイレンの吹鳴は、本来河川の水位が定められた基準であるレベル4の氾濫危険水位を超えた場合に、水防本部が起動することになっております。この坪井警報局については、河川周辺の状況を考慮し、レベル2の氾濫注意水位、レベル3の避難判断水位、それからレベル4の氾濫危険水位の3回吹鳴することにしていました。
しかしながら、今回の記録的な大雨は、予想をはるかに超えるスピードでの降雨量、そして河川水位の増加であったことから、各種媒体への避難情報の発信や避難所開設準備などの業務を遂行していく中で、サイレン吹鳴への対応が追いつかず、遅延したということを担当から報告を受けています。
このことについて、改めて原因や経過を検証し、今後どのような状況にあっても確実に対応できるよう、組織体制の見直しやマニュアルの徹底、ハード面の整備など、こうしたことに早急に対応するように私から指示をしました。今回のような大雨のときに、そもそもサイレン自体が鳴っていても聞こえづらいという方や、聞こえなかったという方もいらっしゃいます。これは、以前から様々な災害で言われていることです。
ハード面においては、本来であれば坪井警報局において、レベル2、レベル3、レベル4で3回吹鳴するということにしていましたが、今回はレベル4のみであったということで、河川の水位がある一定の高さまで来たら自動で作動するシステムを導入することで、人為的なミスを防ぐということは非常に重要かなと思っております。それから、シャッターを閉めた家屋の中でも、大雨の音で非常に聞こえづらくなっていますし、遠くまではなかなか響かないということもあります。音を吸収したりしてしまいますので。音響や音量の工夫をどこまでやるのかということも、しっかり検討しなければいけないと思います。
当然アラートですので、できるだけ大きく皆さんに聞こえるようにしなければいけないと思いますが、今回、私もいろいろな方からお話を聞いてわかったのは、家の中にいて雨音がわからなかったという方もいらっしゃったことです。つまり、雨戸を閉めている場合は、なかなか雨音もわからないという状況になります。ということは、サイレンの音も聞こえづらいということですので、念のためにいろいろなことをされたご家庭も、聞こえにくいということがあります。
そこで私たちは、エリアメールで避難指示などを出させていただいていますが、こういったシステムがあることも踏まえ、よく考慮しながら、どういう形で皆さんにお伝えするのが一番いいのかということは、常に追求しながら検討していかなければいけないと思っております。
それから、警報局の動作や運用のあり方も含めてしっかり検証をしながら、今回の対応が適切だったのかどうかということも含めて、今後しっかり確認をして検証していきたいと考えています。
【記者】サイレン自体の必要性はあるとした上での、市長のお考えという理解でよろしいですか。
【市長】はい。サイレン自体聞こえないということがどうなのかということは、いろいろ議論があると思います。ただ、サイレンが鳴ることによって異常を検知するということは、すごく重要なことだと思うんです。それが聞こえなくても、誰かに届くということはすごく大事だと思います。そういう意味ではサイレンが必要ないとは思っていませんが、他の手段についても、例えばスマートフォンのエリアメールについては、夜中に急に鳴ったりすると嫌だといって、切っちゃうという方もいらっしゃいます。これは、私から皆さんにお願いしていることですが、とにかく命を守る音なので、こういったものは常にオンにしていただいて、自分たちの身を守れるようにしていただきたいと思いますし、その辺はどういうふうに工夫すればいいのかということを、私たちもいろいろ研究をしていきたいと思っています。
【記者】今回の件については、いわゆる人為的ミスという受けとめでいらっしゃるという理解でよろしいですか。
【市長】本来であれば、3回吹鳴しなければいけないところを、1回しかできてなかったということについては、担当部局から避難情報発令や避難所開設準備など、いろいろな業務を遂行していく中で、サイレン吹鳴の対応が追いつかず遅延したという報告を受けています。これは人為的ミスですので、その点については本当に申し訳ないと思っております。
経過や原因も含めてしっかり検証して、また議会でもいろいろご議論をいただくことになると思っていますので、そこできちんと明らかにしていきたいと思っています。
【記者】今回の大雨では、市中心部の商店街も浸水被害に遭われたり、また市内各地で車の水没が多く発生しました。こういったことに対して、例えば事業者に対する支援のあり方や、車への対策について、新たに何か考えていることがあれば教えてください。
【市長】中心市街地の水没した店舗等の被害状況は、確認をさせていただいております。被害が甚大なところであれば、被害額が数千万円にまで及ぶというようなことも伺っております。今、それぞれの担当部局がヒアリングをしながら、中心市街地の被災状況について確認をさせていただいているところです。
今後の対策として、まずやらなければいけないのは、地下で浸水する可能性があるというお店やテナントに対する安全性の確認と、ビルオーナーの皆さんに対する注意喚起と同時に、熊本市としてどういう形で対策ができるのかも含めて、しっかり検討していきたいと思っています。
浸水すること自体は、ハザードマップ上でほぼわかっています。市役所もそうですし、実際に市役所の地下にも水が入ってきています。止水板、防潮板というものがあり、大きな台風が来るというときには、必ずここは水が入ってきますので設置しているのですが、今回はそこまでしていませんでした。これだけの大雨、それから線状降水帯により急激に増水すると考えれば、当然そこまでのことをやる必要があります。
実際に市役所に入ってきた水がどうだったかというと、地下の食堂と郵便局に少し浸水をしたということでした。私が庁舎に到着したときには既に水はない状態でしたので、掻き出したといいますか、そういうレベルです。水没するほどの水ではありませんでしたが、隣の駐車場の地下が水没をしたということを考えれば、同じようなことが起こりうる可能性は十分考えられるわけです。そう考えると、運用上、止水板、防潮板については、特に夜間の対応は人がいなかったりすると遅れてしまいますので、予防のために必ず設置するということ。それから、中心市街地エリアは、天井川である白川が溢れると、5、6メーターの浸水深になるということで、今までのハザードマップ上もそうなっています。河川改修等が進んだので少しその辺りの推移は下がると国土交通省あたりから話があっているところですが、ただ大雨が降ると、大甲橋あたりにたくさん降り注いだ雨がそのまま流れてきますので、当然ポンプで坪井川の方に排水をしています。
市役所の1階の部分や、花畑町別館の後ろ、ちょうど城見櫓さんの横にポンプ場があるのですが、あれは街中の排水をしっかり処理するための機能があるんです。ところが、今回ほどの大雨が降ってしまいますと許容量を超えてしまうということで、排水しきれない状態になりますので、その辺の対策についても指示をしております。上下水道局あるいは都市建設局も含めて、これから検証や検討をしていくわけですが、ただ、現状の中でどう身を守っていくのか、それからお店の品物や財産などをどうやって守っていくのかということについては、いろいろと検証をしながら、ソフト対策が中心になるのかもしれませんが、よく検討していきたいなと思っています。
それから被害については、商店の皆さんから罹災証明等の申請をいただいておりますので、被害額や被害の状況等につきましては、また改めて集計ができた段階で、皆さんにお伝えをさせていただきたいと考えています。
【記者】大雨から2週間が過ぎ、市長も被災地を視察されたと思いますが、市内各所の被災地を回られて、今回の大雨被害の特徴や感じられたこと、印象に残ったことを教えてください。また、追加提案のお話もされましたが、どういった形で反映できるか、その辺の所感についてお聞かせください。
【市長】先ほどのご質問に答えていなかった部分があるのですが、車の水没が非常に多かったということがあります。熊本の場合は公共交通機関が脆弱で移動手段がない中で、車が水没してしまうと、たちまち復旧もその後の生活再建も非常に厳しくなってきます。これについては、日本カーシェアリング協会さんのご支援によって、災害レンタカーを今日から皆さんにお使いいただけるようになっていますが、すでに1000件を超えるお申込みをいただいています。
それから車両で特徴的なのは、恐らく大丈夫だろうと車で進まれて水没された方も結構いらっしゃるということで、そういう意味では危機意識といいますか、啓発みたいなことは相当やらなければならないなと改めて思いました。といいますのも、今回の大雨で6時に高齢者等避難を発出して、避難場所を20ヶ所開設したのですが、ほとんどの方が当初は避難をされていません。
雨があまり降っていないものですから、土砂災害警戒区域にお住まいの方など、予防的な避難に慣れておられる方々は来られていますが、一般の方々はほとんど来られていません。そして、雨が強く降り出してから、初めて皆さん動き出して焦ってしまうということで、その段階では、もう避難指示が10時や夜中のタイミングで出ていますので、もう逃げられないわけです。
ですから、予防的避難を徹底していただくことは、もっと被害を軽減させるための取組として非常に重要だなと思いました。また、避難情報の発令と呼び名のあり方もありますが、「高齢者等避難」は私には関係ないよと思われないように、もう少し発信のあり方を変えなければいけないなと思ったところです。
市内全域を見回すと、ハザードマップエリアが被災しているということです。したがって、ハザードマップの中で被災する可能性があると警告されているエリアは、すべて被災するということを、市民の皆さんにしっかり認識をしていただくように、改めて確認をしていただくこと、そして自分たちで自らの財産や命を守っていくことをもう少し呼びかけないと、このままではまた同じようになってしまいます。線状降水帯による大雨は、いつどういう形で起こるかわかりませんので、皆さんで予防をしていただき、自分たちで自分たちの身を守る。河川や遊水地、ポンプ場の排水をどうするかについては、もちろん我々は最大限全力でやっていきますが、それだけでは被害は絶対に防げないということです。
例えば、坪井川沿いのある事業所さんでは、雨が降りそうだからということで、車を高所に避難をさせていて無事だったという方々もたくさんいらっしゃいますので、普段からの危機意識など、こういったものを市民の皆さんとしっかり共有すること、ここを特に強く頑張っていかなければいけないなと思いました。
一方で、(被災された)皆さん方の生活の足がない、復旧のための交通移動手段が厳しいということもありますので、そういうことも含めて、何か市民の皆さんの支援に繋がるようなことはできないかと、現在検討しております。まだ詳細は固まっておりませんので、これから議会に追加提案すると、本日の議会運営委員会でお話をさせていただきましたので、案がまとまり次第、どういう内容の支援をするのか皆さんにもきちんと報告をしたいと思います。
喫緊でやるべきことと、その後、復旧・復興の段階にも資することも必要になってきますので、そういったこともしっかりやっていきたいと思っています。
それから、公共施設や農水関係の被害もありましたので、今後しっかり激甚災害に指定されるように、今日、坂井防災担当大臣に視察に来ていただいて、坪井の遊水地のポンプ場の近くも見ていただきましたので、そのときに、私からの被害状況報告の中で、支援をよろしくお願いしたいと申し上げたところです。今後、国も積極的に熊本の被害状況をぜひ見ていただいて、ご支援をいただきたいと思っております。
【記者】坂井防災担当大臣の視察に関して、私も現場で取材させていただいたのですが、やりとりがあまり聞こえませんでした。どういったお話をされたのかお聞かせください。
【市長】まず、被害状況について把握したいということでしたので、今の熊本市内全体の被害状況と、特に浸水被害がひどかったエリアでもあるので、その被害状況と家屋の状況、そして、ごみの処理がどうなっているかということ、また、ポンプ場や排水機場の機能であるとか、水没車両への対応として災害レンタカーの申込を開始し、復旧作業へとシフトしていることや学校の被害など、こうしたことをしっかり説明させていただきました。
大臣からは、被害がひどいですねということと、内水被害も含めてかなり被害が大きいとの印象をお持ちになられたようでした。
特に、ボランティアのことについて、かなり熱心にお尋ねになられました。人数が多い熊本市内のボランティアのマッチングがうまくいっているかどうかについては、かなり聞かれました。例えば、ボランティアに来た人たちの移動はどうするのかということも尋ねられました。移動はボランティアセンターの方が被災者それぞれのお宅に運んでいることや、送迎はこの車で移動してもらっていること、それから、マッチング状況としては、現在熊本市内で要望があった箇所の70%程度が対応ができていることを私から報告したりと、そういったボランティアの状況についてご説明をいたしました。
【記者】坂井防災担当大臣の視察時のやり取りに関しての確認ですが、国に対して要望されたという理解でよろしいですか。
【市長】要望といいますか、お願いをしたということです。要望は、改めて県と一緒に個別項目ごとに行う形になると思います。とにかく大臣に対して国からも支援をぜひよろしくお願いしますと私から申し上げまして、それに対してしっかり頑張りますというご回答でした。
今日この後、玉名に行かれた後で取材対応をされると思いますので、その中でお話されることがすべてかなと思います。
【記者】現場でパネルを使ってご説明されていましたが、記者クラブにご提供いただけますか。
【市長】もちろん提供させていただきます。基本的にはパネルを使用してご説明させていただきました。時間がどうしても限られていますし、大臣のご質問もありますので。
その辺りの詳細につきましては、各メディアの皆さんにお伝えをして、今日の報道にも影響することでしょうから、可能な限り資料の提供もさせていただきたいと思っています。
【記者】大雨関連でお伺いします。北区清水万石で避難指示が発令されており、土砂の撤去を始められたということですが、今後の復旧の見通しや避難指示解除の見通しについて教えてください。
【市長】8月11日に住民の方から土砂崩れがあったと通報がありました。同日午前4時に職員が現地を確認したところ、道路や宅地数件にわたって斜面崩壊による土砂の流入が発生しているという状況でした。8月12日に北区土木センターが道路に流入している土砂を撤去する対応を実施しました。土砂が流入した家屋が2件、家屋の中まではないが玄関まで流入したのが1件、建物の側面までの大きな土砂の流入があったのが3件です。人的な被害はありませんでしたが、土砂が流入したというような状況です。
通常は、災害時の初動対応として、例えば道路の通行を阻害するような状況にあった場合は、早急に土砂を排除する道路啓開といいますか、そういったことを優先して実施していますので、北区清水万石の崩壊箇所についても、緊急的に道路上の土砂撤去を実施したということです。
宅地内に堆積した土砂も当然入っているわけですが、これの撤去に関して、個人の財産である宅地に行政が立ち入って作業を行うということは、財産権や安全性の確保などいろいろありますが、対応をしっかりやっていくことが必要だという判断をして、一定の期間は必要でしたが、宅地内の土砂も撤去させていただきました。避難指示が発令された状況の中で、ボランティアの皆さんが入ることはなかなか難しいですので、そういう意味では行政がこういう形で対応したということはあります。
崩壊した斜面の今後の対応についてですが、立田山の西側の斜面に位置していますので、崩壊箇所にある民有林に加えて、その周辺には国・県・市で管理する森林が含まれています。現在、関係者間で連携しながら原因の究明と、今後の対応を協議しているところですので、直ちにどういう形でということにはまだ至っていない状況ですが、今後の本格的な斜面崩壊の防止に向けた対応について、これから関係者と協議しながら、必要な対策を取っていきたいと考えています。
【記者】自動運転バスに関してお伺いします。今回、第2弾では南熊本駅から花畑地区までのルートということですが、南熊本駅から中心市街地に向けて快速バスも走らせる計画があると伺っています。この快速バスとの関連性について教えてください。
【市長】まずは、熊本城ルートを今までやって、最初の試験運転の時に事故があって、それは、追突されたということで自動運転が悪かったわけではないのですが、そういうアクシデントがあったものの、非常に順調にいったということもあります。
今度は、実際に運賃を取って運行している特に需要がありそうな場所を、導入を見越して実験していこうということです。それで、今、お話がありましたとおり、南熊本駅が今後豊肥線の強化等も含めて、しっかり乗り換え拠点になっていくことが大事ですので、快速バスのアクセス向上のための取組をこれからやろうとしているのですが、自動運転バスの実証運行は、快速バスの実証運行とほぼ同様のルートを走行します。そこは、快速バスの実証事業とはまた別の取組にはなるのですが、一般のバス路線も走っている状況ですので、今回どういう形で自動運転バスが、どうやって他のバス等と折り合いをつけて走れるのか、ルートが飛び飛びになって帰りはずっと一直線になりますから、他の運行しているバスとは、また違うということになりますので、その辺もしっかり今回の実証実験の中で見ていこうということであります。
いずれにしても、南熊本と辛島町あたりの街なかの結節強化、豊肥本線と街なかのバスターミナルあたりまでの強化は、非常に重要なことです。
仮に、自動運転がうまくいきますと、運転士不足の中でも対応できていくのではないかというねらいはあるということです。まずは、今回はどういう支障があるのか、それから快速バスと自動運転バスがきちんとなじむかどうか、ダイヤも含めて、バスレーンや歩車分離等、一般の運行しているバスにきちんと対応できるのかどうかを確実に見ていくための場になるかと思います。将来においては非常に期待できるのではないかと思って、これから実験を始めるということです。
ですから、できれば多くの皆さんに乗っていただいて、利用された感想や、いろいろなものをぜひ集中的にお聞かせいただきたい。それから、利用していない方、要は現場の近くで通行される車の方であったり、住民の方々からもご意見を聞いて、安全に、そして快適に運行できるように、我々としては頑張っていきたいと思っています。
【記者】清水万石のことについてお尋ねです。2次被害の恐れがあるとして18日に避難指示が出ましたが、この情報が報道機関と情報共有されるLアラートにすぐには反映されず、3日後に共有されるということになりました。これに関して、市長のご見解と改善されることがありましたら教えてください。
【市長】Lアラートについては、今回、避難指示の対象となる清水万石地域の6世帯18人の方々に対して直接、個別に避難指示の説明を行っていました。ですので、Lアラートへの情報発信がなされなかったことが、直ちに避難に繋がらなかったということではありません。ただ、今回、確認しましたところ、8月18日15時30分の清水万石への避難指示の発令情報については、対外的に有効な避難指示だったのですが、担当部門が自主避難として熊本県に報告を行っているんです。それでLアラートの情報発信ができずに8月21日の17時半になった、ここが非常に問題だったと思っています。ですので、この点の経緯も、それから避難指示の発令情報が的確にLアラートで情報発信できるように、これは報道関係の皆さんにもお知らせることにもなりますので、こういったことを徹底する。先ほどのサイレンの吹鳴の話もそうですが、全体的に皆さんに対する発信のあり方をしっかり検証して、これからの教訓にしていきたいと思っています。
【記者】避難の遅れには繋がっていなかったということですが、報道機関としても避難情報を速やかに出すことは一つの役目ですし、市のホームページもLアラートという情報が反映されないと違った情報が載ってしまうこともあります。それを含めて、人的な問題だったということでしょうか。
【市長】それも含めて全部検証させていただきたいと思っています。
【記者】坪井のポンプ場の排水ができなくなっていた件に関して、周辺の市街地の浸水被害との関連性についてはどのように見ていますか。
【市長】ポンプ場の排水がなかなかできなかった。これは、想定を超えた雨が降って電源が水没することによって、機器が停止してしまったということです。これも、どういうことになっていたのかについて徹底的に検証して、原因の究明、どういう経緯でそういうことが起こったのかということです。これは、長時間に渡って止まっているわけですので、そういった想定外の降雨に下水道施設だけで対応するのは、なかなか難しいところがあるのですが、機能できるものをしっかり機能させるということは当然のことですし、その容量も含めてどうあるべきかについてはしっかり検証させたいと思っています。
その上で、今回、浸水してポンプが停止したことによって、最大約1万500㎥の雨水が中部浄化センターに送水できなかったのではないかと想定しているということです。ですから、こういったものが全く影響がなかったとは言えないと思います。ただ、それを超える非常に多くの雨が降っているので、冠水被害があったお宅では非常にご苦労されていると思いますし、今回、大臣の視察に同行したあの周辺がまさにそういう状況です。ポンプ場の状況についても、大臣には写真を示して、また現場を見て確認いただいたところです。今のところ約14時間停止していた可能性があるということで、この辺がどう影響があったのか、もっと細かな、精緻なことについては、これから検証して議会等にもしっかり報告させていただきたいと考えております。
【記者】原因や経緯を今後詳しく調べていくという段階ですが、想像を超える大雨だったということで、どういった対策が必要になってくると思われますか。
【市長】一つ既に指示しているのは電源です。電源設備が下にあっては水没してしまいますので、できるだけ上の方に上げる。次に、今後も線状降水帯、それから大雨というか冬にかけての台風もあり、まだまだ予断を許さない状況ですので、こうしたものがきちんと作動するように、他のポンプ場も含めて全て点検して対策を打つようにと私から指示させていただいております。
【記者】市で、みなし仮設の受付が始まったり、今日からは市営住宅提供の受付も始まったというところで、どういった姿勢で被災された方の住まいの確保の支援を行っていくかを聞かせてください。
【市長】被災した方々はそれぞれ事情が異なると思います。熊本地震のときも相当寄り添った対応をさせていただいたと思っております。今回も一人一人の事情に応じて、できるだけきめ細かに対応させていただきたいと思います。
市営住宅の応急仮設の入居についても、今日から申し込みに来ておられます。熊本地震のときもそうでしたが、応急仮設を提供したからそれで済むということではなくて、その後どうやってその方が生活を再建していけるのか。例えば高齢者の方等、家を修理するにも所得がなくて年金では対応できない方々に対してどんな支援ができるのか。ここについては、行政としても最大限寄り添いながらやっていきたいと思います。保健師やいろいろな専門スタッフも、例えば体調を気遣ってそういうこともきちんと聞いたり、いろいろな対応ができるようにしっかりご相談に応じながらやっていきたいと思います。
【記者】自民党総裁選の前倒しについて聞かせてください。
先の参院選の大敗を受けて石破首相の責任を問う声がある一方で、報道各社の世論調査では内閣支持率が上昇傾向にあることについて、市長の受けとめを伺います。
加えて、前倒しの是非を巡って、党所属の国会議員と各都道府県の県連に意思確認をする方法として、記名式がいいのか、匿名式がいいのかも議論していることについて、思うところがあれば教えてください。
【市長】一政党の総裁をどうするかに関しては、市長としてコメントする立場にないと思っているので、特段ありません。
ただ、自民党総裁は、当然、総理大臣となる方ですから、私としては石場総理はどういう形になったとしても、この大雨被害等、災害対応をしっかりやっていただくということ。それから、今、国難にあると言われている国際関係の調整についても、国民の生活に影響を及ぼさないように十分配慮して、各政党なりの態度を示していただけると良いのではないかと思います。
記名だとやりにくいだろうとは思いますが、私としてはそのぐらいの感想であって、それは各政党の中で立派な国会議員の皆さん方がそれぞれ判断されることでしょうから、私が一首長の立場で述べることではないと思います。
【記者】NHKの受信料について伺います。先日の全国知事会において、全国の自治体で公用車のカーナビについて受信契約をNHKと結んでいなかった問題が議題に上がり、視聴予定のない受信機器の受信料の支払いが自治体の財政負担となるため、契約ルールの見直しを求める声が上がりました。熊本市でも、公用車のカーナビ受信が未契約だった問題がありましたが、そのルールの見直しに対して、市長が思うことがあれば教えてください。
【市長】知事会でそういう話があったことの詳細を承知していないのですが、ただ、熊本市でも公用車のカーナビに付いた機器の受信料を払わなければいけないことに関して、十分認識していなかったこともあって、170台くらいの契約状況についてどうあるべきかということも含めて、しっかりNHKさんと話をするように言ってあります。
例えば、私の公用車に関してはテレビが付いていまして、途中でニュースを見たり、いろいろな情報を見たりしていますので、それはもう完全に視聴しているということです。公務での移動中に情報を得る手段に使っております。
一方で、カーナビにたまたまテレビの受信機能が付いていただけであって、例えば公用車はたくさんありますが、確かに今ご指摘のように、見ていないものもあると思います。皆がそれでずっと見ているかというと、公用車でテレビを見て、その辺に停めてぶらぶらしていたら、多分、市民の皆さんからすぐ通報が来ますので、なかなかそういうことはできないと思います。
私が今回思ったのが、公用車では見られないようなカーナビにしなさいと言われても、それが付いていないカーナビは限られてきて、今度はそれでかえって値段も高くなるのではないかとなると、その辺もどうなのかと思います。
それから、災害情報等があったときには、公的に使っている車で見られた方が絶対にいいわけです。今、受信料の法律上も規則上も払わなければいけないルールになっていることは、しっかり払わなければいけないと思いますが、今後、もし、まけてもらえるのであれば、公用車に関しては公的に使っているものであり、災害情報等は危機管理上非常に有益で、NHKさんの報道で分かることもありますので、そういったことに関しては、できれば団体割引か、公共車両特例無料免除みたいなものがあるのか、その辺も含めてぜひ、ご検討いただけるといいかと思います。
【記者】愛知県の豊明市がスマートフォンの使いすぎを防止する条例の施行を目指しています。あくまでも理念条例であり、罰則などは設けないという方向ですが、こういった動きに対する市長のご見解をお聞かせください。
【市長】スマートフォンの使い過ぎを防止することは、教育上も非常に重要なことだと思っています。例えばタブレットもですが、熊本市のこどもたちにはタブレットを貸与しているので、全員がスマートフォンを持っていなくても、見ようと思えば動画を見るなどいろいろなことができます。
ところが、家庭内でのルールを定めたり、それから、学校との約束もありますので、自分たちでどのように抑制していくのか、我慢していくのかを考えさせる必要があると私は思っています。
条例についてはそれぞれの自治体で判断されることだと思いますので、私は特段それに対して賛否をコメントする立場にありません。
ただ、一方で、そういったことに危機感を持たれるほど、こどもたちの学習や生活に非常に影響を及ぼしているのは事実ですので、やはりリテラシー教育をもっとしっかり進めていく必要があると思っています。
実は、熊本市の端末は全て何を見たかこちらで分かるようになっています。LTEの端末なので全部ログが取れます。勝手にWi-Fiにつなぐこともできませんし(※)、そして、LTEを使っていますので、通信会社からログを取って、動画をこのくらい見ているということであればきちんと指導することができますので、そういったことで使い過ぎ防止を行う。それから、スクリーンタイムと言って、先週よりも見過ぎていますよ、など、傾向が出るようになっていますので、そういったものを掴みながら自制していく。
やはり、家庭内での話し合いやルールづくりをしっかり行っていく必要があると思っています。強制するというよりも、この条例によってきっかけを与えて、皆さんが考えることが一番望ましいのではないかと思いますが、これは各自治体でのご判断かと思います。
メディアリテラシーと言いますか、スマートフォンも含めたものをどのように使っていくのかに関してのリテラシーを高める教育をしっかり進めていく必要があると思っていますので、熊本市としてはさらにそれを徹底していきたいと思っています。
特段、我々が条例を作ろうという考えは、今のところ全くございません。
※Wi-Fi接続は可能
【記者】大雨に関してお伺いします。冒頭で熊本市独自の支援策を検討しているとお話されましたが、独自の支援が必要だと感じられた理由と、どういったことを検討されているかを教えてください。
【市長】検討項目については、例えば、被災したのが商店であるとか、個人では車が被災してなかなか保険が出ないとか、いろいろな方がいらっしゃいますので、どういう形の支援をすれば皆さんが復旧に向かって前に進んでいけるようになるのかを、今、検討している段階です。
なぜ、そういったものが必要かというと、実際に災害救助法の適用にもなり、激甚災害では農業部門が適用になったということですが、その中でも行政の支援はどうしてもきめ細かいものにならない部分があると思っています。これは、過去のいろいろな事例もあるのですが、こういう災害が起こったときに早く立ち直ってもらうことが何よりもその地域の再生となり、また経済も含めて取り戻すことによって、皆さんの生活が再建されるということですので、私たちもできる限りスピード感を持ってやりたいと思っています。
各段階で必要になることが変わってきます。まず、急ぎ取り組んだのは、環境局が頑張ってくれましたが、ごみの処理をできる限り無料でやるということです。特に、家電のごみについても無料で回収するというのを早く決めたのは、皆さんのニーズを聞いてということもありました。
今後、移動をどうするか、その支援についてどう考えるのかというのも、もちろんあるのですが、個人の財産についてどこまでやれるのかは、少し難しい検討を要することがあります。全体的に見舞金をどうするかなど、そういったことも含めて、今、総合的に検討していますので、中身についてはもうしばらくお待ちいただきたいと思います。
今、皆さん方からいろいろな声をいただいておりますし、9月1日から開会される議会の中でも、いろいろなご意見、ご提案もあると思いますので、そういったものを受けて適切に対応していきたいと思っています。
【記者】今お話の中で、復旧のための交通手段についても検討するとおっしゃられましたが、それも独自の支援策の中に含まれるものでしょうか。
【市長】そういったものに関しても検討すべきだということで進めています。今は具体的な中身について申し上げられる段階にはございませんが、検討を重ねているところです。
【記者】自動運転バスに関してお伺いします。熊本城ルートを走っていた車両を南熊本に転用するという理解でよろしいですか。
【市長】はい、以前と同じ車両になります。
【記者】月・水・金・日曜日の運行時間帯などを教えてください。
【事務局】時刻表に関しては、詰めの段階であり、1日5、6便程度を想定しております。
【市長】10時から16時までの間に5、6便で検討を行っています。恐らく前回の、熊本城の周りを回るのと近いイメージになるかと思います。時間帯をもう少し考えるということです。
【記者】予算に関しては、当初予算で実施されるということですか。
【市長】はい、国庫補助が6,500万円と、市の事業費を合わせて8,000万超の予算を付けていますので、確保されている予算を活用していきます。
【記者】大雨関連の追加の独自支援は、早ければ9月議会に追加で提案されるということでしょうか。
【市長】はい、9月議会で補正予算は当然上程します。その中に土嚢などは入っていますが、独自支援は入っていませんので、それらを入れるべく、今、調整しています。追加提案が整えば、途中で議会に上程させていただこうと考えているところです。